真宮寺「ダンガンロンパ塩」 (137)

僕の名前は真宮寺是清。研究のために色々な土地を訪れているしがない民俗学者サ……

今回僕が話すのは、吸血鬼信仰のあるとある土地を訪れた時の話だヨ

では、御清聴願おうか。雪に閉ざされた廃墟に芽生えた仄暗い殺意の物語をサ!


注)
このSSのダンガンロンパキャラは基本真宮寺のみの出演となっております

その他の登場人物はフィクションの存在となっておりますが、わかる人にはわかると思われます

ニューダンガンロンパV3のネタバレを含んだ内容となる場合がございます



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489335092

真宮寺「ふう……ようやく辿り着いたヨ……。ここが吸血鬼信仰が今も息づく土地か……」

真宮寺「大雪の影響があったにせよ、まさか山の麓からここまで四時間もかかるとは想定外だったけど、今回も新しい発見があるといいネ」

真宮寺「後、姉さんの友達に相応しい女性も居たらいいなァ……」

真宮寺「……それにしても変だネ。ここまで辿り着くまで誰にもすれ違わないなんて……」

真宮寺「まさか過疎化の影響で廃村になってしまったんじゃないだろうネ?」

真宮寺「とりあえずあの一番大きな洋館に行ってみようか」




ピンポーン!


真宮寺「インターホンは機能してるみたいだネ」

男性の声「鍵は開いてるよ!」

大柄な男性「ようこそ廃墟風ホテル『クマノミ館』へ! 本日は悪天候の中来てくれて本当にありがとう!」

真宮寺「……申し訳ないけど、僕は泊まりに来た者ではないんだヨ」

真宮寺「ここに吸血鬼伝説が有ると聞いて来たんだけど、人が住んでいる気配が感じられなかったからとりあえず一番大きな建物に来ただけなのサ」

ラッキースケベの人?

大柄な男性「そうだったんだ……。あ、ここは五年ほど前から誰も住まなくなっちゃったらしいよ」

大柄な男性「僕がこの館を購入したのが二年前だったけど、その頃にはもう誰も居なかったし……」

真宮寺「そうだったんだネ……」

大柄な男性「あ、もし良ければウチに泊まっていかない? 部屋は余ってるし、安くするよ! 後からやっぱり嘘だよー! みたいなことは言わないよ。だって紳士は嘘はつかないんだ!」

