傷物語×アマガミ 純一「僕が吸血鬼?」選択肢あり (91)


美也「にぃにー起きてー!」

純一「うぅ……」

美也「まーた遅刻しちゃうよー?」

純一「僕は夜行性だから……」

美也「おバカなこと言ってないでさっさと起きろー!!」

ガバッ!

純一「布団をめくりあげるなんて!酷すぎる!」


ーーーー教室。

梅原「今日もギリギリだったなー」

棚町「そうねーギリギリだったわねー」

純一「ギリギリ……アウトだけどな」

棚町「ホント純一って朝弱いわよね」

棚町「まるで吸血鬼みたい」

純一「え?なんだよいきなり」

梅原「俺は知ってるぞ吸血鬼の噂だろ?」

純一「吸血鬼?」

棚町「純一そういうの疎いわよねー。なんでもこの辺りに出るらしいわよ。吸血鬼が!」

梅原「しかもパツキンの美女って話だ!そんな吸血鬼なら血を吸われても本望だぜ!!」

純一「吸血鬼ねぇ……」


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ーーーー。


森島「ごろにゃーん!」 カプ

純一「痛っ!って森島先輩っ!?なんで首を噛んで……!?」

森島「吸血鬼だにゃん!」

純一「吸血なのに“にゃん”!?」

純一 (センセーショナル……っ)


ーーーー。


中多「先輩……」カプ

七咲「先輩!」カプ

純一「2人とも何で僕の指を……!」

中多「んん……んぁ!」

七咲「んんっ!」

純一 (こっこれは……!これはまるで……!)


ーーーー。


棚町「純一は私がいただくの!」ガブッ

純一「ぐうっ!?」

綾辻「あなたはあたしの残り物で我慢しなさいっ!」ガブッ

純一「がはっ!!」

棚町 ガジガジ

綾辻 ギシギシ

純一「痛い!痛い!痛い!痛いぃっ!!」

純一 (あはんっ!でもこれはこれで…)


ーーーー。


桜井「いっただきまぁーすぅ!」

桜井「あーん」

純一「梨穂子!待て待て!」

桜井「あれ?純一の声?」

純一「ヘルプ!」

桜井「気のせいか。あーん」

パックンチョ


ーーーー自宅。

純一「うおああああっ!」

純一「はぁはぁ」

純一「……夢か」

純一 (今は……深夜2時)

純一 (梅原達が変な話するから、変な夢を見ちゃったよ)

純一 (それにしても吸血鬼?女子達……可愛かったなぁ)

純一「……」

純一 (眠れそうにないしお宝本鑑賞でもしよう)

純一「あっ!」

純一 (屋上の秘密部屋にお宝本全部置いてきちゃってたんだぁ……!)

純一「うーん……」


ーーーー外。

純一「買ってしまった」

純一 (わざわざコンビニまで行って……新作お宝本を4冊も……)

純一「でもなかなかの収穫だ!」

純一 (早速家に帰って拝見といきますか)

スタスタ

純一「ん?」

純一 (街灯の下に何か……。人が寝てる……?)

スタスタ

純一「あ、あ……!っ!?」

純一 (ひ、人……。女の人……!)

純一 (腕も脚も……四肢がなくなってる!?血もあんなに……)

純一「うぅっ!げほっ!!」

『人間か』

純一「ひっ!!」

純一 (生きてるの!?)

『儂を助けさせてやる』

純一「……え?」

『うぬの血肉をよこせ』

純一「いや血肉って……救急車を……」

『儂のために死ね』

純一 (いやいやなに言ってるのこの人!?)

純一 (……人? ……人なの?)

ー 俺は知ってるぞ吸血鬼の噂だろ? ー

純一 (透き通るみたいに白い肌……。僅な光でも輝く金髪……。こんな重傷でも生きていられる身体……。)

純一「吸血鬼……?」


『いかにも。儂が生きることに貢献させてやると言っておるのじゃ。早く首を差し出せ』

純一「いやそんなこと言われても……」

ザッ……

『無駄な時間と手間をとらせるな』

ザッ……

『……え?』

ザッ……

『……まさか……』

ザッ……

『儂を助けてくれんのか……?』

純一「……!!」

ダッ!!

『嫌だ!助けて!助けて!助けて!!』

『まだ死にたくないよぉおおお!!』

『このまま死ぬなんて嫌だ!嫌だ!嫌だ!』

『わあああああああああああんっっ!!』

『ああああああああああっ!!!』

タッタッタッ!

純一「はぁ!はぁ……っ!」

僕はその場から離れた。


創設祭までに彼女をつくる……。
そんな目標を立てたのは2か月前くらいか。

チャンスはあったのに。あったはずなのに結局僕は誰とも……。

そうなんだ。僕は最後の最後に逃げてしまう……。

あのときから成長してないまま。

ーーガコン!!

純一 (せっかく買ったのに中身を見ないままゴミ箱へ捨てることになるなんて……!)

純一「もう少し時間に余裕があったら梅原に譲りたかったけど!」

タッタッタッ!

『えっ?』

純一「まだ生きてるね!よかった!」

純一「はい!」

吸血鬼に首を差し出す。

『……いいのか?』

純一「うん……。梅原じゃないけどあなたみたいな人に吸血されるなら本望だよ」

『……死ぬのじゃぞ』

純一「分かってる。だけどあなたはここで……こんなふうに死んじゃいけない気がするんだ」

『……』

純一「でも1つだけお願い聞いてもらってもいいかな?」

『……』

純一「人を死なせるのは僕で最後にしてくれないかな?」

『……』

純一「今はすごく傷ついてるから死なせるほどの吸血が必要なんでしょ?」

純一「だから僕を吸血してその必要がなくなったら、これからは人を死なせないくらいの吸血にとどめてほしいんだ」

純一「……最初からそのつもりだったらゴメンね」

『分かった……うぬとの約束……守ろう』

純一「ありがとう」

『こちらこそ』

……カプ


ーーーー教室。

綾辻「ねぇ梅原くん」

梅原「ん?綾辻さん?どうしたよ?」

綾辻「橘くん無断欠席してるみたいだけど……何か知らないかな?」

梅原「んー……」

棚町「あいつのことだし、寝過ごしただけなんじゃない?」

梅原「……」

綾辻「梅原くん何か知ってるの?」

棚町「えっ?なになに?」

梅原「いや実はさ……」


ーーーーテラス。


七咲&中多《先輩が行方不明!?》

美也「わわっ!声大きいって!」

七咲「で、でもほら!梅原先輩のうちにいるんじゃ……」

美也「梅ちゃんには昨日電話したけど……。来てないって……」

中多「先輩……先輩……もしかして……死n」

七咲「ちょっ紗江ちゃん……!」

美也「そんな……にぃにがにぃにが……」

ブワッ

美也「ぅうわあああん!にぃにいい!」

七咲「み、美也ちゃん!落ち着いて!」

中多「わあああん!しぇんぱああいっ!」ブワッ

七咲「紗江ちゃんも!?」

美也&中多《わああああんっ》

七咲「橘先輩!早く帰ってきてくださーい!」


ーーーー廊下。


森島「んーいないなぁ」

森島「むっ!あれは!?」

森島「おーい!」

桜井「あれ?森島先輩?どうしたんですかぁ?」

森島「あなた橘くんと仲良しだったわよね?彼どこにいるか知らない?」

桜井「純一なら今日はお休みって聞きましたけど……」

森島「そうなの?残念ねー。一緒にお買い物でもしようと思ったのに」

桜井「お見舞いに行こうと思ってるんですけど一緒に行きませんか?」

森島「わーお。私も行って大丈夫かな?」

桜井「大丈夫ですよ!純一も絶対喜びます!」

森島「じゃあ行きましょーっ!」


純一「zzz……ふがっ」

純一 (ここは……?廃墟……?)

