ハリーポッターと機関銃 (21)

ハリポタの世界で現代兵器がどこまで通用するかを書いたssです

オリキャラや設定を多数含みますので苦手な方は避けてください



では

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495416980

ヴォルデモートによる支配の終わったその年
ホグワーツ魔法魔術学校の一室で預言者はひとつの予言をしていた


『闇の帝王の復活と共に更なる闇がこの世を覆う。災いを引き起こす源は我々とは相違する英知とそれをもたらす者にある。しかし、引き起こすのは災いのみならず。闇を払う力も同時に教示する存在と彼はなるであろう』




???「ハァ………ハァ………」


暗闇を一人の男が走る

その男を追うようにしてもう一人の男が後を追っていた

追っているほうの男は“義眼”である


義眼の男「“インカーセラス 縛れ”」

???「うあっ」


どこからともなく現れた縄が逃げていた男を縛り上げる

縛り上げられた男はどうっと地面に倒れこんだ


義眼の男「観念しろ。お前らが崇めていた闇の帝王はたった1歳の赤子に倒さた。お前の戦う理由はもうない」

???「そのことは………すでに知っている。いや、そうなる運命にあることも知っていた」

義眼の男「何?」

???「闇の帝王はこの世から消えたわけではない。まだかろうじで生きている。まあ、あの状態で生きていると表現するのはどうかとも思うが………」

義眼の男「生きている……だと?戯言を」

???「近い将来、あの方は復活する。これは規定事項だ。故にその時まで私は死ぬことが出来ない。その点、アズカバンの中は安全……とも言える」

義眼の男「お前は………」

???「そうだ。私はアズカバンに行くことを望んでいた。あそこまで私の命を狙いに来る人間は存在しないからな」

義眼の男「血迷ったか貴様」

???「私は至って正常だよアラスター。お前も時が来れば分かるようになるさ。魔法界全体に及ぶ災いが何なのかを………」

Case00 ・The Boy who Lived

1992年8月

クウェート



周囲に生きている人間はもう存在していなかった

立ち上る煙の合間に見え隠れするのは良く知る人間たちの亡骸だ


ーすべてを破壊された

街も

生活も………



がれきの山に一人生き残った俺自身の命も風前の灯火


迫ってくるイラク軍の足音がまるで死へのカウントダウンだった


手に持つ小銃の握把を握る手に力が入る


ー俺たちの生活に土足で入り込んで全てを踏みにじった連中に一矢報いてやる


既に何百の人間をこの手で葬り、そして多くの仲間を失った

この世に未練は無い

望みはただ一つ



この理不尽に抗って死ぬこと!!!!



身を潜めていた瓦礫から飛び出し、ここへ向かってきていた敵兵士へ銃口を向ける



突然飛び出してきた少年兵に驚いた様子の十数名の敵兵士は急いで持っていた銃を構え、迎撃しようとした

「うらあああああああああああああああ!!!!!!!」

感情に任せて引き金を引く

同時に敵兵士たちも一斉に引き金を引いた



交差する無数の銃弾

自分に向かってくるそれらの銃弾が最後の記憶になる




はずだった




死を覚悟して目をつむったが、いつまでたっても痛みが訪れないことに疑問を感じて目を開ける


「死んだ…………のか?いや、これは!!」





目を開けた瞬間に飛び込んできた光景に彼は驚愕する


「銃弾が…………」



発射された銃弾が空中で静止していたのだ


まるで魔法によって時間が止められてしまったように……


それだけではない

敵兵士が例外なく倒されていた

「し……死んだのか?」

「死んではおらんよ。意識を失っているだけじゃ」


声のした方を振り返るとそこにはこの場に似合わない服装の老人が立っていた




銀色の長い髭

半月眼鏡

ゆったりと長いローブ


こんな格好の戦闘員が存在するはずがない


「ああ………。夢か」

「残念ながら夢でもないのう」

「そんな恰好で戦う奴は敵にも味方にもいない。それよりも、コレだ。この宙に静止する7.62ミリ弾は何なんだよ!!!」


宙に浮かぶ無数の7.62×39ミリ弾を指さして少年は叫ぶ


「こんな魔法みたいなこと………夢じゃなきゃ起こらないだろ」

「ああ、そうじゃな。魔法みたいではなく、魔法はな」

ほっほっと愉快そうに笑う老人

(目を見ればわかる。この老人は戦闘においては熟練だ。しかし、その眼からは戦闘に酔った狂気が伺えない。伺えるのは優しさと……哀しさ?)

