メイド「早く起きなさい!」 (260)
青年「Zzz…」
メイド「相変わらず寝相が悪いこと」
ご主人様は朝が弱い
メイド「良い身分ね!」
メイド「早く起きないと許さないわよ?」
青年「う~ん」
メイド「そうね~ 朝食抜きっていうのはどうかしら?」プププ
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メイド「うそうそ! 冗談よ!」
青年「…」
メイド「だからね?」
青年「…」
メイド「…」
メイド「起きろって言ってるでしょうがぁ!」
青年「うわぁ! なになに!? 田中邦衛!?」ビク
メイド「誰それ?」
青年「いやぁ…」
メイド「寝ぼけてないで顔洗ってきて」
青年「は~い」
メイド「今日着る服は用意しておくから」
青年「うん」
メイド「まったく! 私がいないと何もできないのね」
ー朝食
青年「毎朝悪いね~」
メイド「仕事なんだから当然よ」
青年「今日のメニューは…」
・魚
・パン
・紅茶
・サラダ
・卵料理
・ポテト
青年「美味しそ~」
メイド「当たり前でしょ? 私が作ってるんだから」
青年「でも」
メイド「何? 何か不満?」
青年「肉が食べたいな~」
メイド「はぁ!?」
登場人物
メイド 20代前半 ツンデレ
青年 10代後半 温厚
メイド長 メイドの母 怖い
メイド「放っておくとお菓子しか食べないから!」
メイド「あんたのために健康的な食事にしてるんじゃない!」
メイド「それなのに文句ってわけ?」
青年「別に文句ってわけじゃ…」
メイド「ほんと信じられない!」
メイド「わがままばっかり」
青年「あはは…」
メイド「それに食事中に本読むのはやめてよね」
青年「え~」
ー次の日ー
青年「あれ?」
メイド「何よ」
青年「これローストビーフだよね?」
メイド「そうだけど何か問題でも?」
青年「肉にしてくれたんだ!」
青年「嬉しい!」
メイド「たまたまよ」
青年「ありがとう!」
メイド「ふん!」
メイド「…で どう? 美味しい?」
青年「うん! 凄く美味しい!」モグモク
メイド「ふーん」
メイド「あっそ」
メイド「別に嬉しくなんかないんだから!」
ー送迎ー
メイド「もうすぐ着くわ」
メイド「降りる準備してよね」
メイド(運転にも慣れたわね)
青年「じゃあ行ってくるよ!」バタン!
メイド「待って」
青年「何?」
メイド「ネクタイがずれてるじゃない」ギュ
メイド「髪型もくずれてるし」チョンチョン
メイド「そんな格好じゃ笑われるわよ?」クスクス
青年「ありがとう」ニコリ
メイド「それから…」
青年「もう大丈夫だって」
青年「それに必要な物は困ったらその時買うから」
メイド「それならいいけど」
青年「じゃあ行ってきます」
メイド「はい行ってらっしゃい」ニコリ
ー掃除ー
メイド「次はご主人様の部屋の掃除ね」ガチャ
メイド「またこんなに散らかして」
メイド「何度言っても直らないんだから」
メイド「せっかく片付けたのに…」ハァ
メイド「開いたままの参考書に」
メイド「作りかけのパズル…」
メイド「あっ! よく見たら画ビョウかま落ちてる…」
メイド「怖っ!」
メイド「本は本棚に…っと」
メイド「机の上も綺麗にしないとね」
メイド「あっ…写真だ」
メイド「二人で遊びに行った時のだ」
メイド「主人は楽しそうに笑ってるのに」
メイド「私は…」
メイド(私だって楽しかったはず)
メイド(ご主人様と二人きりで)
メイド「どうして素直になれないんだろう」ハァ
メイド「最後に窓を拭いて終わりね」キュ
メイド「よし! これで完璧」
メイド「汚したら承知しないわ!」
ー次の日ー
メイド「嘘でしょ!?」
青年「いやぁ腕時計探してたらいつの間にかこんな風に…」
メイド「どうして一日でこんなに汚くできんのよ!」
青年「ははは」テヘ
メイド「はははじゃないわよ!」
ー風呂ー
メイド「どうお湯加減は?」
青年「最高だよ」
メイド「そう…良かった」
メイド「着替えここに置いておくからね」
メイド「勝手に着替えといて」
青年「は~い」
メイド「私は次の仕事に戻りますか」
青年「ふーっ」バタン
メイド「え?」
青年「あれ? 服どこ?」
メイド「きゃあ!」
メイド「あんた何て格好してんのよ!」
青年「格好って…風呂から上がったんだから服来てなくて当たり前だろ」
メイド「うるさい! 変態!」バタバタ
青年「あ、言っちゃった」
青年「変なの」
メイド「…ご主人様」
メイド「…//」
ー夜中ー
メイド「入るわよ」ガチャ
青年「…」
メイド「まだ勉強してんの?」
メイド「ほんと理解できないわ」
メイド「勉強なんかしなくても困らないわ!」ドヤ
青年「勉強じゃなくて読書だよ」
青年「趣味さ」
メイド「どっちでも同じよ!」
メイド「あんたって普段どんな本を読んでるのかしら」
青年「いたって普通の本だけどね」
メイド「どれどれ」
本棚
・お笑い
・ミュージカル
・生物
・絵
・アメリカ
・ゲーム
・英語
メイド「うわぁ全然面白くなさそう」
メイド「ねぇ? お腹空いた?」
青年「ん…全然平気」
メイド「お腹空いたか聞いてんの」
青年「ちょっと空いたかな」
メイド「そう…」
メイド「夜食作ったから」
メイド「勘違いしないでよね!」
メイド「自分の分を作ったのに余っちゃったから分けてあげただけなんだから」
メイド「感謝しなさいよね!」
青年「うん、毎日ありがとうね」
メイド「…っ!」
メイド(もうこんな時間)
メイド「いつまでも起きてたら体壊すよ?」
青年「…」ウトウト
メイド「そうなったら私が困るんだから」
メイド「余計な仕事増やさないでよね」
青年「…」
メイド「ん?」
青年「Zzz…」
メイド「寝てる」
メイド「高校生にもなってもまだまだ子供なんだから」
メイド「風邪ひかないでね」
毛布をかける
メイド(ご主人様…)
メイド「大好きだよ♪」
ー土曜日ー
青年「友達と出かけてくる」
メイド「待ちなさい」
メイド「あんた本気で言ってる?」
メイド「その服装は恥ずかしいわよ」
メイド「私服のセンスはどうしても良くならないものね」
メイド「これで良いわ」
青年「あんまり変わってないんじゃない?」
メイド「あんたの目が腐ってるのよ」
メイド「それにおしゃれでかっこいいわ! テーマはモダンね」
青年「照れるなぁ」テヘ
メイド「あんたじゃなくて…」
メイド「私のコーディネートが素晴らしいのよ!」
青年「ありがとう、じゃ行ってきます」
メイド「楽しんできなさいよ!」
ーメイド長ー
青年「ただいま~」
メイド長「お帰りなさいませご主人様」
青年「お、今日はメイド長さんなんだ」
メイド長「左様でございます」
メイド長「お疲れ様です」
メイド長「上着とお荷物お持ち致しますわ」
青年「どうも」
青年「メイド長さんいつもご苦労さん」
メイド長「滅相もございませんわ」
メイド「あ…」ガチャ
メイド「あんた帰ってたの」
メイド長「メイド?」ギロリ
メイド「お、お母さん!?」
メイド長「後で私の所に来なさい」
メイド「は、はいっ!」
メイド長「入りなさい」
メイド「…」
メイド長「あなたね」
メイド長「雇わせて頂いている立場なんだから」
メイド長「少しは言葉遣いや丁寧な行動とか」
メイド長「もっとこう…敬意を表しなさい!」
メイド長「髪も束ねて」
メイド「めんどくさい」
メイド長「スカートも長くして」
メイド「動きにくい」
メイド長「目上の人には」
メイド「…来たくて来たわけじゃないもん」
メイド長「入りなさい」
メイド「…」
メイド長「あなたね」
メイド長「雇わせて頂いている立場なんだから」
メイド長「少しは言葉遣いや丁寧な行動とか」
メイド長「もっとこう…敬意を表しなさい!」
メイド長「髪も束ねて」
メイド「めんどくさい」
メイド長「スカートも長くして」
メイド「動きにくい」
メイド長「目上の人には」
メイド「…来たくて来たわけじゃないもん」
メイド「お母さんが無理やり連れてきたんだもん」
メイド長「ふーん」
メイド長「じゃあ仕事辞める?」
メイド「え…」
メイド長「もうご主人様には会えないわね」
メイド「…それは嫌だ」
メイド長「それじゃあ頑張りなさい!」
メイド「…はい」
メイド長「仕事は上手なんだから」
メイド(応援してるからね)
青年「お説教長かったね」
メイド「いつものことよ」ガチャ
メイド「言葉遣いがなってないとか」
メイド「仕事をちゃんとやってたらそれで良いじゃない」
青年「メイド長さんも厳しいよね」
青年「僕は気にしないのに」
メイド「ほんとよね」
ー映画ー
青年「新しいDVD買っちゃった」
青年「それもブルーレイで♪」
青年「映画は見逃してたから見たかったんだよね~」
青年「早く見たいな♪」
メイド「~♪」ニコニコ
青年「あ、メイドさん」
メイド「…何よ」
青年「これからビデオ見るけど一緒に見る?」
メイド「…何で私が」
メイド「それに私は今何してる様に見える?」
青年「バケツ持って鼻歌歌ってた」
メイド「仕事中なの!」
メイド「誰かさんが汚した部屋の掃除!」
青年「て、手伝おうか?」
メイド「必要ないわ! 私一人で充分だもの」
メイド「それにあんたがいたら集中できないわ」ボソ
青年「じゃ仕方ないね、仕事頑張ってね 」
メイド「でも気が向いたら行ってもいいわ、また誘ってよね」
青年「わかった、じゃばいば~い♪」
メイド「気楽で良いわ」
メイド「ビデオか…」
青年「準備OK」ブーン
メイド「…」ガチャ
青年「お、メイドさん! ちょうど始まるとこ」
メイド「あ、あの…」
メイド「えっと、仕事が早く終わったから」
メイド「一緒に見てあげても…」