真宮寺「そうだネ、じゃあお言葉に甘えさせてもらう事にするヨ」

大柄な男性「ゴメン自己紹介が遅れちゃったね。僕は武内って言うんだ」

真宮寺「僕は真宮寺。真宮寺是清だヨ。よろしくネ」

>>4
残念ながら別人だネ
期待させちゃったのなら謝るヨ


~~~~~客間~~~~~


武内「ここが客間だね。食事もここで食べることになってるんだよ」

真宮寺「これだけ大きな洋館ならダイニングもあるんじゃないの?」

武内「ああ、それは――――」

睫毛が特徴的な男性「食堂が劣化で使えないから……ですよ」

真宮寺「!」

武内「林原さん! いたんだね」

ゴーグルを着けた女性「アタシも居るぜ! 全くボケジジイには困ったもんだ!」

武内「ご、ゴメン!」

林原「石田さん。誰彼構わず噛みつくのはやめなよっていつも言ってるよね?」

林原「というかいつの間に居たの……」

石田「だってぇ……。近くにいないと林原が何処かに行っちゃいそうだから不安で……」

真宮寺(……この二人には深く関わらないようにしよう。彼女は姉さんの友達には相応しくなさそうだしネ)

武内「あ、もうすぐ夕飯の時間になるしそろそろご飯にしよう! うん! それが良いよ!!」

真宮寺(あ、武内氏が話を強引に逸らそうとしているネ。まあ面倒事に巻き込まれないたくはないし話に乗ろうか)

真宮寺「そうだネ。今朝から何も食べてないし、少し早いけど夕飯の準備をよろしく頼むヨ」


武内「任せてよ! 満室なんて初めてだし、腕によりをかけて作るから待っててね!」


=三十分後=


真宮寺(客間で料理が出来るのを待ってるわけだけど、思ったより人が泊まってるんだネ)

真宮寺(さっきの二人以外にも、顎鬚が特徴的な木村君と、その連れの神田さん。二人の友人である坂本さん)

真宮寺(この三人は林原君や石田さんと同じサークルのメンバーらしいネ)

真宮寺(石田さんは合格ラインに満たなかったけれど、他の二人は姉さんの友達になれる合格ラインを越えてるし近いうちに友達になってもらいたいネ……)

真宮寺「おや、また一人来たみたいだネ」

耳のピアスが印象的な男性「お、皆揃ってるみたいっすね……っと、キミとは初対面っすよね?」

真宮寺「初めまして。僕は真宮寺是清。まあ適当に呼んでくれて大丈夫だヨ」

耳のピアスが印象的な男性「真宮寺君って呼ばせてもらうっす。よろしく。俺は緑川って言うっす」

真宮寺「よろしく、緑川君」

武内「じゃあ、みんな揃ったみたいだし、そろそろ食べようか!」

……
…………
………………
木村「うっめぇぇ!! なんだこれ! 初めての食感だぜ!」

林原「本当だ、なんだろうこの食感……」

武内「これは自信作なんだ!食材を急速に冷凍してるんだよ! それを独自の方法で調理してるんだけど……。ゴメン! これ以上は秘密なんだ!」

石田「良くわっかんねぇけどとにかく美味い事は確かだし別にいいんじゃねぇか?」

………………
…………
……

木村「ふぃ~食った食った! 腹一杯になったことだしそろそろ風呂に行こうぜ林原!」

真宮寺「じゃあ、お腹も一杯になったところだし、少し話をさせてもらおうかな」

真宮寺「この土地に伝わる吸血鬼についてネ……」

木村「や、やめろよ! せっかく美味かったメシの後味が悪くなっちまうだろうが!!」

神田「でも、少し気になるかな。良かったら話してよ!」

林原「諦めよう木村くん。こうなった神田さんはもう何を言ってもダメだ」

木村「くっ……!」

真宮寺「じゃあ了解も得たし、始めるネ」

真宮寺「本題に入る前に吸血鬼について前知識を皆には付けて貰いたいからまずはその話からだネ」

真宮寺「吸血鬼を別称を挙げろ。と言われて、まず頭の中に思い浮かべるとしたらヴァンパイアかドラキュラだよネ?」

真宮寺「ヴァンパイアは吸血鬼の英語での呼び方だけど、ドラキュラに関して言えば元々は一人の人間の呼び名だったんだ」

真宮寺「そう、かの有名なルーマニアの串刺し公、ヴラド三世だヨ」

真宮寺「彼の父親ヴラド二世はドラクル、つまり竜公と呼ばれていたんだ。そしてその息子、つまりヴラド三世は『~の子』という意味のaが付いたドラキュラと呼ばれたんだ」

真宮寺「だから、ドラキュラの本来の意味は竜の息子という意味だったんだネ」

真宮寺「まァ、後に彼が行った串刺し刑の残酷さから、竜と同一視されていた悪魔に解釈されて悪魔の子と呼ばれたりもしたみたいだけど……」

真宮寺「現代で悪魔と竜を同一視していたって聞くと違和感があるだろうけど、竜も悪魔も根本的な部分は同じなんだヨ?」

真宮寺「人間への、より具体的には自分たちへの悪意・災厄の具現化というネ……」

真宮寺「話が逸れてしまったネ。じゃあ話を続けようか?」

真宮寺「この土地の吸血鬼に関してだけど――――」



バタン!


木村「うひぃぃいぁぁあぁぁぁあぁ!!!!!」

坂本「ちょ……! 抱きつかないでよ!!」

神田「何どさくさに紛れて抱きついてるのかな……? 木村くん、後で部屋に行くからね?」

真宮寺「これからが良い所だったんだけどなァ……」

緑川「そういえば、今の音って誰かが玄関の扉を開けた音っすかね? 武内さん、今日は俺たち以外に宿泊予定の人っていましたっけ?」

武内「いや、ここに居る人で全員のはずだよ!」

緑川「だとしたら誰が……」

真宮寺「吸血鬼……だったりしてネ」

石田「やめろよぉ……。夜トイレに行けなくなるだろぉ……」

真宮寺「冗談はさておき吸血鬼の話を続けようか」

林原「この惨状で続けるの!?」

メガネをかけた女性「あ、でもその話地味に気になるかな!」

石田「ぎゃあああぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!!! 出たああぁああ!!!!!貧乳デブスな吸血鬼だぁあああああ!!!!!!」

メガネをかけた女性「貧乳デブスって……地味にじゃなくて本気で傷つくよ……」

林原「石田さん、少し静かにしてて」

石田「」

林原「よし、静かになった。ごめんね、知り合いがあんなこと言っちゃって……」

メガネをかけた女性「うん、大丈夫だよ。わたしって地味に立ち直るのは早いし」

真宮寺「で、キミは一体誰なんだい?」

メガネをかけた女性「わたしは小松って言うんだけど、地味な上に影が薄いからよく驚かれちゃうんだよね。『いつから居たの!?』って」

小松「ここに来た理由だけど、山スキーをしてたら道に迷っちゃって……。たまたまここに辿り着いたって訳だね!」

小松「明かりがついてた建物がここだけだったからついつい無断で入っちゃったんだけど、驚かせちゃったなら謝るよ……」

武内「大丈夫だよ! ところで、小松さんって帰る手段はあるの?」

石田「道に迷ったっつってんだろうが! 察しろよこの筋肉ダルマ!」

武内「ご、ゴメン! もし帰る手段がないなら今日はここに泊まらない?」

武内「部屋はもう満室だから貸せないんだけど、僕が普段寝泊りしてる部屋があるからそこで良ければ……」

石田「もしもし警察か!? 若い女性を部屋に連れ込もうとしてる変態がいるぜ!!」

武内「違うよ!? 紳士はそんなことしないんだ!」

神田「落ち着いて! こんな山奥じゃ電波も届かないから!」

武内「うん! そうだね! ありがとう!」

林原「慰めてるのか貶してるのかよくわからないけど本人が立ち直ってるならいいのか……?」

小松「じゃあお言葉に甘えさせてもらってもいいかな? でもお金は今ほとんど持ってないんだけど……」

武内「困ってる人からお金をもらうなんて紳士はしないと思うし、あくまで僕の部屋で寝てもらうだけだからね、お金はもらえないよ!」

小松「本当に!? ありがとう!」

真宮寺「話も決まったようだしそろそろ続けてもいいかな?」

木村「これ以上根拠もないオカルト話を聞いてられるか! 俺は風呂に入るぞ! 行こうぜ林原!」

林原「あ、ちょっ待ってよ木村くん! あ、石田さんはお風呂に突撃とかしてきたら絶交だから気を付けてね!」

石田「あっ当たり前だろ! アタシがそんなせせせ節操なしな訳なななないだろ!」

神田「それにしては物凄く動揺してるよね……」

坂本「まあこいつらのやり取りはいつもの事だし気にするだけ無駄だよ……」

真宮寺「…………まァ、また今度話せば良いよネ」

ところで少し質問なんだけど、グロテスクな表現ってどこまでがセーフで何処からがアウトなのかな?
場合によってはRにスレを建て直さなくちゃいけなくなるかもしれないんだけど

神田「ごめんね、真宮寺くん。彼オカルトとかホラーとかそういうのめっきり苦手で」

真宮寺「こっちこそ彼と石田さんの反応が面白くてついはしゃいじゃったヨ。後で謝っておくヨ」

坂本「次からはあいつらが居ないところで話すんだね。あの二人を宥めるのって結局私たちの役割だし」

真宮寺「わかったよ、これから二人が居る時には家族の話でもすることにするヨ」

神田「あ、真宮寺くんの家族の話ちょっと気になるかも!」

真宮寺「僕には姉さんが居るんだけど病気がちで部屋からあまり出られなくてネ……」

真宮寺「僕が姉さんの近くに居る時は、基本的に傍に居るから寂しい思いはさせてないと思うんだけど」

真宮寺「今日みたいに遠くを訪れる時は姉さんが寂しい思いをさせてないか不安でしょうがないんだヨ」

ありがとう、それなら大丈夫そうだネ
このまま続けることにするヨ

坂本「あんたシスコンってやつ……? 石田じゃないけど通報した方がいいんじゃない?」

神田「でも、私にも双子の妹がいるから分かるかも、その気持ち」

神田「私もあの子が病気になったら出来る限り一緒に居てあげたくなるもん!」

真宮寺「ありがとう、そう言ってもらえるだけで救われた気持ちになるヨ……」

武内「真宮寺くん、泣いてるの……?」

真宮寺「少し、昔の事を思い出してネ……」

武内「ゴメンね、辛いことだったんだね……」

神田「あ、もし良かったらお姉さんの事紹介してくれないかな!」

神田「私もお姉さんだし、色々と話も合いそうだからさ!」

真宮寺「勿論だヨ! 神田さんが友達になってくれるなら姉さんも寂しくなくなるかもしれないネ!」

神田「そこまで過大評価されると後が怖いかも……」

真宮寺「坂本さんも姉さんの友達になってくれるかい?」

坂本「ここで私に振るの?」

坂本「……まあ別に。友達になるくらいならいいんじゃない?」

神田「まーた始まったよ。坂本さんのツンデレ!」

坂本「デレてない! 殺されたいの!?」

神田「本日初殺されたいのいただきましたー!」

坂本「神田ァ!」

武内「うんうん、仲が良いのは良い事だよ!」

真宮寺「あァ……誰も止める気が無いんだネ……」

真宮寺(姉さん……。二人に友達になってもらう約束をしたのをもうすでに後悔しそうだヨ……)

武内「あ、そういえば真宮寺くんにはお風呂の場所を説明するのを忘れてたね! 今から案内するよ!」


~~~二階廊下~~~


武内「二階は客室と僕が住んでる管理人室と男風呂があるよ!」

武内「女風呂は一階だけど真宮寺くんには関係ないから省くね」

武内「お風呂に向かう道は管理人室前を通る道か、客室の前を通る道のふたつが有るんだけど」

武内「客室前を通る道は腐食が進んでて、確か体重の軽い人以外は通れないから気を付けてね!」

武内「昨日神田さんが間違えてそっちに行っちゃって床を踏み抜いちゃったばかりだから!」

真宮寺「わかったよ。気を付けることにするヨ」

武内「じゃあ僕は管理人室に戻るから何かあったら部屋まで来てね!」



~~~真宮寺の部屋~~~

真宮寺「廃墟風なんて聞いてたから埃塗れだったりしないか不安だったけど、中々いい部屋じゃァないか」

真宮寺「パッと見る限り防音もしっかりしてそうだし、これはゆっくり眠れそうだ」

真宮寺「今日は一日動き続けたせいで草臥れちゃったし、風呂で汗を流して日課を済ませたらさっさと寝ることにしよう」



~~~男風呂~~~


真宮寺「へぇ。脱衣所もかなり広いんだネ」

真宮寺「これはバスタオルを二階まで上げるのに使うエレベーターかな?」

真宮寺「ここは大浴場と言っても過言じゃないネ。元々の所有者がどれだけお金持ちだったのか気になるネ」



~~~真宮寺の部屋の前~~~


真宮寺「ふぅ、良いお湯だったネ。体が軽くなったヨ」

真宮寺「木村君と林原君はもう出た後みたいだったネ。さっきの事はまた明日にでも謝ればいいかナ?」

真宮寺「さて、寝る前に肌身離さず持ち歩いてるこのMY塩でかごのこの陣を描く練習を……あっ」


ガシャーン!


真宮寺「あァ……僕の塩が……。お祓いもしてもらった貴重な塩がが飛び出しちゃったヨ……」

真宮寺「薄暗くて分かりにくいけど、かなり広範囲に散らばっちゃったみたいだネ……」

真宮寺「MY塩が使えなくなっちゃったのは悲しいけど日課は続けたいし……」

真宮寺「そうだ、武内君に塩を分けてもらおう!」



