音乃木三國志 (58)
三國志関係ありません。
オリキャラはいません。
死亡描写アリです。
かませ犬がいますが別に嫌いなわけじゃないです。
設定に関する質問がありましたらお答えさせて頂きます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491133901
ここは音乃木坂合衆国。
この国は三つの州が集まって一つの国を成している。
そんな音乃木坂の皇帝がつい先日死んでしまった。
国を挙げて王を葬い、人々は悲しみに明け暮れた。
そんな中、大臣からは次期皇帝の話題があがり始めた。
次期皇帝候補には各州の州知事が挙げられた。
が、当人たちは割とどうでも良いようだ。
ことりママ「どーするー?」キャッキャ
真姫ママ「誰でも良いわー。」アハハ
海未ママ「そうですねー。」ウフフ
だが、彼女らの家臣、音乃木坂の大臣たちは
この後継者争いをこの国の存亡を賭けた大問題として
とても注目していた。
穂乃果「printempsが一番だよ!」
絵里「賢くないわね、BiBiに決まってるじゃない。」
海未「lily whiteで決まりですよ。」
三者の覇権を賭けた三つ巴の戦いが今幕を開ける!
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ことりママ「あら~、残念。」ウフフ
真姫ママ「やったわ、私が優勝ね。」アハハ
海未ママ「ポ、ポッキーゲームなんて破廉恥だわ…。」カァ-
ここは音乃木坂南西部の州、printemps。
次期皇帝候補ことりママを擁する。
三国の中で一番国力があり、ファッション・グルメなどの
娯楽に富んだ州である。軍事力はあまり無い。
観光客が多く、音乃木の顔的な州である。
穂乃果「絶対私達でことりママを皇帝にさせようね!」
ことり「私達に出来るかなぁ~?」
花陽「無理ですよ、そんなの…。」
穂乃果「ちょっと、二人ともそんなんじゃダメだよー!」
??「あら、穂乃果さん、お困りのようね。」
穂乃果「えっ、あっ、ツバサさん!」
ツバサ「あら、私だけじゃ無いわよ?」
あんじゅ「ハァーイ、お久しぶりね。」
ことり「あんじゅさん!」
英玲奈「音乃木の跡継ぎ争いと聞いてな…。」
花陽「A-RISEの皆さん!」
ツバサ「ことりママを皇帝にしたいって言うのは本気なの?」
穂乃果「はいっ、この国をお洒落で楽しい国にしたいので!」
ことり「それは私も同じだけど、無理があるよ~。」
穂乃果「でもそんなのやって見なくちゃ分からないよ!」
ツバサ「本気…なのね。どう?英玲奈、あんじゅ?」
英玲奈「ああ、異存はない。」
あんじゅ「構わないわ。」
穂乃果「どうしたんですか?」
ツバサ「私達、A-RISEはあなた達に協力するわ。」
穂乃果「えっ…」
ことり「嘘…」
花陽「あ、A-RISEの皆さんが私達の味方??」
あんじゅ「私達、音乃木にはずっと注目してたのよ~。」
ことり「えへへ、よろしくお願いしますねっ!」
英玲奈「まぁ、暇潰しにもなるからな。」
花陽「感激ですっ!」
あんじゅ「うふふ、イメージアップだもの、いいわよ~。」
穂乃果「ありがとー!ツバサさん大好きー!」
ツバサ「いいのよ~、かわいいわ~、穂乃果さ~ん。」
英玲奈「やるからには絶対に皇帝を即位させるぞ。」
ことり「もちろん!そのつもりですっ!」
あんじゅ「フフッ、頼もしいわね。」
花陽「絶対勝ちましょうね!」
ツバサ「その意気よ!」
穂乃果「じゃあ、いくよ!みんなでせーので?」
7人「「「「「「「ファイトだよっ!」」」」」」」
printempsの東部にある南北に長い州BiBi。
printempsほど国力は無いが、軍事力は勝る。
次期皇帝候補真姫ママを擁する。
西木野財閥の圧倒的な財力を用いて、工業化が進められ、
工業、経済、医療、教育の盛んな音乃木の心臓的な州である。
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真姫「私のママが皇帝になれば、この国を近代化出来る。
そうすれば、人々は快適に暮らすことができる。」
絵里「その通りね、それは私達にしか出来ないことよ。」
にこ「金が一番大事、これは自明の理よ。
この国を強く、優れた国にするには
金にモノを言わせた近代化、これしか無いの。」
真姫「でも、彼女らはそれを拒む…正しいのは私なのに…。」
にこ「あいつらを従えるのは大変そうね…。」
絵里「そんなことかと思って、助っ人を呼んであるわ。」
にこまき「「助っ人?」」
ガララララ
亜里沙「どうも…。」
雪穂「お邪魔します。」
にこ「お~、優秀な子が来たわね~。」
真姫「あら、雪穂ちゃんは穂乃果の所に行かなくていいの?」
雪穂「親族の情よりこの国の未来の方が大事。
お姉ちゃんも私も同じ考えです。
私は私の正義を貫きます。」
にこ「穂乃果の妹とは思えないわ…。」
真姫「これは期待できそうね。」
絵里「ええ、私達でこの国を正すわよ!」
4人「「「「オーッ!」」」」
printempsの北部にして、BiBiの西部に位置するlily white。
次期皇帝候補の海未ママを擁する。
国力は一番低く、生活水準も良いとは言えない。
が、他の追随を許さない圧倒的な軍事力を誇る。
貧困層が集まる北東部には、スラム街や荒野が広がる。
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海未「王が亡くなったと聞きました。」
希「これはどうしたもんかなぁ。」
凛「即位すべきだよ!lily whiteこそ至高にゃ!」
海未「確かにこの国には兵力がありません。
他国から攻めれては滅亡の危機もあり得ます。
私達がこの国の軍を鍛えなくてはいけません。」
希「でも、ウチらが治めるこの州は国力が低いやん?
そんなウチらに音乃木全土の支配が先帝みたいな
国民満足度9割政治が出来ると思うん?」
凛「そ、それはこの州が北すぎて
農業が出来ないだけで…
海未ちゃんならきっと出来るにゃ!」
海未「確かに、lily whiteの気候を除いても、
今の私達にこの国を満足に治める程の自治力は無いです。
ですが、かと言って私達がこの国を治めないと
この国は外敵に滅ぼされるのですよ?
