リンカーン「リンカーン大統領暗殺事件だって!?」 (60)

リンカーン大統領暗殺事件をSS形式で追っていきます。

途中に説明を入れることが多いのでうざいかもしれません。

また、有名な史実に沿っているつもりですが、諸説あるのであくまでも解釈の1つとしてお考えください。

それでも良い方は駄文ですがおつきあいください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485873318

1865年 4月14日 朝


リンカーン「南北戦争終結から5日……ようやく一息つける。今日はグラント将軍と
      グローバー劇場で演劇鑑賞だな!」

大統領側近「大統領!少しよろしいでしょうか。」

リンカーン「なんだね?」

大統領側近「本日のグローバー劇場行きの件なのですが……行き先が
      フォード劇場に変更になりました。」

リンカーン「何だと…!そんな話私は聞いてないぞ!まったく誰だ勝手にそんな事を決めたのは…」

大統領側近「い、いえ分かりません……しかし本日の予定はそうなってるんですよ…」

リンカーン「はあ…もうどこでもかまわんよ劇さえ見られれば…。おっともうこんな時間か…。
      朝の閣議にでなければ…。」

不可解な点1  当日の劇場変更
        
        誰かが、フォード劇場へ行くように大統領の予定を変更。
        誰がどういう理由で変更させたのかは不明。

ホワイトハウス 閣議室


リンカーン「……よし、これで朝の閣議は終了とする。」

オツカレサマデースガヤガヤ

リンカーン「グラント将軍、少しいいかな?」

グラント将軍「これはこれは大統領閣下…私になにかご用でしょうか…?」

リンカーン「今日の演劇鑑賞の件なんだが…劇場が変更になったらしくてね…フォーd」

将軍側近「失礼します!グラント将軍!メモが将軍宛に届いております!」

グラント将軍「この無礼者!私は今、大統領閣下と話をしているんだぞ!わきまえんか!」

将軍側近「申し訳ありません!しかし大至急将軍にお届けするようにとのことでしたので!」

グラント将軍「なに?……ふむ……」


グラント将軍「…申し訳ありません、大統領……本日の劇場行き、私は遠慮させていただきます。」

リンカーン「え!?ちょ、マz…ゲフンゲフン、ほ、本当かね?」

グラント将軍「はい…ニュージャージー州のバーリントンにいる子供に会うために、18時の汽車に
       乗らなければならなくなりまして…。」

リンカーン(マジかー…私より子供優先かー…マジですかそうですか…)

グラント将軍「それでは、私はこれで失礼させてもらいます…大統領、どうかよい夜をお過ごしください…」


不可解な点2 謎のメモとグラント将軍のドタキャン 
        
       グラント将軍は北軍の総司令官を務めた人物。戦時中に総司令官を務めたような人物が子供を理由に大統領との約束をドタキャン。 
       しかも、グラント将軍が乗ると言っていた18時の列車は各駅停車だったため、

       夜中に2回の乗り換えをしなければならなかった。その上、翌朝になってもニュージャージー州バーリントンには到着しない。
       翌朝始発の急行に乗った場合、午後3時頃にバーリントンに到着する。
       つまり、18時の列車の方が若干早く着くが、到着時間にそう大差はない。劇場へ行って翌朝帰るという方法も選択出来たのである。
       大統領との大切な約束をドタキャンするほどの何かがメモに書かれていたのだろうか……。

1865年 4月14日 昼頃

陸軍省


リンカーン(グラント将軍の代わりを探しに陸軍省に来てみたが…エッケルト少佐でもさそってみるか…)

リンカーン「(お、あそこにいるのは…)おーい、スタントン長官!」

スタントン長官「これは大統領閣下、こちらにお越しになっているとは…何のご用ですかな…?」
 
リンカーン「実は今日の劇場行きに付き合ってくれる者をさがしていてね…エッケルト少佐を誘おうと思っているのだが…」

スタントン長官「………実は今夜、彼には極めて重要な任務についてもらっていましてね…」
       
リンカーン(こっちもだめなのかよ…なんなんだよもう…)

