【ゆるゆり】京子「TRPGをやろう」 (175)

注:作者はTRPGについて漠然とした知識しかありません
なので、ツッコミ所だらけだと思いますが、どうかご容赦のほどを・・・
コンマを自分で取る形で、ゆっくりやって行きます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1487505285


(ごらく部)


京子「今日は、ちょっとやってみたい事がある」

あかり「なに?京子ちゃん」

結衣「やりたい事?」

ちなつ「何ですか?」



京子「みんなは、TRPGっていうのを知ってる?」

あかり「TRPG?」

ちなつ「何ですかそれ」

結衣「あー、何か聞いた事あるぞ」



結衣「確か、サイコロとか振って行動するゲームだよな?」

京子「お、結衣知ってるじゃん」

あかり「すごろくみたいな感じ?」

ちなつ「あー、私も何か聞いた事ありますそれ」



京子「この前、そういうゲームがあるって知ってさ」

京子「ちょっと私もやってみたくなってさ」

京子「シナリオ考えてきたからみんなでやろう!」

結衣「またずい分と急だな」

ちなつ「私、そんなのやった事ありませんよ?」

あかり「道具とか必要ないの?」



京子「道具は、サイコロとエンピツとメモ用紙のみ!」

結衣「本当にそんなんで出来るのか?」

ちなつ「まったく、思いつきをすぐ実行に移すんですから」

あかり「どうやって遊ぶの?」



京子「自分のやりたいキャラクターを決めてさ」

京子「それになり切って遊ぶんだよ」

結衣「ざっくりした説明だなぁ」

ちなつ「何でもいいんですか?」

あかり「じゃあ、あかりお花屋さんやってみたい」



京子「もちろん、何だっていいよ」

京子「なりたい物になり切って遊ぶのが楽しいんだしさ」

ちなつ「へぇー、じゃあ私、アイドルやってみたいです!」

結衣「ちなみに、シナリオってどんな感じ?」



京子「うん?凶悪な魔物や怪物が徘徊する、剣と魔法の世界・・・」

京子「ナ・ナーモリを舞台にした、壮大なアドベンチャー!」

結衣「花屋とアイドルが生きのびられるのかそれ!?」



ちなつ「やっぱり、アイドルはだめですか?」

あかり「お花屋さんも?」

京子「なーに、何とかなるんじゃないの、多分」

結衣「本当に適当だなお前は」



京子「ささ、結衣もやりたいキャラ決めて」

結衣「やりたいキャラと言われてもなぁ・・・」

結衣「やっぱり、やるとしたらRPGの王道の戦士かな」

京子「あーあ、結衣は面白みがないねぇ」

結衣「うるさいな」



京子「じゃあ、みんなキャラの特徴をざっくり決めよう」

京子「名前とか持ってるものとかさ」

ちなつ「アイドルだと、やっぱりお化粧道具とかかな」

あかり「お花屋さんは、ジョーロとか持ってそうだね」

結衣「えーと、やっぱり戦士だから剣と盾と・・・」



京子「・・・結衣。戦士だから剣っていうのはちょっとなぁ」

結衣「え?何でだよ?」



京子「いい?そもそも、剣っていうのは切れ味はいいけど」

京子「すぐ刃こぼれしたり折れたりする、けっこうデリケートな武器なんだよ?」

結衣「そ、そうなんだ」



京子「結衣たちは怪物のうろつく世界を旅するわけなんだから」

京子「もっと、頑丈であんまり手入れの必要ない武器を選ぶと思うんだよなぁ」

結衣「例えば?」

京子「例えば、トゲトゲのついた鉄球とかさ」

結衣「え、やだよそんなかっこ悪いの!」



京子「格好を気にしてちゃ、一人前の戦士とは言えない!」

結衣「何だっていいって言ったの京子じゃないか」

京子「あ、あとね」

結衣「何だ」



京子「戦士ってのは体鍛えまくるわけじゃん」

結衣「そうだろな」

京子「だから、それっぽい雰囲気出すために」

結衣「ために?」

京子「結衣は、ゲームの間は語尾にゴンスってつけること!」

結衣「誰がつけるか!」



京子「えー?いいじゃんかさーそれくらいー」

結衣「お前がやるんならやる」

ちなつ「京子センパイ、こんなもんでいいですか?」

あかり「あ、あかりも出来たよぉ」



京子「うんうん、ちなつちゃんはアイドルで名前はチーナ、と」

京子「持ってるものはお化粧道具にのど飴にサングラス」

京子「んであかりは花屋で、名前はアカリンね」

京子「持ってるものはジョーロにはさみにエプロン、花の種か」

ちなつ「こんな物しか思いつきませんでしたけど」

あかり「お花屋さんだからこんな感じかな?」



京子「結衣は戦士で、名前はユイね。まんまだな」

