ガヴ「ヴィーネにチョコあげる」 (92)
ガヴ「ってのはどうよ」
サターニャ「はぁ? チョコぉ?」
ガヴ「そう。チョコ」
サターニャ「ちょっと、今は私との勝負の話をしてるんだけど」
ガヴ「だからヴィーネにチョコあげてより喜んでもらえたほうが勝ちってことでよくね? 来週のあたまとかに」
サターニャ「……まあ、別にいいけど」
ガヴ「おっけーじゃあそういうことで」
ガヴ(よし、これでサターニャも数日は大人しくなるな)
サターニャ「フッ、見せてあげるわ。この大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルの真の実力をね」
ガヴ「あーはいはい分かったから早く帰れ」
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サターニャ「ところでなんでヴィネットに?」
ガヴ「帰れってのに…… ほら、この前バレンタインのときにヴィーネから貰っただろ?」
サターニャ「ん?」
ガヴ「義理チョコ? 友チョコ? どっちでもいいけど、まあそのお返しも兼ねてさ」
サターニャ「ちょっと待って、私そんなの貰ってないわよ」
ガヴ「お前な、悪魔とはいえあんな手の込んだハート型のでかいチョコ忘れるなんてさすがにひどいと思うぞ」
サターニャ「えっ、ちょ、なにそれ?」
ガヴ「え? だから皆に配ってたあのでかいチョコ」
サターニャ「えっ?」
ガヴ「えっ?」
ガヴ「ま、まあとりあえず来週までに用意する感じで」
サターニャ「ちょっとぉー!! 私だけ貰ってないわけ!? なんか納得いかないんだけど!」
ガヴ「そうでなくともヴィーネには普段から迷惑かけてるしさ、お詫びみたいなもんだよ」
サターニャ「迷惑~? 私は悪魔なんだから天使の邪魔をするのは当然でしょ」
ガヴ「おい、ヴィーネは悪魔だぞ」
サターニャ「ハッ! そうだった! いい奴すぎて間違えたわ」
ガヴ「それには同感だ」
サターニャ「まあそうね、すこーしお世話になってないこともないし? そのお返しってことで納得してあげるわ!」
ガヴ「少しどころじゃないだろお前の場合」
ガヴ(人のこと言えないけど)
サターニャ「そういえば勝敗はどうするのよ。本人に直接判定してもらうの?」
ガヴ「そこは考えてなかった」
ラフィ「呼びましたか~?」ニュッ
サターニャ「ぎゃああああっ!?」ビクッ
ガヴ「呼んでねーよ…ああもうまた人が増えた」
ラフィ「うふふ、ごめんなさい。必要になったかと思って」
サターニャ「で、出るならもっと普通に出なさいよ! びっくりするじゃない!」
ラフィ「そんな人をオバケみたいに」
ガヴ「いやまじでオバケ並みだよ。鍵はどうした? セキュリティどうなってんだこの家」
ラフィ「鍵はもちろん、この魔法の針でちょちょいのピンですよ」
ガヴ「それピッキングだよ! 全然魔法じゃねーよってか犯罪だよ!」
サターニャ「で、何しに来たわけ? 私の城に」
ガヴ「私んちだよ」
ラフィ「やだなぁ、サターニャさんがいるところならどこだって湧くに決まってるじゃないですか」
サターニャ「ひっ!?」
ラフィ「とまあ冗談はさておき、なにやらお困りのようでしたから」
ガヴ「そうだな。実は私とサターニャの勝負なんだが」
ラフィ「どちらのチョコがヴィーネさんに喜んでもらえたかの判定ですよね? 全部聞いていたので大丈夫ですよ」
ガヴ「……」
ラフィ「でしたらその審判は私がやりましょう」
サターニャ「ええー、どうやって?」
ラフィ「私が何気なくヴィーネさんに聞いてみるので、お二人はそれを陰から見ていればいいんじゃないでしょうか」
ガヴ「なるほど、ヴィーネの率直な意見を聞くにはそれが一番適してるかもな」
ラフィ「あげた本人が聞いても答えにくいでしょうからね~」
サターニャ「た、たしかに」
ガヴ「んじゃあルールも決まったことだし、ほら帰った帰った」
ラフィ「楽しみですね」
サターニャ「え? もう帰り? 遊ばないの?」
ガヴ「何言ってんだよ、これは本気の勝負だぞ? 今から準備するんだから忙しいに決まってるだろ」
ガヴ(ネトゲ対戦の)
サターニャ「っ、そ、そうね! まあ私は楽勝だけど? 少しは本気出してあげなきゃ可哀想だし、今日は帰って作戦を練るとするわ」
ガヴ「おー、そうしてくれ」
サターニャ「じゃあ来週だからね! さらばよガヴリール!」
ガチャ バタン
ガヴ「やっと帰ったか」
ラフィ「サターニャさんは賑やかで面白いわぁ」
ガヴ「いやラフィ、お前も帰れよ」
ラフィ「帰りますよ。でもガヴちゃんひとつだけ」
ガヴ「ん?」
ラフィ「私もヴィーネさんからチョコ貰ってないんですよ」
ガヴ「なんだ、サターニャだけじゃなかったんだな」
ラフィ「それにタプちゃんもです」
ガヴ「はあ。あれ? つまりヴィーネからチョコ貰ったのって」
ラフィ「ガヴちゃんだけですね」
ガヴ「そうだったのか。確かに皆に配るにしてはガチな感じだと思ったんだよ。名前入りだったし」
ガヴ「……ん?」
ラフィ「……」ニコニコ
ガヴ「変だな、私そんなにヴィーネに恩売った覚えはないぞ」
ラフィ「うふふふ」ニコニコ
ガヴ「? ラフィなんか知ってるのか?」
ラフィ「じゃあガヴちゃん、また明日~」ニッコリ
ガヴ「あ、おい! なんだよ今の顔! さては知ってるんだな!? ちょっと待て!」
ガヴ「逃げやがった……」
翌日 放課後
ガヴ(結局ラフィにははぐらかされたな…)
ヴィーネ(今日はやけにサターニャに話しかけられたわね。なんだったのかしら)
ヴィーネ(ま、いっか。帰ろ)
ヴィーネ「ガヴ、途中まで一緒にーー」
サターニャ「ガーヴリールぅー!! 昨日の話、ちゃんと覚えてるわよね!?」
ガヴ「覚えてるよ」
サターニャ「当日になってごめん忘れてたなんて通用しないんだから! ビビって逃げちゃダメよ! いいわね!」
ガヴ「わーかってるって。うるさいなもう」
サターニャ「ま、少しは楽しませてよね。じゃあねー!」
スタタタタ…
ヴィーネ「…えーっと? ガヴ?」
ガヴ「ん? ああいいよ。帰るんだろ」
ヴィーネ「あ、うん」
ヴィーネ「ところで今のって?」
ガヴ「んー?」
ヴィーネ「サターニャよ。忘れないようにーとか。二人で約束でもしてるの?」
ガヴ「あー、そんな感じかな」
ヴィーネ「なんだか珍しいわね。なんの約束?」
ガヴ「なんのって…」
ガヴ(おっと。一応ヴィーネには黙っといたほうがいいか)
ガヴ「まあちょいとね」
ヴィーネ「なにそれ、二人の秘密?」
ガヴ「そういうわけじゃないよ。別にいいじゃんなんでも」
ヴィーネ「えっ……」
ガヴ「気にすんなって。ったく、サターニャはいつになったら大人しくなるんだかなあ」
ヴィーネ(濁された…? いつものガヴならそんなことしないのに)
ガヴ「そういや昨日ネトゲの相手がさー」
ヴィーネ(き、気になるけど、しつこいって思われたら嫌だし…)
ガチャ
ガヴ「ただいまっと」
ガヴ「さーてネトゲの続きでもしますかね」カチカチ
ガヴ(うちのギルドの作戦会議って意味あんのかな。毎回数の暴力で攻略してるだけじゃん)
ガヴ(あーあまた雑談ムードになってきたよ。一旦放置するか)
ガヴ(……待てよ、少なくとも人間界では私より長生きな方々なわけだし、ちょろっと聞いてみるか)
ガヴ(えーっと『バレンタインにわりと仲の良いJKから……』)カタカタ
ガヴ(いや「エロゲ乙」じゃねーよ。ほんとに貰ったんだよ)
ガヴ(こいつら私をネカマだと思ってんな。『私もJKなんだが……』)カタカタ
ガヴ(「塔」? 「タワー建設」? ってなんだよおい)
ガヴ(やめやめ。ネトゲ住民にリアルの話するのが間違いだったわ)
ガヴ(……お?)
