希「アイドル!早押しクイズ!絢瀬絵里罰ゲーム」 (84)

絵里「あの…希?希さーん?私はこれから何をされるのかしら?」

シーン

絵里「安心していいのよね?変な仕掛けとかないわよね?」

シーン

絵里「いつもの部屋だものね?ね?希?ねえ?ねえ?」

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絵里「もしもーし?」

パチン

絵里「え?ちょっ、ちょっと?ななななんで明かりを消すの?ねえ?これが罰ゲームなの?」

ガチャ

希「えりち」

絵里「希?ねえ?希いるの?」

希「これから皆んな来るから安心してな?」

絵里「ほ、本当に?」

希「うん」

絵里「ねえ?じゃあ明かりをつけて?」

ガチャ

絵里「希?ねえ?帰っちゃったの?」

ガチャ

絵里「キャアア!な、なに?希?何してるの?」

コツン コツン コツン

絵里「何?歩いてるの?ねえ?まだ目が慣れなくて何にも見えないんだけど?もう何か始まってるの?ねえ?」

「これは私がまだ物心がつく前の話し…当然私は覚えてないので母から聞いた話なのですが」

絵里「え?誰?誰の声?海未?海未の声なの?」

「小さい頃の私は人見知りをする性格で大人達にはもちろん同世代の子達を前にしても恥ずかしがって自分からは声をかける事なんて出来ませんでした」

絵里「や、やっぱり海未よね?」

海未「そんな私に初めて出来た友達…それが穂乃果とことりでした」

絵里「えっと…何?良い話なの?それなら明かりを」

「遠くから眺める事しか出来ない私に手を差し伸べてくれた私の大切な親友…二人には忘れたと言っているのですがとても嬉しかったのを今でも覚えています」

絵里「そ、そうなの?なんだ…とても素敵なお話しじゃない。良かったわ」

「ですが…これはあくまで物心がついてからの話し」

絵里「え?」

「二人に出会う前…物心がつく前に私には友達がいたみたいなんです」

絵里「二人より前からの…」

「幼い頃から私は…その…寝付きのいい子供だったそうで…今もそうなのですが…母は私を寝かしつけてその隙に家事をこなしていたそうなのです」

絵里「………」

「ある日、いつもの様に母が私を寝かしつけて家事をしていたのですが…どうも部屋の方から寝ているはずの私の声が聞こえたみたいで…。耳を凝らしてよく聞いてみると誰かと会話している様なのです」

絵里「え?」

「家には母と幼い私しか居ないのに一体誰と話しているのだろう。母は不思議に思い手を休め部屋を覗いてみると私が一人で居るだけだったんです」

絵里「それって…」

「空想の友達…イマジナリーフレンドと言うものですね。幼児期ではそう珍しいものでもないようです」

絵里「そ、そうだったのね」

「私の友達の名前は“みゆきちゃん”だったらしいのですが…それから度々私はみゆきちゃんと遊んでいたらしいのです」

絵里「そ、それで?終わり…じゃなさそうだもんね」

「その日の夜はむせ返るような暑さだったと聞いています。蒸し暑さで寝苦しかった様ですがそれでも時間が経つにつれて静寂が空間を支配していったのです」

「しかし、その静寂もほんの束の間。激しい雨と雷の音が響き始め母を起こした様なのです。そして、それらに混じって私の話し声も聞こえて来たようで」

絵里「ちょ…」

「どうしたの?と母が聞くとみゆきちゃんと遊んでいるのと…」

絵里「…」

「夜も遅いからみゆきちゃんと遊ぶのは明日にして今日はもう寝なさいと言っても私はみゆきちゃんと遊ぶと聞かなかったらしいのです」

絵里「…」

「普段からよく働く人ですしそれに加えて子育てもあり過労気味で流石の母も限界だったんでしょう。みゆきちゃんは本当は居ないのよと」

絵里「うん」

「その時、ピカーンと雷が一瞬部屋を照らし出したのです。その時母は見たようで」

絵里「み、見た?」

「はい。私より一回りくらい年上の女の子を。そして一言……………いるよって」

絵里「い、イヤァァァァァァァァ」

「それ以来みゆきちゃんは私の前に姿を表すことはなかったようです。その晩の…みゆきちゃんの事を母は怖かったと言っていましたが…しかし、その話を聞いても私は怖いとは思わず何故か懐かしい気持ちになるのです。なぜでしょうね?例えみゆきちゃんが幽霊だとしても私にとっては友達に変わりはなかったと言う事なのですかね?」

