ガヴ「最近さ」 (34)
ガヴ「ネットの調子悪くて暇なんだよ」カリカリ
ヴィーネ「うん」
ガヴ「手持ちのハードもやり尽くしたし、マジで暇なんだよ。家にいてもやることなくてさ」カリカリ
ヴィーネ「ならどうして今ガヴは私の宿題を写してるのかしら?」
ガヴ「暇だからって宿題やる気になったら苦労しないって」カリカリ
ヴィーネ「おまえな…」
ガヴ「で、あまりに暇すぎて寝るのにも飽きちゃって布団でボーッとしてたら、ふっと頭をよぎったんだよね」
ヴィーネ「なにが?」
ガヴ「……」スッ
ヴィーネ「へ?」
ガヴ「ヴィーネが…」
ヴィーネ「わ、私?」
ガヴ「ヴィーネがもし男子と付き合ってたら、どんなかなって」
ヴィーネ「は?」
ヴィーネ「………は?」
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ヴィーネ「え? 付き……えっ? ガヴ、今なんて…?」」
ガヴ「だから仮にヴィーネが男子と付き合ってたらどんなだろって」
ヴィーネ「ええええ!? なんでいきなりそんな話になるのよ!?」
ガヴ「私も分かんないんだけど、ほんと急に降ってきたんだよ」
ヴィーネ「そんな、私が男の人と…つ、付き合うだなんて…そんなの考えたことも」
ラフィエル「えっ? ヴィーネさん、どなたかとお付き合いされているんですか?」
ヴィーネ「ラフィ!? し、してないしてない! 断じてしてないわ!」
ラフィエル「必死なところがむしろ怪しいですね~」
ヴィーネ「ああもう! ガヴが変なこというから話が妙な方向に進みそうじゃない…」
ガヴ「ヴィーネ顔まっかっかだぞ」
ヴィーネ「おまえのせいだろ!」
ラフィエル「本当はどういったお話だったんですか?」
ガヴ「ヴィーネが男子と付き合ってる体での妄想が楽しいって話」
ラフィエル「それは楽しそうですね。ぜひ聞かせていただけませんか?」
ヴィーネ「おいやめろ」
ガヴ「じゃあラフィ、お前がヴィーネと恋人になった男子だとして話そう」
ラフィ「分かりました♪」
ヴィーネ「勝手になんか始まった!?」
ガヴ「タイトルは『ドキドキ☆初デートの待ち合わせ』だ」
ヴィーネ「しかもタイトルが妙に痛々しい!」
『ドキドキ☆初デートの待ち合わせ』
出演:月乃瀬=ヴィネット=エイプリル
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(30分以上前に着いちゃった。さすがに彼はまだ来てないみたいね)
ヴィーネ(いつもと髪型変えてきちゃったけど、変じゃないわよね?)
ヴィーネ(うん、変じゃない。はず。服もたぶん大丈夫。空色を基調に清楚なイメージで…)
ヴィーネ(ああでも、もっと明るめのほうがよかった? 地味な子って思われたりしたら……けど今から帰ったら間に合わないし)
トントン
ヴィーネ「ふわっ!?」ビクッ
ヴィーネ「ってなんだ…ラフィ夫くん」
ヴィーネ「だ、大丈夫。ちょっと考え事してただけ。私のほうこそごめんね、驚いたわよね」
ヴィーネ「うん? 時間?」
ヴィーネ「あーいいのいいの! 私も今来たばっかりだし」
ヴィーネ「っていうか早く来すぎちゃったのよね。なんか家にいても落ち着かなくて」
ヴィーネ「ほら、私……」
ヴィーネ「今日が…その…初めてだから…」
ヴィーネ「え?」
ヴィーネ「な、何って……えー?」
ヴィーネ「だから……………………デ、デートとか…」
ヴィーネ「~~~~っ!!」
ヴィーネ「いいからもう! 行こっ!」
ヴィーネ「ってなに? どうかした?」
ヴィーネ(そんなジッと見て……もしかしてこの格好、変かな…)
ヴィーネ「っ!?」ビクッ
ヴィーネ(なになに!? 急に手伸ばしてきて)
ヴィーネ「……へ? あ、襟が少しよれてたのね。ありがとう」
ヴィーネ「よかった。私あんまり流行とか分かんないから……変に思われちゃったかなって」
ヴィーネ「えっ……か、可愛い?」
ヴィーネ「髪型も好み? ほんとに!?」
ヴィーネ「へー、そっか……へー」
ヴィーネ(えへへ、嬉しいな)
ギュッ
ヴィーネ「!?」
ヴィーネ(そんな、い、いきなり手をにぎって歩くの~~!?)
