前回書いたhttp://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1469354806の続編です。
相変わらず未熟な作品ですが読んでもらえたら幸いです。
ボトムズと戦車では戦力差がありすぎみたいに思われますが
そこはスパロボマジック感覚でお願い致します。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1492320955
『いけ!そこだ!』
『まだだ!まだやれる!』
男が訪れたその場所では、彼方此方から激しい声援ともヤジとも言える声が飛び交っていた。
その場所は戦車道連盟公認の練習場。
しかし唯の戦車道の試合では無いのは直ぐに分かった。
戦車はまだしもATが参戦し観客は試合会場内にギャラリーがいる。
これでは下手したら流れ弾が当たる可能性もある。
そんな訳も分からない状況を漠然と見ていた時1人の少女が声をかけてきた。
『もしもし?そこのお兄さん!耐圧服着てるってコトはボトムズ乗りだね!』
どうやらこの場所で出店のイタリア料理を出しているらしい少女は語る。
『ああ、そうだ。』
そう答えるこの青い髪、冷たい瞳、
赤い耐圧服に身を包んだ男の名はキリコ・キュービー。
『だと思ったっスよ~!
でもその様子だと何も知らないみたいだから色々教えてあげるっスよ!』
『こら~!ペパロニ!無駄口叩いてないで働け~!』
ペパロニ『すいません~アンチョビ姐さん!
今、このお兄さんにここの説明しようと思いましてね?』
と、料理服に身を包んだツインテールの少女に言う。
アンチョビ『は~なるほどね!おたく、タンカスロンは初めてみたいだね?
教えてあげても良いがここは料理ヤだよ?』
キリコ『そうだな。ちょうど腹が減ったところだ。
何か有り合わせで頼む。』
ペパロニ『あ、有り合わせでって言われても困るっスけどね~
よし!なら私の自信作を御馳走するっスよ!』
と言うとペパロニは手際よく自信作である鉄板ナポリタンを調理した。
ペパロニ『はいよ!お待ちどう!お代は三百万リラね!』
キリコ『・・・三百円で良いのか?』
アンチョビ『ペパロニ、あんましお客さんを困らすな?』
ペパロニ『あははは~すいません、
まあそれはさて置き食べてみてよ!お兄さん!』
キリコ『そうさせてもらおうか。』
そのナポリタンは今まで食べてきた料理で一番と言っても過言では無い味だった。
キリコは無言ですぐにナポリタンを完食した。
ペパロニ『ははは!良い食べっぷりっスね!
お兄さん!作った甲斐があったスよ!』
キリコ『美味しかったよ。所で・・・』
食事の感想を言うと少し真剣な顔になり
キリコ『そろそろ説明して貰えると助かるんだが。』
アンチョビ『ああ、勿論だ!
こんなに美味しそうに食べてもらったしな!なんでも教えよう!』
キリコ『助かる。』
アンチョビ『先ずはこの試合場で起きているタンカスロンについて説明しようか。』
キリコ『あれは戦車道ではないのか?』
アンチョビ『ああ、似て非なるものだな。
あっちは公式試合でタンカスロンは戦車乗りが独自に行う野良試合なのさ。』
キリコ『野良試合?ルールは無いのか?』
アンチョビ『いや、只の一つだけある"10トン以下の戦車である事"だけだ。』
ペパロニ『しかも主催者も居ないから観客も全員自己責任で試合会場内で観戦可能なんスよ!』
なるほどな、だからこの試合会場では観客が中に入るのか?
これではやってる事がバトリングと大差無いな、
とキリコは半分呆れながら思った。
キリコ『しかしだ』
一つの疑問をぶつけた。
キリコ『何故、ATも参加しているんだ?』
アンチョビ『まあ当然気になるか?
お兄さん、ついこの前に戦車道の大洗女子学園と
ATのホワイトディンゴの試合があったの知ってるかい?』
キリコ『ああ、知ってる。』
アンチョビ『あの試合の後、戦車とATが戦うのが急激に増えてきたんだよ。
しかしお堅い公式試合にはまだまだ大企業のチームしか参戦出来ない。
で、ならばこのなんでもアリのタンカスロンでやろうって話さ!』
キリコ『ではあのATに乗っている連中はフリーのボトムズ乗りなのか?』
アンチョビ『大半はそうだろうね。
傭兵まがいの金稼ぎだよ。
たまに企業の専属AT乗りとかも来るけどね。』
キリコ『しかし、ではあのAT乗りの機体は安全性はない訳だな?』
アンチョビ『勿論だ。
新素材の装甲強化型は一部の大企業のATにしかまだ使われてないからね。
あの薄いカーボン装甲ってわけ。』
キリコ『そうか、ありがとう大体話はわかったよ。』
といいつつタンカスロンの試合を見ながら思ったのは、
確かにこの戦場はボトムズにはお似合いだという事だ。
アンチョビ『それは良かった。』
キリコ『それとは別に最後に一つ聞きたい。』
アンチョビ『まだ、なんかあるのか?』
キリコ『最近、この辺りで凄腕のATがいると聞く。
それについての情報を持って無いか?
おれはそいつに会いにここまできたんだ。』
キリコの顔付きの真剣具合をアンチョビも理解した。
アンチョビ『なるほどねぇ、情報は無い事は無いよ。でも少し高いよ?』
と言うと店に並んであるワインを指差した。
キリコ『・・・一番のを頼む。』
アンチョビ『シー?』
アンチョビは1番上の棚にある豪勢なラベルのワインを開けキリコのワイングラスに注ぎながら喋り始めた。
アンチョビ『あんたが言ってるここいらでの凄腕のAT
、乗りってのは恐らくクメンの内乱に参加してるよ』
はいよとキリコのテーブルにワイングラスを置きつつ、
またもや知らない話題が出てきた。
キリコ『何なんだ?そのクメンの内乱というのは?』
アンチョビ『知らないかい?大企業クメンの事さ。
AT関連なら何でもお任せっていう会社でね、
その会社内で今後の方針について改革派と否定派に意
見が真っ二つに分かれてね?
その決着をATと戦車の参加する特別試合でつけようっ
てしてるのさ。
試合場は此処から近くの巨大な熱帯雨林地帯で行われ
ているんだけどね。』
キリコ『それはルールは殲滅戦か、それともフラッグ
戦なのか?』
アンチョビ『いいや、どちらでも無いよ。
今回の場合は特殊ルールでね。
お互い本拠地にしている場所を制圧されたら負けなんだよ。
サバイバルゲームみたいなもんだね。』
とアンチョビは言うと笑いながら話す。
アンチョビ『どうだい?馬鹿げた話だろう?
こんな話に飛びつくのは傭兵まがいのボトムズ乗りが大半さ。
少しはタンカスロンからも参加はしてるらしいけどね?』
キリコ『その試合にはまだ参加は出来るのか?』
アンチョビ『確か今日が最後の兵員募集日だったはずだよ。
まだ間に合うから行ってみたらどうだい?』
ペパロニ『お兄さんついてるっすねー』
とペパロニが笑いながら話す。
キリコ『助かったよ。じゃあ行ってみるか。』
といいながらワインを一口飲んだ。
キリコ『・・・!、ゴホッ』
アンチョビ『ど、どうした??もしかして不味かったのか??』
急な出来事に流石に慌てるアンチョビに対してキリコは一呼吸入れてから話す
キリコ『不思議だ。なんでこんなものをみんな美味し
そうに飲むんだ?』
その様子を見てアンチョビとペパロニは思わず笑ってしまった。
色々とコメントありがとうございます。
基本的にガルパンの世界にボトムズを突っ込んでいますので設定メチャクチャですが広い心で読んでもらえれば助かります。
ゆったりと更新して行きます。
アンチョビ『あははは!
まさかお酒は初めてだったかい??ゴメンゴメン!』
ペパロニ『ククク!
は~しかし面白いお兄さんスッね~
そう言えば名前はなんて言うんスか?』
キリコ『名前か?