リンカーン「じゃあ、ラスボーン少佐は?」

スタントン長官「ああ、彼なら今夜は空いていますよ」

リンカーン「じゃあ、今夜は彼を借りるよ」

スタントン長官「はい、わかりました。…大統領閣下が楽しめる夜になることを祈っていますよ…」

エドウィン・スタントン長官  陸軍省長官。今後重要人物。

エッケルト少佐  スタントン長官の首席副官

ヘンリー・ラスボーン少佐  若手。クララ・ハリスと婚約している。


こうして劇場行きは、リンカーン夫妻、ラスボーン少佐、クララ・ハリスの4人となったのである…!

(事件から27年後、チャールズ・フォーブスという男が劇場で一緒にいた5人目の人物として発表されている。なぜ27年間発表されなかったかは不明。)

1865年 4月14日 20時10分頃  出発


1865年 4月14日 20時30分頃  フォード劇場到着


リンカーン(いかんいかん、劇の開始に遅刻していまったぞ…)

リンカーン「いやぁ、すまんねぇ支配人、遅れてしまって…」

劇場支配人「とんでもないです、大統領閣下…。私の劇場に来ていただいて…とても光栄でございます…」

劇場支配人「2階のボックス席、7号室と8号室を用意させて頂きました…さあ、こちらへどうぞ」

リンカーン(……ん?私たちが入る8号室、鍵壊れてないか…まあいいか)

ドアガチャ
 
観客A「大統領がお越しになったぞー!」

観客B「なんて立派なお髭…!すてき!」

舞台俳優たち「芝居中断!皆で大統領をお迎えしよう!!」

リンカーン(みんな……!ああ、頑張ってきて良かった!ロリッ娘の言うとおり髭のばしてよかった!)

リンカーン(しかし、ほかのボックス席、全部空いてるな…なぜだろう…?)

不可解な点3  壊れた鍵とガラガラのボックス席

        大統領夫妻が案内されたのは2階のボックス8号室だが、8号室はドアの鍵が壊れている部屋だったという。
        また、4月14日の夜、他の人がボックス席を希望しても、「満席です」といって劇場側に断られたらしい。

        余談であるが、大統領選挙前のリンカーン大統領は髭が長くない。選挙期間中に少女から、
       「髭があった方が素敵に見える」と手紙をもらって髭をのばし始めたらしい。

同時刻 フォード劇場 8号室ドア前
 

ジョン・パーカー(あーあ、大統領の警護とかダルすぎ…上の特等席で芝居みて、飽きたら近くで酒でも飲もうwwwうぇーいwww)



不可解な点4  ゴミ警官となぜか無い罰則

警備担当警官にも問題があった。警備に当たったのはジョン・パーカー警官1人のみであったが、
パーカーは普段から勤務中でも酒を飲んだりしていて、大統領の護衛を任せられるような人物ではなかった。
当日もドアの外で護衛していたのは、芝居が始まってからほんの数分だけ。
すぐに持ち場を離れて2階特等席に座って芝居を見始め、やがてそれにも飽きて劇場の外の近くのバーで酒をひっかけている。
なんとこいつ、大統領が暗殺された後も、罰則は受けていない。

ちなみに今のシークレットサービスは「Special Agent Entrance Exam」SAEEという難関試験を受けて合格しなければならない。
従って、このようなゴミはいない(たぶん)

1865年 4月14日 22時13分頃


ブース(2階8号室…ここか…)

ブース(リンカーン…こいつが死ねば南部連合とゴールデンサークル騎士団は再び力を手にできる…)

舞台俳優「ふとんがふっとんだーwww」

観客たち「wwwwwww」

ブース(……ここで貴様は終わりだ…リンカーン…!)ケンジュウバン!

リンカーン「wwww……!」

リンカーン(あれ……なんか頭の後ろの左側が…イタ…イ…)

ラスボーン少佐「!!!この野郎!大統領になにをした!」トビカカリ

ブース「これもKGCと南部連合のためだ!」ナイフザク!