絵里「け、結局怖い話じゃないのよぉ」

「それでは私の話はこれで終わりです。では」

ガチャ

絵里「え?行っちゃうの?ちょっと一人にしないでよ?ねえ?海未?本当に行っちゃったの?ねえって」

ガチャ

絵里「キャアアアア。なななに?」

コツン コツン コツン

絵里「誰なの?ねえ?せめて名前を言ってよ」

「これはねほの…かな記憶しか残ってないんだけど…」

絵里「え?穂乃果?穂乃果なの?」

「えっと…」

絵里「穂乃果なのよね?ねえ?声色変えなくていいのよ?私はあれよ?いつもの穂乃果の声が好きだから。ね?」

「あの…いい?これはね、私のお母さんの体験談なんだけど」

絵里「よくないわよ?全然よくないからやめて」

「ごめんね絵里ちゃん。続けるよ?あのね、うちのお母さんがお父さんと結婚する時にね実家の整理をしてたんだって。ほら、家を出るわけだからさ。で、ついでだからいらないものは捨てようと思って分けてたらね古いビデオテープが出て来たの」

絵里「ビデオテープ?」

「うん。VHSってやつかな?でそのビデオには名称も何も貼ってないから何が録画されてるかわからないの」

絵里「え?それ…見たの?」

「うん。見たんだって。テープがダメになってたみたいでザーッって画面が映らなかったんだって。だからお母さんも見るのをやめようとしたら急に画面が映り出したの」

絵里「…」ゴクリ

「なんか白いワンピースを着た女の人が微笑んでいる映像だったんだって」

絵里「微笑んでるの?」

「うん。微笑んでるの。幸せそうに。撮影した人に向かって何か話してるんだけどそれも聞こえないんだけど楽しそうに話し掛けてるんだって」

「そんなシーンが延々と映し出さらて映像は終わるんだけどね。その後家の人にビデオの事を聞いたんだけど誰も知らないって言うんだって。お母さんは不思議だなぁって思ったんだけど結婚の事で忙しくてすぐに忘れちゃったんだって」

絵里「うん…」

「で、数年経って穂乃果が生まれて…私が生まれた年に私を連れて散歩してたらね前の方から赤いワンピースを着た女の人がフラフラと歩いて来たんだって」

絵里「赤い…ワンピース?」

「うん。で、お母さんはなんか嫌な感じがするなぁって思って顔を伏せてたの」

絵里「…」

「気配でなんとなく近づいて来るのが分かるんだよね。それに凄い悪臭もしたんだって。で、すれ違う時に幸せそうで良いわねってボソッと一言」

絵里「や、やめて」

「お母さん思わず振り返ったらね赤いワンピースの女がジィーと私とお母さんを睨んでるんだって。で、怖くなって私を抱っこして走ってその場を去ったんだけど…あの女の人どこかで見た事あるなって」

絵里「び、ビデオ…」

「そう。ビデオに映ってた顔と一緒。違うのはさあんなに幸せそうだったのに何もかもが憎らしいって顔。白と正反対の赤いワンピース。やつれて老けて見えたけど歳はビデオに映ってた頃とそう変わってはなかったって」

