【艦これ】暁「気に入らないわ」潮「……」 (55)
暁「ちょっと!」
潮「え、えっと、私でしょうか……?」
暁「そうよ、他に誰がいるの?」
潮「だよ、……ですよね。それでその、私がなにか……?」
暁「思うんだけど、あんたってレディじゃないわよね」
潮「はい……? えっと、まぁ、……そうですよね。私もそう思います」
暁「おっぱいが大きくても、中身はまだまだお子さまってところかしら?」
潮「……はい」
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暁「いや、はいじゃないんだけど」
潮「他にどう言えと……?」
暁「もうちょっと反応してよ。怒るとか」
潮「怒って欲しいんですか?」
暁「怒って欲しいっていうか、怒ってみて欲しいって感じ?」
潮「え?」
暁「ひくつであるのと、おくゆかしーのは別だって。レディたるもの、きぜんとしていたいと思わない?」
潮「それはそうですけど……、っていうか、難しい言葉を知っていますね」
暁「どれだけ学がないと思われてるのよ私は。他はどうだか知らないけど、これでもネームシップってことできちんとお勉強してるわよ」
潮「あ、そうなんですね」
暁「だからそんなことより」モミッ
潮「きゃっ!? な、なにするんですか!」
暁「このおっぱいよおっぱい。でっかいおっぱい」モミッ
潮「や、やめてください!」
暁「このおっぱいを見るにつけ、いやさ揉むにつけ、で、あんた本体を見るにつけ」モミモミ
潮「……あの、本体って言い方やめてください……」
暁「私は思うの。『女はからだじゃない』」
潮「はぁ……?」
暁「……」モミモミ
潮「いやあの、もうそろそろ放して……」
暁「はっ。 ……なるほど、これが魔性……」
潮「……それで、その心はなんですか?」
暁「おっきいおっぱい」
潮「は?」
暁「間違えたわ。……それにしてもおっぱいって言いやすいわね。……うーん、パ行には人を魅了するなにかがあるのかしら。いやいや、ひょっとしたらおっぱいの語感そのものが……」
潮「……その心は?」
暁「おっと、この暁様ともあろう者がつい我を忘れてしまったわ。ついつい口に出して言いたくなるのよねおっぱいって」
潮「その心は!?」
暁「あーもううるさいわね。おっぱいで良いわよ。そんなには外れてないから」
潮「……えぇぇ……」
暁「あんたには立派なおっきなおっぱいが、……ねぇ、『立派なおっきなおっぱい』って口に出して言ってみて? 日本語って美しいなって思うから」
潮「あの、暁ちゃん、……私のこと馬鹿だと思ってる?」
暁「あ、でもお子さまだと思ってるとは最初に言ったかしら」
潮「……そうでしたね」
暁「確かに、レディのテンプレートにスタイルの良さはあるかもしれないけれど、あんたはレディじゃない。……たとえ見事なおっぱいがあっても、ね」フッ
潮「ニヒルに笑ってますけど、格好付きませんね……」
暁「私もね、私自身のこのぺたんこ体型について悩んだりもしたわ。けど、あんたとあんたのおっぱいを見比べる度にこう思うわけ。『なるほど、人は見かけじゃないんだな』」
潮「いやあの、その言い方だと私の中身に問題あるように聞こえるんですが……」
暁「そんなこと言ってないじゃない」
潮「そう、ですか? いや、そうかも知れませんが……」
暁「あんたとあんたのおっぱいにはいくら感謝しても足りないくらいだわ」
潮「仮にそれが本当だとしても。……全然印象は良くなりませんね……」
暁「それは私がちっさいおっぱいだから?」
潮「いやいや、そうじゃなくてですね……」
暁「ほほー。じゃああれだ。あんたはレディじゃないって言われることに実は異論があるわけだ。ちっさいおっぱいがおっきいおっぱいに意見するなと、そう仰りたいわけね?」
潮「あらぬ誤解です……」
暁「じゃあなによ」
潮「それは、その……、なんでもないです……」
暁「……あのさあ。電でももうちょっと自身持って話すわよ? あんたのそういうとこ、イライラするんだけど」
潮「えぇぇ……、そんなこと言われても……」
暁「そうだ! この際、潮も少しはレディたるを目指してみたらどうかしら」
潮「レディを目指す、ですか?」
暁「うん」
潮「うーん、……レディかぁ……」
暁「なに?」