ラスボーン少佐「ぐッッ!!」

ブース(ここから舞台までは4メートルぐらいか……飛び降りたら足が…いや、行くしかない!)

ピョン!…ダーン!ゴキッ!

ブース(ッッ!かかとを痛めたか…だが下の舞台の上に降りられたぞ!)

ブース「これは、南部の復讐だ!」

観客C「…?あいつはたしか俳優のブース?新しい芝居か?」

ブース「暴君は死んだ!」

観客たち「?」

ブース(よし…あとは逃げるだけだ…!)

ラスボーン少佐「おい!今の男をつかまえろ!!!」

ブース(ちっ!)

観客D「おいおい一体なんだ?」

観客E「大統領が…!撃たれてる!」

観客F「大統領が暗殺された!」

キャーキャーワーワー

ブース(気付かれたか…!)

観客G「おい待てーっ!」

ブース「誰がっ!」乗馬

観客G「!」

ブース(馬を劇場前に待たせておいて正解だったな…)パカラッパカラッ

ブース(痛めた足をどこかで見てもらわねば…)


暗殺犯の名はジョン・ウィルクス・ブースと言う。
彼は南軍寄りの過激派組織、ゴールデンサークル騎士団(KGC)の一員で職はさえない俳優。
だが、一応観客の中に彼を知る者がいたようで、それが一連のできごとを芝居だと観客が思い込む1つの要因となってしまった。

また、劇は「アメリカのいとこ」という喜劇で、観客の笑い声と銃声が重なってしまい銃声はほとんど聞こえなかったという。

ちなみにこのあと、ブースの足を治療したS・マッド医師は大統領暗殺共謀罪の罪に問われてしまう。
「顔に泥(mud)をぬる」ということわざはこの医師が家名をけがした事に由来するという説もあるらしい。

マッド医師は無期懲役刑を受け、フロリダ州の軍刑務所ジェファーソン砦に収監された。
しかし黄熱病が流行したため、マッド医師は看守や囚人の治療に当たることになる。
ここでの功績が認められ、1869年、リンカーンの死によって副大統領から大統領に昇格したアンドリュー・ジョンソンにより恩赦となった。

アクションシーン下手すぎですね……。

顔に泥~の下りはどこかで聞いた話でソースは定かではないです。

一応陸軍省から同行者を出すという事も護衛の一環となっていたようです。

事件発生までいけたので今日はここまで!

次回あたりからはあの人が捜査に乗り出します。

早ければ明日更新します。よければまたおつきあいください。

レスありがとうございます。

弾は後頭部左に命中したといわれています。しかし即死というわけではなく、翌朝7時22分に死亡が確認されました。

表現がわかりにくかったですね。ごめんなさい。

ちなみに今日2月1日は1865年リンカーン大統領が奴隷制全面廃止を定める合衆国憲法修正第13条に署名した日で、「自由の日」と呼ばれています。

1865年 4月14日  暗殺事件後


スタントン長官「それでは以後、私がリンカーン大統領暗殺事件捜査本部の指揮をとる!!」

捜査員一同「はい!!」

スタントン長官「ではさっそく捜査報告を」

捜査員A「はい!目撃者の証言によると、犯人はジョン・ウィルクス・ブース。職業は俳優です。
    犯行時の発言から南部連合の手の者と思われます。動機は南北戦争の報復と考えて良いでしょう。
    現在、ブースは南部の首都リッチモンドに向かって逃走中と思われm