我々にはそれを阻止する使命があるのです。」
凛「どっちにしろ滅ぶのかにゃ?
どっちが正解なのか凛には分かんないよ…。」
希「ウチにも何が正しいんかはわからん。
ウチらが音乃木を治めれるんかはやってみなわからん。
けど、ウチは海未ちゃんについてく。
それが、ウチが海未ちゃんに出来る最高の恩返しやから。」
凛「凛も、昔捨てたこの命、
海未ちゃんのために散らす覚悟にゃ!」
海未「二人とも、嬉しいことを言ってくれますね…。
覚悟は決まりました。
やります、音乃木統一アタックです!」
のぞりん「「応っ!」」
地図
川
川 Lily white 山山
川 川 山山山
川川 山山山山山
川
川 BiBi
川
川
川
川 printemps
川
川
≫8
地図失敗しましたけど、
右BiBi
左上lily white
左下printemps
って感じで大丈夫です。
BiBiとlily whiteの境に山、
lily whiteとprintempsの左に川があります。
まじぽん??
失礼しました。
以後修正します。
王宮にて
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絵里「と、言うわけで次期皇帝について
各州の代表同士で話し合いましょう?」
穂乃果「そうだね!話せばわかるよ!」
海未「私からは言うことはありません。
異論があれば即刻開戦です。戦いで勝ったものが正義。
これは常識です。」
絵里「そうやって何でも戦いで解決しようとするのは
感心しないわ。」
穂乃果「そうだよ、しっかり話し合えば…」
海未「そんな事を言っているからこの国は
こんなに弱くなるのです!
この国を他国が攻めて来た時に
話し合いで何とかなるんですか?話し合いは無用です!」
絵里「lily whiteの好戦的州民性は相変わらずね…」
穂乃果「でっ、でもっ…」
絵里「仕方ないわね、
でも、海未の言い分も理解できるわ。
ここは一つ、戦で決めましょうか?」
穂乃果「絵里ちゃんまで!」
海未「穂乃果、自信が無いからと言って
勝負を避けるのは臆病者に見えますよ?」
穂乃果「なっ…そんなわけじゃ…」
海未「では、戦ですね?」
穂乃果「いいよ!やってやるよ!
後で後悔しても知らないんだからね!」ダッ
海未「フッ…」
絵里「海未…貴方は…まぁいいわ、
お互いベストを尽くしましょ?」
海未「……ええ」
大奥の間
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「あの子たち、戦いを選んだのね…」
「誰にも死んでほしくは無いけど、しょうがないわ」
「ウチの子が唆したのかしらね?」
「私の娘も好戦的ですのでねぇ…」
「誰の娘のせいなんて関係ないわ、
あの子達はみんな私達の子供みたいなものでしょ?
親は子供のやる事を信じてあげるものよ?
あの子達が例えどんな未来を導いても、
私はあの子達を、私達の娘を信じるわ。
例え修羅の道でも、側にいてあげるわ。
それが、親ってもんじゃない?」
「貴方からそんなかっこいいセリフ久々に聞きました」
「あら、カッコ良すぎて惚れちゃった?」
「あっ、ひゃんっ!?も、もうっ!台無しです!」
「そうね…見守るわ、地獄の果てまで。」
ここで、各メンバーの武器、
戦闘力数をまとめようと思います。
戦闘力数は高けりゃ強いけど、
気合とかやる気で変わるガバガバ設定です。
一応目安として…
また、謎世界観により、
一人づつスキルが付与されています。
要するに特殊能力です。
解説というか、分かるようにお伝えしますが、
分からなかったらまた言って下さい。
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printemps
高坂穂乃果
printempsのリーダー。
音ノ木坂のエリート養成学校音ノ木坂学院を次席で卒業。
武器 西洋剣
戦闘力数 200(能力使用時20000)
能力 身体強化
(スピード、パワーなどの身体能力が強化される。
最大10倍)
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南ことり
printemps所属。
洋菓子稼業で莫大な資産を得たが、
それらを全て町の整備に費やした。
音ノ木坂学院を6席で卒業。
武器 六尺棒
戦闘力数 50
能力 チャーム(溢れ出る美貌で云々。
要するに敵の無力化。耐性の低い敵は服従させれる。)
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小泉花陽
printemps所属。
米の開発により国内の食文化を発展させた。
食の神と称えられ、
州内のレストランは顔パスで行けるらしい。
音ノ木坂学院を7席で卒業。
武器 杖(魔法使いです)
戦闘力数30
(召喚できる神獣の最大戦闘力数は
闘神・オーディンの80000)
能力 召喚(ほぼ全ての神魔を召喚できる。
従うかは努力次第。本人曰く、おにぎりあげたら懐く)
A-RISE
今回、printempsに加勢した隣国UTXの騎士団幹部連。
なぜこの後継者争いに参加したかは分からない。
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綺羅ツバサ
A-RISEのリーダーにしてUTXの王。
圧倒的カリスマで自国を牽引する。
アーサー王の生まれ変わりだとかなんとか。
武器 片手剣
戦闘力数 580
能力 見切り(敵の剣筋が見える。躱せるかはまた別。)
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統堂英玲奈
A-RISE所属。
UTXの軍事力をここまで引き上げた凄腕教官。
武器 天秤刀
戦闘力数 440
能力 伝承(自身の力を他人にコピー出来る。
もちろん自身の力は残ったまま。)
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優木あんじゅ
A-RISE所属。
UTXの民の精神的支柱。
武器 バズーカ
戦闘力数 320
能力 スナイプ(射撃が確実に当たる。完全にガンナー用の能力)
BiBi
絢瀬絵里
BiBiのリーダー。
音ノ木坂学院を首席で卒業。
武器 死神鎌(デスサイズ)
戦闘力数 450(能力時9000)
能力 狂戦士(早い話、キレたら強くなる。)
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西木野真姫
BiBi所属。音ノ木一の智将。
天才軍師としてUTXからもスカウトされていた。
音ノ木坂学院を5席で卒業。
武器 槍
戦闘力数 280
能力 明晰(一度に20の事を同時に考えれる)
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矢澤にこ
BiBi所属。
音ノ木坂学院を3席で卒業。
音ノ木坂学院初の給費生だった。
武器 薙刀
戦闘力数 300
能力 チャーム(ことりと同じ。ことりのチャームを相殺できる)
妹s
今回BiBiに加勢する。
高坂雪穂
高坂穂乃果の実妹。
武器 鉈
戦闘力数420
能力 時の大河(時間の流れを操る。
10秒間停止・10倍速・0.1倍速まで操作可能。
巻き戻しは出来ない。
また、自身への影響の有無は調整できるため、
相対的に100倍のスピードで動くことが出来る。)
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絢瀬亜里沙
絢瀬絵里の実妹。
シスコン疑惑があるが、あれは絵里が流したデマ。
海未を尊敬しており、いつか海未に殺されたいと願う。
武器 大槌
戦闘力数 380
能力 力の解放(パワー強化。最大20倍)
lily white
園田海未
lily whiteのリーダーにして最強の戦士。
武家の園田家が作り出した最高傑作。
かつての王家、星空家を滅ぼした張本人。
音ノ木坂学院を特待生入学したが、突然自主退学した。
武器 日本刀・弓
戦闘力数 99999
能力 UNKNOWN
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星空凛
lily white所属。
元王家、星空家の子孫。なにやら色々闇がある。
海未に命を救われてから、海未に忠誠を誓っている。
音ノ木坂学院に特別入学し、4席で卒業した。
武器 双剣
戦闘力数 800
能力 未覚醒(未だ能力に目覚めていない)
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東條希
lily white所属。
かつては指名手配犯を捕まえて懸賞金を貰い、
その金で生活するという人生を送っていたが、
海未に出会い、園田家の養子になる。
音ノ木坂学院には通っていなかった。
武器 戟
戦闘力数 1000(能力時10000)
能力 狂戦士(絵里と同じ能力。相殺はしない)
以上で全員紹介出来ましたかね?