純一 (なんだが地獄っぽい……)

純一 (僕そんな悪いことしたのかなぁ)

純一「ん?」

幼女『ムニャムチャ』

純一 (なんだ!?僕の隣で金髪の女の子が寝てるぞ!?)

純一 (なっなんで!?)

純一 (とっとりあえずここから出よう!)

スタスタ

純一「朝だったんだ……」

シュボッ

純一「えっ……?」

ブゥワアッ!!!

純一「うわああああっ!!」

純一「熱っ!!いだあああっ!!あああ!!」

純一 (体からいきなり炎が!?なんで!?)

幼女『何をしておる!たわけが!!』

ドッ!

純一 (この子はさっき寝ていた……ってこの子も燃えてる!!)

バッ!

廃墟の中まで投げ飛ばされる。

純一「え?えっ!?」

幼女『ふぅ危ないところじゃったのぅ』

幼女『なまじ回復力があるせいで、業火に焼かれ続けて、すぐに死ぬこともできんからな』

純一「き……君は……?」

幼女『儂の名前は“キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード”じゃ』

ーー

1「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード?」

2「キスs……」

3「キスショッタ・アセロラロリオン・ハートアンダーティーン?」

ーー


選択権
>>11

書き込みがないようなのでもう一度
1


純一「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード?」

キスショット『ほう?最近の人間が1度で噛まずに言えるとはなかなか感心じゃな』

純一「あ、ありがとう……」

純一 (なんだこの子……?)

キスショット『うぬの名は何と言う。名乗り返すのが礼儀じゃろうが』

純一「え?僕は橘純一だけど」

キスショット『橘純一。うぬは儂の眷属となった』

純一「僕がアセロラちゃんの……?」

キスショット『ア、アセロラちゃんじゃと?』

純一「長いから略してみたんだけどダメだった?」

アセロラ『その呼び方は……ずいぶん久しいな。……構わん。好きにしろ』

純一「それじゃあアセロラちゃん。眷属って……何?」

アセロラ『言い方を代えれば、従僕じゃな。儂とうぬは主従関係だと言うことじゃ』

純一「え?なんで?僕が……従僕??」

アセロラ『それはうぬが儂に血を差し出したからじゃ』

純一「血を差し出す?」

アセロラ『覚えておらんのか?ちと吸いすぎたかのぅ……』

純一 ( …………透き通るみたいに白い肌……。僅な光でも輝く金髪……。それにこの古風な喋り方……まっさか!!)

純ー「アセロラちゃんはあの女の人……あの吸血鬼なの!?」

アセロラ『いかにも』

純一「えええええええっ!?」


純一「何で僕生きてるの?」

アセロラ『食事の為の吸血は行わなかったからの』

純一「何で子どもになってるの?」

アセロラ『栄養が十分じゃなかったからの』

純一「あー。あー。つまり……?僕の命を助けたから……アセロラちゃんは不完全なままで、子どもになっちゃったの?」

アセロラ『そうなるの』

純一「僕を助けてくれたの……?」

アセロラ『……』

純一「……?」

アセロラ『どうとるかはうぬ次第じゃ』

純一「え?」

アセロラ『太陽の光で体が燃える。しかし燃えた体は一瞬で治癒する』

純一 (本当だ……傷1つない……)

アセロラ『つまりうぬは吸血鬼になったんじゃ』

純一「僕が……吸血鬼?」


アセロラ『一通りの文句や罵声は覚悟しておる』

純一「え?なんで……?」

アセロラ『はぁ。我が従僕はだいぶ頭が残念のようじゃ……』

純一 (綾辻さんみたいなことを……)

アセロラ『うぬは吸血鬼。つまりこのままじゃと、あと数百年は生き続ける。太陽の下を歩けない。他にも色々と制約があるわ』

純一「まぁでもほら。死んじゃうより、だいぶマシじゃないかな」

純一「あのときはどっちかが死なないと、どっちかが生きれないって思ってたからさ」

純一「どっちも生きられる選択肢があって、それをアセロラちゃんが選んでくれたのは感謝しかないよ!」

アセロラ『違うな。どちらも生きられる選択肢ではない。どちらも不幸になる選択肢じゃ』

アセロラ『儂もうぬも、もしかしたらあのとき死んでいた方がまだマシだったかもしれぬ』

純一「あはは。そうならないように努力しないとね」

アセロラ『人間に戻りたいとは……思わぬのか』

純一「え?戻れるの??」

アセロラ『不可能ではない』

純一「戻れるなら戻らなきゃね……。太陽光で燃えちゃったら学校にも行けない……どころか家にも帰れないし」

アセロラ『しかしそれには少々手間がかかる』

純一「手間……?」

アセロラ『敵を3人ほど倒さなくてわな』


ーーーー。

森島「ぶぅぅん!ぶうううん!!」

桜井「あ、森島先輩!待ってくださーい」


ーーーー橘家。


ピーンポーン。

ガチャッ!!!

美也「にぃに!?……じゃない…」

森島「わーお美也ちゃん。こんばんわー」

桜井「どうしたの?慌てて……」

美也「うぅ……うぅ……」


ーーーー。


森島「橘くんが」

桜井「純一が」

森島&桜井《行方不明!?!?》

美也「そうなの……ぐすん。学校から帰ってきたら……戻ってるかもって思ったけど……うぅ……戻ってなくてぇ……。ぐすっ。警察もぉ……ただの家出だって……聞いてくれないの……ぐすんぐすん」

森島「美也ちゃん……」

森島「大丈夫だよ。彼ならすぐに帰ってくるよ!」ナデナデ

桜井「でも純一が……突然どこかに行っちゃうなんて……」


ーーーー夜。

純一 (外をうろついていれば、その敵がくるってアセロラちゃんは言ってたけど……)

純一「まずは服だって!!」

純一 (燃えた体は治っても、服までは元通りなんていかないからなぁ……)

純一 (敵に見つかる前に、警察に見つかっちゃうよ)


ーーーー自宅。


純一 (って……どうしよう……)

純一 (今の時間なら父さんと母さんはいないだろうけど……。美也に見つかったらなんて説明したらいいか分からないし)

純一 (2階の窓から入ろうかな?)

純一 (吸血鬼ならそれくらいできたり……)

タッ!

純一「え」

純一 (どうして僕の家が、僕の真下に?)

純一 (どうして僕の家が、こんなに小さく?)

純一「うわあああああ!!」

純一 (着地!とにかく足を下に!!)

脚 グシャア!!!

純一「ぐっ!いっだああっ!!」

純一 (って……痛がってるうちに完治してるし……)

ガチャッ!!!

美也「今の声って!?」

純一「……!!」


美也「にぃに!?にぃになの!?」キョロキョロ

純一 (あっぶなあー!) サッ

純一 (吸血鬼の素早さのおかげだ……)

美也「近くにいるのかな……」タッタッタッ

純一 (美也が家から出てった……)

純一 (ごめん!美也!……でも今がチャンスなんだ!)

スタスタ

森島「美也ちゃーんどこいくのー?」

純一「……!!」

純一 (あっぶなあー!) サッ

純一 (ていうか何で森島先輩が僕の家に!?)