青年「いいよいいよ! 一緒に見よう!」
メイド「あんたがそう言うなら…」
メイド「数年前に流行ったやつね」
メイド「子供向けのミュージカル映画だっけ?」
メイド「歌を歌えば夢が叶うなんて」
メイド「人生はそんなに甘くないわ」
青年「静かに!」
メイド「ご、ごめんなさい…」
青年「面白かったね~」
メイド「まあまあね」
青年「つまらなかった?」
メイド「普通よ普通」
メイド「でも思ったよりは良かったわ」
青年「どっち?」
メイド「だけどメッセージが気に入らないわ」
青年「メッセージ?」
メイド「だいたいありのままの自分を受け入れようってどうなのかしら?」
メイド「人は変わらないとね」
メイド「私だって成長して変わったところなんてたくさんあるんだから」
青年「僕はそのままの自分を好きになりたいな」
メイド「それは甘えよ!」
ー次の日ー
メイド「~♪」
青年(あ、メイドさんだ)
メイド「ありの~♪ ままの~♪」
青年「ぶっ!」
メイド「あ、あんた!」
青年「メイドさんもご機嫌だね~」ニヤニヤ
メイド「よ、よくも私の歌を聞いたわね!」
青年「いつでもDVDは貸してあげるからね~♪」
メイド「ふ…ふ…」
青年「少しも寒くないわ~♪」
メイド「ふざけんな!」
メイド(歌聞かれた…めちゃくちゃ恥ずかしい…)
メイド(…辞めたい)
ー冬ー
メイド「冬は嫌いだわ」
メイド「楽しい思い出も無いし」
メイド「それに…」
メイド「何でこんなに雪が積もるのよ!」
メイド「一面真っ白じゃない!」
メイド「誰が雪かきやると思ってんのよ!」
メイド「何で毎年毎年こんなに積もるのかしら」
メイド「無駄にこの家広いし」
メイド「庭も広い!」
メイド「贅沢な屋敷ね」
メイド「こんな家に生まれて育ったらろくな人間にならないわ」
青年「」
メイド「はぁ… 南の国に生まれたかったなぁ」ザシュ
メイド「肉体労働は私に向いてないわ」ザシュ
メイド長「皆頑張ってるんだから文句言わないでやりなさい!」ザシュ
メイド「あ、はい」
友達「おーい! 雪合戦やろうぜ!」
青年「やろうやろう!」
ワーイワーイ
メイド「ちっ!」イラ
ーキッチンー
メイド「さて、夕食を作りますか」バタン
メイド「ん?」
メイド「卵が無いわ」
メイド「最近卵料理ばっか作ってたからなぁ」
メイド「ご主人様は卵大好きだからね」
メイド「舌も子供なんだから」
メイド「もっと凝った料理作ってあげても良いのに…」
メイド「買い物に行くか!」
メイド「買い物に行って来るわね!」
シーン
メイド「…って今日はいないんだった」
メイド「すっかり忘れてたわ」
メイド「確か友達とどこかへ遊びに行くって言ってた様な…」
メイド「別にいいけどさ!」
運転中
メイド「それにしても…」
メイド「私一人で何でもこなせるわね♪」
メイド「料理は得意だし…」
メイド「掃除に洗濯、運転…」
メイド「メイドは天職ね」
メイド「それに家事は嫌いじゃないわ♪」
メイド「そろそろ着くわ」
市場
メイド「相変わらず人でいっぱいだわ」
ワイワイ
メイド「人が多い所は得意じゃないんだけど…」
メイド「色んな人がいるものね」
メイド「若い人からおじさんまで」
メイド「あっちには怖いお兄さんもいるわ」
黒服「…」ギロリ
メイド「怖っ」
メイド「関わらない様にしよ」
メイド「こんにちわ~」
男「いらっしゃい! 」
男「ってメイドちゃんか」
メイド「また来たわよ~」
男「今日は何が欲しいんだい?」
男「毎度~」
メイド「またね~」
メイド「あと買うものは…」
メイド「卵と…調味料と…」
メイド「それから…」
ドシン
メイド「きゃあ!」
メイド「いったぁ…」
メイド「ちょっとあんた」
メイド「気をつけなさいよ!」
メイド「…って」
黒服「あん?」
メイド(…怖い人だった!!)
メイド「ご、ごめんなさぁい!」
メイド(ヤクザだぁ!!)
黒服「何だお前」
黒服「喧嘩売ってんのか?」
メイド「すみません! すみません! すみません!」
メイド(怖い! 怖い! 怖い!)
黒服「舐めてんの?」
メイド「…許して下さぁい」グス
サングラス「どうしたんすか?」
黒服「おう、お前か」
黒服「こいつがぶつかっておいて舐めた口聞きやがるんでな」
サングラス「それは許せませんね!」
メイド(ひいいぃぃ!!)
黒服「俺はな…女でも殴れるタイプなんだ…」
メイド(終わった…)
黒服「生意気な女が何よりも嫌いなんだ」
メイド(お母さぁん)グス
黒服「言って分からない奴は殴るしかねぇんだよ!」
メイド(ご主人様ぁ)グス
メイド(…助けて)
??「こっち!」グイ
メイド「え?」
ダダダ
黒服「おい待てこら!」
メイド「え!? なになに!?」
女「速く走って!」
メイド(この人…だれ?)
女「ここまで来れば大丈夫よ」
メイド「はぁ…はぁ」
女「あなたみたいな人初めて見た」
メイド「はぁ…はぁ」
女「ヤクザに喧嘩売るなんて」
メイド「はぁ…あれは…はぁ…つい…」
メイド「とにかく…ありがとう!」
女「メイドさんがヤクザに絡まれてるんだもん」
女「放ってはおけないわ」
メイド「あなたは?」
女「私は女」
メイド「私はメイド」
メイド(綺麗な人…)
女「今日は友達とこの辺で来ててね」
女「つまらなくなったから途中で別々で行動してたってわけ」
女「だって二人で来たのにずっと模型ばっかり見てるんだよ?」
女「飛行機の模型なんか興味ないわ」
女「もしもし?」
女「今すぐ来てね」
女「ここは~だから」
女「早くしてね~」ピッ
メイド「携帯持ってるのね」
女「今時誰でも持ってるわよ」
女「…それと友達呼んだから」
女「もうすぐ来るわ」
女「せっかくだから…」
女「お話しましょ♪」
女「友達も紹介するわ!」
メイド(よく喋る人ね)
女「メイドさんって珍しいわよね」
メイド「そうかしら?」
女「私も一人だけメイドさんを知ってるんだけどね」
メイド「どんな人なの?」
女「会ったことはないんだ」
メイド「そうなの」
女「友達がお金持ちでね」
女「その人のメイドなんだ」
女「口は悪いけど…」
女「とっても優しいんだって♪」
メイド「へ、へぇ…」
女「いつか会ってみたいなぁ」
メイド(そのメイドってもしかして…)
青年「いたいた! 女ちゃーん!」
メイド(嘘でしょ)
青年「もう! 急にいなくなっちゃって! 探したんだから!」
女「思ったより早かったわね♪」
青年「ってその人…」
女「あ、紹介するねさっき知り合った…」
青年「メイドさんじゃん!」
女「あれ? 知り合い? メイドさんってことは…あのメイドさん?」
メイド「ははは…どうも…」
青年「じゃあ僕が紹介するよ」
青年「こちらが僕のメイドさんで」
青年「そして僕の友達の女ちゃん」
メイド「どうぞよろしく」
女「どうぞよろしく」
メイド(それにしても偶然ってあるものね)
メイド(ご主人様の友達かぁ…)
メイド(友達…)
メイド(友達…!?)
メイド(女の!?)
メイド(女友達なんていたの!?)
メイド(全然知らなかったんだけど!)
メイド(私の他に女の知り合いがいたなんて…)
メイド(二人で休日に遊んでたってことは)
メイド(デートよね!?)
メイド(もしかしてご主人様の彼女ってことは…)
青年「高校の同級生なんだ」
メイド()
青年「って聞こえてないね」
女「…」
ー昼ー
青年「暇だ」
メイド「…」
青年「何かして遊ばない?」
メイド「…はぁ」
青年「?」
メイド「あんたも学習しない人ね」
メイド「私は仕事中なのよ?」
青年「はいすみませ」
メイド「まあ…今はする事が無いから付き合ってあげても良いけど」
メイド「何するの?」
青年「するんかい」
青年「ゲームはどう?」
メイド「やったことない」
青年「将棋は?」
メイド「ルール知らない」
青年「トランプは?」
メイド「…名前が気に入らないわ」
青年「どういうこと?」
メイド「なんとなくよ」
メイド「そうねぇ…」
メイド「オセロなら良いわ!」
青年「オセロか…」
メイド「昔お母さんに教えてもらってね」
メイド「けっこう強いんだから♪」
青年「ふーん」
メイド「信じてないわね!」
青年「うーん」
メイド「…」イライラ
青年「どうしようかなぁ」
メイド「さっさと石を置きなさいよ!」
青年「もうちょっと考えさせて」
メイド「…」イライラ
青年「僕はね…」
メイド「…」イライラ
青年「遊びは本気でやるタイプなんだ」
青年win
青年「やったぁ!」
メイド「…」プルプル
青年「僕の勝ちだね♪」
青年「やっぱり角は取らないと♪」
青年「僕はね…」
青年「手加減しないタイプなんだ♪」
メイド「私はね…」
青年「ん♪」
メイド「負けるのが絶対に許せないタイプなのよ!」
ー女ー
青年「言ってなかったけど」
メイド「?」
青年「今日は友達が来るんだ」
メイド「はぁ? そんな事聞いてないんだけど」
青年「うん、今言った」
メイド「いつも突然なんだから」
メイド「まぁ良いわ! 私に接客しろってわけね」
青年「そういうことです」
メイド「任せなさい! 私はこう見えてもおもてはしは大の得意」
青年「女の子なんだけど」
メイド「…」ピク
青年「ずっと部屋で遊んでるから」
青年「あ、お茶とお菓子出してくれる?」
メイド「も、もしかして、女の子っていうのは前に会った」
青年「うん、あの時の女ちゃん」
メイド「…」
青年「あれ以来うちに来たがってて、予定が空いたから今日来ることになったわけ」
メイド「…」ムス
青年「あれ? メイドさん女ちゃん嫌いなの?」
メイド「そ、そんなことないわ! 全然ないから!」
青年「それなら良かった」ニコリ
メイド(どうしようどうしようどうしよう!)
