ある日、草野優衣は友達の安芸真琴とともに学校の帰りに近くにある喫茶店にやって来ました____
ワイワイ……ガヤガヤ……
安芸真琴「いやぁー、ここの喫茶店新しくできた人気の店らしいけど、行けてよかったな」
草野優衣「うん、そうだね……」
真琴「なんだよ優衣、お前から帰りに誘ったんだろ! そんなにしけて一体どうしたんだよ?」
優衣「あのね、真琴ちゃん。実は……相談したいことがあるの……」サワサワ
真琴「何か悩みか? ひょっとして相談のためにこの店に誘ったのか……よし、アタシら親友だろ! なんでも言ってくれ!」
優衣「ありがとう真琴ちゃん。実はね……騎士くんのことなんだけど」
真琴「あいつのことか。もしかして、あいつに何かされたのか!?」
優衣「違うよ! その……今度のお休みの日、騎士くんのことをお家へ招こうかなって」モジモジ
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真琴「え、マジか!? ついに優衣にもその決心がついたか!!」
優衣「近いよ真琴ちゃん!」ビクッ
真琴「ああ、悪い悪い。んで、計画はもう練ってるのか?」
優衣「えっと、それがね……まだ騎士くんに声はかけてないの」モジモジ
真琴「はぁ? なんだよそれーー! ったく、せっかく恋に奥手な優衣が珍しく積極的になったと思ったのによ」
優衣「うぅぅ……ごめんっ」
真琴「はぁ……、まあいいや。それで、相談ってのはどうやってあいつを誘おうかってことだろ?」
優衣「うん」
真琴「んなもん、普通に今度の休みの日ウチに来ないかって言えばいいだろ」
優衣「それができたら苦労しないよぉ~。いざ騎士くんに話しかけようとしても緊張しちゃって……ううっ」
真琴「おいおい、そんなんじゃいつまで経ってもあいつに告白なんかできねぇぞ」
優衣「うう……どうしよう」
真琴「この際だから親友としてズバッというけどよ、優衣って恋に奥手すぎるんだよ。それなのにいきなりあいつのことを誘いたい、家で二人でいたいだなんて言いやがるし」
優衣「ええっ!? 別に私は自分の家に招こうとしただけで、騎士くんとお部屋で二人っきりだなんてまだ言ってないよーー!」アセアセ
真琴「ほう、『まだ』ねぇ……」
優衣「あっ…………/////」プシューーーー
真琴「はあ……、優衣にもっと積極性があれば今頃とっくにあいつをものにできたのにな」
優衣「うん……」
???「はぁ……、高校生の頃まで控え目な性格ってのは本当だったんだ。さてと、どうしたものかな~」
そしてお店から出て…、
優衣「それじゃ真琴ちゃん、また夜に"向こう"でねー」
真琴「おう、じゃあな~」
テクテク……
真琴「さて、そろそろいいかな……おい、さっきらつけてる奴、いい加減出てこい!」
???「!? あはは、気配消してたつもりだけどまさかこんなに早く気付かれちゃうなんて」
真琴(アタシらと同い年ぐらいの女の子? くそ、フードを被ってて顔がよく見えねえな)
真琴「お前、さっきの喫茶店からつけてただろ? アタシに一体何の用だ?」
女の子「うーん、真琴ちゃんにっていうよりもう一人の方に用があるというか」
真琴「優衣のストーカーだと!? この野郎、優衣に変なことしたら女だからってタダじゃおかねえぞ!!」