絵里「おおおお終わり?」

「うん。あんまり怖くなかったでしょ?ごめんね?話し方が下手くそで」

絵里「わ、私には充分怖かったわ」

「でも、なんであの女の人がお母さんの前に現れたのかそもそのあのビデオはどこから来たのかは不明なんだよね」

絵里「そうなの?」

「そう言うものってなんの前触れもなく不条理に現れるものだって希ちゃんは言ってたけどね」

絵里「や、やめてよ」

「あっ、大切な事を言い忘れてた」

絵里「え?」

「赤い服を着て自ら死を選んだ女性はね…怨霊になるんだって」

絵里「いやぁぁぁぁぁ」

「これでお終いだよ」

ガチャ

絵里「まってぇぇぇぇ。穂乃果ぁぁぁぁ」

絵里「穂乃果?ねえ?帰っちゃったの?」

ガチャ

絵里「え?誰?」

ギィィィィ

絵里「や、やめて。ねえ?普通に入って来てよ。雰囲気出して入って来ないで」

コツン コツン コツン コツン

「それじゃあ…私の番だね?」

絵里「誰?誰の声なの?ねえ?誰?」

「私の話は…体験談とか…人から聞いた話とかじゃないんだけど…」

絵里「ことり?花陽?誰なの?」

「霊を呼び寄せる方法って…噂話では色々聞いた事あると思うんだけど…例えばこっくりさんとか…合わせ鏡とか。もしかしたら子供の頃にやった事あるかな?」

絵里「ないないない。そんな事絶対しない」

「でもね、そんな面倒な事をしなくても幽霊を呼び寄せる事は実に簡単なんだ」

絵里「え?」

「実際に今もやってみようと思うんだけど」

絵里「や、やめて。本当にお願いだから」

「と言うよりもさっきからずっとしてるんだよね。ほら、怖い話をしてると幽霊がやって来るって言うでしょ?」

絵里「ちょ、ちょっと…ねえ?怒るわよ?ねえってば」

「とある学校でさ生徒が数名残って怖い話をしてたんだって。一人の子が話し終わったら蝋燭を消して…いわゆる百物語の真似事をしてたんだね。百物語って言うのは100の怪談を話し終えると本物の怪異が訪れると言われてるんだけど」

絵里「も、もういいから」

「全員が話し終わって何か起こるかなぁって期待してたんだけど何も起きなくって。安心したようながっかりしたような気分だったんだ」

絵里「も、もういいでしょ?」

「で、どの話が一番怖かったかって話になって1人ずつ発表して行く事になったの。あれが怖かった。これが怖かったって。そしたら一人の子が学校の教室で自殺した女の子の話が一番怖かったって言い出して」

絵里「ねえ、本当に」

「皆んなも後から確かに怖かったねって。誰があの話をしたんだっけ?え?〇〇ちゃんじゃないの?違うよ?〇〇は?私も違う…あの話は誰がしたの?私はあの話をしたから違うよ?私だって何々の話をしたから…振り返ってみるとね…一話多いんだよね」

絵里「いっ、いや」

「でもね、私は知ってるんだ。誰が話したかを」

絵里「え?どどどういう事?」

「だって、その話をしたのも学校の教室で自殺したのも……………」

絵里「ちょ」







「私なんだ」

絵里「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「わ、ちょっ」

絵里「誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「あはは、冗談だよ?最初に言ったでしょ?体験談でも聞いた話でもないって。作り話だから安心しなよ」

絵里「た、つ、っつつ、作り話?」

「そうだよ。まさかここまで大成功するなんてね」

絵里「か、勘弁して…」

「それじゃあ」

ガチャ

絵里「え?帰っちゃうの?待ってよ。いるから。最後までいるからせめて1人にしないで」

絵里「ねえ?私を一人にしておくと大変な事になるわよ?いいの?苦労するのはあなた達なのよ?」

ガチャ

「何を大声出してるのよ?」

絵里「真姫?」

「はあ…他に誰がいるのよ」

絵里「真姫…あなただけよ?なんて優しいのかしら」

「一応私も怖い話をしに来たんだけど」

絵里「いいわよしなくて。ね?」

「わぞわざ怖い話を調べて来たんだからするけど」

絵里「わざわざ調べてこなくてもいいのに」

「これはむかしむかしのお話しよ。阿弥陀寺と言うお寺に芳一という盲目の琵琶法師が住んでいたの。芳一は平家物語の弾き語りが得意で、特に壇ノ浦の段は「鬼神も涙を流す」と言われるほどだったのよ」