ガヴ(「もし本当ならあげた彼女の気持ちをちゃんと考えてあげろよ」とな)
ガヴ(まともっぽいこと言うやつもいるんだな)
ガヴ(つまりあれか、ヴィーネがどんな気持ちであのチョコをくれたのかってことか)
ガヴ(ヴィーネの気持ち、ねぇ)
ガヴ(難しいな)
ガヴ(よし、このまともそうな人に相談)
ガヴ(「脳wwwww内wwwwwwwww彼女wwwwwwwのwww話wwwwですがwwwwwwwww」)
ガヴ「……」ブチッ
ガヴ(『童貞は自分のチ○コしゃぶりながら死ね』)カタカタッターン
ガヴ(脱退 & ログアウト)
ガヴ「ふう。もうこのゲーム飽きたしいいわ」
ガヴ(……ヴィーネ)
日曜日 昼
ラフィ(さてさて決戦を目前に控えたお二方、今ごろどうしてるのでしょう)
ラフィ(このラフィエル、なんと偵察に来てしまいました!)
ラフィ(まずはサターニャさんのお家です)ソロ~
サターニャ「……」
ラフィ(なにやら考え込んでいるようですね。動きがありません)
ラフィ(見ていても面白くないのでちょっと失礼して心を読んでみましょう)ミョーン
サターニャ(うーむ、洋菓子店の娘だしチョコ作りなんて余裕だと思ったのに)
サターニャ(いまいちインパクトがないわね。不味くはないんだけど)
ラフィ(……それはもしやテーブルに置いてある呪術結晶の如きアレを指しているんですかね?)
ラフィ(サターニャさんの味覚じゃなければ卒倒するレベルなのではと疑ってしまうくらいにはインパクトありまくりな一品です)
ラフィ(サターニャさんのチョコは場合によってはヴィーネさんが口にする前に止めてあげたほうがよさそうですね…)
ラフィ(それでは、お次はガヴちゃんのお家を覗いてみましょう)
ラフィ(まああの子のことだから、勝負なんて忘れたままゲームしてるとかそんな感じかなーとも思いますけどね)ソロ~
ラフィ(……あら?)
ガヴ「……」カチャカチャ
ガヴ「……あっ!」ガタン
ラフィ(チョコを…作ってるみたいですね)
ラフィ(しかも見るからに何度も失敗した跡があります)
ラフィ(これは意外というか、別の意味で面白くなってきているのではないでしょうか!)
ラフィ(予想していた方向とは少し違いますが……ふふ、むしろ期待大かもしれませんね)
ガヴ「あーあまた水入ったよ……やり直しだ」
ラフィ(明日が楽しみですね~)
翌日 月曜日
サターニャ「クックック」バンッ!
ガヴ「…おはようさん」
サターニャ「とうとうこの日が来たわねガヴリール。私とアンタの雌雄を決する日が!」
ガヴ「そうだな。HR始まる前に早いとこ席つけよ」スタスタ
サターニャ「あっ、ちょっとぉ! 華麗にスルーしてんじゃないわよ! 話聞きなさい!」
ガヴ「やめてくれ、いろいろあって寝不足で疲れてるんだ」
サターニャ「ふうん?」
サターニャ「あ、分かった! おおかた勝負にビビって寝付けなかったってところかしら。まあこの私が相手じゃ無理もないわ」
ガヴ「もうそれでいいからどっか行って…」グデン
サターニャ「なんだか本当に疲れてるわね」
ガヴ「そう言ってるだろ」
サターニャ「フッ。多少は努力してきたみたいだけど、私には勝てないわよ」
サターニャ「なんたって今回私は秘策を……いえ、悪魔的作戦(デビルズ・プラン)を実行してしまったのだから!」
ガヴ(またそういうやつか)
サターニャ「聞いて驚くがいいわ。大悪魔である私が考えに考え抜いた悪魔的作戦、それは」
ガヴ「……」
サターニャ「……」
サターニャ「っと、危うく口外してしまうところだったわ」
ガヴ「言わねーのかよ」
サターニャ「危険度の高いこの作戦内容、天使のガヴリールは聞くだけでハデにダメージを負う可能性があるの」
サターニャ「さすがに私も決戦前の相手に手傷を負わせるほど悪じゃないわ。悪魔だけど」
ガヴ「じゃあなんだったんだ今のくだりは。茶番か? 茶番だな?」
サターニャ「ああ、放課後が待ち遠しいわね。早くガヴリールの負けっ面を拝みたいわ」
ガヴ「へいへい」
サターニャ「それにしても遅いわねヴィネット。いつもならとっくに来てる頃なのに」
ガヴ「……そうだな」
ガヴ(ってか、やっぱ昨日のアレかなぁ…)
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
ヴィーネ『ちょっとガヴ! 居留守してるんでしょ!』
ガヴ『いやいないから! ガヴリールいまいないから!』
ヴィーネ『ほらやっぱりいる! なんでチェーンしてるのよ! 入れないじゃない!』
ガヴ『なんで鍵はあいてるんだよ毎度だけど! 部屋汚いからムリ!』
ヴィーネ『そんなのいつもでしょ! 片付けてあげるから入れて!』
ガヴ『ほんとムリだから! 押しかけ家事いらないからまじで!』
ヴィーネ『押しかけって…ガヴが1人でできないから手伝ってるんじゃない!』
ガヴ『そうだけど、今日はほんといいから! 逆に迷惑だから!』
ヴィーネ『えっ? め、迷惑…?』
ガヴ『え? いや、えっと…』
ヴィーネ『迷惑……なんだ』
ガヴ『あのヴィーネ? 今のは』
ヴィーネ『ごめん。帰る…ね』
ガヴ『あっ……』
ーーーーー
ーーーーーーーーーー
ガヴ(気にしてるよなぁ、たぶん)
ガヴ(まさか学校休んだりしないだろうな)
サターニャ「あ、やっと来た」
ガヴ「え」
ヴィーネ「はっ…はっ……お、おはよう…」
サターニャ「おはよ。ヴィネット寝坊? そんな息切らして」
ヴィーネ「うん……ちょっと、昨日ね、寝つけなくて」
サターニャ「珍しいこともあるもんだね。っと、私も席つかなきゃ」
ヴィーネ「……」
ガヴ(……気まずいな。一旦このまま寝たふりしとこう)
昼休み
ガヴ「すまんラフィ、今日はこっちで食べさせてくれ」
ラフィ「いえ私は構いませんけど。ヴィーネさんとサターニャさんはいいんですか?」
ガヴ「それが若干ワケありでさ…」
ラフィ「そうなんですか? 例の勝負と関係があるんでしょうか」
ガヴ「なくはないけど、どっちかというとヴィーネとの間の問題がね」
ラフィ「あら、もしや喧嘩でも?」
ガヴ「喧嘩…じゃないと思う。ただちょっと昨日口が滑ったっていうか、言葉の綾っていうか」
ラフィ「それはガヴちゃんが悪いんでしょうか」
ガヴ「私は悪くない」