潮「いえその、ピンとこなくて。……暁さんはその、レディ? なんですよね? 大人の? でしたっけ?」
暁「そうよ。そうだけど、一文の中に三つも四つもクエスチョンを入れないで」
潮「ご、ごめんなさい」
暁「……そのごめんなさいがなんのごめんなさいかは気にしないとして、その質問自体は色んな人から死ぬほどされたからもう慣れっ子なのよね。で、私がレディだからなに?」
潮「えっと、暁さんはどんなレディを目指そうとしてそんな風になっちゃったんですか?」
暁「なぜそんな棘のある言い方を?」
潮「え? あ、……つい……」
暁「今、ついって言った?」
潮「じゃなくって!! ええと、えっと……」
暁「まぁ良いわ。その質問とセットでニヤニヤしないだけあんたはまだマシだもの。暁様はレディだから、これくらいのことは許してあげられる懐の広さを持っているわ」
潮「あ、あはは……」
暁「……今、おっぱいは小さいくせにって思った?」
潮「え、ええ!? 思ってないですよ!」
暁「そう、それならいいけど、もし思ってたら暁パンチをお見舞いしてたところだからね」
潮「……器が小さい……」
暁「ああ、質問に答えておくと、別に私は具体的な誰かを目標にしたわけじゃないわよ? 既にしてレディ、それが私」
潮「あぁ、だからか……」
暁「あん?」
潮「わ、私には確たるレディ像があるわけではないので!! 参考にと思ったんです!!」
暁「むっ、なるほど、いい心がけ……、いや待って、そこは私のことを参考にしなさいよ!! 私じゃ不満だっての!?」
潮「ひっ、い、いえその! 暁さんはえっと、……そう! 私にはハードルが高いんです! 本当です! 信じてください!」
暁「いや、あんたの言葉に悪意がないのは信じるけども……」
潮「うぅ……」
暁「でもそうね、確かにレディって言ってもいろいろあると思う。だからまぁ、あんたに私みたいになれって言ってもそれはそれで無理があったかも?」
潮「そうです。私ごときが暁さんになろうだなんて烏滸がましいです」
暁「そ、そこまでのことは言ってないし言わなくていいし思ってないし思わなくてもいいわよ……?」
潮「そんなことないです。私なんて穴の空いた雑巾みたいなものです。だからレディとまでは言いません。せめて人間並みになるためにはどうすればいいでしょうか」
暁「弁解に説得力を持たせようとしてどんどん卑屈になってる……。いやいや、わかるけども、もうちょっと自分を大切にしてもいいんじゃ……」
潮「……」
暁「うわぁ、目が死んでる。……ていうか、私達が人間になりたいっていうと、それはそれで別の重いテーマがあるような気がするんだけど、まぁそれは置いといて。ロールモデルを定めるって言うのは結構いい考えだと思うのよねー」
潮「ロールモデル」
暁「目標にすべきなりたい自分のその姿。レディと言えばクールで孤高で、なによりかっこよくて……」
潮「なんだかふわっとしてますね」
暁「うーん、だって具体的にこれができてればレディっていう基準があるわけじゃないでしょ?」
潮「それは、確かにそうですね。その通りです」
暁「……あんまりガッチガチにイメージを固めすぎると、ふと自分はどうだって振り返った時に死にたくなるからこれでいいのよ。私はレディなんだから、私が基準でいいの」
潮「へ、へぇー。……人それぞれ、いろんな悩みがあるんだなぁ……」
暁「そうよ。……だれがなんと言おうと私はレディなの。少なくとも妹よりはお姉ちゃんだから……」
潮「……えっと、クールで孤高って言うと、加賀さんとかになるんでしょうか?」
暁「確かに条件は満たすけど、あんた加賀さんみたいになりたいの?」
潮「え? うーん……」
暁「あ、口ごもった。言いつけちゃおっと」
潮「なりたい! なりたいです!」
暁「そうなんだ。私は嫌だけど」
潮「……」
暁「それじゃあ、やってみて」
潮「え?」
暁「だからー、加賀さんをロールモデルになにかそれっぽいこと!」
潮「えぇ……。加賀さんらしいこと、えっと、……あまり難しいことを言わないでちょうだい。……こんな感じでしょうか?」
暁「いいと思う。ぽいぽい」
潮「なるほど、上々ね」
暁「おお、やればできるじゃない!」
潮「あまり褒めないでいただけるかしら」
