ヴィーネ「ガヴが可愛すぎてスケッチを描けない」 (28)

――学校・美術室――

サターニャ「ほら委員長!そのポーズのまま動かないで!」

まち子「え、ええ……」

ヴィーネ「サターニャ、一応まじめに描いてるみたいね」

ガヴ「ん?あー、そーなんだ」

サターニャ「委員長!もっとこう、体の内側から湧き上がるオーラを表現するのよ!」

まち子「え?オ、オーラ?ええ?」

サターニャ「ほら!オーラ力を全開にして!地上人でしょ⁉」

まち子「こ、こう⁉」

サターニャ「そう!そうよ!ハイパー化するくらいの気持ちで!」





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ヴィーネ「……後で委員長に何か持っていってあげないとね」

ガヴ「いいんじゃね?適当で」

ヴィーネ「うーん、やっぱりそんなわけには……」

ガヴ「ヴィーネちゃんは友達思いですなあ、っと。よし、完成」

ヴィーネ「ホント?それじゃ、今度は私が描くわね」

ガヴ「ん」

ヴィーネ「えーっと、ポーズは……」

ガヴ「これでいいっしょ?」ネソベリ

ヴィーネ「……うつ伏せになられたら描けないでしょ」

ガヴ「えー、大丈夫だって」ゴソゴソ

ヴィーネ「どこを描けって言うのよ」

ガヴ「上着の背中の柄とか、どうなってるのか少し気になるかな」ピコピコ

ヴィーネ「脱いで自分で確かめなさいよ」

ガヴ「脱いだら寒いだろ?」

ヴィーネ「あー、もう!ちゃんと起きて椅子に座って!ゲームしまって!床に寝そべったら汚いでしょ!」

ガヴ「へいへい」

ヴィーネ「それじゃ描くから、膝に手を置いて、こっちを向いててね」

ガヴ「えー……ずっと動かないの疲れるんだけど」

ヴィーネ「ゲームやってるときはいつもそうじゃない」

ガヴ「そりゃまー、そうだけどさ」

ヴィーネ「はいはい。描き始めるからね」

ガヴ「へーい」

ヴィーネ(……ふう。えーっと、髪の毛から描き始めようかしら)

ガヴ「……」

ヴィーネ「……」ジーッ

ガヴ「ふあーあ」

ヴィーネ(もう、欠伸なんかして)

ヴィーネ「ガヴ、また寝不足?」カキカキ

ガヴ「んー。イベントドロップ掘ってたら全然寝れなくて」

ヴィーネ「それで今朝も遅刻ギリギリだったのね」カキカキ

ヴィーネ(ガヴの金髪……やっぱり綺麗ね)

ガヴ「そーそー。朝ごはんも食べれなくてさ。お腹ペコペコだよ」

ヴィーネ「朝ごはんはちゃんと食べなくちゃダメよ。一日の基本なんだから」カキカキ

ヴィーネ(すこし暗い美術室で、蛍光灯の光がガヴの長い髪に反射してる。無機質な光で、金髪は幻想的に照らし出されて……まるでガヴの周りだけ別世界のよう……ああ……)

ヴィーネ「お昼?そうねぇ……ちょっと思いつかないわね。学食に行ってから決めようかしら」カキカキ

ヴィーネ(あの髪食べたいなぁ……)

ガヴ「ふーん。私もそうすっかな」

ヴィーネ(って、何を考えてるの私ったら!ガヴの髪を食べたいだなんて!)

ガヴ「お、おい、ヴィーネ?手止まってるぞ?」

ヴィーネ(食べたら無くなっちゃうじゃない!いや、そりゃ私の体になるから無くなっちゃうわけじゃないけど……ガヴの髪が私の一部に⁉)ハァハァ

ヴィーネ「大丈夫。ちょっと構図を見直してただけだから」ハァハァ

ガヴ「そ、そうか……」

ヴィーネ(それってガヴの染色体が私の体内に入るってことよね。私の細胞のXX染色体とガヴの細胞のXX染色体が混ざりあって新たな細胞に……そんな、そんなの……)ハァハァ

ヴィーネ「最高じゃない!」ブパァッ!

ガヴ「は、鼻血⁉ヴィーネ、大丈夫か⁉」

ヴィーネ「え?あ、ホントだ!ティッシュ、ティッシュ……!やだ、今日に限って忘れちゃった⁉」

ガヴ「えっと……あ、あったあった!ほら、早くこれ鼻に詰めて!」

ヴィーネ「あ、ありがと!」スポッ

ガヴ「ふう……まったく、急にどうしたんだよヴィーネ」

ヴィーネ「ごめんね、私もびっくりした。でも、減数分裂なんて必要ないわ。ガヴの染色体は一本残らず取り入れてみせる」

ガヴ「は?減数分裂?ヴィーネ、何言ってんの?」

ヴィーネ「ううん、なんでもない。ティッシュ、明日新しいの持ってくるから」

ガヴ「いや、いーよ別に。それよりもさ、大丈夫なら続き描いた方がいいんじゃね?終わらなかったら宿題になるし」

ヴィーネ「そ、そうよね。そうするわ」

ガヴ「んじゃ、早く描いちゃってよ」

ヴィーネ「ええ。頑張るわ」

ヴィーネ(髪から描き始めるのはやめた方がいいわね……口から描こうかしら)

