ピンクチェックスクール・バーサス! (87)

モバマスSSです。80レスくらい。
ピンクチェックスクールはP.C.Sと略したりしてます。
途中で画像を貼ってますが開く必要はありません。

登場人物:島村卯月、小日向美穂、五十嵐響子

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493380865


――収録スタジオ・教室風のセット――

キーンコーンカーンコーン…

卯月「せーのっ」

P.C.S「ピンクチェックスクール・バーサスーッ!」

卯月「始まりました、『ピンクチェックスクール・バーサス!』のお時間です! 皆さん、はじめまして! P.C.Sの島村卯月ですっ!」

美穂「P.C.Sの小日向美穂です! この番組は、私達キュートなアイドルユニット、P.C.Sの新しい魅力を発掘するバラエティ番組です!」

響子「P.C.Sの五十嵐響子です! 私達の冠番組なんて、夢みたいですっ! 楽しんで頂けるよう精一杯頑張りますので、よろしくお願いします!」


響子「はじめに、ちょっと気になってるんですけど」

卯月「なんですか?」

響子「番組タイトルがなんだか物騒ですよね」

美穂「バーサス、だもんね。私達と誰かが対決するっていうことかな」

卯月「美穂ちゃんは、例えばうちの事務所だと誰と対決してみたいですか?」

美穂「ええー……おんなじトリオで考えると、トライアドプリムスが有名だけど」

卯月「安全パイですね!」

美穂「ど、どういう意味?」

卯月「例えばポジティブパッションだと武闘派がいるから手強いですけど、トライアドなら実質3対2ですもんね」

美穂「取っ組み合いでもするの!?」

響子「私はピンキーキュートとやってみたいです!」

美穂「それ私と卯月ちゃんが困るんだけど!?」

卯月「負けないよー!」

美穂「困って!?」


卯月「――はい、つかみのトークおしまいです!」

美穂「つ、ツッコミって今の感じでよかったのかな?」

響子「大丈夫だと思いますよ! あ、さっきのは台本通りだから、みんな心配しないでくださいね」

美穂「キュートなユニットって言ってるのに台本が過激だったから、びっくりしちゃったよね」

卯月「でも、普段言わないような言葉が使えて楽しかったね!」

美穂「そんなこと言っちゃうと、どんどんエスカレートしちゃうかもしれないよ」

響子「!」ピーン

響子「つまり、過激な台本はー……?」

美穂「え、ど、どうしたのこっち見て?」

卯月「!」ピーン

卯月「美穂ちゃん、いつものアレだよ!」

美穂「え……あ、アレのこと? や、やるの?」

卯月・響子「過激な台本はー……?」

美穂「……だ、ダメッ!」バッテン


卯月「やったー!」

響子「視聴率アップです!」

美穂「からかわないでよう……は、恥ずかしいっ」

響子「ファンの皆さん、絶対喜んでくれますよ!」

美穂「もう……そろそろ進めてくださいっ」

響子「そうですね」

卯月「…………」ニコニコ

カンペ『島村→では、この番組で具体的に何をするのか、こちらのコーナーで説明しましょう!』

卯月「――え、あ、次、私でしたねっ」アセアセ

卯月「では、この番組で具体的に何をするのか、こちらのコーナーで説明しましょう!」

ハイオッケーデース

セットチェンジハイリマース



卯月「はあ~、最後にトチっちゃったよぉ」

美穂「私の事からかうからだよ?」

卯月「ええっ、響子ちゃんが振ったのに!?」

響子「でも慌てる卯月ちゃんも可愛かったから、いいんじゃないでしょうか」

響子「……フリートーク部分はあんまりだったらカットするかもって話でしたけど、それはいやだなって思ったんです」

響子「だからつい、美穂ちゃんに頼っちゃいました」

美穂「頼ってくれるのは嬉しいけど、事故っちゃいそうでちょっと怖いかも」

卯月「私も、美穂クロスが出たところでホッとして台本飛んじゃった」

美穂「美穂クロス?」

響子「カットされないためにも、美穂クロスをどんどん引き出していきたいですね!」

美穂「美穂クロスって呼ばれてるの?」



スタンバイオネガイシマース

卯月「さあ、行きましょう!」

響子「次は卯月ちゃんが進行役ですね」

卯月「はい! ふたりは次のコーナーに関してくわしく聞いてないんだよね」

響子「そうですね。ミニクイズをやるっていうのは聞いてますけど」

美穂「リハーサルでも省略したところだから……ううっ、緊張する。卯月ちゃん、お願いね」

卯月「任せてっ!」



ゴビョウマエー…

卯月「ピンクチェックスクール・バーサス・プロフィールーッ!」

モニター『ピンクチェックスクール・バーサス・プロフィール』ジャジャーン

美穂(プロフィール?)パチパチパチパチ
響子(何するのかな?)パチパチパチパチ

卯月「P.C.Sはそれぞれで活動していた三人で組むことになったユニットですが――」

卯月「まだまだお互いに知らないこともたくさんあって、その分ユニットとして成長の余地もたくさんあると思います」

卯月「そういうわけで、まずはプロフィールからお互いの理解を深めましょう!」

美穂・響子「はーいっ」



卯月「でははじめに、このフリップを見てくださいっ」タンッ

響子「あ、私のプロフィールですね」

卯月「そうです、事務所が公開している響子ちゃんのプロフィールです」

美穂「あれ、趣味の欄が隠されてるよ?」

卯月「いいところに気づきましたね! じゃあ美穂ちゃん、響子ちゃんの趣味は何でしょう?」

美穂「え? お料理……あ、お掃除も?」

卯月(不正解の場合は本人に振る……)

卯月「うんうん、なるほど。じゃあ響子ちゃん、正解をどうぞ!」

響子「なんだか改めて言うのも照れますけど……家事全般、です!」

卯月「そのとーりです!」メクリ

『家事全般』

美穂「あ、そっかあ。ごめんね、うまく答えられなくて」

響子「いえ、我ながらちょっと大きく出たかなって思ってて」

卯月「でも、おかげで話の種には困りませんよね!」

響子「そうですね、楽しいこととか失敗談とか、色々」



卯月「それじゃあ、続いてこちら」タンッ

美穂「今度は私のですね。やっぱり趣味が隠れてる」

卯月「これは響子ちゃん、答えられますか?」

響子「はい! ずばり、ひなたぼっこです!」

卯月「さすがですね!」メクリ

『ひなたぼっこ』

卯月「美穂ちゃんはどうですか? ひなたぼっこトークできます?」

美穂「え、ええーと……あんまり」

響子「そうなんですか?」

美穂「うん……前はそういう話もしてたんだけど――」

美穂「だんだんファンの人達から、健康状態とか日焼けの心配をされちゃうようになって、良くないかなって」

響子「あー……でも、今もしてますよね? ひなたぼっこ」

美穂「えへへ、たまにね」



卯月「それでは、最後にこちら!」タンッ

美穂「卯月ちゃんですね」

卯月「そうです! 私、島村卯月の趣味は何でしょう?」

美穂「うーん」

響子「……あ、これじゃないですか?」ハイッ

卯月「響子ちゃん、どうぞ!」

響子「がんばること!」

卯月「あー、残念です!」

響子「やっぱり、趣味ではないですよね。美穂ちゃん、わかります?」

美穂「卯月ちゃんとはよくおしゃべりしてるけど、趣味って言われると、何か聞いたことあったかなあ?」

卯月「そう、おしゃべりするよね! だからわかるかもって思うんだけど」

美穂「ええっ? ぷ、プレッシャーだよ……」

カンペ『次行ってください』

卯月「……あー、時間切れですね! 正解はこちらです!」メクリ

『友達と長電話』

美穂「ああ……話の内容じゃなくて、お話することそのものが答えかあ」

響子「なるほどですね」



卯月「ここで響子ちゃんに聞きたいんですけど」

響子「はい」

響子(台本だと、ミニクイズをやってから卯月ちゃんが私に質問してくる流れ)

響子(ミニクイズっていうのは多分さっきの趣味のことだろうから、次がその質問のはず)

響子(私が答えるのは確か……)

卯月「響子ちゃんは、私と美穂ちゃんの趣味、どう思います?」

響子「…………」チラッ

カンペ『五十嵐→ちょっと地味っていうか、話を広げづらそうだなって思います』

響子(ごめんね、卯月ちゃん)

響子「真面目に答えますよ? ダメだったら編集してもらいますから」

卯月「う、うぇ?」

響子「美穂ちゃんは恥ずかしがり屋さんだけど実は結構大胆なところがありますし――」

響子「卯月ちゃんにはずっと一緒にいたいって思えるあったかさがあります」

響子「おふたりの趣味は、そういう人柄が感じ取れて素敵だと思いますっ」

卯月「響子ちゃん……」

卯月(き、気持ちは嬉しいけど、台本とぜんぜん違うよ~!?)