結衣「別にいいだろ」

京子「えーと、持ってる物はトゲ鉄球に盾ね」

結衣「お前が決めるのか」



京子「さて、それじゃ能力値を決めよう」

京子「力とか素早さとかね」

京子「一応、私が目安で作るけど要望があれば変えるから」

結衣「わかった」

ちなつ「了解でーす」

あかり「はーい」



京子「まず、戦士ユイの能力値!」

力・・・60

体力・・・70

素早さ・・・60

賢さ・・・10


京子「50が平均値ね」

結衣「賢さがずい分低いな」

京子「その分他に回したからねー」



京子「続いて、アイドルチーナの能力値!」

力・・・40

体力・・・60

素早さ・・・70

賢さ・・・30


ちなつ「あ、素早い代わりに賢さが犠牲になるんですね」

京子「けっこうバランスは取れてると思うよー」



京子「続いて、花屋アカリンの能力値!」

力・・・30

体力・・・50

素早さ・・・50

賢さ・・・70


あかり「アカリンは賢さが高いんだね」

京子「花とか植物の知識があるって感じ」



京子「体力はHPね」

京子「みんな、変更したい所とかない?」

結衣「うん、いいよこれで」

ちなつ「私もこれでいいです」

あかり「あかりもいいよ」



京子「ほんじゃ、みんな一人ずつサイコロ振って」

京子「この100面ダイスね」

結衣「へぇー、こんなサイコロってあるんだ」

ちなつ「何だかゴルフボールみたいですね?」

あかり「初めて見たよぉ」



京子「転がり過ぎないように、そっとやってねー」

京子「結衣から順番にね」

結衣「よーし」



結衣「よっと」



ちなつ「はいっ」



あかり「えいっ」



(それぞれコンマ以下42、30、24)


京子「んじゃ結衣が42、ちなつちゃんが30、あかりが24ね」

京子「これが、それぞれの幸運値だから書いておいてねー」

あかり「幸運値?」

京子「色んな場面で使うかも知れないし、そうじゃないかも知れない」

結衣「そこを決めてないのかよ」



京子「平均値が49だとすると」

京子「みんな、平均よりややツイてないパーティという事になるね」

結衣「何か微妙な感じだな」

ちなつ「妙にリアルといか何というか・・・」

あかり「こういう所がなもクエと違うんだね」



京子「そんじゃ、もう1回それぞれサイコロ振って」

結衣「あ?ああ」

ちなつ「また振るんですか?」

あかり「今度は何だろ?」



結衣「ほっ」

コロコロ・・・



ちなつ「それっ」

コロコロ・・・



あかり「えいっ」

コロコロ・・・


(それぞれコンマ28、43、93)


京子「結衣が28、ちなつちゃんが43、あかりが93か」

あかり「これは何なの?」

京子「ん?それぞれが持ってる武器の攻撃力」

結衣「え?そうなると・・・」



結衣「あかりの持ってる武器、私のトゲ鉄球より強いの!?」

京子「あ、あかりの武器はハサミね」

あかり「もの凄いハサミだよ!?」



ちなつ「あの私、武器になるようなもの何もないんですけど」

京子「うーんと、ちなつちゃんはアイドルだから・・・」

京子「アクションとかやる過程で格闘技を学んだ事があって」

京子「だからハイキックが放てるって事にしよう」

結衣「トゲ鉄球より強いケリとかどんなんだよ?」



京子「仕方ないじゃん。結衣の鉄球が弱すぎるんだってば」

結衣「もしかして、私戦士なのに一番攻撃力低いんじゃないか?」

京子「力と合計するとちなつちゃんより5くらい高いよ?」

京子「あかりがダントツだけどさ」

結衣「花屋に負けるのか・・・」



京子「あと、あかりは90以上引いたから折角だし武器に名前をつけよう」

あかり「名前?」

京子「そう。あかりの持っているハサミは、伝説の名工が鍛えたハサミ・・・」

京子「その名も、ハサムネ!」

あかり「わぁ、かっこいい!」

結衣「どこがだ」


京子「というわけで、最終的にはこう!」


戦士ユイ

力・・・60

体力・・・70

素早さ・・・60

賢さ・・・10

幸運値・・・42

武器:トゲ付き鉄球(攻撃力28)

持ち物:盾


アイドルチーナ

力・・・40

体力・・・60

素早さ・・・70

賢さ・・・30

幸運値・・・30

武器:ハイキック(攻撃力43)

持ち物:化粧道具、のど飴、サングラス


花屋アカリン

力・・・30

体力・・・50

素早さ・・・40

賢さ・・・70

幸運値・・・24

武器:伝説のハサミ、ハサムネ(攻撃力93)