ヴィーネ「う、ううん………イヤじゃない…」
ヴィーネ(イヤじゃないけど、恥ずかしすぎて死にそう……!!)ドキドキ
ガヴ「果たして今日一日心臓はもつのだろうか。未だかつてない高揚を必死で抑えつつ、ヴィーネは彼と駅の改札へと歩き始めたーーー」
ラフィ「尊い……!」
ヴィーネ「……」ドキドキ
ヴィーネ「ってなによこれ!? てかラフィ夫って…」
ガヴ「つづく」
ヴィーネ「続いてたまるか!!」
ラフィ「はあぁ~。ヴィーネさん、初々しくて良いですね」
ガヴ「萌えるだろ?」
ヴィーネ「こんなの私とは認めない。断じてこんなキャラじゃない」
ガヴ「そう? わりとこんな感じになるくね?」
ラフィ「私もそう思います」
ヴィーネ「うそぉ!?」
ガヴ「だってヴィーネって男慣れしてなさそうだし」
ラフィ「それにヴィーネさんは優しいですから、相手方のためにいろいろ考えてしまいそうですよね」
ガヴ「そうそう。自分だって初めてで手一杯なのに、気遣わなきゃって張り詰めすぎてドツボにはまりそう」
ヴィーネ「勝手に想像膨らませるな!」
ヴィーネ(……でもあながち間違ってないかもしれない)
ラフィ「でもガヴちゃん、ヴィーネさんには別の良さもあると思いませんか?」
ガヴ「って言うと?」
ラフィ「それはずばり、母性です!」
ヴィーネ「ぼ、母性?」
ラフィ「もちろんうぶなヴィーネさんも可愛いんですけどね」
ガヴ「母性か…たしかにヴィーネのおせっ面倒見の良さは天下一品だしな」
ヴィーネ「ガヴ? 切れ目なく言い直したけどいま絶対お節介って言おうとしたわよね?」
ガヴ「よーしじゃあ妄想パート2といこうか」
ヴィーネ「ちょっこら無視すんな!」
ガヴ「ラフィ、なんかタイトル!」
ラフィ「それでは『ダメ夫な彼氏としっかり者のヴィーネちゃん』で」
ヴィーネ「また変なの始まった!!」
『ダメ夫な彼氏としっかり者のヴィーネちゃん』
出演:月乃瀬=ヴィネット=エイプリル
ヴィーネ「おーい」ユサユサ
ヴィーネ「起きろーー」ユサユサ
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(もー、休日だからって寝坊助なんだから)
ヴィーネ「……」スゥー
ヴィーネ「起ーきーなーさーーーいっ!!!」
ヴィーネ「目さめたかしら?」
ヴィーネ「ほら、朝ごはん出来てるから早く顔洗ってきてね。言っとくけど二度寝なんかしたら……」
ヴィーネ「って言ってるそばから寝るなっっ!!」バサッ!!