「ふむ。どうやら君は開心術の才能があるようじゃの」

「かいしん……???」

「自己紹介が遅れたようじゃ。わしはアルバス・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア。ホグワーツ魔法魔術学校というところで校長をしておる」

「は? 魔法?」



(こいつ……いかれているのか?いや、しかし、ほぐわーつという単語には聞き覚えがある)

「エスペランサ・ルックウッドよ」

「俺の名前を知って!?」

「端的に言おう。君は魔法使いじゃ」



何が何だかわからない

魔法?

俺が魔法使い?

寝言は寝て言え………

しかし、空中で静止する銃弾

一瞬で無力化された敵の一個小隊



これがすべて魔法によるものなのだとすれば辻褄はあう



「いや、んな馬鹿な事があうはずない。だいたい、俺が魔法使いだったら……。俺はこんなことになる前に敵を殲滅出来ているはずだ」

「魔法使いも訓練をしなければ魔法は自由自在には使えん。しかし君は、身に覚えがあるはずじゃよ? 自分が魔法を使ったことを………」

ダンブルドア「君が何かを望んだ時に不思議なことが起こったはずじゃ」

 「………………」


確かにそうだ

突然の空爆、機銃掃射、小銃のクロスファイアに晒されながら傷一つなく唯一生き残ったことは奇跡に他ならない

戦闘が始まってから数十日間、撃ち合いを何度もしたが自分の方へ銃弾が飛んでくることはなかった

そして、自分の撃った弾は不自然なほどに敵に命中した



「あれが、魔法………。魔法で俺は敵を殺していたのか?」

「考え方は人それぞれじゃ。君は魔法で自分や周りの人を守っていたともいえる」

「人殺しを自分の学校に勧誘しに来るとはあんたも変わり者だろ」

「よく言われるのう。ボーリングを趣味とする魔法使いは変わり者と思われるようでの」

「???」

「それはともかくとして、じゃ。君は身を置いていた環境が特殊過ぎる。確かにホグワーツの理事の中には君を入学させるべきではないとする意見も存在はしていたが、魔法使いをマグル……ああ、非魔法族のことを我々はマグルと呼んでいるのじゃ。マグルの戦場の中に魔法使いを放置しておくというのは我々魔法界にとって危険極まりないことでの。やはり入学させるべきだと思ったんじゃ」

「危険?」

「そう。危険なのじゃ。魔法界はマグルに存在をばらさないように日々努力しているからのう」

「なぜ隠す必要があるんだ? クロスファイアを一瞬で止めて、一個小隊を無力化出来る魔法を持ったあんたたちが、非魔法族から身を隠す必要がどこにあるんだ? やりようによっては魔法で世界征服だって出来るだろうに………」

「11歳にしては良く頭が切れるようじゃの。ふむ。確かに魔法は極めれば君たちの世界を従えることも出来るかもしれん。現にそうしようとした魔法使いが少なくとも3人はおる」


複雑な表情をしながらダンブルドアは語る


その眼からは様々な感情が読み取れた

「しかしじゃ。君がそうしたように。君たちは突然やってきた征服者に抗うじゃろう。そして、その結果、双方に血が流れる」


「確かにそうだ」

「互いに知らない方が幸せ……ということもあるのじゃよ」

「理解はした。それと入学についても受け入れる。その……ほぐわーつとやらに」

「うむ。我々は君の入学を歓迎しよう。入学に必要なものや、移動方法は魔法省から移動キーが…………」

「ただ一つだけ頼みがある」

「聞こうかの」

「あんたは、魔法が使える。それならば…………」

「君の親しい者たちを生き返らせてほしい……という頼みじゃったら、答えはノーじゃ」

「なっ!?」

「万能な魔法も人の死を克服することは出来ぬ。そのような魔法はおとぎ話のなかにしか存在しないのじゃ」

「………………」

「しかし、人を死の淵から救うことは可能じゃ。君がそれを望むのなら。ホグワーツでは救いを求めたものにそれが与えられる。君は魔法の素質を持っておる。その素質を活かして、人の命を奪うためではなく、救うために魔法を使いたいと思うのなら………これに触れるとよい」

「これは?」


ダンブルドアが持っていた木の棒を振り、どこからともなく取り出したのはただの空き缶であった



「これは移動キーと呼ばれるものじゃ。これに触れれば英国のロンドンに移動することができる。中東に魔法学校が無いわけではないが、君の国籍は一応英国になっておるからの。入校は英国にある魔法学校となったのじゃ。この移動キーに触れて我々の世界へ来るかは、君次第とじゃが………」