メイド(いつかこんな日が来るとは思ってたけど!)
メイド(遂にあいつが来るのね)
メイド(あの日以来…悩まなかった日は無いわ)
メイド(女がもし…ご主人様の恋人だったら…)
メイド(私は…)
メイド(私は…)
メイド(どうすれば良いの?)
ピンポーン
メイド「…!!」ビク
青年「きたきた」
メイド(ううん)
メイド(取り乱しては駄目よ)
メイド(頑張れ私!)
メイド(深呼吸しましょう)
スーハー
スーハー
メイド「よし!」
女「やっほー!」
青年「いらっしゃい」
メイド「い、いらっしゃいませ」
青年「メイドさん顔ひきつってるよ」
メイド「そ、そうね」
女「来ちゃった♪」ギュ
青年「ちょ、ちょっと! いきなり苦しいって!」
メイド「!?」
メイド(ハグ!? いきなり!?)
メイド(嘘でしょ?)
メイド(嘘だと言って!)
女「メイドさんも久しぶり!」
メイド(ご主人様と…)
女「聞こえてないね」
メイド(…)
メイド「…絶対に」ボソ
メイド「絶対に許さない」ブツブツ
メイド「私のご主人様を」ブツブツ
女「な、なんか怖いね…」
女「こんな感じだったったかな」
洋館中
女「広いわね!」
青年「まあね」
女「ほんと凄いよ!」
青年「はは、凄いのは両親さ」
メイド「…」ガチャン
メイド「ちょっと」
女「わ、私?」
メイド「あら? 他に誰かいるかしら?」
メイド「何飲みたいわけ?」
メイド(毒でも入れてやろうかしら)
青年「ちょっとメイドさん!」
メイド「なに」
青年「お客さんなんだからもうちょっと優しく」
メイド「うるさい、何飲むか聞いてんの」
青年「あのねぇ」
女「いいのいいの! 大丈夫だから」
女「コーヒーお願いできる?」
メイド「…」ガチャ
青年「ごめんね態度悪くて」
女「ううん、いいの聞いてた感じと同じだから」
青年「普段はお客さんには優しいんだけどね」
女「私嫌われちゃったのかな?」
青年「女の子家に連れて来たのは初めてだから緊張してるんじゃない?」
女「女の子が初めて?」
青年「そうだけど」
女(メイドちゃん…もしかして)
メイド「…」ガチャ
メイド「持ってきたわよ」
青年「ありがと、そこに置いといて」
ワイワイ
メイド「…」ジッ
青年「あ、あのメイドさん」
メイド「なに」
青年「何か用?」
メイド「用なんかないけど、いちゃ悪い?」
青年「そういうわけじゃ」
メイド「私は邪魔者ってわけね」
青年「そんなこと言ってないって」
メイド「いいわよ!」
メイド「二人でいちゃいちゃしていれば!」
女(あー分かっちゃったかもしれない)
メイド「どうせ私なんか!」グス
女(メイドちゃん、青年くんのことが…)
メイド「…」バタン!
女「行っちゃった」
青年「変なの」
青年「気にしなくていいから」
女「あなたは少し気付いた方がいいよ」
青年「?」
女「ちょっとメイドさんと二人で話してきてもいい?」
青年「え、いいけど」
キッチン
メイド(二人で楽しそうに遊んじゃって!)
メイド(…気に入らない)
メイド(何もかも気に入らないわ!)
メイド「…」グス
女「メイドちゃん♪」
メイド「…」
女「無視しないで」
メイド「…」
女「…」
女「私青年が好きよ」
メイド「はぁ!?」
メイド「あんたなんなの!? 私に自慢しにきたの!?」
メイド「私に惨めな思いさせにきたの!?」
メイド「私だって…」
メイド「ご主人様を…」
女「やっぱり♪」
メイド「え?」
女「メイドちゃんも青年くん好きなんだ♪」
メイド「あんた何言ってんの!」
メイド「私があんな奴好きなわけないじゃない!」
女「じゃあ私が貰ってもいい?」
メイド「…」
メイド「…それはだめ」
女「そんなの知ってるわよ♪」
女「嘘ついたって全部分かるんだから」
女「私はメイドちゃんを応援したいの」
女「だってメイドちゃんと青年くんすっごくお似合いだもん!」
メイド「…//」
メイド「で、でもあんた!」
女「私は青年くんが好きだけど恋人になりたいとは思わないわ」
女「友達として好き」
メイド「…そうだったの」
女「だから二人が近付ける様に手伝うわ♪」
メイド「私勘違いしてた…」
メイド「さっきはごめん」
女「いいのいいの♪」
女「さあ、仲直りしたことだし二人でお喋りしましょ!」
メイド「うん!」
青年「行ったきり全然戻って来ない…」
青年「どっか行ったのかな?」ガチャン
リビング
女「だいたい男って駄目なのよ」
メイド「そうそう、鈍感だし、子供っぽいし」
ワイワイ
女「今度一緒に街へ遊びに行きましょうね♪」
メイド「それはいいわ!」
青年(なんか仲良くなってる)
私に初めての友達ができました
青年「僕は?」
メイド「あんたはただの雇い主ね」
夜
メイド「何それ」
青年「新しいDVDを買ったんだ」
青年「それもブルーレイで♪」
メイド「また~?」
青年「一緒に見たい?」
メイド「良いわ! 付き合ってあげる」
メイド「今日の仕事はもう終わった所だし」
青年(すっかりはまったな)
青年「ちなみに」
メイド「?」
青年「今回のはミュージカルじゃないから劇中歌は無いよ」ニヤニヤ
メイド「あ、あんた! 覚えてたのね!」
青年「ふふ」
メイド「//~!」
青年「ポップコーン食べる?」
メイド「食べるわ」
青年「よし! 準備完了! 始まるよ~」ブーン
メイド「しっ!」
青年「あ、はいすいません」
『夢を見るのは素晴らしいことよ…信じすぎなければね』
メイド「…」フーン
『人生は歌を歌えば魔法の様に夢が叶うミュージカルアニメじゃないんだ』
メイド「…」ウンウン
『全員と仲良くするなんて無理なんだよ』
メイド「…」
『より良い世界にしたかったのに…私は逆に壊してしまった』
メイド「…」ウルウル
青年「!?」
青年「あー面白かった」
メイド「まぁ、子供向けの映画にしては…」
メイド「今回のはなかなか良かったわ」
青年「動物達も可愛かったしね」
メイド「差別は良くないっていうのは賛成かしら」
青年「あ、無視ですか」
メイド「人を見かけで判断するのは間違ってるわ」
青年(めっちゃ本気で見てるし)
次の日
メイド「~♪」
青年「あ、メイドさんだ」
メイド「やるのよ~♪」
青年「デジャブかな?」
メイド「あ、あんた! 」
青年「歌上手だね~」
メイド「//~!」
メイド「またやってしまった…」
ー風邪ー
青年「うぅ…苦しい…」
メイド「大丈夫だから」トントン
青年「けほっ…けほっ」
メイド「無理しないで寝てなさい」ナデナデ
ご主人様が風邪をひいた
メイド「まったく…」
メイド「夜更かしなんかするから体壊すのよ」
青年「…寒い」
メイド「はいはい温かくしてあげるからね」ピッ
青年「…メイドさん…ごめん迷惑かけて」
メイド「迷惑なんかじゃないわ」
メイド「あんたの面倒見るのが仕事だもの」
メイド「それにあんたの面倒見るのは…」
青年「?」
メイド「と、とにかく! 余計な仕事増やして…」
メイド「早く元気にならないと許さないわ!」
メイド「おかゆ作ったわよ」コトン
青年「悪いんだけど…」
青年「…食べさせてくれる?」
メイド「もう! 子供なんだから!」
メイド「今回だけだからね?」
「はい…あーん♪」
青年「あーん」
メイド「美味しい?」
青年「…うん…けほっ」
メイド「そう、良かった」
青年「…」ウーン
メイド「じゃあ私少しやることあるから」
メイド「ちょっとだけ時間かけるけどすぐ戻るわ」
青年「うん…分かった」
メイド「大丈夫?」
青年「大丈夫…大丈夫」
メイド「…」
青年「はぁ…はぁ」
青年「けほっ…けほっ」
青年(だんだん症状が酷くなってきた)
青年(やばい…辛い)
青年(うぅ…)
青年(助けて…)
青年「…メイドさん」
メイド「なーに?」
青年「メイドさん居たんだ…」
メイド「ずっと居たわよ」
メイド「あんたの側にね」
メイド「あんたが心配だから」
メイド「私はあんたのメイドなの」
青年「やっぱり…」
メイド「?」
青年「メイドさんは…優しいね…」
メイド「~//」
メイド「当たり前でしょ!」
メイド「…」バタン
青年「う、うるさい…」
ーランチー
車内
メイド「学校早かったわね」ブーン
青年「今日は終業式で午前授業だから」
メイド「家に着いたら昼食作るから」
メイド「少し待ってなさいよ」
青年「それなんだけど」
メイド「?」
青年「たまには外食しない?」
メイド「外食ですって?」
青年「この辺りはお店並んでるし」
青年「せっかくだしさ」
メイド「私の料理には満足できないってことかしら?」
青年「いや、そういうわけじゃないけど」
メイド「残念だけど…」
メイド「お金は少ししか持ち合わせていないの」
メイド「この辺は食通の人達が来る様な高級なお店しかないわ」
メイド「諦めるのね♪」
メイド「でもまあ、行くとしたらラーメンとかピザとか…あんまり高くない所なら行けなくもないわ」
メイド「ちょっと遠いけど」
青年「あーお金のことなら大丈夫」
青年「僕けっこう持ってるから」
青年「ほら!」
パラパラパラ
メイド「! 凄い大金じゃない!」
メイド「どっからそんなお金持ってきたのよ!」
青年「どっからって…普段からこれくらいなら持ってるよ」
青年「家裕福だし」
メイド「そ、それはそうよね!」
メイド(もう! 子供にどんだけ持たせてんのよ!)