ヴィーネ「寒い~~じゃない! とっとと起きる!」
ヴィーネ「はあ……ほんとしょうがないわね」
ヴィーネ「まったく。ガヴ夫くん、一緒に暮らす前はこんな人じゃないと思ってたのに」ブツブツ
ヴィーネ「……ん? なに?」
ヴィーネ「はあ? おはようのキ…っ……て何言ってるのよ!?」
ヴィーネ「えー? ええー…?」
ヴィーネ「そりゃ誰も見てないけど……」
ヴィーネ「えー……ううーん」
ヴィーネ「じゃあ、したらすぐ起きて支度してくれr」
ヴィーネ「返事早っ!? そんなにしたいの!?」
ヴィーネ「わ、分かったから! ちょっと待って!」
ヴィーネ「……」スーー ハーー
ヴィーネ「じゃ、じゃあ、目つぶって?」
ヴィーネ「ん…」
ヴィーネ「~~! はい終わり! これでいいでしょ!」
ヴィーネ「へっ? もう一回!?」
ヴィーネ「ダメダメ! ダメ! あ、朝ごはん冷めちゃうから!」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「………あとでなら………ね?」
朝ごはん後
ヴィーネ「ん。お粗末さま」
ヴィーネ「じゃあ私はお皿洗う……えっ? 今!?」
ヴィーネ「確かに後でとは言ったけど、がっつきすぎじゃない!?」
ヴィーネ「そんな露骨にがっかりされても……」
ヴィーネ「はあ。分かった。お皿洗ってからね? ソファで待ってて」
ヴィーネ(まだ恥ずかしいんだから…私の気持ちも考えてほしいわよね)
ザブザブ
ヴィーネ「お、お待たせ~」
ヴィーネ(……ってあれ、また寝ちゃってるじゃない)
ヴィーネ(食っちゃ寝とは良い御身分ね。そんなんじゃいつか牛になるわよ?)
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(でも、寝顔は可愛いのよね)ツンツン
ヴィーネ「ふふっ」
ヴィーネ「……」チュ
ヴィーネ(30分だけ、だからね♪)
ガヴ「ーーーそれから彼が目覚めるまで、ヴィーネは頭を優しく撫でてやるのであった」
ヴィーネ「うわああああ! うわああああああ!!」
ガヴ「こんな感じ?」
ラフィ「素晴らしいですね」
ヴィーネ「ないないないない! ありえないから! ってかどっ、どど同棲しちゃってるじゃない!」
ガヴ「そりゃまあ手っ取り早く世話焼きするっつったらねえ?」
ラフィ「母性というより、ヴィーネさんの愛を感じましたね」
ヴィーネ「やめてよ! ううう、何もしてないのに恥ずかしい……」
サターニャ「はー、なんかこの階のトイレが故障してて下の階まで行かされたわ」
ラフィ「サターニャさん! 良いところに」
サターニャ「へ? なに、どしたの?」
いつのまにかラフィエルがラフィになってたけどこのままいきやす
ラフィ「サターニャさん、ヴィーネさんが男性と付き合っていたらどんな風になると思いますか?」
サターニャ「えええええ!? ヴィ、ヴィネット……アンタまさか……」
ヴィーネ「ちっ、違うわよ! ガヴとラフィが勝手に変な妄想してるだけ!」
サターニャ「なあーんだ、悪魔ともあろう者が下界のオスごときに開通工事済まされたのかと思ったじゃない」
ラフィ「サターニャさん…?」
ガヴ(悪魔だからなのかサターニャだけなのか、男女交際に関して認識の偏りがあるな)
ヴィーネ「え? どういうこと?」
ガヴ「よかったサターニャだけか。ヴィーネはぜひそのままでいてくれ」
サターニャ「な、なによ? 私なんか変なこと言った?」
ガヴ「とりあえずだ、ヴィーネに仲の良い男子がいたとして、そいつにどう接するかってことを考えて時間を潰してるんだよ」
ヴィーネ「今すぐやめて欲しいんだけど」
サターニャ「ふーん。なんかよく分からないわね」
ラフィ「サターニャさんだったらどうしますか?」
