雪が降りそうなほど寒いある冬の日の東京――
寂れたビルとビルの隙間に、ゆっくりの番が営巣していた。
「ふう……ただいま、りょうちゃん……」
「ゆっ!おかえりれいこ!!りょうつはおなかすいてるんだぞ!!はやくごはんさんをだせ!!」
「わかってるわよ……はい」
妻であるりょうつに急かされ、狩りの成果を取り出すれいこ。
「……これだけ?」
「ゆえ?こんなにとってきたのに……?これでもれいこはかせぎがおおいほうなのに……」
「いいわけするなぁぁぁぁぁ!!!!りょうつはにんっしんしてるんだぞ!!!!これっぽっちでたりるわけないだろうがぁぁぁぁぁ!!!!」
「ゆひぃっ!?!?」
「ふん!ほんっとうにつかえないれいこだな!もういっぺんかりにいってこい!」
「そ、そんな……いまかえってきたばっかりなのに……」
「いいからごはんさんもってこいぃぃぃぃぃ!!!!」
「わ……わかったわよ……ぐすっ……」
ああ、哀れなれいこよ。
息つく暇もなく、再び食料を探しに行かされることになってしまった。
「ゆはぁ……これだけあつめれば、りょうちゃんもみとめてくれるよ……」
れいこはやっとの思いで見つけてきた食料を咥えておうちに帰ってきた。
そこでれいこは、信じがたい光景を目にした。
「りょうつのまむまむ!!きもちいいぞ~~っ!!」
「あぁ~~っ!!!!はげしすぎますよぉ~っ!!!!おなかのおぢびぢゃんにふたんが~~っ!!!!」
「りょうつ!!りょうつ!!」
「ぶちょおぉぉぉ~~っ!!!!」
このあたりの野良を仕切っている群れの「ぶちょう」、ゆっくりおおはらに貫かれ、番のりょうつがよがり狂っていたのだ。
「りょ……りょうちゃん!?これはいったいどういうことなの!?」
「ゆっ!?れ、れいこ!?もうかえってきたのか!?!?」
「はやく!!せつっめいしてね!!」
「だまれぇぇぇ!!!!りょうつはぁっ、れいことけっこん!するまえからぁっ、ぶちょうとあいをはぐくんでいたんだぁぁぁっ!!!!」
「そ……そんな……」
動揺を隠せないれいこ。
「そういうことだ!れいこくんはそこでさいあいっ!のにょうぼうがたゆんにいかされるところをみていろ!」パンパン
「あぁ~~っ、ぶちょお~~、ぶちょお~~!!……ゆぎぃっ!?」
「ゆっ!?どうしたりょうつ!?」
「ゆぎぎ……おぢびぢゃん……うばれるぅぅぅ!!!!」
おやおや、どうやら腹ボテプレイ中に陣痛が来てしまったようだ。
「がんばれりょうつ!!ぶちょうのおぼうしでしっかりとうけとってやるからなっ!!」
おぼうしを脱いでりょうつの出産に構えるおおはら。
そして未だ事態を飲み込めずに呆然と立ち尽くすれいこ。
「きゃわいいりょうちゅが、ゆっくちうまれりゅぞっ!!」
「おちょーしゃん、おきゃーしゃん!おおはりゃだよっ!ゆっくちちていっちぇにぇ!」
「おおはりゃ、きゃわいくっちぇ、ぎょめんにぇっ!!」
「しぇかいのぶちょうににゃるべきおおひゃらが、ゆっくちうみゃれりゅよっ!」
自分に似たおちびちゃんは一匹もいない。
托卵だったのだ。
こんなのは悪い夢に違いない、夢なら早く醒めてくれ。
れいこは心の中でいつまでも呟き続けた。
終
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