兵士の数は
BiBi 10000
printemps 20000
lily white 4000
です。
御察しの通りlily white兵はめちゃくちゃ強いです。
兵士長は各州のキャラの中の人、
つまり、
printempsの兵士長はえみつん、うっちー、シカちゃん
BiBiの兵士長はジョルノ、パイちゃん、そらまる
lily whiteの兵士長はみもりん、りっぴー、くっすん
となっております。
正直、チョイ役なのであまり意味は無いです。
えみつんは戦闘力数 90000です。
5月10日 BiBi領土内 山岳地
にこ「こんな所に鹿狩りに来るなんて…」
真姫「これは戦術の訓練よ、
鹿は一番安全な所へ逃げる、
私達は鹿を動けなくしなくてはならない」
にこ「じゃあ、チェスで良いじゃない…」
真姫「鹿肉ってトマトに合うのよ?」
にこ「やっぱりそういう訳か…」
絵里「まぁまぁ、良いじゃない。
たまにはこんな日があっても」
真姫「そうよ、分かったらさっさと鹿を狩って来てよね」
にこ「ちぇっ…」
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にこ(あっ、鹿だ…)
シカオさん「」
にこ(そーっと…)キリキリキリキリ...
ビューン グサッ
どこからともなく矢が飛んできて、
シカオさんの命を奪って行った。
シカオさん「」
にこ「!?」
にこ(私まだ撃ってないわよ?)
にこ(誰か…いるの?取り敢えず、矢のきたところへ)
あああぁぁあ!!本当だあぁぁあ!!
あっ、ミスっtーぃいや、こ、これは演出だぁっ!
これはあれです、ドッペルさん家のゲンガーちゃんが…
すみません、普通に間違えました。
なんかミスばっかりですね、すみません。
別に愛が無いから間違えるわけじゃ無くてですね…
これからもミスがあったら指摘してください。
ミスが減るように努力致します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
にこ「あっ!あんたは…printempsの兵士!?」
弓兵「くっ!?」
にこ「とうっ」ザシュッ
弓兵「ガハッ!」
ガサガサガサッ
にこ「!?」
にこの周りを多くの弓兵が取り囲んだ。
ここからの生還は不可か…
にこ「くっ…」
にこは意を決したように薙刀を握りしめた。
その時、
??「全員、武器を下ろして!」
にこ「あんた…どういうつもりなの…ことり」
ことり「私はただ、
にこちゃんに助かって欲しいだけだよ。」
にこ「私を狙撃させた奴がよく言うわ」
ことり「彩ちゃん、みんなを撤退させて?」
彩「…分かった。死なないでよ、めんどくさいから。」
ことり「あはは…」
ザッザッザッザッ
にこ「で、何?一騎打ちのつもり?」
ことり「いや~、みんなが逃げ切るまでの時間稼ぎかな?」
にこ「身もふたもないこと言うわね…
まぁいいわ、勝負をつけましょう!」
にこは薙刀を大上段に構えて、まっすぐ振り下ろした。
対することりは六尺棒を横に持ち、斬撃を食い止めた。
両者共に睨み合いが続いたが、
埒があかないと思ったのか、にこは後ろに飛び退った。
その隙にことりは目に力を込めた。
ことり(チャーム、発動!)
ことりはこの技で今まで何人もの戦士を倒してきた。
この技を使うことは勝負の終わりを表す。
ことりはこの戦いの勝利を確信し、
首を削ぐためににこに近づいて行った。
チャームにかかった人は動けなくなる。
それはにこも同じだったようで、
にこは動かずにじっと止まっている。
その動けなくなった敵を倒すのは誰だって出来る。
ことりは懐から刀を取り出した。
まさに首を刎ねんとしたその時、
にこが薙刀を横に薙ぎ払い、切りかかってきた。
咄嗟に懐刀で防ぐも、刀は弾き飛ばされ、腕は痺れた。
ことり(なっ、何で…?)
ことりは恐怖を抱いた。
それはにこと云う敵に対する恐怖では無く、
倒せなかったことに対する恐怖。
こんな戦いのパターンは初めて。
この先、どうすればいいかが分からない。
下手を打てば即刻死に繋がる。
そんな恐怖がことりを襲った。
にこ「なんで効かなかったかって?