サターニャ「私? そうね~」
サターニャ「相手が人間ってことなら、徹底的に支配して、恐怖を与えてやるわ!」
ヴィーネ「それってどうなの…?」
ラフィ「悪魔らしいというか、サターニャさんらしいですね」
ガヴ「支配……恐怖………なるほど、アリだな」
サターニャ「あらガヴリール、話が分かるじゃない」
ラフィ「どうするんですか?」
ガヴ「ちょっくら言葉を変換して試してみる」
ヴィーネ「えっ」
ガヴ「えーっと、じゃあタイトルは『病的束縛彼女・ヴィーネさん』で」
ヴィーネ「どう考えてもまともじゃないやつよね!?」
『病的束縛彼女・ヴィーネさん』
出演:月乃瀬=ヴィネット=エイプリル
ヴィーネ「ごめん! 待たせたわね」
ヴィーネ「あなたに会う服を選んでたらギリギリまで悩んじゃって。どうかしら?」
ヴィーネ「ふふっ、褒めすぎよ。でもありがとう」
ヴィーネ「それじゃあ………」
ヴィーネ「あ、ちょっと待ってね」
ヴィーネ「すんすん、すんすんすんすん」
ヴィーネ「うん、他の女のニオイはしないっと」
ヴィーネ「じゃあ行きましょ。まずは新しくできたカフェね♪」
店員「ご注文は以上ですね。少々お待ちくださいませ」
ヴィーネ「ここのタルト、すごく評判がいいのよ。移転前の店舗では毎日行列ができてたって」
ヴィーネ「コーヒーにすごく合うって話なの。楽しみね」
ヴィーネ「………で?」
ヴィーネ「『2.7秒』なんだけど」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「何がって、決まってるでしょ? あなたがさっきの店員に視線を向けていた合計時間」
ヴィーネ「ねえ、何を見てたの? チラチラと3回も黒目が動いてたわよ」
ヴィーネ「そういえば、大きかったわねーさっきの店員。胸のあたりがとてもとても」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「ふふ。怒るって、誰が? 私が? どうして?」
ヴィーネ「別に怒ったりしないから、正直に言っていいのよ? なんであの店員を2.7秒も見つめていたのかしら?」
ヴィーネ「ふふ、ふふふふ…? うん、やっぱり胸?」
ザンッ!!!
ヴィーネ「あら、勝手にフォークが飛んでいったわ」
ヴィーネ「すごく美味しかった。ごめんね払ってもらって」
ヴィーネ「そんな、愛してるから当然だなんて……もう、本当のことだからっていちいち言わなくてもいいのに!」
ヴィーネ「じゃあ次は……ん?」
ヴィーネ(なんか道路の向こうで手を振ってる人が……しかもサタ夫くんに)
ヴィーネ(会釈したってことは、知り合いなのかしら)
ヴィーネ「ね、今の子………誰?」
ヴィーネ「ただの知り合い? ふうん…」
ヴィーネ「それにしてはずいぶん仲良いんじゃない? ただの知り合いならあんな遠くから挨拶しないわよね?」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「小学校からの幼なじみ? へー、そうなんだ。なんでウソついたの?」
ヴィーネ「ううん。別に謝らなくていいのよ、あなたが他の女を異性として意識してないなんて分かってるし」
ヴィーネ「あっ、私ちょっとお花を摘みに行ってくるから、ここで待っててね」
ヴィーネ「お待たせっ」
ヴィーネ「ちょっとお手洗い遠くて、時間かかっちゃった」
ヴィーネ「え? なんか変なにおいって……ちょっと、女の子にそういうこと言わないでよ!」
ヴィーネ「うん? 鉄っぽい……?」
ヴィーネ「さあ、私には分からないけど」
ヴィーネ「このモリも最初から持ってたわよ。忘れちゃった?」
ヴィーネ「もー、デート中に他の女を気にするなんてマイナスなんだから」
ヴィーネ「……どうしたの? そんな不安そうな顔して」