ガヴ「…と思いたいけど、客観的に見ると悪いんだろうなぁ。少なくともヴィーネは悪くない」
ラフィ「……お話、聞かせてもらえますか?」
サターニャ「ヴィネットー、今日は学食行く?」
ヴィーネ「そうしようかな。買いそびれちゃったし」
サターニャ「ところでガヴリールの姿がないけどどっか行ったの?」
ヴィーネ「えっ!? さ、さぁー?」
ヴィーネ(授業終わってすぐ出ていっちゃったのよね)
サターニャ「ラフィと先行ってるのかしら。まったくこの私を置いていくなんて」
ヴィーネ(やっぱり私のせい? 昨日のこともあってなんだか気まずいし)
ヴィーネ(というか、考えてみたら今日ガヴと一言も喋ってないような…!?)ガーン
サターニャ「まあいいわ。私たちも行くわよヴィネット」
ヴィーネ「え、えぇ」
ヴィーネ(ガヴ……私のこと嫌いになっちゃったのかな)
ガヴ「それでかくかくしかじかでさ」
ラフィ「まるまるうまうま……なるほど昨日そんなことが」
ガヴ「すごい怒ってるんだろうなーと思うと顔もろくに見れず、今に至る」
ラフィ「ふむふむ。つまり、喧嘩ではなく誤解によるすれ違いって感じなんですね」
ガヴ「だな」
ラフィ「そうであれば、これはチャンスです!」
ガヴ「チャンス? なんの?」
ラフィ「それはもちろん仲直りのチャンスですよ!」
ラフィ「ガヴちゃんは今日の放課後、サターニャさんとの勝負でヴィーネさんにチョコを渡すじゃないですか」
ガヴ「そのタイミングで誤解を解いて謝るってこと?」
ラフィ「んー、惜しいです」
ラフィ「謝罪をするのも手段のひとつかと思います。でもそれ以上に、ヴィーネさんに伝えるべきことがあると思うんです」
ガヴ「はあ」
ラフィ「そもそも今の状態になったのは昨日ヴィーネさんに内緒でチョコを作っていたことが原因ですよね」
ラフィ「ヴィーネさんは聡明な方ですから、そのチョコを渡すことで大元の誤解は解けるはずです」
ラフィ「それなら、純粋にガヴちゃんがヴィーネさんに思ってることを言葉で渡してあげたほうが、まっすぐ心に伝わるんじゃないでしょうか」
ガヴ「私がヴィーネに思ってること…?」
ラフィ「昨日、ガヴちゃんはどんな思いでチョコを作っていたんですか?」
ガヴ「えっ?」
ラフィ「ただ勝負のためというなら、手間をかけて手作りをするのではなく、通販などで美味しいチョコレートを買う手もあったはずです」
ラフィ「なのにそれをせず、得意でもないお菓子づくりを何度も何度も失敗しながら挑戦し続けたのはどうしてですか?」
ガヴ「……」
ガヴ「その手が使えたか!!」
ラフィ「あ、発想がなかっただけなんですね…」
ガヴ「まあでもヴィーネも手作りだったし、私も作りながらいろいろ思うところは確かにあったよ」
ラフィ「そういう気持ちが大事だと思いますよ」
ガヴ「そっか。ありがとラフィ、ちょっと気分が楽になった」
ラフィ「どういたしまして」
ガヴ「ラフィからいつになく天使みたいな台詞を聞いた気がするよ」
ラフィ「ふふ。なにせ天使ですから」
ガヴ「あれそうだっけ?」
ラフィ「わわ、ガヴちゃんひどーい!」
ガヴ「冗談冗談」
ヴィーネが癒しすぎて10レスくらいでSS作るつもりが
気づいたら5倍以上に…
よく調べてないので間違いあったらすんません
書き溜めは完結してるので明日か明後日には投下終えます
ちなみにバレンタインのくだりとラフィが心読めるのはオリ設定
放課後
ヴィーネ(結局ガヴとはまったく話さないまま終わってしまった)ズーン
ヴィーネ(これじゃ帰りも誘いづらいし、まさかこのまま明日も、明後日も……)
ガヴ「……」
ヴィーネ(そして一生……)ジワ
ガヴ「あ、あのさヴィーネ!」
ヴィーネ「へあああっ!?」
ガヴ「!?」
ヴィーネ「びっくりしたぁ…… えっ? ガヴ?」
ガヴ「びっくりしたのはこっちだよ…」ドキドキ
ヴィーネ「ご、ごめんね? 話しかけられると思ってなくて」
ガヴ(とりあえず声かけたはいいけどなんとなく教室だと渡しにくいな)
ヴィーネ「それでどうしたの?」
ガヴ「えーっと、今から来てほしいところがあるんだけど」
ヴィーネ「来てほしいところって?」
ガヴ「そうだな……屋上かな」
ヴィーネ「? なんでそんなところに?」
ガヴ「ま、まあいろいろね。 先行ってるからすぐ来てくれよ」
ヴィーネ「えっ? どういうことよ?」
サターニャ「!」
屋上
ガヴ「よし、誰もいないな」
サターニャ「ちょっとガヴリール!」
ガヴ「うわ! ってなんだサターニャか」
サターニャ「勝手に始めるなんてずるいじゃない。そうまでして私に勝ちたいのかしら?」
ガヴ「別にずるくないだろ、一緒に渡すルールじゃないんだし」
サターニャ「だとしてもよ。私が先に渡そうと思ってたのに!」
ガヴ「そうなのか? じゃあそれで」
サターニャ「え? いいの?」
ガヴ「別にいいよ」
サターニャ「そ、そう。じゃあお言葉に甘えて」
サターニャ「ククク…ぬかったわねガヴリール。私に先手を許したことを後悔なさい!」
ガヴ「やけに自信あるな」
サターニャ「当たり前じゃない。言ったでしょ、今回は」
ガヴ「はいはいデミグラスなんちゃらだろ。ヴィーネ来ちゃうからはよ行け、私は裏に隠れてるから」
サターニャ「言わせなさいよ! っていうか悪魔的作戦(デビルズ・プラン)だから!」
ガヴ「いーから行け!」
テクテク
ヴィーネ(なんだろ、こんな寒い時期にわざわざ屋上だなんて)
ヴィーネ(人がいない所を選んだってことは他人に見たり聞かれたりしたくないことかしら)
ヴィーネ(まさか……)
ガヴ『ヴィーネ、私たちもう終わりにしよう』
ヴィーネ『そんな! いやよ行かないで!』
ガヴ『さよなら』
ヴィーネ『いやあああああ!』
ヴィーネ(って、別にガヴと付き合ってなんかないけど! 絶交とか言われたり…)
ヴィーネ(ハッ! 屋上ってことは、嫌われすぎて絶交どころか……)
ガヴ『ヴィーネ、私たち人生もう終わりにしよう』
ヴィーネ『そんな! いやよ逝かないで!』
ガヴ『さよなら』ヒュッ
ヴィーネ『いやあああああ!』ヒューー
ガヴ『レッツゴー心中ドロップアウト』ヒューー
ヴィーネ(なんてことに……!?)ガタガタ
ヴィーネ(いやいや、さすがに考えすぎよね)
ヴィーネ(考えすぎ……よね?)
