間桐桜「先輩が浮気…?」 (28)


桜「はー…良いお湯でした」

士郎「桜ー風呂あがったか?」

桜「はい、お先に頂きました。先輩が入っても大丈夫ですよ」

士郎「サンキュ。それじゃあ風呂入ってくる」

桜「あ、先輩?タオル切れてたので、新しいの持って行った方が良いですよ?」

士郎「ん」

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桜(聖杯戦争も終わり、私たちの日常が戻ってきた)

桜(わたし一人が住むには大きすぎるので間桐のお屋敷は姉さんに管理してもらっている)

桜(というわけで、先輩の家に住まわしてもらってる)

桜(とはいっても、聖杯戦争が始まるまでも半分住まわしてもらっていたようなので、あまり新鮮みがないという事は悩みと言えば悩みである)

桜(でもその分先輩と四六時中暮らせるという事は夢のように嬉しい)

桜「あれ?先輩の携帯が開いている?」


桜(リビングにおいてあったのは先輩のケータイだ)

桜(でも、先輩がケータイを購入したのは、バイト先との連絡を取るためであまり使ってるのは見た事がない)

桜「そういえば、先輩って、誰とメールしてるんだろう?」

桜(そんな些細な好奇心があったので少し携帯をのぞいてみた)

携帯「明日の放課後会えないかな?桜もちょうど部活でいない事だし」

桜「ッ!?」

桜「え…っと…えっ…?」

桜(思わず一瞬で携帯から眼をそらしてしまった)

桜(でも、一瞬で眼をそらしたのに、その一言は強烈で、脳裏にこびりついてはなれなかった)

桜「でも、これってひょっとして…」

桜(そう、ドラマなどでよく見る常套句だ)

桜「先輩が浮気…?」


美綴「ははあ。それでいても立ってもいられなくなって、私の所に来た訳だ」

桜「すいません…でも…」

美綴「ふうん、しかし、衛宮が浮気かぁ」

桜「はい…」

美綴「まあ確かに、可能性としてはなくもないかもね…」

桜「本当ですかっ!?」

美綴「ちょいちょい、近い近い…まあ、ないとは思うけど」

桜「で、でも私…先輩が他の女の人と付き合ってるって考えただけで……」

美綴「……間桐は本当に衛宮の事が大好きだね」

桜「そ、そうですか?」

美綴「でも、それはよく言えば一途。悪く言えば重いって事だ」

桜「重い……」


美綴「確かに、間桐みたいな女に好かれるって言うのは男としては魅力的かもしれない」

美綴「でも、それが衛宮の重荷になっている可能性もある訳だ」

美綴「重荷となってるからこそ、他の女に目がいくかも……」

桜「そんな…」

美綴「まあなんにせよ、衛宮の事を信じてやんな。そしたら結果はきっといい方向にいくさ」

桜「はい…」

桜(美綴先輩のアドバイスはその時の私にはひどく空虚な物に聞こえた)

桜(先輩が浮気してるって考えただけで…頭の中に他の事が入ってこなくなった)

桜「重い女なのかな…私」


桜(でも、先輩が姉さんと家ではなしているのを見かけただけで少し腹が立つ)

桜(一途と言えば聞こえは良いけどこれではただの依存だ)

桜(思えば聖杯戦争の時は一緒にいなくても平気だったのに、姉さんにでれでれしてるのを見るのも平気だったのに、今見ると少し複雑な気分だ)

桜(絶対に付き合えないと思っていた先輩と付き合えて、「好きだ」って言ってもらえて少し、調子に乗ってしまったのかもしれない)

桜(先輩の事が好きで、今もこの思いは一つも変わっていないのに、好き合っている事がこんなにも難しいなんてーーーー)

一成「おい、きみ、そろそろ下校時間だぞーーーーーって、間桐さんではないか」

桜「柳洞先輩…」

一成「どうしたのだ?何かあったのか?」



桜「いえ……そういえば先輩はどこですか?」


桜(今日は先輩は生徒会の手伝いらしい…)


桜(まあ、昨日のメールが真実ならば、もう既に別の場所にいっているはずなのだが)


一成「衛宮なら、早めに仕事切り上げて帰ったよ」


桜(私の思考を裏付けするような先輩の行動に少し心がくじけそうになる)


一成「……何か思い詰めた表情をしているな。何か悩み事があるなら俺でよければ相談にのろう」


桜「……良いんですか?」


一成「なに、こうして目の前で思い詰めた顔をしている生徒がいるなら生徒会長として放っておくわけには行かない」


一成「それにーーー間桐さんは俺の友人の彼女であろう」


一成「友人のために行動するのは人として当たり前の事だ」


桜「わかりました、ではーーーーーー」

一成「うむ」





一成「ふむ、衛宮が浮気ね……」

桜「さっきの柳洞先輩の話を聞いて思いました…」

一成(毎日飽きるほど、彼女の惚気話を聞いてる身としてはすぐさまに否定してやりたい所だが…)

一成(だがしかし、彼女の思い詰めた顔は並の説得では通じなさそうだ)

一成(それにしても、衛宮も衛宮だ。何故、今、思わせぶりなメールをしたのだろうか?)

一成(浮気ではないと仮定するならばーーーー)

一成「ーーーーああ、そういう事か」


桜「あの?柳洞先輩」

一成「すまない、少し思索に耽っていた」

一成「それで、間桐さん」

桜「はい」

一成「衛宮の事を信じるのなら今日の晩ーーーどれだけ大事な用事があろうと衛宮邸から離れてはいけない」

桜「先輩の家からですか…?」

一成「うむ。まあ今俺が何を言った所で説得力としては薄いかもしれないが」

一成「俺の推測が正しければ間桐さんの疑問は今晩すべて明らかになるだろう」

桜(別れ話…という事だろうか?)