持ち物:ジョーロ エプロン 花の種

あかりに花屋って何か似合いますからねー



京子「さて、それじゃキャラも決まったし」

京子「早速、ゲーム開始!」

結衣「グダグダになる予感しかしないな」

ちなつ「まぁ、たまにはいいじゃありませんか」

あかり「あかりはちょっと楽しみ」



京子「・・・ここは、とある剣と魔法とダイスが全てを決める世界ナ・ナーモリ」

結衣「メタいなおい」

京子「みんなは、駆け出しの冒険者」

京子「みんなは何かいい仕事が舞い込まないか、いつもの酒場でダベっていた」



京子「ここは様々な人や情報が行き交う酒場なのだった」


結衣「私はともかく、アイドルと花屋は何をしてるんだろうな」

ちなつ「新人アイドルの修行の一環かも知れませんね」

あかり「あかりはきっと珍しい花を探そうとしてるんだよ」



京子「そこへ、ある一人の男が現れた」

京子「男は、みんなに頼みたい仕事があるようだ」


結衣「お?早速来たな」

ちなつ「最初ですから、お使いとかですかね」

あかり「どんなお仕事?」



京子「男が言うには、近くの西の森にスライムが大量発生して困っている」

京子「どうか、退治してくださいという事だった」

京子「退治してくれたら、一人に100ゴールドずつ出そうと男は言った」


結衣「最初の仕事はスライム退治か」

ちなつ「何だかそれっぽいですね」

あかり「うう、スライムさんごめんねぇ」



京子「どう?ユイたちはこの仕事を受ける?」

結衣「うん、とりあえず簡単そうだし」

ちなつ「そうですね。腕試しには丁度いいかも」

あかり「二人が受けるならあかりも受けるよぉ」



京子「何か、この男に聞いておく事とかない?」

結衣「ん?えーっと、そうだな・・・」

ちなつ「そうだ、ちなみにスライムってどのくらいの強さなんですか?」



京子「スライムは弱い!みんななら一撃で倒せると思う」

結衣「なら楽勝だな」

ちなつ「これじゃ、多分すぐにクリアできちゃいますね」

あかり「何匹ぐらいいるの?」



京子「それは実際に行かないとわからない」

京子「けど、全部退治しなくてもある程度が減ったらいいそうだ」

結衣「何だ、じゃあキリのいい所で引き上げてもいいって事だな」

ちなつ「そうですねー。サクサクっと片付けちゃいましょ」

あかり「じゃあ、早速出発しようよ」



京子「じゃ、みんな揃って町から出て、少し離れた西の森に向かった」


結衣「やっぱり、最初だから簡単な内容なんだな」

ちなつ「私たち駆け出しですからね」

あかり「あかり達にも出来そうなお仕事でよかった」



京子「ところが、その途中・・・」

結衣「ん?何だ?」



京子「モンスターに遭遇した!」

京子「スライムが1匹現れた!」


結衣「おお?西の森にまだ着いてないのに」

ちなつ「きっと、ここまで何匹か溢れてきてるんじゃないですか?」

あかり「み、みんなどうする?」



京子「さー、どうする?戦う?」

結衣「よーっし、じゃ腕試しと行こうか。戦おう」

ちなつ「私も戦います」

あかり「じゃ、じゃああかりも戦うよ」



京子「それじゃあ、戦闘開始!」

結衣「どうやって戦うの?」

京子「まず、素早い順に行動を起こす。スライムの素早さは20!」

京子「だから、みんなはスライムより素早く動ける。そんで・・・」

京子「チーナが素早さ70だから、チーナが一番最初に行動できる」

ちなつ「私からですか?」



京子「そう。そんで、攻撃する場合はサイコロを振って・・・」

京子「自分の素早さ引く相手の素早さ、引く50の目より大きい数が出たら命中!」

ちなつ「えーと、どういう事ですか?」



京子「チーナの素早さが70で、スライムが20だから引いて50」

京子「それを50から引くと0」

京子「つまり、サイコロ振って0以外なら命中。外すことはほぼないって事」

ちなつ「えっ、チーナ凄いじゃないですか」



京子「ちなみに、これがあかりだと50ー20で30、それを50から引くと」

京子「20になる。サイコロで20以上が出れば命中」

京子「つまり、素早さの差の関係で約20パーセントは攻撃を外すってこと」

結衣「まぁ、要するに素早さに差があるほど命中しやすいって事か?」



京子「そう。素早さが同等ならお互い命中率は50パーセントが基本で」

京子「そこから素早さに差が出れば出るほど命中しやすいって考え」

京子「まぁ、私が目標値言うから難しく考えなくていいよ」

ちなつ「りょーかいです」



京子「ちなみに、10以下の目が出たら問答無用で攻撃を外した事になる」

京子「あと、90以上なら会心の一撃でダメージ2倍ね」

ちなつ「わかりました。じゃあ、会心の一撃を狙って・・・」



ちなつ「それっ!」

コロコロ・・・


(コンマ31)


京子「えーと、31だから命中!」

京子「チーナの力と攻撃力は足して83だから・・・」

京子「見事、一撃でスライムを葬り去った!」

ちなつ「やったぁ!」



京子「チーナのキックが炸裂すると、スライムはゴムマリのように・・・」

京子「はるか彼方へとはじけ飛んで行ったのでした」

ちなつ「へーん、どんなもんですか!」

あかり「ちなつちゃん、すごい!」

結衣「素早くて私とほぼ同じ強さとか、私の出番はあるのか?」



京子「さて、そんなこんなで森についた一行」

京子「中に踏み入ると、森のあちらこちらからスライムがガサゴソいう音が聞こえる」


結衣「な、何だか結構居るっぽいな」

ちなつ「でも、スライムなら楽勝ですよ」

あかり「ど、どのくらい居そうなの・・・?」



京子「えーとそうだな・・・サイコロで決めよう」コロコロ

結衣「え?」

ちなつ「サイコロで?」


(コンマ58)


