モバP「だりやすかれんの手作りプレゼント」 (28)



―――泰葉'sルーム


李衣菜「えーそれでは、第……何回だっけ。まぁいいや、バレンタイン会議を始めまーす」

加蓮「はーい。もう恒例だよね」

泰葉「今年もこの季節が来たね。どうしましょうか、Pさんへのプレゼント」

李衣菜「毎年チョコじゃ芸がないよね。もっと刺激的でロックなプレゼントじゃないと!」

加蓮「あっ、じゃあはいはいっ。いい考えがあるのっ」

李衣菜「はい、加蓮さん」

加蓮「『今年のプレゼントは……私たちだよPさん♡』」


泰葉「ねぇ李衣菜、この前ドールハウスの材料を探しに雑貨屋さんへ行ったんだけどね」

李衣菜「お、なんかいいのあった?」

加蓮「無視はつらいよー?」

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泰葉「良さそうな毛糸がたくさん置いてあったの。それで、マフラーとか編めたらいいかな……って」

李衣菜「へー、マフラーかぁ。いいね、Pさんも喜んでくれそう!」

加蓮「りーいなっ。妹分が寂しがってるよー?」ムギュー

李衣菜「あ、でも私編み物ってやったことないんだよね……。2人みたいに普段から細かいこともやってないし」

泰葉「私も編み物は初めてだよ。だから3人で分担したらいいと思うの、途中で毛糸の色を変えたりして」

加蓮「やーすはっ。加蓮ちゃんかまってほしいなー?」コシコシ

李衣菜「そっか、それなら負担も軽くなるし見た目的にもいいかも。それでいこっか?」

泰葉「あ、いいの? あっさり決めて」

李衣菜「善は急げって言うしさ。他のアイデアが浮かんだら来年に持ち越しってことで♪」

泰葉「ふふ、そう言ってくれるなら。じゃあ今年は手作りマフラーね♪」

李衣菜「おー♪」


加蓮「…………」プクー

泰葉「加蓮もそれでいい?」

加蓮「……どうせ私の意見なんて無視するでしょ。ふんだ」プイ

李衣菜「最初に変なこと言うからだよ。拗ねない拗ねない」

加蓮「せっかくこういうイベントなんだから2人も素直になればいいのに」

李衣菜「そんな簡単に自分をプレゼントなんてロックじゃないね」

泰葉「いくらプライベートでもアイドルってことを忘れちゃダメでしょう?」

加蓮「うぐ。かっこいいし正論だし……」

泰葉「まぁ……年々想いは膨れ上がってるんだけど」

李衣菜「私も最近お仕事でPさんに見られてると変に気合入っちゃって……」

加蓮「ほ、ほら。2人だって本音はそうなんじゃない」

李衣菜「だ、だからこそこういうイベントで発散させるんだよ。行き過ぎないように」

泰葉「そ、そう。ちょっとずつ想いを伝えるの。伝え方を間違えないようにしないと」

加蓮「むー。自由な恋愛って憧れるけど」

李衣菜「うん、でも私たちはアイドルだから。応援してくれる人たちのためにも自由にはできないよ。恋愛以外でもさ」

加蓮「んー……、なんだか大変な道歩いてる気がするなぁ。今更だけど」

李衣菜「あはは、今更すぎだよ。それでも私たちは選んだんだから」

泰葉「うん。しっかりコントロールして付き合わなきゃ、自分の気持ちと」

加蓮「そうだよね……頑張ろっか。私たちとPさんのアイドル生活のためにっ」

李衣菜「へへ、うん!」

泰葉「ふふっ。そんな話をしたところで悪いんだけど……Pさんへのプレゼントのこと決めないと」

加蓮「あ、マフラーだっけ。私も賛成……ってこんな話、ファンのみんなに罪悪感ある……」

李衣菜「ま、まぁオフレコってことで」

泰葉「内緒にしましょう、内緒に。秘密はしっかり共有してお互い釘を刺しておくの」

加蓮「うわ、そういうこと言う~? 泰葉アンタ、強かっていうか……」

李衣菜「敵に回したら絶対やばいやつだ……」

泰葉「ふふふ。ありがとう」ニコ

((褒めてない……))

