卯月「そうでしょうそうでしょう！」

響子「あっ！私、お弁当を持ってきたんです！よかったら食べて♪」ﾄﾞﾝｯ

美穂「わあっ、なんだこの山のような重箱」

響子「張り切りすぎて、お弁当たくさん作りすぎちゃった……えへへ」

卯月「かわいい」

美穂「天使かな？」

卯月「ちなみに中身はなんですか？」

響子「ハンバーグ」

美穂「それと？」

響子「ハンバーグ」

卯月「もしかしてこの天使、重箱全部にハンバーグ詰めてきやがったな」

響子「全部じゃないですよ！ちゃんとデザートも用意してありますから！」

美穂「デザート以外はハンバーグなんだね」

卯月「ちなみにデザートは？」

響子「人参のグラッセ」

美穂「甘ければデザートってワケじゃないんだよ？」

卯月「響子ちゃんのデザートの概念どうなってるんですか？」

響子「あっ、あとからしレンコンも持ってきたの。美穂ちゃん、好きかと思って」

美穂「からしレンコンだああああああ！！！！」ﾑｼｬﾑｼｬﾑｼｬ

響子「流石にここまで食いつかれるとは思わなかったなあ」

卯月「クッキーモンスターかコイツ」

卯月「それにしてもみんな遅いですねぇ……もう集合時間は過ぎてるのに」

美穂「えっ、他にも誰か来るの？」

卯月「あれっ、知らなかったんですか？」

響子「全然聞いてませんけど…・」

卯月「聞いてなくてあの量のハンバーグを作ってきたんですか？」

卯月「事務所の掲示板にお花見開催のポスターを貼っておいたんですけどねぇ」

美穂「もしかしてあのグラフィティ風に『フリースタイルＨ．Ｎ．Ｍ．』って描かれたポスターのこと？」

卯月「はい！沙紀ちゃんにデザインしてもらいました！五月にやるからフリースタイル花見です！」

響子「あれ完全にＭＣバトル大会のポスターにしか見えませんよ……」

卯月「えぇ～？」

響子「お花見のポスターだったら、もっとしっかりと分かるようにしないと。お花見ってちゃんと表記して、桜の挿絵を入れたりとか…」

卯月「うるちゃーい！もう、ほっといてちょーだい！」

美穂「しまむー、もう言いたい放題♪」

卯月「シンデレラガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアルズ！！！！！！！」

響子「人生楽しそうだね」

響子「って、あれ？向こうから誰か来る……」

卯月「わあっ♪あのポスターを見て来てくれたんですね！」

？？？「……………」ｶﾞｻｶﾞｻ

卯月「おーい！会場はこっちですよー！」

響子「あのポスターを見て来る人って誰なんだろう……」

美穂「年少組の子達かな？」

楓「どうも～♪」

美穂「２５歳児だった」

響子「しかもラッパーみたいな格好で来てますよ！完全にＭＣバトル大会と勘違いしてるじゃないですか！」

卯月「楓さん、申し訳ないんですけど、これはＭＣバトルの大会じゃないんですよ……」

楓「エイッエイッ」

卯月「えっ？」

楓「……ヘイ、ＹＯ♪お花見といえば飲み会♪ちょっと一本、燗で飲みたい♪その前に一分間でお前をキックダウン♪ＭＣガキが奪い取る王座♪」ﾁｪｷﾁｪｷﾄﾞｩｰﾝ

美穂「は？」

楓「ＹＯ、アイムＭＣガキ。レペゼン和歌山。シンデレラガールの座を奪いに来たぜメーン」

響子「大丈夫かこのアラサー」

卯月「えっ、シンデレラガールの座を奪いにって……」

楓「卯月ちゃん、いつまでも王者でいられると思ったら大間違いよ」

楓「私もいつまでも万年２位に留まっているつもりはありません。シンデレラガールの座を巡って、ラップでバトルをしましょう」

卯月「えっ、えっ……でも私、ラップなんてできませんよ……」

楓「問答無用！ミュージックスタート！」ﾁｪｷﾁｪｷﾄﾞｩｰﾝ