女の子「あわわ、ちょっと待ってよ! 喧嘩っ早いのはこの時代からなんだ」アセアセ
真琴「この時代? お前さっきから何言って……いやそれよりも、どうしてアタシのことまで知ってんだ?」
女の子「そんなの決まってるでしょ。聞いたからだよ」
真琴「聞いたって、いったい誰からだ!?」
女の子「おっと、これ以上口が滑っちゃうのはまずいかな。それじゃまたね、真琴ちゃん。そのうち……というよりまた後で会おう」
タタタタ……
真琴「あ、待て! ……くそ、逃げちまった。いったい何者だったんだ、あいつ」
そしてその日の夜、優衣と真琴と騎士くんは三人でクエストに挑戦するためアストロムにログインしていた____、
騎士くん「ユイとマコト、そろそろ来る頃かな」
ユイ「あっ、騎士くん! こんばんわ、待たせちゃってごめんね」
騎士くん「お、来たかユイ。いや、全然待ってないよ、僕もついさっき来たばかりだし」
ユイ「今日のクエストも頑張ろうね。私、騎士くんの役に立てるように頑張るからサポート役は任せておいて!」
騎士くん「おう、ユイがいてくれれば心強いよ。ユイの回復魔法と防御魔法はにはいつも助かってるからな」
ユイ「騎士くん……えへへ、ありがとう。そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ///」モジモジ
騎士くん「お、おう……」
騎士くん(あれ、なんだろう。心なしかユイがいつもと少し違う感じがするんだけど……)
ユイ「それよりも、騎士くん。今日の私、何か違う感じしない?」
騎士くん「違う感じって……確かにいつものユイとは違う気がするような」
ユイ「衣装なんだけど、いつもと変えてみたの。基本的なデザインは前のとあまり変わりないんだけど、どうかな?」
騎士くん(あれ、言われて見れば……ユイの衣装いつもより露出が高いっていうか、スカートも短いし胸元もけっこうザックリ開いてるというか……目のやり場に困るぞ)
ユイ「えっと……どう、かな?」
騎士くん「すこぐ……似合ってると思うぞ」
ユイ「本当に? えへへ、ありがとう~」
ムニュ!
騎士くん「うわッ、ちょ、ユイ!? いきなり抱きついて来て、その、腕に当たってるんだけど……」
ユイ「腕に……もう、騎士くんのえっち……当ててるんだよ、うふふ」
ムニュムニュ
騎士くん「ユ、ユイ……!?///」
騎士くん(ヤバい、ユイの大きなのが当たって理性が……っていやいや、落ち着くんだボク! 明らかにいつものユイじゃないぞ!?)
ユイB「あっ、騎士くんここにいたんだ。待たせちゃってごめんね」
騎士くん「ああっ……て、ええ!? ユイが二人!?」
ユイB「え……えええぇぇぇーーーーーー!? 私がもう一人!? それに、その人、騎士くんに近づいて……なななな、何してるのっ!?」
ムニュムニュ
ユイ?「ねえ騎士くん、今日はこのまま二人でクエスト……しよ?」
騎士くん「ふ、二人だけで!?」
ユイB「な、なななななな、何言ってるのわたしーーーー!? そのわたしにそっくりは人誰なの!?」
騎士くん「一体どうなってるんだ!?」
マコト「このユイの偽物がぁーー!!」
バシ、カキーーン!!