スタントン長官「この大馬鹿者が!」

捜査員A「!?」

スタントン長官「なぜブースが犯人だと決めつけているんだ!?」

捜査員A「も、目撃者が多数おりまして…犯人はブースだと……犯行後には南部の復讐だと叫んでいたらしく…」

スタントン長官「とにかく!ブースを犯人だと決めつけるのはやめろ!!」

捜査員A「し、しかし長官…目げk」

スタントン長官「よーし、まずは劇場の北側に検問を張って真犯人を捜索しろ!!」

捜査員B「え!?き、北側でありますか!?」

スタントン長官「その通りだ、なにか文句があるのかね?」

捜査員C「ですが長官、犯人は南部の者ですよ…南部方面を捜さk」

スタントン長官「うるさい!!!私の言うことが聞けんのか!?」

捜査員C「も、申し訳ありません!」

スタントン長官「やるべき事が分からん愚か者はもうおるまいな!?」

捜査員一同「は、はい!」

スタントン長官「よーし、では北側の検問と真犯人捜索開始!ブースが犯人と決めつけるなよ!
        一から捜査して真犯人を割り出せ!」

……5時間後


捜査員D「ちょ、長官……」

スタントン長官「…なんだね?」

捜査員D「やはり実行犯は南部連合過激派・ブースで間違いないようです…」

捜査員A(やっぱり俺の言ったとおりブースじゃねぇか…)

捜査員E「劇場の北側に検問を敷き、不審者の調査を行いましたが、手応えなしです…」

スタントン長官「……そうか。ならしかたあるまい。方針を変えこれよりブースの捜索を始める。」

捜査員B(はじめから素直にそうしろよまったく…)

スタントン長官「捜索範囲、検問を北側から南側へ変更。ブースの顔写真入り手配書を作成する。完成したら捜査員に配布しろ。」

捜査員C「了解しました…(最初からやってれば…)」

……数時間後

捜査員F「長官!手配書の配布、完了しました!」

スタントン長官「よし、ご苦労。では引き続き捜さk」

捜査員C「ちょ、長官!!」

スタントン長官「…なんだ?」

捜査員C「先ほど配布された手配書なのですが…顔写真が間違っています!この写真は犯人のブースの物ではありません!!」

捜査員F「なんだって!?…しかしもうほとんど捜査員に行き渡ってしまったぞ…」

捜査員C(あ、これ)

捜査員F(もう)

捜査員C・F(終わったな……)

不可解な点5  スタントン長官の不自然なほどの初動捜査ミス

犯罪捜査において初動捜査のスピードと正確さは非常に重要だ。
現代日本でも「レスポンス・タイム(通報から警官が現場に到着するまでの時間)」が短いほど事件の解決率は高くなる傾向にある。

しかしリンカーン暗殺事件の初動捜査は非常にお粗末なものだった。

犯人は劇場で多数の観客に目撃されているブースでほぼ確定。動機も犯行後の逃走先も推測は容易であり、ブースはすぐに逮捕……のはずだった。

なぜそうならなかったのか。スタントン長官のミスの連続が捜査を混乱させてしまったからである。

スタントン長官はなぜか犯人がブースであると認めず、一から犯人捜しを始めたのである。

また、ブースは南部の過激派KGCの構成員。であれば当然仲間がいる南部方面へ向かうはずである。
だがブースを犯人と認めなかったスタントン長官は南側ではなく北側に検問を敷いた。