京子「58か。じゃあ、58匹のスライムが・・・」

結衣「ちょ、ちょっと多すぎないか?」

ちなつ「1匹1匹倒してたんじゃ日が暮れちゃいますよ?」

あかり「他に何とかする方法はないの・・・?」



京子「ある程度数が減ればいいから、全部倒さなくていいよ」

結衣「まぁ、半分倒すとして・・・30匹くらい?」

あかり「ちなみに、一度に何匹とまで戦えるの?」

京子「うーん、なら最高10匹まとめて戦えることにする」

結衣「10匹まとめてか・・・」



結衣「・・・まぁ、引き受けちゃったモンはしょうがないか」

ちなつ「ええ、そうですね」

あかり「あかり、頑張るよ!」

京子「じゃあスライム10匹と戦う?」



結衣「おう!よーしみんな、頑張るぞ!」

ちなつ「おー!」

あかり「おー!」

京子「じゃあ、戦闘開始!」



京子「ユイ達はスライムの群れの中に飛び込んだ!」

京子「スライムA、B、C、D、E,F、G、H、I、Jが現れた!」

京子「あ、特に指定なければみんなAから順に攻撃するからね」

結衣「わかった」

京子「じゃあ、一番素早いちなつちゃんからサイコロ振って!」

ちなつ「はい、行きますよ」



ちなつ「えいっ!」

コロコロ・・・


(コンマ63)


京子「63で、命中!」

京子「チーナはスライムAを倒した!」

ちなつ「やりましたよ!まずは、1匹!」

結衣「よーし、ちなつちゃんに負けてられないぞ」



京子「それじゃあ、次は結衣の番!」

京子「10以上出せば命中ね」

結衣「わかった」



結衣「ほっ」

コロコロ・・・


(コンマ45)