~~~管理人室~~~


真宮寺「武内君、お願いがあるんだけど……」

武内「どうしたの! 言ってみてよ。僕に出来る事ならなんでもするからさ!」

真宮寺「大したことじゃァないんだけどネ。僕がいつも持ち歩いてる塩の入った壺を誤って割っちゃって中身が全部廊下に飛び散っちゃったんだ」

真宮寺「これが無いと日課が出来なくて困ってるんだ。もし良ければ塩を少し分けてくれないかい?」

武内「それくらいお安い御用だよ! 今持ってくるからちょっと待ってて!」



===五分後===


武内「お待たせ! これくらい有れば足りるかな!?」

真宮寺「有難う。助かるヨ」

真宮寺「長居するのもアレだし僕はそろそろ部屋に戻るネ。おやすみ」

武内「うん! お休みなさい!」



~~~真宮寺の部屋の前~~~


真宮寺「おや、神田さんじゃないか。床を踏み抜いてしまった神田さんじゃァないか!」

神田「誰からその話を聞いたの!?」

真宮寺「武内君からだヨ。まァ良いじゃないか。女性は少しくらい肉付きが良い方が好まれるんだよ?」

真宮寺「土偶は肉付きの良い女性や妊婦をモチーフに作られている物が多く、その意味は豊作と繁栄を願ったものと考えられているからネ」

神田「もー! 私はそんな昔じゃなくて今生きてるんだよ!」


真宮寺「ゴメンネ。少しからかい過ぎちゃったみたいだ」

神田「次言ったら本当に怒るからね!」

真宮寺「肝に銘じておくヨ。あ、そうだ。僕の部屋の前に塩を撒き散らしっちゃったから踏まないように気を付けてネ」

真宮寺「僕の部屋より奥の部屋に泊まってるのは神田さんだけのはずだし取り敢えずキミには話しておくヨ」

真宮寺「明日の朝には掃除するつもりだし、他の人にはあまり関係がないしネ」

神田「わかったよ! 私も靴を塩漬けにする趣味はないし気を付けるね!」

真宮寺「…………」


真宮寺(ここで神田さんを姉さんの友達にしてしまおうか……?)

真宮寺(いや、ダメだ。まだここの間取りすら把握してない時点で友達にしてしまうと露見してしまうかもしれない……!)

真宮寺(まだだ……もう少しだけ時間を置こう……。確実に姉さんに友達百人作ってあげるんだ……)

真宮寺「じゃあ僕はそろそろ寝ようと思うヨ。また明日、神田さん」

神田「うん! おやすみなさい、真宮寺くん」



ここでの選択を僕は後悔することになる――――

書き溜めが尽きちゃったから今日はこの辺りまでだヨ

筆が乗ったらまた来るかも


===翌朝===

~~~真宮寺の部屋~~~


真宮寺「うん、いつも通りの朝六時に起床出来たみたいだネ。山歩きした翌日だからもう少し寝過ごしちゃうかと思ったけど」

真宮寺「さて、部屋の前に散らばったMY塩の後片付けでもしようか」


~~~真宮寺の部屋の前の廊下~~~

真宮寺「やっぱり塩は神田さんの部屋の前近くまで拡散しちゃってるネ……」

真宮寺「でも少し違和感があるような……?」

真宮寺「まァ記憶の片隅で覚えておこうか」

~~~客間~~~

武内「あ、おはよう! 真宮寺くん! キミが一番乗りだよ!」

真宮寺「おはよう、武内君も早いんだネ」

武内「紳士たる者誰よりも早く起きて朝ご飯の準備をしないとね!」

武内「でもなんだか厨房に違和感があるんだよね……」

真宮寺「へェ……。奇遇だネ。僕も少し気になる事が有ったんだヨ」

武内「真宮寺くんもなの!? やったぁ! 仲間だね!」

…………

……

武内君と談笑しながら過ごした


真宮寺「そういえば小松さんは? 一緒の部屋で寝てたんだよネ?」

武内「気持ちよさそうに寝てたから起こさないようにそっと部屋を抜けてきたんだよ」

武内「あ、でもそろそろご飯が出来るし呼んでこないといけない頃だね」

林原「あ、二人ともおはよう。みんなはもう起きてる?」

真宮寺「いや、キミが三人目だヨ。そろそろ朝食が出来るみたいだし起こしにいこうか――」

木村「その必要はねぇぞ林原!」

木村「このオレ、木村様はすっかり起床済みだぜ!」

木村「ついでに林原が部屋に居ないつって半泣きになってた石田も連れてきてやったぞ」

石田「林原ァ……。林原ぁ……」

林原「それは放っておいてもらって全然構わないから、これからは放置しておいてくれると助かるよ」

木村「それは流石に石田が気の毒だぜ……」

真宮寺「林原君と石田さんの間に何があってこうなったのか実に気になるネ……」

坂本「おはよ」

緑川「お、みんな揃ってきてるっすね」

小松「ごめん、本当はもっと早くに起きて武内くんの手伝いをしたかったんだけどね……」

武内「良いんだよ! 小松さんはお客さんなんだから!」

緑川「これで全員っすかね?」

木村「いや、神田がまだだぜ?」

坂本「あの神田が寝坊なんて珍しいね」

真宮寺(なんだろうこの違和感は……)

真宮寺(後ひとつピースがあれば完成するパズルを見ているような焦燥感の正体は一体……?)

真宮寺(考えろ……思い出すんだヨ……昨日の晩から今にかけておかしなところはなかったかナ……?)

真宮寺「そうだ……!わかったヨ!」


木村「うおっ!? いきなり大声出すなよ! びっくりすんだろ!」

真宮寺「申し訳ないけどそれに関しては後回しにさせてもらうヨ!」

真宮寺「神田さんの身に何かあったのかもしれないんだヨ!」

林原「えっ!?」

木村「どういう意味だよ!」

真宮寺「言葉通りの意味サ! 昨日僕が廊下にばら撒いてしまった塩には僕の足跡を除けば彼女が部屋から出て行った時に付いた足跡しかなかったんだヨ!」

真宮寺「つまり彼女は昨日から部屋に戻っていないという事になる!」


真宮寺「武内君! このホテルのお風呂は何時までお湯が出るようになってるかナ!?」

武内「えっと……えーっと……! 確かお湯が出るのは午前十二時で、そのあとは水道管が凍らないように水が少しずつ流れるようになってるはず!」

真宮寺「彼の言う通りなら、風呂場はほぼ百パーセント氷点下だヨ。そんな中一晩も居たら……」

真宮寺「これ以上は言わなくても分かるよネ?」

緑川「早く風呂場に行かないとまずいっすね……」

武内「でも気を付けて! 一人なら大丈夫でもみんなで向かったら床が抜けちゃうかも!」

武内「体重は出来るだけかけないようにしながら一人づつ向かわないと!」

木村「クソッ!」

真宮寺(こうして僕達は女風呂に向かった……)

真宮寺(そこで僕達の前に待ち受けていたのは……)

緑川「あれ?」

林原「誰も居ないね……」

木村「脅かしやがって! 真宮寺テメーぶん殴ってやる!」

真宮寺「落ち着いて木村君。風呂場に誰も居なかったという事は別に彼女が無事だったという証明にはならないんだヨ?」

真宮寺「だって昨日の夜から誰も彼女の姿を見た人は居ないし、部屋に戻った形跡もなかったんだからサ」

林原「そうだよ! 木村くんも少し頭を冷やして冷静になって!」

木村「チッ……」

木村「ここは林原に免じて引いてやらぁ。だけどよ、神田が無事だとわかったらテメーをぶん殴るから覚えとけよ」

真宮寺「その時は悪戯に皆を混乱させた僕の責任だからネ。甘んじて受け入れるヨ」

真宮寺「僕もキミに殴られた方が良いと思ってるヨ」

…………
……


真宮寺(こうして僕達は神田さんを探してホテル中を探索したんだけど、彼女の姿は何処にもなかった)