純一 (まぁ美也と森島先輩仲良かったみたいだし……そんな不思議じゃないか)

純一「とっとと。早く服持ってこよっと」

ガチャ

純一「帰ってくるのは1日ぶりなのに、結構久しぶりにかんじるなぁ」

スタスタ

桜井「あれ?純一?」

純一「梨穂……子……!?」


桜井「純一どうしたの?昨日から帰ってないって聞いたよ……?」

桜井「服もボロボロだし……」

桜井「もしかして……ケンカとか……」

純一「り、梨穂子こそなんでここに……」

桜井「私は森島先輩と一緒に純一のお見舞いに……」

純一「おお。そうか。ありがとな。僕なら大丈夫だから心配するな」

スタスタ

桜井「純一!待ってよ!」


ーーーー純一の部屋。


ガサゴソ

純一「服はこれくらいで大丈夫かな。お金も持っていった方がいいかな……」

桜井「ちょっと純一!みんな心配してるよ?」

純一「……ごめん」

桜井「……」

純一「全部解決したら帰ってくるから」

桜井「純一?」

純一「だから美也たちにもそう伝えといて」

桜井「……」


ーーーー。


桜井 (純一……なんだか雰囲気がいつもと違うような……)


ーーーー住宅街。


純一「よし!」

純一 (紳士として恥じない格好になれたぞ)

「見つかりましたね」

純一「……!」

「こんな弱そうな男がねー。超ウケる!」

純一「……!」 (こっちにも!?)

「ハートアンダーブレードの眷属だ。油断するな」

純一「……!」 (囲まれてる……)

純一 (この3人が敵……)


アセロラちゃんから聞いた情報。

彼女から四肢を奪い取った3人。

ツンツン頭の神父。
ギロチンカッター。

チャラついた金髪の美少年。
エピソード。

筋骨粒々な大男。
ドラマツルギー。

僕はその3人に囲まれ、迫られていた。


純一 (アセロラちゃんは……)

『大丈夫。大丈夫。うぬならあの3人くらい楽勝じゃ。余裕じゃ、余裕』

純一 (って言ってたけど……)

純一 (完全体のアセロラちゃんをあそこまで追い詰めたんだから……余裕ではないんじゃ……)

純一「すみません!僕の話を聞いてくれませんか!?」

ギロチン「エピソードさん。ギロチンカッターさん。キッチリ仕事をこなしましょう」

エピソ「オッケーオッケー。ちゃちゃっと殺っちゃおうぜ」

ドラマ「了解した」

純一 (全然聞いてない……。僕のことを本当に仕事のターゲットとしか見てないんだ……)

純一 (話を聞いてくれないなら、無理矢理聞かせてやるだけだ。衝撃発言で耳を傾かさせてやるぞ!)

ーー

1「僕の名は橘純一!キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの婚約者だ!」

2「すみません!ウンコ行っていいですか!?」

3「おう!エピソード久しぶりだなあ!!」

ーー


選択権
>>25

3


純一 (こうなったら……!)

クルリ

エピソ「……あ?」

純一「おう!エピソード!久しぶりだなあ!!」

エピソ「は?」

ドラマ「知り合いなのか?エピソード」

エピソ「旦那ぁマジ勘弁してくださいよ。俺がこんなのと知り合いなわけないじゃないっすかー」

純一「でもエピソードくん。これで知り合いだよ。そしてこれから友達になれるんだ」

エピソ「何言ってんだ、お前。超ウケる!俺がテメェみたいな化け物と仲良くなるなんてありえねぇ」

ギロチン「エピソードさん。目標と接するのは好ましくありませんよ。まさか本当に知り合いとか」

エピソ「んなわけねーだろ!」

エピソ「証拠として今すぐ殺してやるよ」

ドラマ「おい!連携を……!」

エピソ「大丈夫っすよ!こんなやつ!」

ブァン!!

純一 (あんな大きな十字架の石像を軽々と投げ飛ばして……!?)

純一「……!!」ドガッ!

エピソ「よくできましたぁ!避けることくらいはできんのネ」

エピソ「でもさぁ……」

フッ

純一 (えっ!消えた……?)

スゥー

エピソ「……くくっ」

純一 (突然目の前に……!)

エピソ「避けるだけじゃ勝てねーんだよっ!」

ドッ!!!

エピソードは純一の足下に突き刺さっていた十字架を引き抜いて攻撃する。

純一「ぐはっ!」

十字架に直撃した純一の体は真っ二つに燃え千切れた。

ギロチン「エピソードさん!勝手な行動は慎んでください」

エピソ「ああ?お前が俺を疑うからこうしたんじゃねーか」

エピソ「このままとどめ刺してやんよ」


純一 (体はすぐ治るけど……。痛すぎて意識を失っちゃいそうだ……)

エピソ「おらよっ」

ヒュウ!!

純一「うっ!」

エピソ「カッコわりぃ避け方だなぁ。超ウケる」

フッ

純一 (また消えた……!)

ドラマ「おい!加勢するぞ!」

ギロチン「……」

ドラマ「……?」

ウゥーウゥー。

ギロチン「どうやら……騒ぎすぎたようですね。野次馬も集まってくるかもしれません」

ギロチン「ここは退きましょう」

ドラマ「くっ……」

ドラマ「エピソード!退くぞ!!」

エピソ「俺と旦那は霧になれっから、逃げる必要なんてねーだろ!」

エピソ「あいつを後遺症が残らねー程度に殺してから、連れてくわぁ」

ドラマ「エピソード……!」

ギロチン「もう行きましょう」

ドラマ「どいつもこいつも……!」

タッタッタッ

エピソ「これでタイマン勝負になったなぁ!早いとこ決着つけようぜー!」

純一「……!」


エピソードは再び十字架の傍に立った。純一はそこからすでに距離をとっている。

エピソ「さーてっ!次は避けられるかなっ」

純一「……!!」

ガシャン!

エピソ「あ?」

純一は電気のついていない家へと飛び込んだ。

純一 (良かった……。留守みたいだ)

純一 (ここに住んでる人ごめんなさい!)

しかしエピソードは構わず、その家に向かって十字架を投げ込む。

ドシャア!!!

純一 (この十字架……)

エピソ「逃げる気かぁ?」

十字架の傍にエピソードが姿を現した。

純一「来たっ!!」

エピソ「……!?」

純一 (この人は武器の十字架を必ず回収しにくる。つまり姿を現すのは十字架の近く……)

純一 (だから十字架の傍で構えていた)

純一 (僕が幸福なのか。この人が不幸なのか分からないけど……。この人は僕に背を向けた状態で現れたんだ……!)

純一「とぉりゃあああっ!!」

エピソ (まずい!霧になる……!?)

ーー間に合わない。

エピソ (避ける……!?)

ーー間に合わない。

エピソ (防御しか……!!)

ーー間に合わな グシャンッ!!!

