凛「これが・・・・・・令、呪?」(533)

※Fate zeroのIFSSです。


1991年某日 冬木市・雨の降る墓所

璃正「――How my heart yearns within me」

璃正「Amen」

――――
―――
――


葵「お忙しい中、ありがとうございました」

璃正「いえ、こちらこそ遠坂氏には息子ともども大変お世話になりました。
礼を言わなければいけないのは、私の方です」

璃正「・・・・・・本当に惜しい人を亡くしました。彼は才能に溢れ、人徳もあった・・・・・・それに、使命も」

葵「使命・・・・・・聖杯戦争でしたか、あれはどうなるのでしょうか」

璃正「予定通り行われます。・・・・・・失礼ですが、家督はどうなりましたか?」

葵「魔術師の家系ですから、もちろん娘が・・・・・・まさか、
凛・・・・・・娘が参加しなければいけないのですか!?」

璃正「ああ、いえ。聖杯戦争は参加する意思のある魔術師によって行われるものです。
ご心配なさらないで下さい。決めるのはあくまでも本人です」

葵「そう、ですか」

璃正(そう、聖杯は参加する意思のある者にその権利を与える。基本的には・・・・・・)チラ

凛「お父様・・・・・・」

璃正(さて、これからどうなるか・・・・・・)

綺礼「・・・・・・」

数週間後 遠坂邸・工房 夜

机の上で輝く宝石

凛「はぁ・・・・・・よし」

葵「凛、ここに居るの?」コンコン、ガチャリ

凛「あ、お母様」

葵「ごめんなさい。邪魔をしたかしら」

凛「いえ、丁度一区切りついたところですから」

葵「・・・・・・そういえば、ここに入るのははじめてだわ」

凛「そうなんですか?」

葵「ええ、私は魔術がよく分からないから・・・・・・あの人は、いつもここで研究をしていたのね」

凛「・・・・・・」

葵「・・・・・・ごめんなさい。それにしても、改めて見ると凛はあの人によく似ているわ」

凛「そうですか?」パア

葵「ええ、目元なんか特に」

凛「私、もっと勉強をしてきっとお父様のような魔術師になります!」

葵「ふふ、きっとなれるわ」

――ご心配なさらないで下さい。決めるのはあくまでも本人です。

葵「・・・・・・凛、その」

凛「?」

葵「あの人が参加しようとしていた儀式・・・・・・あなたはそれも引き継ぐ気なの?」

幼凛と我様か?だとしたら何と言う俺得スレ

凛「それは」

葵「私がこんなことを言ってはいけないのは分かっているのだけれど・・・・・・出来ることなら、私は」

凛「お母様・・・・・・」

葵「・・・・・・もう遅いわ、そろそろ寝ましょう?」

凛「私、もう少し勉強をしてから寝ます」

葵「そう、あまり遅くなりすぎないようにね?」 ガチャリ

凛「はい、お母様」

>>7
イエス、設定上相性の良い二人です。

凛(聖杯戦争、七人の魔術師がサーヴァントを用いて聖杯を召還・・・・・・奪い合う儀式)

凛(お父様はあまり口にしてなかったけれど、ようは・・・・・・魔術師同士の殺し合いだ)