おれの名はキリコ・キュービーという。』
とキリコが名乗るとアンチョビは急に真剣な顔になった。
アンチョビ『・・・キリコ?そうか!じゃああんたが!』
ペパロニ『あれ?知ってるすか?アンチョビ姐さん?』
アンチョビ『ああ。
なにせキリコと言えばこの前の戦車道とボトムズ道の試合で大洗を破りチームを勝利に導いた立役者だからな!』
その時のアンチョビは料理人の顔ではなく1人の戦車乗りとして獲物を見る顔であった。
ペパロニ『このお兄さんが、あの大洗を??』
その話が周りにいたギャラリーにも聞こえ辺り一面が騒ぎ始めた時、
一つの集団がキリコの前に近づいてきた。
『少し、よろしいかな?』
キリコ『何か用か?』
『単刀直入に申上げよう。我々とタンカスロンで試合して貰いたい。』
この一言で周りのギャラリーは一気に騒ぎ出した。
『お、おい見てみろよ!あの制服!ありゃあボンプル高校だぜ??』
『まじか??タンカスロン王者かよ??』
とギャラリーたちが口々に話しているとボンプル高校の1人が言う。
『正直な話、迷惑なのですよ。貴方たちAT乗りはタンカスロンに最近急激に参加してきている事が。』
キリコ『それと俺とは関係ないだろう。』
と苦手なワインを少し飲みながら冷静に話す。
『いいえ、貴方があの試合をしたせいで、タンカスロンにAT乗りが入って来ました。つまり貴方の責任です。』
と随分とこじ付けな話をするとアンチョビが割って入った。
アンチョビ『ちょっと聞いてれば言い掛かりもいいとこじゃないか!キリコは別に悪くないだろ!』
『アンチョビさんですか?そんなんだから大洗にも負けるんですよ?』
アンチョビ『な??今はそれは関係ないだろう??』
『貴女達も大洗も生温い戦車道でもやってればいいんですよ。勿論、貴方たちボトムズ乗りもね。』
と言うとボンプル高校生はさらに話す
『まああれだけの戦力差で辛勝だったなんて貴方のチームも大したことも無いみたいですけどね。』
と言うと即座に返すようにキリコは言った。
キリコ『聞き捨てならないな。今の言葉。』
と少し強張った表情でボンプル生に言う
『ほう?ではどうします?』
キリコ『試合を受ける。』
と、キリコが返すとギャラリーの騒ぎ具合もさらにヒートアップした。
『まじかよ??こんなところでキリコとボンプル高校の試合をみれるなんて??』
『ははははは!こりゃあお手並み拝見だなあ!』
とギャラリーが騒いでる中でボンプル高校生は言う
『ふふふ、試合を受けて頂いて感謝します。ではルールはフラッグ戦で戦車の台数は・・・』
そこでキリコは割って話す
キリコ『今、あんたらが出せる車両は何輌だ?』
『?、7輌ですが?』
キリコ『なら全部まとめて来い。』
前作ではストライクドッグが登場したのにアイアンクローを活用しなかったな
>>>18
ワザワザ前作を見て頂き有難うございます!
正直、クローアームを活躍させたかったんですが 戦車相手に中々使い所が無く断念しました。
とキリコが淡々と言うとさすがにボンプル生もおだやかではいられなかった。
『!、なんですか?馬鹿にしてるんですか?それとも負けた時の言い訳にする気ですか?』
キリコ『負けるつもりは無い。』
『な、なら負けたら二度とタンカスロンには出ないで貰いますよ!』
キリコ『ああ、わかった。』
そこで一呼吸いれてキリコは話す
キリコ『ただしあんたらが負けた時は俺のチームと大洗、それにこいつらを侮辱した事を謝罪して貰おう。』
『了解した。もしも私たちが負けたらですがね?』
では準備出来次第試合開始すると言いボンプル生達は戦車の元に行った。
キリコ『すまん。騒がせたな。』
とアンチョビとペパロニに謝る
アンチョビ『いや、ウチらは構わないけど流石に無謀だって!あんたの腕を疑うわけじゃ無いけどさ!』
ペパロニ『そうっスよ?今の連中は隊長のヤイカや副隊長もいなかったけどだからって7輌は??』
アンチョビ『第一、ボトムズはあるのか??』
キリコ『ああ、スクラップからレストアしたスコープドッグがある。問題無いな。』
アンチョビ『スクラップ?レストア?お、おいそんな機体で試合するのか?』
キリコ『じゃあもういくよ。食事美味しかった。』
と言うと最後のワインの一口を飲み、自分のボトムズの所に歩いて行った。
ペパロニ『アンチョビ姐さん??いくらなんでも無謀っスよ?いいんスか?止めないで』
アンチョビ『自分でやると言ったんだ。止めてもムダだよ。
それに自分のチームだけで無く大洗や私たちが馬鹿にされたことにも怒ってくれるなんて、見かけによらずいい奴だな。』
ペパロニ『あれ?もしかしたら一目惚れですか?アンチョビ姐さん?』
とペパロニに言われると顔を真っ赤にし
アンチョビ『そ、そんなわけ無いだろ??な、何言ってるんだお前は??』
ペパロニ『じょ、冗談ですよ?アンチョビ姐さん?』
試合場には既にボンプル高校の戦車7輌がスタンバイしていた。
戦車は豆戦車と言われるTKSが6輌、軽戦車7TP単砲塔型一輌
ボンプル高校が静かに待つ中ローラーダッシュで一機のATが到着した。
『来たか。』
そこに現れたのはスコープドッグだがその前身は異様に汚く所どころ塗装が剥げていた。
もとのグリーンカラーも見る影も無い感じであった。
キリコ『待たせたな。』
『ほんとにそんな機体で戦うつもりですか?』
キリコ『この機体で充分だ。』
『なら構いません。お互い開始地点に行きますか。』
と言うとキリコは自身のスタート地点である森林エリアにボンプル高校は平原エリアに向かった。
ペパロニ『アンチョビ姐さん!これってキリコに勝ち目はあるスか?』
アンチョビ『無いとは言えない。幸いキリコの開始地点は森林だ。上手く誘い込み各個撃破すれば、あるいは・・・』
『試合開始!』
と、開始時間になったのでボンプル生が声高らかにいう。
『先ずは4輌が先行して森林エリアに進行!フラッグ車を含めた三輌はココで待機!』
と言うと微速で4輌が森林エリアに向かっていく。
アンチョビ『マズイな?』
ペパロニ『な、何がっスか?』
アンチョビ『もしキリコが森林に来た敵を迎撃して
もそのうちに残りの三輌が森林に入り包囲される。
だからと言ってフラッグ車目掛けて突っ込んでも、今度は後ろから4輌来るからハサミ打ちになるんだよ。』
ペパロニ『じゃあ打つ手なんスか??』
アンチョビ『どうする気だ?キリコ。』
『・・・』
この時フラッグ者のボンプル生は思っていた。
私達は今迄、何回かはボトムズ乗りと戦ってきた。だけど全員大したことなかった。
だから今回も油断さえしなければなんの問題も無いと考えていた。
『大洗を倒した立役者?所詮は生温い戦車道での話。このタンカスロンで倒し、勝利をヤイカ隊長に捧げるのだ!』
と言い終わる直後に森林から一つの機影が飛び出した。
『何?』
ボンプル高校が動揺するのは無理も無い。キリコは自ら有利な森林地帯から7輌のど真ん中に突っ込んで行ったのだ。
『愚かな!全車両!うろたえず狙いを定めて砲撃開始!』
この時ボンプル高校生の誰一人油断はしてなかった。あいてのボトムズ乗りが弱くは無いと理解していた。
・・・しかし
『うわ!』
『そんな!』
しかしキリコが全国屈指のボトムズ乗りとは理解していなかった。
キリコの錆び付いたスコープドッグは、7輌の砲撃をグライディングホイールを巧みに使いこなしながらかわしていき、遠き敵はマシンガンで、近しい的にはアームパンチで、森林に進行していた4輌を瞬く間に倒した。
『ば、馬鹿な』
あぜんとするボンプル生に対しさらにスコープドッグは突っ込んでくる。
『う、何をしている!護衛の二輌!突っ込め!体当たりでもいい!』
狙いはフラッグ車のハズ。なら二輌を無視して来る!そこをハサミ打ちにする。
という思考をしている間にスコープドッグは突っ込んできた二輌に猛接近した
TKSの銃撃を多少食らいながら、アームパンチの射程に入り二輌を吹き飛ばした。
『は、そんな・・・』
フラッグ車のボンプル生に既に戦意はなかった。
全く動かない7TPにたいし無慈悲なマシンガンの音が鳴り響き決着は付いた。
『うおおおおお!!すげえ!7輌全部食っちまったぜ!あのAT!』
『やっぱり大洗を倒したのは本当だったんだ!』
とギャラリーたちは物凄い歓声を上げ続けた。
ペパロニ『アンチョビ姐さん、これは!』
アンチョビ『ああ、こんな凄い試合見せられたら私達も黙ってられないな!』
とアンチョビは好戦的な笑みを浮かべながら言った。
『うう、』