真宮寺(玄関には彼女の靴が置きっぱなしになっていたから外に出たという可能性も低い……)

真宮寺(こうして探索されていない部屋は唯一つだけになった。そう、彼女の部屋だヨ)

緑川「ここが……最後っすね」

真宮寺「武内君と女性陣には彼女がひょっこり現れた時の為に客間に残って貰ってるけど」

真宮寺「今のところ何の音沙汰もないし、彼女は戻ってないみたいだネ」

真宮寺「じゃァ、今から武内君から借りたマスターキーで部屋の鍵を開けるヨ?」

木村「真宮寺、貸せ。オレが開ける」

木村「なんだこのドアノブ? いやに冷たいな……。ん? 鍵かかってねぇのか。不用心だな……。開けるぞー! 神田ー!」

真宮寺(そうして、彼は、ドアを)

真宮寺(開けた)


木村「」

真宮寺(部屋の中を見た木村君の顔から瞬間的に色が抜け落ちた)

真宮寺「どうしたんだい!? 木村君! 僕も見させてもらうヨ!」

真宮寺「構わないネ!?」

真宮寺(まるで反応が無い。僕は、意を決して部屋の中を、見た――)

真宮寺(そこにあったのは美しい氷像だった。まるで生きているかの様な、眠っているかの様な)

真宮寺(世界中のどんな彫刻家にも彫ることの出来ないだろう、完璧な氷像だった)

真宮寺(それもそうだ。その氷像の素材は)

真宮寺(神田さんそのものだったのだから……)


真宮寺(ただ、そのアートを台無しにするものがふたつあった)

林原「なんだよ……なんだよこれ!? なんなんだよ!!」

緑川「うっ……中々にえぐいっすね……。心臓と腹部を杭で貫かれているみたいっす」

真宮寺(そうだ。彼女の胸部と腹部を貫いている二本の杭)

真宮寺(まるで氷像が吸血鬼になったから仕方なく刺したとでも言いたげな……)

真宮寺「何てことだ……」



~~~客間~~~


真宮寺(全員に神田さんの身に何が有ったのかを説明した)

武内「そんな……。なんで神田さんが……! 酷いよ! 酷過ぎるよ!!」

緑川「神田さんの遺体は凍り付いてベッドから動かせなかったからシーツを被せてあるだけっす……」

緑川「本当は遺体に刺さっている杭も抜いてあげたかったんすけど、それは真宮寺君に止められたっす」

真宮寺「杭が重要な証拠になる場合もあり得るしネ」

小松「ねぇ、本当にこの中の誰かが神田さんを殺したの?」

真宮寺「外には誰かがやってきた形跡はなかったし、何より外からやってきた人間だとしたらあんな風に細工をする意味が無いからネ」


真宮寺「これはれっきとした殺人事件だ」

真宮寺「嘆かわしいことは、犯人がこの中の誰かだってことだネ」

真宮寺(この中に犯人が居る……。僕は断じて許すことは出来ないヨ)

真宮寺(神田さんを……姉さんの友達になってくれると言ってくれた彼女を、こんな風に殺した犯人を暴くため……)

真宮寺(今回ばかりは探偵の真似事をさせてもらうことにするヨ!)



===捜査開始===


真宮寺(先ずは全員のアリバイを確認してみよう)

真宮寺「皆には昨日の夜何をしていたのか聞いてもいいかナ?」

武内「えっと、昨日は真宮寺くんが来た後すぐに小松さんがお風呂から戻ってきてそれからはずっと一緒だったよ」

真宮寺「じゃァ二人のアリバイは有るわけだネ。あくまで今のところ、だけど……」

武内「僕も神田さんを殺した犯人を見つけるために手伝うよ! なんでも言ってね!」

真宮寺「わかったヨ。じゃァまた何か気になることが見つかったら聞きに来るヨ」


コトダマGET!『武内の証言』
昨日の夜、武内と小松は同じ部屋に基本的に常に居た


真宮寺「林原君、昨日の夜は何をしていたか言えるかい?」

林原「言えるけど、何かな。僕を疑ってるの?」

真宮寺「違うヨ。取り敢えず全員に聞いて回ってるだけだから気にしなくて良いヨ」

林原「そうなんだ……疑っちゃってごめんね」

林原「昨日の夜は木村くんと二人でお風呂に入った後はずっと部屋に居たよ」

林原「あ、でも少し気になったことがあるんだけど……」


真宮寺「どんな些細な事でも教えてもらえると助かるヨ」

林原「昨日の夜、確か午前二時くらいだったかな、誰かの視線を感じて目が覚めちゃったんだけど」

林原「遠くから何かの遠吠えみたいな声? を聞いたんだ」

真宮寺「有難う。重要な手掛かりになるかもしれないし、後で詳しく調べてみるヨ」

コトダマGET!『林原の証言』
昨日の午前二時頃、林原は何者かの視線と何かの遠吠えを聞いた



真宮寺「あ、僕が元々持っている情報も整理しておかないとネ」

コトダマGET!『床にまかれた塩』
昨日の夜、真宮寺が誤って廊下にばら撒いた塩
塩に残された足跡は真宮寺自身の物を除けば神田が部屋から出る時に付いた物のみである

コトダマGET!『洋館の間取り』
一階には客間とキッチン、女風呂のみが機能している。他の部屋は劣化のため使用できない
二階は武内が普段寝泊りする管理人室と客室がある。事件当時泊まっていた部屋の並びは階段から見て坂本→緑川→木村→林原→石田→真宮寺→神田

コトダマGET!『劣化した床』
客室前から男風呂に向かう廊下は神田の部屋のすぐ隣から腐食のため一定以上の重量をかけると床が抜ける
そのため男性陣が風呂場に向かう場合は基本的に管理人室前の廊下を通らなければならない
また、管理人室前の廊下は激しく軋む為管理人室内に居る人間には誰かが通った事はすぐに判る

コトダマGET!『外の状況』
外に降り積もった雪の状態から、この館には小松が来てから誰も訪れていないと思われる


真宮寺「そうだ、あの風呂場にあったエレベーターを利用すれば塩の結界と管理人室の前を通らずとも二階に上がれるんじゃないかナ?」

真宮寺「エレベーターの最大積載量より神田さんの体重が軽ければエレベーターで死体を移動させることも可能だよネ?」

坂本「……確か神田がこの前五十三キロだって言ってたはず」

真宮寺「こんな状況なのに申し訳ないネ」

真宮寺「で、武内君。あのエレベーターは何キロまで運べるんだい?」

武内「えっと、あのエレベーターは確か五十キロまでしか運べないはずだよ!」

武内「だから、どう頑張っても運べる重さは五十一キロちょっとまでが限界だと思うんだ」

武内「ゴメンね、僕バカだからみんなの役に立ててないよね……ゴメン……」


コトダマGET!『エレベーターの積載量』
エレベーターの最大積載量は五十キロ。誤魔化しながら乗せたとしても五十一キロまでしか載せられない
なお神田の体重は五十三キロとのこと


武内「あ、そうだ。朝言ってた違和感なんだけど」

武内「キッチンに有った荷台が無くなってたんだよ!」

武内「でも、あの後探したらいつもと違うところに置いてあったんだよ!」

武内「ただ戻すのを忘れてただけみたいだよ。心配かけてゴメン!」

真宮寺「いつもは決められたところに置いてあったんだよネ?」

真宮寺(もしかしたらこれも事件の手掛かりになるかも知れないネ……)


コトダマGET!『キッチンの荷台』
いつもはキッチンの決められた場所に置かれていた荷台が事件後は別の所に置かれていた


真宮寺「この後全員のアリバイを確認したけど、確実にアリバイがあるのは武内君と小松さんだけみたいだネ……」

真宮寺「勿論、僕のアリバイもないネ」

真宮寺「そろそろ遺体の確認もキチンとやらないとネ……」