私もその能力の持ち主だからよ。」
にこはそう言うと、更に薙刀を振るいながら距離を詰めた。
動揺して六尺棒が上手く扱えないことり。
元より一撃必殺スタイルのため打ち合いには弱いのだ。
だがしかし、ここでにこを倒す必要はない。
本来の目的は皆を逃す時間稼ぎだ。
みんなはそろそろ逃げたはず。
そう思い、ことりはにこを牽制するため
六尺棒を大きく振るい、振り返り、一目散に逃げた。
にこ「あっ!待ちなさいよ!」
背中に聞こえるにこの声が追いつかないように走った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
にこ「何よ…」
久々に動いた身体はまだ温まってすらいなかった。
にこ(もっと闘りあいたかったのに…)
不満そうなにこは、
近くの樫の木に力任せに薙刀を叩きつけた。
樫の木は半分に切れ、大きな音をたてながら倒れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ことりは無事、printempsに帰ることができた。
printempsでは仲間が出迎えてくれた。
穂乃果「ことりちゃーん、心配したよー!」
花陽「無事で何よりです」
ことり「ごめーん、にこちゃん倒せなかった…」
穂乃果「ううん、命あっての物種だよ!」
花陽「ゆっくり休んでね。」
>>22
内容以外の文章は淡々と事務的に書いた方がいいと思うぞ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
にこはシカオさんの亡骸を持って、仲間の元へ帰った。
絵里「あら、にこ、遅かったじゃない。」
真姫「ちゃんと狩ってきたんでしょうね。」
にこ「…さっき、ことりと闘りあってきたわ…」
えりまき「「!?」」
にこ「戦争はもう始まったのよ…」
絵里「遂に、戦いの火蓋が切られたのね…」
真姫「この事を聞いて、奴らがどう出るか…」
真姫は武闘派集団lily whiteの動向を案じていた。
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5月12日 lily white
州都・州会議事堂
海未「そうですが、戦いが…」
希「どないする?海未ちゃん?」
海未「真姫の動きが気になりますね…
策を講じられては動き辛いですし…
凛、BiBiに偵察に行きなさい。」
凛「呼んだかにゃ?」ヒョコッ
凛は天井裏から降りてきた。
いつでもどこにでもいる奴だ…
二人は凛の機動力には全幅の信頼を寄せていた為、
スパイ活動を凛に任せていた。
海未「出発は今夜、明後日の朝一でBiBi内に潜入する事。
良いですね?」
凛「分かったにゃー。」
凛は旅支度を始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
凛に課せられた使命はBiBiの中に入り、
軍の動きを探ることだった。
凛(これなら凛にもできるよー)
凛は余裕だった。
いざという時の為にと、
海未は凛のザックに双剣を入れていた。
凛はそんなものいらないだろう、と思っていた。
ただ、旅人のふりをして州内に入り、
機密を探ってメモして帰る。こんな事は朝飯前。
凛は成功を確信していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
凛は関所で絶句した。
凛(まさか同じ国内でパスポートが要るとは…
戦争中とはいえ厳し過ぎるだろ…)
一応パスポートを持ってはいるが、
名前を見たら誰だって正体に気付く。
今この戦争中、
lily whiteの将軍がBiBiに気軽に入れる訳がない
バレたらスパイ活動の意味が無いし、
凛の命も無いだろう。
どうしたものかと悩んでいると、
背中に硬いものが当たった感覚があった。
その感覚の正体は
海未がザックに入れてくれた双剣だった。
これを使って、あの関所を突破すれば…
そう思い、凛はザックの口を開け、
いつでも双剣を取り出せる体制で関所に近づいていった。
関をくぐる寸前、凛は信じられないものを見た。
それは、通行人の手荷物検査をしている
BiBiの武将、高坂雪穂だった。
凛「もうやだ、帰りたい。」
凛は弱音を上げた。
>>26
分かりました。
アドバイスありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジリ貧…
ここでこんなブカブカ旅人コートを着て、
ガチガチに鎧を着けた敵将と戦うなんて…
勝てる見込みは少ない。
が、ここで動かないと何も始まらない。
もうこうなったら突撃しかあるまい、凛は腹をくくった。
今この場であの高坂雪穂を仕留めれば、
BiBiの内情を探る以上の成果を出せる。
雪穂の首を持ってlily whiteに帰れば大喝采だろう。
凛はターゲットを変更し、
ザックから双剣を出し、装備した。
双剣を持ち、ゆっくりと雪穂に近づく凛。
ザワザワザワッ…
いきなり現れた双剣を持つ旅人に
周りの人達は動揺した。
凛(うるさい…)
凛(お前らのせいでバレちゃうにゃ…)
騒ぎを聞きつけた雪穂がこちらを向く。
凛「チッ!」
凛はざわめいていた周りの人達を呪った。
凛(奇襲は無理…なら、正面から突撃!)
臨機応変という名のノープラン。
凛は地を蹴り、高坂雪穂に向けて駆け出していった。
凛「おりゃーーーーーーーーーーっ!」
思い切り刀を振ったが、すんでのところで、
凛に気付き回避した雪穂には当たらなかった。
凛「チィッ!」
凛は舌打ちをした。
スピードタイプの凛は素早い相手が嫌いなのだ。
凛「ちょこまかと!」
凛「速い奴はゴミばっかなんだにゃ!」
自分の事を完全に棚に上げ、逃げ回る雪穂を追い回した。
雪穂は逃げながら、
腰に差していた自身の武器である鉈を抜いた。
ここから、雪穂の反撃が始まった。
逃げていた雪穂は動きを止め、
振り向きざまに凛の腹部を切りつけた。
凛はある程度余裕を持ってその鉈を回避していたが、
ぶかぶかな旅人コートを着ていたため、
弛んだコートの腹部が裂けてしまった。
この服、旅人コートは兎角動き辛い。
布は重く、四肢の可動域も狭い。
戦闘に不向き過ぎる服装である。
凛は先程雪穂に切られた自分の服を見た。
腹部が裂けたコートは酷く不恰好だった。
凛「とんだ糞コーデだにゃ。」
凛は吐き捨てるように呟くと、コートを脱ぎ捨てた。
薄いインナー姿になった凛は、
肩を大きく回し、身体をほぐした後、
雪穂に再び飛び掛った。
コートを脱ぎ、動き易くなったのか、
凛のスピードは確実に上がっていた。
雪穂は凛の猛攻に、一方的な防戦を強いられた。
今はまだ、目で追えるが、
このまま攻撃され続けていては、
いずれ手か足か、どこかを切られてしまう・・・
どうしたものかと悩んだ挙句、
雪穂は凛の速さを封じる為、奥の手を使うことにした。
雪穂は後方に跳び退り、瞳に力を込め、凛を睨みつけた。
開眼ーーー!