驚愕するボンプル生に対しスコープドッグのハッチを開きキリコは話す
キリコ『約束通り謝罪して貰おうか。』
『も、申し訳なかった。私達が悪かった。』
と力の無い声で言う。そして続けて質問した。
『なぜフラッグ車だけ狙わなかった?』
キリコ『そんなことをすれば周りに囲まれてやられていただろうさ。
まあこの程度なら副隊長は勿論、隊長にも出来るだろうな。』
と皮肉交じりに言う。
『・・・完敗だ。』
とそこに一つの戦車が近づいてきた。
その戦車は全身が紅く染められていて、百足のマークが付いていた。
アンチョビ『あの戦車ってことは??』
ペパロニ『あいつらっスか!』
キリコのスコープドッグに近づいたその戦車には一人の少女が身を乗り出していた。
学校の制服に頭に特徴的な大きな赤いリボンをしていた。
『ただいまの試合、誠に見事であった!』
と少女と似つかわしく無い古風な口調で喋る。
『身共は楯無高校、鶴姫しずかと申す!』
と名乗る少女にたいしキリコは耐圧服のヘルメットを外し
キリコ『キリコ、キリコ・キュービーだ』
と返した。
しずか『名乗って頂き感謝する。』
と軽く会釈すると含みのある笑みを浮かべながら話し出した。
しずか『キリコ殿、急で申し訳ないが此処で立ち合って貰いたい。』
と言うと周りのギャラリーもどよめき出した。
キリコ『立ち合う?試合のことか?すまないが俺は急ぎの用があるんだ。また今度にしてくれないか?』
しずか『否、今直ぐを所望する。それに我はそなたと立ち合う理由がある!』
キリコ『理由?俺はあんたとは初対面のはずだが?』
しずか『無論、そなたとは会うのは初めてだが、因縁がある。』
ペパロニ『い、因縁?姐さん、あいつ何言う気ですかね?』
アンチョビ『なんとなくわかる気がする・・・』
しずか『因縁、それはそなたらが我が倒すはずだった大洗を倒したことだ!』
キリコ『・・・何を言っている』
と半ば呆れながら言う
しずか『本来ならば我らが大洗の伝説を打ち破るはずだったのだ!これを因縁と言わずなんという?』
ペパロニ『大分、無茶苦茶言ってますね~』
アンチョビ『まあ理由は何であれキリコと戦いたいんだろうさ。あんな試合見せられたら当たり前だろうけど。』
しずか『で、どうか?試合は受けて頂けるか?』
キリコ『わかった。受けよう。』
本来なら試合などせずに目的を済ませたいのだが目の前の少女は幾らでも食い下がるだろうと観念するキリコだった。
しずか『感謝する。』
『ちょっとちょっと!』
としずかに話すのはしずかの乗る九七式軽装甲車、通称テケ車の操縦手、松風鈴である。
しずか『なんだ?鈴?』
鈴『なんだ、じゃないよ!イキナリすぎだよ??相手は伝説の大洗のあんこうチームを倒したキリコさんなんだよ?』
しずか『上等ではないか。それにいずれ闘うであろう大洗と立ち合った者だ。必ずいい経験になる。』
鈴『そ、そうかもだけどさ』
しずか『それと新しくなった此奴を試すのにはもってこいでは無いか?』
鈴『まあこの子は、もう以前とは比べものにならないスペックだけどさ?』
しずか『それにだ・・・』
少女は不敵な笑みを浮かべながら言った
しずか『相手がスコープドッグとは、正しく犬追物ではないか?』
両者が所定の位置に着き、試合が始まる直前になると観客たちも興奮を隠せずにいた。
『なあどっちが勝つと思う?』
『そりゃあキリコだろ!さっきのボンプル戦みればわかりきってるだろ!』
『いや、わからんぞ!あのテケ車、以前サンダースやBC自由学園を倒したからな!もしかしたらもしかするかもしれんぞ!』
『いや、サンダースには負けただろ。』
ペパロニ『アンチョビ姐さんはムカデさんチームに勝ち目あると思うっスか?』
アンチョビ『・・・ボンプルが負けたのは、相手が戦車を想定した戦術をしてしまったのがデカイ。
ムカデさんチームも同じように戦うなら敗北は必死だろう。』
ペパロニ『ならダメですかね?』
アンチョビ『正直な所、わからないな、けどムカデさんチームなら何かするかもな。』
既に試合開始地点付近には間近で見たい観客が少なからずスタンバイしていた。
最悪、大怪我になる恐れもあるにも関わらずスリルを求める衝動に勝てないということなのかも知れない。
しずか『・・・』
鈴『しずか姫、ちょっと!正直、ATの機動性についていけるか分からないよ??』
しずか『委細承知している。しかしだだからこそ面白い!』
そして試合開始時間になり
しずか『では・・・百足組参る!』
としずかが意気込んだとほぼ同時にキリコのスコープドッグがローラーダッシュ音を効かせながら突っ込んできた。
キリコ『悪いが長引かせるつもりはない。』
射程に入ったテケ車にヘヴィマシンガンを連射した。
しずか『・・・!』グイ
鈴『!』
しずかが言葉では無く、足で鈴に指示を出すと驚異的な速さで加速しマシンガンを交わした。
と同時にテケ車が砲撃したがキリコは少しの動きでかわす。
しずか『やはり躱されたか!しかしかわわぬ、鈴、このまま最大速度で走り抜けろ!』
鈴『わ、わかってるよ~~!』
ペパロニ『ははは!なんだあのテケ車!滅茶苦茶速いじゃないっスか??』
アンチョビ『恐らく相当な改造をしたなあ~10式とでもやり合う気なのか?』
この時、キリコは少なからず驚いていた。
さっきの試合も含め対戦車戦では装甲と火力だけを注
意すれば良かったが今の敵はちがう、
ATに追随する機動性で渡り合ってくる。
しかしむしろ新鮮味より懐かしさがあった。
まるでボトムズを相手にしているような。
ダダダダダダッ
キリコは高速で走るテケ車にたいし銃撃を続けるがお
互いに複雑に動きあってるため決定打にかけていた。
鈴『ど、どうするのしずか姫??このままじゃ戦車が持たないよ!』
しずか『このまま進みあの場所で、静止だ!』
鈴『え?止まったら的になるよ?』
しずか『我を信じてくれ!』
鈴『もー!わかったよ!』
と言うとテケ車はある地点で止まった。
恐らくブレーキも改造しているのであろう。
最大速度からの急停止でも問題なかった。
キリコ『・・・』
キリコは相手が一か八か命中精度の高い静止射撃の為に止まって此方より先に打つ気なのだと思った。
しかし此方の方が早くマシンガンを打てる自信があった。
相手が止まっているなら此方にも好都合だからだ。
しかしあいてと此方の位置、それでひとつ決定的に違う所があった。
キリコ『人が?』
キリコがマシンガンの発射トリガーを押そうとした瞬間、テケ車の後ろに観客がいるのが分かり一瞬だけ反応が遅れた。
しずか『・・・好機也!』
無論、キリコほどの腕なら近くにいる観客に当てずにテケ車だけ狙うことも可能だろう。しかしそれは事前にそういう状況とわかっていればの話しであり、急にその状況に落とされれば一瞬だけ反応が遅れたのは仕方のない事なのかも知れない。
テケ車の砲撃はスコープドッグのスコープ目掛けて発射されたが、キリコはマシンガンを犠牲にし後ろに吹っ飛びながらも、致命傷は避けた。
『うおおおおお!あ、あぶねースリルあるなあ!』
『これだからタンカスロンは止められない!』
ペパロニ『あちゃーあんなとこに観客がいなければなあ??』
アンチョビ『ムカデさんチームはそれを計算に入れてあそこにおびき出したんだろうさ。
まあ戦車道では到底出来ない邪道さ。しかしこれはタンカスロンだからな。』
と話している間にしずかの駆るテケ車は体勢を崩したキリコのスコープドッグに追撃した。
しずか『鈴!このまま接近して勝負に出る!』
鈴『わ、わかったよ!』
テケ車はスコープドッグに限界で接近した。
戦車の砲撃は連射が効かない。
必中の間合いに近づき一撃で倒すのがベストなのだ。少なくともこの場合では。
しずか『組み打ち!』
キリコ『くっ!』
テケ車の超近距離からの砲撃がスコープドッグに当たる直前にキリコは片脚のターンピックを軸に機体を回転し放たれた弾は肩のショルダーを弾くだけに留まった。
しずか『ふはは!流石の身のこなし!戦い甲斐がある!』
キリコ『やるな!』
両者の戦いは正しく最終局面を迎えようとしていた。騒がしかったギャラリーも立たずを飲んで見守っていた。
その時にあれは現れた。
いきなり現れた青き影はキリコのスコープドッグを掴んだまま数十メートル進み放り投げた。
突然の乱入者に観客たちも唖然としたがそのATの鮮やかな青のカラーリングをみて、皆が口々に騒ぎ出した。
『お、おいあの青いカラーのスタンディングタートルって、まさかブルーATか??』