メイド(どうせ高い所行ったって味の違いなんか分からないんだから!)
青年「あ、あそこにしよう!」
メイド「あそこって…」
メイド「高級レストランじゃない!」
メイド「しかも星が付くような…」
青年「行こう行こう!」
メイド「もうどうなっても知らないわよ!」バタン
レストラン
メイド「大きいシャンデリアね」
メイド「緊張してきたわ」
ボーイ「お客様、ご予約は?」
メイド「あ、あの! し、してないんですけど!」
ボーイ「申し訳ございませんが、予約の無い方は…」
メイド「ハ、ハイ! すぐ帰ります! 」
青年「大丈夫大丈夫」
メイド「へ?」
青年「あの、うち分かる? ~って言うんだけど」
ボーイ「あ、はい! ~家の~様ですね!」
ボーイ「失礼致しました!」
ボーイ「こちらへどうぞ!」
青年「どうも」
メイド(嘘だ)
メイド「立派な個室…」
ボーイ「こちらメニューになります」
青年「いいよ適当で、どうせ分かんないし」
ボーイ「かしこまりました」スタスタ
青年「さっき声裏返ってたね」
メイド「ほっといて!」
メイド「それにしても」
メイド「あんなのフィクションでしか聞いたことないわよ」
メイド「あんた凄かったのね」
青年「はは、凄いのは両親だって」
メイド「顔パスって実際にあったんだ…」
メイド「見るからに高そうな料理」
メイド「私の給料何ヵ月分かしら」
青年「あ、ワインだ♪ これ飲んでみたかったんだよね」
メイド「駄目よ! あんた未成年でしょ! 私が飲むわ!」ゴク
メイド(と言っても私もお酒飲んだことなかった)
メイド「…にが」
店の外
感想
青年「ん~、よく分からなかったかな」
青年「そもそも食事にあまり拘りないし」
青年「メイドさんはどうだった?」
メイド「そ、そうね! 美味しかったわ! 子供には分からないわよ!」
メイド(緊張して味わえなかったなんて絶対に言えない…)
青年「やっぱり…」
青年「食事は普段のが一番いいかな♪」
青年「僕にはメイドさんの料理があってるよ」
青年「夕食はよろしくね♪」
メイド「ま、任せなさい!」
メイド「さあ! 帰るわよ!」
青年「メイドさん、お酒飲んでるよね?」
メイド「え?」
青年「どうやって帰るの?」
メイド「」
青年「」
夕方
メイド「だんだん暗くなってきたわ」
青年「歩いて帰れる距離じゃないし」
青年「近くのビジネスホテルがあるから…」
メイド「そこに泊まろうってわけね」
青年「…」ウィーン
青年「予約してくる」
ホテルマン「いらっしゃいませ」
青年「あの~」
青年「鍵貰ってきた」
メイド「鍵は一つだけ?」
青年「あ、同じ部屋にしたけど」
青年「いいよね?」
青年「キャンセルめんどくさいし」
メイド「もう!」
メイド「あんたと同じ部屋で寝るなんて嫌だけど」
メイド「うっかりお酒飲んだのは私が悪いから…」
メイド「許してあげる」
メイド「思ったより狭いわね」ガチャ
青年「気にならないよ」バタン
メイド「ちょっと!」
青年「ん?」
メイド「ど、どういうこと?」
メイド「ベッドが一つしか無いじゃない!」
青年「だからさっき聞いたじゃん」
メイド「ベッドが一つとは聞いてないわ!」
メイド「二人って言わなかったの?」
青年「その分安くなるんだって」
メイド「あんたお金は持ってきてるって言ってたでしょ!」
メイド「で、どうすんの?」
青年「一緒に寝れば良いと思うけど」
メイド「考えられない!」
メイド「ベッドで寝るとか…そんな恋人同士がする様なこと…」
メイド「だめだめ! 絶対だめ!」
メイド「私にできるはずないでしょ!」
メイド「あんたが床で寝なさい!」
青年「…嫌だよ」
青年「…寒いし」
青年「とりあえず風呂入ってくる」
メイド「うぅ…」
メイド(ご主人様と…)
メイド(同じベッドで?)
メイド(そりゃ、最高だけどさ!)
メイド(そんなの恥ずかしすぎるわ)
メイド(なんでご主人様は全然気にしないの?)
メイド(私をこれっぽっちも意識してないってこと?)
メイド(私だけ騒いで…バカみたいじゃない)
メイド「はぁ…」
青年「あがったよー」ガラガラ
メイド「次私入る」
メイド「上がったわ」ホカホカ
青年「…」ゴロン
メイド「ってもう横になってる」
メイド「こ、こういう時は深呼吸ね…」
スーハースーハー
メイド「…」ドキドキ
メイド「は、入るわよ~」
青年「…」
メイド「無視ですか」
青年「Zzz…」
メイド「あ、もう寝てたの」
メイド「人の気も知らないで」
メイド「気楽なものよね」バサ
ゴソ
メイド(わぁ~~!)
メイド(近い近い近い近い!)
メイド「~~! //」
メイド(密着してるって!)
青年「Zzz…」
夜中
メイド(ご主人様の背中…広い//)
ゴソゴソ
メイド(寝返り!?)
メイド(顔が…目の前に…//)
青年「Zzz…」ギュ
メイド「…あ?」
メイド(寝ぼけて…)
メイド「…」プシュー
メイド(体が熱い…)
メイド(熱い熱い熱い熱い!)
メイド「…あっ」キュン
メイド(私おかしくなってる)
メイド(もう…だめ…)
メイド(耐えられない)
青年「Zzz…メイドさん…Zzz…」
メイド「!」
メイド(寝言?)
メイド(寝言で私を呼んだの?)
メイド「う~」
メイド(突然ずるいわ!)
メイド(…嬉しいけど)
メイド「ねぇ、起きてる?」
青年「Zzz…」
メイド「寝てるわよね?」
メイド「寝ている時じゃないとこんなこと言えないわ」
メイド「私ね」
メイド「今、とっても幸せ♪」
メイド「大好きな人とこんなに近い距離で一緒に居られてるんだもん」
メイド「どこかへ行かないでよね」
メイド「好き好きだぁーいすき♪」
青年「Zzz…」ブン
メイド「っ!」ボコ
メイド(いったぁ~!)ズキズキ
メイド(蹴ったわね!)