ラフィ「ヴィーネさん?」
ヴィーネ「あ、ラフィ」
ラフィ「なんだか顔が青ざめてますけど具合でも悪いんですか?」
ヴィーネ「う、ううん! そういうわけじゃないの」
ラフィ「ならいいんですけど。ガ…サターニャさん見ませんでしたか?」
ヴィーネ「サターニャ? 見てないけど先に帰ったんじゃないかしら。何か用なの?」
ラフィ「ええまあ少し。ところでヴィーネさんはどちらへ?」
ヴィーネ「私はちょっと屋上に……ガヴに呼びだされてて」
ラフィ「なんと! 私もついて行っていいですか!?」パァ
ヴィーネ「えっ!? ど、どうかしら。あんまり良い話じゃなさそうなんだけど」
ラフィ「そんなことないと思いますよ!」
ヴィーネ「へ? ラフィなにか知ってるの?」
ラフィ「いえいえまさか! ともあれ寒い中ガヴちゃんが待ってるんですから、早く行きましょう」グイグイ
ヴィーネ「ちょっ、ラフィ!?」
ヴィーネ(ついてしまった。この扉をあけたらガヴが…)
ラフィ「ささ、ヴィーネさん!」
ヴィーネ「う……」
ヴィーネ(ラフィはなぜかハイテンション気味だけど、やっぱり不安ね)
ヴィーネ(もし暗い話だったら……ガヴ、謝ったら許してくれるかな)
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(ここで考えていても進まないわ。とにかく、今はガヴと話をしなきゃ!)
ガチャ
サターニャ「よく来たわね! 待ちわびたわ、月乃瀬=ヴィネット=エイプリル!」バーン!
ヴィーネ「……」
ラフィ「あら?」
サターニャ「アンタを呼んだのはほかでもないわ、今日はこの私直々に手料理を振る舞」
バタン
サターニャ「ってなんで閉めるのよぉ!?」
ヴィーネ「で、どうしたのよ」
サターニャ「フッ、ちょっとヴィネットに用があるのよ」
ヴィーネ「私いまガヴに呼ばれてるんだけど」
サターニャ「ガヴリールのことは一旦忘れなさい」
ヴィーネ(なんか長くなりそう)
ヴィーネ「ねぇラフィ、これは……っていつのまにかいなくなってるし!」
サターニャ「今日はアンタに渡すものがあるの」
ヴィーネ「渡すもの? 私、サターニャになんか貸してたりしたっけ」
サターニャ「違うわ。はいこれ」ガサ
ヴィーネ「……なにこれ?」
サターニャ「チョコレートよ!」
ヴィーネ「ちょ、チョコレート?」
ラフィ「私たちはここから見物ですね」
ガヴ「サターニャはいいけど私のときはあんま見ないでくれよ」
ヴィーネ「あら、美味しそうなトリュフじゃない」
サターニャ「そうよ。嬉しいでしょ? この私が心を込めて独自の方法で作ったんだから」
ヴィーネ「うん。なんでか分からないけどありが……えっ? サターニャが作ったの!? これを!?」
サターニャ「まーね。大悪魔である私にかかれば余裕のよっちゃんだったわ」
ヴィーネ「すごいじゃない! まるで既製品みたいな完成度よ」
サターニャ「ぎくっ!」
ヴィーネ「え?」
サターニャ「な、なんでもない! それよりほら食べてみなさいよ!」
ヴィーネ「いいの? それじゃあひとつ…」パク
サターニャ(フフフ…この勝負、もらったわ!)
ヴィーネ「……!」モグモグ
ヴィーネ「な、なにこれ、美味しすぎじゃない!? 口の中でふわっ、とろって…」
サターニャ「フフーン」
ヴィーネ「もう一個食べてもいい?」
サターニャ「もちろん。ヴィーネにあげたんだから全部いいわよ」
サターニャ(ククク…美味しいのは当然よ)
サターニャ(なぜならそれは私の悪魔的作戦によって作られた究極のトリュフなんだから!)
ラフィ「説明しよう!」
ラフィ「今回の作戦とは、まず日本の女子高生ならば誰もが憧れるあの名店GOJIRAで大人気のトリュフを購入!」
ラフィ「それをあたかも手作りっぽい袋に移し替えることによって最高品質のギフトを作り上げたのであーる!」
ラフィ「これぞまさに悪魔的作戦! 大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルならではの手作りチョコレート! にゃっはっはっはー!」
ラフィ「って心が喋ってますね~」
ガヴ「まじかよサターニャ最低だな」
ラフィ「買うだけでなく手作りに見せるってところがたしかに悪魔的ですね」
ガヴ「悪魔的っつーかやることがセコいな」
ヴィーネ「美味しくて止まらなくなっちゃいそう。残りは家でコーヒー淹れてからゆっくり食べようかな」
サターニャ「それがいいかもしれないわね。私に感謝しながら食べなさい」
ヴィーネ「うん。ありがとねサターニャ、でもどうして?」
サターニャ(来たわね、ここであらかじめ用意していた決め台詞の出番だわ)
サターニャ「いい? よく聞いてヴィネット」ドン!
ヴィーネ(か、壁ドン!?)
サターニャ「理由なんてね……ないのよ」ボソ
ヴィーネ「えっ……」
サターニャ(決まった! そして最後は背中で語るようにして去る。完璧だわ!)
サターニャ「じゃ、そういうことだから」
スタスタ…
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「って理由ねーのかよ!」ガーン
ヴィーネ(どういう風の吹き回し? まあいいけど、チョコ美味しいし)
ラフィ「次はガヴちゃんの番ですね!」
ガヴ「……」
ラフィ「ガヴちゃん?」
ガヴ「ん? あ、ああ、サターニャ終わった?」
ラフィ「どうしました?」
ラフィ(もしかして緊張してるんですかね)
ガヴ「いや……外こんな寒いとは思ってなくて」ガタガタ
ラフィ「あ~。ここ日差しもないですしね」
ガヴ「やっぱ先にやればよかったな。まあいいや行ってくる」
ラフィ「はい。がんばってください!」
また夜に
ヴィーネ(それで結局ガヴはどこに?)
ヴィーネ(本当に話…というか用があったのはサターニャで、ガヴは私を誘っただけ?)