泰葉「あ、褒めてないって顔してる。ふふっ」

李衣菜「……泰葉には逆らわないようにしよう」

加蓮「ほんとアンタは出会ったときから……。はぁ、身内で良かった……」

泰葉「さ、マフラーについて一緒に考えましょう。……敵にならないように、ね?」

李衣菜「わ、分かりました泰葉さんっ」

加蓮「り、りょーかい……泰葉先輩」

泰葉「うん、頑張りましょう♪♪」


―――

――



―――手芸雑貨店、編み物コーナー


李衣菜「――うわー……。毛糸いっぱいだ」

泰葉「ね、たくさんあるでしょう? ここなら思った通りの色も揃うと思うよ」

李衣菜「こんなファンシーな空間……ロックだねぇ」

泰葉「雰囲気に飲まれて変なこと言ってる」クスクス

李衣菜「えへへ。……ってあれ? 加蓮どこ行ったの?」

泰葉「え? あれ……さっきまで隣に」


加蓮「~~♪ ~~~♪」フラフラー トテトテー


李衣菜「……なんか色々興味持ちすぎてうわついてる」

泰葉「迷子にならないでね……?」

加蓮「見て見て、この子! かわいくない?」

李衣菜「なにそれ、マスコット? 包帯巻いてるけど怪我してるの?」

加蓮「ボコられグマのボコだって。喧嘩っ早いのにすっごく弱いらしいの」

李衣菜「なにその設定……」

加蓮「買っちゃおうかなー♪」

李衣菜「まぁ気に入ったんならいいけど。ってそれより、毛糸とか編み針とか見ないと」

泰葉「……もう編み針とか必要な物は見つけました。あとは毛糸だけ。どこかの加蓮さんがふらふらしてる間にね?」ジトッ

加蓮「うっ、ごめんなさーい……」

李衣菜「ほら見なよ……」

泰葉「――さて。どんな色にしましょうか」

李衣菜「色々あるねー。虹色マフラーとかもできそうなくらい」

加蓮「ちょっと、作る手間考えてよ?」

李衣菜「あは、ですよねー」

泰葉「ふふ、とりあえず私たち3人で3色ね。んー、色は……」

加蓮「普通にパーソナルカラーでいいんじゃない? 私ミントグリーン、李衣菜サンセットスカイ、泰葉ナイトブルー、とか」

泰葉「……合う?」

加蓮「言ってから考えたけど……びみょい?」

泰葉「寒色暖色混じってると……」

加蓮「だからってエバーリースの常磐色1色だけじゃ……」

李衣菜「……んー、その3色でいいんじゃない? 私たちらしくて。ありふれた色じゃ特別感ないしさ」

泰葉「私たちらしさ……」

加蓮「ん……特別感、か」

李衣菜「うん。誰も真似しないような色で作ったら、きっと世界でたった1つのマフラーになるよ」

李衣菜「せっかくPさんに贈るんだから私たちだけの贈り物にしよう。ね?」

泰葉「、…………」

加蓮「……はぁー……」

李衣菜「え、あれ? なんかダメだった……?」

加蓮「李衣菜ってほんと……。ほんと、もう」ペシ

李衣菜「あいた。な、なんで?」

泰葉「……うん。李衣菜。李衣菜っ」ペシ ペシ

李衣菜「だ、だからなんでっ、いたいっ」

加蓮「よしっ、ミントグリーンどこかなー。爽やかな薄荷色~♪」

泰葉「私も。えっと、紺色……星空みたいな濃紺……♪」

李衣菜「え、ええ~……。たまに2人がよく分かんなくなるよぉ。わ、私も夕焼け色探そ……」

「「ふふふっ♪」」


―――

――



―――帰り道


てくてく……


李衣菜「――袋、結構かさばるね。……なんか毛糸多くない?」ガサッ

泰葉「失敗したら作り直せるようにね。編み物の本も買ったし、ちゃんとやれば大丈夫だと思うけど」

加蓮「まぁ私に任せてよ。ネイリングで鍛えた指さばき、見せてあげるっ」

泰葉「私も細かい作業は得意だし、なんとかなりそうね」

李衣菜「私はイチから2人に教えてもらう感じだね。よろしく、先生」

加蓮「ふふん。料理は李衣菜に任せてた分、ここで女子力見せないと」

泰葉「ね。李衣菜に甘えてばかりじゃいられないもの」

李衣菜「へへ、頼もしいなー」

加蓮「Pさん、喜んでくれるかな」

泰葉「喜ばせるの。私たちで」

李衣菜「そだよ、いつも色んなものをもらってるんだから。これはPさんってファンへの恩返しだよ、愛情を返すのは当然っ」

加蓮「あ、大義名分ってやつ? 李衣菜もワルだね」

泰葉「ふふ……言葉遊びね。悪い政治家さんみたい」

李衣菜「い、言いたい放題だね……。2人にも付き合ってもらうよ?」

泰葉「ええ、元よりそのつもり。いつまでも一緒だから」