『まさか?あいつがブルーATなのか??』
『すげー!奴が乱入してくるなんて!』
アンチョビ『不味い!実に不味いぞ!』
ペパロニ『な、なんなんスか??あの青いATがそんなに不味いんですか??』
アンチョビ『最近、急に現れ驚異的な強さで全てを粉砕してきた青いATがいるとは噂では聞いた事がある。』
ペパロニ『それがあいつなんスか??』
アンチョビ『多分、間違いない!だとしたらあんな機体で勝てるわけがない??』
アンチョビが、逃げるんだキリコと叫んだがその声がキリコに届く事は無く、キリコはブルーATに対し臨戦体勢を取っていた。
丸腰のキリコのスコープドッグを見かねてかはわからないがブルーATは装備していたハンディロケットランチャーを地に落とした。
キリコ『挑発か?それとも』
余程腕に自信があるのかと言おうとする前にブルーATは突進してきた。
キリコもそれに応じるかのように突っ込んだ。
キリコには両腕のアームパンチを構えていた。
これには勝算があった。左右の時間差によるアームパンチを仕掛ける。
キリコの長年の経験から繰り出される必殺のタイミングによる攻撃、
これで決まるはずだったがキリコの左右の機体の拳は虚しくから振るだけだった。
キリコ『ばかな??』
キリコが驚愕するとほぼ同時にブルーATはキリコのハッチ目掛けてアームパンチを繰り出した。
それは見事に直撃しキリコを後方に吹き飛ばした。
その一瞬の早業はまさに青きイカズチとでも言うのだろうか。一連の動作はH級ATのうごきとはかけ離れていた。
キリコ『この機動性、反応速度、まさか・・・!』
この時にキリコに確信はなかった。ただ確かめざるを得なかった。
キリコ『フィアナ!俺だ!キリコだ!』
アンチョビ『な??ハッチを開いて生身を晒した??』
ペパロニ『何か叫んでいるようですけど?』
この時の生身を晒した事も確かに驚いたがアンチョビ達にとっては常に冷静であったキリコが人が変わったように叫んでいるのが驚愕であった。
キリコ『わからないのか??フィアナ!』
と、耐圧服のヘルメットを殴り捨て、さらに叫けぶ。
しかしブルーATからの返答は無く無言のアームパンチが繰り出されただけであった。
キリコ『ぐっは!』
キリコは機体から放り出され地面に叩きつけられた。
キリコ『なぜだ・・・なんでわからないんだ』
全身を強く地面にうった痛みよりも目の前の現実が深く心に刺さる。
ブルーATは倒れたキリコに近きさらに生身のキリコに追い打ちを掛けようとした。
ブルーAT『!』
その時、ブルーATのうでに砲撃が命中した。吹きとびはしなかったがマトモに機能は出来なくなった。
辺りを見渡すと真紅の戦車の砲身から煙が出ていた。
そして乗り手のしずかは叫ぶ。
しずか『下がれこの下郎ッ!我らの獲物に横から手を出すのは首盗人も同然ッ!!これ程の邪魔翌立てをしたのだ!我が戦車にて今ここで成敗してくれる!』
鈴『あ、あたし死んだかも・・・』
アンチョビ『あ、あいつら正気か?』
ブルーAT『・・・』
ブルーATはしずかが叫び終わると直ぐさま落としたハンディロケットランチャーを拾い姿を消した。
しずか『ふん。名乗りもせずに立ち去るとは礼儀知らずの無礼者だな。』
鈴『心臓が止まるとこだったよ・・・って!それよりキリコさんが!』
しずか『む、そうだなもう試合どころでは無いな!キリコ殿を安静にせねばな!』
キリコ『・・・』
俺は薄れゆく意識の中で確かな手応えを感じていた。
確かにあの青いATに乗っているのは彼女だと。
しかし何故答えてくれない。俺のことを忘れてしまったのか。
どうやら全てを確認するためにも新たな戦場に行かねばならぬらしい。
キリコ『・・・うっ』
アンチョビ『お!目が覚めたかい?』
キリコ『ここは?』
アンチョビ『試合場近くの休憩所だ。』
キリコ『試合からどれ位経った?』
アンチョビ『だいたい、一時間だな。あまり怪我はしてないみたいで良かったよ。』
キリコ『さっき、乱入してきたブルーATだったか?あれはクメンの内戦に参加してるんだな?』
アンチョビ『ああ、それは間違いない。むしろこの試合場にいたのが驚きだよ。たしかにクメンの試合場には近いけどさ。』
キリコ『そうか。』
と言うと寝ていた身体を起こし荷物をまとめた。
アンチョビ『まあ何を言っても行くだろうから止めないけどさ怪我はするなよ!』
キリコ『わかったよ。色々と世話になったな。』
休憩所を出たキリコは先程戦っていたテケ車の2人がいた。
キリコ『あんた達は・・・』
しずか『改めて名乗らせて貰おう
鶴姫しずかだ。以後お見知りおきを』
と、しずかが話し終わるやいなや鈴が興奮しながらしずかを押しのけキリコの前にたった。
鈴『あ、あの!わたし、松風鈴て言います!大洗との試合見てました!握手いいですか??』
キリコ『まあ構わないが・・・』
あまりの勢いに圧倒されつつ握手をし、押し退けられたしずかは呆れつつ鈴を見る。
しずか『なんだ鈴、お主いつの間にキリコ殿のファンになったのだ?』
鈴『いやまあ?この前の試合見てからなんだけどね?キリコさんだけじゃ無くアギトさん兄弟もすごかったな~』
キリコ『あんた達の戦いもすごかった。正直あのまま戦っていたらわからなかったな。』
しずか『謙遜致すな。そなたはボンプルからの連戦、しかもタンカスロンでの戦いは此方に一日の長があった筈なのに仕留めれなかった。我らの方が全て有利だったのにだ。』
キリコ『そうか、だが楽しかったよ。タンカスロンも良いかもしれんな。』
しずか『それは重畳、是非また再戦を。』
と、2人は握手をかわした後にキリコは
降ろした荷物を持ち出掛ける準備をした。
しずか『もう、行くのか?』
キリコ『ああ、どうしても行かなければならないんだ。悪いな忙しなくて。』
しずか『構わぬさ、キリコ殿!御武運を!』
キリコ『ありがとう。じゃあな。』
キリコは別れの挨拶をすると目的地に向けて歩を進めていった。
鈴『・・・』
しずか『?、どうかしたか鈴。』
鈴『いや~わたしの中のキリコさんのイメージって西住まほさんみたいに厳格な印象があったんだけどさ。』
と、キリコの歩く後姿を見ながら
鈴『あんな風に笑うんだね。』
そんな事をキョトンとした顔で言った。
しずか『まあキリコ殿は少し無愛想な顔をしておられたからな。それも仕方の無いことかもしれんがな?』
鈴『それは失礼でしょ!』
しずか『・・・時に鈴。少し相談があるんだが良いか?』
鈴『な、何?』
この時、鈴は何かトンデモナイことをしずかが考えてる気がした。そしてそれは現実の事となる。
ペパロニ『あれ?キリコはもう行っちゃったんすか?折角だから一声かけたかったのに~』
アンチョビ『すまんなペパロニ。
とても引き止めれなかったよ。
全く、ATから放る出されて全身打ったのに直ぐに回復するなんてタフなヤツだよ。』
ペパロニ『しかし姐さん?なんで戦車の手配をするんですか?別に何処とも試合の予定はないんじゃあ?』
アンチョビ『それはもしもの為だ。』
そこにひとりの少女が現れアンチョビに話しかけた。
アンチョビ『きたな、カルパッチョ。どうだった?』
カルパッチョ『はい総帥。これが集めた資料です。』
アンチョビ『ふむ。なるほど見事だ。』
カルパッチョ『ありがとうございます。』
そのやり取りが何なのか分からずペパロニは狼狽える。
ペパロニ『へ?アンチョビ姐さん、これは一体?』
アンチョビ『まあ、あとのお楽しみってヤツだな』
と不敵な笑みをしながら返答した。
クメン改革派最前線基地アッセンブルEX -10
今キリコがいる場所は、改革派の最前 線基地、
数多くの傭兵が報酬目当てにここアッセンブルEX 10 に集まってきていた。
まあキリコは勿論、報酬目当てで来ているのではないが、
たまたま改革派の兵員募集があったからこちらに来たに過ぎないのだ。
傭兵として入るためには様々な情報を調べられその人物がどのような経歴を全て把握されるのだ。
そしてキリコは傭兵登録を完了したすぐ後に司令室に呼び出された。
司令室
司令『大した経歴じゃあないか、ええとキリコ・キュービーだったかな?』
と言いキリコを見る男はスキンヘッドで片目が義眼の体格の良い人物だった。
声は静かで荒々しくもないが威圧的なものをキリコは感じていた。
キリコ『そんな事はないさ。』
とキリコは静かに返すと司令官の隣に居る男が噛みつくように喋り出した。
『ふん!あの悪名高いレッドショルダーに属してたヤツが何を偉そうに!