純一の蹴りがエピソードの顔面に炸裂した。


ーーーー廃墟。

アセロラ『なんじゃそれは』

純一「え?」

アセロラ『その背に抱えた頭部の欠損した身体は何じゃと聞いておる』

純一「えっと……エピソードって言う人らしいんだけど……」

アセロラ『服装を見れば分かる。なぜそいつをここに連れてきた。儂らの敵じゃぞ?』

純一「アセロラちゃん!!」

アセロラ『なっ!なんじゃ……いきなり……』

純一「どうしよう!?」

アセロラ『?』

純一「すごい力を持ってるみたいだったし……こんなことになるなんて思わなかったんだ!なんとか助けられないかな!?」

純一「この人も人間じゃないんでしょ?ならまだ助けられるかも……」

アセロラ『なぜそやつを助けなきゃならん』

純一「なんで……って……」

アセロラ『うぬも殺されかけたんじゃないのか?』

純一「そうだけど……」

アセロラ『なら助ける義理なんてないじゃろ』

純一「いや……あるんだ」

アセロラ『???』

純一「ただの詭弁に過ぎなかったかもしれないけど……。僕はこのエピソードって人と友達になれるって言ったんだ……」

純一「友達を助けたいと思うのは当たり前でしょ……?」

アセロラ『それこそ詭弁じゃな』

純一「お願い……!」

純一は頭を地面に擦り付ける。

純一「エピソードくんを助ける方法があるなら教えてください……!!」

アセロラ『……』

純一「……」

アセロラ『……立て』

純一「……う、うん」

アセロラ『そこに横たわってるエピソードの傷口に、うぬの血をかけてやれ』

純一「……分かった」


エピソ「……あ?」

エピソ「ここは……?」

純一「大丈夫?」

エピソ「お前はぁ!」

アセロラ『……!!』

アセロラは純一の服の裾を握りしめる。

アセロラ『だから嫌じゃったんじゃ……』

エピソ「あぁ?ハートアンダーブレードもいんのかよ。超ウケる」

エピソ「今の超不完全体のお前なら。すぐに殺せるぜ?」

純一「それは勘弁してくれないかな?また戦ったりしたくないよ……」

エピソ「だったらなんで俺を助けた」

純一「え?」

エピソ「俺を回復させたのはどうせお前だろ」

純一「言ったでしょ?友達になれるって」

エピソ「本気だったのかよ……。超ウケる」

エピソ「おいハートアンダーブレード」

アセロラ『なんじゃ』

エピソ「俺のことこいつに教えたのか?」

アセロラ『名前だけな』

エピソ「くくっ。やっぱりか。通りでな」

エピソ「お前いいこと教えてやるよ」

純一「……」

エピソ「俺はヴァンパイアハーフだ」


エピソ「つまりぃ。俺は人間にも吸血鬼にもなりきれない、余り物ってこった」

エピソ「お前は人間を助けたわけでも、同種の吸血鬼を助けたわけでもねぇ」

エピソ「残念だったなバーカ」

純一「僕は君を助けたんだよ?」

エピソ「あ?」

純一「僕が助けたのは、君を人間と思ったからじゃない。吸血鬼と思ったからじゃない。ましてはヴァンパイアハーフと思ったからじゃない」

純一「エピソードくんだったからだよ」

純一「だから助けたんだ」

エピソ「……」

エピソ「マジでバカだなお前。さっき出会ったばかりで、しかも自分を殺そうとしていた相手を助けたい?」

エピソ「……超ウケるぜ。ホントに」

ザッ

純一「エピソードくん?どこに行くの?」

エピソ「ギロチンカッターとドラマツルギーの旦那んとこに報告しに行かなきゃなんねーからな」

純一「な、何て?」

エピソ「ハートアンダーブレードの眷族に左脚を奪い返されて逃げられたってな」

純一「え……?」

エピソードは影の中から左脚を取り出す。

純一「うぅ……」

アセロラ『あれは儂の!!』

エピソ「これで貸し借りは無しだ」

純一 (貸しのつもりはなかったんだけど……でも)

純一「ありがとう」

エピソ「ああ。俺の優しさに感謝しろ」

エピソ「じゃあな」

そのときのエピソードくんの後ろ姿は、なんとなく幼いように見えた。


ーーーー高校(廊下)。

綾辻「えっ!!」

棚町「昨日純一に会ったぁ!?」

綾辻「いつどこにいたの!?」

桜井「えっと、夜の9時くらいに純一の家で……」

棚町「あいつはなにしてんの!?周りに心配かけすぎよ!」

桜井「分からない……。分からないんだけど“全部解決したら戻ってくる”って……」

綾辻「何かトラブルにでも巻き込まれたのかしら……」

棚町「だったらなんでアタシたちに相談しないのよ!」

綾辻「あたしたちじゃ力不足なんでしょ」

桜井「それは違う!」

桜井「……と思う」

桜井「純一は私たちを巻き込みたくないんだよ。そのトラブルに……」

棚町「なんなのよ!それ!!」

棚町「ただ待つなんて性に合わないわよ!アタシはあいつを見つけ出して、力になりたい!」

棚町「だって純一ならそうするから!来るなって言ってもその人のためなら来ちゃうやつなのよ!あいつは!」

棚町「アタシは探すわよ。昨日桜井さんが見たってことは、この辺にいるんでしょ」

綾辻「あたしも探すわ!」

綾辻 (見つけたらお仕置きだからね……)

棚町「桜井さんはどうするの?」

桜井「わ、私は……」

桜井「分からないよ……!探したいけど純一はそれを望んでないんだもんっ……」

棚町「あんたは良くも悪くも純一のことを第一に考えすぎなのよ。もう少しワガママになってもバチは当たらないわ」

綾辻「本当……。あんなののどこがいいのかしら」

桜井「……探したい。探すよ!私!純一と早く会いたいから!」




ーーーープール。

七咲「はぁ!うぷっ!はぁ!」

ザバッザバッ

塚原「お昼から練習なんて感心ねー」

七咲「!」

七咲「塚原先輩?」

ザブザブ

ジャバ

七咲「どうしたんですか?」

塚原「七咲に話があってね」

七咲「私にお話……ですか」

塚原「橘くん行方不明なんでしょう?」

七咲「森島先輩から聞いたんですか?」

塚原「それもあるけど。あなたが今みたいに苦しそうに泳いでるときは大概彼が原因だからね。予感はしてなのかな」

七咲「そんなことは……」

塚原「昨日彼が自宅に姿を現したらしいじゃない」

七咲「はい。私も美也ちゃんから聞きました……」

塚原「はるかが今日、学校終わったら橘くんの捜索をするらしくてね。私も付き合わされそうなんだ」

塚原「七咲も一緒に探す?彼近くにいると思うし、部活どころじゃないでしょう」

七咲「さっ探します!迷っていたんですけど先輩達がそうするなら私も……!」

塚原「うん。そうした方がいいわ」

七咲「美也ちゃんと紗江ちゃんも誘ってみます!」

塚原「ええ。人は多い方がいいでしょ」


自分の左脚を完食したアセロラちゃんは凄まじい早さで成長した。中学生くらいの女の子に。

アセロラ『かかっ!前よりはいくらかマシかの』

純一 (体の大きさは美也と変わらないのに……なんなんだ!?この溢れる妖艶さは……!)

アセロラ『なんじゃ。まさか見とれておるのか?見惚れておるのか?』

純一「ままままっさか!僕は歳上好きだからね!」

アセロラ『ほう?儂は500歳ほどじゃから。ど真中ストライクかのぅ?』

純一「歳上好きとか言う次元の話じゃななくなってるよ……」

アセロラ『そういえば我が眷族ならやっておかねばならぬことがあった』

純一「儀式みたいなもの?」

アセロラ『そうじゃな』

純一 (足とか舐めさせられるのかな……)

アセロラ『儂の頭を撫でよ』

純一「うぇ?」

アセロラ『頭を撫でろと言っておる』

純一「あ、ああ……うん」

ナデナデ

純一 (なっ!なんて良質な髪質なんだ!柔らかくて滑らかで……!最高級のシルクみたいじゃないか!)