~~~神田の部屋~~~


真宮寺「事件当時の状況を保持するために、誰も何も触らないようにしてくれてるみたいだネ」

真宮寺「僕も指紋や髪の毛を落とさない様に気を付けないと」

真宮寺「まずは神田さんの遺体からだ。外見から判断するしかないけど、彼女の遺体は凍りついているみたいだネ」

真宮寺「下手に触ると本当に割っちゃいそうだから触れるのはやめておこう」

真宮寺(遺体発見時も窓が開いてたから一見すると窓を開けたまま寝てしまった神田さんが凍死したともみられるけど)

真宮寺(遺体に痛々しく突き刺さる二本の杭が彼女がただ凍死したわけではないという事実を突き付けてくる)


コトダマGET!『神田の死体』
死体発見時の神田の死体は仰向けでベッドに横になっている状態で発見された
また、死体は凍りついておりベッドから降ろすことも出来そうになかったため死体発見から誰も手を触れていない


コトダマGET!『二本の杭』
神田の遺体に突き刺さる二本の杭。刺さっている部位は心臓近くと腹部


真宮寺「なるほど……結構情報が集まってきたネ」

真宮寺「あとひとつ何かあれば全てが繋がりそうな予感がするんだけど……」

真宮寺「アレ? 今気づいたけど足の裏に血が滲んでるヨ……」

真宮寺「捜査に集中しすぎたせいで棘でも踏んだのかナ?」

真宮寺「とりあえず靴下を脱いで確認してみよう」



真宮寺「おかしいな、何処にも怪我らしい怪我がないヨ」

真宮寺(………………そうか! もしかしたら! それなら全て理屈が通るヨ!)


コトダマGET!『靴下に付いた血痕』
真宮寺自身のものではない血痕。何処で付着したのか定かではない



===捜査終了===

入手コトダマ一覧

『武内の証言』
昨日の夜、武内と小松は同じ部屋に基本的に常に居た

『林原の証言』
昨日の午前二時頃、林原は何者かの視線と何かの遠吠えを聞いた

『床にまかれた塩』
昨日の夜、真宮寺が誤って廊下にばら撒いた塩
塩に残された足跡は真宮寺自身の物を除けば神田が部屋から出る時に付いた物のみである

『洋館の間取り』
一階には客間とキッチン、女風呂のみが機能している。他の部屋は劣化のため使用できない
二階は武内が普段寝泊りする管理人室と客室がある
事件当時泊まっていた部屋の並びは階段から見て坂本→緑川→木村→林原→石田→真宮寺→神田

『劣化した床』
客室前から男風呂に向かう廊下は神田の部屋のすぐ隣から腐食のため一定以上の重量をかけると床が抜ける
そのため男性陣が風呂場に向かう場合は基本的に管理人室前の廊下を通らなければならない
また、管理人室前の廊下は激しく軋む為管理人室内に居る人間には誰かが通った事はすぐに判る

『外の状況』
外に降り積もった雪の状態から、この館には小松が来てから誰も訪れていないと思われる

『エレベーターの積載量』
エレベーターの最大積載量は五十キロ。誤魔化しながら乗せたとしても五十一キロまでしか載せられない
なお神田の体重は五十三キロとのこと

『キッチンの荷台』
いつもはキッチンの決められた場所に置かれていた荷台が事件後は別の所に置かれていた

『神田の死体』
死体発見時の神田の死体は仰向けでベッドに横になっている状態で発見された
また、死体は凍りついておりベッドから降ろすことも出来そうになかったため死体発見から誰も手を触れていない


『二本の杭』
神田の遺体に突き刺さる二本の杭。刺さっている部位は心臓近くと腹部

『靴下に付いた血痕』
真宮寺自身のものではない血痕。何処で付着したのか定かではない

書き溜めが尽きたので今日はここまでだヨ

ここまでの情報で犯人は多分分かると思うヨ

ただ >>1 はミステリー初心者だからダンガンロンパ本編でのトリックを見る時並の生暖かい目で見てくれると助かるヨ……

突発的に塩のサスペンスやらミステリーSSなんて書こうとするもんじゃないネ

真宮寺「もしかしたら犯人が分かったかもしれない」

武内「えっ! 本当!?」

木村「教えろ。真宮寺……。犯人はオレの手でぶっ殺してやる」

真宮寺「木村君、そんなに熱くなってちゃ本当に犯人を殺しかねないし」

真宮寺「僕の推理が間違ってたら取り返しがつかないからネ」

真宮寺「だから、僕と皆で話し合いながら結論を出したいんだ」

真宮寺「いわば簡易的な裁判だネ」

真宮寺「まァ、普通の裁判と違うのは全員が被告人であり検察であり弁護人だってことだけど」


真宮寺「これに納得してくれるなら僕は自分の推理を言おうじゃァないか」

林原「うん、僕はそれでいいよ」

木村「………………」

木村「…………わかった。それでいい」

真宮寺「木村君が納得してくれたけど、他に反対意見のある人は居るかい?」

真宮寺「居ないなら始めようか。誰が犯人かシロクロはっきりつけようじゃァないか!」



===裁判開始===


小松「最初に聞きたいんだけど……」

小松「本当に神田さんは殺されちゃったの……?」

小松「窓が開きっぱなしだったって聞いたしもしかしたら窓を開けたまま寝ちゃってそのまま……」

小松「ってのも考えられない?」

石田「それかき、き、き……吸血鬼が神田を殺したって可能性もあるんじゃねぇか……?」

石田「吸血鬼はコウモリとかに変身できるって話だしよぉ……」

武内「僕も出来ればこの中の誰かが神田さんを殺したなんて考えたくないよ! やっぱり誰かがここに夜の間に来たりしたんじゃないかな!」


緑川「いや、それは有り得ないっすよ」

林原「僕達は神田さんの遺体を実際に見てるからわかるけど、あれは……」

真宮寺「意見が二つに別れちゃったみたいだネ」

真宮寺「こういう時は二手に分かれてお互いの意見をぶつけあおうヨ!」

    【議論スクラム開始】

        意
        見
        対
        立

     神田は他殺か?