メイド(…ご主人様が寝相悪いの忘れてたわ)
チュンチュン
朝
メイド「…ふわぁ」
メイド「ご主人様はまだ寝てるわ」
青年「Zzz…」
メイド(昨日はどきどきしたなぁ♪)
鏡
メイド「髪はぼさぼさ」
メイド「こんな格好でご主人様の前に出られるはずないじゃない」シュッシュッ
メイド「あんた!」
メイド「起きて!」
メイド「起きなさい!」
ーおしゃれー
メイド「…ねぇねぇ女ちゃん」
女「なーに?」ゴクゴク
メイド「どうしたらもっと素直になれるのかな?」
女「ん~」チューチュー
女「難しい問題ね~」
女「メイドちゃんは頑固だからな~」
メイド「わ、私はただ…」
女「分かってるって!」
女「そうね~」
女「思いきって告白でもしてみる?」
メイド「告白!?」
メイド「むりむりむりむり! 絶対にむり!」
女「メイドちゃんは甲斐性なしだもんね」
メイド「…むぅ」
女「先は長そうだわ」
女「おしゃれしてみるのはどう?」
女「おしゃれかぁ…」
女「そう、おしゃれ!」
女「メイドちゃん、いつも同じ格好でしょ?」
メイド「そりゃ、私はメイドだから…」
メイド「メイド服がメイドの制服だもの」
女「たまには違う姿をアピールするの」
女「青年くんはどきっとするかもしれないわ」
メイド「メイド服じゃ変?」
女「エプロンドレスは可愛いからそのままでも良いと思うわ」
メイド「じゃあ何するの?」
女「メイクと小物を足したらいいと思う」
メイド「でもどうすれば分かんない」
メイド「いつもはご主人様の服を考えてるけど」
メイド「自分のは…」
女「安心して! 私がメイドちゃんを可愛くしてあげる♪」
鏡台
女「さぁ! メイクしちゃうわよ」
女「その椅子に座って」
女「美人さんだからメイドは薄くても平気ね」
女「じっとしててよ~」
メイド「う、うん」
女「眉は薄いのね」
女「これなら手を加えなくてもOKだわ」
メイド「元から薄くてね」
女「化粧水で肌をぴちぴちにしましょ」
女「コンシーラーに」
メイド「くすぐったいわ」
女「ファンデーション♪」
女「チーク」
女「恋する女の子のほっぺね」
メイド「なにそれ//」
メイド「眼は気合い入れないとね♪」
メイド「大きくて、甘えん坊な眼ね」
女「唇は健康的な赤」ヌリヌリ
女「…キスしてもいい?」
メイド「…!」ビク
女「冗談だって! 恥じては好きな人に贈ってね♪」
メイド「が、頑張ります//」
女「…」
女「完成よ!」
メイド「これが私?」ドキ
女「可愛い!」
女「抱き締めたくなっちゃう!」ダキッ
メイド「もうしてるじゃない」
女「それから」
女「カチューシャの代わりに…」
女「リボンを着けましょうね~♪」
メイド「子供っぽくないかしら?」
女「少しくらいぶりっ子っぽい方が丁度良いわ」
女「最後に…練習しましょう」
メイド「練習? なんの?」
女「いいから!」
メイド「うん…」
女「お待たせ致しましたご主人様♪」
メイド「お、お待たせ致しましたご主人様!」
女「私をお嫁さんにしてくれますか?」
メイド「私を…」
メイド「って何言ってんの!」
女「頑張ってアピールするのよ!」
女「あわよくばちゅーしちゃいなさい♪」
メイド「が、頑張ってみる…!」
部屋
青年「~♪」ピコピコ
メイド「あ、あんた」
女「あんたじゃなくてご主人様!」ボソ
メイド「…ご主人様…//」
青年「ん? どしたの?」
メイド「ふーっ」ドキドキ
メイド「どうかしら//」ヒラッ
青年「どうって…」
青年「何が?」
メイド「…!」イラ
女「怒らない怒らない!」ボソ
女「そして可愛く!」ボソ
メイド「はいはい!」ボソ
メイド「あのね…」
青年「うん」
メイド「今日は何か違うと思わない?」
青年「ん~」
青年「今日はいちだんと寒いよ~」
メイド「~~!!」ピキピキ
青年「クリスマスも近いし」
メイド「そうじゃなくてっ!」
メイド「私に関することよ!」
青年「メイドさんが~?」
青年「う~ん」
青年「相変わらずだと思うよ」
メイド「相変わらず…」
メイド「うぅ…」
メイド「ほんとにあんたって人はっ!」
メイド「もう知らないっ!」
メイド「ご飯も作ってあげないんだから!」
メイド「朝も一人で起きて!」
メイド「掃除も自分でやりなさい!」
青年「そ、それは困るって…」
メイド「あんたなんか…!」
メイド「…」バタバタ
青年「行っちゃった」
青年「なんかしたかな…」
女「青年くんさぁ…」ハァ
青年「あ、女ちゃん」
女「本当に目が腐ってるんじゃない?」
青年「へ?」
ーメイド長ー
メイド長「掃除は時間との勝負よ!」
メイド「はい!」ササッ
メイド「料理は二つの物を同時に作りなさい!」
メイド「はいはい!」アタフタ
メイド長「お金の管理は正確に!」
メイド「いちにさんし…」
メイド「ベッドは少しでもシワを残したらやり直し!」
メイド「はいっ!」ピシ
青年「大変だねぇ」
メイド「やっと終わったわ…」バタン
青年「お疲れさん」
メイド「はぁ…はぁ…」
青年「そういえばメイド長さん、最近張り切ってるよね」
メイド「前からずっとあんな感じ」
メイド「お母さん、あんたと違って人に厳しいから…」
メイド「自分にもね」
メイド「ずっと働きっぱなしの人生だってって言ってたわ」
メイド「いつの間にか使用人達を束ねる立場になってたって」
青年「ふーん」
青年「メイド長ってメイドさんのお母さんだよね?」
メイド「そうだけど」
青年「メイドさんはどうしてここで働いてるの?」
メイド「…」
メイド「過去の話なんかしたくないわ」
メイド「良い思い出なんかないもの」
青年「…聞いて悪かったよ」
メイド「でもあんたに少しだけ私の昔話を教えてあげる」
メイド「お母さんはね…」
メイド「あんたのお父さんの幼馴染みだったの」
メイド「あんたのお父さんは私のお母さんの仕事の面倒を見てくれたわ」
青年「…」
メイド「私のお父さんは生まれてすぐに死んじゃったからお母さんは働かなくちゃいけなくなって」
青年「…ごめん」
メイド「いいのよ」
メイド「今時母子家庭なんて珍しくもないわ」
メイド「私達はもともとここからずっと遠く離れた田舎で暮らしてて」
メイド「お母さんはあんたのお父さんの所で出稼ぎに行ってたってわけ」
メイド「私は実家で一人暮らし」
メイド「仕送りで生活していたの」
青年「そうだったんだ…」
メイド「それから私は…」
メイド「…やっぱり話したくない」
メイド「話すとしてもまた今度ね」
青年「そうか…話してくれてありがとう」
メイド「どうってことないわ」
青年「…」
ーゲームー
メイド「ふぅ…」
メイド「今日もやっと仕事が終わったわ」
メイド「家事がいくら好きでも…」
メイド「毎日は大変よね~」
メイド「社会は甘くないわ…頑張れ私!」
メイド「…もう慣れたけどさ」
メイド「入るわよ」ガチャ
青年「…どうぞって言う前に言って欲しかったかな」
メイド「あんた知らないの?」
メイド「信頼しあってる主人と使用人はノックをしないのよ」
メイド「あ…それは執事だっけ?」
青年「…聞いたことないな~」ジト
メイド「あ、あんたが勉強不足なだけよ!」
青年「ふ~ん」ピコピコ
メイド「はぁ…」
メイド「あんたは楽で良いわね」
メイド「人が一生懸命働いてた時に…」
メイド「あんたはのんきにゲーム?」
メイド「高校ももうすぐ卒業なのに…」
メイド「いつまでも子供ね~」
青年「ふん、子供の気持ちは忘れたくないね」ピコピコ
メイド「…」
メイド「何やってんの♪」
青年「今やってるのは動物達とのんびり暮らすゲームかな…」
メイド「釣りが楽しそうね」チャポン
メイド「他には無いの?」
青年「これはキャラクターを操作してゴールを目指すアクションゲーム…」
メイド「あっ…亀に当たって死んだわ」テテンテテン♪
青年「辺り一面をペンキで塗り潰すゲーム」
メイド「イカになった…」
青年「教授と一緒に謎を解くゲーム」
メイド「メダルが足りなくてヒントが貰えない…」
青年「塊を転がして大きくしていくゲーム」
メイド「神様巻き込んで大丈夫なの?」
青年「モンスターを捕まえるゲーム」
メイド「この子は知ってるわ♪ 電気で攻撃するのよね」
青年(めっちゃ楽しんでるじゃん)
青年(ゲームやったことないのかな)
メイド「…そこそこ楽しめたわ」
青年(幸せそうだったけど)
メイド「よく見ると対象年齢低めのゲームばかりね」
メイド「それに携帯のゲームはやらないの?」
メイド「今凄く流行ってるって聞くけど…」
青年「対象年齢の高いゲームはあまり好きじゃないんだ」
青年「怖いのとか複雑なのが多いから」
青年「肉を削いだり獲物を狩ったり」
メイド「…たかがゲームでしょ」
青年「面白い物に歳は関係ないね」
青年「携帯のゲームはほとんどタダだ…」
青年「僕はちゃんとお金を出して楽しみたいのです!」
メイド「金持ちが何言ってんだか…」
メイド「…あんたの拘りなんか知らないわ」
青年「よし…勝負しよう!」
メイド「あんた手加減しないから嫌よ」
青年「ハンデ付けるから!」
メイド「あらそう?」
メイド「じゃあ負けないわよ!」
青年「僕だって!」
メイド「…負けた」
青年「勝った」
青年(ずいぶん興奮してたな)
メイド「わ、私は大人だからね…こんなことでは…全然…」
青年(凄い悔しそう)
青年「ゲーム面白かった?」
メイド「…正直ちょっとはまったかも」
青年「いらないの何かあげようか?」
メイド「え?」
青年「そうだ!」
青年「クリスマスはゲームをプレゼントしよう!」
青年「どんなのが欲しい?」
メイド「…あのねぇ」
メイド「年下が生意気言うもんじゃないの」
メイド「普通は大人がプレゼントするんだから」
青年「それはそうだけど…」
メイド「まぁ…くれるって言うなら貰ってあげてもいいわ」
メイド「でも流石にクリスマスにゲームは遠慮しとく」
メイド「何か他の物をお願いね♪」
青年「他の物~?」
青年「全然思い付かないなぁ」
メイド「乙女心を考えてよね!」
メイド「期待しないで待ってるわ♪」
メイド「…」
青年「うーん」
メイド(クリスマスか…)
ー女ー
青年「~♪」ピコピコ
メイド「…」フキフキ パタパタ
ピンポーン
青年「あ、お客さんだ」
メイド「約束してた?」
青年「いいや、してない」
メイド「じゃあ誰かしら?」
玄関
メイド「はい…どちら様でしょうか?」ガチャ
メイド「…」キョロキョロ
シーン
メイド「誰もいない?」
メイド「いたずらかなぁ…」ガチャ
女「ばぁ!」
メイド「きゃっ!」ペタン
女「私だよ! 女!」
女「来ちゃった♪」
メイド「女ちゃん?」
メイド「びっくりした~」ドキドキ
メイド「ご主人様に用?」
女「ううん、今日はメイドちゃんと遊びに来たの♪」ギュー
メイド「く、苦しいって!」
女「あ、ごめんごめん」
