千夜とココアの大学進学が決まり、あんこも千夜とともに木組みの街を離れる事となった。
出立前日の送別会時あんこはずっと虚空を見つめていた。
シャロに飛びつくこともなく、ココアが甘味を差し出しても終始心ここに在らずといった具合である。
ココアと千夜、そしてあんこが街を出て数日後・・・ココアから連絡が入った。
あんこが消えた・・・と。
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チノは電話を切ると視線を足元へと向ける。
そこにはあんこがいた。
ティッピーを妊娠させた状態で。
きっとこう考えたのだろう。
ティッピーと離れたくない、なら結婚して子作りをしちゃえばいいと。
チノはため息をつく。
ティッピーは青ざめて泣いている。
あんこはどこか期待に満ち満ちた目をしていた。
こんなことは初めてだ。
「ココアさんが言ってました。相手の気持ちを考えない男性は最低だって」
まずはティッピーの胎内から望まれぬ命を抜き取る。
魔法を使えば簡単だ。
ティッピーは気絶してしまったのでこのまま寝ていてもらおう。
足元であんこが何やらぴょんぴょんと跳ねている。
あのままティッピーの旦那様としてラビットハウスの飼いうさぎになれると思ったのか?
「・・・」
本来なら潰してしまってもいいのだが、仮にも姉の親友である千夜の飼いうさぎである。
穏便に済ませなければならない。
「・・・イモムシ」
そうだイモムシだ。
なんだか最近この店にはイモムシがわいて仕方が無い。
「あんこには罰としてイモムシのお相手をしていただきます♪」
チノはあんこをひょいっと抱え上げると、そのままとある魔法をかけた。
間もなく開店の時間である。
今日は休日だしいつもよりお客さんも多いかもしれない。
「それでは・・・あんこ、頑張ってくださいね」
「そっかーあんこってばラビットハウスに行ってたんだー」
受話器の向こうから安堵したためか、いつものどこか暢気な調子に戻ったココアの声が聞こえてくる。
「ええ。ですから千夜さんにはしばらくうちで預かっておくと言っておいてください」
「うん。ありがとうチノちゃん」
「では、お店が少し混んできましたのでまた」
電話を切り、店内へと視線を向ける。
そこにはその体で無数のイモムシを処理してゆくあんこの姿があった。
「・・・それにしてもやっぱり男性はお父さん以外は最低です」
完
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