ヴィーネ「寒っ」
ヴィーネ(風も冷たいし中に戻ろうかしら)
ガヴ「ヴィーネ」
ヴィーネ「……ガヴ!」
ガヴ「よっす」
ヴィーネ(よかった、ちゃんとガヴもいた)
ヴィーネ「いまサターニャから唐突にチョコ貰ったんだけど、なんだったの?」
ガヴ「まあ、いろいろとね」
ヴィーネ「そればっかり…」
ガヴ「どうだった?」
ヴィーネ「え? どうって?」
ガヴ「サターニャのチョコ。うまかった?」
ヴィーネ「あ、そうなのよ! すごく美味しくて、あのサターニャが作ったものとはにわかに信じがたいくらいよ」
ガヴ「……そっか」
ヴィーネ「よかったらガヴも食べる?」
ガヴ「いやいいよ」
ヴィーネ「そう…」
ガヴ(悪魔的作戦(笑)くらいに思ってたけど、存外悪くない戦略だな)
ガヴ(相当うまかったっぽいし急に自分の手作りとか渡すのが恥ずかしくなってきた…)
ヴィーネ「えっと、話があるって言ってたけど?」
ガヴ「あー、そうなんだけど」
ヴィーネ「…?」
ヴィーネ(歯切れが悪い…やっぱり言いづらいことなの?)
ヴィーネ「ん? ガヴ、なんか手に持ってる?」
ガヴ「えっ!?」
ヴィーネ「なにか後ろに隠してるわよね?」
ガヴ「べ、べべべべつに隠してないけど?」
ヴィーネ「んーー?」ジー
ガヴ「あー、はは……ウソ。これ」スッ
ヴィーネ「なんだかかわいい袋ね。何入ってるの?」
ガヴ「……」
ガヴ「……チョコ……ヴィーネ用」
ヴィーネ「へ? またチョコ?」
ガヴ「ああ」
ヴィーネ「それに私用って?」
ガヴ「だ、だからヴィーネにあげるっつってんの! ほら貰って!」
ヴィーネ「ええっ? あ、ありがとう…?」
ガヴ(くそ、なんだこれ…ヘタクソなツンデレかよ)
ヴィーネ「開けてみてもいいの?」
ガヴ「どーぞ」
ヴィーネ「……」シュル
ガヴ(嫌な時間だ…)
ヴィーネ「わあ……」
ガヴ「言っとくけどただの市販チョコだからな」
ヴィーネ「えっ? これ市販なの?」
ヴィーネ(こんないびつな形してるのに?)
ガヴ「そうだよ。コンビニの市販品」
ヴィーネ「ふうん」
ガヴ「……を、溶かして固めただけのもの」ボソ
ヴィーネ「ーー!」
ヴィーネ(やっぱり。ガヴの手作りなんだ)
ガヴ「ちなみに形はヴィーネ」
ヴィーネ「これ私!? どの辺が!?」
ガヴ「ちゃんと目2つついてるだろ! 銀のやつ!」
ヴィーネ「ま、まあ見えなくも…なくもなくもないけど」
ヴィーネ「とりあえずひとつ、いただきます」パク
ガヴ「あ…」
ヴィーネ「……」モグモグ
ガヴ「……」
ヴィーネ「うん。普通にチョコね」
ガヴ「サターニャみたいにうまいやつじゃなくて悪いな」
ヴィーネ「ちがっ、そういう意味じゃないのよ」
ヴィーネ「ていうかガヴ……これを私のために?」
ガヴ「まあ、昨日ちょちょいと」
ヴィーネ「! 」
ヴィーネ(そっか…だから昨日頑なに家にいれてくれなかったんだ)
ラフィ(声はよく聞こえないけど、無事に渡せたみたいですね)
ラフィ(ガヴちゃんも嫌がってましたし心を読むのはやめておきましょう)
サターニャ「どんな感じよ?」ニュッ
ラフィ「サターニャさん? 一体どこから」
サターニャ「飛んできたのよ、気になるし」
サターニャ「ガヴリールはもうチョコ渡したの?」
ラフィ「はい。ちょうどいまヴィーネさんが食べたところです」
サターニャ「へー、それでそれで反応は?」
ラフィ「普通…ですかね。サターニャさん、邪魔しちゃダメですよ?」
サターニャ「失礼ね! するわけないでしょそんなセコいこと」
ラフィ「手作りチョコの偽装はするのに?」
サターニャ「ふえっ!? な、なななんのことかしらぁー!?」
ヴィーネ(ガヴのことだから、これだけ作るのもきっと大変だったんだろうな)
ガヴ(ラフィはああいったけどもういいかな。そろそろ寒さがやばいし)
ガヴ「じゃあ、私はこれで」
ヴィーネ「待って、ガヴ!」
ガヴ「ん?」
ヴィーネ「サターニャもだけど、どうして私にチョコをくれたの?」
ガヴ「えー、経緯はまだ言えないんだよな」
ガヴ(もうお互い渡し終わったしバラしてもいいのか? いやでもまだ判定が残ってるか)
ガヴ「ひとまずヴィーネにチョコをあげなきゃいけないことになってさ」
ヴィーネ「どんな状況よそれ」
ガヴ「そういう状況だったんだよ」
ヴィーネ「全然意味わかんないけど……つまり仕方なくってことなの?」
ガヴ「まあ、実際最初はてきとーに作ってやろうとしてたな」
ヴィーネ「あ、そう…」
ヴィーネ(なんだ、ガヴから思い立って作ってくれたわけじゃないのね)
ガヴ「けどいざ始めてみるとこれがなかなか難しくてさ」
ガヴ「最初に完成したやつを見たときにふと、ヴィーネはこれを貰って果たして喜ぶのかなって思ったんだ」
ヴィーネ「えっ」
ガヴ「なんつーか、実物を目にして始めて相手に渡す情景が浮かんできてさ」
ガヴ「これ貰ったらヴィーネはどんな顔するかなーとか、どうすれば笑ってくれるかなーとか」
ガヴ「事情抜きにヴィーネに喜んでほしくなったっていうか…それで一応いろいろやってみた」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴ「とは言ってもなんとか完成したやつがそのザマなわけだけど」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(なによ、全然仕方なくなんかじゃないじゃない)
ガヴ「タイミングがなぁ。アレのあとじゃ申し訳ない、がっかりしただろ」
ヴィーネ「ううん、そんなことない」
ガヴ「えぇ? いや無理すんなよ」
ヴィーネ「ほんとよ。あのねガヴ」
ヴィーネ「私、ガヴがこれをくれて……すっっっごく嬉しい!」
ガヴ「!」
ガヴ「そ、そう?」
ヴィーネ「うん!」
ガヴ(……なんか恥ずいな)
ヴィーネ(あのガヴが、だもん。嬉しいに決まってるじゃない)
ガヴ「……へっくし!」
ヴィーネ「あれ、大丈夫?」
ガヴ「実はさっきから寒さの極地で……中入っていい?」
ヴィーネ「そうね、風邪引いちゃう」
ガヴ「っあー、中入っても奪われた体温はすぐには戻らないな」
ヴィーネ「放課後は暖房も切られちゃうしね」
ヴィーネ「!」ピコーン
ヴィーネ「ね、ガヴこっち向いて」
ガヴ「ん?」
ギュー
ガヴ「ぶっ!? ちょっ、なんだよ!」