卯月(カンペも出てるのに、どうして!?)

卯月(え、っていうかこれどうすればいいの? カメラ止まらないの? 次のカンペは!?)



美穂(響子ちゃん……思い切ったことしちゃったね)

美穂(驚いたけど、そんなふうに見てくれてたんだ)

美穂(あんな風に言ってくれたんだもの、慣れない進行役でテンパってる卯月ちゃんを、私がフォローしなくっちゃ)

美穂(ほんとにカットされたらもったいないもんね)


卯月「…………」アワアワ

美穂「卯月ちゃん、感動して言葉も出ないの?」

卯月「あうっ!? そ、そうかも?」

美穂(そのまま私に振って!)

卯月(! そ、そっか!)

卯月「じ、じゃあ美穂ちゃんはどう思う?」

美穂「うーん、地味っていうか、さっきも言ったけど話を広げづらいかなって思います」

卯月「そう! そうだよね!」

卯月「私も、電話の内容をしゃべったら相手にも悪いし、結局『誰それと何時間しゃべりました』くらいしか言えなかったりするの」

卯月「かと言って、他に語れる趣味もないから、困ることも結構あるんだよね」

卯月「そこで! この番組では、私達がいろんなゲームとかに挑戦していきます!」

卯月「勝者には、趣味や特技としてプロフィールに載せる資格が与えられます!」

卯月「みんなで競い合って、キュートなだけじゃない、話題豊富で芸達者なアイドルを目指しましょう!」


美穂「やっぱり何かできたほうが心強いもんね」

卯月「響子ちゃんはすでにデキる人だけど、付き合ってくれると嬉しいな」

響子「はいっ、私もいろんなことに挑戦してみたいです」

美穂「よろしくお願いします、響子センパイ!」

響子「せ……センパイ!?」

美穂「えへへ、スキル的にそんな感じかなって」

響子「ま、任せてください!」

卯月「よーし、みんなやる気を出したところで、次のコーナーに行きますよー!」

美穂・響子「はーい!」パチパチパチパチ

ハイオッケーデース

セットチェンジハイリマース



響子「――さっきはごめんなさい、勝手なことして!」

卯月「ううん、大丈夫だよ。でも……」

響子「はいっ、ディレクターさんにも謝ってきます!」タタタッ

卯月「……響子ちゃん、すごいね」

美穂「うん。とっさに流れを変えちゃうなんて」

美穂「あのセリフは自分が言うより当事者の私達に言わせた方が自然だし、印象もいいもんね」

卯月「私が打ち合わせのときに気づいてれば、台本を直してもらえてたかも……」

卯月「美穂ちゃんもありがとう、助けてくれて」

美穂「ううん、自分が進行役だったらもっとひどかったと思うし……」

美穂「この調子でお互いをフォローし合えば、きっといい番組になるよ」

卯月「うん!」


響子「――戻りましたー!」タタタッ

卯月「どうでした?」

響子「はい、悪いこと言ったわけじゃないから問題ない、って」

響子「でも、プロデューサーさんからはちょっとお説教されちゃいました」

美穂「なんて?」

響子「ああいうバラエティ慣れしたような発言はまだ早い、って」

卯月「ダメだったらカットして、っていうやつ?」

響子「はい……スタッフさんに嫌われたくないっていう気持ちが出ちゃいました」

響子「あ、でもアドリブそのものは褒めてもらいました。あれは変えていい筋書きだったって」

響子「ふたりにも、責任は自分が負うから、後先なんて考えなくていいって言っておけ、ですって」

美穂「あ、あはは……そんな大胆なことはできないだろうけどね」

卯月「でも、私達も響子センパイの姿勢は見習いたいですっ」

響子「も、もうっ、卯月ちゃんまで」



スタンバイネガッシャース

響子「あ、行きましょうか」

卯月「次は早押しクイズかぁ。リハでは結構いい勝負だったし、盛り上がるといいなっ」

美穂「クイズ部分には台本なんてないから、私達にかかってるってことだよね」

美穂「あっ、自分で言って緊張してきちゃった……」

卯月「ふふっ、そんなだったら大差つけて勝っちゃうよ!」

美穂「プレッシャーかけないで~……」



ゴビョウマエー…

響子「ピンクチェックスクール・バーサス・早押しクイズーッ!」

モニター『ピンクチェックスクール・バーサス・早押しクイズ』ジャジャーン

卯月・美穂「わーっ」パチパチパチパチ

響子「アイドルといえば、お仕事に追われてお勉強がおろそかになりがちです」

響子「その結果、クイズ番組などで知識のなさがバレて恥ずかしい思いをすることも!」

響子「しかし、そこで頭の回転の良さを見せることができれば、ひと味違うアイドルとして注目をあびること間違いなし!」

響子「ということで、これからみんなで早押しクイズに挑戦していきましょう!」


響子「今から後ろの、このおっきい黒板みたいなモニターに問題が表示されます」

響子「はじっこに出ているのは得点ですね」

――――――――
 卯月[00]
 美穂[00]
 響子[00]
――――――――

響子「問題が出たら、私達が早押しで解答します」

卯月「このボタンですね」ピコーンッ

卯月「あ、押しちゃった! ごめんなさい、消してくださ~いっ」ピカピカ

美穂「もう、卯月ちゃんてば」

響子「あはは……で、正解すると10ポイント」

ピンポンピンポーン

響子「惜しかったら4ポイントが加算されます」

ピニャァ

卯月「惜しいとぴにゃこら太が鳴くんだ?」

響子「お手付きはないので、自信がなくてもどんどん答えていきましょう!」

美穂「簡単に正解しないのが当然みたいなルールだね」

卯月「そんなに難しい問題だったら、時間かけても全然答えられないかも」

響子「大丈夫です、時間が経つとヒントが出ますから」



響子「じゃあ、そろそろ始めましょうか……第一問、お願いします!」


ナレーション『写真に写っている物はなんでしょう』

http://i.imgur.com/JqrAZdB.jpg
(↑ピアノの写真)

モニター『[ ? ]』ジャンッ


卯月「!」ピコーンッ
美穂「!」バンッ
響子「!」バンッ

卯月「やった! 島村卯月、頑張りました!」ピカピカ

美穂「なんだか、本物のクイズ番組みたいな早押し勝負だったね」

響子「そのために簡単な問題にしてくれたのかも」

卯月「いくら何でもこれがわからないほど、おばかさんじゃありません!」ピカピカ

卯月「答えは『ピアノ』です!」

ブーッ

P.C.S「!?」



卯月「……え? あれ、どう見てもピアノですよね?」

響子(ひっかけ問題? でも他にどうやって見れば……)

美穂(ただの『ピアノ』じゃないなら……)ピコーンッ

美穂「ぐ、『グランドピアノ』?」

ブーッ

美穂「あっ……」

卯月「これも違うんですか? 他になんていうピアノがあるんだろう?」

響子(もしかしたら……でも、確信が持てないうちは……)