ユイ?「ひゃっ!?」
騎士くん「うわっ……マコトか? いきなりなんなんだよ!?」
マコト「テメェもいつまでも鼻の下伸ばしてんじゃねえよ!! あっちのユイは偽物だ!」
騎士くん「ユイの偽物だって!? じゃあこっちのユイが本物か、いったいどういうことなんだ?」
ユイ(本物)「マコトちゃん、あのわたしとそっくりな人と知り合いなの?」
マコト「あいつ、今日もリアルで優衣と喫茶店にいた時アタシらのことをつけてやがったんだ。その時はフードを被ってて顔がよく見えなかったけど、間違いなくその時のやつだ!」
ユイ?「あーあ、バレちゃった……。さすがマコトちゃんは鋭いな。もう少しで騎士くんのこと、落とせると思ったんだけどなぁ……」
ユイ「騎士くんを落とすって!? あ、あなたはいったい誰なの!?」
マコト「ユイのストーカーだと思ってたけどまさかこいつが狙いだったのか!?」
騎士くん「ボクが目的なのか? 一体お前は誰なんだ? 見た目といい声といい、それに大きなおっ……いやそれはいいや。とにかくユイと瓜二つだぞ」
ユイ?「はぁ……どうやら隠せそうにないかな。安心して、わたしはある目的があってこの時代へやって来たの。あなた達に危害を加えるつもりはないわ」
騎士くん「この時代? いったい何を言ってるんだ」
マコト「騙されるな二人とも! こんなやつの言うこと言うこと信じる必要なんかねえ! すぐにとっ捕まえて企みを白状させてやる」
ユイ?「とっ捕まえるって!? もう、ちょっと待ってよマコトちゃん。マコトちゃんはどうしていつもそんなに喧嘩っ早いの~」
ユイ「落ち着いてよマコトちゃん。暴力はダメだよ、とりあえず話しを聞いてみようよ」
マコト「ユイはそれでいいのかよ? あいつユイのことを真似て何か悪さしようとしてたんだぜ」
ユイ?「はあ……本当にユイちゃんは優しいんだね。でも優しすぎるよ、それだからあなたは欲しいものを手にするまでに苦労したんだよ」
ユイ「えっ、あなたはわたしのことを知っているの?」
ユイ?「……ねえ騎士くん。一つ訊きたいんだけど?」
騎士くん「あ、ああ、何かな?」
ユイ?「ユイちゃんってこの時代からそんなに優しくて、でもいざという時にモジモジしちゃうタイプだったの?」
騎士くん「えっ……まあユイはすごく優しい子だと思うけど」
ユイ「ええっ、騎士くん……///」テレ
ユイ?「ふーん……てゆうか、騎士くんはこの時代から女子には優しいというか、優柔不断だよね」
騎士くん「ゆ、優柔不断!?」ガーーン
マコト「お前、本当に何者なんだ……。どうしてアタシたちのことをそこまで知ってるんだよ?」
ユイ?「それはね____」
グオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーー!!
一同「ッ!?」
ユイ「クリーチャー!? こんな時に……」
マコト「へっ、クリーチャーなんてさっさと倒しちまってこいつから話を聞くんだよ!」
ユイ?「……無駄だよ」
マコト「な、無駄だと!? テメェ、喧嘩売ってんのか?」イラ
騎士くん「落ち着けマコト、それにしてもあのモンスター今まで見たことないぞ!? 凄く大きいし、見た感じボスクリーチャーだ。それがいきなり街中に現れるなんて……」
ユイ?「あのクリーチャーは、今のままでは勝てない」
騎士くん「えっ? それって一体どういう……」
ユイ?「わたしは……あのクリーチャーを追ってこの時代に来たの」
騎士くん「え、一体何を言って……」
ユイ?「…………ッ!!」
ササササッ
マコト「あ、コラ! また逃げるつもりか!?」
ユイ「待ってマコトちゃん、あの子は逃げたんじゃなくてあのクリーチャーの元へ向かったんだよ!」
マコト「チッ、とりあえずアタシたちも急いであのクリーチャーの元へ」
騎士くん「待て、二人とも!」
ユイ「どうしたの騎士くん?」
騎士くん「あの子、ひょっとして____」
その頃、突如現れた巨大なクリーチャーに街の人々はパニックしていた
クリーチャー「グオォォォォォォォォーーーーーーーーーー!!」
プレイヤー1「なんだこのバカでかいクリーチャーは? 何かのボスキャラか? でもそんなクエストの予告出てたか?」
プレイヤー2「そんなことはどうでもいい、とりあえず今はこいつをなんとかしないと!」
プレイヤー3「こんだけデカいボスなんだ、倒したら相当なボーナスがあるだろうぜ、これでもくらえーーーー!!」
シャキン、ガシッ、バサーーーー!!