ヴィーネ「あっためてあげようと思って」
ガヴ(あっためって……確かにヴィーネあったかいけど)
ヴィーネ「いやだった?」
ガヴ「いやじゃないけどさ、せめて一声かけてくれよ」
ヴィーネ「あは、ごめんごめん」
ガヴ(はぁ…ヴィーネたんまじ天使あったかいいい匂いくんかくんか……変態か)
サターニャ「ちょ、ちょっとなんで中入らないの? 寒いんだけど!」
ラフィ「しっ! 今いいところなんですから!」
ガヴ「さーて帰るかね」
ヴィーネ「うん!」
ガヴ「機嫌よっ! 気持ちわる!」
ヴィーネ「なによ、いいじゃない嬉しいんだから」ニコニコ
ガヴ「そこまで喜んで貰えるとは逆に想定外だよ」
ヴィーネ「そりゃあ……ていうか、ガヴに絶交されるのかと思ってたし」
ガヴ「はあ? 絶交ってお前な。なんでまた」
ヴィーネ「だって、昨日迷惑って言われたし」
ガヴ「あ、あれは違う! そういう意味じゃなくて」
ヴィーネ「いいの。誤解だって分かったから」
ヴィーネ「それに薄々思ってはいたのよ。私、お節介がすぎるのかなって」
ガヴ(ああ、それはぶっちゃけ自覚してくれと思ってた)
ヴィーネ「だから迷惑って思われるのは仕方ないかも。でも、ガヴに嫌われたんじゃなくてほんとによかった」
ガヴ「むう……」
ヴィーネ「あ、ごめん。帰ろっか」
ガヴ「ヴィーネ」
ヴィーネ「ん?」
ガヴ「そのさ……いつもありがと」
ヴィーネ「えー? どうしたのよ急に」
ガヴ「だから!」
ガヴ「ヴィーネが私の面倒見てくれるのは迷惑なんかじゃないし、感謝してるってこと」
ヴィーネ「……」ポカン
ガヴ「…言わせんなよ恥ずかしい」
ヴィーネ「やだ…今日のガヴ素直ですっごいかわいい」
ガヴ「うっさい! 口にしなきゃ伝わんないと思ったんだよ! 今日あげたチョコだってそういう意味も込みだから」
ヴィーネ「そうなの? ふふ、ありがとうガヴ」
ガヴ「あー、あとこの前のお返し」
ヴィーネ「んっ?」
ガヴ「ほらヴィーネ、バレンタインにくれたじゃん。手作りのチョコ」
ヴィーネ「え」
ヴィーネ(ってえええ!? 今その話する!?)
ヴィーネ(あ、でも確かにお菓子のお返しだもんね……時期的に全く想定してなかったわ)
ヴィーネ(たしかいろんな感情が整理できないまま徹夜で作ったのよね。おかげでガヴ以外のみんなのぶんは作り損ねちゃったんだっけ)
ヴィーネ(あの頃の記憶があまりない…けっこうヤケで作ってたし)
ガヴ「そういや感想言ってなかったな。あのチョコめっちゃうまかったぞ」
ヴィーネ「そ、そう? それはよかったわ」
ガヴ「今だから余計に分かるわ、あれすごい技術いるだろ? よく作れたな」
ヴィーネ(ちょっと本気っぽすぎた? 引かれてないかしら)
ヴィーネ(まあ本気なのはもしかすると間違いじゃない……のかな)
ヴィーネ(仮にそうだとしてガヴのことだし気づかないわよね)
ガヴ「今回チョコ作ってみて少し思ったんだよ」
ガヴ「ヴィーネが私にチョコを作ってるときは何を考えてたのかなって」
ガヴ「聞いた話だと私以外にはあげてないんだろ?」
ヴィーネ「うえっ!? えっと、それは…」
ガヴ「イベント好きなヴィーネなら意気込んでいろんな奴と友チョコだなんだやってると思ってたから、意外でさ」
ガヴ「そうしないでわざわざ私一人のためにってことは、つまりだ」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(だ、大丈夫大丈夫)
ヴィーネ(今まで読んだ小説でもよくあったわ、こういうのは大方的外れな解釈が飛んでくるものよ)
ガヴ「ヴィーネお前、さては私のこと好きだろ?」
ヴィーネ「ふわあっ!?」
ヴィーネ「な、ななにゃにゃなんですって!?」
ヴィーネ(えっ、なに? 聞きまちがい!?)
ガヴ「だからヴィーネが私のこと好きなのかなって」
ヴィーネ(聞きまちがってない!!)
ヴィーネ「えええーー? ちょっとーやめてよガヴ急に」
ガヴ「ありゃ、違った?」
ヴィーネ(お、おお落ち着くのよヴィネット。あのガヴよ? きっと深い意味なんてないのよ)グルグル
ヴィーネ「ち、違ってはないわよ? もちろんガヴのことは好きだけど」
ヴィーネ(そう、好き。でもそれはあくまで友達としての……え、そうよね?」
ヴィーネ「一応、念のため言っておくとあれよ? ライクのほうの好きだからね? もちろん分かってると思うけど」
ガヴ「なんだラブのほうじゃないのか」
ヴィーネ「あいえええええ!?」
ヴィーネ(いやいや、待って待ってどういうこと?)
ヴィーネ(ガヴは、私がガヴを女の子として……付き合いたいとか、そういう目で見てるって考えに至ったわけなの!?)
ヴィーネ(確かに私としてはその発想はあったっていうか? ちょっとは思ってるっていうかって違うわよ私のバカ!)
ガヴ「そっかー。いや普通そうだよな」
ヴィーネ「あの、ガヴ? ちょっと聞いていいかしら」
ガヴ「ん?」
ヴィーネ「ガヴはもし私がその…ラブの意味で好きって言ったら……どう思うの?」ドキドキ
ガヴ「どうって、そりゃあれだよ。ビビる」
ヴィーネ「ビビるの!?」
ガヴ「まずビビるだろそんなイレギュラー。世の中目に見えてお花畑なわけじゃないんだし」
ヴィーネ「ええ…じゃあさっきのは何だったのよ」
ガヴ「だからそれと同時に腑に落ちる。やっぱりバレンタインのあれは私への本命だったのかーってな」
ヴィーネ「!!」
ガヴ「ま、違ったわけだけど」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「ガヴはそういう…女の子同士がーっていうのはどうなの? 抵抗とか」
ガヴ「んー、別に抵抗はないな」
ヴィーネ「じゃ、じゃあもしもよ? 私がガヴをそういう目で見てるって言っても引いたりしない?」
ガヴ「それさっきも聞かなかった? ビビるけど引きはしないよ」
ヴィーネ「っ……!!」
ガヴ「ヴィーネが私をか……むしろなんかこう、湧き立つものがあるな」
ヴィーネ「ほ、ほんとに?」
ガヴ「え? なに、やっぱヴィーネ私のこと好きなの?」
ヴィーネ「~~!! 違う! もしもだってば!」
ヴィーネ(そうなんだ、ガヴ的には全然アリなんだ)
ヴィーネ(ってことはひょっとしたら、ひょっとしちゃうのかも……?)