美穂「これが正解なわけないと思うけど……」ピコーンッ

美穂「『ヤマハのピアノ』?」

ブーッ

美穂「……大丈夫、どうせ違うってわかってたから恥ずかしくない恥ずかしくない……」

卯月「美穂ちゃん、頑張ったね」

卯月「でも、もう本当に見当がつかないよ」

美穂「そ、そうだね。響子ちゃんはどう?」

響子「ちょっと、まだ」


響子「――あ、ヒントが出ますね」

モニター『正解はピアノとは関係ありません』ピコンッ

卯月「えっ!?」
美穂「どういうことですか!?」
響子「!」

響子(それがヒントなら、やってみるしかない……!)ピコーンッ

響子「もしかしたら、すっごく恥ずかしいことになるかもしれませんけど――」ピカピカ

響子「実家できょうだいと観ていたバラエティ番組にこういう感じのクイズがあったので、それの解答法で行きます」ピカピカ

響子「…………」ピカピカ

響子「……は、『箸置き』」

卯月・美穂「?」

ピニャァ

美穂「え?」

――――――――
 卯月[00]
 美穂[00]
 響子[04]ピロンッ
――――――――


卯月「あ、響子ちゃんに4点入ったよ! 惜しいっていうこと?」

響子「ほっ……」

卯月「どういうことなの? ピアノみたいな見た目の箸置きがあるの?」

美穂「卯月ちゃん、箸置きは正解じゃないよ」

卯月「あ、そうでした。なんか混乱しちゃって」

美穂「でも、惜しいっていうくらいだから、食事に関係あるのかな?」

卯月「ねえ響子ちゃん、ピアノの形したキッチン用品があるの?」

響子「さあ……? 見たことありません」

卯月「? じゃあなんでいま箸置きって」

響子「それは、その……いえ、これは勝負ですから」



響子(読み通り……これはクイズに見せかけた大喜利みたいな感じなんだ)

響子(リハでは普通にクイズをやったのに、本番でいきなり、なんてひどい話だけど――)

響子(今のところ、この仕組みに気づいたのは私だけ。この一問目を正解して、『響子センパイ』としていいところを見せたい!)

響子(確か、同じ系統の答えをたたみかけると、合わせ技みたいな感じで正解になりやすいはずだから……)ピコーンッ

響子「『エッグスライサー』!」

ピニャァ

――――――――
 卯月[00]
 美穂[00]
 響子[08]ピロンッ
――――――――

美穂「これも惜しいんだ」

卯月「え、えっぐらいす? なんですかそれ?」

響子「エッグスライサーですよ。ゆで卵を輪切りにするアレです」

卯月「あ、あー、アレのこと……え、なんで!?」


響子「ふふっ、さあ今度こそ当てますよー!」ピコーンッ

響子「『バーベキューセット』!」

ブーッ

響子「え!?」

卯月「これは惜しくないの?」

響子「…………」

美穂「き、響子ちゃん、大丈夫!? 耳まで真っ赤だよ!?」

響子「だ、だいじょうぶです」



響子(うう……なんで今のが不正解になるの?)

響子(私得意のキッチン関係で三つも重ねれば正解に届くと思ったのに、逆に遠ざかるなんて)

響子(…………)

響子(もしかして、私ひとりで続けちゃったから?)

響子(コンビ芸とか便乗とかじゃなくって、私ひとりで突っ走ったから、しつこいって切られちゃったのかも)

響子(ひとり……)

響子(そうだ、私は今P.C.Sの一員なんだ)

響子(自分ばかりタネがわかったつもりでいたって、ユニットとしても番組としても全然いい形じゃない)

響子(みんなで盛り上げて、みんなで乗り越える……)

響子(『ピンクチェックスクール・バーサス・早押しクイズ』!)



卯月「うーん、響子ちゃんの解答に近い物を、当てずっぽうで答えるしかないのかな?」

美穂「4ポイントずつでも稼ぎたいね」

響子「あ、あのっ、卯月ちゃん、美穂ちゃん」

卯月「どうしたの?」
美穂「なあに?」

響子「このクイズの考え方を教えます……私なりの、ですけど」

卯月「考え方?」

響子「これは、ただのクイズでなくて、発想力の問題なんです」

美穂「発想力、って?」

響子「それが実在するかどうか、本当かどうか――ではなく、『面白い発想だ』と思わせたら正解なんです」

卯月「お、面白いと正解? ますますわからなくなってきちゃった」


美穂「……そっか。響子ちゃんが『ピアノと関係ない物』ってヒントでどうしてああやって答えたのか不思議だったんだけど――」

美穂「どの答えも、ピアノの形や仕組みから発想したんだね」

響子「は、はい。まあ」

卯月「っていうと?」

美穂「ほら、ピアノのフタって、ああいう風にへこんでるじゃない? それを箸置きのへこみに見立てたんだよ」

卯月「あ、あーっ! じゃあ、すごくおっきいお箸……巨人さんの箸置きなんだね!」

響子「え?」

美穂「そうだね!」

響子(そこまで考えてませんでした)


卯月「じゃあ、じゃあエッグのアレは?」

美穂「ピアノの中の弦がそれっぽいんじゃないかな」

卯月「何の卵なら合うんだろう?」

美穂「わかんないけど、大きいのだったら……ダチョウ? ガチョウ?」

卯月「そっかぁ」

響子(そっかぁ)

美穂「バーベキューセットは、あの中に炭を入れて――」

卯月「フタの上でお肉を焼く!」

響子「と、隣であんまり分析されるとつらいんですけど……」

卯月「ゴメンね、響子ちゃん。でも、だんだんわかってきたよ!」


美穂「でも、なんでバーベキューセットは不正解だったのかな?」

響子(更につらいところに……! か、カットしてもらえるように後で頼もう……)

卯月「あ、わかりました! 前のに比べると、なんだか普通だからじゃないかな!?」

響子(あうっ)

美穂「そっか、他のは巨人サイズだけど、バーベキューなら私達でもできそうだもんね」

響子「いやいや無理ですよ! ……」

響子(え、まさか本当にそういう理由で不正解だったの?)

響子(ひとりで突っ走っちゃったからとかじゃなくて、単純にスケールダウンしてつまらなかったから?)

響子(つ、つまらなかったから……)

響子(か、顔が、熱い……絶対に、カットしてもらわないとっ)



カンペ『島村さん小日向さん そろそろ面白い解答をどうぞ』

美穂「!」

美穂(卯月ちゃん、いける?)チラ

卯月(いけません)フルフル

美穂「うーん。た、試しに一度答えてみますね」ピコーンッ

美穂「…………」ドキドキピカピカ

美穂「テイッ!?」

卯月・響子「!?」

美穂「んんっ! ごめんなさい、声が裏返っちゃいました……て、『低反発まくら』!」

……

ピ、ピニャァ

卯月「うん!?」

――――――――
 卯月[00]
 美穂[05]
 響子[08]ピロンッ
――――――――

響子「あれ、5点?」

カンペ『かなり惜しいのでサービスです』

卯月「サービスだって」

美穂「ふう、安心しました……じゃあ、卯月ちゃんどうぞ」

響子(振り方が雑ですよ!?)


卯月「うぅ、やっぱり私ももう一回くらい答えないとだよね……」

響子「卯月ちゃんが考えてる間に、美穂ちゃん」

美穂「はい?」

響子「どうやって今の答えを出したの?」

響子(って意地悪な質問かな)

美穂「響子ちゃんのとおんなじで、ピアノのへこみから連想したの!」

響子(あっ、すごく嬉しそう)

美穂「でも、ピアノは硬いから、寝てもちっとも休まらないよね。実用性は低いかあ」

響子「そ、そんなに真面目に考えないで、形だけピアノでいいじゃないですか」



卯月「…………」

卯月(響子ちゃんはお料理、美穂ちゃんはお昼寝)

卯月(趣味をきっかけにしてクイズ? に答えてる。いいなあ)

卯月(私には、なんにもないよ……長電話なんて、誰でもできるもん)

卯月(せっかく響子ちゃんが褒めてくれたんだから、私だってこたえたいのに)


カンペ『島村さんを待たなくていいので 誰か解答してください』


響子(あ、そろそろ時間切れってことかな。多分正解のハードルがぐんと下がってるから、だいたい何を答えてもいけるはず)

響子(で、でもバーベキューセットよりはスケールアップしないと! えっと、えっと)


美穂(ピアノとぴにゃこら太って語感が似てる……)

美穂(低反発ぴにゃこら太?)



卯月(電話するだけの趣味。何の道具も技術もいらない、ただおしゃべりするだけの……)

卯月(――あっ、道具って!?)ピコーンッ

響子「あっ、卯月ちゃんいけますか?」

卯月(思わず押しちゃった。でも、もうこれしか思いつかないよ)ピカピカ

卯月「は、はいっ、いきます……『黒電話』!」

……

ピンポンピンポーン

――――――――
 卯月[10]
 美穂[05]
 響子[08]ピロンッ
――――――――

卯月「や、やった……やったよ、美穂ちゃん響子ちゃん!」ピース!