ヴィーネ「ふふっ、大丈夫よ」
ヴィーネ「どんな敵からも、私があなたを守ってあげるから♪」
ヴィーネ「そんなことよりほら、早く次行きましょ!」
ヴィーネ「うふふ、うふふふふ」
ガヴ「なお、その後彼が幼なじみに会うことは無かったというーーー」
ヴィーネ「」
ラフィ「これはなかなか…」ゴクリ
サターニャ「なんで? 事故にでもあったの?」
ラフィ「サターニャさんにはあとでゆっくり教えてあげますね」
ヴィーネ「どんどん現実の私から離れて行くんだけど…」
ガヴ「ぶっちゃけこれが一番ありえそうだと思うのは私だけ?」
ヴィーネ「ありえるわけあるかっ!」
ガヴ「って言うじゃん。でもヴィーネみたいな真面目キャラに限って実はヤンデレとか変態だったりする事例が統計的に多いのも事実なんだよ」
ヴィーネ「そ、そうなの……!?」
ラフィ「ヴィーネさん、おそらくガヴちゃんが見ている一部ネット上の話だと思いますよ」
ガヴ「ともあれ、いろんなヴィーネが妄想できて結構楽しめたな」
ラフィ「そうですね~」
ヴィーネ「こっちは精神的にどっと疲れたわよ…」
サターニャ「私まだ全然聞いてないんだけど」
ガヴ「家でやってたときは他にもあったよ」
サターニャ「例えばどんな?」
ガヴ「普段はツンツンしてるのに二人きりのとき限定でめちゃくちゃ甘えたなヴィーネ」
ヴィーネ「はあっ!?」
ガヴ「テスト前日に勉強を教えにきたけど両親が旅行でいなくて急遽泊まり込みになって焦りまくるヴィーネ」
ヴィーネ「ええっ!? ちょっ…」
ガヴ「最高に捗ったのは、結婚前夜まで取っておいたヴァージンをついに失わんとして部屋でひとりシャワーを待っ」
ヴィーネ「だあああああもうやめろーー!!!」
ラフィ「ガヴちゃん、後ほどくわしく」
ヴィーネ「話さなくていいから!!」
ヴィーネ「まったく……ガヴ、そんなアホなことに時間割いてないでもっと為になることしなさいよ」
ガヴ「そうは言うけどさ、こういうシミュレーションも案外大事なんじゃね? もしかしたらってこともあるし」
ヴィーネ「も、もしかしたらって……?」
ラフィ「ヴィーネさんが本当にどなたかとお付き合いをする、ということでしょうか?」
サターニャ「開通!?」
ラフィ「サターニャさん後で二人きりでお話があります」
ガヴ「だってあくまでも悪魔ではあるけどJKなわけでしょ?」
ガヴ「黙ってても共学の高校だし、ヴィーネは可愛いから急に告られる可能性だってあるだろうし」
ヴィーネ「か、可愛いってガヴ、そんな……うー…」
ラフィ(やはり初々しいヴィーネさん美味しいですね)
ガヴ「ヴィーネは全く興味ないの?」
ヴィーネ「興味って言われても……そんなこと考えたことも無かったし、そもそも私は悪魔の修行として来てるわけだし…」
ガヴ「でも、わざわざ人間的には青春真っ只中の年齢で送り込まれてるって所に何らかの意味があると私は思うんだよ」
ヴィーネ「へ? どういうこと?」
ガヴ「青春には愛憎がつきものだし、そういうのって、天使や悪魔にも深く関係してる気がしてさ」
ガヴ「つまり、愛だ恋だ、憎しみだ怒りだっていう多様な経験を通して学べることもあるんじゃないかって」
ヴィーネ「ガヴ…」
ガヴ「ヴィーネだってなにも悪いことだけして過ごしたくないだろ?」
ヴィーネ「うっ、それはまあ…」
ガヴ「それよりもさ、人間として、ふつうの女の子として、この世界の青春に……恋愛に飛び込んでみるのもアリかなと私は思うんだよ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴ(我ながらよくこんな口八丁に喋れるもんだわ)
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(思わず『アホなこと』なんて言っちゃったけど、ガヴはそこまで考えていたのね)