絵里「え?なに?昔話?」

「ある夜、和尚がお寺を留守にした時に、突然一人の武士が訪れて「高貴なお方」の屋敷へ行って琵琶を引いてくれないかと言われたの」

絵里「つ、ついていったの?」

「そうね。盲目の芳一には分からなかったけどそこには確かに高貴な人達が集まってたみたいなの」

絵里「こ、怖い話なのよね?」

「黙って最後まで聞きなさいよ。そこで芳一は壇ノ浦の戦いの下を弾き語ってくれと頼まれたから演奏し始めたら皆んな熱心に聴き入って佳境に入る頃にはすすり泣きが聞こえる程だったの」

絵里「…」

「芳一は自分の演奏の反響に内心驚いてた」

絵里「そ、それはそうよね」

「それからと言うもの芳一は毎日の様に演奏を頼まれるようになるの。でも盲目の芳一が1人で出掛けるのを不審に思った和尚が芳一の後をつけてみると…芳一は一人、平家一門の墓地の中にいて、平家が推戴していた安徳天皇の墓前で無数の鬼火に囲まれて琵琶を弾き語っていたの」

絵里「ちょ、ちょっと…分かってはいたけど…分かってはいたんだけどぉ」

「和尚は慌てて芳一を連れ帰り問い詰められた芳一はとうとう事情を打ち明け…怨霊たちが単に芳一の琵琶を聞くことだけでは満足せずに、芳一に危害を加えることを恐れ、このままでは芳一が平家の怨霊に殺されてしまうと心配したのね。和尚は自分がそばにいれば芳一を守ることが出来るけど生憎夜は法事で芳一のそばにいてあげられなくて」

絵里「も、もう嫌な予感しかしないわよ」

「和尚は、怨霊はお経が書かれている身体部分は透明に映り視認できないという性質を知っていたから怨霊が芳一を認識できないように芳一の全身に般若心経を書いたの。でもこのとき耳に写経し忘れたことに気が付かなかったのね。で、声によって相手に居場所を知られないよう、芳一に怨霊に声をかけられても絶対に無視するよう言って和尚は寺を留守にしたの」

絵里「ねえ待って?途中凄く怖い事言ってたわよね?」

「その夜、芳一が一人で座っていると、いつものように武士が芳一を迎えに来たの…芳一…芳一…迎えに来たよ?」

絵里「や、やめてよ。変な演技入れないでぇ」

「芳一は和尚の言いつけを守って返事をしない。怨霊には写経し忘れた耳のみが暗闇の中で見えて…よかろう。返事をする口がないのだ。両耳の他に芳一の体は何も残っておらん。ならば、出来る限り上様の仰せられた通りにした証として、この耳を持ち帰る他あるまいと言い芳一の頭から耳をもぎ取って去って行ったの」

絵里「イヤァァァァ。怖い怖い怖いし痛い」

「朝になって帰って来た和尚が血だらけで倒れている芳一を発見してその時に耳に写経し忘れたことに気づいたの。まあ、その後芳一の耳の傷は癒えてこの不思議な話も広まり耳なし芳一として有名になって何不自由なく暮らしていきましたとさ。めでたしめでたし」