|他殺じゃない!><他殺だ!|

小松「神田さんは窓を開けたまま寝ちゃって、そのまま凍死しちゃったんじゃないかな!?」

真宮寺「緑川君!」

緑川「神田さんの遺体には杭が打ち付けられてたっす。ただの凍死じゃ杭なんて刺さるわけないっすよ」

石田「やっぱ吸血鬼が殺したんだ! 二階でもコウモリに変身したら関係ねーだろ!」

真宮寺「僕が!」

真宮寺「民俗学的見地から言わせてもらうと、心臓に杭を打ちつけられるのは吸血鬼であって吸血鬼に血を吸われた人じゃないヨ」

武内「それなら夜中に誰かが来て神田さんを殺したんじゃないかな!」

真宮寺「林原君!」

林原「いや、館の前に積もった雪には夜中に誰かが館に来た形跡は無かったんだ!」



「「「これが僕達の答えだ!!」」」

    全
      論
        破

真宮寺「これで信じて貰えたかナ? 神田さんはここに居る誰かの手によって殺されてしまったんだヨ」

武内「うん……。信じたくはないけど、真実から目を背けるなんて紳士にあるまじき行為だからね」

真宮寺「じゃァ、話を続けようか」

真宮寺「次はアリバイの話だネ」

真宮寺「僕は昨日の夜、風呂から帰った後塩を廊下にばら撒いちゃったんだヨ」

真宮寺「それで武内君に塩を分けてもらいに管理人室に向かったんだ」

真宮寺「武内君は部屋に居て、塩を分けて欲しい旨を伝えたらすぐに取りに行ってくれたんだよネ」

武内「うん、そうだよ! 確か五分くらいで戻ったと思うよ!」


真宮寺「その後僕は部屋に戻る最中に部屋の前で神田さんに会ったんだ」

真宮寺「風呂に行くところだったんだと思うヨ」

真宮寺「で、廊下の塩の件を彼女に伝えてから部屋に戻って日課を終えてから寝たんだ」

石田「あ? その話を聞く限り小松のヤツが居ねぇみてーだけどよ、小松は何処に居たんだ?」

小松「あ、わたしはお風呂に行ってたよ。帰りに神田さんとすれ違ったんだった」

石田「はぁ? そんなん信じられるかよ! 『アリバイの無ぇ』小松が犯人だ!」


コトダマ|武内の証言>

真宮寺「キミの推理は虚構だヨ!」論破


真宮寺「武内君の証言から考えるに小松さんは僕が部屋を出てからほとんどすぐに部屋に戻って」

真宮寺「それからは基本的に常に一緒の部屋に居たらしいヨ」

真宮寺「共犯者が居ると明らかにならない限り二人以上の証言は基本的に信じていいと思うナ」

石田「うぅ……なんだよぉ。みんなアタシを否定しやがってぇ……」

真宮寺「まァ彼ら二人は今の所アリバイがあると考えて良いだろうネ」

真宮寺「問題は他の人間だヨ。彼ら以外アリバイがある人間は居ないんだ。勿論、僕自身もネ」


緑川「じゃあ次は遺体の状況を確認するっす」

林原「あ、真宮寺くんだけが進行するわけじゃないんだね」

真宮寺「僕だけが司会進行役を務めると議論を間違った方向に誘導させていると思われるかもしれないからネ」

真宮寺「僕の見た目が怪しいのは僕自身が一番良く理解してるからネ……」

緑川「理解して貰えたところで話を戻すっす」


緑川「神田さんの遺体は二階にある神田さんの部屋で見つかった」

緑川「遺体はベッドで仰向けになっている状態で発見され、心臓近くと腹部には杭が突き刺さっていた」

緑川「しかし、遺体から目立った流血は確認されなかった」

緑川「以上、神田さんの遺体発見当時俺らが確認出来た神田さんの遺体の状況っす」

武内「ちょっと待って! それって変だよ! 心臓と腹部に杭が突き刺さってたなら『大量に出血してるはず』だよ!」


コトダマ|神田の死体>

真宮寺「それは違うヨ!」論破


真宮寺「今緑川君が説明してくれたのは僕らが部屋に入る前、つまり遺体を間近で確認する前の状況だヨ」

真宮寺「多分これから緑川君が説明してくれるところだったと思うけど、ここまで来ちゃったし僕が説明させてもらうヨ」

緑川「了解っす。じゃあ任せたっすよ」

真宮寺「彼女の遺体はガチガチに凍り付いていたんだ。シーツとぴったりくっ付いて、それこそベッドから降ろすこともままならないくらいにネ」

真宮寺「だから、せめて遺体の発見状況を保持するためにあの部屋のものには誰も触らないようにお願いしたんだヨ」

武内「そうなんだ……。ゴメン、僕まだ神田さんの遺体を確認してなくて……」


コトダマに情報を追加しました!
『神田の死体』
死体に出血は見当たらなかった
また、部屋にも血痕らしい血痕は見当たらなかった


真宮寺「とりあえず神田さんの遺体の状況までは整理出来たネ」

真宮寺「ここまでは現場検証したらすぐに分かる情報だヨ。本題はここからだ」

真宮寺「でも、誰が神田さんを殺したのかは一旦置いておこう。問題はどうやって彼女の遺体を部屋に運んだのか……だヨ」

真宮寺「彼女の部屋は密室となっていたんだから」


木村「なんだよそれ。テメー甘ぇんだよ!」反論


真宮寺「甘い……? そうしてそう思うんだい?」

木村「わりーけどよ。オメ―の発言はオレの目からすると事実から話を逸らそうとしてる風にしか見えねぇんだよ!」

木村「オメ―の部屋と神田の部屋が隣だったって事実からな!」

木村「あいつの部屋は鍵がかかってなかった。別に『密室でもなんでもねぇ』だろうが!」


コトダマ|床にまかれた塩>

真宮寺「その言葉、斬らせてもらうネ!」論破


真宮寺「僕の部屋から神田さんの部屋までの廊下には僕が誤って撒いてしまった塩が結界の役割を果たしていたんだヨ」

真宮寺「そこに残っていた足跡は、部屋から階段側に向かって歩いて、そして戻ってきた僕の足跡と、階段側へ向かう神田さんの足跡だけだったんだヨ」

真宮寺「というか、神田さんの異変に気が付いたのも僕が撒き散らした塩があったからだったよネ?」

真宮寺「木村君、キミは何をそんなに焦ってるんだい?」

木村「うるせぇ! じゃあアレだ! 管理人室側から回って神田の部屋に行ったんだろ!!」


コトダマ|劣化した床>

武内「それ以上のケンカはムシ出来ないよ!」論破


武内「ちょっと待ってよ! なんでそんなに怒ってるの!?」

武内「男風呂から客室に向かう道は腐食してるから男の人はほとんど通れないはずだったでしょ!?」

武内「実際神田さんだって館に着いた直後に試した一回目は大丈夫だったからって二回目では床を踏み抜いちゃったよね?」

武内「少し冷静になってよ木村くん! こんなんじゃ真実に辿り着けないかもしれないよ!」

木村「…………すまねぇと言わねぇぞ。オレはまだ怪しいと思ってんだからな」

木村「だがよ、もし犯人が分かってそれがオメ―じゃなかった時は」

木村「オレをぶん殴ってくれ」


コトダマに情報を追加しました!
『劣化した床』
実は神田が床を踏み抜いたのは二回目だった
一回目は館に到着した直後で、その時は大丈夫だったらしい


真宮寺「とまァ、神田さんの部屋、詳しく言うなら神田さんの部屋の前からだけど。実質密室となっていて」

真宮寺「神田さんが部屋に鍵がかかっていようがいまいが余り関係がなかったことは理解してもらえたかナ?」

小松「なるほど、わたしにも地味に理解できたよ!」

林原「じゃあ犯人はどうやって神田さんの部屋に行ったんだろう……」

石田「そんなの決まってんだろ! 客室側は真宮寺の部屋の前にまかれた塩のせいで誰も神田の部屋に行ってないのは証明されてんだろ!」