司令!やはりこいつは信用に値しません!』
と、司令とは対照的に怒鳴りちらし嫌悪感を感じさせキリコを睨みつけた。
司令『まあまあ、
そう敵視するなカン・ユーこれから一緒に戦う仲間なのだからな。』
と言われるとカン・ユーは渋々口を閉じた。
キリコ『所で何故オレを呼んだんだ?』
司令『む・・・そうだな。早速本題にはいろうか。いま我等 改革派は改革否定派・・・まあ踏襲派だな、彼らとの戦いは正に佳境を迎えているところだ。現状はあまり良くは無いのだがね?』
キリコ『何故だ?兵力ではこちらが上ではないのか?』
司令『確かにそうだ、だがな踏襲派のカンジェルマンと言うのが中々の戦術家でな?
単発的なゲリラ戦術でこちらの裏をかき戦力差を覆してきたのだ。
すでにこちらの最前線基地はここだけになったのだ。』
キリコ『なるほどな。それで急な兵員募集と言うわけか。』
司令『そして我々が苦戦している理由がもう一つある。それがブルーATの存在だ。今まで負傷した者たちの約2割がブルーATによるものだ。』
キリコ『ブルーAT・・・!』
司令『今、ブルーATをどう対処するかは敵本拠地を制圧するに至って避けては通れん問題なのだが・・・いかんせん対策が浮かばないのでな?対戦した君にも意見を聞きたかったのだよ。』
キリコ『・・・意見か、いや?』
ここで一つの疑問がキリコの頭によぎった。
キリコ『何故、俺がブルーATと交戦した事を知っているんだ?』
ブルーATと交戦したのはついさっきの出来事、あの場に居た者しかしらないはずなのだが?
司令『ああ、そうだった。それについてなんだがね?情報を提供してくれた者が居たのだよ。その名は・・・』
『コンコン』
と、司令の話を遮るかの様に扉をノックする音がした。
司令『来たか、タイミングが良いな。入れ。』
ガチャ
キリコ『!』
その時、キリコの目の前に現れたのは、知っている2人の少女だった。
キリコ『お前達・・・何で此処に??』
しずか『また会いましたな、キリコ殿?』
鈴『ど、どうもキリコさん・・・』
司令『この2人も貴様同様に参加を志願してきたのだ。
そして鶴姫しずか、彼女から情報提供があったと言う訳だ。』
キリコ『何故、おれの名前を出す・・・』
しずか『いや、失礼 キリコ殿の事を話さねば話にならなかったのでな?』
キリコ『まあ、今さら言ってもか』
司令『他の話は後にしてもらえるかな?
今、君達に聞きたいのはブルーATについてだ。
どう対処するかだ、交戦した君達になら何かわかるのではないかね?』
そこで司令の隣で先程から口を開きたくてしょうがなかったカン・ユーが甲高い声で異論し出した。
カン・ユー『司令!その件に関しては、
既にATの装甲と火力を強化することで
対抗するべきだと私が進言したはずです!』
と、司令に対し熱弁するカン・ユーに対し、しずかは反論した。
しずか『否、それでは駄目だな。私は直にブルーATをこの目で見たがいくら火力や装甲を強化したところで意味はないだろう。こちらの攻撃は避けられただ一方的に攻撃を食うだけであろうな。』
カン・ユー『き、貴様の様なガキに戦闘の何がわかる??』
キリコ『俺も彼女の意見に同じだ。こちらの足が遅くなっては避けるモノも避けれまい。』
しずか『さすがはキリコ殿。』
とニタリと笑みをこぼしながら言う。
司令『ならばキリコ、貴様ならどうすればいいと思うのだ。』
キリコ『・・・奴に会ったら逃げるのが一番の対処法かも知れないな。』
カン・ユー『ふざけるな!敵前逃亡などそんなこと許されるのか!』
司令『なるほどな?それも一理あるかも知れんな。』
カン・ユー『し、司令??』
司令『だが貴様にはこれから先、ブルーATと交戦が避けれない状況に陥る時が来ると思っていてもらおう。』
キリコ『もとよりそのつもりだ。』
司令『ならありがたい。お前たちを呼んだのは対処法を聞くだけではない。もう一つ重大な話があるのだ。』
鈴『重大な話ですか?いったい?』
司令『われわれは敵の最前線基地の場所をある程度捕捉することに成功した。
よってそこに奇襲を仕掛ける。
だが大部隊を派遣したら奇襲は成功しないだろう、
よって少数精鋭部隊による奇襲作戦を敢行する!』
しずか『それはそれは何とも心躍る作戦ですな。』
司令『この作戦が成功したら奴らの本丸に攻め込める可能性も出てくるなんとしても成功させねばならない!
ただブルーATも出てくるだろう。』
キリコ『その時は俺がやる。』
司令『期待しているぞ。作戦は1時間後各自準備をしといてくれ。』
しずか『承知。』
司令『それと作戦の指揮はカン・ユーに任せている。まぁ仲良くやってくれ。』
カン・ユー『ふん!』
しずか『・・・』
キリコ『・・・』
鈴『あ、あはは・・・』
そしてその異様な空気の部屋からやっと出ることが出来、キリコは早々に再会した二人に事情を聞いていた。
キリコ『なぜきた?』
しずか『ふむ?何故と申さられるとは心外ですな?われらはキリコ殿に助太刀に来たのですよ。』
キリコ『助太刀?』
鈴『そーなんですよ??もうしずか姫ったら急に言い出して?』
キリコ『なぜだ?何故、そんなコトをする?』
しずか『キリコ殿は先程、我等と試合をした時は此処に馳せ参じようと急いていた、にも関わらず我等と試合をしてくれた。
その恩を返したい・・・と言う勝手な理由になりますよ。』
キリコ『そんな理由でこんなとこに来るとは、なんとも可笑しな連中だな。』
しずか『可笑しいといえばキリコ殿もでしょう?』
キリコ『まあ、確かにそうかもな。』
しずか『フフフ』
キリコ『フッ』
鈴『・・・(なんか話に入れない・・・)』
しずか『む、そろそろ集合時間になりますな?』
キリコ『もうそんな時間か、じゃあ行くか。』
しずか『では参ろうか?我等の戦地へ!』
キリコ達は指定された場所に向かった。そこにはカン・ユー以外にも数人の男たちがいた。
『ほう、君たちがブルーATと戦った期待の新人か?』
キリコ『どうかな、一方的にやられただけだと思うが』
『無事に生き残っただけでも大したものだ。
あっと自己紹介がまだだったな。
俺はポル・ポタリアと言う。宜しくな』
と言って、キリコの後ろにいるしずかと鈴にも宜しくと声をかける。
ポタリア『しかし、珍しいな戦車乗りがこんな所に来るなんて。』
しずか『我等、二人はキリコ殿と違いまだまだ未熟者故、戦い経験を増やしたいのですよ。』
ポタリア『成る程な、随分と意欲的なものだ。』
と、話しているとポタリアと一緒にいた男が話に割り込んできた。
『全く新しい戦力ってんだから期待してたのに唯のガキどもなんてな!』
といかにも傭兵な男は荒々しく話す。
ポタリア『キデーラ!そんな言い方はないだろう!』
キデーラ『ふん!頭数だけ増やしても意味無いんだぜ?