ナデナデナデナデ

純一 (それに黄金の髪の毛が月明かりに照らされて神々しいほどに輝いている!見ていて気持ちが浄化される……)

ナデナデナデナデナデナデ

ガッ

純一「えっ?何で僕の手を掴むの……」

アセロラ『撫で過ぎじゃ!』

背負い投げされる。

純一「撫で好きですっ!ぐはぁう!!」

アセロラ『ふぁーあ。もう眠い。大きくなれたところで寝るとしよう……』

アセロラ『zzz……』

純一「ちょアセロラちゃんそんなところで寝たら風邪……はひかないのか」

純一「じゃあ僕も寝よっか……」

純一「……」

純一 (みんな心配してるのかな……)


ーーーー朝。

純一「ぐーぐー」

シュボッ

純一「あっつ!!」

バッ

純一「なっなんだ!?」

純一 (窓から朝日が……。よかったアセロラちゃんには僕が壁になって当たってなかったみたいだ……)

僕はアセロラちゃんを安全地帯まで運んだ。

「朝っぱらから吸血鬼は大変だねー」

純一「!」

「超ウケる」

純一「エピソードくん!?どうしたの?」

エピソ「どうもこうもねぇよ。左脚奪われたって言ったらメンバーからハズされたんだよ。マジムカつくぜ」

純一「ご……ごめん」

エピソ「いや。別に純一にムカついてるわけじゃねぇよ~」

純一「あれ?何で僕の名前……」

エピソ「なに。帰ろうとしてた途中。お前の写真とか名前をバラいて、探してるやつらが目に入ったからな」

純一「……」

エピソ「かなり危険だぜ。そいつら」

純一「え?」

エピソ「ドラマツルギーの旦那は問題ないんだけどよぉ。ギロチンカッターがやべぇ」

エピソ「あいつはどんな手段を使っても、お前らを倒そうと思ってやがる」

エピソ「例え一般人を巻き込んでもな」

純一「それってじゃあ……」

エピソ「お前と親しい人物が人質になりかねねぇってこった」

エピソ「それがギロチンカッターにバレねぇうちに、お前を探してるやつらを撤退させた方がいいぜ~?」

純一「でもどうやって……」

純一 (本当のことを言うわけには……)

アセロラ『うーんムニャムニャ儂にいい考えがある』

純一「?」

アセロラ『吸血鬼にしかできんことじゃ』


アセロラ『これでよし……』

エピソ「何で俺がこんなこと……」

純一「すごい……僕と瓜二つじゃないか」

アセロラ『吸血鬼の変身能力をもってすれば造作もないじゃろう』

エピソ「俺がこの前、霧に変身した応用だな」

アセロラ『にしてもエピソード、うぬがこんなにも素直に引き受けてくれるとは思わなかったのぅ』

純一「いやこっちを見られても……エピソードくんはそっちだよ?」

アセロラ『むぐっ……!分かっておるわ!!』

エピソ「まぁ仕事として依頼されちゃあ、断る理由もないしな」

エピソ「後は制服をトレースして」

シュピーン

エピソ「こんな感じか?」

純一「制服も作れるんだ……すごいね」

アセロラ『うむも少しその気になればできるわい』

純一「えっ!本当!?」

アセロラ『それではエピソード。早く我が従僕の捜索をやめさせてこい。ついでに暫くはこやつのフリをして生活せよ』

純一「でも太陽の光を浴びても大丈夫なの?」

アセロラ「エピソードはヴァンパイアハーフじゃからの。吸血鬼としての弱点はほとんど無い」

エピソ「なんでハートアンダーブレードから命令されなきゃなんねーんだよ。仕事主はあくまで純一だ」

アセロラ『かかっ。その仕事主は儂の従僕じゃ。そんなことも考えられぬのか?』

エピソ「ああん?眷族より弱ぇ主様なんざ聞いて呆れるぜ。今のお前なら俺でも殺せんだよ」

アセロラ『そう思うか?』

エピソ「もちろん」

バチバチッ

純一「まぁまあ!喧嘩は止めようよ!もう敵じゃなくなったんだしさ!」

純一「エピソードくん。その仕事お願いできる?」

エピソ「……仕方ねぇな」

アセロラ『すぐにボロを出さぬか心配じゃわい』

エピソ「ああん!?いちいちうるせーんだよ。クソガキが」

アセロラ『やはり目上の吸血鬼に対しての接し方がなっとらんな!これだから稚児は好かん!』

アセロラ『お仕置きじゃ!』

アセロラ『吸血鬼パンチ!!』

ドガッ

純一「いったぁ!!」

アセロラ『少しは反省したか』

純一「はい……」

純一 (服で見分けらんないの!?)


ーーーー高校。


梅原「大将は……今日も休みか……」

綾辻「橘くん……」

棚町「なーにしょぼくれてんのよ!今日もあいつを探すのよ!」

綾辻「そうね……必ずどこかにいるはず」

ガララ

梅原「!」
綾辻「!」
棚町「!」

橘エピソ「……」

橘エピソ (確か純一が言ってたクラスはここだよな)

橘エピソ (で?奥の空いてる席があいつの席だからそこに座ってりゃいいんだな)

スタスタ

スト…

梅原「大将!!」

綾辻「橘くん!」

棚町「純一っ!!」

橘エピソ (なんだこいつら?純一の知り合いか?)

綾辻「どこ行ってたの!?皆心配してたのよ?」

梅原「そうだぜ。親友と俺にも何にも無しってのはどうなんだー?」

橘エピソ「お前らには関係ないことだ」

梅原「えっと……」

綾辻「橘くん……?」

棚町「アンタねぇ……」

棚町「さんざん心配かけさせておいて、なんなのよ!その言い草は!!」

ガッ!

棚町の渾身の蹴りをエピソードは軽々と受け止める。

棚町「え……?」

橘エピソ「……ったく」

橘エピソ「俺は屋上にでも行ってっからセンセー?にもそう伝えておいてくれ」



橘エピソ (純一がいるってことさえ印象付ければ、もうあの部屋にいる必要ねぇ。適当にこの建物のどこかで寝てりゃOKか。あそこにいたらトラブルになりかねねーし)

橘エピソ (にしてもいきなり蹴られるってことは純一の野郎、人間に対しても柔和な態度で接してんのか?)

橘エピソ (俺やハートアンダーブレードが化け物だから、ああいう態度をとってるわけじゃねーんだな……)


ーーー3年棟。

橘エピソ (このまま上に行ってりゃ屋上につくか?)

塚原「!」

森島「ひびきちゃん?どうしたの?」

塚原「彼って……」

森島「!」



森島「橘くーん!!」

橘エピソ「あ?」

森島「あ……あれ?もしかしてー、機嫌悪かったりする??」

橘エピソ (こいつも純一の知り合いかよ……)

橘エピソ「んなことはねーけどよ」

森島「そう?ところで君どこ行ってたのー?美也ちゃん寂しがってたよ?」

橘エピソ「そーかい。そりゃ悪ぃことしたな。謝っとく」

森島「謝っとくって……まだ美也ちゃんと会ってないの?」

橘エピソ「しらん」

スタスタ

森島「橘くん!?」


森島「どうしちゃったの……?」


ーーーー屋上。

橘エピソ「ここか……」

橘エピソ (学校が終わるまでここにいりゃいいな)

バン!