京子「45で、命中!」

京子「ユイは、スライムBを倒した!」

結衣「ふふーん、楽勝!」

あかり「よぉーし、次はあかりの番だよ!」



京子「あかりは、20以上で命中ねー」

あかり「どうか、外しませんように・・・」



あかり「はいっ!」

コロコロ・・・



京子「はい、命中でスライムに123のダメージ!」

京子「スライムCはあかりの伝説のハサミ、ハサムネでズタズタに切り裂かれた!」

あかり「な、何であかりだけそんな描写がえぐいの!?」

ちなつ「いいじゃない、倒したんだから」

結衣「これは10匹と言えども楽勝だな」



京子「まだまだ、それじゃあスライムDの反撃!」

京子「ターゲットはあかりね」

あかり「ええっ!?」

結衣「攻撃当てやすそうだからな」

ちなつ「ズルいですね京子センパイ」



京子「じゃあ、1度狙われた人は連続では狙われないって事で」

あかり「それなら助かるよぉ」

結衣「まぁ、そういうのは必要だよな」

京子「ちなみに、私があかりに攻撃当てるには・・・」

京子「80以上出さなきゃ当たらないからね」

ちなつ「まぁ、まず当たらないって所でしょうね」



京子「さぁ来いっ、会心の一撃!」

コロコロ・・・



京子「・・・ちぇー。スライムDの攻撃は外れました」

あかり「良かったよぉ」

結衣「あからさまにガッカリしてるな」

ちなつ「さすがにスライムと私たちなら能力差が歴然としてますね」



京子「そしてさらに、スライムEが攻撃・・・」

京子「するかと思いきや」

結衣「ん?」



京子「スライム達はみんな、その場から一斉に逃げ出したのでしたー」

結衣「京子からの攻撃当たらなそうだから、手仕舞いにしたな・・・」

ちなつ「ほんとズルいですね」

あかり「え、でもスライムさん達が居なくなったって事は・・・」



あかり「この仕事、これでお終い・・・?」

ちなつ「あ、そうだね。退治はしてないけどスライムは居なくなったし」

結衣「まぁ、何か一時しのぎっぽいけどね」

京子「・・・みんなが安心した、その時」



京子「森の奥から、ズシーン、ズシーンと大きな足音が・・・」

結衣「な、何だ何だ?」

ちなつ「え?スライムも居なくなったし、終わりじゃないんですか?」

あかり「な、何が来るの・・・?」



京子「はるか頭上の枝の間から、ぬっと顔を出したそれは!」

京子「なんと、身の丈4メートルはありそうな大きなトロールだった!」


結衣「うえぇ!?身長4メートルのトロール!?」

ちなつ「が、学校の二階くらい身長がありますね!?」

あかり「ど、どうなるの!?」



結衣「確か、トロールってRPGだと冒険の中盤くらいに出る敵だよな?」

ちなつ「ええ、やたら力が強いって印象が・・・」

あかり「あ、あかり達食べられちゃうの?」

京子「結衣の言う通り。今のみんなはまず勝てないねー」



京子「一応、素早さは低めの想定だから攻撃は当たりづらいだろうけど」

京子「もし攻撃が当たったら、一撃で死ぬねー」

結衣「一撃かよ!?」

ちなつ「こ、これじゃあまともにやり合っちゃいけませんね」

あかり「あ、あかり達に向かって来てるの?」



京子「うんにゃ。トロールは屈み込むと・・・」

京子「逃げ送れた足元のスライムを何匹か捕まえて」

京子「ムシャムシャと食べ出した」


結衣「うえぇ・・・」

ちなつ「す、スライムって美味しいのかしら?」

あかり「想像がつかないよぉ」



京子「数がたくさん居て、あまり動きの素早くないスライムは・・・」

京子「他の大型モンスターの、恰好の栄養源なのでした」


結衣「この様子だと、まだ他にも何か居そうだな・・・?」

ちなつ「は、早く帰りましょうよ結衣センパイ」

あかり「ど、どうするの?結衣ちゃん」



京子「西の森で発生したスライムの異常発生は、普段は森の奥底に居るようなモンスターを」

京子「人里近くまで引き寄せていたのでした」


結衣「何だか、ただのスライム退治だと思ってたのに」

ちなつ「思わぬ事態になって来ましたね」

あかり「あかり達が何とかできそうにもないよお」



京子「そこで、ユイ達には3つの選択肢がある」

京子「ここで切り上げ、規定どおりの報酬を貰うか」

京子「何とかして、スライム異常発生の原因を探るか」

京子「あるいは、別の何かのアイディアを試すか」


結衣「・・・どうする?」

ちなつ「私は、とっとと帰りたいですね。命がいくつあっても足りませんよ」

あかり「あかりは・・・ちょっと原因を探ってみたいな」



結衣「ちょっと探って、ヤバそうだったら帰るとかできる?」

京子「まぁ、帰るタイミングは別にいつでもいいよ」

京子「ただし!森に深く入れば入るほど、帰り道も遠くなる」

結衣「というと?」



京子「具体的には、奥へ進むごとにダイスを振ってもらう」

京子「目の結果でモンスターに遭遇するかも知れないし、何もないかも知れない」

京子「そして、いきなり原因の手がかりが見つかるかも知れない」

京子「そうやって進んだ分だけ、帰る時にも同じくやってもらうって事」

ちなつ「奥に行けば行くほど、帰りもモンスターに会う危険が多くなるって事ですね」



結衣「どうする?ほんのちょっとだけ探ってみない?」

ちなつ「私はちょっと・・・。絶対さっきのトロールみたいなのが出て来ますよ」

あかり「あかりも、少しだけなら探ってみたいな」

ちなつ「絶対、何かスゴいのが出てきて全滅しますって」



結衣「うーん・・・。意見がまとまらないな」

ちなつ「私たち十分働きましたって。スライムもちゃんと何匹か退治しましたし」

ちなつ「初めてのお仕事にしては、上々だと思いますよ?」

京子「あ、ちなみに危険を冒して原因を突き止めても」

京子「別に、特別に何か報酬が増えるとかは、基本ないからね」

ちなつ「ほら。ムダに危ない目に合うだけですって」



結衣「・・・よし!じゃあ、折角だからここは行くか行かないか」

結衣「一つ、サイコロで決めない?」

あかり「え?」

ちなつ「サイコロで?」



結衣「うん。サイコロ振って、ゼロから49までの目だったらたら行く」

結衣「50から99の間だったら、帰る」

結衣「それでいいでしょ?」

ちなつ「・・・まぁ、それなら公平かも知れませんね」

あかり「わかったよぉ」



結衣「じゃあ、誰がサイコロ振る?」

ちなつ「あ、じゃあ私が振ります」

結衣「それじゃ、ちなつちゃんお願いね」

ちなつ「任してください」

ちなつ「さぁ、帰るんだからねサイコロちゃん・・・。50から99・・・。50から99・・・」



ちなつ「それっ」

コロコロ・・・


(コンマ82)