しかもこいつはブルーATの目の前で生身を晒したんだってな?
気でも違ったか?そんな奴の尻拭いはゴメンだぜ!』
キリコ『安心しろ、お願いされてもあんたにされるつもりは無い。』
キデーラ『テメエ!』
ポタリア『いい加減にしろ!これから作戦なんだぞ!』
キデーラ『ふん!』
しずか『・・・所で』
しずかはポタリアとキデーラの他に片隅にいるもう一人の男に目を向けた。
しずか『其方の御仁も同じ仲間なのですかな?』
ポタリア『あ、ああそうだ。シャッコ!挨拶くらいしろ!』
と言われ此方に近付いてきた男は身長2メートルはあろう大男だった
鈴『で、でかい』
しずか『我が名は鶴姫しずかと申す。御身の名を頂戴したい。』
と全く目の前の大男に怖じけずに言う
シャッコ『・・・俺はル・シャッコだ。よろしくな。』
と言った所で聞き慣れた甲高い声が聞こえてきた。
カン・ユー『貴様ら!もう集合の時間だぞ!気を付け!』
キデーラ『たっく!五月蝿い隊長さんだぜ。』
カン・ユー『いいか?コレより我等は敵の前線基地に奇襲をかける!重要な任務だ!失敗は許されんぞ!分かったな!』
では、出撃!と言った直後に出鼻をくじくようにキリコが発言する。
キリコ『待て、俺の機体がないぞ』
と言われると悪どい笑みを浮かべながらカン・ユーが答える。
カン・ユー『安心しろキリコ!貴様の機体は既に準備済みだ!』
キリコ『この機体は・・・』
カン・ユー『ダイビングビートルだ!感謝しろよキリコ!この最新鋭機に乗れるのは?』
キリコ『ああ、助かるよ。』
ほんとはドッグTYPEが良かったなんて言うものなら何て言われるか分かったものでは無いので口にはしなかった。
鈴『ああ!コレが噂のダイビングビートル!生は初めて見た!』
しずか『な、なんだ鈴?凄い機体なのか?』
鈴『モチロン!湿地帯戦用のH級ATだよ!沼地の様な悪路でもスワンピークラッグを装備しているから何のその!更には二時間の潜水も・・・』
しずか『分かった分かった。兎に角凄いのだな?』
キリコ『まあ悪い機体では無いな。』
カン・ユー『では出撃する!気を抜かるなよ!』
進軍すること三十分ほど
しずか『しかし、予想はしていたがこの密林地帯は凄いな。まるでジャングルだな。』
鈴『アウンさん達と一緒に戦った場所も凄かったけどそれ以上だよ。それにこの湿度!戦車の中はサウナだよ~』
キデーラ『嬢ちゃんたち、早速泣き言か?大人しく帰って戦車道でもしてた方がいいんじゃねえか?』
しずか『キデーラ殿、我らのしていることは戦車道にあらず。タンカスロン也、間違えないでいただきたい。』
キデーラ『タン・・・何だって?』
シャッコ『タンカスロンだ。』
キデーラ『な?シャッコ!お前知ってるのか?』
シャッコ『この仕事をしていれば嫌でも耳に入る事だ。』
キデーラ『ああ、そうかい』
ポタリア『確か10トン未満の戦車が条件の何でもありの野良試合だったね。最近はボトムズも参加していると聞く。』
しずか『その通り、此処に来る前はキリコ殿もタンカスロンに参加しておったしな?』
キリコ『・・・』
ポタリア『しかし何故タンカスロンを?アレはかなり過激な競技と聞く。何を目的にしているんだ?』
しずか『我、否、我らの目的は西住みほ率いる大洗に勝利する事。その為にタンカスロンをしている。此処にきたのもその為ゆえに。』
ポタリア『西住みほ・・・!成る程それは強敵だな?』
キデーラ『おいおい、ポタリアよ
どう言う事だ?説明してくれよ?』
ポタリア『確か戦車道の名門、西住流の御息女で転校して直ぐに設立したチームを率いて、その年の全国大会を制したんだよ。』
キデーラ『ほう!成る程な。物知りだなポタリア!』
ポタリア『この知識なら皆知ってると思うがな。』
シャッコ『そうだな。散々ニュースになってた。』
キデーラ『ぐ・・・』
しずか『所で貴殿らは何故戦っておられるのですかな?』
キデーラ『はん!そんなの決まりきってるぜ!金さ!金のために戦うのさ!それだけよ!』
鈴『し、シンプルですね・・・』
キデーラ『まあ学生の嬢ちゃんにはわからんかもだがな!』
シャッコ『俺は傭兵だ。戦うのが仕事だ。』
しずか『成る程、至極正論ですな。』
ポタリア『俺は理想の為に戦っている。』
しずか『理想・・・とは?』
ポタリア『クメンを新しくする事だ、その為に俺は戦う。』
キデーラ『またその話かよ。聞き飽きたぜ?』
ポタリア『悪かったな。』
しずか『いや、ポタリア殿、戦う理由は人それぞれ千差万別、おの方々の理由とても勉強になりました。』
と、しずか達が雑談していると先頭を行くカン・ユーのダイビングビートルが立ち止まった。
カン・ユー『止まれ!見えたぞ、』
とカン・ユーが示す先には中規模な基地が有った。見た目は農村のようなカモフラージュをしているが数多くのATが配備されている事から、此処が前線基地である事は明白だった。
カン・ユー『くくく!遂に見つけたぞ!ゲリラどもが!』
鈴『ゲ、ゲリラ?』
キデーラ『隊長殿は踏襲派のコトをそう言ってんだよ。』
キリコ『ATの数は、18・・・いや20は居るな。』
ポタリア『流石に多いな。』
しずか『相手は此方の倍以上故、此処は慎重に作戦を練るべきかと・・・』
としずかが提案を言うより早く一機のダイビングビートルが前線基地に飛び出した。
カン・ユー『これより敵に奇襲を掛ける!俺に続けえー!』
キデーラ『くそ!あの馬鹿隊長が!』
ポタリア『仕方ない!俺とキデーラは隊長を援護する!キリコとシャッコ、それにテケ車は反対から奇襲をかけてくれ!』
しずか『承知した。いくぞ鈴。』
鈴『う、うん!』
シャッコ『いくか。』
そういうとキリコら4人はカン・ユーが攻撃を仕掛けた反対に回った。
鈴『あの人達、大丈夫かな?』
しずか『わからないが彼らは選ばれた腕利き揃いと聞く。多分問題ないさ。』
というと前を指差しながら しずかは言う
しずか『大体、我等はヒトの心配より自分の心配をせねばならんのでは無いか?』
鈴『あのATは・・・スタンディングタートル!』
スタンディングタートル、それはスタンディングトータスの湿地戦用改良TYPE優れた装甲はもろいボトムズのなかでも良好でボトムズ乗りからも人気の機体だ。
しずか『隊長達の方に大分気が回っている今がチャンスに違いない。』
キリコ『確かにな。』
シャッコ『突っ込むか。』
と言うと3機は同時に敵陣に突っ込んで行く。
敵は完全に不意を突かれ一機、二機と次々に撃破されて行く。
キリコ『・・・3機撃墜。』
キリコは自身の機体であるダイビングビートルのコトを考えていた。
確かにカン・ユーの自慢するだけありパワー、居住性、湿地戦に対する適正どれをとってもドッグTYPEを上回る性能だ。
だが・・・やはりか、使い慣れたドッグタイプだったらと思ってしまう。
思い入れも有るだろうがいざと言うときは多少性能差が有ろうとも使い慣れた機体の方が急な状況下でも即座に対処出来るものだ。
しずか『相変わらず大したものだなキリコ殿は!次々と敵を打ち取って行く。』
鈴『しずか姫!』
しずか『応!』
と言うとしずかは足で鈴に指示を出しゲリラの攻撃を避け砲撃をする。
その砲撃はスタンディングタートルの頭に当たり一撃で倒れた。
鈴『やったね!しずか姫。』
しずか『ああ!』
と2人が気をほんの少し緩めた瞬間背後に現れたスタンディングタートルがテケ車めがけて突進して来た。