暁「いいわねいいわね! 瑞鶴さんでもそこまでうまくはできないわよ!」
潮「五航戦の子たちと一緒にしないで」
暁「えくせれんっ!」
潮「やりました。……いやあの、これってただのモノマネなのでは……? ロールモデルにするって、こういうことでしたっけ」
暁「まぁそれ抜きにしても、レディって言うよりはただの不機嫌な人だったわね」
潮「……やらせておいて……」
今日はここまで
暁「うーん。よく考えたら、一人からいくつもの要素を取っちゃったら、モノマネになるのは当然のことよね。いいとこ取りしなきゃ!」
潮「まだやるんですか?」
暁「当然! ガンガン行くわよ! ついてらっしゃい!」
潮「い、いやそれ、暁ちゃんのセリフじゃないですよね? ……あの、モノマネ大会の方を続けるなら私、他に用事があるんですけど……」
暁「なんでよ! まだレディになれてないじゃ……、チラチラ時計見ないで!」
潮「え、だって……」
暁「わかった。ハードル下げる。だから私と一緒にいる時に早く帰ろうとしないで」
潮「……はい」
暁「でもそうねぇ、空母でダメなら、重巡辺りかしら?」
潮「もう一声行きましょう。駆逐艦とかオススメです。私に」
暁「ぐ、グイグイ来るわね……。でも、駆逐艦にレディとかいたかしら?」
潮「身近な方で言うと、響さんなんてどうでしょうか。ミステリアスというのも、レディの要素なのでは?」
暁「えー? いやいや、いやいやいやいや、わかってないなぁ」
潮「なんでちょっと嬉しそうなんですか……?」
暁「あの子なんてまだまだお子さまよ! ミステリアス? ないない! せいぜい不思議ちゃんね!」
潮「ふ、不思議ちゃん? ……いやまぁそういう言い方だと確かにレディ要素は欠片もありませんけど……」
暁「あいつがレディなら私はマダムよ」
潮「マダム!? 既婚者なんですか!?」
暁「やーね、物のたとえじゃない。序列で言うと、よ」
潮「そりゃそうですけど、その格付けはどうなんだろう、マダムって……。」
暁「『母は強し』って言うじゃない?」
潮「それ絶対違うと思うんですけど、使い方それでいいんですか?」
暁「わからないけど、なんか強そうだし」
潮「強弱の問題なんだ……。では、雷さんとかかなり強い部類じゃないでしょうか。母親って感じしますよね」
暁「いや、だからマダムは物のたとえだって。マダムに引っ張られすぎよ」
潮「そ、そうでした。……あんまりにもインパクトの強い言葉だったので、つい」
暁「あんたのツボがよくわからない。……というか、母親とマダムって意味合いとしては同じなのかしら。字面から受ける印象の差に慄くんだけど」
潮「あ、マダムトーク続けるん、……マダムトーク……?」
暁「それをそのまま日本語で言うと井戸端会議? ……日本語にするとなんてことない言葉なのに、マダムの語感が強すぎるわね……」
潮「そうですね……」
暁「あんたじゃないけど、私にマダムはまだ早かったみたいだわ。身の程を思い知った気持ちよ」
潮「母親といえば」
暁「え、まだ続けるの?」
潮「ええと、この際ですし……」
暁「まぁ、いいけど」
潮「母親といえば、最近は霞さんがそんなふうに言われてるって、漣ちゃんがすごいいい笑顔で言ってました。バブみがどうとか」
暁「バブみって?」
潮「さぁ……」
暁「うん、……百歩譲って雷はまだマダムでもいいかもだけど、霞にマダム感ゼロね」
潮「ですよね」
暁「なんでかしら、母親感が強いのは間違いないんだけど、……あいつの場合、その母親感にジャイアンのママがチラつくのよね……」
潮「え、ええと……?」
暁「いやだってほら、ドラえもんには『俺、かーちゃんの奴隷じゃないよぅ』『そんなのは奴隷みたいに働いてから言いな!』ってやり取りがあるんだけど」
潮「恐ろしいくらい似合いますね……」
暁「駆逐艦でゴキブリとか素手でやっつけそうなイメージがあるのはあいつくらいじゃない?」
潮「え、ええ……? さすがにそこまでのイメージは持ってませんけど……。潔癖そうですし」
暁「少なくとも、似たような子で言うとあんたんとこのサイドポニーのほうがまだ女の子って感じはあるわ」
潮「あー……、曙ちゃんは間違いなく悲鳴を上げますね……」
暁「ま、ゴキブリくらい、私も平気だけどね」
潮「レディだから?」
暁「…………まぁ、そうかも」