戻るべき故郷も、守るべき仲間も失った今

自分に残された選択肢は



前に進むことだけだった



そっと空き缶に手を添える


「ようこそ。魔法界へ」


そう言ったダンブルドアの瞳からは優しさしか感じ取れなかった





英国某所




暗い部屋で2人の男が喋っている


???「ついに今年、彼が向こうの世界に入ります」

???「11年前から計画していたこの計画の最初のフェイズ。上手くいけばこの国の在り方。いや、我々の世界の在り方が一遍に変わる」

???「湾岸戦争での我が方の被害を考慮しても、やはり、この計画は成功させるべきですね」

???「ああ。我々の時代はここからはじまる」


二人の手元にはひとつの冊子が置かれていた

その表紙には『AM計画 オーバーロード作戦』と表記されている






とりあえずここまで

ペースは週に1~2くらいいけたらなと思ってます

ひとつ訂正が

原作1巻の開始は1991年なので前回の冒頭の1992年の年号は間違っています

1991年8月に訂正です


では

Case01 come into contact with him


魔法学校への交通手段が汽車というのは如何なものなのだろうか

ホグワーツ特急と呼ばれた蒸気機関車のコンパートメント内でやたらと重いトランクの中身を確認しながらエスペランサ・ルックウッドはそんなことを思う

イギリスがまだ科学技術において世界一を誇っていた時代に開発された科学技術を代表とする蒸気機関を科学とは無縁の魔法界が使用しているのは妙に現実的だ

長期保存のためにトランク内に収められた黒光りする物に油を染み込ませ終え、エスペランサは一息つく

魔法界に身を投ずるにあたり魔法界に関する知識は一通り網羅してきたが、今まで自分が居た環境とは全く違う環境に戸惑いを隠せないのもまた事実であった


入学用品を買いにダイアゴン横丁を訪れた際も魔法の世界に驚いたものだ

だが、それ以上に驚いたのはこの世界の平和さである

非魔法族(マグル)の世界では連日、湾岸戦争に関するニュースが報じられているというのにこっちの世界では戦争のセの文字もない

物騒な事件が起きたとしてもせいぜい銀行破りやドラゴンの密売くらいだ

銀行強盗なんてマグルの世界では日常茶飯事だし、密売はもっと多い



「平和だな。こっちは………」


エスペランサは脱力して呟く


イラクのクウェート侵攻をきっかけにはじまった戦争は湾岸戦争(ガルフウォー)と名づけられた

米国を中心とした多国籍軍による「砂漠の盾作戦」によって3日でクウェートは奪還された

巡航ミサイルや戦略爆撃機を使った一方的な戦闘に地上のイラク軍はなす術もない

多国籍軍の戦闘による死亡者はわずか300であったのに対し、イラク軍は8000人以上の死者を出した

そして、兵器の性能差が現代戦闘においていかに重要かを、世界中がメディアを通すことによって知ることとなる


1991年2月にはイラク軍はクウェートから撤退した。

久々に訪れた平和を味わっていたエスペランサたちであったが、敗走したイラク軍の一部生き残りで編成された非公式の武装組織が“あの日”、突如として襲い掛かってきたのだ

目的は略奪ー

非公式の武装組織といえど、充実した武器を持ち、部隊編成もしっかりとされている

平和を謳歌していた一般市民はあっけなく殺されてしまった

湾岸戦争前に傭兵であったエスペランサをはじめとした若干名の人間が立ち向かったが焼け石に水だった

市民もともに戦った仲間も全員蜂の巣に………

そんな中で彼はダンブルドアと出会ったのである


自分の故郷を、生活を奪った理不尽な暴力に復讐するために魔法を学ぶ

それが彼の魔法界に来た理由だった



少し感傷的になった時にエスペランサのいるコンパートメントの扉が開いた


???「ここ空いてるかい?」


見れば青白い顔をしたブロンドの髪の少年が立っている

その後ろには、ブロンドのボディガードのようにしてゴリラを人間にしたような少年が二人立っていた

エスペランサ「ああ。いいよ」

ゴリラを二匹入れたらコンパートメントがだいぶ狭くなりそうだったが、とりあえず了承することにした



全員が座ってから自己紹介をはじめる

エスペランサ「俺はエスペランサ・ルックウッド。国籍は英国だけど訳あって中東のほうにいた。特技は銃の分解結合」

???「?? 僕はドラコ・マルフォイ。マルフォイ家と言えば君もわかるだろう?聖28家に記された正当な血統の」

エスペランサ「ああ。こっちじゃ血統を重んじる風潮があるんだったな。オッケー。覚えた。マルフォイだな」


教養がないとやっていけないと思い、彼は英国魔法界の風潮などについて予習をしていた


マルフォイ「こっちがクラッブとゴイルだ」

「「………………」」

(無口なゴリラ1号と2号か。重戦車みたいだ)

マルフォイ「ルックウッド家と聞いてすぐわかったよ。ルックウッド家と言えば由緒正しい血統だ」

エスペランサ「たぶん人違いだ。親についての記憶は曖昧だが、俺は魔法とは縁のないところに居たからな。まあ、実際のところマグル出身か魔法族出身かも不明だ」

エスペランサ(こいつ、俺がマグル出身かもしれない可能性を提示したとたんに侮蔑したような表情をしやがった。しかし、このブロンドの目から感情を読み取ることは出来ない。心を閉ざしているのか?)