しずか『しまっ・・・!』
急な事で鈴への判断が遅れ覚悟した瞬間、一機のボトムズが両機の間に割り込んだ。
シャッコ『無事か。』
それはカスタムATを駆るシャッコだった。
シャッコ『ふん!』
シャッコはカスタムAT、ベルゼルガの腕に装備している特殊兵装、パイルバンカーを相手の土手っ腹に突き刺した。
『がはっ』
クイ状のものを相手のボトムズに突き刺しパイロットごと一指しにする必殺の兵装・・・
『死ぬかと思った・・・』
のはずだがこの世界のボトムズは特殊カーボンコーティングされている為機体が凹む程度で済んでしまう。だがダメージ判定は撃破認定されるので一撃必殺には変わりないのだが。
しずか『助かりました!シャッコ殿!』
シャッコ『気にするな。
だが油断はするなよ?敵はこの基地を取られまいと必死だ。』
しずか『・・・心得た!』
鈴『凄かったね~シャッコさんのATのあれ!相手を一撃で倒したよ!』
しずか『シャッコ殿のATだけ他の方のとは別のようだが、アレはなんと言うのだ?』
鈴『いやそれがわからないんだよね、恐らくはシャッコさん独自のカスタム機何だと思うけど?』
しずか『成る程。あの威風堂々としたたたずまい、それに見合う実力、流石はここのエースだけは有ると言うことか。』
鈴『しずか姫?』
しずか『よし!残り僅かだ!気を抜かずにゆくぞ!』
鈴『うん!』
それから数分後、敵基地のATは大半が撃破され制圧も時間の問題だった。
キリコ『大方ケリはついたか。』
シャッコ『そのようだな。』
鈴『殆どキリコさんとシャッコさんで倒しちゃったね・・・』
しずか『確かにな。我らは彼らの足を引っ張らないのが精一杯だった。』
これでは駄目だ。もっと強くならなければ、大洗に勝つためにはまだまだ足りない。
中々、更新できなくて申し訳ないです。
なんとか月一ペースぐらいで頑張ります!
一先ず更新します。
鈴『しずか姫?』
しずか『・・・!、ああすまない?何か言ったか?』
鈴『ううん、別にいいの。でも思いつめないでね?私たちはチームなんだからさ?』
しずか『ああ、そうだな鈴。』
そうだ。我等、2人で一つのチームなのだ。我だけが強さを求めて先走っては駄目なのだ。
しずか『鈴、』
鈴『な、何?』
しずか『2人で強くなろう!キリコ殿やシャッコ殿のように!』
鈴『もちろん!』
シャッコ『さて、キリコあらかた片付いたがそろそろポタリア達と合流するか?』
キリコ『そうだな・・・』
とキリコが話を終える前に急に臨戦態勢に入っていた。
シャッコも同様だった。
鈴『しずか姫!?』
しずか『・・・来る!』
その瞬間、基地の外側から猛スピードで出てきた一つの青い機影。そう、まさしくブルーATだった。
鈴『き、来ちゃった・・・』
しずか『・・・』
改めてこうして対峙すると、成る程他のボトムズとはまるで別格だ。だがこちらは3機上手く立ち回れば・・・
キリコ『こいつの相手は俺がする。お前達はポタリア達と合流してくれ。』
しずか『馬鹿な!?あの怪物に一人で戦うつもりか!』
鈴『無茶だよ!キリコさん!』
キリコ『下手な連携では相手の思う壺だ。ココは俺一人に任せてくれ。』
しずか『確かにそうかもしれまいが!』
キリコ『それに基地の制圧は達成した。もうこれ以上の戦闘は極力避けるべきだ。』
しずか『・・・了解した。キリコ殿!ご武運を!』
鈴『いいの!?』
しずか『ああ。行こう。』
シャッコ『・・・』
キリコ『・・・』
シャッコ『キリコ、』
キリコ『何だ。』
シャッコ『気をつけろよ。』
キリコ『ああ。』
と言うとテケ車とベルゼルガはキリコを後にし後退した。
ブルーAT『・・・』
このやりとりをしている間少しもブルーATは動かなかった。身体中から針のような鋭い殺気を放っていたが後退した二機にも見向きもしなかった。
キリコ『さて・・・行くか。』
しずか『・・・』
鈴『しずか姫・・・』
シャッコ『あいつは口下手な奴だな。』
鈴『シャッコさん?』
シャッコ『あの場では長々話している時間はなかった。だからあんな風に言ってしまったんだ。』
しずか『しかし、我が力不足なのは事実だと・・・』
シャッコ『本当に力不足ならさっきの戦闘で堕ちていた。』
しずか『シャッコ殿・・・』
シャッコ『おれもキリコもあんた達の事は信用している。それを覚えといてくれ。』
しずか『・・・感謝する。』
鈴『!』
鈴が何かに気づいたらしく急ブレーキをかけた。
しずか『な、何だ鈴?』
鈴『あ、あれ!』
鈴が示す先ではポタリア達ダイビングビードル3機がいた。
そしてその3機の先には戦車が居た。
戦車5両がボトムズを囲むように陣取って居た。
キデーラ『ったく!囲まれちまうとはな!』
ポタリア『この戦車達は最初からは居なかった。恐らく戦闘の音を察知され駆けつけたんだろう。』
カン『うぬー!あと少しで制圧できたものを!』
戦車の隊長らしき人物は身を乗り出し3人に話しかけて来た。
『私はこの戦車団をまとめているヤイカというものだ。君達にもう勝ち目は無い。大人しく降伏したまえ。』
キデーラ『何だと!このガキが!』
と言うとキデーラはヤイカの戦車に向かって突進した。
ポタリア『止まれ!キデーラ!』
その言葉を言い終わる前にキデーラのダイビングビードルは戦車からの砲撃を受けた。
キデーラ『だは!』
幸い、機能不全には陥らなかったがその場に倒れ動かなくなった。
カン『ええい!馬鹿者めが!』
ヤイカ『ほう、今ので大破しないとは中々頑丈だな。それとも咄嗟に防御したのか?』
まあどちらでもいいか、とヤイカが呟いた後に
ヤイカ『降伏しないのであれば仕方がない。全車撃ち方用意!』
カン『クソォ!ポタリア!何とかせんか!』
ポタリア『・・・』
その瞬間、砲撃があった。しかし打たれたのはボンプルの戦車だった。
しずか『良し!命中した!』
シャッコ『突っ込むか。』
ヤイカ『増援?まだ居たのか・・・』
二車両が攻撃されたことにより包囲に穴が空いた隙を2人は見逃さず包囲から逃れた。
ポタリア『すまん!助かった。』
しずか『いや礼には及びません。それよりも良くぞ持ちこたえましたな。』
ヤイカ『・・・これ以上は無意味だな。全車撤退だ!』
と、ヤイカが号令したことにより、しずかと鈴はヤイカの存在に気付いた。
しずか『!、ヤイカ!』
鈴『何でこんな所に!?』
ヤイカ『君たちは・・・そうだ、アンツィオと試合していたテケ車か。』
と言っている間にカン・ユーがヤイカ車に突撃した
カン『よくも余計な被害を許さんぞ!』
とその瞬間、物陰からの砲撃によりカン・ユーの機体は吹っ飛んだ。
ヤイカ『バカな子・・・自らキルゾーンに入ってくるなんて。』
ポタリア『伏兵か!』
しずか『ヤイカ!御主がなぜ此処に居る!』
ヤイカ『別に意味なんてないわよ。言ったでしょ?暇つぶしだって。』
そのあとに、まあ強いてゆうなら
ヤイカ『ボトムズと遊ぶのも楽しいからかしら。』
しずか『何と?』
ヤイカ『あなたは分からない?これからの時代、きっと戦車とボトムズは同じ舞台で戦うことになるわ。非公式ながらタンカスロンでは最早それが日常になっている。だからこそこの様な戦場で経験を得る事は大切なのよ。』
それに
ヤイカ『大洗がタンカスロンに来た時に打ちのめすのにも必要な経験になるだろうしね。』
しずか『!、大洗は我等が!』