絵里「な、ななんにもめでたくないじゃない」

「耳なし芳一って言う有名なお話みたいなんだけど知らなかった?本当は怪談とはまた違うみたいなんだけどね」

絵里「知らないわよ。なんなのよ。もう嫌よぉ。ねえ、真姫?希に言って?もう限界だって」

「なっ、私に言わないでよ」

絵里「じゃあ、誰に言うのよ」

ガチャ

絵里「あれ?真姫?ねえ?帰っちゃったの?どうして?こんなに困って見せてるのにぃ」

ガチャ

絵里「誰?今度は誰なの?」

「絵里ちゃん…」

絵里「花陽?あれ?花陽なの?あれ?さっきのはことり?」

「ごめんね。一応言っちゃいけない事になってるんだけど」

絵里「花陽なんでしょ?ねえ?」

「えっと…あの…大丈夫?」

絵里「大丈夫じゃないわぁ。お願い。もうやめて?ね?」

「あの…でも…」

絵里「花陽ぉ。ねえ?お願い」

「絵里ちゃん…あの…」

絵里「本当に」

「だ、誰か助けてぇぇ」

絵里「いやぁぁぁぁぁぁぁ。きき急に大きな声出さないでぇ」

「お、落ち着いて?」

絵里「は、花陽こそ落ち着きなさい?」

「わ、私より絵里ちゃんの方が…」

絵里「落ち着いて考えて。私にこれ以上怖い話をしたら…」

「したら?」

絵里「私は辛いの」

「うん」

絵里「だからやめて?」

「でも…」

絵里「ね?簡単な話でしょ?怖いからやめる。どうしてそれが出来ないの?」

「えっと…大丈夫だよ。私の話はあんまり怖くないから」

絵里「そう言う問題ではないのよぉ」

「あの…早く済まして終わらせた方がいいと思うよ?」

絵里「ダメね。どうして?どうして私の気持ちを誰もわかってくれないの?」

「ごめんね。絵里ちゃんの為にもすぐに終わらせるから」

絵里「私の為を思うなら話をしないで」

「アイドル好きの間では有名な話なんだけどね」

絵里「どうして話し始めるの?言葉が通じてないの?もしかして私ロシア語で喋ってる?」

「大丈夫だよ?」

絵里「ならどうして…」

「あの…あるグルーブが解散するからって解散ライブが開催されたんだけどね」

「お客さんも満員で大成功を収めたんだ。でね、そのコンサートを録音してラジオで流したの。そしたらね、ラジオ局に大量の問い合わせがあってね」

絵里「ど、どうして?」

「あのね…音源の途中にね女の人の声で…私にも聞かせてって声が入ってたんだ」

絵里「いやぁぁぁぁ。怖いじゃない。充分怖いじゃない」

「噂ではファンの子がコンサートに行くのを楽しみにしてたんだけど病気で亡くなっちゃって行けなかったって」

絵里「いいわよ。補足とかいらないわよ」

「この話には続きがあってね。この音源を逆再生するとその声は…私もそこに行きたかったって聞こえるの」

絵里「キャァァァァァ。もう…やめて…本当に……やめ…て」

「この話は怖いけど…でも少し気持ちがわかるな。私もアイドルがずっと好きだったから行けなかったら嫌だもん」

絵里「そうだけどぉ。そうなんだけどぉ」

ガタッ

絵里「イャァァァァァ」

「キャァァァ」

絵里「いや。何?何なの?」

「び、びっくりしたよぉ」

絵里「誰なの?誰の仕業なの?」

「それじゃあ、行くね?」

絵里「このタイミングで?どうして?」

ガチャ

絵里「花陽?ねえ?嘘でしょ?花陽?」

コンコン

絵里「な、何?」ビクッ

ガチャ

スタスタスタ

「これは」

絵里「ちょっと待って。流れるように話を始めないで」

「………」

絵里「ねえ?誰なの?にこ?凛?それとも希?」

「………」

絵里「何か言ってぇ」

「これは」

絵里「怖い話じゃなくて普通に返事をして?ね?普通の声で」

「これは凛が前に聞いたお話しなんだけど」

絵里「凛?凛なのね?よかったわ。怖くないわよね?凛の話なら怖くないわよね?」

「ある女の子の話なんだけど…その女の子は凛と同い年くらいかな?当時その子には好きな男の子がいたんだって」

絵里「へ、へぇ~」

「どうにか仲良くなりたくって一番仲の良い友達の仮にAちゃんって呼ぶね?そのAちゃんに相談に乗ってもらってたの。で、Aちゃんの協力もあってその男の子と付き合う事が出来たんだって」

絵里「よ、良かったじゃない。さあ、めでたしめでたし。もう終わりよね?」

「まだだにゃ。でもね、その頃から自分の周りで変な事が起こるようになったんだって」

絵里「終わりでいいじゃない」

「その男の子と電話で話した日には、直後に知らないアドレスから会話がそのままメールで送られてくるの。それも、その子がしゃべったセリフのみが全てカタカナでずらっと書かれていてすごく不気味な内容のメールが」

絵里「ちょ、ちょっと」

「メールは次第にエスカレートしていって、シネとかのキツい言葉が混じるようになって来てね。とうとう我慢できなくなってAちゃんに相談したんだって。そしたら部屋に盗聴器があるんじゃないかってAちゃんが言うから怖くなって一緒に探してもらう事になったんだって」