ちなつ「82!やったぁ、このまま帰るに決定ですね!」

結衣「ありゃあ、帰るに決まっちゃったか」

あかり「まぁ、仕方ないよね。ちなつちゃんの言う通り危なかったかも」

京子「みんな、いい?」



京子「・・・それじゃあ、話し合った結果」

京子「危険が大きすぎると判断したみんなは」

京子「そのまま、モンスターうごめく西の森を後にしたのでした・・・」


結衣「うーん、色々解けなかった謎が気になるけど」

ちなつ「命あっての物だねですよ。私たちじゃ手にあまりますって」

あかり「何だか、本当に冒険してるって感じだね」



京子「そうして、町に戻ったユイたちは」

京子「事の顛末を依頼人の男に報告すると」

京子「危険を事前に知らせてくれたという事で、それぞれプラス20ゴールド!」

京子「合計、120ゴールドづつ貰える事になった!」


結衣「おお?」

ちなつ「やりましたね!ほら、帰って正解だったんですよ」

あかり「報告だけで20ゴールドプラスなんて、気前いいね」



京子「西の森のスライム増殖問題は、あとで本格的な討伐隊が結成されるとして・・・」

京子「こうして、ユイたちの初仕事は」

京子「無事に、幕を閉じたのでした」

京子「おわり」


結衣「イエーイ」パチパチパチ

ちなつ「何だか、生き延びたって感じですね」

あかり「スライム退治しかしてないけどね」



京子「じゃあ、みんなレベルが1上がったって事で」

京子「それぞれの能力値、好きなの10増やしていーよ」

結衣「細かいトコまで拘ってんな」

ちなつ「じゃあアイドルだから、素早さに磨きをかけちゃおうかしら?」

あかり「あかりは体力増やしちゃおっと」



結衣「所で、せっかくゴールド貰ったんだし買い物とかできないの?」

京子「そーだねー。じゃあ、何か欲しい物あったら言って?」

あかり「あかりは、薬草とか欲しいな」

ちなつ「あ、私もそれ欲しいかも」



京子「それじゃ、薬草は1つ20ゴールドって事にしよう」

京子「使うと、HPが30回復!」

あかり「なら、みんなで1枚づつ買わない?」

ちなつ「そうだね。結衣センパイもそれでいいですか?」

結衣「うん。構わないよ」

京子「毎度ありー。それじゃ、みんな所持金20マイナスで
持ち物に薬草1つ増やしておいてねー」



結衣「それより、私は武器が欲しい」

京子「武器?トゲ鉄球があるじゃん」

結衣「そのトゲ鉄球が弱すぎるんだって」

結衣「お陰で戦士なのにアイドルと攻撃力がほとんど変わらないのはどうなんだ」



京子「武器・・・か。この世界では武器はホイホイ買えるもんじゃないんだ」

結衣「え?そうなの?」

京子「犯罪の原因になったりするから、けっこう管理が厳しい」

結衣「そ、そうなんだ」



京子「けど、どうしても欲しい場合は闇商人から買う事になる」

結衣「闇商人・・・?」

京子「うん。違法な物を取り扱う商人がいる」

京子「そして、1000ゴールド払えば新しい武器が手に入る」

結衣「高っ!?」



結衣「今の手持ちじゃ、とても足りない・・・」

ちなつ「足りるんでしたら、貸してあげても良かったんですけど・・・」

あかり「値切ったり出来ないの?」

京子「値切るのが成功しても800ゴールドまでだねー」



結衣「はぁ、それでも高すぎるな」

京子「・・・ところが、ユイたちには所持金を大幅に増やすチャンスがある」

ちなつ「え?チャンス?」



京子「この町には、賭博場があるのでした」

京子「そこにはルーレットやスロットがあって」

京子「そこで、もしかしたら100ゴールドが10倍かそれ以上になるかも!」

結衣「マジで?」



京子「まぁ、具体的にはサイコロの出目に賭けてもらうって感じなんだけどね」

結衣「へぇー、なら勝てば武器を新調できるチャンスがあるって事?」

ちなつ「けど、負けたらもちろんゴールドがパァなんですよね?」

あかり「まさに、ギャンブルだね」



京子「どう?チャレンジしてみる?」

結衣「やるかどうかは別として、とりあえずルールが知りたい」



京子「じゃあ、ルールの説明!」

京子「ルーレットは、00から99まで目がある」

京子「そこに1点がけでズバリ当てると、なんと賭けたゴールドが100倍!」

結衣「確率100分の1か・・・。これはかなりキツいな」

ちなつ「あ、でも8ゴールドづつとか賭けてどれか当たれば800ゴールドですよ?」



京子「それとは別に、1から33、34から66、67から99のどれかに賭ける
やり方もできる」

京子「これは、当たれば3倍!」

京子「ちなみに、00が出たら賭けたゴールドは没収ね」

結衣「3倍か・・・。割は良さそうだけど、今の手持ちじゃ全額賭けて当たっても300か」

あかり「これじゃあ足りないね」



京子「あと、偶数か奇数かに賭けるやり方」

京子「これは、当たれば2倍!」

京子「ただし、00が出たらこれも賭け金は没収」

結衣「うーん、こういうのでコツコツ稼いでいく方がいいのか・・・?」

ちなつ「いいえ、たぶん目標の金額稼ぐ前にスッカラカンになっちゃいますよ」



京子「あと、スロットは10ゴールドのと100ゴールドのがある」

京子「これは単純に、ダイスを振ってゾロ目が出たら10倍!」

京子「特別に、00が出たらなんと100倍!」

結衣「これは、確率10分の1で10倍か」

結衣「今やるとしたら、100ゴールドのやつしか選択肢がないな」

あかり「これは一発勝負だね」



京子「さて、どれかやって見る?」

結衣「・・・うーん、ルーレットの1点がけに、
8ゴールドを10づつわけて賭ければ、10分の1で800ゴールドか」

ちなつ「外れると、戦士ユイの所持金が20ゴールドになっちゃいますね」

あかり「折角稼いだお金がほとんど無くなっちゃうね」



結衣「あ、でも100ゴールドを3倍に賭けて増やしていく方法だと・・・」

結衣「3分の1を2回当てれば900ゴールド?」

ちなつ「えーと、この場合9分の1でいいんですか?」

あかり「ちょっとお得なのかな?」



結衣「100ゴールドを2倍づつ増やして行く方法なら・・・」

結衣「2分の1を3回当てれば800ゴールド」

結衣「これだと、8分の1・・・かな?」

ちなつ「これが一番効率いいんですかね?」

あかり「けど、外れたら無一文だよ?」



結衣「それか、3倍に90ゴールドなら、2回当れば810ゴールドで・・・」

結衣「もし外しても手元に10ゴールド残る」

ちなつ「10ゴールドだけ残ったら、スロットか1点がけで最後のひと勝負ですね」



結衣「けど、そう考えると1点がけに8ゴールドづつなら」

結衣「10分の1で800ゴールドになるし、外れても手元に20ゴールド残る」

結衣「うーん、一体どれが一番効率がいいんだ・・・?」

ちなつ「・・・まぁ、普通に考えると外れる確率の方が高いんですけどね」

あかり「きっと、無一文になっちゃうよぉ」



京子「さー結衣、どうする?」

結衣「・・・よーし。折角だからやって見よう」

ちなつ「え?朝鮮するんですか?」

京子「おー、結衣。いい度胸だ」

あかり「ええー、勿体ないよぉ」


>>131訂正 朝鮮→挑戦)