楓「操作された投票で王座を奪取？♪まがいもの、失せろ、速攻、ダッシュで♪ＹＯ、お前は担がれた神輿♪なんて恥ずかしいwack ＭＣ♪」

卯月「うわぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘｰﾝ


高垣楓　総選挙　一位


美穂「なんで服が破けるの！？」

楓「負けたら服が弾け飛ぶ。古来より受け継がれる、美少女バトルものの伝統です」

響子「受け入れ難いシステムだなあ」

卯月「う……うぅ………」

楓「じゃあ、シンデレラガールの証であるティアラは頂いていくわね」ｽﾀｽﾀｽﾀ

卯月「うぅ……待ってください……私はまだ、シンデレラガールとしてちやほやされたいのに……」

響子「大丈夫、卯月ちゃん？ほら、これ羽織って」ﾊﾟｻｯ

卯月「シンデレラガール割りだってまだ受けたいのに……２割引でエステ受けられるのに……映画が１０００円で観れるのに……」

美穂「もう諦めようよ。野犬にでもレイプされたと思ってさ」

卯月「残酷すぎますよ」

卯月「ぐうぅぅ……！こうなったら修業です！ラップを習得して、もう一度シンデレラガールに返り咲いてみせます！」

響子「えぇ～……もう諦めましょうよ。また来年頑張りましょう？」

卯月「何を呑気なことを言ってるんですか！裕美ちゃんなんか、総選挙が終った段階からキウイで盛り上がってるんですよ！？もう次の戦いは始まっているんです！」

響子「は、はぁ……」

美穂「でも、ラップの修業って言っても、どうするの？」

卯月「修業といえば道場です！」

道場



有香「押忍！ようこそラップ道場へ！」

卯月「押忍！」

有香「我がラップ道場に来たからにはもう安心です！一流のラッパーに育て上げてみせますよ！」

響子「大丈夫かなあ、この世のすべてが不安になってきたよ」

有香「まずは小手調べからです！」ﾊｲｰｯｱﾀﾀﾀﾀﾀｯﾀｰ


有香「キック」

・　・　□　・　・　・　☆　・　・　・　☆　・　・　・　☆　・　・　・

卯月「キック」

・　・　□　・　・　・　☆　・　・　・　☆　・　・　・　☆　・　・　・



こうして、卯月のラップ修業は一週間続いた……。

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一週間後


有香「島村卯月　頑張ります！」

・　・　△　・　△　・　・　□　・　・　Ｌ　・　Ｒ　・　・　○　・

卯月「ししましま卯月　が頑張りまままます　ます」

△　△△　・　△　・　・□□　・　・ＬＬＬＬ　・　Ｒ○　・　○


有香「卯月ちゃん……あなたに教えることはもうなにもありません」

卯月「じゃ、じゃあ……！」

有香「免許皆伝です！」

卯月「やったー！」ｼﾏﾑｰ

美穂「よかったね、卯月ちゃん！」

響子「これで楓さんにＭＣバトルを挑めるね！」

卯月「よーし、待っててくださいＭＣガキ！」

卯月「島村卯月、いえ……ＳＨＩＭＡＭＵ　a.k.a. ウヅパカ、頑張ります！」

響子「くそダサいなあ」

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卯月「…………」

楓「…………」

瑞樹「さあ、始まりました！シンデレラガールの座を賭けたＭＣバトル！司会進行は私、川島瑞樹がお送りいたしまーす！」

瑞樹「審査員には、セキネム、杏ＺＵＴＴＯＮＥＲＵ、サギフミン、ＨＥＬＥＮ　ＷＯＲＬＤ、ＴＡＭＡＭＩの五名をお招きしております」

瑞樹「審査委員長のセキネムさん、今回の試合はいかがかしら？」

裕美「楓さんは、普段からダジャレを披露しているだけあって、すごい韻を踏み倒してくると思います。それに対して、卯月さんがどこまでアンサーを返せるかが、今回の勝負のポイントになるのではないかと……」