石田「それなら『管理人室の前の道』を使ったに決まってんだろ!」


コトダマ|劣化した床>

真宮寺「何度もごめんネ。でもそれも違うヨ!」論破


石田「またァ!? 今度は自信あったのに……」

真宮寺「客室側から男風呂に向かう道は床が劣化しているってのはさっき話したけど、床が劣化しているのはここだけじゃないんだ」

真宮寺「管理人室から男風呂に向かう道も床が多少劣化していて誰かが通ると激しく軋むんだヨ」

真宮寺「だから誰かが管理人室の前を通ると管理人室の中の人にはすぐに分かるんだ」

石田「そ、それならたまたま誰も居ない時に通ったんじゃねーか!?」

真宮寺「申し訳ないけどそれも無理なんだ。僕は管理人室に向かう直前まで男風呂に居たから誰か来たらすぐにわかるはずだし」

真宮寺「管理人室にも常に人が居たから誰かが通ると分かるはずなんだヨ」

坂本「ここまでアンタは神田の部屋に誰も行けなかったってことしか言ってないけど、何? 犯人は実は吸血鬼でしたとかって言うつもり?」

真宮寺「僕はあくまで民俗学者であってオカルト信仰者じゃァないつもりだヨ」

真宮寺「犯人は……クロはこの中に居るヨ。確実にネ……」



===裁判中断===


今日明日ともしかしたら更新出来ないかもしれないから途中までだけど投稿させてもらったヨ

暇が見つかればちょっとずつ投稿出来るかも知れないけど……。あまり期待はしないでネ

次で完結させられる様に頑張るヨ

というか神田の死に様ってしれっと中の人ネタだったりする? 両方とも凍り付いてるし

>>102
いや、ヒントになっちゃうかもしれないけど今回に関しては必要だったから凍りつかせたんだヨ

そもそも >>1 は中の人が演じてる役を妹様くらいしか知らなかったヨ……

明日の予定が繰り上げになったからこのまま投稿するネ



===裁判再開===



坂本「この中に犯人が居るって言うのは簡単だけどさ。今までの話だと誰も神田の部屋に行けないって結論じゃないの?」

真宮寺「そうだネ。でも今までのは神田さんと神田さんの部屋が置かれた状況をそれぞれ整理したに過ぎないヨ」

真宮寺「ここからサ。犯人の作り上げた密室の正体を暴くのはネ!」

真宮寺「客室側も管理人室側からも部屋に誰かが向かった形跡が無いなら残りはひとつだよネ?」


怪しい場所を指摘しろ!

①屋根裏

②エレベーター←

③窓

真宮寺(……これだ!)


真宮寺「そう、男風呂と女風呂を繋ぐエレベーターだヨ!」

真宮寺「アレなら客室前の塩の結界も、管理人室前の痛んだ廊下も通らずに神田さんの部屋に行けるんだヨ」


林原「その言葉……斬ってみせる!」反論


林原「待ってよ。あのエレベーターは最大積載量が五十キロしかなかったから神田さんを運ぶ事は出来ないって話だったよね?」

林原「今更その事を蒸し返す必要もないんじゃないかな」

林原「だって体重五十三キロの神田さんをエレベーターで『運ぶことは出来ないんだからさ』!」


真宮寺「…………」

真宮寺「…………キミ達に聞く覚悟はあるのかナ?」



真宮寺「確かに五十三キロの神田さんをエレベーターに載せて運ぶことは出来ないヨ」

真宮寺「でも、それは彼女が生きていた場合の話。死体は物なんだから如何様にも出来るサ」

真宮寺「例えば血抜きするとかネ。人間は体の約八パーセントが血液だから、体重五十三キロの神田さんならおおよそ四キロだ」

真宮寺「五十三引く四だから残りは四十九。ほら、最大積載量に収まったヨ」

石田「うげェ……。聞いてるだけで気持ち悪くなってきたぜ……」

真宮寺「更に気分が悪くなる真実を教えないといけないんだけど、これ以上は聞きたくないって人は退室してくれて構わないヨ」

真宮寺「……誰も退室する人は居ないみたいだネ。じゃあ覚悟を持ってると判断させてもらうヨ」


真宮寺「さっき例えとして血抜きを出したけど、今回の事件では血抜きなんて方法じゃなくてもっと単純で確実な方法だったんだ」

真宮寺「犯人は女風呂で神田さんを殺害した後、その遺体を切断したんだヨ」

真宮寺「ところで武内君、キミは昨日の夕飯にこんなことを言っていたよネ?」


武内『これは自信作なんだ!食材を急速に冷凍してるんだよ! それを独自の方法で調理してるんだけど……。ゴメン! これ以上は秘密なんだ』


真宮寺「この食材を急速に冷凍させるために使ったのって多分液体窒素だと思うんだけど」

武内「うん、そうだよ。食材に液体窒素をかけるとすぐにパリパリに凍っちゃうんだ」

真宮寺「犯人もそれを利用したんだヨ。神田さんの遺体を液体窒素で凍らせた後に切断したんだ」

真宮寺「生肉を斬るより凍った肉を斬る方が簡単だからネ。何より血液の処理が簡単だ」


緑川「待って欲しいっす! そんなのただの推論じゃないっすか!」

緑川「この中にそんな残酷なことをした人が居るなんて信じたくないっす!」

緑川「そもそも真宮寺くんの推理にも『証拠がない』っすよね?」


コトダマ|靴下に付いた血痕>

真宮寺「それは違うヨ」論破


真宮寺「証拠ならあるヨ。この靴下サ」


木村「血が付いてんな。オメ―足の裏に怪我でもしたのか?」

真宮寺「この血は僕の血じゃァないヨ。神田さんのものだネ」

林原「神田さんの遺体には出血らしい出血は見当たらなかったけど、なんでその血が神田さんの物だって断言出来るの?」

真宮寺「林原君の疑問ももっともだ。でもこの血痕が本当の事件現場を確実なものにしてくれるんだヨ」

真宮寺「凍った死体に杭を突き刺したところで血液は出ないよネ?」

真宮寺「だから神田さんと、神田さんの部屋には血痕が全く見当たらなかったんだ」

真宮寺「つまり死体の切断が行われたのは神田さんの部屋以外のどこかになる。と言っても神田さんの部屋以外の選択肢なんてほとんどひとつに絞られてるけど」

真宮寺「犯人は女風呂で神田さんの殺害、遺体の切断の全てを行ったんだヨ」


真宮寺「遺体を凍らせて切断することで返り血対策や血液の処理をより簡単なものとし、エレベーターを使って運べるようにするなんて」

真宮寺「突発的な犯行にしては中々堂に入った犯人だったけど」

真宮寺「ただ、そんな犯人も焦ってたんだろうネ。切断した時に出た細かな欠片が現場に残ってたんだ」

真宮寺「風呂場に残ってたそれは、その時はまだ凍った欠片だったけど、神田さんを捜しに来た僕がたまたまそれを踏み……僕の体温で溶けた結果がこれだヨ」

石田「げろろろろろろ…………」

真宮寺「恐らく犯人はこの館に置かれてるチェーンソーか電動ノコギリの様なもので遺体を切断したんだ」

真宮寺「その証拠もあるからネ」


死体の処理にチェーンソー等を使った証拠とは?

『林原の証言』


真宮寺「林原君は言ってたよね? 深夜二時くらいに目を覚ました時に何かの遠吠えを聞いたって」

林原「……うん、そうだよ。でも、それって……まさか……」

真宮寺「悪い予想ほど良く当たるとは本当に良く言ったものだよネ」

真宮寺「その通りサ! 林原君が聞いたその遠吠えこそ、神田さんの遺体を切断するチェーンソーの音だったんだヨ!」

真宮寺「そしてこの犯行を行える人間はこの中には唯一人。そうだよネ?」


怪しい人物を指摘しろ!