ヤイカ『出来るのかしら?貴女たちに?』
2人が睨み合って居るとボンプル生がヤイカに撤退の催促をした。
ヤイカ『っと、ごめんなさい。』
しずか『待たぬか!』
ヤイカ『貴女とは、また戦うでしょう。しかしキリコとか言う男はもう戻らないわ。』
しずか『!?、何故キリコ殿の事を御主が!?』
ヤイカ『可哀想だけどあの男に目を付けられてはね・・・』
『お前がキリコか。』
その言葉には憎悪が込められていた。
キリコ『お前は!?』
キリコはしずか達と別れたあとブルーATと交戦した。
しかしキリコは相手を撃つ気はなく、此方がキリコ・キュービーである事を伝えれさえばよかった。そうすれば戦う必要など無くなるからだ。
キリコはボトムズ乗りなら誰でもわかる光信号を頭部のスコープから発した。
そしてそれに応えてくれてハッチを開いたのだ。これでフィアナに再会できると疑わなかったが・・・
キリコ『何者だ?』
『私はイプシロン。史上最強のPSだ。』
キリコ『PS・・・パーフェクトソルジャーか。』
パーフェクトソルジャー、それはボトムズ乗りにとっては最高の称号であり畏怖の対象である。ボトムズ乗りの歴史の中でもその名で呼ばれたものは3人もいないと言われて居る。
イプシロン『キリコ、貴様はフィアナを探しに来たんだろう?』
キリコ『!、フィアナはやはり此処に居るのか?』
イプシロン『貴様は関係のない事だ。』
キリコ『何?』
イプシロン『悪い事は言わん。今すぐこの試合から抜けるがいい。そしてフィアナの事は忘れるのだな。』
キリコ『断る。』
イプシロン『ならば仕方がない。実力の差を思い知るがいい。』
そう言うと同時に両者はハッチを閉め臨戦態勢に入った。
キリコ『流石に早いな』
だがキリコは前回と違う点が二つある。一つは乗ってる機体前回はレストアしたスコープドッグ、今回は最新鋭機のダイビングビードルであること。
二つ目は前回の戦闘でイプシロンの動きを見た事。
この前回との違いから少なくとも互角の戦いが出来ると踏んでいた。
しかし
キリコ『!』
イプシロン『何故、先程貴様の仲間を見逃したり光信号のサインに答えたかわかるか?』
そういうイプシロンのスナッピングタートルの動きは前回を凌ぐ反応速度だった。
キリコ『くっ!』
イプシロン『パイロットがフィアナでは無くこの私だとわかった上で敗北させたかったからだ!』
と言いながらイプシロンは接近しハンディロケットランチャーを連射した。
キリコ『!』
イプシロン『終わったな。まだ撃破にはなっていないがもう動けまい。投降しろ。』
その時、キリコはハッチを開けた。
イプシロン『よし、それで良い。』
瞬間、キリコのアーマーマグナムがスナッピングタートルのスコープ目掛けて放たれた。
イプシロン『何!?』
放たれた弾丸はスコープを破壊し外部の情報がわからなくなった。
イプシロン『キリコ!貴様!』
キリコ『今のうちに。』
キリコはイプシロンがモニターを破壊され困惑しているこの瞬間を利用し逃げようとした。ATはもマトモに動かない。
悔しいがまたしても負けたのだ。
その時だった。
『動かないで!』
声が聞こえた瞬間周りを見渡したら既に戦車に囲まれていた。
『ヤイカ隊長に言われた通り来て見たらまさかイプシロンさんが苦戦してるなんてね。』
キリコ『その服装、ボンプルか』
『はい。私はボンプル高校タンカスロンの副隊長を務めさせていただいているウシュカと言うものです。』
キリコ『副隊長か、しかしこんなに早く増援が来るとはな。』
ウシュカ『それはこちらのセリフです。まさか私たちが来る前に基地を制圧するなんて驚きました。』
キリコ『そうか』
どうやら悠長に基地を前に作戦を考えていたら、このボンプル高校やイプシロンが基地に戻って来たわけか。
今回はカン・ユーの無謀な電撃作戦が功を成したわけか。
ウシュカ『所で・・・その物騒な物は地面に置いていただけます?』
キリコ『わかった。』
ウシュカ『どうも。』
キリコが言われた通りアーマーマグナムを地面に置いたときハッチを開けイプシロンがキリコに近づいて来た。
イプシロン『キリコ!』
キリコ『ぐ!』
イプシロンはキリコの胸倉を掴みそのまま投げ飛ばした。
イプシロン『ATの戦いで勝てないからとあんな卑怯な手を使うとはな!』
ウシュカ『べつに銃を使うのは反則じゃあ無いですよ。イプシロンさん。』
イプシロン『戦車乗りは黙っていろ!これはAT乗りの問題だ!』
ウシュカ『そうですか。しかしもう撤退の命令が出ています。キリコさんは捕虜にしますから基地に戻ってから好きなだけ尋問して下さい。』
イプシロン『ふん。まあ良いだろう。
きこえたな?キリコ!基地に戻ったらたっぷりと尋問してやる!』
キリコ『・・・』
イプシロンに二度目の敗北、更には捕虜になり連行され尋問。
だがそんなコトはどうでも良かった。
もしかしたらフィアナに会えるかもしれない。
それだけを俺は考えていた。
しずか『捜索をしないとは一体どういう事か説明して頂きたい!?』
しずかは怒りを露わにしていた。
もう基地は完全に制圧し後続の部隊も到着し次の作戦の準備に取り掛かっている時に。
戦闘は完全に終わっていた。
だがキリコは帰って来なかった。 しずかはキリコの捜索を志願した。しかしその願いは聞き入れてもらえなかった。
カン ユー『何度も言ってるだろうが!今は明日の決戦に向けての準備が最優先!戻って来ないやつなど知ったことか!』
しずか『なんと非道な!』
カンユー『大体、キリコがブルーATを仕留めれば良いだけの話だったのだ!負けたキリコが悪いとは思わんか?』
ポタリア『それはどうですかね?隊長殿?』
カンユー『な、なんだ!何か文句でもあるのか?!』
ポタリア『いや只の意見ですがね?
聞く所によると しずかさん達が我らの援護にこれたのはキリコが単独でブルーATを抑えていたからなんですよ。
つまりは間接的に助けられたという事です。』
カンユー『な・・・!』
ポタリア『そんな恩人をみすみす相手の捕虜になどしたく無いんですよ。
俺1人だけでも良い。行かせてくれませんか?』
カンユー『ぐ、駄目だ!』
ポタリア『・・・』
カンユー『この話はコレで終わりだ!
良いか!無断で何かすれば只では済まんぞ!肝に命じておけよ!』
と言い、カンユーは指令室に去っていった。
しずか『何故だ!キリコ殿がいたから我らは皆無事に済んだというのに!』
鈴『そうだよ!こんなのあんまりだよ!探しに行こうよ!』
ポタリア『いや、駄目だ。』
鈴『そんな!?ポタリアさんもキリコさんがどうなっても良いんですか!?』
しずか『落ち着け、鈴。』
鈴『だ、だって』
ポタリア『鈴さん、俺も探しに行きたい気持ちは同じさ。
だがあれから、だいぶ時間が立ってしまった。もう近くにはいないだろう。
それにカンユーに逆らうととんでも無いことになる。
たとえキリコを見つけてきても俺らの居場所は無くなっているだろうな。』
鈴『な、なら私たちはどうしたら?』
シャッコ『待つしか無いな。』
鈴『シャッコさん・・・』
シャッコ『あいつは必ず戻ってくる。』
鈴『・・・はい!』
しずか『キリコ殿、我等は信じています。貴方が我等の元に戻りそして一緒に闘えると。』
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