クリーチャー「……………ガルルル」
プレイヤー3「嘘だろ……攻撃が効いてない!?」
プレイヤー1「こいつ、相当ヤベェんじゃないのか……!?」
クリーチャー「グオォォォォォォーーーーーーーーーーーー!!」
プレイヤー2「うわ、こっちに来たぞ、逃げろぉぉぉーーーー!!」
ユイ?「はぁぁぁぁぁーーーーーー!!」
ブォン!
クリーチャー「グオォォォォォォ!?」
プレイヤー1「助かった……」
ユイ?「あなたではこのクリーチャーに勝てない、あなたたちは早く逃げて!」
プレイヤー2「ああ、すまねえ……」
スタスタスタ
クリーチャー「グオォォォォォォーーーーーーーー!!」
ユイ?「ここで……止める!」
その頃、騎士たちは____
マコト「はぁぁぁ!? あの子が未来の世界からやって来ただって!?」
騎士くん「ああ、あの子の発言が未来の世界からやって来たっていうならつじつまが合うと思うんだ」
ユイ「そういえばあの子、わたしたちのことをよく知ってたし、それに『この時代』っめ言ってたね……」
マコト「そんなこと信じられるわけねえだろ! 仮に未来の世界からやって来たとして、どうしてユイとそっくりなんだよ?」
騎士くん「それは……ボクにもわからないけど。でもあの子、他人のように思えないんだ。確かにいきなり胸を押し当てて来たりとか普段のユイがしないようなことをしてきたけど、ボクはこの子に見た目とかじゃないユイに似たものを感じたんだ」
ユイ「騎士くん……」
プレイヤー1「はあはあ……ここまで逃げれば大丈夫かな」
プレイヤー2「あの子、一人で大丈夫かな」
マコト「あの子? おい、アンタたち向こうで何かあったのか? もしかしてデカいドラゴンみたいなクリーチャーと戦ったのか?」
プレイヤー3「ああ、でもあのクリーチャーすごく強くて攻撃が全然効かないんだ!でも一人の女の子のプレイヤーが現れて俺たちを助けてくれたんだ」
ユイ「女の子って、まさか……!?」
プレイヤー1「あれ、そういえばさっきの子、君にそっくりだったぞ!」
騎士くん「間違いない、あの子だ!」
マコト「おい、お前らあんな一人を残してまんまと逃げやがったのか!?」
プレイヤー2「違うんだ! その子が俺たちに逃げるように促したんだよ。俺たちでは勝てないって言われて……」
騎士くん「あの子の言ってたこと、やっぱり本当だったんだ……」
マコト「そんなバカな……」
ユイ「…………私、行くよ。あの子を助けに」
マコト「ユイ? 本気かよ。あいつはお前に化けて悪さをしようとしてたんだぜ! アタシはまだ信じられねえよ」
ユイ「マコトちゃん……。でも私、あの子を放ってはおけないよ! あの子はこうしている間も一人で戦ってるんだよ!? それにわたし、あの子が赤の他人だと思えない!」
マコト「ユイ……」
騎士くん「……ボクも、一緒に行くよ!」
ユイ「騎士くん!」
騎士くん「あの子を放ってなんかおけない。ユイが行くっていうならボクも行く。あの子のことも……ユイも、ボクが守ってやる!」
ユイ「騎士くん……」
マコト「あぁーーもう、わかったよ!二人が行くってのにアタシだけ何もしないなんてできっこねえよ!」
ユイ「ありがとう、マコトちゃん」
騎士くん「よし! アンタたちは念のため強いプレイヤーをできるだけ集めてきてくれ! ボクたちがそれまで時間を稼ぐ!」
プレイヤーたち「わ、わかった!!」
その頃、クリーチャーと戦うユイ?はというと____
ユイ?「はあはあ……まさか、ここまで力が増大していたなんて」
クリーチャー「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーー!!」
ユイ?「くっ……」
ユイ「聖なる盾よ____あの子を護って!」
バリィィーーーーーーーーン
クリーチャー「ギャオオォォォォーーーーー!?」