坂本←


真宮寺「坂本さん。キミがこの事件の犯人、クロだヨ」


坂本「は、はぁ? なんで私が犯人なの!?」

坂本「有り得ない! 私が神田を殺す理由なんてないよ!」

真宮寺「理由なんてどうでも良いんだ。今回重要なのは殺人を行ったのが誰かと言う点だけだからネ」

真宮寺「さっき最大積載量五十キロのエレベーターに神田さんを載せるには……って話をしたけど」

真宮寺「それはあくまで神田さんの遺体を載せるところまでだ。犯人までは考慮に入れていない」

真宮寺「二階全てのルートが使えないなら犯人も神田さんの遺体と同じ様にエレベーターに乗って移動したんだヨ」

真宮寺「と、なると犯人は最大積載量以下の体重の人間に限られる。まさか神田さんの遺体みたいに犯人自身の体を切断するわけにもいかないからネ」


真宮寺「僕含めて男性陣は全員五十キロは優に超えるだろうし、除外しても良い」

真宮寺「残りは女性陣だけど、小松さんはアリバイがあるから除外。残りは石田さんとキミだけど」

真宮寺「石田さん、キミは何キロあるかナ?」

石田「乙女に体重を聞こうなんて十年早えーんだよこの童貞エロガッパめ!」

林原「石田さん?」

石田「ハイ、五十六キロです!」

林原「ハッ」

石田「鼻で笑われたぁ……。正直に言ったのに……。でもなんだか快感っ……?」

真宮寺「……と、まァこんな感じだヨ。神田さん以上の体重である石田さんがエレベーターに乗る事は不可能サ」


真宮寺「消去法でキミが犯人になるんだヨ。坂本さん」

坂本「納得いかない! まだ謎が残ってるのに一気に私が犯人扱い!?」

坂本「そんなの断じて認めない……!」

真宮寺「なら、残った謎もひとつひとつ潰して行こうじゃァないか!」

真宮寺「キミという人間の輝きを僕に魅せてくれヨ!」

坂本「私が犯人だとしたら、神田の部屋にどうやって死体を移動させたの!」

坂本「男風呂から神田の部屋までの道は痛んだ廊下があるでしょ?」

坂本「私だけならまだしも、死体を担いで行けるわけない! だって死体分の重さで『確実に床が抜ける』からね」


コトダマ|劣化した床>

真宮寺「それは違うネ!」論破


真宮寺「神田さんが床を踏み抜いたのっていつだったのかナ? 僕の予想が正しければご飯を食べた後じゃない?」

武内「うん、そうだよ! 確かあれは夕飯の後だったと思うよ!」

真宮寺「人間の食事って案外重量があるものなんだヨ。一キロくらいにはなることもザラにあるのサ」

小松「コップ一杯の水も二百グラムくらいはあるもんね、そう考えると結構普通なのかな?」

真宮寺「ましてやここはホテル。普段以上に豪華な食事が出てついつい食べ過ぎちゃったとも考えられる」

真宮寺「更に付け加えるなら、体重を計る時は基本全裸か、それに近いラフな格好で計るもの」

真宮寺「真冬の衣類なんてどう軽く見積もっても一キロは超えるだろうネ……」

真宮寺「つまりあの床は五十五キロ以上の重さで抜ける床だったんだヨ」




真宮寺「人間の重量は、頭部が全体の八パーセント、片腕で六パーセント、片足で十七パーセント、胴体が四十六パーセントの割合だ」

真宮寺「体重五十三キロの神田さんならざっくり計算してそれぞれ四キロ、三キロ、九キロ、二十四キロになる」

真宮寺「坂本さんの体重は確か四十四キロだったから、四肢を切断してそれぞれ抱えていくなら床を踏み抜かずに客室側の痛んだ床を踏み抜かずに移動できるはずだネ」

坂本「ど、胴体は!? 胴体はどうするの! あんたが今言ったよね!? 神田の胴体は二十四キロだって!」

坂本「二十四キロの胴体を抱えたら確実に床が抜けるよ! やっぱり私に『犯行は無理』なんだよ!」


コトダマ|キッチンの荷台>

真宮寺「無理じゃない、出来るんだヨ!」論破


真宮寺「キッチンに置いてあった荷台に神田さんの胴体を載せて男風呂から思い切り押したんだ」

真宮寺「そして神田さんを載せた荷台は神田さんの部屋の前で止まり、犯人はその後を悠々と歩いてきたんだ」

真宮寺「そして荷台をキッチンに戻した時また犯人はミスを犯した」

真宮寺「暗いキッチンで荷台を探したり片づけたりしたせいで犯人は荷台の場所を間違えてしまったのサ」

真宮寺「これが胴体の移動方法と、移動していた荷台の答えだヨ!」

真宮寺「もう、これで分かっただろう? もう言い逃れは出来ないヨ」

坂本「まだ……まだおかしい所はあるよ! なんなの男風呂から荷台を思い切り押したって!」

坂本「そんな絵面バカみたいだよ! 証拠がないよ! 荷台の場所が違う? そんなのただ武内が置き忘れてただけでしょ!?」

坂本「私を犯人にしたいなら荷台が犯行に使われた『決定的な証拠』を持ってきなよ!」

真宮寺(そうだ、僕の推理には決定的な証拠が足りていない……)

真宮寺(ひとつひとつは正しいはずだけど、坂本さんに認めさせるにはまだ足りないみたいだ)

真宮寺(クックック……。良いネ。良いヨ! これこそが人間だヨ! あァ……人間って良いよネ!)

真宮寺(ならば僕も応えないといけないよネ? さァ真宮寺是清一世一代の大勝負だヨ!)



コトダマ|床にまかれた塩>
    
    ↓
    
ニセダマ|床にまかれた塩>


真宮寺「怖めず臆せず!」偽証


坂本「まだ……まだおかしい所はあるよ! なんなの男風呂から荷台を思い切り押したって!」

坂本「そんな絵面バカみたいだよ! 証拠がないよ! 荷台の場所が違う? そんなのただ武内が置き忘れてただけでしょ!?」

坂本「私を犯人にしたいなら荷台が犯行に使われた『決定的な証拠』を持ってきなよ!」

真宮寺(そうだ、僕の推理には決定的な証拠が足りていない……)

真宮寺(ひとつひとつは正しいはずだけど、坂本さんに認めさせるにはまだ足りないみたいだ)

真宮寺(クックック……。良いネ。良いヨ! これこそが人間だヨ! あァ……人間って良いよネ!)

真宮寺(ならば僕も応えないといけないよネ? さァ真宮寺是清一世一代の大勝負だヨ!)



コトダマ|床にまかれた塩>
    
    ↓
    
ニセダマ|床にまかれた塩>


真宮寺「怖めず臆せず!」偽証


あ、重要な局面で二重投稿しちゃってる……


真宮寺「実は有るんだよネ……。犯行に荷台が使われたという決定的な証拠がサ!」

真宮寺「僕が廊下にばら撒いた塩には、実は足跡以外にも何かの痕跡が残ってたんだヨ」

真宮寺「平行に走る二本の線がネ……」

真宮寺「ククク……。聡明なキミ達にはもう分かるよネ? そう! これこそが遺体の運搬に荷台が使われた決定的な証拠なのサ!」

真宮寺「…………」

真宮寺「そろそろ認めてくれないかい? これ以上はキミの人間性を貶めるだけだヨ」

坂本「…………もう、言い逃れは出来なさそうだね……」

坂本「そうだよ。私が神田を殺したんだ」


真宮寺(それから彼女はポツリポツリと事件までの経緯を話してくれた)

真宮寺(なんてことはない、良く有る話だったヨ。俗にいう痴情の縺れってやつだネ)

真宮寺(坂本さんはずっと前から木村君に好意を持っていたらしい)

真宮寺(なのに彼は坂本さんではなく神田さんを選らんだ。それに嫉妬してたんだってサ)

真宮寺(更に追い打ちをかけるかのように、昨日の夜女風呂で神田さんからの妊娠したかも報告)

真宮寺(後はもう、僕が推理した通りの結末サ)

真宮寺(まあこの後坂本さんが神田さんの遺体ごと全ての証拠を隠滅させるために用意していた時限発火装置のせいで館が火の海になったり)

真宮寺(火の海になった館にひとり残った坂本さんを館の外に連れ出すために僕が単身館に乗り込んだりもしたけど)

真宮寺(これは事件とは別に何の関係もない閑話だから省略させてもらうことにするヨ)


真宮寺「クックック……。嫉妬も人間の感情が魅せる輝きのひとつでは有るけど」

真宮寺「嫉妬に狂って人を殺すような人は姉さんの友達には出来ないヨ」

真宮寺「ああ……神田さんの様な女性にまた巡り合える時は来るんだろうか……」




そして、時は流れ――――

…………
……





真宮寺「初めまして。確か……赤松楓さん、だったよネ? 僕は真宮寺是清って言うんだ。これからよろしくネ」


真宮寺「ダンガンロンパ塩」~完~

これでダンロン塩は終わりです

最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます

次は平和なSSを書きたいと思います……

本当は地図も手元には用意してたんですけど、画像の上げ方が分からなくて詰みました

正直途中でエレベーターに関してのコメが有った時はトリックがばれてないかすごくドキドキしてたのは秘密

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