【モバマス】「ぼののを救え! ウサミンロボ」 (19)


 天才ロボット工学者兼アイドル池袋晶葉により開発されたウサちゃんロボ
 ウサちゃんロボはバックダンサーから団子作成配布までこなす優れロボである!

 そのウサちゃんロボに異星の超技術ウサミン科学によって改良を加えたのがウサミンロボである!

 ウサミンロボは今日も、アイドルの自由と平和のために張り切ったり頑張ったりまったりするのだ!



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 今日は事務所のお掃除の日です。
 正確には、いつもウサミンロボが待機しているお部屋のお掃除の日です。

 ウサミンロボは掃除担当の別のウサミンロボが来るのを見届けると、邪魔にならないように移動します。

 きゅむきゅむ

 今日はキャタピラではなくて足をつけています。だから履帯の音ではなくて、足音が聞こえます。

 移動先はプロデューサーのお部屋です。
 いつもプロデューサーがお仕事をしているお部屋です。
 机の上には、お仕事用のパソコンがあります。

 うさー


 ウサミン科学のAIを搭載したウサミンロボですから、パソコンにも興味はあります。
 沢山のアイドルのお世話をするプロデューサーのパソコンは、地球の最新鋭機種らしいのです。

 うさ

 ロボは、机の上のパソコンの画面を観察します。

 きっと、難しいお仕事をしているのでしょう。
 デスクトップには「見るな」とタイトルの付いたフォルダがあります。極秘事項に違いありません。

 アナライズうさ

 画像データと動画データがたくさん入っていることがわかりました。

 そのときウサミンロボは、かつてプロデューサーに言われたことを思い出しました。


「いいか、ロボ」

 うさ

「お前は俺の使っているパソコンに触れることがあると思う」

 うさうさ

「その時は、特に指定されない限り、画像データと動画データには一切触れるな。テキストデータは別にいい」
「あと、アイドルたちの名前の付いたフォルダも見ていい」
「だが、画像データと動画データは絶対に見るな。コピーも駄目だ。デリートは絶対駄目だ」

 うさ

「そしてこれは他言無用だ。男と男の約束だ、いいな」

 うさ!


 ロボはコンピューターをそのままにしておくことにしました。

 ウサミンロボは机から離れました。

 うさ?

 机から良い感じに離れると、机の下に人影が見えます。

 うさ?

 きゅむきゅむと、ウサミンロボは人影に近づきます。
 怪しい人影です。もしアイドルを狙うおかしなストーカーだったら、「ウサミンの赤い雨」が炸裂します。

 うーさ?


「うう……いるんですけど」

 ロボの知っている人、知っているアイドルがいます。

 名前は……
 そうです、確か……モリク・ぼのの。
 他のアイドルとはちょっと雰囲気の違う名前です。
 ライラさんやフェイフェイのような異国の人かも知れません。だけど、ウサミン星人ではありません。

 うさうさ

 ロボは手を振ります。

「……もりくぼに手を振るロボちゃんがいるんですけど……」

 うさ?


 ロボは不思議そうに、顔を覗き込みます。

 うーさ?

「もりくぼは隠れていますから、お構いなく……」

 隠れんぼでしょうか?

 でも、ロボはこんなところで遊んでいたらプロデューサーに怒られてしまうことを知っています。
 この前は、遊んでいたわけでもないのに、お昼寝をしていた双葉杏が怒られていました。
 双葉杏にこっそり忍び寄っていた棟方愛海も怒られていました。謎です。

「乃々、こんな所にいたのか」

 プロデューサーが姿を見せました。ぼののを迎えに来たのでしょうか。

「乃々、そろそろ行くぞ」

「うう……もりくぼは余生を机の下で過ごしますのでお構いなく……」

 うさ……

 
 ウサミンロボはビックリしました。

 そんなことしたら、お腹が空いてもご飯が食べられません。
 机の下にはご飯がありません。キノコはありますが、それは星輝子のトモダチです。 

「仕事行くぞ」

「むーりい」

「無理じゃない。行くぞ」

「うう……もりくぼは無理やり連れて行かれるんですか……」

 ぼののがウサミンロボに手を伸ばしました。

 助けを求めているのでしょうか。
 だとすれば、ロボは立ち上がります。
 ロボはアイドルを助けます。
 ピンク色の正義の影一つ、闇を破って現れるのです。
 アイドルに危機が迫るとき、唸る鉄拳ウサミンマークです。 

 うさ!