雪穂の瞳が鈍く光った。
凛は、雪穂が何かしらの能力を使った事を
第六感で感じていた。
だがしかし、
その時には何の能力かまでは分からなかった。
凛(ま、いっか。後々分かるでしょ。)
凛は構わず、
後ろに飛び退った雪穂を攻撃する為、
地を蹴り踏み込む。
凛は突撃の際に、
自身の身体の動作に違和感がなかった為、
雪穂の能力は、対象のステータスを下げる系の力
では無いと判断した。
もし、パワー半減や、スピード半減などを
付与されていたら、
体を動かした瞬間に
自身の弱体化に気が付くはずだから。
能力の分析はそれ程にして、凛は雪穂を斬り付けた。
やはりと云うべきか、その攻撃は躱されたが、
雪穂が自身を切らんとしていた
双刃を回避した時には
凛の双剣は既に次の攻撃を繰り出していた。
凛の得意な連続攻撃だ。
凛の本気の連撃は
大抵の人間は見切ることすらできない。
多くの人間たちは
見えない刃に裂かれてしまうのだが、
雪穂はその全てを躱していた。
鉈を腰に納め、
ステップなどの必要最低限の動きで、
無駄なく、冷静に。
凛はそんな雪穂の様子に違和感を覚えた。
凛(凛の連撃をこんなに躱せる訳がない・・・)
いくら雪穂が速いとしても、
掠りすらしないのは異常であった。
襲い来る双刃を
鉈で受ける事すらせずに全て回避するなど、
常人のできることではない。
そこに圧倒的なスピードの差が無くては
そんな事出来ないのである。
つまり、眼の前の彼女は、
凛より遥かに速いと云う事だ。
先程までの凛に追い詰められていた雪穂とは
スピードが文字通り桁違いだった。
凛(奴の能力・・・スピード強化!?)
日頃海未から阿呆と罵られている凛にも、
雪穂の能力は分かった。
分かったところで、これと言った解決策はない。
凛にはまだ発動できる能力が無い。
つまり、凛はこれ以上速くなれないのである。
対する雪穂は今の段階ですら凛より速いのに、
さらに速くなる可能性も秘めている。
こ い つ に は 追 い 付 け な い 。
直感的にそう思った。
凛(こんな速いのに当たる訳・・・)
自分の唯一の長所である
スピードに於いて遅れを取ることは、
屈辱であり、絶望であった。
凛「クソッ」
凛は一旦距離を取ることにした。
腕も連続攻撃によって疲れてきたし、
我武者羅に斬り付けても、
成果が出ないだろうと思ったからだ。
凛は気が長い方では無い。
凛はこの状況に苛々していた。
凛(ちょこまかと・・・)
凛は冷静な思考を失いつつあった。
凛(奴が捉えられないほどに速いのなら、
隙をついて奴の胸ぐらを掴んで殴れば良い。)
色々とガバガバな作戦。実現不可能に近い難題。
そこには凛の心の余裕の無さが現れていた。
だが、凛はいち早くケリをつけたかった。
凛は雪穂に隙を作らせる為、
握っていた双剣を投擲の形に持ち直した。
凛(これをぶん投げれば、雪穂は腕で庇うはず。
その隙に胸ぐらを掴めば・・・)
凛はほとんど振りかぶらず、
剣を雪穂に向けて投げた。
予備動作のない投擲は
雪穂を驚かせるには十分だったようで、
自身に真っ直ぐに飛んできた剣を
雪穂はギョッとした目で見た。
雪穂が大きく目を見開く。
その瞬間、
時が、
止まった。
凛が気付いた時には刀は地に落ちており、
その刃先は銀色に光り輝いていた。
凛(そっか・・・ダメだったか・・・)
因みに、凛は
時が止められたと云うことに気付いていない。
ただ、剣が落とされていたため、
雪穂にはたき落とされでもしたのだろうと思っていた。
改めて実力差を思い知った凛は
雪穂に殺される事を受け入れんとしていた。
凛(そうだよ、こんな奴叶う訳ないんだ。
凛なんかが・・・)
そんな時、雪穂の後ろ、
凛の向かいから馬の足音が聞こえてきた。
足音はこちらに向かってきているようで、
だんだん大きくなっていった。
ゆきりん「「誰!?」」
二人は振り返り、構えをとった。
明かりに照らされた足音の主は真姫だった。
真姫「雪穂ちゃん、これはどう言った状況?」
真姫は凛と雪穂を一瞥し、静かに問うた。
雪穂「あっ、真姫さん・・・」
雪穂は真姫に話し掛けられ、力を解除した。
その途端、凛は弾かれるように後方へと走った。
今がチャンスと言わんばかりの逃げっぷり。
関を越え、きた道を引き返して行った。
ゆきまき「「あっ!」」
二人がそちらを向いた時には、既に凛の姿は無かった。
雪穂「追いましょうか?」
雪穂は聞いた。自分の行いで出来たミス。
ケツを持つのは自分。
真姫「・・・いや、良いわ。それより、
エリーとにこちゃんに報告に行きましょう。」
真姫は雪穂に馬に乗り、州都に来るよう促した。
州都へ向かう馬車の中で、
真姫と雪穂は先の凛戦について話していた。
真姫「どうだった?凛は」
雪穂「なんて言うか、早かったです。」
真姫「あら、でも私が見た時は
貴方の方が格段に早かったわよ?」
雪穂「私、あの時、実は能力使ってたんです」
真姫は少し驚いた。
雪穂の能力は
相手との圧倒的なスピードの差を生み出す能力。
加えて、
雪穂は素の状態でもBiBi出トップクラスの速さだ。
その能力を使って凛とあれだけの差・・・
真姫「凛は戦闘中、どんな感じだった?」
雪穂「戦いの途中に能力は使っていませんでした。
恐らくは既に速度強化を付けていたのかと・・・」
雪穂の報告を聞き、真姫は少し落胆した。
嫌な予感が当たったのだ。
真姫「つまり、凛は能力を使っていなかった、と。」
雪穂「え?いや、凛さんは初めからー」
言い直そうとした雪穂を真姫は言葉で制した。
真姫「凛はまだ能力を習得していないわ、
つまり、貴方と戦った凛は素の身体能力」
雪穂は驚いた。素であれ程の速さ・・・
速度強化を習得されたらどうなる事か・・・
考えるだけでも恐ろしい。
真姫「あいつ、更に速くなるわよ」
二人の顔には少しの不安が映っていた。
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5月16日 lily white
海未「説明しなさい。」
凛「ぅにゃぁ・・・」
BiBiから帰還した凛は休む暇も無く、
海未に問い詰められていた。
希「まあまあ、生きて帰って来たんやからええやん。」
おっとりとしているが、どこか強制力のあると
評判の口調で海未を諭す希。
海未は、
詭弁を弄せば天下一であろう口達者の希が凛の味方なら
凛に説教をし、反省させるのはのは難しい思ったのか、
海未「ふぅ、そうですね。
無事で何よりです。
が、任務に成功していれば
尚良しだったのですが・・・」
ギロリと凛を見遣る海未。
凛はビクッと肩を竦ませ、宙に目を泳がせた。
希は困ったように苦笑したが、すぐに話を切り替えた。
希「それより、気になるんは雪穂ちゃんの能力やんな」
話題が変わり安心する凛を横目に、海未は続けた。
海未「そうですね。どう云った能力なのですか?」
凛「うん、えっとね・・・」
凛は戦いの最中感じた違和感などについて話した。
同日 同時刻 printemps
ことり「時の大河?」
花陽「それが雪穂ちゃんの能力?」
穂乃果「うん、相手と自分の時の流れを変えることができるの。」
ツバサ「詳しく聞かせて。」
穂乃果「う、うん。
概念としては、時の流れを水流に例えた感じかな?