ユイ?「この防御魔法は……」
騎士くん「よし、間に合ったぞ!」
ユイ?「騎士くん!?」
マコト「たく、どこの誰だか知らねえけど一人でこんなやつ相手にするなんて無茶分じゃねーよ!」
ユイ?「マコトちゃん!」
マコト「ユイたちがお前を信じるっていうんだ。だからアタシも信じる」
ユイ?「マコトちゃん……」
ユイ「よかった、間に合って。あなたが誰なのかまだよくわからないけど……でも、あなたを放っておけない。それがわたしや騎士くんの意思だから」
ユイ?「ユイちゃん……」
ユイ「それに……あなたは一人じゃない。一緒に戦おう!」
ユイ?「…………ありがとう。うん、戦おう!」
騎士くん「よし、とりあえず他のプレイヤーたちが来るまで時間を稼ぐんだ。ボクのプリンセスナイトの力でユイとマコトの力を発揮して____」
ユイ?「待って、それじゃダメなの! このクリーチャーはすぐに倒さないと! それにこのクリーチャーは騎士くんのプリンセスナイトの力でも倒せないの!」
騎士くん「なんだって!? プリンセスナイトの力を発揮してもダメなのか。それに、君はボクがプリンセスナイトであることも知ってたのか?」
マコト「じゃあどうすればいいんだ!?」
ユイ?「お願い、わたしを信じて! わたしのいう通りにして!」
ユイ「騎士くん……」
騎士くん「……わかった、キミを信じよう!」
ユイ?「ありがとう。それじゃ騎士くんとマコトちゃん、二人であのモンスターを足止めして! その間に準備をするから」
騎士くん「その準備が整えば倒せるんだな? よし、マコト」
マコト「おう、言われるまでもねぇ、オリャーーー!!」
クリーチャー「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーー!!」
ユイ「わたしの二人でサポートしないと」
ユイ?「それはダメ! あなたはここでわたしといて」
ユイ「そ、そんな!? 騎士くんたちが戦ってるのにわたしも何かしないと____」
ユイ?「黙ってきいて! あのクリーチャー……あなたじゃなきゃ倒せないの!」
ユイ「えっ、わたしじゃないと……倒せない!?」
ユイ?「あなた……騎士くんのことをどう思うの?」
ユイ「え、ええええーーーー!? こんな時に一体何をきいて____」
ユイ?「真面目に答えて! あなた……騎士くんのことをどう思うの?」
ユイ「どう思うって……そんなの決まってるよ。騎士くんはわたしにとって、その……大切な……仲間だよ」
ユイ?「そんな誤魔化したような言い方じゃダメ……。あなたの心はあなた自身じゃなきゃ応えてくれないし開かないんだよ!」
ユイ「えっ……」
ユイ?「あなたはいつもそう……。大切な一人へと想いは誰よりも強いはずなのに、いざとなるとその想いを心の奥底へしまいこんでしまう……そんなんじゃ、いざという時にその大切な人を護れない……今がまさにその時だよ!」
ユイ「…………」
クリーチャー「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーー!!」
騎士くん「うわぁッ!!」
ユイ「騎士くん!?」
マコト「おい、大丈夫か!?」
騎士くん「ああ、このくらい平気さ」
ユイ「そこをどいて、騎士くんを助けないと!!」
ユイ?「なら、わたしの問いにもう一度答えて。今のあなたを通すわけにはいかない____今のあなたが加勢しても足手纏いになるだけ、騎士くんを護れないよ」
ユイ「そ、そんな……」
ユイ?「もう一度聞くよ。あなた、騎士くんをどう思うの? 嘘偽りのない、あなたの本当の気持ちを聞かせて」
ユイ「私の……本当の気持ち……」
ユイ(この子の言う通りだ……わたし、騎士くんのことをこんなに想っているのに、でもいざとなると勇気が出せない……勇気を出さないと! いつまでもこのままじゃ……ダメだ!!)