スタントン長官がブースを犯人と認めて南側の捜索を始めたのは事件発生から実に5時間後の事であった。

まだスタントン長官のミスは止まらない…!。

ブースの写真を別の人物の写真と間違えて手配書を作成。
出来上がったブースの手配書に印刷されていた写真は全く別の人物の顔だった。

これらのミスがたたり、捜査本部はブースを1度完全に見失ってしまう。

スタントン長官のあまりの無能ぶり。ここまでくると「わざとなのか?」と思えてきてしまう。

1865年  4月 24日   
 

ブース「ふぅ…。何とかポドマック川を渡れたな。」

へロルド「ああ、そうだな…。ところでお前、足は大丈夫か?マッドに治療してもらったとはいえ簡単な治療だったろう?」

ブース「まあ、多少痛むが問題ない。それにしてもお前と合流できてよかった。南軍兵の協力も得られたしな。」

ヘロルド「それならいいんだが…。そこに農園がある。北側の奴らに見つからないようそこの農園に匿ってもらおう。」

ブース「…ただの農場主が俺たちを匿ってくれるか?」

ヘロルド「この辺一帯は南部連合の支持者が多い。怪我をした南軍兵とでも言っておけば匿ってくれるだろう。南軍兵のお墨付きさ。」

ブース「本当にやつの言うとおりうまくいくのか…?」

へロルド「どっちにしろ今は隠れなきゃ危ないだろ、北の連中が総出でお前を追ってるんだ…。おーい、そこのおじさん!!」

リチャード・ギャレット「…ん?なんだあんたら?ここらじゃ見ない顔だが…?」

ヘロルド「すまんが俺たちを匿ってくれないか…?。俺たちは南軍兵なんだが、すこし足を怪我していてな…」

ギャレット「おお、南軍の兵隊さんだったか。足をやられては大変だったろう。うちに来るといい。
      もっとも、大した歓迎は出来ないだろうが……。」

ヘロルド「いや、匿ってくれるだけありがたい。ぜひよろしく頼むよ。」


ギャレット「…と、いうわけで怪我をした南軍の兵隊の方をしばらくうちで匿うことになった。皆、よろしく頼む。」

ギャレットの家族(…こいつらなんか怪しいなおい…)

ギャレットの息子「父さん、ちょっといいか。」ヒソヒソ

ギャレット「なんだ?」ヒソヒソ

ギャレットの息子「なんだかあの人たち怪しくないか…。なにか盗もうとしてるのかもしれない。」ヒソヒソ

ギャレット「うーん。言われてみればそんな気もするが…」ヒソヒソ

ギャレットの息子「そうだよ。だから彼らには納屋で寝てもらおう。」ヒソヒソ

ギャレット「わかった。」ヒソヒソ


ギャレット「兵隊のお二人さん、悪いがいま部屋に空きがなくてね…。納屋で寝ることになってもかまわんかね?」

ブース「…ああ、匿ってもらえるなら文句は言わない。」

一方のブースは仲間のヘロルドと落ち合い、南軍兵の手も借りながら、ポドマック川を渡り、
その後リチャード・ギャレットの農園にたどりついた。二人は自分たちが南軍の兵士であるといい、、
ギャレットはこれを信じてブースとヘロルドを家に泊めた。しかし、ギャレットの家族は二人を怪しいと考え、
物や馬を盗めないよう、納屋で寝てほしいと頼んだ。

捜査本部

捜査員G「長官!ブースはポドマック川の船にのって逃走したようです!」

スタントン長官(ブースの情報が集まってきたな…)