響子「すごいです!」
美穂「やったね!」

卯月「え、えへへ。私、もしかしたらクイズの才能があるのかもしれません!」

美穂「あっ、いいなあ。次は私ももっとがんばるよ!」



響子「――では、続いて第二問、お願いします!」


ナレーション『写真の動物の名前を答えてください』

http://i.imgur.com/r3PwKnl.jpg
(↑ゴリラの写真)

モニター『[ ? ]ラ』ジャンッ


卯月「!」ピコーンッ
美穂「!」バンッ
響子「!?」ビクッ

卯月「やった! 才能が開花しました!」ピカピカ

美穂「うう、また負けちゃった」

響子「……え、ふたりとも一瞬で思いついたんですか?」

卯月「正解は『ゴリラ』ですっ!」

美穂「やられたー」
響子「え」

ブーッ

卯月「あれぇ!?」

響子「いやいやなんでですか」



美穂「はいっ!」ピコーンッ

美穂「『マウンテンゴリラ』!」

響子「ちょっ」

ブーッ

美穂「はずれ……」

響子「な、なんですか、もうふたりしてお約束を身に着けたんですか!?」

卯月「もしかしたら普通のクイズなんじゃないかなって」

美穂「ここで一回間違っておくと気が楽かなって」

響子「顔真っ赤ですよ美穂ちゃん」


響子(……でも、出題直後の解答は撮れ高的に考えると価値があるのかも)

響子(バラエティ慣れしてなくても、そこはアイドルとしての勘が働いてるの?)



卯月「えいっ」ピコーンッ

卯月「『上野動物園のゴリラ』!」

ブーッ

卯月「これもダメ……」

モニター『正解はゴリラとは関係ありません』ピコンッ

美穂「やっぱりさっきと同じパターンかあ」

卯月「ゴリラじゃないけどラで終わるものって?」

響子「山ほどありますけど、あの写真を見て何を選ぶかですよね」

卯月「あっ」

美穂「ん?」

卯月「いえなんでもないです」

美穂「あ、わかりました!」ピコーンッ

美穂「『島村』!」

響子「ちょっ」

ピニャァ

――――――――
 卯月[10]
 美穂[09]
 響子[08]ピロンッ
――――――――


卯月「あーっ、やっぱり言えばよかったあ」

美穂「ごめん卯月ちゃん。顔を見たら思いついちゃったから」

響子「ふ、不仲になるのだけは避けましょうね」

卯月「こ・ひ・な・た・み・ほ……」

美穂「残念、ラは入ってないの」

卯月「い・が・ら……」

美穂「いがら」

響子「だめです」



カンペ『五十嵐さん 仕切り直してください』


響子「……さあ、クイズに戻りますよ? 思いついた人、押してください」

美穂「うーん、ラで終わる言葉で、面白いもの……」

卯月「面白いって、意外ーっていうのもいいのかな?」

響子「アリだと思いますよ」

卯月「じゃあいきますっ!」ピコーンッ

卯月「『カエルラ』!」

響子「!?」

ピニャァ

――――――――
 卯月[14]
 美穂[09]
 響子[08]ピロンッ
――――――――

卯月「惜しかったです」

響子「ここにいない人をネタにしていいんですか!?」

卯月「あ、そっかあ。ラで終わる言葉ってだけで、他のこと考えてませんでした」

美穂「それに、あの写真には一頭しか写ってないし」

響子「そういう問題じゃないですよ」



カンペ『フリートーク!』


響子(え、掘り下げろっていうんですか!?)

響子(でも……私、さっきの問題でつまづいてから、答えるのをちゅうちょしてるのかも)

響子(さっきはふたりを置き去りにして、今度は置いて行かれてる……)

響子(これじゃダメ、今のうちにできるだけしゃべって気持ちを軽くしないと)


卯月「そういえば、響子ちゃんはカエルラのみなさんとつながりがあるよね」

響子「は、はい。まあ」

卯月「ゴリラ扱いして、怒られちゃうかな?」

響子「……クールな方達ですから、苦笑いしておしまいかもしれませんね」


美穂「ありすちゃんとかは気を悪くしそうかも。ごめんねありすちゃん」

響子「……!」

響子(後先なんて考えるな……)

響子「『ゴリラって呼ばれるの、好きじゃないんです。橘って名字で呼んでください』」

卯月・美穂「え!?」

響子「『文香さんなら、ゴリラって呼んでもいいですよ』」テレッ

卯月「ん、ぶふっ!?」
美穂「あははっ……はっ!? す、すみません……」

響子(いける……)

卯月「……ふーっ、ふーっ」プルプル
美穂「ん、んんっ……ああびっくりしたぁ」

響子「『ボクはゴリラ。二宮ゴリラ』」

卯月「ひ、ひーっ、く、くくっ……!」バンッバンッピコーンッ
美穂「うくっ、ふ、ふふっ……!」プルプル

卯月「も、もう、きょうこちゃん、やめて……」ピカピカ

響子「『このオリの中だけがボクのセカイさ』」フッ

卯月「~~~っ!」ピカピカ
美穂「そ、それっぽいこと、いうの、だめ……」

ブーッ

卯月「わっ!?」



響子(ありすちゃん、飛鳥ちゃん、ごめんなさい。お詫びにあとで何かごちそうするから)

響子(でもおかげで、すごく気持ちが楽になったよ)

響子(ふたりがあんなに笑ってくれてよかった……もう、気負いなんてない!)


卯月(あー面白かった。私が考えなしに答えたのがきっかけだったのに、響子ちゃんに助けてもらっちゃった)

卯月(話を広げてくれたってだけじゃない)

卯月(響子ちゃんはきっと、私が背負うはずの罪悪感を半分こにしてくれたんだ)


美穂(ふう……テレビに出てこんなに笑ったのなんて、初めて)

美穂(どんなふうに映ってるかって考えると恥ずかしくなるけど――)

美穂(私達、予想もしてない形で楽しくできているのかも。こんなにどきどきしてるのは、緊張のせいだけじゃないよね)



カンペ『編集点のキュー出します』

P.C.S「お願いしますっ」

3…2…1…

響子「!」ピコーンッ

響子「ためしに、シンプルにいってみます」ピカピカ

響子「『コアラ』!」

ピニャァ

――――――――
 卯月[14]
 美穂[09]
 響子[12]ピロンッ
――――――――

響子「あ、いいんですか」

美穂「ゴリラの写真にコアラって書かれてたら、なんか受け入れちゃいそうだよね」

響子「それはどうかと思いますけど」

卯月(ゴリラなのにコアラ……ゴリラなのに……はっ!)

卯月「思いつきました!」ピコーンッ

卯月「『親がコアラ』!」

美穂「どういうこと!?」

ブーッ

卯月「あー」

響子「便乗します!」ピコーンッ

美穂「はずれたのに?」

響子「『餌がコアラ』!」

美穂「どういうこと!?」

ブーッ

響子「だと思いました」


卯月「コアラシリーズはダメみたい」

美穂「シリーズ?」

響子「美穂ちゃん、ツッコミに専念してたら点差が開いていきますよ」

美穂「そういうつもりじゃないんですけど」

卯月「美穂ちゃんにはツッコミの才能があるのかもしれませんねっ」

美穂「じゃあ、トップの卯月ちゃんは逆にボケの才能があるのかな」

卯月「ええっ、私ボケじゃないよっ」

響子「…………」

美穂「ほら、響子ちゃんだってこう言ってる」

卯月「何にも言ってないよ!?」

響子(逆転してる)



美穂(いい感じにリラックスできてる、かな。それじゃ……)ピコーンッ

美穂「私もシンプルなのしか浮かばないけど……」ピカピカ

美穂「ご、『ゴジラ』?」

ピニャァ

――――――――
 卯月[14]
 美穂[13]
 響子[12]ピロンッ
――――――――

美穂(ほっ……)

卯月「!」バシバシバシピコーンッ
響子「!」バシバシバシバシ

卯月「またまたやりました!」ピカピカ

卯月「『親がゴジラ』!」

ブーッ

卯月「あああ」

響子「……!」ピタッ

美穂「卯月ちゃん、そういう複雑な境遇が好きなの?」

卯月「!? そ、そんなつもりは」



響子(……んー、思わず続けて答えるところだったけど、やめてよかったよね)

響子(卯月ちゃんの解答が不正解な以上、私がここでダメ押ししても無意味だろうし)

響子(前の答えに付け足すのは悪い手じゃないと思うけど、うまくいかないなあ)

響子(時間的にはそろそろ正解のハードルが下がってもいいはずだし、考えないと……)


美穂(『名前を答えてください』だから、親がどうのっていう答えは不正解なんだよね)

美穂(あれだと説明になっちゃうから……私にはない発想だったおかげで理由がわかった)

美穂(名前であることさえ間違わなかったら、ポイントは取れる?)