つまり、一時的に堰き止めたり、
速くしたり、遅くしたりすることが出来るんだ。」
英玲奈「時間停止、時間加速、時間減速、か」
あんじゅ「川の流れって事は逆流、
つまり、巻き戻しは出来ないのね」
穂乃果「うん、それは無理っぽい」
あんじゅ「厄介ね・・・」
ツバサ「スピードタイプの私からしたら天敵ね。」
英玲奈「うざったいな、殺すか?」
あんじゅ「こら、実姉の前でそんなこと言わないの」
英玲奈「ああ、すまない。デリカシー無かったな」
穂乃果「い、いえいえ」
穂乃果としては、いくら敵将とは言え、自分の妹。
正直、殺したくは無かった。
穂乃果(生け捕りにしたいって云ってもなぁ・・・
殺さないよう手加減して戦える程の余裕は無いだろうし・・・)
穂乃果は姉妹で違う軍につくと決めた、あの時の己の判断を呪った。
ツバサ「英玲奈、流石に今のはデリカシー無さ過ぎよーーー」
英玲奈「ツ、ツバサまで・・・」
ツバサ「ーーーだから、
失言のお詫びに私が妹さんを捕まえて来てあげるわ」
穂乃果「えっ・・・」
ツバサ「lily whiteに殺される前に
生け捕りにした方が良いでしょ?姉的には。」
穂乃果「・・・はい!」
ツバサ「じゃあ、行ってくるわね」
戦支度か、ツバサは会議室から出て行こうとした。
穂乃果「ッ・・・ツバサさん!」
穂乃果は自分が気がついた時には大声を出していた。
ツバサ「?」
振り返ったツバサを見て、穂乃果の口をついて出たのは
穂乃果「ありがとうございます!」
感謝の言葉だった。自分の気持ちを汲んでくれた、
そんなツバサに対しての感謝で穂乃果は胸がいっぱいだった。
ツバサ「フッ、傷はつけないようにするわ」
ツバサはクールに笑い、会議室を出て行った。
更新遅い......
ネタ切れ説
5月16日 printempsーBiBi 州境付近
ツバサは単騎でBiBiとの州境壁前に来ていた。
ツバサ「州境まで来たは良いものの、
雪穂さんが居る関所ってlily white側の北部州境よね?」
そうなのだ。
雪穂はlily whiteとの州境である北部に居るため、
printempsとの州境である南部には居ない。
一瞬、面倒だと思ったが、穂乃果の為なら致し方無い。
ツバサ「取り敢えず・・・州境沿いに北上しようかな」
ツバサは北部関所を目指し、旅を再開した。
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道中、printemps北部観光街でツバサは疲れを癒していた。
printempsは音ノ木一の観光都市。
グルメも旅館もお土産もなんでも揃っていた。
ツバサ「いい街ね・・・」
その街はprintempsの高度な文化と生活水準を示していた。
ずっとここにいたい。何なら住みたい。
そう思ったが、
自身がここに来た目的を思い出したツバサは
途中に買ったホットドッグを齧りながら、
lily whiteへ急いだ。
ツバサ(私としたことが・・・気を抜き過ぎたわ・・・)
この国には頭をぷわぷわさせる何かがある。
謎の言い訳がツバサの頭を過ぎった。
5月19日 BiBi州境沿い
ツバサはBiBi州境を北上していた。
もうprintempsを出た為、
何処から敵が来てもおかしく無い。
ツバサの顔にも若干の疲れが見えて来た。
ツバサ「BiBiって南北に長いわね・・・」
ツバサの集中力が殆ど無くなっていた頃、
ある人がツバサと鉢あった。
ツバサ「あら?」
??「げっ、ツバサじゃない・・・」
ツバサ「あなたは・・・矢澤さん、ね」
にこ「ええ、覚えてたのね。
私、任務があって・・・ここを通してくれない?」
にこは今回の遭遇をなかった事にしようと提案した。
確かに、今回は互いに別件を持っている。
ここで争うのは双方にとって損しかない。
が、ツバサにはもう旅を続ける元気が無かった。
ツバサ(ここで矢澤さんを倒して帰れば・・・)
ツバサ「いえ、見逃すわけにはいかないわ。
此処で会ったが百年目よ!覚悟なさい!」
ツバサは元気よく決闘を申し込んだ。
にこ「っ、ちょっと待ってて、青空!」
予想外の返事を受け、にこは一瞬顔をしかめたが、
隣に居た兵士長らしき人に待機を命じた。
そらまる「えっ、う、うん」
ツバサ「へぇ、一騎打ちを仕掛けようって?」
にこ「被害は最小限に抑えたいもの」
にこは本気とも冗談ともつかない口調でそう言い、
ツバサに斬りかかった。
にこの薙刀は速い。
これを見切れたのはlily white三姉妹と
printempsの兵士長、新田恵海だけだ。
そんなにこの薙刀をツバサは片手で掴んだ。
にこ「っ!?」
ツバサの手から薙刀を引き抜こうと焦るにこを