加蓮「ずっと3人で、Pさんのところでアイドルしよ。ねっ」


泰葉「一蓮托生いいじゃない?」

加蓮「繋がって、離れない?」

李衣菜「……使用料取るよ?」

「「ふふ♪」」

李衣菜「もー、へへへ――♪」


てくてく……



―――それから


加蓮「――はいはーい、練習終わり。李衣菜頑張れー♪」

李衣菜「うぅ、目がチカチカする……!」セッセセッセ

泰葉「大丈夫、李衣菜? ちゃんと休憩しながらね」

李衣菜「も、もうあんまり時間ないし……やるよ、すぐ泰葉にバトンタッチするからっ」

加蓮「早くねー。……さてと、私は……」ゴソゴソ

泰葉「加蓮? あ、それ……羊毛フェルト?」

加蓮「あ、気にしないでー。手持無沙汰だからちょっとね」

李衣菜「くっ、ふ、はっ……!」セッセセッセ


―――

――



―――


李衣菜「――で、できた……ふひぃ……」プシュー…

泰葉「ありがとう李衣菜、ここからは私の番……!」セッセ セッセ…

加蓮「お疲れさまー。すごいね李衣菜、初めてとは思えない出来じゃん♪」

李衣菜「で、でしょうに……。Pさんを想って、へへ、へへへ……!」

加蓮「その間に私も羊毛フェルトでボコ作っちゃったけど。ほらかわいい」ポンッ

ボコ(羊毛フェルト)「」

李衣菜「そんなことしてたの!? ていうかいつの間に材料を……」

加蓮「どさくさに紛れて買っちゃった。袋持ってくれてありがと李衣菜♪」

李衣菜「どーりで毛糸にしちゃ多いと思った……!」


―――

――



―――


泰葉「――ふう。うん、私の分は終わり。最後、加蓮。よろしくね」

李衣菜「羊毛ボコも応援してるよー。アンカー頑張れー」クイクイ

ボコ「」ノシ

加蓮「ちょっと、人の傑作で遊ばないでよ……ま、すぐ終わらせちゃうけど♪」セッセ セッセ

李衣菜「余裕そうなのがムカつくなぁ……」

泰葉「そんなこと言ってあげないで、李衣菜。ずっとそわそわしてたんだから、加蓮ったら」

李衣菜「へぇ。そんな早く編みたかったんだ、Pさんのために。だからこの子作って気を紛らわせてた、と」

加蓮「ふ、ふーん。聞こえなーい」セッセ セッセ

泰葉「ふふ……♪」


ボコ「」コテン



―――

――




―――事務所


がちゃり


P「おはようございます――おお寒っ、手袋くらい買おうかな……」


李衣菜「――Pさんっ!」

P「え――」

泰葉「ハッピー♪」

加蓮「バレンタインっ♪」



P(突然首に巻かれたのは……優しくてあたたかくて)

P(そして愛しいこの子たちの匂いが微かに香る、素敵な贈り物だった――)



おわり



―――Pの自宅


がちゃ


P「ただいま~」


ぴにゃ(ペット)「ピニャーン!」トテチコ

P「おー、出迎えご苦労さん。ご飯ちゃんと食ったか?」ナデナデ

ぴにゃ「ピーニャァ♪」ピョーン グリグリ

P「うおっと。はは、甘えんぼめ」

ぴにゃ「ピッ? ピーニャ、ピニャピ?」

P「ん? あぁこれか。あの子たちにもらったんだ。あったかいぞ」

ぴにゃ「ピー…ピニャ、ピニャァン♡」モフモフモフ

P「マフラーって言うんだ、マフラー。お前も巻いてみるか?」

ぴにゃ「ピッ! ピーニャ、ピーニャー!」コクコク

P「よしよし。それじゃあ……よっと」

毛玉ぴにゃ「ピニャ…」ウットリ

P「あはは、巻いたら毛糸の塊みたいになったな」

毛玉ぴにゃ「ピニャァン…ピニャピーニャ」

P「3人の匂いがするって? そっか、お前も分かるか」

毛玉ぴにゃ「ピーニャー、ピニャピニャー?」

P「……ああ、嬉しいよ。俺は幸せ者だ」

毛玉ぴにゃ「ピーニャ♪」

P「ほら、もういいだろ? そろそろ――」

毛玉ぴにゃ「…ビニャア!」テテテー


P「あっ!? こら待て、返せ!」

毛玉ぴにゃ「ピーニャー♪」

P「こんにゃろ、ご主人の言うこと聞けっ!」ダッ

毛玉ぴにゃ「ピーニャピニャニャ、ピニャーン!」タタタッ

P「やめろ咥えるんじゃないほつれるだろ!」ドタドタ

壁「どんっ!」

P「あっすみません!」



オチ

というお話だったのさ
今年もアイドルからチョコもらいました

モバP「だりやすかれんの電池切れ」
モバP「だりやすかれんの電池切れ」 - SSまとめ速報
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