ヴィーネ「逆に、ガヴはそう思ったりするの?」
ガヴ「ん? あー、私が女子と付き合いたいかってこと?」
ヴィーネ「……」コクコク
ガヴ「……」
ガヴ「例えば、ヴィーネと付き合いたいかと?」ニヤ
ヴィーネ「ぶっ!?」
ガヴ「例えばだって」
ヴィーネ「わ、分かってるわよ! 例えばの話でしょ!」
ガヴ「うーん、そうだな」
ヴィーネ「……」ドキドキ
ガヴ「それはないな」
ヴィーネ「あ、あれぇ?」
ヴィーネ「ないんだ…」ガクッ
ガヴ「なんだよ、例えばだろ?」
ヴィーネ「分かってるってばぁ」
ガヴ「ないない。抵抗ないとは言ったけど、私自身そっちの気はこれっぽっちもない」
ヴィーネ(うう、ガヴのバカ。無駄に期待しちゃったじゃない……いやそもそも期待ってなによ)
ガヴ「……」
ガヴ「まあ、今のところは、だけど」
ヴィーネ「えっ?」
ガヴ「確かに今は私にヴィーネと付き合いたいとかそういう気持ちはないよ。けどそれはこれから変わるかもしれないだろ」
ガヴ「だからさ、諦めなければどうにかなるかもじゃんってこと」
ヴィーネ「…!」
ガヴ「大丈夫、私はヴィーネのこと応援するよ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴ「だからがんばれ」
ヴィーネ「あ、ありがとう。そうね、私がんばる!」
ガヴ「ああ。ってことでまずは明日の宿題写させてやるといいんじゃないかな」
ヴィーネ「ええ! 全力でガヴに宿題写させて…」
ヴィーネ「ん?」
ヴィーネ「ってなんでそういう話になってるのよ!?」
ガヴ(チッ、ばれたか)
ヴィーネ「だ、だいたい私は別にガヴのことそういう目で見てないんだから!」
ガヴ「わかってるって。例えば例えば」
ヴィーネ「もう……」
ちょい休憩 もうすぐ終わりやす
翌日 昼休み
ガヴ「あ、しまった飲み物買い忘れた」
ラフィ「あら、購買で買わなかったのはてっきり持っているからなのかと。言ってあげればよかったですね」
サターニャ「……」ソワソワ
ガヴ「仕方ない、自販機行くか」
ヴィーネ「それなら私のシェアする?」
ガヴ「お、いいの?」
ヴィーネ「500mLのパックってなかなか飲みきれないし」
サターニャ「……」ソワソワ
ガヴ「んじゃありがたく貰うわ」チュー
ヴィーネ「あ…!」
ガヴ「ん?」
ヴィーネ「う、ううん! なんでもない!」
ラフィ(……面白い予感!!)ピコーン
サターニャ「ねぇちょっと、ガヴリール」ボソ
ガヴ「なんだよ」
サターニャ「昨日の決着はいつ明かされるのよ」ヒソヒソ
ガヴ「決着?」
サターニャ「ま、まあ私の勝ちなのは決まってるんだけど? 一応結果を聞かないとガヴリールも負けを認めにくいでしょ」
ガヴ「……?」
ガヴ「……ああチョコバトルか。そんなのあったな」
サターニャ「ちょっ、いまアンタ素で忘れてなかった!?」
ガヴ「結果なら審判に聞けよ。私もまだ聞いてないけど、ラフィだろ」
サターニャ「そ、それもそうね」
ヴィーネ「なに? コソコソ話したりして」
ガヴ「ん、まあいずれ分かるよ」
サターニャ「ラフィエル、ラフィエル」ボソ
ラフィ「はい?」
サターニャ「昨日の決着はいつ発表するのよ?」ヒソヒソ
ラフィ「……?」
ラフィ「……ああ、チョコのアレですね」
サターニャ「アンタもかっ!!」
サターニャ「ってか、その様子じゃまだ聞いてないわけ!?」
ラフィ「タワーを建てていたらうっかり忘れてました~」
サターニャ「はあ?」
ラフィ「でも、結果は聞くまでもなくガヴちゃんの勝ちだったと思いますけど」
サターニャ「え!? ちょ、はあああ!?」
ヴィーネ「な、なにいきなり大きな声出してるのよサターニャ」
ガヴ「ほんとだよ。目立ってるぞ」
サターニャ「だ、だって! ラフィエルが聞いてもないのに勝手に決めつけるから!」
ラフィ「えー、だって自明じゃないですか」
サターニャ「そんなはずないわ! 私の悪魔的作戦をもってして敗北を喫するだなんて、ありえるわけが…」
ヴィーネ「えっと、なんの話?」
サターニャ「それは……」
サターニャ「いいわ、こうなったらヴィネットに直接聞いてやろうじゃないの!」
ヴィーネ「え? なに? 私?」
サターニャ「いいわねガヴリール!」
ガヴ「好きにしてくれ」
サターニャ「ヴィネット、私が素晴らしいチョコをあげたのは覚えてるわよね?」
ヴィーネ「そりゃあ、昨日の今日だし」
サターニャ「で、ガヴリールからも貰ったわよね?」
ヴィーネ「貰ったけど……って、もしかして見てたの!? 」
ラフィ「ごめんなさい、実は陰からこっそりと」
ガヴ「おい」
ラフィ「会話は聞いていませんから~」
サターニャ「フン、そんなのはどうだっていいわ」
サターニャ「それでヴィネット、どっちのチョコが美味しかったかしら?」
ヴィーネ「えっ!?」
サターニャ「正直に答えなさい」
ヴィーネ「え、えーっと…」チラ
ガヴ「……」
サターニャ「さあ、どっち!?」
ヴィーネ「う……」
ガヴ「ヴィーネ、別に気を遣わなくていいぞ」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「サターニャからのほう…かな」
サターニャ「!!」パァ
サターニャ「ほら見なさい、私の勝ちじゃない!」
ガヴ「よかったな、おめでとう」
ヴィーネ「えっ? もしかしなくてもこれ、二人の勝負だったり?」
サターニャ「その通りよ! どっちが美味しいチョコをヴィネットに食べさせられるかガヴリールと勝負してたの!」
ヴィーネ「そんな…」
ガヴ「悪いなヴィーネ、こんなことに利用して。勝負を持ちかけたのはサターニャだけど内容を決めたのは私なんだ」
ヴィーネ「それは今更だしいいんだけど」
ヴィーネ(ガヴは一生懸命がんばったのに、私の一言でそれを無碍にしちゃうだなんて…)
サターニャ「さてさて、『負けたほうはなんでもする』って言ったわよね?」
ガヴ「え、そんなルールだったっけ?」
サターニャ「今決めたのよ! なぜなら私は勝者だから! あーっはっはっは!」
ガヴ「うっざ…」
ガタッ
ラフィ「異議あり! ちょっと待ってください」
サターニャ「ラフィエル? なによ異議って」
ラフィ「サターニャさん、あなたはひとつ勘違いをしています!」
サターニャ「はあ? 勘違い~?」
ラフィ「サターニャさんはヴィーネさんに どちらのチョコが美味しかったか を尋ねましたね」
サターニャ「そうね」
ラフィ「でもよく思い出してください。昨日決めたルールはそうだったでしょうか?」
サターニャ「何なのよ今になって。その通りだったでしょ?」