ツバサは開いていた方の手で殴り飛ばした。
防御も取れずに吹き飛ぶにこ。
受け身を取っても身体に痛みが走る。
歯を食いしばり立ち上がったにこの視界に入ったのは、
自分の武器である片手剣を右手に、馬から降り、
こちらに歩み寄ってくるツバサの姿であった。
綺羅ツバサは強い。
希や海未の様に都市伝説化していたり、
武勇伝を有する訳ではないが、
UTXの騎士団長の経歴は伊達ではないようで、
今こうしてにこはツバサ相手に躱すのが精一杯だ。
こちらが攻撃する暇など奴無く、
逃げないと両断されてしまう。
寸前で躱した刀の風を切る音にゾッとする。
にこは薙刀を抱え、ひたすら逃げていた。
にこ(何とかしなくては・・・)
そう思いったにこは
腰のベルトに付けていた煙幕を投げた。
この煙幕は偶々、真姫が渡してくれた護身具。
真姫『にこちゃんはおっちょこちょいなんだから、
これ、持って来なさい』
何処か上から目線で煙幕を渡して来た彼女。
あの頃は、
にこ『そんな言い方して、
一体どんな秘密兵器なのかと思ったら
ただの煙幕じゃない』
などと言い、
からかっていたが、
今となってはこれが生命線なのだ。
にこ(これでツバサの目がやられているうちに
あいつを斬る!)
根が真面目なにこは
ツバサから逃げるということをしなかった。
その判断は彼女の運命を変えた。
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ボフッ!モクモクモクモク
煙が撒き散る。
煙幕の煙は真っ黒で、意外と目に染みる。
色も機能もまるでタコの墨のようである。
ツバサの周りが瞬く間に黒煙に包まれる。
いきなりの煙幕に行動と思考が止まったツバサだったが、
一つ息を吐いて、平常心を取り戻し、眼に力を込めた。
ツバサ(能力、発動!)
ツバサの目が緑色に煌めいた。
次の瞬間、ツバサは煙の外から切りかかって来た
にこの薙刀を手で掴み、
そのまま薙刀の柄を片手で折った。
そして、自身の片手剣と
さっき折ったにこの薙刀の刃部の二刀流で、
にこの両肩を切りつけた。
にこは絶対に見えないと思っていた
薙刀による奇襲を見切られるばかりか、
その薙刀の柄を折り、刃部を奪われるなど、
想像していなかった。
いくら歴戦の猛者であるにことはいえ、
動揺を通り越して呆然とした。
こんな芸当できる奴がいるのか、と。
咄嗟に回避できるほどの余裕はその時のにこには無かった。
故に、にこはツバサの振るった二本の刃をモロに肩に受けた。
ガリッ、と
骨を砕く音が響いた。
にこは力無くその場に崩れ落ちた。
肩からは噴水のように血が湧き出ていた。
そらまる「にこちゃん!」
青空はにこの名を叫びながら、にこに近付いた。
にこ「あっ・・・そら・・・」
にこは痛みで気を失いそうなのを堪えて、
部下に指示を出そうとした。
にこ「逃げなさーー」
青空「一班はにこちゃんを連れて逃げて!
二班以降は私について来なさい。
本来の任務は中断。
優先順位としてはこっちの方が上よ。
奴を今ここで倒す!」
青空の伝令の大声に掻き消され、
にこの言葉は届かなかった。
にこ(にげなさい・・・)
喋ることもできなくなったにこは、
ゆっくりと気を失った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
負傷した将軍を自国へ運ぶのなら、
それに乗じて逃げればいいのに・・・
ツバサはそう思った。
目の前の、槍を持って突進してくる矢澤分隊を見ながら。
ツバサ「ふぅ・・・一人相手に大変ね。」
ツバサは馬上から降り、地に立った。
斬り合いは相手と同じ目線の方がやり易い。
ツバサは片手剣を抜き、中段に構えた。
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BiBi 西木野総合病院
急患として運ばれて来たにこは
一応応急処置は施されているものの、
意識はなく、
傷口は血と砂で固まっており、
破傷風や感染症に罹っていても
おかしく無いくらい不衛生な状態だった。
にこはすぐさま手術室に運び込まれた
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絵里「にこが戦闘不能になるなんて・・・」
絵里は顔を曇らせた。
にこが本来の作戦も達成出来無いばかりか
再起不能レベルの重傷を負って帰って来た。
これは異常事態以外の何物でもなく、
本来なら至急、
軍事会議をしなくてはならないところだった。
だが、今のBiBiは・・・
真姫「にこちゃん!にこちゃん!あぁ、もうっ!