瑞樹「ありがとう、裕美ちゃん。両者、意気込みはどう？」

卯月「………あ、早く始めましょう」

楓「………フフッ♪」

瑞樹「おーっと……」

美穂「卯月ちゃん頑張って！」

響子「いっぱい練習してきたから、きっと勝てるよ！」

瑞樹「それでは先攻後攻のジャンケンをお願いします」

卯月「……………」ﾁｮｷ

楓「……………」ｸﾞｰ

楓「じゃあ……親孝行の後攻で♪」

瑞樹「ＯＫ！それじゃあ、８小節３ターンで行います。ＤＪチェリー、ブリングザビート！」

智絵里「ﾁｪｷﾁｪｷﾄﾞｩｰﾝ」





卯月「年下相手に後攻とって、それでもあなたシンデレラガール？♪ダジャレばっかり、危険なハーブでもキメてる？元モデル、ここで終る♪ＹＯ、１位を取るのにいったい何年かかってる♪そんなペースでこのビートに乗れる？ついてこれる？アラサーガール！」

楓「１位を取るのに５年かかってるアイドルがなんか言ってる♪２５歳、こんなビートはお茶の子さいさい、お茶漬け食べたい♪アイドル活動綱渡り、抜いてく同僚、右左♪言われ続けた万年２位、でも勝ち取って見せた総合１位♪」

卯月「なにがお茶漬け食べたいだ！一生割りでも食ってろタコ♪悪いけどあなたをここで殺す、ＳＨＩＭＡＭＵのライムが今光る♪さながらヒーロー、南条光、正義の鉄槌、ボコボコにする♪磨いたスキルで首掻っ切る、さながら斬首刑、have a nice day♪」

楓「殴るのか切るのかハッキリしたらどうなの？♪ハッキリしない、パッとしない、全て見抜いているオッドアイ♪ラップスキルも付け焼刃、吼えるんなら付けとけや牙♪だからあなたはランキング圏外、とっととお家で練習せんかい♪」





二人のラップバトルは熾烈を極め、二回の延長戦へともつれ込んだ……。

そして……。

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卯月「おっぱーーーーーーーーーーーい！！！」

瑞樹「終了～！」

卯月「はぁ……はぁ……」

楓「………………」

瑞樹「泣いても笑っても、これが最後の判定となります！それでは審査員の皆さん、判定を……どうぞ！」


〔ＭＣガキ〕　　〔ＳＨＩＭＡＭＵ〕　　〔ＭＣガキ〕　　〔ＭＣガキ〕　　〔ＳＨＩＭＡＭＵ〕


瑞樹「勝者、ＭＣガキ！」

卯月「うわぁぁ～～～～！！！！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘｰﾝ

美穂「卯月ちゃん、頑張った！すっごく良い試合だったよ！」

響子「うん！私、感動しちゃいました……！」

卯月「…………」

楓「卯月ちゃん」

卯月「か、楓さん……」

楓「いい試合でした。来年、またここで待ってるわね」

卯月「楓さん……はい！島村卯月、来年はシンデレラガールに返り咲いてみせますよ～！」

美穂「その意気だよ！」

響子「私たちも負けませんよ～」

卯月「イエーイ！やっぱりラップって良い文化ですね！」

卯月＆美穂＆響子「せーの…」

卯月＆美穂＆響子「ＭＣバトル最高～～～～～～～～～！！！！！！！」



こうして、シンデレラガール争奪戦は幕を閉じた……。

しかし、すでに次の戦いは始まっているのだ……！

戦え、シンデレラガールズ！

次のシンデレラは君だ！



終劇

これにて終了ですー
クラリス嬢のｓｓは友達に見せたら村上春樹みたいって言われたのでボツになりましたー

友達より自分の作品を信じよう