ラフィ「いいえ、それは勘違いです」
ラフィ「今回の勝負の判定は、どちらのチョコがより喜んで貰えたか だったはずです!」
サターニャ「な、なにぃーっ!?」
サターニャ「って、意味同じじゃない」
ラフィ「全然違います!」
サターニャ「何が違うってのよ。美味しいほうが喜ぶに決まってるじゃない」
ラフィ「本当にそうでしょうか?」
サターニャ「そうよ。ラフィエルは死ぬほど美味しいチョコ貰うより死ぬほどクソ不味いチョコ貰ったほうが喜ぶって言うの?」
ガヴ「死ぬほどクソ不味いって私のチョコか? さすがに失礼だろ」
サターニャ「うっ…そうね。言いすぎたわ」
ガヴ「ほんとだよ。謝れ、メーカーと私の調理器具に」
ヴィーネ「…そこ?」
ラフィ「死ぬほどクソ不味くても、それだけでは分かりません! いくら死ぬほどクソ不味くても!」
ガヴ「後でお前も謝れよ必死でな」
サターニャ「いいわ、そこまで言うならヴィーネに聞いてみようじゃない」
ヴィーネ「また私!?」
ラフィ「もとよりそのつもりでした」
ヴィーネ「ラフィまで!」
ラフィ「ガヴちゃんもいいですね?」
ガヴ「いいよ(どうでも)」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴ「ヴィーネ、もう一度言うけど気を遣う必要ないからな」
ヴィーネ「う、うん」
サターニャ「それじゃ改めてヴィネット!」
サターニャ「私とガヴリールのチョコ、どっちのほうが喜んだのかしら!?」
ヴィーネ「それは……」
ヴィーネ(サターニャのチョコは本当に美味しかった。それは紛れも無い事実)
ヴィーネ(一方でガヴのチョコは味こそ普通だった。でも、私のためにがんばって手作りしてくれたのよね)
ヴィーネ(けどサターニャだって手作りって言ってた。表には出さないけど、あそこまで上達するのに血の滲むような努力をしたのかもしれない)
ヴィーネ(どっちも嬉しかった。どっちも喜んだ。どっちのほうがなんて……)
サターニャ「……」ジー
ガヴ「……」ズー
ヴィーネ「…………」
ラフィ「ヴィーネさん」
ヴィーネ「……うん」
ヴィーネ「あのねサターニャ」
サターニャ「! なに?」
ヴィーネ「サターニャのトリュフチョコはとっても美味しかった。今まで食べたことがないくらい」
ヴィーネ「形から何まで完璧で、お店開けるんじゃないかと思ったほどよ」
サターニャ「で、でしょー? さすが私よね」
サターニャ(まあお店のやつなんだけどね)
ヴィーネ「きっとすごいがんばったのよね。一度調理実習を見てるから、なおのこと尊敬するわ」
サターニャ「あはははは、それほどでも」チクチク
ヴィーネ「ただね、実は私、おとといガヴと少し揉め事があったの」
サターニャ「…へ?」
ヴィーネ「結局は私の勘違いだったんだけど」
ヴィーネ「ちょうどその事で悩んでたとき、ガヴから同じようにチョコを貰ったのよ」
ガヴ「……」
ヴィーネ「さっきも言ったようにサターニャのと比べるとガヴのチョコの味は少し見劣りしちゃうんだけど」
ヴィーネ「なんていうか、そのチョコからは私のことを考えながら一生懸命作ってるガヴの姿が見えてきた気がしたの」
サターニャ「なっ!?」
ヴィーネ「前の日に揉めてた反動もあったんだと思う。その途端ものすごく嬉しさがこう、ぶわーって溢れてきちゃって」
ヴィーネ「だから、ごめんなさい!」
サターニャ「な、なんで謝るの!? まさか…」
ヴィーネ「うん」
ヴィーネ「この勝負、軍配はガヴにあげたいと思います!」
サターニャ「ガーーーーーン!!!」
サターニャ「そんな……私の悪魔的作戦……が……」
ヴィーネ「ご、ごめんね? でもサターニャのもすっごく嬉しかったから!」
サターニャ「う、う……」
サターニャ「海のバッキャローーーーーーー!!!!」ダッ
ヴィーネ「あっ」
スタタタタ…
ヴィーネ「……海?」
ラフィ「行ってしまいましたね」
ヴィーネ「そうね……悪いことしたかな」
ガヴ「気にしなくていいと思うぞ」
ヴィーネ「でもサターニャだって必死に努力したのに…」
ガヴ「いや、あいつのチョコ既製品だから」
ヴィーネ「はい?」
ラフィ「サターニャさん、どうやらGOJIRAの商品を移し替えていたみたいなんですよ」
ヴィーネ「ええ!? あのトリュフGOJIRAのやつなの!?」
ガヴ「ヴィーネはもう少し人を疑ったほうがいいぞ」
ヴィーネ「うっ……けど、道理で美味しいわけね。妙に納得しちゃった」
ラフィ「ともかくこれで正真正銘ガヴちゃんの勝ちですね」
ガヴ「そうなるな。試合に勝って勝負にも勝った気分だ」
ヴィーネ「はあ。これっきりにしてよ? ちょっと胃が痛くなったわ」
ガヴ「……ヴィーネ」
ヴィーネ「なに?」
ガヴ「えっと……私のほう選んでくれてちょっと嬉しかったよ。ありがとう」
ヴィーネ「えっ!? ど、どういたしまして」
ガヴ(くっ、やっぱまだむず痒いなこういうのは)
ヴィーネ「どうしたのガヴ、昨日から変じゃない? 素直なのは私も嬉しいけど」
ガヴ「いいだろなんでも!」
ラフィ「うふふ、私お邪魔虫ですかね~?」
翌日
サターニャ(くうー、大金はたいたのに負けるだなんて!)
サターニャ(こんなことならなら一粒くらい食べておけばよかったわ。ヴィネットのやつ、食べてるときメスの顔してたし)
サターニャ(次こそはガヴリールを完膚なきまでに打ちのめす勝負を考えてやるわ)
ガララ
サターニャ「おは…へぶっ!?」ゲシッ!
ガヴ「ようクソ悪魔。ちょっと焼きそばパン買ってこいよ」
サターニャ「ちょ、何すんのよいきなり!」
サターニャ「ってかなに? 焼きそばパン~?」
サターニャ「バカじゃないのアンタ? なんで大悪魔である私が天使の命令なんて」
ガヴ「『負けたほうはなんでもする』」
サターニャ「…へ?」
ガヴ「『負 け た ほ う は な ん で も す る』」
ガヴ「だったよな?」
サターニャ「……」ダラダラ
ガヴ「お前が自分で決めたな? 決めたよな? まさか大悪魔様が決めたルールを破ったりしないよな?」
サターニャ「あ、あれ~? そうだっけ~?」
ガヴ「ってなわけで今日一日サターニャは私の下僕。よろしく」ドッカ
サターニャ「いたぁっ!? てか重っ! え、ちょ、そんなのアリーーー!?」
ガヴ「オラ席まで運べやクソ悪魔」ペシペシ
サターニャ「うえええ……ヴィネット助けて~」
ヴィーネ「なにやってんだか…」
ラフィ(……面白い予感!!)ピコーン
ドロップアウト
以上です。
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