ユイ「……わたし、騎士くんのことが……好き。世界で一番……騎士くんのことが大好き! そんな騎士くんを護れないなんてイヤだ!! もう自分の気持ちを誤魔化したりなんかしない____わたし、騎士くんのことを愛してる!!」
ユイ?「…………ふふっ」
ピカァァァーーーーーーーーンンン!!
クリーチャー「グオォォォォォ!?」
マコト「なんだ、何が起こってるんだ!?」
騎士くん「ユイからものすごい輝きが……この輝きはなんだろう____すごく暖かくて……それでいて、優しい____」
ユイ「この輝きは……一体……!?」
ユイ?(これがあなたの本当の力……ううん、本当の想いだよ)
ユイ(心の声? あなたは……一体!?)
ユイ?(わたしの本当の目的はね、あなたにこのことを伝えることだったの……。でも、その役目もここまで。少しの間だけど、若い頃のお父さんとお母さんに会えて楽しかったよ……)
ユイ(あなたは……)
ユイ?(ふふっ、じゃ……またね……)
ピカァァァーーーーーーーーーーーーンンン!!
ユイ「聖なる光よ____この想いをもって闇を払え____ディバインレイン!!」
クリーチャー「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
騎士くん「やった……やったぞ、クリーチャーを殲滅したぞ!!」
マコト「ユイ……やったなユイ! すげえぞ!! 今のやつ、新しいユニオンバーストか!?」
ユイ「はぁ…………やった、やったよ騎士くん、マコトちゃん!」
騎士くん「ああ……あれ?そういえばあの子は? ユイと一緒にさっきのすごい光に包まれてたけど」
ユイ「………あの子は、自分の世界に戻ったみたい」
騎士くん「そうか」
マコト「本当にタイムスリップしてきたのか……やっぱり未だに信じられねえな」
ユイ「あははっ……でもわたし、あの子に会えてよかったよ」
騎士くん「……そうだな。それに、無事クリーチャーも討伐できたし」
こうして、謎の巨大クリーチャーはユイによって倒された。
このことはアストロム中に瞬く間に広がり、ユイは有名人になってしまいしばらく騎士くんやギルドの仲間たちと街の中を歩くのにも大変な思いをしたのは別の話____、
そして、クリーチャーを討伐した日の夜、ログアウトしたユイは部屋の中で目が覚めた。
優衣「はあ……すごい経験をしたなぁ。でも、大きなものを得た気がするよ」
優衣「さえ、そろそろ寝ようかな……あれ?テーブルの上に紙が置いてある」
ガサゴソ
【今度のお休みの日、これで騎士くんをものにしちゃえ………… !!
p.s 今度 13人目の妹が産まれます。高校生のうちから将来に向けて体力をつけておくと良いと思うよ!】
優衣「この手紙……やっぱりあの子、私たちの……」
優衣「…………よしっ!」
そしてお休みの日____
騎士くん「えっと、お邪魔します……」
優衣「えへへ、いらっしゃい騎士くん」
騎士くん「それにしても草野の家の定食屋はいつ見ても立派だよな。結構大きいし」
優衣「そうかな。でも、これからもっと大きくなるんだよ」
騎士くん「え、マジでか。事業拡大するのか?」
優衣「うふふっ……そうだ、何か飲み物でも飲む? 今日はお外暑かったし」
騎士くん「お、ありがとう。それじゃ何か冷たいの飲み物でも……って、あれ? そういえば今日は家に誰もいないの?」
優衣「うん。お父さんもお母さんも今二人で旅行に行ってて、弟たちも友達の家に行ってるからわたしと騎士くんだけだよ。それじゃ飲み物用意するから座って待っててね」
テクテク
騎士くん「草野と、二人っきり………////」ドキドキ
優衣「ふふふ~~~ん♪」
サッーーー
優衣「お待たせ」
騎士くん「おう」
優衣「えっと……アイスティーしかなかったんだけど、いいかな?」
騎士くん「えっ……」
終わり
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