絵里「そ、それで?」

「結局それらしいものは見つからなっかたの。でもAちゃんが帰ったあと、部屋で見慣れない携帯を見つけてね、普段Aちゃんが使っているのとは違ったから変だなぁって思ったんだけど 2つ携帯を持ってたのかなあと思ってあまり気にしなかったんだって」

絵里「あの…なんか…わかってきちゃった…」

「で、その日の夜はAちゃんに相談してだいぶ気持ちが楽になっていたから思い切ってあの知らないアドレスに返信してみることにしたの。誰なんですかって。するとね、送信完了と同時にAちゃんの物と思われる携帯が鳴りだして…まさかと思ってもう一通送るとまたその携帯が鳴るの。Aちゃんのその携帯を開けて中身を見たらあの不気味なメールが…」

絵里「や、やっぱり…」

「次の日に携帯をAちゃんに返し、その日の夜、また男の子と電話をしたらまた嫌がらせメールが来て。 Aちゃんなの? って送った瞬間に部屋の窓のすぐ外から着メロが鳴ってそのあと走り去る足音が聞こえて…。カーテンを開けて見たら窓には2つの手形がくっきりとついてたんだって。Aちゃんは窓にくっついて話をずっと聞いてたんだね。その部屋3階だったのに…」

絵里「ヒィィ」

「その数分後にメールが来たんだけど。バレたかぁ、ごめんね?って」

絵里「ちょっと…凛の話…他のとテイストが…でも寒気が…止まらないし…一番怖いかも…てっきりラーメンの話とかを…」

「怖かったでしょ?」

絵里「怖すぎよ。体に…力が…入らない」

「へへぇ。それじゃあ」

バタン

絵里「ぎゃああああ。ちょ、ちょっと…静かに出て…静かに…はあ…はあ…はあ…」

「これは」

絵里「きゃぁぁぁ。いやぁ。え?何?誰?なんで?いつの間に?え?」

「入れ違いで入って来たのよ」

絵里「にこぉ。にこよね?にこなのよね?」

「……」

絵里「なぜ黙るの?ねえ?私、にこを頼りにしてるのよ?」

「あのねぇ…なんども言うけど別に私も怖いのが得意な訳じゃないのよ」

絵里「私に比べれば全然得意よ」

「もういいわ。ちゃっちゃとやって早く帰りましょう」

絵里「早く帰りたいなら話さないで終わればいいじゃない」

「安心しなさいよ。私の話は短いし意味わからないしオチもないから」

絵里「え?」

「前にね家族で外食した時の話なんだけど。帰りに路地を歩いてたら前から人が物凄い勢いで走って来るのよ」

絵里「人が?」

「人が。どんどん近づいて来るからきみ悪いなぁって思ってたの。で、姿もはっきり見えるくらいになってよく見たら痩せすぎってくらい痩せた女の人が長い髪を振り乱して走ってるのよ」