コンコン

凛「お母様?」

綺礼「こんばんは、凛」ガチャリ

凛「・・・・・・綺麗、何しにきたの?」

綺礼「邪魔をしたかな?」

凛「いいえ! 丁度終わったところですから!」

綺礼「おや、先程はまだ続けると言っていたようだが?」

凛「盗み聞きをしていたの!?」

綺礼「人聞きの悪いことを言わないでくれ、たまたま聞こえていたのだよ」

凛「ふんっ」

綺礼「なに、忘れものを取りに来ただけだ」

凛「ならとっとと出て行って!」

綺礼「ああ、すぐに。随分嫌われたようだ。安心したまえ、明日には出て行くよ」

凛「聖杯戦争がはじまるから?」

綺礼「そうだ」

凛「・・・・・・ねえ、綺礼はどうして聖杯戦争に参加するの?」

綺礼「私は本来魔術師ではない、時臣氏に協力する為に参加したに過ぎないよ」

凛「でも、だってお父様はもう」

綺礼「聖杯に一度選ばれた者は、その後にどう思おうと逃げることは許されない。
その証拠に、これは未だ私の手にある」

凛「令呪・・・・・・」

綺礼「おや、よく知っているな。兄弟子として鼻が高い」

凛「馬鹿にしないで! 私だって魔術師なんだから!」

綺礼「そういう凛はどうするのかね?」

凛「・・・・・・」

綺礼「遠坂家は聖杯戦争の敷設に関わり、代々聖杯戦争に参加してきた家系と聞く。時臣氏の亡き今、
その意思を継ぎ六代目の当主として聖杯戦争に・・・・・・いや、失礼。あくまで決めるのは聖杯の意思だ」

凛(そうだ。私は、遠坂家六代目の当主なんだ)

(お父様の意思を継ぐのは私なんだ・・・・・・私は、聖杯戦争に)

凛「き、決まっているでしょう!? 私は遠坂家六代目当主とし――!」パァァァ

凛「痛っ・・・・・・こ、れ」

綺礼「・・・・・・どうやら、私の役目はまだ続いているらしい」

凛「これが・・・・・・令、呪?」

綺礼(やはり、聖杯はそれを望む者に令呪を与えている・・・・・・では、何故私は)