美穂(前の答えと組み合わせて考えてみるとか……?)


卯月(うーん……さっきからブーばっかり。考え方が悪いのかなあ)

卯月(見た目ゴリラなのに親が違う生き物なんて、すごく面白いと思ったのに)

卯月(……アイドル島村卯月の解答としては、イメージがよくないのかも?)

卯月(みんなの答えを参考にしてみようかな……)



卯月(――!)ピコーンッ
響子(――!)バンッ
美穂(――!)バンッ

響子「あれっ!?」
美穂「ええっ!?」

卯月「ご、ごめんなさいふたりとも。えっと……『マウンテンゴジラ』?」

ピンポンピンポーン

――――――――
 卯月[24]
 美穂[13]
 響子[12]ピロンッ
――――――――

卯月「あ、当たっちゃった」

美穂「なんか、みんな同じタイミングで押してたね」

響子「息が合ってるってことですよ、きっと」

響子「――で、『マウンテンゴジラ』ってなんですか?」

卯月「えっ!? わ、わかんない。前に出た答えを適当にくっつけただけなの」

美穂「ゴジラって、確か海から出てくるんだよね? ざばーって」

美穂「だから、山から出てくるのがそうなんじゃない?」

卯月「あっ、じゃあそれで」

響子「……美穂ちゃんの発想力には驚かされます」

美穂「できればクイズの方に発揮したいんだけどね」

響子「そういえば、二問続けて卯月ちゃんが取ってますね」

卯月「実感ないけど、いいのかな」

響子「勝負なんですから、遠慮はいらないんですよっ」

美穂「そうそう、私だってこれでも全力なんだよ?」

響子「私もです。次の問題だって渡す気はありませんからっ」

卯月「そうだよね……よし、がんばるよ!」



響子「それじゃあ、最後の問題に行っちゃいましょう!」


ナレーション『まずはこちらの曲を聞いてください』

♪……ねぇ聞いて ステキな恋をしてるの……♪


卯月・美穂「!」
響子(嫌な予感がする)


モニター『この番組のエンディングテーマでもある、P.C.S初のユニット曲といえば?』
モニター『[ ? ]』ジャンッ


卯月「えいっ!」ピコーンッ
美穂「んーっ」バシバシバシバシ
響子「!」バシバシバシバシ

卯月「ばっちりです!」ピカピカ

卯月「では島村卯月、P.C.Sを代表して答えさせていただきます!」ピカピカ

卯月「『ラブレター』!」ビシィ

ブーッ

卯月「もうっ! 『ラブレター』なんですってばぁ!」

ブーッ

卯月「……しょんぼりです」

美穂「ほんとだね」

響子「天国から地獄へ、って感じですね」



卯月(この問題も、デタラメを考えなきゃいけないの? 気が進まないよう)


響子(また一段と意地悪な問題を……)

響子(どうやって答えたら、誰も傷つかず、かつ面白くなるか……)

響子(次の解答で方向性が決まるかもしれない)

響子(時間がかかっても編集で短くしてもらえるだろうから、良い答えをじっくり考えようっと)


美穂(フリートークでの流れとかならともかく、あらたまって自分達をネタにするとなると、難しいなあ)

美穂(このクイズ、ただでさえ何を答えたらいいのかわからないのに)

美穂(そういえば、ここまでの二問は卯月ちゃんの当たり前の答えに私がちょっと付け足して答えたんだよね)

美穂(…………)

美穂(私の気持ちが、みんなと一緒だったら……)



美穂「いきます!」ピコーンッ

美穂「『好き』の気持ち……受け取ってください! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

卯月・響子「!?」

ブーッ

美穂「はい……」

美穂(お願いふたりとも、私の気持ち、受け取って――)


響子(そっか、美穂ちゃんにはそのお約束があったんだよね)

響子(っていうことは、ここからがある意味本番?)

響子(でも……いいなあ!)

響子(私も! 私も『ラブレター』って答えたかった!)

響子(あ、まだヒントは出てない……)

響子(い、今なら間に合う、やっちゃえっ)ピコーンッ

響子「えっと……」ピカピカ

響子「エンディングでは、この番組専用の映像も流れますので、ぜひ見てくださいね! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ

響子「あははっ♪」

卯月「き、響子ちゃん?」

響子(――気持ちいい!)


美穂(やった……よね? 伝わったよね!)

モニター『答えはラブレターではありません』ピコンッ

響子(さあ、ここからがまた悩みどころ……)

美穂「はいっ」ピコーンッ

響子「早っ!」

美穂「甘くて切ない恋心を、精一杯届けます! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

卯月・響子「!?」

ブーッ

響子(美穂ちゃん、わざとヒントを無視したの? それって……)

卯月(そ、そっか、わかったよ美穂ちゃん! それでいくんだねっ!)ピコーンッ

卯月「んと……」ピカピカ

卯月「歌にダンスに、とびっきりのキュートを詰め込みました! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ


響子「!」バシバシバシピコーンッ
美穂「!」バシバシバシバシ

響子「私達自身が一番待ってたユニット曲、これからたくさん聴いてもらいたいです! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ

卯月「――!」バシバシバシピコーンッ
美穂「うーっ」バシバシバシバシ

美穂(早押しに全然勝てないよう)

卯月「ときめきも、ドキドキも……恋する想いが溢れてます! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ

卯月「楽しいですけどさすがにネタ切れです……」

響子「そろそろ正解を狙いましょうか」


美穂「いまだっ」ピコーンッ

美穂「放課後の教室でふたりっきり。顔が赤いのは、夕日がごまかしてくれるから――」ピカピカ

美穂「勇気を出して伝えたい! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ

卯月「あー、シチュエーションかあ」

響子「その手がありましたか」

卯月「あっ、じゃあはいっ!」ピコーンッ

卯月「あなたの笑顔が、いつも私を励ましてくれるの――」ピカピカ

卯月「もっとそばで、笑い合いたいなっ! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

ブーッ

卯月(なんか今までのより恥ずかしい)

響子「じゃあ私も……」ピコーンッ

響子「ついでだから、なんてあなたに作ってきたお弁当。でも一緒に包んだ手紙は、あなただけへの特別――」ピカピカ

響子「感想、聞かせてくださいねっ! P.C.Sの『ラブレター』!」キメポーズ!