スタントン長官「コンガー中佐!」

コンガー中佐「はい、お呼びでしょうか、長官」

スタントン長官「たった今、ブ-スに関する有力な情報がはいった。」

スタントン長官「ここで貴官をブース追跡部隊の隊長に任命する。この情報をもとに合衆国の威信にかけてブースを見つけ出せ。」

コンガー中佐「分かりました、長官…必ずブースを捕らえて見せましょう」

追跡部隊構成

隊長 コンガー中佐

副官 ベイカー中尉

他  コーベット軍曹など25名

ポドマック川付近


コンガー中佐「よーしお前ら!ブースはこのあたりに潜伏しているはずだ。まず聞き込み捜査を行うぞ。手ががりを見つけたら報告しろ」

追跡部隊員たち「了解!」

コンガー中佐「我らの大統領を殺したやつだ、憎い気持ちはわかるが奴を殺すな。必ず生け捕りにするんだ。いいな。…では捜査開始!」



1865年 4月 25日



隊員A「隊長!船渡しの証言からブースを手助けした南軍兵が3名いることが分かりました。」

コンガー中佐「ではその3名の捜索も平行して行え。そいつらならブースの行き先がわかるかもしれない。」

隊員A「は!しかし、じつはすでに1名捕らえてあります!」

コンガー中佐「何!?それはでかしたぞ!さっそくここに連れてこい!!」

隊員B「ほら、さっさと歩け!」

南軍兵「くそっ…」

コンガー中佐「ほう、こいつか…。おい、貴様。やつらの行き先について知っている事を全部話してもらおうか。」

南軍兵「誰が話すか…!」

コンガー中佐「ほう、威勢がいいな。だがその威勢、いつまで持つかな…?」

南軍兵「なに!?」

コンガー中佐「こっちはいつでも貴様の頭に風穴をあけられるんだ…。意味は分かるだろう?」ケンジュウチャキ

南軍兵「ぐっ………。ブースは近くの農場に向かった」

コンガー中佐「どの農場だ?」

南軍兵「俺が案内する。だから命はとらないでくれ…!。」

コンガー中佐「わかった。貴様の証言が正しいと判明したら、貴様の命もこの私が保証しよう。」

コンガー中佐「よし、今からやつらの潜む農場へむかうぞ!」

捜査員から入ってきた情報からブースは船に乗ったらしいということが分った。
追跡部隊が聞き込みを行ったところ、船渡しの証言から、ブースの逃亡を手助けした南部の兵士が3人いるということが判明した。
追跡部隊は手助けした兵士のうちの一人をすぐに発見し、拳銃で脅してブースの潜伏先を尋問し、案内させた。

今日の更新はここまでです。

次回は犯人と対峙したり、あの人が怪しい行動をとったりします。

ミスや疑問点などあったら、ご遠慮なく。自分が答えられる範囲で対応します。

次回更新も明日出来ると思うので、おつきあいください。

レーガン大統領で呪いがとりあえずとけて一安心ですね。

今日の更新いきます。

1865年  4月 25日  深夜 


リチャード・ギャレット 自宅前

南軍兵「ここだ。ここの農園にブースが潜伏しているはずだ。」

コンガー中佐「ここか…。まずはここの農場主のところにいくぞ。」

リチャード・ギャレット「おい!ここの主はいるかー!」ドアドンドンドン!

ガチャリ

リチャード・ギャレット「は、はい……。わ、私ですが…」

コンガー中佐「お前たち!ここ最近家に泊めた男がいるだろう?」

リチャード・ギャレット「は、はぁ…、いると言いますか…いないと言いますか……」オドオド

コンガー中佐「もし嘘をついたらどういうことになるか…分かってるんだろうな?」

リチャード・ギャレット「そ、それはもちろんですとも……で、ですが…」オドオド

ギャレットの息子「ねえ父さん、正直に言った方がいいよ」

ギャレットの息子「その人たちは、納屋のなかにいます」

コンガー中佐「皆、聞いたか?納屋だ!すぐに向かうぞ!」

納屋の前


コンガー中佐「犯人に告ぐ!貴様らはすでに包囲されている!おとなしく武器を捨てて投降しろ!」

納屋(ゴソゴソ)

コンガー中佐(納屋の中から人の気配……ギャレットの息子の言うことは確かなようだな)

コンガー中佐「今からギャレットの息子を貴様らの所に行かせる!その男に武器を渡し、投降しろ!指示に従わない場合、納屋に火を放つ!」

コンガー中佐「よし、ギャレットの息子、納屋に入りなさい。投降する気がある者から武器を受け取り、出てくるんだ。」

ギャレットの息子「…わかりました。」


ドア ギィー……バタン

納屋の中の声??「俺を裏切りやがって!殺してやる!」


納屋の中の声??「この腰抜けの臆病者!行きたければ行け!もう二度と会うこともないだろうな!」


ドア  ギィー……バタン


へロルド「……俺は…投降、する……」

コンガー中佐「その男を捕らえろ!木に縛り付けておけ!!」

隊員たち「了解!」

コンガー中佐「ギャレットの息子、怪我はないか?」

ギャレットの息子「は、はい。ありません…」

コンガー中佐「そうか、それならいいんだ。」

隊員たち・ヘロルド オトナシクシロー!ガヤガヤガヤ

コンガー中佐(今のうちに干し草に火をつけよう)タッタッタッ…シュボ!

コンガー中佐(火に照らされて納屋の中が見える……ブースだ!)

コンガー中佐「あいつだ!あれがブースだ!突入するぞ!!」

隊員たち「うおーーーー!」

バーーーン!