メイド「もう、女ちゃんったら~」
女「えへへ…」
女「おじゃましまーす!」
青年「あ、女ちゃん」
青年「どしたの、遊びに来た?」
女「そうなんだけど…今日はメイドちゃんとお話しようと思って来たの♪」
女「だからメイドちゃん借りても良い?」
青年「メイドさんが良いって言うなら全然構わないけど…」
女「…だってさ! メイドちゃん良い?」
メイド「うん、お皿洗いも丁度終わったところだから私も大丈夫だよ」
女「それじゃメイドちゃんの部屋に行きましょ!」
メイド「うん!」
青年「最近凄い仲良いな…」
メイドの部屋
メイド「どうぞ」ガチャ
女「失礼しまーす!」
女「ところでさ!」
メイド「?」
女「青年くんとの距離は少しは近付いた~?」
メイド「ちょ、ちょっとはね!」
女「ちょっとってどれくらい?」
メイド「えっと…この前ね…」
女「うんうん!」
メイド「…お昼は何が食べたい? って聞いたら『メイドさんが作るものなら何でも良いよって』…//」
女「…」ジト
女「そ、そうですか…」
メイド「もう嬉しくって//」
女(…まだまだだな)
メイド「女ちゃんはご主人様と同じ学校なんでしょ?」
女「そうだよ、同じ高校の同じクラスね」
メイド「ご主人様は学校ではどんな感じ?」
女「お? それ気になっちゃう?」ニヤニヤ
メイド「…うん//」
女「って言っても、普段と全然変わらないよ」
女「青年くんはいつもと同じくらいマイペース」
メイド「なーんだ」
女「そういえば…」
メイド「そういえば?」
女「女の子と一緒にいることが多いかな」
メイド「な、何ですって!?」
女「青年くん優しいし…」
メイド「そんな…」
女「あ、でも友達って感じだから気にしなくてもいいんじゃない?」
メイド「あ…あぁ…」
女「…聞こえてないっか」
女「…そしたらそれでね」
メイド「うん!」
女「あらもうこんな時間」チラ
メイド「帰るの? じゃあ私が家まで送ってあげるね♪」
女「悪いわ」
メイド「いいのいいの、友達なんだから」
女「ほんとに大丈夫だって」
メイド「どうして?」
女「それはね…」
女「青年くーん!」
青年「はいはい」ガチャ
女「今日泊まっていっても良い?」
青年「全然構わないけど…」
女「ありがと!」
メイド「…」ポカーン
女「そういう事だから♪」
食堂
女「メイドちゃんのご飯美味しい!」キラキラ
メイド「ありがと♪」
メイド「でも大したことはないわ、普通よ普通!」ドヤ
女「え~美味しいよね? 青年くん?」
青年「え? あぁ、うん…最高だね」
女「ほ~」チラ
メイド「あぅ…」//
女「…」ニヤニヤ
メイド「べ、別に嬉しくないんだから!」
女「あーあぁ(それさえなければなぁ)」
青年「?」
部屋
女「お風呂入ってもいい?」
メイド「全然いいよ、ご主人様が入った後だけどね」
女「あのさ!」ヒソヒソ
メイド「なーに?」
女「一緒にお風呂入りましょ!」
メイド「えぇ!?」
女「青年くんちのお風呂、一度入ってみたかったんだ♪」
バスルーム
女「大きいお風呂ね~」
女「まるでプールみたい!」
女「ライオンがお湯を吐き出してるお風呂初めて見た…」
メイド「…//」
女「そんな所でもじもじしてないで早くおいで!」
メイド「うぅ~」
女「女同士なんだから気にしない気にしない!」
メイド「…」チラ
メイド(女ちゃんおっぱい大きい//)
メイド(羨ましいなぁ)
メイド(私は…)ムニ
女「メイドちゃんが髪おろしたの初めて見たわ」
メイド「そういえばメイクの時も髪は下げなかったわね」
女「…」
メイド「?」
女「可愛い~」ダキッ
メイド「きゃっ!」
女「もう! 反応も全部可愛い!」
女「いよいよ入っちゃいまーす」
メイド「どうぞどうぞ」
女「…ふぅ」チャポン
メイド「私も隣に失礼します」チャポン
メイド「私さ」
メイド「最近ちょっと太った気がしてね」
女「えー? 全然そんな風に見えないよ!」
女「むしろスリム過ぎて羨ましい!」
メイド「そ、そうかな…」ハハ…
女「アヒルピヨピヨ~」ジャブジャブバシャバシャ
メイド「…」ブクブク
女「メイドちゃーん! はじっこで体育座りなんかしてないで」バシャバシャ
女「一緒に泳ぎましょう!」
メイド「いいよ、私泳ぐの得意じゃないし」
メイド「…はぁ」
女「溜め息なんかついて」
女「なんかあったの?」
メイド「…」
メイド「…私ねお風呂に入るといつも悩んじゃうんだ」
女「どうして?」
メイド「また今日も終わるなって…」
メイド「今日も何も変わらなかったなって…」
メイド「こうして何も変わらないまま…」
メイド「歳をとるのかな」
女「…」
女「そんなことない!」
女「少しずつでも距離は縮んでるよ!」
女「青年くんが好きなんでしょ?」
メイド「…うん」
女「じゃあめそめそしないで行動あるのみよ!」
メイド「む…めそめそなんかしてないわ」
女「そういえば聞いてなかったけど」
女「どうして青年くんが好きなの?」
メイド「…」
メイド「それは…」
メイド「私が初めてここに来た時にね…」
女「ほうほう」
ーーー
ーー
ー
女「へぇ~そんなことがあったの」
メイド「うん、その時からね私ご主人様が…//」
女「意外だなー♪ 青年くんがねぇー」
メイド「~♪」
女(…ししし)
女(呑気に鼻唄なんか歌って♪)
女(これから青年くんに自分の裸をさらすことになのるのに)クスクス
メイド「?」
女(今、青年くんをメールで脱衣所に呼び出したわ)ピピ
『バスタオル忘れたから持って来てくれる?』
『分かった』
女(私のスマホは防水性なのよね♪)
女(青年くんを呼びつけたから)
女(もうすぐ来るはず…)
女(そのタイミングに合わせて)
女(メイドちゃんを外に出す!)
女(完璧な計画ね!)
女(女の子の裸見たらあの青年くんでも意識するはずだわ)
女(それが身近な娘だもん! どきどきしてたまらないに決まってる!)
女(そしたら、そのまま流れに任せて…)
女「むふふふ」
メイド「ど、どうかしたの?」
女「ううん、何でもないよ♪」
脱衣所
『タオル持ってきたよ』
女(来た来た♪)
『入り口の所に置いといてくれる?』
青年「入り口か…」
女「メイドちゃん、悪いんだけど洗面所から歯ブラシ取ってきてくれる?」
メイド「別にいいけど…?」
女「お願いね♪」
メイド(歯ブラシくらい自分で取ってくれば良いのに…)ザブン
メイド(そんなに湯船から出たくなかったのかしら?)
女(さぁ! どうなる? 頼むよ二人とも!?)
メイド「…」ガラガラ
青年「ん?」
メイド「へ?」
青年「あ、ごめん」
メイド「あぁ……あ……あ」
青年「すぐ出てくよ」
メイド「きゃああああぁぁぁぁ!!!!」
青年「ご、ごめんって!」
メイド「うわああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
青年「出てく出てく!」
メイド「…!!!」ガラガラバタン!
メイド長「何があったの!?」バタバタ
青年「あ、メイド長さん、何でもないんです」
メイド長「あらそーお?」キラン
青年「危ないので包丁をしまってください」
風呂場
メイド「見られた見られた見られた見られた」ブツブツ
メイド「私の…全部見られた 」
メイド「どうしようどうしようどうしよう」
メイド「…はは…ははは」
メイド「あははは!」
女(悪いことしたな)
脱衣所
女「…」ガラガラ
青年「あ、女ちゃん」
女「タオルありがとう」
女「ごめんね、うるさくして」
青年「いや、まぁ僕が悪いんだけどね」
青年「あ、メイドさんに伝えてくれる? 何も見てないって」
女「了解」
青年「今、コンタクト外してるし」
青年「何も見えてないからって」
女「青年くんコンタクトだったの!?」
バスルーム
メイド「…」ブクブク
女「大丈夫よ大丈夫」
メイド「…ぐすっ」
女「大したことないから、私だって青年くんに裸見られたし」
メイド「…女ちゃんは気にしなさすぎなの!」
女「それにさ予定より早かったと思えば…」
女「いつか恋人になって夫婦になったら…」
女「いくらでも見るんだから」
メイド「…」
メイド「…//」ボッ
女「メイドちゃんの裸可愛いし」
メイド「何言ってんの//」
メイド「もぅ…」
メイドの部屋
メイド「私の部屋で寝るの?」
女「もちろん!」
女「それとも青年くんの部屋で寝た方が良かった?」
メイド「絶対ダメ!」
女「分かってるって♪」
深夜
女「メイドちゃん起きてる?」
メイド「…起きてるわ」
女「夜更かししよう!」
メイド「明日朝早いんだけど…たまにはいっか」
女「なんかさ…」
メイド「なーに?」
女「こうして友達と夜中にお話してるって」
女「修学旅行を思い出さない?」
メイド「そ、そうだね!」
女「あ、今嘘ついた」
メイド「な、何で? 私嘘なんか」
女「誤魔化さなくたっていいわよ、友達なんだから分かるよそれくらい」
メイド「…ごめん」
女「私なんか変なこと言った?」
メイド「ううん…」
メイド「ただね私修学旅行行ったことなくて」
女「え」
メイド「どんなもんか知らなかったから」
女「…そうだったの」
メイド「…はぁ」
メイド「女ちゃんには聞いておいてほしかったんだけど」
メイド「これから言う事はご主人様には言わないでくれる?」
女「うん…約束は守る!」
メイド「…」
メイド「私高校言ってないの」
女「…」
メイド「中学は引きこもりだったわ」
女「…」
女「小学校は…?」
メイド「小学校…」
メイド「私ね」
メイド「小学校の時いじめられてたんだ」
ー青年ー
カフェ
女「ところでさー」
メイド「んー?」
女「青年くんって全然怒らないよね?」
メイド「そう言えば怒ったとこ見たことないわ」
女「普通だったらあり得ないよ、主人をあんたって呼ぶなんて」
メイド「そ、それは分かってるんだけど」
女「そうでなくてもメイドちゃん口悪いし」
メイド「…うぅ」
女「メイドちゃん私の前では普通よね?」
女「どうして青年くんの前だとあんなにツンツンするのかしら?」
メイド「…私昔から気が短いんだけど」
メイド「緊張すると目の前が真っ白になるの」
女「ふふ、知ってる」クス
メイド「特に好きな人の前だとどうしたらいいか分かんなくって、気付いた時には既に言葉が出て…」
女「…どうしたらいいもんかね」
青年の部屋
メイド「じゃ、私仕事に戻るから」 ガチャ
青年(僕も用事あるし、部屋を出るか)スッ
メイド「あ、あんた今日何食べたい?♪」クルッ
青年「わっ!」
メイド「きゃっ」
ドシーン
青年「いたたた」
メイド「もう! 倒れちゃったじゃない! 気を付けなさいよ!」
メイド「…あんた大丈夫? っていうか早くどいて!」
青年「あぁ、ごめん…ん?」ムニ
メイド「あ、あんた…どこ触ってんのよ!!」バチン!