絵里「い、いやぁ」

「何が一番驚いたって…風貌もそうなんだけどハイヒール履いてるのよ?あんなに走ってるのに」

絵里「え?」

「思わず呆気に取られてて気がついたら女は行っちゃったんだけど」

絵里「けど?」

「さっき走ってたのと同じくらいのスピードで戻ってきて…後ろ向きでよ?にこ達の所まで来てこんにちはって言ってまた走ってったのよ」

絵里「な、なにそれ?」

「意味わからないし不気味だし…夜なのにこんにちはって言うし…変な人なのか心霊現象的な何かなのかもわからないけど当時は凄く怖かったわ」

絵里「い、いやぁぁぁぁ。な、なんなのよそれぇ」

「今でもその道を通るとその事を思い出すわ。絵里も通った事ある道」

絵里「いやぁ。言わないで。これ以上は言わないで」

「わ、わかったわよ」

絵里「もっと言うと一緒に居て」

「それは無理よ」

絵里「どうして?こんな所に一人にして可哀想だと思わないの?」

「いや…」

絵里「ねえ?」

ガチャ

絵里「あっ…どうしてぇ」

絵里「ねえ?一人にしないでよ。最後まで聞くからせめてにこを置いてって」

ガチャ

絵里「きゃあ」

「だ、大丈夫?」

絵里「え?こ、ことり?」

「えっと…」

絵里「あれ?ことりはさっき話さなかった?」

「まだだよ?」

絵里「あれ?そうだったかしら?」

「うん」

絵里「言われてみればまだだったかも」

「それじゃあ」

絵里「まって?怖い話はやめましょう?そうだ!ガールズトーク!ガールズトークをしましょう?」

「え?今するの?」

絵里「そうよ」

「でも…」

絵里「こ、ことりはほら?あれよね?女子って感じの趣味が多いわよね?」

「えっと…お菓子作りとかかな?」

絵里「そうよ。そう言うの」

「お母さんの影響かな?」

絵里「そうなのね?理事長の影響なのね。それは初耳だわ」

「うん。だから私も小さい頃からお母さんと一緒にお菓子を作ったりお人形さんを作ったり」

絵里「へ、へえ~」

「だから今でもお人形は部屋にいっぱいあるんだけど」

絵里「そうなの」

「小さい頃にお気に入りのお人形があってね」

絵里「お気に入りの?」

「うん。本当に小ちゃい時」

絵里「本当に好きだったのね」

「うん。どこに行くにも一緒だったなぁ。小さい女の子のお人形だったんだけどね。一緒におままごとしたり…寝る時も一緒だったしね。出かける時にお母さんに置いていきなさいって言われてもわがまま言って連れて行ったし」

絵里「そのお人形も幸せだったんじゃないかしら?いえ、きっとそうだわ。ねえ、ことり?」

「それはないかな…」

絵里「え?」

「子供って残酷だよね?」

絵里「な、何?」

「あれだけいっしょに居たのに…あれだけ好きだったのに…ある日、急に忘れたみたいに」

絵里「な、何の話なの?」

「私の場合は新しいお人形だったの。新しいお人形を買ってもらって。それだって成長すると」

絵里「そ、それは仕方ないわよ。そう言うものよ?大人になるって?」

「寝静まった後にどこからか聞こえて来るんだ」

絵里「何が?」

「女の子のすすり泣きが」

絵里「ええ?」

「悲しい泣き声が…どうして私を捨てたのって?」

絵里「ことり?」

「あの日からもうずっと」

絵里「や、やめて」

「毎日、毎日」

絵里「ねえ」

「許してって言っても」

絵里「お願い。やめて」

「やめない。どうして捨てたの?」

絵里「ち、違うの」

「違くない。許さない…絶対に」

絵里「ご、ごめ」















「許してあげない」

絵里「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「なんてね。全部作り話なんだけど…絵里ちゃん?」

絵里「あ…あっ…ご…ごめんなさい」

「え、絵里ちゃん?や、やりすぎちゃったかな?」

絵里「ゆ、許して。グスッ。お願い…もう許して」

ガチャ

絵里「ヒッ」

パチン

穂乃果「いやぁ、ことりちゃん迫真の演技だったねぇ」

ことり「ちょっとやり過ぎちゃったかも」

花陽「絵里ちゃん…だいじょうぶ?」

絵里「だ…大丈夫…」

海未「絵里…すいません。まさかあそこまで怖がるとは」

にこ「いや、知ってたでしょ?」

希「これで7人全部終わりよ?」

絵里「そうなの?」

凛「凛は希ちゃんのお話も聞きたかったにゃ~」

穂乃果「穂乃果も聞きたかった」

希「ウチのは怖すぎてえりちも真姫ちゃんも泣いてしまうから」

真姫「なんで私もなのよ」

にこ「裏で聞いてて怖がってたじゃない」

真姫「それはにこちゃんでしょ」

凛「どっちも怖がってたにゃ」

絵里「え?希話さなかったの?」

希「うん。ウチは話してないよ?」

絵里「あ、あれ?そうだっかしら?」

希「暗かったからわからんかったんやね。凛ちゃんと穂乃果ちゃん以外は」

凛「え?」

絵里「………そう」

希「まあ、今回はこれで終わりって事でまたよろしくね」

絵里「絶対に嫌よ」

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