一成「そう心配そうな顔をされるなーーーー衛宮は見ての通り誠実な男なのだ」

一成「友人である俺が言うのだから、間違いない」


桜(柳洞先輩の言うとおりに、先輩の家に帰ってきた)

桜(しかし、美綴先輩に言われた事ーーーやはり考えてしまう)

桜(思えば、聖杯戦争の時に私を助けてくれたのも同情心からなのかもしれない)

桜(先輩は正義の味方を目指しているからー---命の危機であった私の事を助けてくれたのかもしれない)

桜(先輩には他に好きな人がいるのに…無理して私とそういう関係になってくれたのかもしれない)

桜(先輩は優しいからーーー私が好きと言ってくれれば、好きと言ってくれる)

桜(でも、それが本心ではないかもしれない…)

桜(ならば、優しい先輩から言い出すよりも先に私が言い出さなければいけない)

士郎「ただいまー」ガラガラッ

士郎「桜、いる?」

桜「お、おかえりなさい、先輩」

桜(ああーーー今こうして先輩と対峙するだけで目眩がする)

桜(この期に及んで、自分のみが可愛いなんてーーーなんて未練がましさ)

桜(で、でも言わなきゃ)


士郎「桜」

桜「は、はい」

士郎「ちょっと大事な話があるんだけど」

桜「き、奇遇ですね、先輩。私もあるんです。」

士郎「?何だ?」

桜(言わなきゃーーーー言わなきゃーーーーいわなーーー)

桜「う」

桜「うぐぅぅぅぅぅ」ポロポロ

士郎「ど、どうした桜!?」

桜「ごめんなさい、わたっ、わたし、やっぱり、せんぱいとっ別れたくーーー」

士郎「は?別れるーーーー?」


士郎「おちついたか?桜」

桜「は、はい。ごめんなさい…先輩。取り乱してしまって」

士郎「何で取り乱したのか知らないけどーーーまあいいや」

桜(そういって、先輩は紙袋から小さな小包を取り出しわたしの手の中にのせた)

士郎「はい、プレゼント」

桜「え?プ、プレゼント?」


士郎「うん、桜と俺が付き合ってーーーほら、今日で一年だ」

桜「あーーーーー」

桜(確かに今日は去年の聖杯戦争から一年ぐらいだ)

桜(しかし、他の事で頭がいっぱいだった私は失念していた)

士郎「一応、遠坂に頼み込んでそれなりの宝石を用意してもらったつもりだけどーーーって、桜?」

士郎「そういえばさっきは何で泣いていたんだ?」

桜「う、あ、その、ええっと……」///カァァ

桜(そうして一気にこみ上げてきたのは恥ずかしさだーーー)

桜(先輩は私の事を想ってくれるのにーーー)

桜(でも、純粋に疑問に思っている先輩の前に嘘をつけるはずもなく私はすべて話してしまった)


士郎「なるほどねぇ、それで桜はあんなに取り乱してた訳だ」

桜「ご、ごめんなさい」

士郎「いや、桜が気にする事じゃない、最近それを買うためのバイトで家をあける事も多かったしな」

桜(そういわれて、私はますます萎縮してしまう)

桜「ごめんなさい……」

士郎「い、いや、別に攻めてる訳じゃないんだ。うん」

士郎「でもさ、桜」

士郎「そんな事があったら、もっと俺を頼ってくれよ」

士郎「おれは桜の恋人であるまえに、桜の先輩だからな」

桜「は、はい!次からはもっと先に頼る事にします!」

士郎「おう、任せろ」


士郎「しかし、美綴も人が悪いなぁ…その時に合う約束してたの美綴だったのに」

桜「えっ?そうなんですか?」

士郎「ああ、桜にどのタイミングでプレゼントを渡そうかって言うのを相談したんだが」

士郎「何でそんな意地悪な言い回しをしたかなぁ」

桜「案外……美綴先輩が気を回してくれたのかもしれないですよ?」

士郎「どういうこと?」

桜「先輩と私たちの仲がいつまでも続くように、この仲の価値に気付くように…みたいな」

士郎「凄い前向きな捉え方だな」

士郎「でも、うん、そうだな、そういう事にしておこう」

桜「はいっ」


士郎「なぁ、桜」

桜「はい?」

士郎「好きだ、愛してる」

桜「えっ、な、なん、ですか急に」

桜(突然にそんなことを言われてはまっすぐに先輩の顔を直視できない)

士郎「いや、美綴がそんな風に気を回してくれたなら俺達も確認しなきゃなって」

桜「で、でも先輩そんな事言われたら……」

士郎「イヤか?」

桜「あ、うううううーーー」

桜(イヤな訳がない、むしろ嬉しくてどうにかなってしまいそうだ)


士郎「あっはっは、桜、顔真っ赤だ」

桜「先輩が不意打ちするからですよぅ…」

士郎「そっか、ごめんな?」

桜(悔しいから私も言い返す事にする)

桜(ありったけの笑顔と、精一杯の愛情と、狂おしいほどの願いをを込めて)

桜「私も大好きです、先輩」

桜(どうかーーー私たちのこの仲がいつまでも続きますように)
                                       おわり

そんな訳で投下終了です

読んでくれた人はありがとうございました

桜のssがもっと増える事を祈って

皆さん、乙・感想ありがとうございます

また、桜のssを作りたいと思っていますので
その時はご縁があればまた

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