バシーン
青年「…」
メイド「…!」
青年「…痛い」ヒリヒリ
青年「…ちっ」
メイド「あ、ごめ…いや、あんたが悪いんだか
ら!」
青年「…おい」 ギロ
メイド「ひっ」ビク
青年「暴力はダメだろ」ゴゴゴ
メイド「はいっ!」ドキ
青年「それにわざとじゃなかっただろ…」ズリズリ
メイド「あ…あぁ」
青年「殴る事はないんじゃないかな?」バン!
メイド「すすすすすみませんでした!」
青年「僕は痛いのが一番何よりも嫌でさ」
青年「普段は罵倒されても気にしないけど」
青年「血とか傷とか痛いは…」
メイド「ごめんなさい!」ガクガクブルブル
青年「分かればいいんだ」ガチャ
メイド「こわぁ!」ブルブル
メイドは一つ学習した
青年は殴られたらさすがに怒る
ークリスマスイヴー
玄関
メイド「じゃあまた来てね、女ちゃん」
女「うん、またね」ギュー
メイド「色々ありがとう」ボソ
女「ちゃんと練習した通りにね♪」
青年「練習?」
メイド「ちょ、ちょっと女ちゃん!」
メイド「ご主人様のいる前で言わないで!」ボソ
女「はいはい♪」
女「またねー」
メイド「ばいばーい」
女「…」テクテク
メイド「…」
メイド「わたしー! 頑張るからねー!」
女「…応援してるからー!」ニコ
青年「で、練習って何の?」
メイド「あんはた知らなくて良いの!」
メイドの部屋
鏡
メイド「あの…明日は予定あるの?」ドキドキ
メイド「クリスマスは暇?」ブルブル
メイド「一緒に行きたい所が…」バクバク
メイド「せっかくだからご馳走作ってあげる!」
メイド「…」
メイド「はぁ…何緊張してんの私」
メイド「まだ誘ってすらないじゃない」
メイド「いつも通り普通に言えば良いのよ」
メイド「すーはー」
メイド「あの!」
青年「独り言聞こえてきたけど何かあった?」ガチャン
メイド「~っ!!??」
メイド「ノックしなさい!」バタン
青年「入ってすぐに追い出された」
青年「ノックいらないって言ったのメイドさんなのに」
メイド「はぁ…はぁ」
メイド「何やってんだろ私」
青年の部屋
メイド「よし!」
メイド「はいるわよー」ガチャ
青年「あ、メイドさんいらっしゃい」
メイド「…ふぅ」
メイド「あのさ…明日」ボソ
青年「メイドさんも一緒に映画見る?」
メイド「は…はぁ~? 映画見るかですって!?」
メイド「今日はクリスマスイブなのよ! なのにあんたはまた映画?」
メイド「いっつもいっつも! 他にする事は無いの!?」
メイド「…私はね!」
青年「あ、そんなに嫌だった? ごめんね」
メイド「見ないとは言ってないじゃない!」
青年「はは、そう言うと思ったよ」
メイド(大丈夫! まだ言うタイミングはあるはず!)
青年「今日見るのはこれね」ポイ
メイド「わっ!」キャッチ
メイド「ん~?」
メイド「これはさすがに知ってるわよ、絵本だって子供の時に何回も読んだわ」
青年「これはね、ちょっと違くて、それの実写なんだ」
青年「お気に入りで何回も見てるんだよね」
メイド「ふーん」
上映
青年「始まるよ」
メイド「…」ジッ
『時間が過ぎて痛みは思い出に変わった』
青年「~♪」
メイド(ご主人様楽しそう)
『そういうものだからといって、そうするべきだという事じゃないわ』
青年「…」
メイド(映画を見てる時が一番幸せって感じよね)
『あなたを許すわ』
メイド「…」
エンディング
~この星のどこか♪~
メイド「…この歌知ってる」
メイド「素敵な歌よね」
~同じ夢を♪~
メイド「…」
青年「心に描いて~」
メイド「…!」
メイド(ご主人様歌上手…)
青年「涙溢れても~」
メイド「…」
メイド「勇気が導き~♪」
青年「!」
メイド「いつか必ず出会う~」
青年「…」
青年「私の光~♪」
メイド・青年『愛を信じてる~』
終了
青年「終わったよ」
青年「なんか恥ずかしかったな//」
青年「一緒に歌うとは思わなかった」
メイド「そうよ…悪い?」
青年「…いいや」
メイド「……」ジト
青年「…」
メイド「…」クスッ
青年「…ふっ」
メイド「ふふふ」
青年「はは」
青年・メイド「あははは!」
青年「メイドさんも笑うんだね」
メイド「私にだって楽しい時くらいあるわ」
青年「…」ブーン
メイド(よし…言うわ!)
メイド「あ、あの!」
青年「あそうだメイドさん、明日のクリスマスの予定は?」
メイド「へ?」
青年「暇だったらさ…良かったら夜一緒に食事でもどうかな…ハハ」
メイド「…」ポカーン
青年「駄目だったら別にいいんだけどね//」キョロキョロ
メイド(ディナーに誘われたってこと?)
メイド(私が? ご主人様に? そんな事ってあり得るの?)
メイド「い、いいわ
」
メイド「どこへでもついてってあげる」
青年「やったぁ♪」
メイド「だって私は…」
あんたのメイドだから
ークリスマスー
青年「遂にこの日が来たか」
青年「たまには僕だって男を見せる時がある…それが今日だ」
青年「メイドさんは何て言うかな」
青年の部屋
メイド「ねぇ、開けて!」ドンドン
青年「どうしたの?」
メイド「起きたら誰もいない」
メイド「お母さんも他の使用人達もいないの」
青年「あれ、聞いてない? みんな休みを取るんだって」
青年「クリスマスは大切な人と過ごしたいらしい、家族とか恋人とかね」
青年(そういえばみんなニヤニヤしてたな、何でだろ?)
メイド「そうだったの…なーんだ」ホッ
食堂
メイド「朝ごはん作ったから冷めないうちに食べてね」
青年「…」
青年「たまには一緒に食べない?」
青年(あ、どうせ『あんたなんかと!』って言われるかな)
青年「いや、何でもない、気にしないで」
メイド「…良いわよ」
青年「え」
メイド「一緒に食べましょう、今日は特別な日なんだから」
青年「やっぱりメイドさんの料理は最高だね!」モグモグ
メイド「うん 当然で…」ゴニョゴニョ
青年「どうしてもじもじしてんの?」
回想
女「明日は頑張って!」
メイド「うん!」
女「デートに誘って…いい感じのムードになったら」
女「メイドちゃんは眼を潤ませて青年くんの顔をじっと見詰めるの」
女「そしたら一歩側に近付いて顔を見上げる」
女「眼を閉じてそっと唇を差し出して…青年くんを待つ」
女「これでうまくいくから!」
メイド「…ありがとう、私なんかのためにいつも本気で考えてくれて」
メイド「それなのに私は全然駄目で…メイクの時も」
…何言ってんのよ
ーーー
ーー
ー
メイド「…」
メイド(無言が続いてる、何か話さないと…)
メイド「あんた…」
青年「あ、僕少し出掛けてくるから、友達とクリスマスパーティに…」
メイド「えぇ!? 今から?」
メイド「だ、だってあんたは今日、私と…!」
青年「あぁ、すぐに帰ってくるよ、昼には戻るから心配しないで」
メイド「あんたの心配なんか! …待たせたら承知しないから!!」
メイド(午前中に仕事は済ませた)
メイド(買い出しも…掃除も…お風呂もベッドも…あとクリスマスケーキも作った)
メイド(あと一応体も隅々まで洗った//)
メイド(あとは帰るのを待つだけ)
メイド「早く帰って来ないかな」
夕方
メイド「遅いな」
夜
メイド「…ぐすっ…えぐっ」
メイド「どうして?」グスッ
メイド「私を放っておいて、友達と楽しく遊んでるの?」ズズ
メイド「私はこんなに愛してるのに」
メイド「この前怒らせたから? いつも生意気な態度だから?」
メイド「うぅ」ヒクッ
バタン!