潮「私は無理です」
暁「ごめん、私もやっぱ無理」
潮「ですよね」
暁「はぁ、結局、『母は強し』ってことなのかしらね。完敗だわ」
潮「これ、霞ちゃんが聞いたら怒るだろうなぁ……」
ここまで
暁「はぁーあ。……なんだか頭がこんがらがってきたわ。そもそもレディってなによ」
潮「え、えぇ!!? 今更そんな根本的な問いを投げかけられても……、少なくとも暁ちゃんはレディってことで結論が出たはずでは?」
暁「哲学するレディなのよ」
潮「う、ううん?……それって普通の人なんじゃ……」
暁「もともとは貴族の夫人ってことらしいんだけど。今日びその意味で使ってる人って少数派じゃない?」
潮「そうですね。どちらかと言えば独身女性のイメージがあります」
暁「それもクールで孤高でかっこいい女性ね」
潮「……まぁそれはこの際置いておいて、暁ちゃんはよく一人前のレディを自称していますげど」
暁「自称?」
潮「一人前のレディですけど!! ……それはつまり自立した女性ということなのでしょうか?」
暁「まぁ、そうなるわね」
潮「自立、……自立ですか……」
暁「なにかしら?」
潮「え、あ、いやこれは私の話になるんですけど! そういうニュアンスで捉えたとして、つまり暁ちゃんは私に自立しろと言いたいわけです」
暁「はー、そうだったんだ」
潮「……」
暁「で、それがどうかした?」
潮「……そういうふうに考えると、なんだか方向性が見えてきたような気がします」
暁「まぁ、そうね。……自立かぁ」
潮「あ、暁ちゃんもなにかありますか?」
暁「これって言うのがあるわけじゃないわ。でも、自立っていうと、結局のところどういう人間になりたいかってことになるわよね」
潮「そうですね。そうなると思います」
暁「ふーん? じゃあ潮はなにか大人になったらやりたいことはあるの?」
潮「え? ……それは、その……」モジモジ
暁「なになに?」
潮「お、お嫁さんになりたいかな。……って、思います///」
暁「私の?」
潮「違います」
暁「うわ、真顔で否定された。じゃあ誰と結婚したい? やっぱり司令官とか?」
潮「いえ、まだはっきり誰とっていうのはないですが、こう、憧れませんか?」
暁「まぁ、女の子の夢って感じよね。ワンチャン私と」
潮「ないです」
暁「ケチ」
潮「……どうして私と結婚したいんですか?」
暁「おっぱい」
潮「またそれ……」
暁「なにかしらね、嫉妬ってわけじゃないんだけど」
潮「ないんだけど?」
暁「純粋に揉みたい」
潮「レディとしてそれはいいんですか……?」
暁「一皮剥けたレディはおっさんになるのよ」
潮「なりませんよ!」
暁「いいじゃないちょっとくらい。減るもんじゃあるまいし。減ったってどうせまた生えてくるでしょ?」
潮「人の胸を乳歯みたいに言わないでください!」
暁「乳だけに?」
潮「違います!」
暁「ちちがいます?」
潮「そう、……え?」
暁「あれ? 上についてるのは、えっと、屋根の上に投げるんだっけ」
潮「いや、上の歯は地面に、……乳歯の話ですよね?」
暁「……私のも地面に埋めたら、大きくなるかしらね……」
潮「乳歯の話ですよね!?」
暁「あ、これがいわゆる「穴があったら入りたい」かぁ。……あ、そうそう知ってる? ラクダのコブっておいしいらしいわよ」
潮「何故今そんな話を……?」
暁「ふぅ、なんだか疲れちゃったわ」
潮「そりゃまぁ、これだけ言いたい放題言っていればそうでしょうね……」
暁「喉が渇いたわ」
潮「……その台詞とともにこっちを見ないで……」
暁「じゃあまぁそろそろ、私は持ち場に戻るわね」
潮「……はい」
暁「がんばってマダムになりなさいよ? さしあたっては雷たちにも応援するよう言っとくから」
潮「はい。……あ、え? ちょっ」
暁「じゃーねー」
潮「ちが! お嫁さんです!! マダムじゃなくてお嫁さんになりた……!!」
その後しばらくの間、『マダム・ウシオ』という呼称が流行ったとかそうでないとかそんな感じでオチ、……おチチ。
終わり終わり
終わりってか無理矢理にでも終わらせないと終わんない
こういう雑談みたいなふわっふわした話が書きたかっただけだから潮×暁とかそういうのは考えてなかった。
このSSまとめへのコメント
暁に魅力が無さすぎる
この暁自称進学校にいそう