凛「顔文字?」
ありす「メールとかLINEとかでです。少なくとも、私とやり取りしているときは使っていた記憶がありません」
凛「うーん……まあ、積極的に使うことはそんなにないかな」
凛「でもどうして急に? 顔文字使わないのはありすも同じでしょ」
ありす「はい。ですから、たまには使ってみようかなと思ったんですけど……使いどころがわからなくて、誰かを参考にしようかと」
凛「ふーん。それで私に聞いたんだ」
ありす「そういうことです。ネットで調べてもいまいち要領がつかめなくて」
凛「確かに、ひとつのページにいろんなことが載りすぎていてわかりにくいかも」
ありす「凛さん、調べたことがあるんですか?」
凛「ちょっとだけ。未央や卯月に『使ってみたら?』って言われて」
凛「結局使い方をマスターできなかったから、今も使ってないんだけどね」
ありす「そんなことが……」
凛「………」
凛「せっかくだから、ふたりで練習してみる?」
ありす「いいんですか?」
凛「暇だし、できないままなのもすっきりしない気がしてきたから」
ありす「じゃあ、お願いします」
凛「じゃあ、LINEのトークで」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495980484
『凛さん、こんにちは』
『こんにちは』
『今回のトークの目的は、お互いに不慣れな顔文字やスタンプを使う練習をすること。お間違いないでしょうか』
『あってるよ』
『わかりました。では早速始めましょう』
『了解』
凛「………」
ありす「………」
凛「………」
ありす「………」
ありす「あの。なにもしないままだとトークが進まないんですけど」
凛「ありすこそ、先に打ってもいいんだよ」
ありす「凛さんは先輩なので、お先にどうぞ」
凛「………」ポチポチ
『(*^○^*)』
ありす「なんですかこの顔文字」
凛「なんだか元気そうだったから」
ありす「はあ」
凛「ところでありす、LINEでの文章がすごく硬いというか真面目というか、そんな気がするんだけど」
ありす「そうですか?」
凛「なんだか業務連絡みたい」
ありす「そこまで硬いでしょうか……」
凛「うん、まるでプロデューサーが上司の人にメールで送るような……あ」
凛「だからか」
ありす「え?」
凛「プロデューサーがそうしてるから、ありすもそうしてるのかなって」
ありす「べ、べつにそういうわけでは……ちょっと待ってください。どうしてにやにやしているんですか」
凛「関係ないけど、好きな人のやることって、真似したくなるらしいね」
ありす「明らかに関係あると思っている口ぶりです! 本当にそういうのではないですからねっ」
ガチャリ
泉「おはようございます………なにしてるの?」
凛「ありすの――」
ありす「顔文字を使う練習です!」
泉「顔文字? メールとかで?」
凛「うん。私もありすも慣れてないから、練習してみようってことになったんだ」
ありす「泉さんは……泉さんも、使わなさそうですね」
泉「使うよ?」
ありす・凛「えっ」
泉「そんなに驚くようなことでもないような……頻繁にってわけじゃないけど、流れでスタンプとかそのあたりを入力するときはあるし」
泉「さくらとかには負けますけどね」
凛「さくらは確かにいっぱい使いそうだよね」
泉「そういうイメージの話だったら、私はそれこそ、凛さんはメールとかLINEとかすごく慣れていそうな人だと思ってましたよ」
凛「え?」
泉「あ、今じゃなくて出会った当初の話ですけど。携帯で文字を打つのがすごく速そうな人だなと」
ありす「それはなんとなくわかります」
凛「どうして」
泉「………見た目?」
ありす「見た目ですね。一般的な女子高生のイメージそのままでしたから」
凛「実際は若干機械音痴でした、と」フフッ
ありす「話を戻しますけど。泉さんが顔文字に慣れているなら、私と凛さんの先生になってもらえばいいのかもしれません」
泉「うーん。でも、私も人にやり方をレクチャーできるほどではないし……あ、そうだ」
ありす「どうかしましたか」
泉「ちょうどいい先生がいたのを思い出したわ」
凛「先生? さくらとか?」
泉「いえ、さくらは今お仕事で事務所にいないので……ほら、あそこにいます」
ありす「あそこ……?」
雪美「………?」←読書中
雪美「………」シュバババ
凛「す、すごい……」
ありす「あらゆるメッセージの返信にスタンプで返答しています……しかも、ほぼすべて猫のスタンプで」
泉「猫のスタンプだけコレクトしてるらしいわ」
ありす「雪美さん。私達にそれの使い方をレクチャーしてもらえないでしょうか」
雪美「……任せて……」フンス
※その後、事務所で一時期猫のスタンプがやたらと流行した
後日
ありす「猫のスタンプの使い方だけはマスターしたけど、もう少しバリエーションがほしいな……」
ありす「また誰かに教えてもらう……でも、いつも誰かに頼ってばかりなのもよくないかな」
ありす「基本は学べた気がするし、またインターネットでいろいろ調べて」
さくら「あっりすちゃぁん♪」
ありす「わわっ」
さくら「おはよう! ありすちゃん!」
亜子「おはようさん!」
ありす「さくらさんに亜子さんでしたか。おはようございます」
さくら「いきなり声かけたからびっくりさせちゃった? ごめんね」
ありす「いえ、少し驚いただけなので」
亜子「それよりありすちゃん、顔文字の使い方で悩んでるんやって? いずみから聞いたけど」
ありす「あ、はい」
さくら「よかったらわたしたちがれくちゃーしてあげようか?」
ありす「でも、この前泉さんに相談したばかりですし」
亜子「ええってええって! 今日はいずみも撮影で一日おらんし、今度はアタシとさくらが手取り足取り教えてあげる!」
