発明家「何故だ、なぜなのだ」
J( 'ー`)し「ただいまー」
発明家「おっ、おかえりカーチャン!」
J( 'ー`)し「はいはい、ただいまトーチャン!」
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J( 'ー`)し「やれやれ、ほんと工場長は労働者使いが荒いったらありゃしない」
発明家「ごくろーさん」
J( 'ー`)し「じゃぁお夕飯作るから、そないだトーチャンはティッシュで薔薇つくる内職やってってよ」
発明家「あっ、はい」
「「いただきまーす」」
発明家「おお、今日のサンマの缶詰は当たりだな」
J( 'ー`)し「でしょう。配給所の前所長が横領の罪でシベリア送りになって、新所長に変わったから、普通の品が入手できたよ」
発明家「まったく、前所長はけしからん奴だった」
J( 'ー`)し「新任の所長は不公平しない良い人っぽいけど、いつまで汚職に関わらずに済むかねぇ……」
発明家「……」
J( 'ー`)し「ところで、お仕事の進み具合はどう?」
発明家「まぁ開発は順調だは」
発明家「ツイイッターやフェイスボックスの書き込みを分析し、理想の恋人相手同士をマッチングさせるアルゴリズム」
発明家「開花予測や地理データ、人口密度などを入力することで、見頃かつ場所の取れる花見スポットを検索できるアプリ」
発明家「うつ病を緩和させる音波が、誰にでも出せるエレキベースギターなど、」
発明家「試作までなら色々と出来上がってる」
J( 'ー`)し「あらまぁ、私はよくわからないけど、凄そうねぇ」
発明家「いや、実際凄いはずなんだよ。大学や研究所、企業に持ち込んだら効果があるって評価されて」
J( 'ー`)し「へぇー」
発明家「製品化は政府の許可を待つだけ、そこまで来てるんだけど」
J( 'ー`)し「ダメなの?」
発明家「あぁ」
J( 'ー`)し「あらまぁ」
発明家「政府の役人や与党の政治家が言うには、」
発明家「これが規制緩和で製品化されることで、伝統あるお見合いの文化が廃れ、」
発明家「場所取りで忍耐力を付ける新入社員教育もできなくなり」
発明家「ベーシストや精神科医の仕事が減ってしまうだろうって」
J( 'ー`)し「まぁ、そうなるわよねぇ」
発明家「いや、それはそうなんだけど……」
発明家「これ製品化できたら便利と思うんだけどなぁ。若者のボッチとかも解消できるし、妙なストレスや医療費の削減とかできて」
発明家「でテスターさんとかアンケート、世論の声とかも好評、製品化してくれって勢いは強いんだが」
J( 'ー`)し「でも、お役所の許可が降りない?」
発明家「あぁ」
J( 'ー`)し「あらまぁ」
発明家「これらを認めて貰うために、発明家同士で抗議デモとかやってるんだけども、一向に与党の支持率が下がらん」
J( 'ー`)し「……」
発明家「マスコミにも取り上げて貰ってるのに……何故だ、何故なのだ」
J( 'ー`)し「そらそうよ、トーチャン」
発明家「えっ、なんだってカーチャン?」
J( 'ー`)し「どんだけやっても、与党の支持率は下がんないよ」
発明家「ええ」
J( 'ー`)し「だってさ、与党の支持者って、トーチャンの発明品で損する人たちだもの」
発明家「まぁ、そうかな?」
J( 'ー`)し「恋人作りとか、花見探しとか、うつ病緩和とかが簡単にできちゃうと」
J( 'ー`)し「世話焼きBBAとか、会社のお偉いさん、ベーシストやお医者さん達の立場がなくなるでしょが」
発明家「あぁ」
J( 'ー`)し「ほんだら、そういう人らは自分の立場を守るために、余計に自分らを守ってくれる与党を支持しないかい?」
発明家「むぅ、理屈としちゃ、そうだなぁ」
J( 'ー`)し「でしょ。与党の権力基盤は、与党支持者の保護や利益斡旋なのよ」
J( 'ー`)し「そこを脅かそうとすれば、ズルしてる人たちでも、余計に頑なになっちゃうわ」
J( 'ー`)し「だから寧ろアレよね。トーチャンの発明が認められるには、反与党デモなんかするんじゃなく」
発明家「なく?」
J( 'ー`)し「むしろ逆の、与党の政治家さんとお友だちになって、そのコネでお役人に忖度(そんとく)してもらった方が、早くないかい」
発明家「えぇ……(困惑)」
発明家「いやいやいや、それはダメでしょカーチャン」
J( 'ー`)し「そうかい? 与党を支持した方が、便利だと思うけどねぇ」
発明家「ダメダメダメ、絶対にだめ!」
J( 'ー`)し「ふーん?」
発明家「良いものは素直にいい、悪いものは素直に悪い、そう真っ当に評価される世の中じゃないと、みんなが何もしなくなる!」
J( 'ー`)し「まぁ、そうよねぇ」
発明家「真面目に努力するより、与党と友だちってだけで得できる世の中なら、正直者が馬鹿を見るんだ」
発明家「学校の勉強頑張るより、政治家の子供とかと遊びまくって得をする」
発明家「会社でコツコツ仕事せずに、政治家や役人を接待しまくるヨイショしまくって得をする」
発明家「子供も大人も、国民みんながみんなそうなったら、この国はどうなる!?」
J( 'ー`)し「きっと、口だけで何もできない、イエスマンばっかりの国になって、そのうち滅ぶだろうねぇ」
発明家「あぁ、経済成長率なんかは確実に伸び悩むだろうな」
発明家「頑張っても認められない自分がいて、それなのにズルして得している誰かがいる、」
発明家「そんな不公平を見続けてれば、若者もみんな無気力になってしまう」
発明家「だからヤッパリ、個人としては得する何かがあったとしても、」
発明家「えこひいきとは距離置いて、えこひいきは非難して、」
発明家「国民みんなが、平等に公平に、自分が行う純粋な努力で、」
発明家「生きて『いけ』なきゃ駄目なんだ。そんなルールを守ってくのが、愛国者だ!」
J( 'ー`)し「おぉ、トーチャン! いいこというねぇ」
発明家「だからまぁ、今週末も抗議デモに行くよ! こんな世の中も変えるために」
J( 'ー`)し「うんうん。ガンバっておいで」
発明家「その分の食いぶちは、内職で埋め合わせするかんな」
J( 'ー`)し「はいはい、トーチャンはティッシュ薔薇を綺麗に上手に作るからね。しっかり家計の足しになってるよ」
発明家「ありがとカーチャン……ホントは、発明で認められたいがなぁ」
J( 'ー`)し「……」
J( 'ー`)し「ねぇトーチャン。もしどーしてもダメだったら、別の国に移住しないかい?」
発明家「えぇ、イキナリ何を!?」
J( 'ー`)し「私としてはね、やっぱトーチャンはトーチャンらしく、ノビノビ生きていける場所に居たほうがいいと思うんだ」
発明家「……」
J( 'ー`)し「ほんとのホンとに、この国が駄目ならさ。ここではないどこかへ行こうよ。私も付いて行くからさ」
発明家「……考えたコトはあったけど。カーチャン、海外移住は大変だぞ。大丈夫か?」
J( 'ー`)し「そりゃもう! トーチャンと一緒なら、どこまでも頑張れるさ。あたしゃ最後の最後までトーチャンの味方だよ!」
発明家「カーチャン…………愛してる」
J( 'ー`)し「うふふふ。私もトーチャンのこと、愛してるよ~」
<終>
このSSまとめへのコメント
いい話だぁ~