何でにこちゃんがっ!」
参謀の精神が不安定になっており、
その影響で周囲に不安が漂っていた。
このままではまずい。
この状況では会議どころでは無い。
それどころか、軍も機能できない。
実質二人の将軍が行動不能なのに加え、
にこの旅団は半分くらいしか生存が確認されていない。
圧倒的戦力不足。
今敵に攻め込まれる事はBiBiの滅亡を表している。
絵里 (何とかしなくては・・・)
絵里はそう思うも、最愛の人を瀕死にされ
錯乱している真姫にかける言葉が出なかった。
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lily white 園田家 屋敷 道場
にこの治療の真っ最中、lily whiteでは、
凛「やぁぁあーーー!!」
希「こてっ、めーーーーん!!」
凛と希は道着姿で稽古をしていた。
二人ともいつになく真面目に稽古をしている。
そこに、海未が扉を開けて入って来た。
鍔迫り合いをしていた二人は素早く離れた。
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道場に来た海未はお茶とお菓子を持っていた。
稽古を切り上げた二人はその菓子を貪るように食べた。
そんな二人を呆れた目で見つつ、
海未 「にこが戦線離脱した、と聞きました。」
茶を飲みながら海未は云った。
二人は一瞬動きを止め、場に重い空気が流れた。
が、次の瞬間にはいつもの雰囲気に戻っていた。
凛「えー、いいなー、
凛もにこちゃんと戦いたかったにゃー」
希「今ならBiBiを潰せるんやない?」
凛「そうだよ!今すぐにでもBiBiに攻め入ろう!」
好戦的な二人は先々と侵略の段取りを進めていた。
海未「ふむ・・・一度じっくり話し合いましょうか。」
海未もいまが好機 と思っているものの、二人のように
行き当たりばったり大作戦で行くわけにはいかない。
何せ、自分はlily whiteの王である。
一つの判断ミスが亡国を招きかねない。
それに、実際に戦う者達の意見は貴重だ。
海未は近いうちにlily white軍法会議を開く事を告げ、
道場を出ていった。
希と凛はまだ勝手にBiBi侵略作戦の話をしている。
海未(そんな策、使うわけないじゃないですか)
理論を度外視している二人の策を聞きながら、
海未は今後の方針について考えていた。
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BiBi 西木野邸 応接間
真姫「考えたんだけど、
私達はprintempsを先に滅ぼした方が良いと思うの。」
絵里「え、でも・・・。」
絵里はその意見に賛成はしなかった。
真姫がにこの敵討をしたいと思っていると踏んだからだ。
真姫はそれを察したかのように続けた。
真姫「まず、lily whiteとprintempsを戦わせる。
そこでprintempsを叩くわ。」
絵里(タイマンじゃないのね・・・
真姫の目的は敵討じゃないのかしら。
なら、この策、聞く価値はあるわね。)
私怨に国の軍力を裂くような馬鹿な策は
一蹴しようとしていた絵里は、
その策を聞き入れる気になった。
絵里「そんな機会、作れるのかしら?」
絵里は真姫に疑問を投げかけた。
真姫「いまのlily whiteは
戦いたくてウズウズしてる筈よ。
そして、これは推測だけど、
printempsは近々lily white攻めを行うわ。
そこで二洲を叩く。」
雪穂・亜里沙「ほぇ~」
堂々と策を語る真姫を見ながら絵里は
昔の真姫に戻った事を何となく感じた。
あの頃の自信、迫力、頼もしさが
今の真姫から感じ取れた。
絵里(・・・にこのショックから立ち直ったのかしら。
お帰りなさい、頼れる軍師、西木野真姫。)
真姫の顔は、決意と自信に満ちていた。
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printemps 州会議事堂
ツバサ「私達A-RISEはlily white侵略を希望するわ!」
高らかにツバサはそう言った。
lily whiteは貧困とはいえ、軍事は最強、
printempsからすれば掠りたくもない強敵だった。
そんなlily whiteを侵略したいという申し出。
しかもそれを行うのはBiBiの将、
矢澤にこを打ち破った綺羅ツバサ。
戦力上も損得上もこちらにメリットしか無い。
穂乃果「ホントですか!?お願いします!」
穂乃果は即答した。
ツバサは穂乃果に喜ばれて嬉しいのだろうか、
にっこりも微笑んだ。
ことり「でも・・・大丈夫ですか?」
ことりは英玲奈に尋ねた。
英玲奈「何だ、私達じゃあ不安か?」
ことり「い、いえ、寧ろ、
A-RISEの方々は主戦力だから大事で、
それで私、不安でー」
気を悪くさせてしまったかと
焦って必死でフォローすることりを見て、
英玲奈は笑いながら
英玲奈「ああ、分かっているさ、
でもな、私達も一応は騎士団幹部だぞ?
安心したまえ、吉報をお届けしよう。」
あんじゅ「生け捕りにして可愛がってあげるわ~」
穂乃果「た、頼もしい・・・!宜しくお願いします!」
ガチャッ
穂乃果が頭を下げた時、
扉が開いて、メイドが入ってきた。
???「軍議のお供に、とマカロンをお持ちしました。」
穂乃果「あっ、ありがと~、りっぴー!
そこ置いといて~。」
りっぴー「はい、分かりました。」
里穂はテーブル上に紅茶とマカロンを並べた。
そんな中でも会議は続く。
ツバサ「出発は1週間後の朝がいいわ。」
穂乃果「分かった、伝令しておくね。」
りっぴー「他にご用があればお呼びください。」
恭しく一礼すると、里穂は扉を開けて出て行った。
バタン
ツバサ「誰?あの娘。可愛いわね。」
穂乃果「お手伝い宜しくの里穂ちゃんだよ。
気が効くいい娘だよ。」
ツバサ「穂乃果さんの周りにはいい人が集まるわね~」
ツバサは自分を含んでいる事を忘れてそう言った。
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printemps 州会議事堂 廊下
里穂は懐から筆を出し、紙に何か書き付けた後、
壁に掛けてあった矢に紙を括り付け、
同じく壁に掛けてあった弓を取り、上空を狙った。
キリキリキリキリ・・・ヒュッ
矢は綺麗に放物線を描きながら上空へ消えて行った。
りっぴー「・・・あっ、ちょっとズレた。」
彼女は嬉しそうにボソリと呟いた。
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lily white 園田家 縁側
里穂が弓を射た同時刻、
凛「カップ麺~、カップ麺~。」
縁側には、ご機嫌にカップ麺の完成を待つ凛がいた。
その時、空から手紙のついた矢が飛んできた。
矢はカップ麺に刺さった。
そのせいでカップは倒れ、盛大に中身をぶちまけた。
この矢は先程里穂が放った矢文。
凛は鬼の様な形相でprintempsの方角を向いて叫んだ。
凛「里穂ぉぉぉおぉぉぉお!!!
どこ狙ってんだテメェコノヤローー!!!」
凛は自身の直属の部下に狂おしい程の殺意を抱いた。
lily whiteの兵士長の一人、飯田里穂は
printempsにスパイとして潜入している。
連絡手段は主に矢文。弓と書道の名手であるが、
わざとかと言うくらい矢が凛に当たる。
このSSまとめへのコメント
えみつんと海未が強すぎて笑う。
オーディンより強いとか草。
文才無いけど、発想は面白い。
あと...更新遅すぎィ!