・ガルパことバンドリ!ガールズバンドパーティの氷川姉妹の二次創作SSです
・鬱っぽい表現があるかもしれません。注意。
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友希那「じゃあ今日の練習はここまで」
あこ「はぁ~、つかれた~」
燐子「あこちゃん頑張ってたもんね。お疲れ様」
紗夜「ごめんなさい、私がもう少しあのパートを上手く弾けていれば……」
友希那「そうね。正直に言ってあそこの完成度は高いとは言えないわ」
リサ「ちょっと友希那、そんな言い方……」
友希那「リサ。何度も言うように、私たちは頂点を目指しているの。妥協なんて許さない」
友希那「それに私は紗夜なら確実にもっと高いレベルの演奏が出来ると思ってる。だからこそ言っているのよ」
紗夜「ええ、湊さんの言う通り、こんなところで妥協をするわけにはいかないわ。次までにはもっと仕上げてきます」
友希那「それとリサだって、いえ、むしろリサの方がミスは多かったわ。特にサビに入るときの……」
リサ「やば、スイッチ入った! 逃げるよあこ、燐子!」
友希那「ちょっとあなた達! もう……」
友希那「それじゃ紗夜、また今度ね」
紗夜「ええ。さようなら湊さん」
紗夜「ただいま」
日菜「おかえりおねーちゃん! 最近帰ってくるの遅いね。お母さん達も心配してたよ?」
紗夜「最近Roseliaの活動で少し忙しいのよ。日菜こそPastel*Palettesの方は大丈夫なわけ?」
日菜「あはは。あれくらいだったらちょっと譜面見て2、3回ぎゅいーんってやれば全然へーきだって」
紗夜「……そう。そうだったわね。貴女は、昔から」
日菜「おねーちゃん?」
紗夜「なんでもないわ。部屋に戻るから、勝手に入らないように」
紗夜(あんなこと、聞いた私が馬鹿だった)
紗夜(どうせいつも通り、嫌な思いをするだけだって言うのに)
紗夜「……さて。家じゃロクに練習もできないし、スコアの見直しでもしようかしら」
紗夜「ここは特にコードに注意、ここに緩急をつけて、ここで指の動きを早く……」
『あはは。あれくらいだったらちょっと譜面見て2、3回ぎゅいーんってやれば全然へーきだって』
紗夜「――!!」バンッ
ガチャッ
日菜「おねーちゃん……? なんか凄い音したけど大丈夫……?」
紗夜「ええ、ごめんなさい、ちょっと物を落としただけだから……。それはそうと、勝手に入ってこないでって言ったでしょう?」
日菜「あ、うん、ごめんね……。それじゃあおやすみ、おねーちゃん」バタン
紗夜「――はぁ、はぁ……。大丈夫。私は私。日菜は日菜なんだから……」
期待してる、支援
http://i.imgur.com/ELhIRKM.jpg
お姉ちゃん大好き努力知らずの天才、
アイドルバンド・Pastel*Palettesのギタリスト、
氷川日菜(奥)
その努力のことごとくを才能で凌駕され続ける複雑な心境の姉、
本格派バンド・Roseliaのギタリスト、
氷川紗夜(手前)
紗夜「――ッ!」ギュイイィィィン
友希那「ストップ。どうしてもここが上手く揃わないわね」
紗夜「ごめんなさい……。何度やっても納得いく形に行かなくて」
リサ「確かにここは相当難しそうだもんねー。アタシだったら譜面みただけでギブアップだわ」
あこ「紗夜さん疲れてるんじゃないですか? 休憩の時間もほとんどとってなかったし」
燐子「休むのも……大事な事だと思います……」
リサ「なんにしてもそろそろ時間だしさ、今日はこの辺にしとこうよ」
紗夜「……いえ。私はもう少し練習していきます」
友希那「紗夜。燐子の言う通り、休むのも練習のうちよ。体を壊してしまっては元も子もないわ」
紗夜「わかっています。だけどもう少し……もう少しで掴めそうなの。今日だけはやらせて頂戴」
友希那「……わかったわ。でも根を詰めすぎないように。いいわね?」
紗夜「ええ。……ありがとう」
紗夜「――結局、こんな時間まで練習しても納得のいく出来にならなかったわ……」
紗夜(格段に良くはなっている。でもこのレベルでは足りない。私は、Roseliaは、頂点を目指してるのだから)
紗夜(どうしても、見えない壁のような物を乗り越えられない。そのための方法も、ただ練習を重ねることしか思い浮かばない)
紗夜(でも私にはこれしか……)
紗夜「はあ……。なんで出来ないのかしら……」
ガチャ
紗夜「ただいま」
日菜「あ、おかえりおねーちゃん! こんなに遅くなるなんて心配しちゃったよー」
>>6
気づかなかった…解説まで含め、支援ありがとうございます
紗夜「日菜……貴女こそ、明日早いんじゃなかったかしら。もうそろそろ日付も変わる頃よ」
日菜「うん、まあちょっと忙しくって。おねーちゃんはこんな時間まで練習?」
紗夜「……ええ」
日菜「ふーん。そっか。大変だね」
『そこまで練習してもできないんだ』
紗夜「――いえ、別に、どうということはないわ」
日菜「ほんとに? 私だったら絶対無理だよー」