メイド「!」
青年「遅れてごめん!」ハァハァ
メイド「…遅い」
青年「いやぁ、なかなか帰してくれなくて」
メイド「遅すぎるわよ… それに言い訳なんか聞きたくない」グスッ
メイド「私どれだけ待ったと…」
青年「ほんとにごめん!」
メイド「遅れたら承知しないって言ったじゃない」ヒグッ
メイド「…で」
メイド「どうすんの? もうこんな時間だけど」フン
青年「あぁ、もちろん」
青年「今から行こう!」
メイド「そんなの当たり前でしょ…」
街の高層ビル
青年「着いたよ、階段登るけどいい?」
メイド「うん!」ニコニコ
青年「そこ段差だから気をつけて」
メイド「うわっ!?」
青年「危ない」ガシッ
メイド「あ、あんた…//」
メイド(ご主人様が手を握って//)
メイド「ぁりがと」
青年「せっかくだからこのまま行こうか」
青年(なんか今日は素直っていうか、しおらしいな)
メイド(なんか今日はかっこいい//)
レストラン
メイド「おしゃれなレストラン…」キョロキョロ
青年「予約するの大変だったんだ」フゥ
メイド「あんたが予約大変なレストランってあるの!?」
受付
メイド「みんなスーツかドレス着てる」チラチラ
メイド「どどどどうしようこんな私格好で! 入れないかもしれないわ!」
青年「何言ってんの」
メイド「へ?」
青年「メイド服はエプロンドレスでしょ♪」
メイド「…あ」
席
メイド「ほんとにこんな格好で大丈夫?」
青年「大丈夫大丈夫」
青年「それにメイドさん、凄く綺麗だから」
青年「メイド服が一番似合うのはメイドさんだよね」
メイド「あぅ…」ボッ
メイド(ご主人様、何か変…いつもこんなに誉めてこないのに)グルグル
~♪
青年「素敵なBGMだね」
メイド「それもピアノの伴奏付き…」
~見せてあげよう~
青年「この歌前に一緒に見た映画の主題歌だ」
~輝く世界~
メイド「見て見て! 窓からの眺め! 凄いきれいよ!」
青年「そうだね、良い景色だ」
~プリンセス自由の花をほら~
メイド「前も高級な所行ったけど、今日は雰囲気が全然違うわ」
ギャルソン「お待たせ致しました」コト
メイド「高そうなシャンパンね」
青年「まぁ、僕はコーラだけどね//」
メイド「私一生働いても返せないかも」
青年「お金のことは気にしないでよ、家が裕福なら使う時に使わなくちゃ」
青年「乾杯」
メイド「乾杯」
メイド「…」コクッ
メイド「ん」
メイド(なんだか体が熱くなってきたわ)
メイド(私お酒弱いのね)ポワ
青年「そろそろ渡そうかな」
メイド「~?」
青年「前に約束したよね、今日はクリスマスだからプレゼントを用意したんだ」ガサ
青年「女ちゃんと一緒に考えたからセンスは大丈夫!」
メイド「一体何かしらね~」ドキドキ
青年「これなんだけど」
メイド「これは…ペンダント?」
青年「そうさ、君に似合うと思って//」
メイド「…綺麗」
青年「候補は出して貰ったけど最後は僕が決めたから」
青年「嫌だったかな?」
メイド「そんなことない! 」
メイド「あんたにしては…ゴニョゴニョ」
青年「はは、聞こえないよ」
メイド「…すっごく嬉しいから!」
青年「それなら良かった」
青年「じ、実はもう一つ買ったんだよね!」
メイド「!」
メイド「ま、まさかあんたも同じのつけるってわけ?」
青年「そうしようと思ったけど嫌かな? …それならよしとくよ」
メイド(そうじゃないでしょ私! 嬉しいって言いなさい!)ムス
青年(メイドさんつまらなそう)
青年(嬉しくなかったかな)
青年(それとも僕と一緒じゃ楽しくないのかな?)
青年「なんだか今日は元気無いね」
回想
女「メイドちゃんが冷たい?」
青年「あぁ、僕嫌われてるのかな」
女「それは絶対ない」
青年「そう?」
青年「でも、あんたのために作ったんじゃないとか」
青年「勘違いしないでよねとか、結構言われるし」
女「あのね…女心は複雑なの」
女「まぁ少なくとも嫌いってことはないと思うよ♪」
ーーー
ーー
ー
メイド「私もあんたにプレゼントがあるわ」
青年「うそ!」
メイド「ほんとよ、いつもこんな私を許してくれてるから…そのお礼」
青年「…」ソワソワ
メイド「はいこれ!」
青年「セーター…」
メイド「私が編んだの」
青年「わざわざ僕に? ありがとう! 嬉しい!」
青年(これなら)
青年「着てもいい?」
メイド「どうぞ」
青年(成功するかも)
青年「ハハどうかな//」
メイド「あら、似合うじゃない♪」
青年「ちょっとお手洗いに行ってくる」ガタ
メイド「あ、行ってらっしゃい」
ギャルソン「お客様こちらの花束は?」
青年「あ、それはもう少し待ってて」
青年「…」ゴクッゴクッ
メイド(…話すことない)
メイド「…学校は楽しい?」
青年「メイドさんがそんなこと聞くなんて珍しいね」
メイド「何か文句でもあるわけっ!」
青年「別に無いさ、ただちょっと珍しいなって」
青年「学校は楽しいよ、充実してる」
メイド「そ、そう!…それはいいことだわ!」
メイド「すすすす好きな人はいるの?」
メイド(聞いちゃった~//)
青年「好きな人~? 好きな人か~」
メイド「…」ドキドキ
青年「メイドさんはいる?」
メイド「わわわ、私!?」
メイド「私は! 好きな人なんか!」
メイド「…あ」
お着きなさい私、落ち着いて…強がりなんか言ってどうするの…そんなことしたって何も変わらないじゃない
わ、私はね
…好きな人いるよ
ずっと好きな人
…
青年「そっか」
青年(そりゃメイドさんにも好きな人くらいいるよね)
青年(告白はだめだったか)
メイド「その人はね、優しくて…//」
青年「そっかそっか」ションボリ
青年(花束どうしよう)
メイド「?」
外
メイド「素敵な食事をありがとう…とっても美味しかったわ」
青年「僕こそありがとう、楽しかったよ」
青年「結構な時間なのに街には人でたくさんだね」
メイド「そうね」
メイド(特にカップルばっかり//)
メイド「街もイルミネーションでロマンチック…」
メイド(そろそろ…伝える頃かしら)
青年「駄目だな僕は」
メイド「え?」
青年「女心が分からなくて」
青年「いつもメイドさんを怒らせるし」
メイド「そ、そんな事ないわ!」
青年「はは、やっぱりメイドさんは優しいね」
青年「ほんとにごめんね」
青年「クリスマスは好きな人といたかっただろうに」
メイド「え? え?」
青年「ありがとう僕に付き合ってくれて」
メイド「いや、私が好きなのは…!」
青年「ごめんね付き合わせて」
青年「後でその人紹介してよ」
青年「メイドさんの恋を応援したいからさ//」
青年「さ、帰ろっか」
青年「ケーキ作ったんでしょ?」
青年「着いたら食べよっか♪」スタ
行っちゃう
どうして?
違うの
私…
「待って!!」
『眼を潤ませて
じっと見詰める
一歩側に近付いて
顔を見上げる
眼を閉じたら
そっと唇を差し出す』
青年「なに?」
メイド「あ、いやまた今度に…ハハ//」
青年「そう?」
だめ!
メイド「実はね…」
言うの!
メイド「前から言おうと思ってたんだけどね…」
言いなさい!
今日伝えるって女ちゃんと約束したでしょ!
練習したはず!
「あ、あのね…」
青年「んー?」
パクパク
「…!」
言葉が出ない
「…あ、あの!」
青年(俯いてどうしたんだろ)
嫌な汗が止まらない
ジワ
涙? 私泣いてる?
あ、あのね
今日は嬉しかったの
だって
だって…私が好きなのは!
ごしゅ…
黒服「お?」
メイド「え?」
黒服「お前、あの時のメイドか?」
メイド「え、え、え?」
『俺はな…女でも殴れるタイプなんだ…』
メイド「あ、あ…あぁ」ガクガク
『生意気な女が何よりも嫌いなんだ』
メイド「あ…あぁ…あ!」ブルブル
『言って分からない奴は殴るしかねぇんだよ!』
メイド(あの時のおおぉぉ!?)
黒服「忘れたとは言わせないぜ?」
メイド「…うそ」
青年「誰?」
メイド「いや、その…」
黒服「あの時の借りを返さないとな?」ポキポキ
青年「ちょ、ちょっと! あなたいきなりなんですか!」
メイド(ごめんなさいご主人様…!)
黒服「と、言いたい所だけど」
メイド「へ?」
青年「は?」
黒服「今日はクリスマスだ」
黒服「俺も機嫌が良い」
黒服「だから許してやる」
黒服「恋人と一緒みたいだしな」
愛人「待たせた~?」バタバタ
黒服「いや、全然」
愛人「じゃ、行こっか//」
黒服「おう…またなお前ら」
青年「…」ポカーン
青年「で、どういうこと?」
メイド「…」ヘナヘナペタン
青年「色々聞きたいことはあるけど…」
青年「さっき何を言いかけたの?」
メイド「」
青年「今のは誰?」
メイド「」
青年「メイドさん?」
メイド「」
青年「おーい」
メイド「」
青年「頭真っ白になってるな」
屋敷
ただいまー
お帰りなさい
お帰りメイドさん
ただいま!
結局言えなかったけど
あともう少し!
お待ちかねのケーキを食べよう!
うん♪
ークリスマスー
終わり
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乙