ヴィーネ(むしろ考えていなかったのは私の方……)
ヴィーネ(そっか。悪魔だからって人に悪いことをするのだけが勉強じゃないんだ)
ラフィ(↑とか、ヴィーネさんなら思ってそうですね~)
ヴィーネ「……うん、そうね!」
ヴィーネ「ガヴ、私興味出てきたわ! 今は何も分からないけど、がんばって恋愛のことも勉強する!」
ガヴ「そう言ってもらえてよかったよ」
ガヴ(チョロインも向いてるなぁヴィーネは)
ヴィーネ「……とは言ったものの、どうやって恋愛なんて勉強するのかしら」
ガヴ「さあ? やっほー知恵袋じゃね?」
ラフィ「とてもよくないと思います」
ガヴ「ってのは冗談で、そんなのは実際に経験してナンボだろ」
ヴィーネ「ええ!? 経験って……まだ、す、好きな人とかも居ないのに…」
ガヴ「いいんだよ誰でも。まずはデートとかしなきゃ話になんないし、適当にその辺のやつと付き合ってみよう(適当)」
ヴィーネ「そんなのでいいの!?」
ガヴ「まあ決めるのはヴィーネだけどね。それに付き合ってるうちに良い所が分かって、本当に好きになるってパターンもあるし」
ラフィ「詳しいですねガヴちゃん」
ヴィーネ「もしかしてガヴ、そういう経験あったり…?」
ガヴ「まあ一応ね」
ヴィーネ「そ、そうなんだ…!」
ガヴ(ゲームで)
ラフィ(ゲームですね)
ヴィーネ(ガヴもそうしてるなら……私も挑戦してもいいのかな)
ガヴ「で、どうするヴィーネ?」
ヴィーネ「うー、でもやっぱり恥ずかしいような」
ヴィーネ「それに男の人なんてほとんど話したこともないし、そもそも私なんかが告白しても迷惑なんじゃないかって思うと…」
ガヴ「ヴィーネなら大丈夫だって! 私が保証するよ」
ヴィーネ「本当に…?」
ガヴ「ああ。善は急げだ、早速やろう今やろう」
ヴィーネ「ええっ!? 今から!?」
ガヴ「えーと、どいつがいいかな……」キョロキョロ
ヴィーネ「ちょっ…ガヴ!?」
ガヴ「よし決めた」
ガヴ「ヴィーネ、あいつだ」
ヴィーネ「ほ、本当に今するの?」
ガヴ「もちろん。なあにヴィーネはただ一言…」
ヴィーネ「うん」
ガヴ「ーーーって言えばいい」
ヴィーネ「うっ……そんなこと言って引かれたりしないかしら」
ガヴ「心配すんな。絶対うまくいく」
ヴィーネ「……分かったわ。ガヴを信じる」
ガヴ「ああ。見守ってる」
ヴィーネ「ちょっとだけ心の準備を……」
ガヴ「いやいや必要ない。相手も準備してないから」
ヴィーネ「えっ!? ちょっとガヴ、待っ」
ガヴ「行ってこい」
トンッ
ヴィーネ「わわっ!?」
ラフィ「ヴィーネさん、大丈夫ですかね」
ガヴ「うーん…」
ガヴ(やっぱちょっと無理矢理すぎたかな)
ガヴ「まあ、たぶん大丈夫だと思う」
ラフィ「そうなんですか?」
ガヴ「なんせ男のほうはさっきからこっちのほうずっと見てきてるやつだし」
ラフィ「ああー、あの方ですね。私も視線は気になっていました」
ガヴ「まったくだ。バレてないとでも思ってんのかね」
ガヴ「……」
ガヴ「おまえだぞ m9( °д° ) 」
ヴィーネ「ご、ごめんね? なんか急に」
ヴィーネ「全然話したこともないのに、いきなり厚かましいかなとも思うんだけど」
ヴィーネ「ええと……お願いというかなんというか……」
ヴィーネ「もし、もしよかったらー………なんだけど」
ヴィーネ「わ、私をっ」
ヴィーネ「もらって…くれませんか………?」
おわり
ハッピーかバッドかはお任せします
サターニャ「オチが無いのを有耶無耶にする…まさに悪魔的行為!」ビシッ
ラフィ「やめてください」
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