『そんなになるまで努力とかしたことないし、する必要もないし』
紗夜「――――そう。じゃあ、私、部屋に戻るから」
紗夜(わかってる。あれは私の勝手な思い込み。日菜にそんなつもりはないってことくらい)
紗夜(わかってる、けど……)
紗夜「落ち着かなきゃ……」
紗夜「…………」
紗夜(静かになると、またあの幻聴が聞こえてくる気がする……)
紗夜「……少し、ラジオでも聴こうかしら」
「さあー、それでは今日のゲストは話題沸騰中! Pastel*Palettesの氷川日菜ちゃんです!」
紗夜「!」
「日菜ちゃんといえばかわいいだけじゃなく、個性的でハイレベルなギターのパフォーマンスも魅力的ですが、普段どれくらい練習してるんでしょうか?」
「えー、全然ですよー? あれくらいだったらぱーっとやってぎゅいーんってしてから、るるるんってくる感じにやってれば、誰でも出来ちゃいますよー!」
「うーん……つまりそんなに練習はしていない、と。いやーまさに才能ですね! 噂によると、楽譜なんかもあっという間に覚えてしまうとか」
「そうですねー。大体1回見たら覚えちゃうかなぁ。まあ興味ないものとかは全然覚えらんないんですけどー。あ、でも」プツッ
紗夜「あぁもうなんなのよ……!」
紗夜「誰でも出来る、なんていつもみたいに簡単に言って……! 私が、どれだけ……ッ!」
ガチャッ
日菜「おねーちゃーん!! は」
紗夜「――もういい加減にしてッ!!」
日菜「!」ビクッ
紗夜「いきなり人の部屋に入ってきて煩くして、今何時だと思ってるの?!」
日菜「ご、ごめんなさい……、あの、でもね」
紗夜「大体何度言ったら勝手に入ってこないでっていうのが分かるの?! なんでも覚えられるんじゃなかったの?!」
日菜「えっと、それは、その……ごめんなさい……」
紗夜「……ああ、そういうこと。興味がないことは覚えられないんだったわね。つまり私の言うことになんか興味ないってわけ」
日菜「違っ」
紗夜「ええ良いわよ。私も貴女になんか興味ないから。用がないならさっさと出て行って」
日菜「あ、うぅ……でも……」
紗夜「出て行って」
日菜「はい……」
日菜「あの、おねーちゃん……?」
紗夜「……何?」
日菜「ごめんなさい……。その、次から絶対、ちゃんとノックするね……。おやすみなさい」
バタン
紗夜「……」
通学路
紗夜「はぁ……」
紗夜(流石に昨日は言いすぎたわ……)
紗夜(せめて話くらい聞いてあげるべきだったかしら……)
紗夜「なんで私はこうなのかしら……」
紗夜「顔を合わせにくいわね……」
紗夜「……帰ったらちゃんと謝りましょう……」
燐子「氷川さん。おはようございます」
紗夜「あら、白金さん。おはよう」
燐子「朝から大分疲れた顔してますけど……昨日、よっぽど遅くまで練習してたんですか?」
紗夜「そういうわけじゃ……いえ、それもあるのだけど、まあ色々と」
燐子「色々ですか……?」
紗夜「ええ。心配しないで。学業には支障はきたしませんから」
燐子「そう、ですか……。あ、そうだ。これ……どうぞ。おめでとうございます」
紗夜「? 何かしら、これは」
燐子「クッキー、焼いてみました。今日……お誕生日だって聞いたから……」
紗夜「誕生日……?」
紗夜(そういえば今日は3月20日だったわね……)
紗夜(日菜へのプレゼント……昨日のお詫びじゃないけど、今日はいつもより良い物を買っていってあげないとね)
紗夜(それともどこか外食にでも連れてってあげるのもいいかしら?)
燐子「氷川さん……? もしかして……私、間違ってました……?」
紗夜「ああ、いえ、すいません。今日が誕生日だとすっかり忘れていて。ありがとう、白金さん」
燐子「ふふっ……自分の誕生日を忘れる、って、なんか氷川さんらしいですね」
紗夜「そう、でしょうか? というか、それは褒められているのかしら……?」
燐子「どっちでしょう?」
紗夜「白金さん……?」
燐子「あぁっ、す、すいません……」
紗夜「……ふふ。ありがとう、白金さん。おかげで少し気が楽になったわ。クッキー、あとで頂くわね」
燐子「いえ、そんな……。あ、それじゃあ、教室に行きますね。また」
紗夜「ええ。また」
紗夜(プレゼントを選んでいたら結構遅くなってしまったわ……)
紗夜(まあその分良い物が見つかってよかったわ。あの子は喜んでくれるかしら)
紗夜「……その前に、まず許してくれるかどうかよね」
ガチャ
紗夜「ただいま」
紗夜(……返事がないわね)
紗夜(靴もないし、まだ誰も帰っていないみたい)
紗夜(今頃Pastel*Palettesのメンバーの子達にお祝いでもしてもらってるのかしらね)
紗夜「……静かね」
紗夜「…………」
紗夜「……ここで立っていても仕方ないわね。部屋に戻りましょう」
プルルルルルルル
紗夜「電話?」
プルルルル ガチャ
紗夜「はい、氷川ですが」
紗夜「――――え?」
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