……ドサリ

コンガー中佐「!!!ブースが倒れた!納屋から出してすぐに手当を!!」

隊員たち「は、はい!」

隊員C「おい、いま包帯を巻くからな!」

ブース「ハアハア…は、母に……」

隊員C「脊椎をやられてる……!」

ブース「母に…つ、つたえてくれ……私は…国のために…戦ったと……!」

隊員C「おい、諦めるな!」

ブース「もう…手も動かない……。この役立たず…役…立た…ず……」バタリ…




隊員C「……ブースの死亡、確認しました…。」

コンガー中佐「なんて事だ…。生け捕りにしろと命令を受けていたのに……!」

ベイカー中尉「中佐、見てください。ブースの首の後ろに火傷が…」

コンガー中佐「…と、いうことは自殺したということか?」

ベイカー中尉「いえ、様々な状況を鑑みると、自殺とは考えにくいですね…。私はてっきり中佐が撃ったのかと……」

コンガー中佐「いや、私ではないぞ。お前が撃ったんじゃないのか?」

ベイカー中尉「とんでもない、私ではありませんよ」

コンガー中佐「じゃあ一体誰が……。あのときブースに一番近かった者は誰だ?」

コーベット軍曹「はっ!自分であります、中佐!」

コンガー中佐「…では、お前がブースを撃ったのか?見たところ、ライフルも持っているようだが?」

コーベット軍曹「い、いえ!自分はブースの正面にいましたので…。周りにいた者もおりますので、彼らに聞いてみてください」

隊員D「中佐、確かにコーべット軍曹はブースの正面にいました。彼の背後から首の後ろを撃つことは出来ません」

コンガー中佐「……では、一体誰がブースを撃ち殺したんだ…?」

ヘロルド「お、おい…。さっきからあんたたちがブースと呼んでいるのは、そこに横たわっている男のことか……?」

隊員E「なんだいきなり…?そうにきまってるだろう」

ヘロルド「そ、そんな…!俺はこいつなんて知らないぞ!こいつはブースじゃない!」

隊員E「おいおい、なにいってるんだ一体…」

不可解な点6  射殺されたブースと、ヘロルドの言葉


追跡部隊が突入すると、一発の銃声が納屋に響き渡った。弾はブースの脊椎に命中。
ブースはその傷が致命傷となり、母への言葉と動かない自分の手への失望を口にしながら死亡した。
射殺した人物については、はじめコーベット軍曹が疑われたものの、状況的に彼がブースの首を背後
から撃つのは不可能だと判明。周りの隊員もそれを証言している。
つまり、ブースを殺した人物については謎のままなのである。