京子「じゃあ、どれにどう賭ける?」

結衣「ルーレットの・・・」

結衣「3倍に、90ゴールド」

京子「わかった。んで、どこに賭ける?」



結衣「それは、私がサイコロ振って決めていい?」

京子「おう、いいよ」

結衣「それじゃ・・・」



結衣「それっ」

コロコロ・・・


(コンマ95)


結衣「95か」

京子「じゃあ、67から99の間に90ゴールド賭けるって事でいい?」

結衣「・・・いや」

あかり「え?」

ちなつ「違うんですか?」



結衣「そこ以外にしよう」

結衣「同じ所が連続で出る確率は低いだろうから」

ちなつ「わぁ、何だか結衣センパイ本物のギャンブラーみたいですね」

あかり「本当に当たったら凄いよ」



結衣「でも、どこににするかは結局最後はカンなんだけどね」

結衣「・・・よし、決めた」

結衣「34から66の間に、90ゴールド!」

京子「りょうかい」



京子「それじゃダイス振るよ?せーの」

結衣「あっおい、もうちょっと溜めをだな」

ちなつ「わぁ、当たるかな?」

あかり「結衣ちゃんがんばって!」



京子「ほっ!」

コロコロ・・・


(コンマ53)


結衣「53・・・?」

結衣「賭けたのは、34から66の間だから・・・」

結衣「うおっ!?や、やった、当たった!」

ちなつ「きゃあ、結衣センパイかっこいい!」

あかり「結衣ちゃん、すごーい!」

京子「ちぃ~、運のいいヤツめ・・・」



京子「・・・それじゃ、ユイは独自のギャンブル理論と直感でルーレットで勝負し」

京子「見事、90ゴールドを3倍の270ゴールドにした!」

結衣「あっという間に、ひと仕事こなした分以上のゴールドが・・・」

ちなつ「真面目に働くのがバカバカしくなりますね」

あかり「こうやって、みんなギャンブルにのめり込んでいくんだね・・・」



京子「さーて、それじゃ次はどこに270ゴールド賭ける?」

結衣「ちょ、ちょっと待って、何か急に勿体無くなってきた」

ちなつ「ここまで来たんですから、もう一丁行っちゃいましょうよ!」

あかり「で、でも外したら270ゴールド無くなっちゃうんだよね?」

ちなつ「3分の1で3倍になるんですよ?やりましょうよ!」

結衣「そうなんだけどさ、うーん・・・」



結衣「・・・じゃあさ京子、もう1回私にサイコロ振らせて?」

結衣「それで決めるからさ」

京子「ん?いいよ」

結衣「よーし」



結衣「ほいっ」

コロコロ・・・


(コンマ17)


結衣「17か・・・」

京子「どーすんの?1から33以外に賭ける?」

結衣「いや、もっといい方法がある」

あかり「いい方法?」



結衣「私と京子が今まで振った目は、95、53、17と来てる」

結衣「つまり、奇数が3回連続で出てるんだ」

ちなつ「あ、そうですね」



結衣「だから、次はきっと偶数が出る」

結衣「ここは、1回偶数の目にかけて倍の540ゴールドにして」

結衣「それから、安全に勝負しよう」

ちなつ「いい考えですね!そうしたらチャンスが増えますし」

あかり「そう上手く行くかなぁ」



京子「それじゃ、偶数の目に270ゴールド賭けるでいい?」

結衣「ああ。3分の1より2分の1の方が当たりやすいし」

ちなつ「だいたい、次に奇数が出る可能性は8分の1ですもんね」

あかり「そう考えると、何だか当たる気がするね」

京子「それじゃ、サイコロ振るよ?」

結衣「ああ」



京子「よっと」

コロコロ・・・


(コンマ86)


結衣「86・・・」

結衣「偶数!よぉーっし!」

ちなつ「きゃあー!結衣センパイ、素敵!」

あかり「ほ、本当に当たっちゃった」

京子「結衣、ツキまくりじゃないのー・・・」



京子「・・・それじゃ、ユイは冴えわたる直感で270ゴールドを偶数に賭け」

京子「見事、270ゴールドを倍の540ゴールドにした!今日のユイはツイてる!」

結衣「私って、意外とギャンブルの才能あるのかも?」

ちなつ「あと一息で、目標の800ゴールドですね!」

あかり「本当に達成できちゃいそうだね」



結衣「・・・さて、もうここで止める理由はないね」

結衣「3倍に、270ゴールドづつを・・・」

結衣「2箇所に分けて賭ければ!」



結衣「3分の2の確率で、810ゴールド達成!」

結衣「これで、トゲ鉄球とサヨナラできる!」

ちなつ「絶対達成できますよ、結衣センパイ!」

あかり「ここまで来たんだから、きっと行けるね」

京子「ふっふっふ、果たしてそう上手く行くかなー?」



結衣「じゃあ京子、最後の勝負の前に私にサイコロ振らして」

京子「あいよ」



結衣「ほっ」

コロコロ・・・


(コンマ40)