桜井「純一!」

橘エピソ「……?」

桜井「帰ってきてたんだっ!」

トコトコ

桜井「良かったあ」

橘エピソ (こいつも純一の知り合いかよ。仕方ねぇテキトーに合わせとくか)

橘エピソ「あぁ。色々あってな」

桜井「色々って……」

桜井「……え!!」

橘エピソ「あ?」

桜井「あなた……純一なの?」

橘エピソ「そうだけどー」

桜井「でもだって……匂いが……」

橘エピソ「はぁ?」

桜井「純一はもっと優しい香りがするハズなのに……」

橘エピソ (おいおいマジかよこいつ)

橘エピソ「ああー。香水をつけすぎたんだよ。それか洗剤代えたからだろ」

桜井「そうかな……そうだよね!」

桜井「姿形は純一なのに中身が純一じゃないなんてあり得ないもん!」

橘エピソ「あ、ああ!そうそう!んなことあり得ねーよ!」

桜井「だ、だよねー!じゃあ私そろそろ授業だから行くね。純一も急ぎなよー」

橘エピソ「はいはい」


桜井 (匂いだけじゃない……雰囲気も言葉遣いも全然ちがう。純一、休んでる間に何があったの……?)



ーーーー夕方。

橘エピソ (純一からあいつの家は教えてもらってるし、そろそろ帰った方がいいか)


ーーーー昇降口。

橘エピソ (はー。ダルい)

「待ちなさい」

橘エピソ「あ?」

綾辻「はじめまして」

綾辻「この挨拶で正解よね?あたしは綾辻詞よろしくね」

橘エピソ「……」

綾辻「それで?本当の橘くんはどこにいるの?」

橘エピソ「俺がその橘純一だぜ?」

綾辻「下手な嘘はやめなさい。あなたは橘くんとは似ても似つかないわ」

橘エピソ「俺は本当はこういう性格だったんだよ?それともなにか?姿形は純一なのに中身は違うってか?」

綾辻「確かに可能性の1つとして橘くんが猫をかぶっていたってことも考えられるけど、それを信じるくらいなら魔法であなたが橘くんに姿を変えたと考える方がマシね」

橘エピソ「……超ウケる」

綾辻「本当の橘くんの居場所を教えてくれないないと、あなたが偽物だってこと広めるわ」

橘エピソ「誰がそんな与太話信じるかよ」

綾辻「違和感を確信にかえるだけなら充分だと思うわよ?違和感を感じてる人は少なくないし」

綾辻「どうする?それでも教えてくれないのなら自力で探すだけだけど」

橘エピソ「……」

や絢辻さんナワ

ところで「絢辻さん」なのでそこんところ宜しく

>>46
あかん。ずっと勘違いしてた。
ご指摘ありがとうございます。


ーーーー廃墟。
 
純一「エピソードくん大丈夫かなぁ」

アセロラ『まぁやつがどんな言動をとろうが姿形はうぬそのものじゃ。よほどのことが無い限りバレぬわ』

純一「確かにそうなんだけど……」

純一 (七咲とか絢辻さんとか……異様に勘がいいからなぁ)

アセロラ『ふぁあ~』

アセロラ『儂はもう寝るぞ』

純一「まだ昼間だよ?」

アセロラ『吸血鬼は夜行性じゃ』

純一「あーなるほど……。じゃあ僕も」

アセロラ『っておい』

純一「え?」

アセロラ『どんだけ距離をとっておる。昨日もそうしていたな。前のように儂の隣で寝ろ』

純一「いやぁ……。前みたいにお子様じゃないし……」

アセロラ『嫌か?』

純一「滅相もございません」



アセロラ『……』

純一「綺麗だね。アセロラちゃんは」

アセロラ『知っておる』

純一「結婚とかしてるの?そうじゃなくても大切な人とかさ」

アセロラ『おらんな』

純一「ふーん」

純一「いつか見つかるといいね」

アセロラ『うぬは大切な人がおるのか?』

純一「……いるよ。たくさん」

アセロラ『その大切な者のためにうぬは誰かを殺せるか?』

純一「……え?」

アセロラ『……』

アセロラ『なんでもない。もう寝る』

純一「おやすみ」


ーーーー夕方。

純一「ぐーぐー」
アセロラ『すぅすぅ』

ドカッ

純一「がはっ!!」

アセロラ『なんじゃ……大きい声を出して』

純一「アセロラちゃん蹴ったでしょ……?」

アセロラ『儂の寝相はそこまで悪くないわ』

純一「じゃあ……」

絢辻「おはよう。橘くん!」

純一「ああうん。おはよ……って!」

純一「絢辻さん!?」

純一「なっ何で!?」

絢辻「それはこっちが聞きたいわね。何日も家にも学校にも来ずに、こんな廃墟で少女と添い寝してるなんて……。何があったの?」

エピソ「悪ぃな純一……」

純一「エピソードくん!」

エピソ「しくじっちまったぜ」


アセロラ『かかっ!ほれ見たことか!やはりガキんちょにはちと難しい仕事だったようじゃの!かかっ!』

エピソ「俺じゃなくてもこうなってたっつーの」

絢辻「このあたしを騙そうなんて考えが甘いのよ。ねぇ?橘くん」

純一「す、すみません……」

絢辻「それじゃあきちんと説明してもらおうかしら」

純一「う、うん……」


1・本当のことを言う
2・誤魔化す
3・アセロラちゃんに説明を頼む
>>53

1


純一「吸血鬼って分かるよね?」

絢辻『当然。最近噂になっているしね』

純一「で。この子がアセロラちゃん。吸血鬼なんだ」

アセロラ『キスショットアセロラハートアンダーブレードじゃ。ハートアンダーブレードと呼べ』

純一「後ろにいるエピソードくんはヴァンパイアハーフ」

エピソ「ヨロシクぅ」

絢辻「信じられない……。って言いたいけど。エピソードさんがあなたに変身していたのは事実だものね」

純一「……うん」

アセロラ『自分自身の事を教えた方がいいんじゃないかのぅ?』

アセロラ『うぬは人間だったのだから』

絢辻「……だった?」

純一「僕も吸血鬼なんだよね……。あはは……」


アセロラ『詳しくは儂の眷属じゃがな』

エピソ「完全な吸血鬼は太陽の下じゃ燃えさかっちまうからな。純一はこの廃墟に引きこもるしかなかったんだよ」

純一「本当はアセロラちゃんを助けるために死ぬつもりだったんだけど……」

純一「食事としての吸血をしなかったおかげで助かったんだ。僕もアセロラちゃんも」

絢辻「助けるって……」

絢辻「襲われたとかじゃなく、自分から身を差し出したってこと?」

純一「うん」

絢辻「……なんで」

純一「えっ?」

絢辻「何でそんなことしたのよ」

純一「いや……アセロラちゃんがここで死んじゃうくらいなら僕が死んだ方がいいんじゃないかって……」

純一「ほら。僕なんていなくなっても影響なんてそんなにないって言うか」

絢辻「……殴ります」

純一「はい?」

絢辻「今からあたしはあなたを殴ります。吸血鬼になった橘くんには容易く避けられる速さだろうけど、避けないでください」

純一「絢辻さん……?」

純一 (何で泣いて…………)