ガヴ「……」

ヴィーネ「……」ジーッ

ヴィーネ(ガヴの唇……いつも憎まれ口とか『めんどい』とか言ってるけど、あらためて見てみると……)

ガヴ「ヴィーネ、ホントに大丈夫?」

ヴィーネ「ええ。心配しないで」カキカキ

ヴィーネ(ピンク色ですっごく艶やかで柔らかそうで、ああ……)

ガヴ「そうか。……ふわーぁ」

ヴィーネ「……」カキカキ

ヴィーネ(ものすっごく汚したい)ピタッ

ガヴ「ちょっ、ヴィーネさん?また手が止まってるんですが」

ヴィーネ(私の【悪魔的部位】にガヴの唇で【悪魔的行為】させたら、きっと【悪魔的感覚】が得られるわよね。逆に私がガヴの唇に【悪魔的行為】するのもいいし、【悪魔的部位】と【悪魔的部位】に唇で【悪魔的刺激】を……)ハァハァ

ガヴ「お、おい……?」

ヴィーネ「やっぱり最高ね!」ブパァッ!

ガヴ「また鼻血⁉」

ヴィーネ「ダメ、ダメよ……自分の快楽のためにそんな……」ダラダラ

ガヴ「落ち着けヴィーネ!ほらティッシュ、早く!」

ヴィーネ「うん、ありがと……」スポッ

ガヴ「なあヴィーネ、本当に大丈夫?保健室行った方がいいんじゃね?」

ヴィーネ「だ、大丈夫!大丈夫だから!ね⁉」

ガヴ「お、おう……」

ヴィーネ(このままじゃ本当に宿題になっちゃう……今度はいっそ、目から描こう)

ガヴ「……」

ヴィーネ「……」カキカキ

ヴィーネ(目が大きくて、まつげも長くて、瞳もきれいな青色で。でも最近はいっつも眠そうにしてて……ホントけだるそうな目ね。ああ……)

ガヴ(早く終わんないかなぁ……)ボー

ヴィーネ(『ほらヴィーネ。私がやるのはかったるいからさ、見ててやるから自分でしてよ』『うわぁ……もうそんなんしてるんだ……』『えぇ……?まだ終わんないの?見てるだけで気持ち悪いんだけど』)ハァハァ

ヴィーネ「もっと!もっと見て!死んだ魚のような目で!」ブパァッ!

ガヴ「……はい、ティッシュ」

ヴィーネ「……ありがと」

キーンコーン

ヴィーネ「えっ⁉もう授業終わっちゃったの⁉」

ガヴ「まー、なんだ。ドンマイ。あとでまたモデルになるからさ、さっさと片づけてお昼食べに行こうよ」

ヴィーネ「そんなぁ……」

~~~~

ヴィーネ「はぁ……」

ラフィエル「あら?ヴィーネさん、どうしたんですか?」

ヴィーネ「あっ、ラフィ。それが、実はね……」

ラフィエル「……なるほど。ガヴちゃんのスケッチをするためにガヴちゃんを見つめると、よからぬ方向に考えが行ってしまってとてもスケッチどころではなくなってしまうと」

ヴィーネ「そうなの……宿題になっちゃったんだけど、結局描けなくて……あした提出なのに、どうしようかと思って」

ラフィエル「そうですねぇ……写真を使ってみてはいかがですか?ガヴちゃん写真専用のSDカードをお持ちでしたよね?」

ヴィーネ「ううん。容量が足りなかったから外付けのHDD買っちゃった」

ラフィエル「あ、あら~」

ヴィーネ「でも、ダメなの。ずっとガヴの写真で【悪魔的行動】してたから、最近ガヴの写真を見るだけで条件反射で【悪魔的反応】しちゃって」

ラフィエル「それは困りましたねぇ……あら?ヴィーネさん、写真や実物のガヴちゃんを見ると集中できないんですよね?」

ヴィーネ「ええ。そうなの……」

ラフィエル「それでしたら、こういうのはいかがでしょう?」

~~~~

ラフィエル「ヴィーネさん、やりましたね!金賞なんてすごいです!」

ヴィーネ「ありがとう!ラフィのアドバイスのおかげよ!」

ラフィエル「いえいえ。私の助言なんて大したことありません」

ヴィーネ「それにしても、自分でも驚いたわ……まさか、何も考えないで適当にペンを動かしてるだけでガヴが描けちゃうなんて」

ラフィエル「ヴィーネさんならできると思いましたから」

ヴィーネ「四六時中ガヴの写真をいじくってた甲斐があったわ」

ラフィエル「いじくってたのは写真ではないのでは?」

ヴィーネ「ずーっとただ眺めてみたりなめてみたり、音を立てたり嗅いでみたり、ガヴの写真で遊ぶ以外何もしてなかったものね」

ラフィエル「そろそろ幻覚のガヴちゃんが現れそうですね。でも、ひとつ聞いていいですか?」

ヴィーネ「ええ。なに?」

ラフィエル「このガヴちゃん、天界にいたころのガヴちゃんみたいですが……どうして髪だけ、今のガヴちゃんみたいにぼさぼさなんですか?」

ヴィーネ「それは……えっと……その……だから」

ラフィエル「はい?」

ヴィーネ「ま、毎日ガヴの髪にブラシをかけてあげたいなって思ったら、つい……」

ラフィエル「あら~」

おわり
終わっちゃったとか嘘だと信じてる

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