結衣「40ね」

結衣「じゃあ、1から33と、67から99の間に、それぞれ270ゴールドづつ!」

ちなつ「これは、もう勝ったも同然ですね」

あかり「結衣ちゃん、新しい武器で大幅パワーアップできるといいね」

京子「おーおー、みんないい感じでフラグ立てちゃって」



京子「それじゃ、サイコロ振るよ?いい?」

結衣「ああ、頼む」

ちなつ「どうか、外れませんように・・・」

あかり「きっと大丈夫だよ」



京子「そぉいっ!」

コロコロ・・・


(コンマ03)


結衣「3・・・」

結衣「やった!当たった!当たったぞ!」

ちなつ「やったーあ!おめでとうございます、結衣センパイ!」

あかり「ふぅ、良かったね結衣ちゃん」

京子「くっそー、持ってかれたかぁ~」



京子「・・・それじゃあ、戦士ユイは」

京子「確かなギャンブル理論と、ツキの巡りあわせによって!」

京子「270ゴールドを、見事3倍の810ゴールドへと増やす事に成功した!」

京子「目標金額、800ゴールドを達成!おめでとう!」パチパチパチ

ちなつ「やりましたね、結衣センパイ!」

あかり「結衣ちゃん、おめでとう」

結衣「いやぁ、まさか本当に達成するとは思わなかったよ」



京子「どう?もっかいやってもっと増やさない?」

結衣「やるわけないだろ」

ちなつ「じゃあ、早速新しい武器買いに行きません?」

あかり「どこに行けば新しい武器が手に入るの?」



京子「そうだねー。それじゃ、ユイ達は大金を稼いで意気揚揚と」

京子「闇商人のいる路地裏へとやってきた」

結衣「さーて、どんな武器が手に入るかな?」

ちなつ「強い武器が手に入れば、ぐっと戦士らしくなれますね」

あかり「楽しみだね」



京子「武器を扱う闇商人を見つけると、ユイ達は武器が欲しいと話し掛けた」

京子「闇商人は、ジロリとみんなを見回すと言った」

京子「武器が欲しいだと?1000ゴールドだ!」


結衣「ああ、そういえば武器を買うには1000ゴールド必要だったな」

ちなつ「値切れば800ゴールドになるんですよね?」

あかり「どうやって値切ったらいいの?」



京子「じゃあ、ここは賢さで交渉することにしよう」

結衣「賢さ?」

あかり「どうやるの?」

京子「ちょっと待って、今闇商人の賢さを決めるからね・・・」



京子「ほいっと」

コロコロ


(コンマ15)


京子「賢さ15か・・・バカだな・・・」

あかり「それをどうするの?」

京子「1戦闘の時と同じ。ユイ達の誰かの賢さ引く闇商人の賢さ引く50より大きい目が出たら成功」

結衣「じゃあ、賢ければ賢いほど成功しやすいって事か」

ちなつ「じゃあ、あかりちゃんの出番だね」

あかり「ええっ!?」



結衣「そうだろうな、私たちの中だとあかりが一番賢さがあるからな」

ちなつ「良かったじゃないあかりちゃん。目立つチャンスだよ」

あかり「どんなチャンス!?」

京子「えーと、アカリンの賢さは70だから・・・」

京子「70引く15で55、それを50から引いて・・・マイナス5か」



京子「これならゼロでも成功だけど、10以上で成功にしよう」

京子「90以上出たら、さらに値切れる」

ちなつ「ほら、あかりちゃん頑張って!」

結衣「あかり、頼んだぞ?」

あかり「うう、緊張するよぉ」

京子「ほらほら、どうせほとんど外さないんだから早く振って」

あかり「うん・・・」



あかり「えいっ!」

コロコロ・・・


(コンマ76)


京子「76で、値切り交渉は普通に成功!」

京子「花屋アカリンの経験豊富な商売トークで、闇商人は値切り交渉に応じた」

結衣「何だか普通だな」

ちなつ「あかりちゃんらしいね」

あかり「成功したのにこの扱い!?」



京子「・・・そういうわけで」

京子「戦士ユイは800ゴールドを闇商人に支払って」

京子「新しいトゲ鉄球を手に入れたのだった!」


結衣「またトゲ鉄球なのかよ!?」

ちなつ「京子センパイ、何でそんなにトゲ鉄球に思い入れがあるんですか?」

あかり「あ、け、けど攻撃力は上がるんじゃない?」

京子「じゃあ結衣、ダイス振って」

結衣「ん?ああ」



結衣「ほっ」

コロコロ・・・


(コンマ04)


京子「4・・・」

京子「結衣は、何と攻撃力4の!」

京子「新しいトゲ鉄球を手に入れたのだった!」


結衣「おいこら!ちょっとふざけんな!」

ちなつ「思いっきりパワーダウンしてるじゃないですか!」

あかり「い、今までの頑張りが全部水のアワだよ!?」



京子「ほら、闇商人って違法な商売で生計立ててるからさ」

京子「まんまと騙されてパチモノ掴まされたんだって」

結衣「だからって、攻撃力4って・・・今の武器の8分の1の攻撃力じゃないか」

ちなつ「800ゴールドもしてこれですか?」



京子「仕方ないじゃん、そういうシステムなんだからさー」

結衣「くっそー、何なんだそのサイコロで武器の攻撃力が決まるシステム」

あかり「こ、これがTRPGなんだね」

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