さらに、ヘロルドがブースをみて、「こいつはブースじゃない」と叫んだと言われている。

謎だらけのブースの死。誰かが裏で糸を引いていたのだろうか……。

1865年  4月 27日


コンガー中佐「……と、言うわけでブースは死亡。彼の遺体から日記を発見しました。遺体は戦艦モントーク号に保管しています」

スタントン長官「ご苦労だった、コンガー中佐。下がっていいぞ。」

コンガー中佐「はっ!では失礼します」

スタントン長官「ああ、あとついでにベイカー中尉と、彼の叔父のベイカー大佐に私のところに来るよう伝えてくれ」

コンガー中佐「了解です、長官」

ベイカー中尉・大佐「失礼します」

スタントン長官「おお、来たか。待っていたぞ」

ベイカー中尉「長官、なにか我々にご用でしょうか?」

スタントン長官「うむ…実は君たちに頼みがあってな……」

ベイカー大佐「なんでしょうか?」

スタントン長官「モントーク号にブースの遺体の件だが……誰にも見つからないようどこかに埋めてもらいたい」

ベイカー中尉「……国会の調査委員会がブースの死を疑っていると聞きましたが…それと何か関係が?」

スタントン長官「ああ、実は明日、調査委員会の捜査が入ることになっているんだ。その前に遺体を隠してもらいたい」

ベイカー中尉「理由もなしにそんなこと…まずくないですか?」

スタントン長官「理由ならある…南部の人間が奴の墓を聖地にしないためだ」

ベイカー大佐「しかし長官……いかに長官といえどそこまでの権g

スタントン長官「これは命令だ!……君たちを信頼してこの仕事を任せるんだ…頼んだよ、大佐」

1865年  4月 28日

調査委員会

スタントン長官「……と、言うわけで、ブースを埋葬した場所は公表出来ません」

調査委員「君にそんな事をする権限はないぞ!!!巷ではブースが生きているという噂もある。そのため遺体を調査するはずだったのに…!」

スタントン長官「しかし,すでに埋葬は済んでしまいましたので」

調査委員「…では、ブースの日記はどこにある。遺留品として記録があるが、提出されていない」

スタントン長官「はて、何のことですかな?」

調査委員「何のこと、とはどういう事だ!君が日記を保管しているんだろう!!」

スタントン長官「私はそんな物は知りませんな」

調査委員「…もういい。裁判までに証言をまとめておく。その時までに日記を用意しておくんだな」

後日  軍法会議場

裁判官「では、スタントン長官、追跡隊員たちの証言にある被疑者の日記を提出しなさい」

スタントン長官「はい。…こちらがその日記です。」

裁判官「ほう…。調査委員会では提出がなかったとの事だったが…?」

スタントン長官「申し訳ありません。少し手違いがありましてね」

裁判官「……!!暗殺事件の日のページが破られているではないか!どういうことなんだ…」

スタントン長官「…………」

不可解な点7 秘密裏に埋葬された遺体と失われた日記

「ブースは実は生きている。運び出された遺体は別人のものだ」

そんな噂が巷でささやかれるようになった。

国会も噂を無視できなくなるほど噂が広まり、調査委員会を組織して、真相を追求しようとした。

しかし調査委員会の捜査が入る前夜、ベイカー中尉とベイカー大佐(ベイカー中尉の叔父)の2人がスタントン長官の命令を受け、
モントーク号から遺体を持ち出した。

スタントン長官は

「犯人の墓が南部過激派の聖地となるのを防ぐためにブースの遺体は秘密のうちに埋葬した。理由が理由なので場所は公表しない」

と発表した。

また、スタントン長官は最初、ブースの日記の存在を認めなかった。後に裁判で存在を認め、証拠品として提出した。

しかし、提出された日記はリンカーン暗殺に関する18ページ(24ページという説もある)が失われていて、証拠品として役に立たないものであった。

その後

裁判の判決が7月5日に下り、共犯者とされた全員が有罪となった。
共犯者には女性も含まれており、アメリカで初めて女性に死刑の判決が下った裁判でもあった。

リンカーン夫人は精神病院に入院

ラスボーン少佐とクララは結婚し子供も生まれたが、ラスボーン少佐が精神を病み、一家心中を図った。
しかしラスボーン少佐だけが生き残り、精神病院に幽閉された。

コーベット軍曹もまた精神を病み精神病院に入院することになった。

そして、スタントン長官は幾多の怪しい行動の追求を受け、陸軍省長官を実質解任された(形式的には辞任)。

ブースの遺体は後にベーカー大佐が著書「特務機関の歴史」の中で旧監獄床下に埋めたと記している。



以上がリンカーン暗殺事件の顛末である。数々の不可解な点が残るこの事件。謎がすべて解き明かされる日は訪れるのだろうか…。

以上で完結となります。

実は上記以外にも不可解な点があり暗殺前に事件のニュースが報道されたところがあったりします。

それと本当は冒頭に書くべきだったのですが……

歴史というのは、様々な国・民族・人々が形作ってきたものです。そのため、立つ立場によって見方が変わることも多々あります。
今回はリンカーン大統領、北側の視点で書きました。

また、とっつきやすくやすくするため、何人かネタキャラ感がぬぐえない感じの書き方をしてしまいました。

上記の点を不快に思った方、すいません。

最後にこんな歴史の丸パクリSSを読んでくれた方、本当にありがとうございました!

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