 彼は長い間特殊な環境に身を置いていたため目からその人間の感情を読み取るのが得意となっていた
   
 ダンブルドア曰く開心術というらしい
   
 目から読み取れる感情の変化から敵兵の動きを予測し、生き抜いてきた過去もある

   
   
マルフォイ「君もホグワーツに入校するのなら家柄と血統については知っておくべきだ。もっとも、マグル出身は入校するべきではないと思うがね。マグル出身の入学を許すダンブルドアには父上も閉口しているよ」


エスペランサ「父上?」

マルフォイ「ああ。僕の父上はホグワーツの理事長をしていてね。魔法省でも発言権を持っている。あのコーネリウス・ファッジでさえ………」


それから十数分間、エスペランサはマルフォイ少年の自慢話に行き合わされる羽目になった


エスペランサ(さっきから父親の自慢とクィディッチとやらの話ばかりだ。だが、このマルフォイという奴は父親の自慢話はしても自分の自慢話はあまりしないように見える)

マルフォイ「それで純血が………」

エスペランサ「純血……ねえ」

マルフォイ「なんだ?」

エスペランサ「さっきから血の話ばっかしてるからさ。思い出したんだよ。俺も数多くの血を見てきた」

マルフォイ「???」

エスペランサ「敵も味方も、血を噴出して死んでいくんだ。それで、それでな。どいつもこいつも同じ色をしてやがる。肌の色に関係なく………血は赤かった。あんたは血統について誇りに思っているようだが、血統なんてものは下らない考えだよ」






  エスペランサの言葉をマルフォイがどこまで理解したかはわからない
  
  しかし、彼の話は11歳の少年を恐怖させるには十分だったようだ
  
  「ハリーポッターを探しに行く」と一言残してマルフォイと2人の重戦車はコンパートメントから逃げるように去っていった

  
  
  
エスペランサ「ハリーポッター?」

  
  ハリーポッターという名前には聞き覚えがあった
  
  ダイアゴン横丁でも、キングスクロス駅でも嫌というほど耳にした名前だ
  
  それに、魔法界入りする前に教養として身に着けた知識の中にも彼の名前は確かにあった


エスペランサ「確か………闇の魔法使いをぶっ潰したんだっけか?」


  今の魔法界の平穏を作り出した人間

  それがハリーポッターであるようだ

  近代魔法史という書籍にそのようなことが書いてあったと記憶する


エスペランサ(ハリーポッターか。少し興味がある。会いに行ってみるか)


 そう言って彼はコンパートメントを後にした



<ハリー視点>
  

  ハリーポッターにとってドラコマルフォイとの2回目の出会いは大変不快なものであった

  それは初めてで来た友人であるロンウィーズリーをマルフォイに侮辱されたことが原因であった

  マルフォイと2人の重戦車が去った後に訪れた新たな訪問者への対応がぶっきらぼうになったのは、その不快さが残っていたからに他ならない


エスペランサ「えーと。そっちの黒髪がハリーポッターであってるかな?」

ハリー「うんそうだよ。君も僕に家柄を教えに来たの?」

エスペランサ「ああ?あーあいつが先に来てたんだったな。いや、俺はそんな下らない事を教えに来たんじゃない。有名人に会いたいっていう野次馬根性だよ」

ハリー「えっと………」

エスペランサ「俺はエスペランサ・ルックウッド」
   
ハリー「僕はハリーポッター。こっちが」

ロン「ロンウィーズリー。よろしく」


    そういってハリーはエスペランサと言う少年に握手を求める

    彼の印象は『大人』であった

    身長や見た目は子供である


    しかし、話し方も雰囲気も11歳とは思えないものだ

    そして、どこか哀しそうな眼をしていた


エスペランサ「俺もポッターと一緒で魔法界ははじめてなんだ。色々知らないことがあるから大変でさ」


    そう言って彼はロンの横に座る

    先ほどのドラコマルフォイと違って親しみやすい性格をしている


    だがどこかその性格が偽物のように思えてしまうハリーであった




今日はここまで

賢者の石の段階ではあまり兵器出せそうにない………


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