……

ピンポンピンポーン

響子「や、やったぁっ!」

美穂「やったね!」
卯月「すごい、すごいよ!」


カンペ『五十嵐→それではここまでの得点を見てみましょう』

響子(あ、コーナー締めなきゃ……)

響子「えー、それではここまでの得点を見てみましょうっ」

――――――――
 卯月[24]
 美穂[13]
 響子[22]ピロンッ
――――――――

卯月「わ、私がトップのままですか!?」

美穂「三問目、一回もぴにゃが出なかったもんね」

響子「ということで、勝者は卯月ちゃん!」

モニター『WINNER 島村卯月』ジャジャーン

卯月「やりましたっ」ピース!
美穂「おめでとうっ」パチパチパチパチ

響子「卯月ちゃんには、プロフィール欄に『特技:早押しクイズ』と書く権利が与えられます!」

卯月「本当に書いたら怒られますよね」

美穂「でも、早押しは強かったよ」

卯月「え、えへへ」

響子「――以上、『ピンクチェックスクール・バーサス・早押しクイズ』でしたーっ!」


アイオッケーッス セッチェンネガッシャース

メイクナオシハイリマース


卯月「はあ~、いろんな汗かいちゃった」

響子「でもなんとか三人で乗り越えられてよかったですっ」

卯月「『ラブレター』の宣伝もできたもんね」

美穂「ルール曲げちゃったから全部カット、とかないよね?」

響子「最終問題だから大丈夫だと思いますよ。スタッフさん達はなんかざわざわしてましたけど」

美穂「私も謝りに行こうかな……」

卯月「美穂ちゃんだけじゃないから、終わってから皆で行こうよ」

響子「そうですよ、次は美穂ちゃんが進行役だから、切り替えていきましょう」

美穂「うん、ありがとう」


メイクオッケーデース

セッチェンワリヤシター スタンバイッシャース


美穂「じゃあ、最後まで頑張っていこうっ!」

卯月・響子「おーっ!」



ゴビョウマエー…

美穂「ピンクチェックスクール・バーサス・ポーカーッ!」

モニター『ピンクチェックスクール・バーサス・ポーカー』デレッデーン

パチパチパチパチ

美穂「アイドルは、ファンの前ではいつだって、笑顔やキメ顔で最高のパフォーマンスを見せるものです!」

美穂「たとえお腹がすいてても、お友達とケンカしてても、それを表に出してはいけません」

美穂「そんな強いハートとフェイスを、ポーカーで養いましょう!」

美穂「ということで、いよいよ今回最後の勝負です! 種目はトランプゲームのポーカーですけど、ふたりはどう?」

卯月「私、リハで初めてやりました」

響子「私もです」

美穂「実は私も今日初めてやったんですけど、役とかルールとかまだ全然覚えきれてないので――」

美穂「みんなの席に、それらをまとめたあんちょこを用意してもらいました! これを見ながらやっていきましょう!」

卯月「助かりますっ」


美穂「じゃあ、簡単にルール説明をしますね」

美穂「これから三人でポーカーをするんですが、さっきのクイズでの得点が、それぞれの最初の持ち点になります」

美穂「持ち点の多い順に親を回していって、計三回勝負――」

美穂「最終的に一番点数が多かった人が、『特技:ポーカー』とプロフィールに載せる権利を得ます!」

卯月「でも、今回のルールは番組用に簡単にしてもらったんだよね?」

響子「あくまで権利を得るだけで、誇れるかどうかは心の問題ということですね」

卯月「だよね、私もクイズが特技なんてやっぱり言えないもん」

美穂「あはは……」

ハイオッケーデース


美穂(ここで、別撮りのルール説明が編集で入る……)

美穂「じゃあ、席につこうか」

卯月「得点順に時計回りだよね」

響子「ネームプレート置いてありますよ」


美穂「――スタンバイ終わりました!」

キューダシマース

P.C.S「お願いしまーすっ」

3…2…1…

美穂「それでは、第一戦始めます! 親は卯月ちゃんですね。ディーラー役もお願いします」

卯月「はい! 配りますね……これで、5枚、っと」

美穂「それじゃあ、カードを確認しましょう」


卯月(わ、ジョーカーだ!)

卯月(って、あとはバラバラだから、ワンペアかあ)

美穂「そうしたら、勝負を続けるか降りるかを選択するんですが――」

美穂「親は降りられないので、卯月ちゃんはこの勝負に何ポイント賭けるか決めてください」

響子「トークして揺さぶりをかけてもいいんでしたっけ?」

美穂「もちろんです」

卯月(揺さぶり……)

卯月「私、なんとジョーカーが来ちゃいましたよ!」

美穂「えっ!?」
響子「はいっ!?」

卯月「これはもう、勝ったようなものです! でも最初だから2ポイントにしておこうかな」

卯月(残り4枚のうちスペードが2枚あるから、これを残してフラッシュっていうのを狙っちゃおう!)


美穂「次は響子ちゃんです。勝負に乗るなら、いくら賭けるか言ってください。ただし、前の人より少ないのはダメです」

美穂「降りる場合は、カードを伏せたまま置いてね」

響子「はい……」


響子(ジョーカーを持ってる宣言なんて、アリなの?)

響子(卯月ちゃんがあんなにこやかに嘘をつけるとは思えないし、だったら……)

響子(私達に降伏しろっていうことなの? たしかに私達が勝負しなかったら、卯月ちゃんは1位をキープできるし)

響子(私の手持ちは、ブタ……でも、クラブが4枚あるからフラッシュを狙える!)

響子(この手札で早々に降りるわけにはいかないよね)

響子「とりあえず私も2ポイントで」


美穂「最後は私ですね」

卯月「美穂ちゃんは持ち点が少ないから、無理せず降りてもいいですよ」

美穂「う、卯月ちゃんすごく攻めてくるね」

美穂(逆に、私はとにかく勝たなくちゃ話にならないんだけど)

美穂(ワンペアできてる。もう1枚でストレートができるけど、それにはこのペアを解消しなくちゃいけない)

美穂(卯月ちゃんはジョーカーで最低でもワンペアは保証されてるわけだし、ストレートを狙って失敗したら勝ち目がない)

美穂(私の手札だと、ストレートの中間が抜けてるから、端がないのと比べて引く確率は半分なわけだし――)

美穂(賭けに出るより、ペアじゃない3枚を交換して役が強くなるのを期待するのがいいのかな)

美穂「最後の人はいっぱい賭けても意味ないので、私も2ポイント賭けます」

――――――――
 卯月[22]-[02]
 美穂[11]-[02]
 響子[20]-[02]ピロンッ
――――――――


美穂「じゃあ、カード交換ですね。親から順に行きましょう」

卯月「私は2枚交換します」

響子「1枚お願いします」

美穂「3枚チェンジします」

卯月(来たっ!)
響子(――!)

美穂「……2巡目です。この手札で勝負するかどうか、勝負するならいくら上乗せするかを宣言してください」

卯月「私は親なのでもちろん勝負です! んー……プラス5ポイント、いっちゃいましょう!」

響子(…………)

響子「乗ります! 同じく5ポイント!」

卯月「え、なんで?」

響子「なんで、って?」

卯月「あ、あの、私、ジョーカー、強い。響子ちゃん、負ける」

響子「……実は持ってない、とか?」

卯月「持ってるもん!」

美穂「卯月ちゃん、しっかりして……私は残念だけど降りますね」

――――――――
 卯月[17]-[07]
 美穂[11]-[02]
 響子[15]-[07]ピロンッ
――――――――


美穂「ふたりとも、心の準備はいいですか? では、せーのでカードを見せてください! せーのっ」

卯月「3のスリーカード!」
響子「クラブのフラッシュです!」

卯月「ええーっ!?」
響子「勝ちましたぁっ!」

美穂「おおーっ……あ、ちなみに私はワンペアでした」

美穂「ということで、第一戦は響子ちゃんの勝ちー!」

――――――――
 卯月[17]
 美穂[11]
 響子[31]ピロンッ
――――――――


卯月「じ、ジョーカーを引いたのに負けるなんて……」

響子「最初から4枚も柄が揃ってたのでついてました!」

美穂「いきなりすごい熱戦でしたね! さあここで響子ちゃんが暫定トップになりましたよー!」

美穂「じゃあ、カードをシャッフルしたら、響子ちゃんが親で第二戦ですっ」


美穂「第二戦、スタート!」

響子「はい、カード配りますね♪」シュピシュピッ

卯月「ひゃっ、響子ちゃん、カード滑っちゃうから! かっこいい配り方しないで~!」バラバラ

響子「ご、ごめんなさい! 配り直しますっ」

美穂「ふふっ、快勝したからゴキゲンだね」

響子「ちょっと落ち着きます……」

美穂「――じゃあ、カードを確認しましょう」


響子(うっ、全然揃ってない)

響子(同じ役でも数字が大きいのが強いんだよね。じゃあ、一番大きいクイーンを残して交換かな)

響子(さっきフラッシュにできたんだもん、今回だっていい役ができるかもっ)

響子(とはいえ独走してるし、ポイントは控えめで……)

響子「1ポイントでもいいんですよね? ……じゃあ1ポイントで」


美穂(ジャックのワンペア……さっきと同じ形かあ)

美穂(さっきは3枚替えてダメだったから、今度はもう1枚残す?)