「おう、ロボ。また今度な。今は乃々を現場に連れて行かなきゃならんから」

「むーりぃ」

「だから無理じゃない」

 うさ?

 ぼののは連れて行かれてしまいました。

「駄目ですよ、ロボちゃん」

 追いかけて助けようとしたロボですが、ちひろさんに止められてしまいます。

「乃々ちゃんは、あれでいいんです」

 うさ?


 プロデューサーがぼののを連れて行ってしまいました。
 ぼののは嫌がっていたようです。
 プロデューサーは悪い人なのでしょうか?

 しかし、ちひろさんはプロデューサーの味方のようです。

 うーさー

 ウサミンロボには、なんだかよくわかりません。

 その次の日。

 今日もお掃除の日です。二日間掛けて徹底的にお掃除をするそうです。

「また、ロボさんがいます……」

 また、ぼののが机の下にいます。
 今日も隠れているようです。


「もりくぼにはお構いなく」

 ロボは考えました。
 ぼののがそれほど嫌なのならば、プロデューサーが来る前に逃がしてあげた方が良いのではないでしょうか。

 ロボは自分の入ってきたドアを開けっ放しにしました。

 ここから逃げウサ、と合図します。

「あの……どうしてロボさんはドアを指差しているんですか?」
「もりくぼに、何を示しているんですか……もりくぼは外は嫌いです、人がいます」

 違ウサ、逃げウサ。
 ロボは頑張って伝えます。

 どうやらドアは駄目なようです。
 ならば、とロボは窓を示します。

「なんですか、こんどは窓ですか、……もりくぼに窓から落ちろと言うんですか」
「……もりくぼはロボにまでいじめられるんですね」


 逃げ道ウサ
 ロボは逃げ道をぼののに教えているだけなのに、ぼののは逃げません。
 ロボは不思議に思います。

「もりくぼーっ」

 プロデューサーの声です。また、ぼののを捕まえに来たに違いありません。

 何してるウサ、逃げるウサ

 ぼののは逃げません。

「……なんだかロボさんが慌ててます」

「やっぱりここか」

 プロデューサーが姿を見せました。

 逃げウサ! ぼののは逃げウサ!
 ここはロボに任せウサ


 きゅむきゅむ

 ロボは立ち向かうことにしました。

 突撃ウサ、ロボはアイドルを守るウサ、ぼののを守るウサ

 プロデューサーはただものではありません。

 心に勇気がある、時間を越えて選ばれたプロデューサーなのです。

 しかし、ロボだってただのロボではありません。

 今日の勇気を明日の希望をアイドルに教えるそのために風が叫んで嵐を呼んだロボです。

 うさ! うさっ!

「おいおい、ロボ、今は遊んでる場合じゃない」


 ロボは立ち向かうのです。ぼののを守るために。アイドルを守るために。
 それがロボの使命、それがロボの願い。

 ……ロボはぼののを守るウサ

 ロボは懸命に訴えますが、ぼののは連れて行かれそうです。
 よく見ると、ぼのの抵抗はとても弱々しいのです。

 ちひろさんが二人を見送るように手を振っています。

「ロボちゃん。乃々ちゃんは、プロデューサーから本気で逃げてるわけじゃないですよ」

 うさ?

 ロボにはよくわかりません。

「行くぞ、乃々」

「むーりぃ」


 とうとう抵抗空しく、ぼののは連れて行かれてしまいました。

「いってらっしゃい」

 ちひろさんは笑って見送っています。

 ロボには何が何だかわかりません。

 うさー

「乃々ちゃんはね、プロデューサーに構って欲しいだけだから」

 うさ?

 ……やっぱり隠れんぼして遊んでいたウサ?
 
 ウサミンロボには、やっぱりよくわからないのでした。



 以上お粗末様でした


 神戸のシンステ5、久しぶりにオンリー即売会に行ったけど、でかいのね、最近のオンリーって

  

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