ポカッ

純一「絢辻さん……?」

絢辻「バカじゃないのっ?」

ポカッ

純一「……」

絢辻「棚町さんや梅原くん、妹さんや親御さん、みんながどれだけあなたを大切に思ってるか分かってないの……?」

絢辻「わたしも……あなたには死んでほしくなんてない」

絢辻「わたしを一人にしないでよ……」

純一「絢辻さん……」

絢辻「謝らないのね……」

純一「うん。アセロラちゃんを助けたこと後悔してないから」

アセロラ『……』

絢辻「……お人好し」

絢辻「でもそれが橘くんなのよね……」

純一「……ごめん」



絢辻「……それで取り返しはつくの?」

純一「え?」

絢辻「このままずっとここにいるなんて言わないわよね」

純一「安心して。アセロラちゃんの四肢を取り戻せば人間に戻れるみたいなんだ」

絢辻「?手足はあるようだけど」

純一「体を小さくして欠損した部分を補ってるんじゃないかな。本当はもっと……」

ガッ
純一「いたっ!なんで叩くの……」

絢辻「顔がいやらしい」
アセロラ『顔がいやらしい』

純一「と、とにかくあと右腕と左腕、右脚さえあればいいんだよ」

絢辻「誰かに奪われたの?」

エピソ「ヴァンパイアハンターにな」

絢辻「……ふん。まぁ。吸血鬼を退治する人達がいても不思議じゃないか……」

絢辻「つまりハートアンダーブレードさんは、身体を幾つか奪われているせいでそのハンターと戦えない。だから橘くんが代わりに戦かっていると」

アセロラ『儂の四肢さえそろえば万事解決じゃからの』

絢辻「……」



絢辻「こんなこと言いたくはないけど」

絢辻「……それって本当なの?」

純一「え?」

アセロラ『……』

絢辻「橘くんは天然記念物級のおバカさんだから疑いもしなかったんだろうけど」

絢辻「ハートアンダーブレードさんの四肢がそろったところで橘くんが人間になれるとは限らないじゃない」

絢辻「うまいこと言って橘くんを利用してるだけ……」

絢辻「そんなことないわよね?」

アセロラ『たしかに儂が嘘をついていない証明はできんが』

アセロラ『もう我が従僕には儂を信じるしか道はない』

絢辻「エピソードさん。あなたの意見も聞きたいわ」

エピソ「……四肢をそろえるのは純一が人間に戻る準備にすぎねぇからなぁ。それからハートアンダーブレードがどうするかは俺にも分からねぇよ」

絢辻「……そう」



絢辻「だってよ。橘くん」

純一「僕はアセロラちゃんを信じるよ」

絢辻「……でしょうね」

絢辻「じゃああたしは帰るわ」

絢辻「久しぶりにあなたと話せて嬉しかった」

純一「えっ……」

絢辻「またお話しましょうね。学校で」

純一「……」

純一「うん!」



ーーーー翌朝。学校。


橘エピソ (また屋上にでも……)

絢辻「待ちなさい」

橘エピソ「お前は……」

絢辻「授業はちゃんと受けなさい。できればノートも写して」

橘エピソ「なんで俺がそんなこと……」

絢辻「橘くんに迷惑がかかるでしょ。少しでも彼の助けになりたいならそうしなさい」

橘エピソ「けどよぉ。どうせボロがでるぜ?お前も分かってんだろ」

絢辻「安心してあたしにいい考えがあるから」



ーー教室。


棚町「純一どうしたの?マスクなんかして」

田中「風邪かな?」

絢辻「そうなの。橘くんたら昨日から体調悪いみたいで。今日はまったく声を出せないんらしいわ」

棚町「ふーん。バカは風邪ひかないってやっぱり嘘なのね」

棚町「……あら?なにも言い返さないのね」

棚町「言い返せないのかー!あははは!」

バシバシ!

橘エピソ「……」イライライライラ

絢辻「あはは……」



ーーーー廃墟。

アセロラ『さてどうするかのぅ』

純一「どうするって?」

アセロラ『残りの手足をどう取り戻すかじゃ』

アセロラ『ギロチンカッターがこのまま引き下がるとは思えんし……』

純一「じゃあここで待ってればいいんだ」

アセロラ『うーむ。後手にまわるのはすすまんな』

純一「僕らから攻めこむとか?」

アセロラ『奴等の大体の位置は分からんこともない。しかし結界やらなんやら小細工を仕掛けてそうじゃのぅ』

純一「八方ふさがり?」

アセロラ『いや』

アセロラ『道はまだある』



ーーーー放課後。学校。

橘エピソ「ああぁぁ。やっとおわったぜ」

絢辻「今日は半日授業だったんだから、まだマシでしょう?」

橘エピソ「まぁな」

橘エピソ「んじゃあ俺はそろそろ帰らせてもらうぜ」

絢辻「橘くんの家によね?」

橘エピソ「残念ながらそーいうことになるな」

絢辻「じゃあまた明日」

橘エピソ「……はぁ」




ーーーー帰り道。 

橘エピソ「……!」

橘エピソ (あれは純一の妹か……)

美也「にぃに……」

橘エピソ「はぁ」

橘エピソ「超ウケる」

美也「にぃにはにぃにじゃないんだよね」

橘エピソ「お前の入れ知恵かよ」

橘エピソ「ギロチンカッター」

ギロチン「おやおやそんな睨まないでくださいよ」

橘エピソ「そりゃ。可愛い妹の隣に、テメェみたいなオッサンがいたら兄として威嚇くらいしとかなきゃなあ」

美也「お兄ちゃんぶらないでよ」

美也「に……偽者なんでしょ?」




美也「どおりで色々おかしいと思った……」

ギロチン「疑惑は抱いていたらしいですよ。私はそれを確信にしたまでです」

橘エピソ「そんでどうすんだよ」

ギロチン「彼女を本当の兄のもとに連れていくつもりですよ?」

橘エピソ「人質としてだろ」

ギロチン「ええ。勿論です」

美也「え?」

ギロチン「ついてきてもらいますよ」

橘エピソ「待ちやがれ!」

シュイーン!!

橘エピソ「!?」

橘エピソ (足元に結界か……!?いつの間に……!)

ギロチン「並の吸血鬼が立ち入れば即消滅する結界なのですがねぇ。混ざりものには効果が半減ですか」

橘エピソ「げほっげほっ!!てめぇ……」

ギロチン「しかし動きは防げるようですね。そして体中から血も滲んでいるようだ」

ギロチン「生きていられればお仕事、また依頼しますね」

ギロチン「それではエピソードさん。さようなら」



橘エピソ「くそがっ!!」

橘エピソ (どうにかしてこの結界からぬけださねぇと……!!)

橘エピソ「あ"あ"あ"っ!!!」

グシャッ!!

橘エピソ「……くそっ」

橘エピソ (無理に動かすと体が引き千切れるぜ……)

絢辻「あら?」

絢辻「まだこんなところにいたの?」

橘エピソ「お前は!!」

橘エピソ「いいか!?とにかくお前は純一とハートアンダーブレードにギロチンカッターが迫ってることを伝えろ」

絢辻 (ギロチンカッター……?)

橘エピソ「そして人質も確保されてる。だからその覚悟と、どうにかする方法を考えとけってな」

橘エピソ「ここから純一たちがいる廃墟まではかなり距離がある。急げば先にたどり着くハズだ!」

絢辻 (ただごとじゃないのね…)

橘エピソ「頼む!!」

絢辻「分かったわ……!」



ーーーー同時刻。廃墟。

アセロラ『ようこそ我が城へ』

ドラマ「……」

純一 (いきなり影の中から出てきた……。これも吸血鬼の能力なのか?)