美穂(一戦目はふたりしてずいぶん引きが良かった……)

美穂(響子ちゃんは親だからもちろん、卯月ちゃんもさっきの悔しさから簡単には降りないはず)

美穂(ここで落としたら、逆転は厳しそう……)

美穂「同じく1ポイント賭けます」


卯月(ううー、全部バラバラだよ……)

卯月(クラブが3枚あるけど、さっきと違ってジョーカーでごまかしが効かないから、フラッシュ狙いは怖いし)

卯月(一番大きいのがクラブの10だから……これだけ残しておこうかな)

卯月「私も1ポイントで」

――――――――
 卯月[16]-[01]
 美穂[10]-[01]
 響子[30]-[01]ピロンッ
――――――――


響子「私からカードの交換をしますね。4枚です」

美穂(4枚ということはブタさん……今のところは私がリードしてる。だったら……)

美穂「2……いえ、3枚替えます」

卯月「4枚ください」


響子(……とりあえずワンペア。逆転されにくいように、控えめに行こう)

響子「1ポイントでいいです」


美穂(ワンペアのまま……二戦連続で……)

美穂(響子ちゃんが1ポイントということは、ブタさんのままの可能性もあるよね)

美穂(でも、思い切り賭けられる役じゃないし)

美穂「1ポイントで……」


卯月(よかった、ワンペアはできた)

卯月(リハではブタさんも結構出てたし、ふたりして弱気な賭けだからこれでも勝負できるはず)

卯月「1ポイント賭けます」

――――――――
 卯月[15]-[02]
 美穂[09]-[02]
 響子[29]-[02]ピロンッ
――――――――


響子「なんかこじんまりしちゃいましたね」

卯月「でも、勝ちたい!」

美穂「同感だよ……じゃあ、カードオープンします! せーのっ」

響子「8のワンペア!」
美穂「ジャックのワンペア!」
卯月「6のワンペア!」

美穂「や、やった! 私の勝ちですっ」

卯月「そんな~!」

響子「点数低くて助かりました……」


美穂「ふたりとも4枚交換だったから、最初は役ができてなかったんだよね?」

響子「そうですね。クイーンを残してたから、それでペアができれば勝てたんですけど」

美穂「私は手元に最初からペアがあったけど、それ以上にならないんだよね。ふたりは二戦とも役が強くなってるのに」

卯月「そういうの、あるのかな? ツイてるとか、流れがきてるとか」

響子「私たちは揃って素人だから、いわゆるビギナーズラックかも?」

卯月「ビギナーズラックが来るなんてラッキーだよね!」

美穂「何言ってるかわかんなくなってきたよ?」

響子「ビギナーズラックの素人ですもんね!」

美穂「わかんない」

卯月「って、二回とも勝ててない私はアンラッキーだよぉ!」


――――――――
 卯月[15]
 美穂[15]
 響子[29]ピロンッ
――――――――


美穂「あ、卯月ちゃんに追いついたよ!」

卯月「うう、いいとこないです……」

響子「順番的には次で勝てますよ」

卯月「勝たせてくれる?」

響子「…………」
美穂「…………」

卯月「……がんばります」

美穂「ご、ごめんね。でもいかさまできるテクニックもないんだし、勝たせようがないよ」

卯月「がんばります!」

響子「気合は大事ですよね」


美穂「いよいよ最終戦、親は私です! カードを配りますよっ」

美穂「――さあ、確認してください」


美穂(……ついにワンペアさえ来なくなっちゃった)

美穂(最終戦なのに、もう勝ち目が薄いよ)

美穂(キングを残して交換しよう。お願いだから何か来て……)


響子「あの、美穂ちゃん」

美穂「なあに?」

響子「私今トップだから、この勝負降りちゃってもいいんでしょうか?」

卯月「え、ずるいよー!」

美穂「……うん、ルール上は問題ないよ」

美穂「あ、私――」

美穂「14ポイント賭けます」

響子「!」


美穂「この14ポイントに、カード交換してポイント上乗せするから、勝負時には15ポイント賭けることになります」

美穂「響子ちゃんは降りてもいいよ? 私と卯月ちゃんが15ポイントずつ賭ければ、勝った方が響子ちゃんを追い抜けるから」

卯月「わあっ! すごいよ美穂ちゃん!」

響子「気づいてたんですか、残念――」

響子「視聴者さんに美穂ちゃんの慌てたり困ったりする顔を見せたかったのに」

美穂「ふふっ、むしろ普段と違う新しい一面が見せられたかな?」

響子「それはもう」

卯月「なんだか、ふたりともちょっと怖いです」

美穂「こわくないよ? うふふ」

卯月「こわいよ」

響子「こわくないですよ、うふふふ」

卯月「こわいってばぁ!」

響子「――ふう、代わりに卯月ちゃんの慌てたり困ったりする顔を見せられました」

美穂「ありがとう、卯月ちゃん」

卯月「こわいよう」

響子「印象が悪くなるので、そろそろ勝負に戻りましょう」

美穂「卯月ちゃん、どうぞ」


卯月(もう、ふたりで私をからかって)

卯月(でも、美穂ちゃんと響子ちゃん、アドリブでこんなに息を合わせられるようになったんだね)

卯月(最初は、ユニット活動経験の長い私がふたりのフォローをしなきゃ、なんて思ってたのに――)

卯月(こういうバラエティ番組は初めてだったから、そんな余裕もなくって)

卯月(だからなのかな、結果的にお互いが自分のやり方で支え合えて、高め合えてるみたい)

卯月(私、嬉しいよ。でもね、それ以上に――どきどきしてるっ)

卯月(頑張ろう、だけじゃなくって、負けないよ、なんて思えることが!)

卯月(…………)

卯月(でも、最後なのにまたブタさんスタートだよ)

卯月(ポイント全部賭けるんだから、一戦目みたいにいい役を出し合ってすごい対決をしたかったなあ)

卯月(このエースに私のすべてを託そう。きっとドラマが待ってるはず……なんて)

卯月「はいっ、14ポイント賭けますっ」


響子「私の番ですね」

響子(……残念な手札)

響子(さて、このブタをどう料理しようかな。ストレートもフラッシュも遠いし)

響子(数字は最大でも10……えっと、このあんちょこだと絵札――ジャック以上を残す目安にするといい、って書いてあるけど)

響子(悩むなあ。どうしても、1枚くらいは残したほうが気持ちの拠り所になるというか)

響子(…………)

響子(決めた。最終戦だもの!)

響子「私は28ポイント賭けます!」

卯月「わっ」

美穂「響子ちゃんなら、そうしてくれると思ってたよ」

――――――――
 卯月[01]-[14]
 美穂[01]-[14]
 響子[01]-[28]ピロンッ
――――――――


美穂「では、カードを交換……の前に、テンポを考えて先に言っておいたほうがいいと思うんだけど」

卯月「なに?」

美穂「当たり前のことなんだけど、私はこのあと、もう1ポイント上乗せして勝負します」

美穂「ふたりも、それでいいよね?」

卯月「そうだね」

響子「もちろんです」

――――――――
 卯月[00]-[15]
 美穂[00]-[15]
 響子[00]-[29]ピロンッ
――――――――


美穂「4枚チェンジします」

卯月「美穂ちゃんもブタさん? 私も4枚交換するよ」

響子「私は思い切って全部取り替えます!」

卯月「えっ、かっこいい!」

美穂「なんだか全力勝負って感じでいいね」

響子「アイドルなので、ここからロイヤルストレートフラッシュが来ると思います!」

卯月「じゃあ、私はファイブカード! エースのファイブカード、最強です!」

美穂(う、卯月ちゃんエース持ってるの? じゃあ、役ができない限り私の勝ちはない……)