さくら「うんうん! わたし、こう見えてもスマホで文字を打つのはイズミンより速いんだからぁ」
ありす「えっ、そうなんですか?」
さくら「ふっふっふ」
亜子「いずみはどっちかというとパソコン派やからね。まあスマホも普通に使えるけど、さくらが早すぎなのよ」
ありす「初耳です。さくらさんにそんな特技があったとは」
さくら「やればできる子でぇす」
亜子「ちなみにアタシは電卓打ちなら負けへんで〜」
ありす「みなさん、得意なことが違うんですね」
さくら「うん♪ だからわたしは、イズミンもアコちゃんもすごいなあって思うんだ」
亜子「お互いがお互いを補うってヤツやね。だからありすちゃんも、苦手なことは素直に誰かに頼ってええんよ?」
ありす「………」
亜子「それにな、さくらにたまにはお姉ちゃんの役をさせたって?」(ボソボソ
さくら「にこにこ」←胸張ってる
ありす「……くすっ」
ありす「そうですね。お願いしてもいいですか」
亜子「もちろん!」
さくら「任せてくださぁい!」
さくら「あ、そうだアコちゃん。ついでにわたしの数学の宿題も」
亜子「それは自分でやって」
さくら「むぅー」プクー
亜子「この後のレッスン終わったらファミレスでもいこっか」
ありす「はい」
ファミレスにて
さくら「昨日のドラマおもしろかったねぇ」
亜子「あそこで恋人の腕をつかんで引き止めるシーンね!」
ありす「主役二人の演技の良さも際立っていましたね」
さくら「それだね♪」
亜子「ありすちゃん、結構役者の演技にこだわるタイプ? 下手なら文句言っちゃう感じの」
ありす「そうですね。アイドルになる前から、気にするほうではありました」
さくら「へぇ、そうなんだ」
ありす「でも、アイドルになってから演技の仕事もするようになって……現場の役者さんの大変さとか苦労とかがわかって。ただ文句を言うだけじゃなくて、その過程にあるものも考えるようになりました」
ありす「だから、まあ。ちょっとは建設的な意見が言えるようになったのかもしれませんね」
さくら「なんだかオトナだねぇ」
亜子「アタシら年上よ、さくら……ま、ありすちゃんがしっかり者なのは事実やけどね」
ありす「それほどでもないです」フフ
ありす(顔文字やスタンプの使い方とは関係ない話も多い気がするけど、ふたりとも話していて落ち着けるな……)
ありす(泉さんがいない時にはあまり話したことなかったけど………うん、楽しい)
その後
ありす「なんとなくですけど、顔文字の基本がわかった気がします」
ありす「ありがとうございました」
さくら「どういたしまして」
亜子「時間も時間やし、そろそろ出よっか」
ありす「ええと、伝票は」
亜子「あ、ええよええよ。アタシがおごるから」
ありす「えっ?」
亜子「これでも人生の先輩やからね。たまには年上らしいことさせてって」
ありす「あ、ありがとうございます……?」
亜子「なんかえらい驚いた顔してるね」
さくら「アコちゃん、守銭奴? のイメージがあるからじゃない?」
ありす「………」コクン
亜子「あー、なるほどね!それはアタシもわかるわ、うん。自覚あるし」
亜子「確かにお金は大事よ、大事。でも、アタシがお金を貯めるのは幸せのためやし」
亜子「だから、みんなで仲良くわいわいできるなら、後輩の食事代くらいはおごるよ〜」
ありす「………」
ありす「亜子さん、優しい人なんですね」
亜子「まーね! ていうか奢るっていってもファミレスやし!」
さくら「ゴチになりまぁす!」
亜子「あ、さくらはワリカンよ?」
さくら「なんで!?」
亜子「おーなーいーどーし」
さくら「今日のアコちゃんきびしい〜」
亜子「今日はありすちゃんを愛でる日かもねー」
さくら「わたしのポジションが!」
ありす「ぷっ………あははっ」
………
……
…
ありす「そんな感じで、慣れないながらも少しずつ顔文字とスタンプの技術が向上してきました」
P「そうか。ありすも頑張ってるんだな」
ありす「中途半端はイヤですから。やるなら完璧になるまでやります」
P「ありすらしいな」
ありす「はい」
ありす「というわけで、Pさんも手伝ってください」
P「俺もか?」
ありす「Pさんのせいで凛さんにあらぬ誤解をされてしまったので、責任をとってもらいます」
P「なんだそれ……まあ、いいけどな」
ありす「では、私とLINEで会話をしましょう」
P「それだけでいいのか」ポチポチ
ありす「はい」ポチポチ
『Pさん、こんにちは』
『こんにちは、ありす』
ありす「………」ポチポチ
P「………」
P「なあ、ありす。なんだこれ」
『♡』
ありす「絵文字に慣れないので打ち間違えました」
P「本当に?」
ありす「本当です。ただの打ち間違いなので、深い意味はないです」クスクス
P「なるほど」ポチポチ
『ありすはかわいいな』
ありす「!?」
P「すまない、打ち間違いだ。思ったことをそのまま打ってしまった」
ありす「……Pさんのいじわる。私ももっと打ち間違えてやりますから」
P「ははは」
ありす「………」ポチポチ
P「………」ポチポチ
ありす「………」ニコニコ
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
ありす復刻祝いで書いてたら自分がありすを引きたくなりました。NWとの絡みはなかなか面白そうだなと思ったりしました
シリーズ前作:渋谷凛「お内裏様と」 佐城雪美「お雛様……」
その他過去作
佐藤心「ネネちゃんさん☆」 栗原ネネ「な、なんですかその呼び方」
モバP「朋、俺の恋愛運を占ってくれないか」
などもよろしくお願いします
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