ドラマ「ここまで引き寄せられるとはな」

純一 (アセロラちゃんが言ってたまだ残されている『道』それは強制的に彼らをここへ登場させること……)

アセロラ『儂の右脚を引き寄せただけだかな』

アセロラ『ギロチンカッターはその対策もしていたようじゃが……。ドラマツルギー。うぬには効果的だった』

ドラマ「いいのか?ハートアンダーブレード。その不完全な姿ならば私1人でも退治は可能だぞ」

アセロラ『戦うのはもちろん儂ではない。我が眷族じゃ』

ドラマ「……」

純一「……」





ーーーー通学路。

タッタッタッタッ!

絢辻「はぁはぁ!」

絢辻 (もう限界……)

絢辻 (……諦めちゃダメ。橘くんはわたしを救ってくれた……。今度はわたしが橘くんを救う番……)

タッタッタッタッ!!

棚町「あれ絢辻さん?」

棚町「絢辻さん!?」

タッタッタッタッ!!

ガシッ!

絢辻「急いで……いるから……!手を離してくれない……はぁ……かな……」

棚町「急いでるって……!赤信号よ!?死ぬつもり!?」

絢辻 (赤信号?……必死で気づかなかった……)

棚町「絢辻さんがここまで必死になる理由……。純一のこと?」

絢辻「……」

棚町「あいつの様子おかしいし。なにか知ってるなら全部教えて。急いでいるなら包み隠さずシンプルに伝えるのがおすすめよ~?」




ーーーー。

棚町「純一が吸血鬼になって廃墟にいる?昨日今日の純一は偽者……?」

棚町「冗談?」

絢辻「あたしは……真実を話したわ。だからもう手を離してくれる?」

棚町「絢辻さんならもっとうまい嘘をつくだろうし……信じるしかないわね……」

パッ

絢辻「じゃあもういくから」

棚町「待ちなさい」

棚町「もう脚がガクガクじゃない。そんなんで走っても怪我するだけよ?」

絢辻「這ってでもいくわ」

棚町「……やれやれ。アタシに任せなさい!!」




絢辻「……え?」

棚町「純一に人質を連れたギロチンなんたらがくるって伝えればいいんでしょ?」

棚町「その廃墟……デパートの向こう側のやつでしょ?足には自信があるから」

棚町「アタシが伝えてやるわよ」

絢辻「あなたを巻き込むわけには……」

棚町「いままでアタシはさんざん純一を巻き込んできた。こんどはアタシが巻き込まれる番よ!」

棚町「ってわけで……」

信号が青にかわる。

棚町「ダアアアッシュ!!」

ダッ!!

絢辻「な……なんて速さなの……」






ーーーー廃墟。

ドラマ「仲間になるつもりはないか?」

純一「……?」

ドラマ「私と一緒に吸血鬼退治の仕事をしていかないか?」

ドラマ「お前ならすぐにナンバーワンになれるぞ」

純一「いえ。僕は人間に戻るんです。だから吸血鬼退治はちょっと……」

ドラマ「人間に戻る?」

ドラマ「本当か。ハートアンダーブレード」

アセロラ『本当じゃとも』

ドラマ「……ふん」

ドラマ「とにかく交渉は決裂か」

ドラマ「ならば行くぞ。ハートアンダーブレードの眷族よ」

純一「……!」


 


純一 (……たぶん)

ドラマツルギーの拳が純一に迫り来る。

純一 (攻撃を防ぐとか避けるとかいうのは吸血鬼にとって無駄な動きなんだ)

グシャッ!!

その拳が直撃した純一右肩は腕ごと吹き飛んだ。

純一「んぐっ!!」

しかし次の瞬間、純一の腕は生え代わる。

ドラマ 「なんという回復力……!」

その腕で純一はドラマツルギーを殴り付けた。

ドガッ!!

ドラマツルギーは壁際まで追いやられる。

純一 (今はまだお昼……このまま外に出せば……!)


ドラマ「まっ……待て!!」

純一「え?」

ドラマ「私の負けだ。降参だ。日の下に出されてはひとたまりもない」

純一「……」

ドラマ「ハートアンダーブレードの右脚はかえそう……」

そう言うとドラツルギーは影から右脚を取り出した。

純一「あ、ありがとう……ございます」

ドラマ「私は帰らせてもらうぞ」

アセロラ『うむ。とっとと帰るがいいわ』

ドラマ「……彼はお前を信じている。騙すような真似はするなよ」

アセロラ『…ふん』

ドラマ「ではさらばだ」

ドラツルギーは影の中にとけていった。

純一「よ…よかった……?」


ーーー商店街。

棚町「はぁはぁ……」

棚町 (流石に……ここまで全力疾走はキツいわね……)

七咲「……あ」

七咲「あれって確か……橘先輩の…」

七咲「棚町先輩ですよね?大丈夫ですか?だいぶお疲れみたいですけど……」

棚町「ああ……。あんたは確か……七咲だっけぇ?」

七咲「はい。それより、どうしたんです?急いでるみたいですけど……」

棚町「ちょっと純一に伝言をね……」

七咲「先輩に?でも先輩の家はこっちじゃないはずじゃ……」

棚町「まぁ……色々あってね……」

七咲「わけありですか。なら私が伝えましょうか?それくらいできますよ」

棚町「そ、そうね……。できるだけ早く伝えた方がいいらしいし……」

棚町「それじゃあ伝言を…………」


ーーー駅前。

七咲「確かデパートの近くって言ってたけど……」

七咲 (まずい。ここからいけるデパートが3つくらいある……)

中多「あれ?逢ちゃん?」

七咲「紗江ちゃん!ちょうどよかった……。廃墟が近くにあるデパートってどこのデパートか分かる?」

中多「えっとたぶん東デパートかな?」

七咲「ありがとう!」

中多「あ、逢ちゃん…?そんなに急いでどこにいくの!?」

七咲「橘先輩のところだよー!」

タッタッタッタッ!

中多「先輩のところ……?なんで廃墟なんかに……?」

中多「……」

中多「……よしっ」





ーーー公園前。

桜井「あれ?」

森島「……」コソコソ

桜井「森島先輩?どうしたんですか?」

森島「わわっ…!」

森島「しぃー!しぃー!」

桜井「??」

森島「こっちに隠れて…!」

桜井「あ、はい!」


桜井「なにやってるんですか?」

森島「あなた橘くんのお友達よね?あれ見て」

桜井「んー?」コソコソ

桜井「……あれって……」

桜井「……美也ちゃん?」

桜井「でも隣にいる男の人は誰だろう……」

森島「怪しいでしょ?」

森島「さっき声をかけてみたんだけど、知り合いだから大丈夫だって言うの」

桜井「でも美也ちゃん。怖がってるような……」

森島「そうなの。だからこうして後をつけてるのよ」

森島「いざというときは……私が……」

桜井「私も一緒についていっていいですか?美也ちゃんが心配です……」

桜井 (それに最近おかしな純一となにか関係があるのかも……)

森島「オーキドーキー!1人より心強いわ!」

桜井「はい!」


ーーーー。

絢辻「……ふぅ」

絢辻 (たいぶ息は整ってきたわね……)

絢辻 (とりあえずわたしも廃墟にいきましょう)


ーーーー。

棚町「よーし!」

棚町 (それじゃあ少し休んだことだしアタシもさっさと純一のとこにいきますか!)


ーーーー。

中多 (先輩が廃墟にいる……)

中多 (そこにいけば最近様子がおかしい原因が分かるかも……)

中多 (橘先輩……。私いつもの先輩に会いたいです…!)

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