卯月「うう、カードを見るのが怖いよ」

響子「い、いっそ見ないで出します?」

美穂「そうだね、もう2回めのポイント賭けちゃったし」

美穂「――あ、それだとポーカーフェイスの訓練にならないからダメ、だって」

卯月「うー、そういえばそういう趣旨でした」

美穂「じゃあ、覚悟を決めて確認しましょう! ポーカーフェイスだよっ」

美穂「…………」
卯月「!」
響子「わ……いえ、なんでもないです」


美穂「それではカードを――え、順番に出す? わかりました、私からいきますっ」

美穂「3のワンペア!」

卯月「やーんっ」

響子「卯月ちゃん!?」

卯月「うう、ブタさんです」

美穂「や、やった! 響子ちゃんは……」

響子「えへへっ」

卯月「なんなの!?」

響子「8、9、10、ジャック……」ピラッピラッ

美穂「えっ」
卯月「す、すと、すと?」

響子「……4! ブタでした!」

美穂「あ……わ、か、勝ちました!? やったぁっ!」


卯月「おめでとう、美穂ちゃんっ!」

響子「完敗です……おめでとうございますっ」

美穂「ありがとうっ」

響子「私、捨てたカードにも10があったんですよね……残すかどうか迷ったんですが、選択ミスでした」

卯月「そっかあ、10のワンペアなら美穂ちゃんに勝てたもんね」

響子「でも、これはもう気迫の勝利だと思います! 美穂ちゃんの迫力に、無意識のうちに張り合おうとしてたのかも」

美穂「えへへ、ずっと地味な手札だったのに、いいところ持っていっちゃってごめんね」

卯月「私なんてどんどん落ちぶれて、ホントにいいとこなかったよう」

響子「一戦目のジョーカー宣言はステキでしたよ」

卯月「もう遠い記憶です……」


美穂「――で、得点はこのようになってます」

――――――――
 卯月[00]
 美穂[59]
 響子[00]ピロンッ
――――――――

美穂「卯月ちゃん0ポイント、美穂59ポイント、響子ちゃん0ポイントで――」

美穂「勝者は小日向美穂ーっ!」

モニター『WINNER 小日向美穂』ジャジャーン

卯月「わーっ」パチパチパチパチ
響子「おめでとうございますっ」パチパチパチパチ

美穂「自分で言うのすごく恥ずかしいっ……」

卯月「美穂ちゃん、最強っ」

響子「美穂ちゃん、優勝っ」

美穂「や、やめて……」

美穂「い、以上、『ピンクチェックスクール・バーサス・ポーカー』でしたっ!」


アイオッケーッス

セッチェンッシャース


美穂「ふう……なんとか終わったあ」

響子「お疲れさまですっ、いい勝負でしたよね」

卯月「進行もばっちりだったよ」

美穂「ありがとう。と言っても、ほとんど台本通りだけど……」

響子「『14ポイント賭けます』」キリッ

美穂「!?」

響子「あれも台本通り?」

美穂「し、知ってるくせに! あれは流れで、そう言うしかなかっただけだよ……」

卯月「美穂ちゃんの本気を見たよ」

響子「女優でしたよね」

美穂「ふ、ふたりして~っ!」


美穂「でも、最後で慌てちゃって台本ちょっと飛ばしちゃったんだよね」

卯月「あー、プロフィールに書けるよっていうくだり、言ってないね」

美穂「オッケー出たから良かったよ」

響子「別撮りするんじゃないでしょうか」

美穂「うっ、そうなのかな」

響子「なんにしても、心配するのはよしましょう。まだエンディングが残ってますよ」

美穂「うん、そうだね。きっちり最後までやらないと」

響子「あ、そういえば、オープニング以降まったく美穂クロスを出せてないですね」

美穂「い、いいようそんなの」

卯月「チャンスはあったかもだけど、その流れに持っていくのを忘れちゃうよね」

美穂「そ、そんなこと言ったら響子ちゃんだって、家事にまつわる例え話みたいなの出てないんじゃない?」

響子「うーん、そうだったかも。もうちょっとトークに余裕がほしいですよね」

卯月「話を途切れさせないようにって思っちゃうと、気の利いたことが言えなくなっちゃうのかな」

美穂「でも、卯月ちゃんは卯月ちゃんらしさ出てたと思うよ」

響子「そうですね。かわいかったし、いっぱいガンバリマスしてたもんね?」

卯月「なんか子供扱いされてる!?」


スタンバイオネガッシャース

卯月「最後の感想、考えておいた?」

美穂「あっ、そうだった」

響子「なんとかなりますよ」


ゴビョウマエー…

卯月「はいっ、もうすぐ下校の時間になります!」

卯月「まずは、本日の活動のまとめですが――」

卯月「早押しクイズでは私、島村卯月の勝利。そしてポーカーでは美穂ちゃんの逆転勝利という結果でしたね」

卯月「響子ちゃんはどちらでも惜しかったね……ではあらためて、ふたりからも感想など、どうぞ!」


美穂「は、はいっ、えっと……」

美穂「正直、緊張してたのとテンションが上がったのとで、ところどころ記憶が薄れてるんですけど――」

美穂「やりきった充実感みたいなものはすごくあって、それが観ている皆さんにも伝わればいいなって思います」

美穂「あ、あと私ポーカーで勝ちはしましたけど、プロフィールに書くのはもっと経験を積んで自信をつけてからにします……」

美穂「これからも、番組を通していろんなことに挑戦していきたいので、よろしくお願いします!」

卯月(さっき飛ばしたとこを拾ったね! ナイス美穂ちゃん!)パチパチパチパチ


響子「皆さん、ここまで観てくださってありがとうございました!」

響子「今回、初めての冠番組で、初めてのチャレンジをして……おぼつかないところもあったと思います」

響子「けど、これはこれで、P.C.Sらしい味が出ているんじゃないでしょうか、なんて」

響子「回を重ねていって、もっと美味しくできるようにしていきたいですねっ」

卯月(すかさず料理にたとえてくれたよ、さすが響子ちゃん!)パチパチパチパチ


卯月「…………」パチパチパチパチ

カンペ『島村さんの番です』
美穂「卯月ちゃん?」
響子「卯月ちゃんは?」

卯月「はっ!? す、すみません、聞き入ってました」

卯月「えっと、私はですね……この収録を通して、なんだかすごく絆が深まった気がして、嬉しいんです」

卯月「もちろん今までも仲良しだったんですけど、だからってなんでも知ってるわけじゃなくって――」

卯月「お互いの新しい魅力に気づけたから、本当にこんな機会をいただけてよかったですっ」

美穂「最終回みたいだよ?」

卯月「え、えへへ、先走っちゃいました?」


響子「そういえば、卯月ちゃんが私達の中で一番早押しが強いのも発見でしたよね」

卯月「あっ、それです! 私、P.C.Sのスピード担当になります!」

響子「じゃあ、美穂ちゃんはポーカー担当ですね!」

美穂「えええっ!? き、響子ちゃんは……?」

響子「うんと、そうだなあ……あ、コマーシャル担当はどうですか?」

美穂「こまーしゃる?」

卯月「『ラブレター』の宣伝、たくさんしたもんね!」

響子「いま後ろで流れてるのが私達の曲、『ラブレター』ですよ! 発売中ですよ!」


卯月「――なんて言ったところで、『ピンクチェックスクール・バーサス!』、今回の活動はこれまで!」

卯月「皆さん、次回も観てくださいね!」

P.C.S「ばいばーいっ」

キーンコーンカーンコーン…

ハイオッケーデース


…………


――楽屋――

卯月「メイク落としたー」

美穂「着替えも済んだー」

響子「お茶淹れましたー」

美穂「ありがとー」
卯月「だいすきー」


P.C.S「はぁ~」

P.C.S「…………」

P.C.S「やっ……たぁー!!」バンザーイ

卯月「第1回収録お疲れさまっ」

美穂「無事に終わって何よりだね……無事に終わった、よね?」

響子「大丈夫ですよ、あとは編集でなんとかしてくれるはずですから」

美穂「お客さんが実際に入ってたらと思うと怖いよね」

卯月「うん、反応がじかに見えちゃうと何にもできなくなりそう」

響子「その辺は、私達に配慮してくれたんでしょうね」

卯月「今日の反省を活かして、次はもっと頑張ろうねっ」

美穂「でもその前にロケも撮らなきゃ」

卯月「あー、そうだったね」

響子「今日撮った本編の合間に挟まるっていう話でしたね。何するのかな」


卯月「何だって大丈夫だよ!」

美穂「今の私達なら、ねっ?」

響子「ふふっ、そうですね♪」



おしまい


以上です。
アイドルがお仕事してるのが好きなので、今回はP.C.Sに頑張ってもらいました。

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