翌日 冬木教会
~~言峰璃正の回想

葵『お忙しい中、ありがとうございました』

璃正『いえ、こちらこそ遠坂氏には息子ともども大変お世話になりました。
礼を言わなければいけないのは、私の方です』

璃正『・・・・・・本当に惜しい人を亡くしました。彼は才能に溢れ、人徳もあった・・・・・・それに、使命も』

葵『使命・・・・・・聖杯戦争でしたか、あれはどうなるのでしょうか』

璃正『予定通り行われます。・・・・・・失礼ですが、家督はどうなりましたか?』

葵『魔術師の家系ですから、もちろん娘が・・・・・・まさか、
凛・・・・・・娘が参加しなければいけないのですか!?』

璃正『ああ、いえ。聖杯戦争は参加する意思のある魔術師によって行われるものです。
ご心配なさらないで下さい。決めるのはあくまでも本人です』

葵『そう、ですか』

璃正(そう、聖杯は参加する意思のある者にその権利を与える。基本的には・・・・・・)チラ

凛『お父様・・・・・・』

璃正(さて、これからどうなるか・・・・・・)

~~~~

璃正「やはり、君に令呪が与えられたか・・・・・・」

凛「はい。私はマスターとして、この聖杯戦争に参加します」

璃正「しかし、本当にいいのかね? 君はまだ若い、それに――」

凛「私は、遠坂家六代目当主です」

璃正「・・・・・・そうか。それでは君をマスターとして認めよう。
改めて、私は第四次聖杯戦争、監督役を務める言峰璃正だ」

凛「よろしくお願いします」

璃正「綺礼、凛君は聖杯戦争についてどこまで知っているのかね?」

綺礼「昨日確認しましたが、概ね仕組みは理解しているようです。
また、魔術師としての腕はまだ未熟ですが、魔力量は一介の魔術師と同等かと」

凛「未熟で悪かったわね」ボソ

璃正「そうか、その年でそれ程の魔力量があるとは・・・・・・流石は遠坂家だ。時臣君もよく君のことを褒めていたよ」

凛「そ、そうですか」テレ

璃正「さて、それでは本題に入ろう。綺礼」スタ、スタ

綺礼「凛、君が聖杯戦争について知っている知識は、全て表向きの事情に過ぎない。
父上が時臣氏と私を引き合わせた理由は、他にある」スタ、スタ

凛「綺礼がお父様をサポートしようとしていた理由、ってこと?」メモメモ

璃正「実のところ、冬木に現れる聖杯が神の御子の聖遺物とは別物だという確証は、
とうの昔に取れていた」スタ、スタ

凛「そうなんですか!?」メモメモ

綺礼「でなければ、第八秘蹟会に回収の命が下っている筈だ。
しかし、だからと言って放置するには冬木の聖杯は強大すぎる」スタ、スタ

凛(何でこの人達、私の周りをグルグル回っているんだろう・・・・・・)

璃正「何せ万能の願望機だからね、好ましからざる輩の手に渡ればどんな災厄を招くことか・・・・・・。
私と時臣君は、それに頭を悩ませてね」スタ、スタ

綺礼「ならば、事前の策として冬木の聖杯を望ましい者に託せるのなら、
それに越したことはないという結論に至った」スタ、スタ

凛「それが、遠坂家ってこと?」メモメモ

璃正「そう。遠坂家は魔術師の一門でありながら、古くから教会とも縁故がある家柄・・・・・・。
時臣君についてもその人柄は保障できたし、何よりも彼は聖杯の用途を明確に規定していた」スタ、スタ

凛「根源への、到達・・・・・・」

綺礼「だが、かつて君達遠坂家が志を同じくしたアインツベルンと間桐は、
完全に初志を忘れてしまったらしい。残りの外様については言わずもがなだ」スタ、スタ

凛(間桐・・・・・・)

綺礼「そこで、私はマスターの一人、そして教会の人間として時臣氏に勝利をもたらす為に、
今回の聖杯戦争に参加をする予定だった・・・・・・ここまでは時臣氏の書斎に資料がある筈だから、
後で確認するといいだろう」スタ、スタ

凛(先に言ってくれればいいのに・・・・・・全部メモしちゃったじゃない)

璃正「そしてその計画は時臣君が不慮の事故にあったことで一旦白紙となった・・・・・・。
だが、こうして君が次代の遠坂家当主として令呪を受け継いでくれた」スタ、スタ

綺礼「凛、私たちは時臣氏の意思を継ぐ君と水面下で協力し、
君を聖杯戦争の勝者にするつもりなのだ・・・・・・さて」ピタリ

璃正「何か質問はあるかな? 凛君」ピタリ

凛「い、いいえ」(止まったわ・・・・・・何だったの一体)

璃正「それでは最後に・・・・・・綺礼」

綺礼「アサシンよ」

アサシン「はい、マスター」

凛「うわっ! さ、サーヴァント?」ビクッ

アサシン「アサシンのサーヴァント、ハサンでございます」

璃正「凛君、私が時臣君から預かっていたものを返すとしよう。これを見たまえ」

凛「これは・・・・・・化石、ですか?」

璃正「遥かな太古・・・・・・この世ではじめて脱皮した蛇の抜け殻の化石だよ。
時臣君が用意した、サーヴァントを召還する為の聖遺物だ」

璃正「ふふ・・・・・・凛君、不安が多いことと思うが、安心したまえ」

凛「?」

璃正「これを媒介にして首尾よく“あれ”を呼び出したなら・・・・・・
その時点で我々の勝利は確定する」

ドイツ アインツベルン城・書斎

アイリ「どうしたの、切嗣? そんなに恐い顔でパソコンを見つめて」

切嗣「・・・・・・新たなマスターの情報が入ったんだよ」

アイリ「それじゃあ、残りの二人が分かったの?」

切嗣「いや、この間死んだ遠坂家当主・遠坂時臣の替え玉が判明した」

アイリ「ああ、聖遺物を手に入れた直後に暗殺されたっていう」

切嗣「いや、あくまで風の噂なんだが・・・・・・苦心して手に入れた聖遺物を
慎重に工房に運んでいる途中、階段から落ちて死んだらしい」

アイリ「・・・・・・」

切嗣「打ち所が悪かったらしい」

アイリ「優秀な魔術師だったのでしょう?」

切嗣「折り紙付きのね・・・・・・」

アイリ「その優秀な魔術師が、肝心なところでそんな下らないへまをしたっていうの?」

切嗣「僕も最初は撹乱目的の情報操作かと思ったんだが・・・・・・どうやら事実らしいんだ」

アイリ「・・・・・・それで、どんな人がマスターになったの?」

切嗣「そう意外な人物でもなかったよ。遠坂時臣の実子にして遠坂家六代目当主・遠坂凛」

アイリ「女性なの?・・・・・・なにこれ、まだ、子供じゃない」

切嗣「ああ、年もイリヤとそう変わらない・・・・・・こんな子供が、マスターに選ばれたんだ」

アイリ「っ。どうしてそんな」

切嗣「魔術師の家系なら当然のことなんだ。もし仮に僕が今回の聖杯戦争に負けたら、
イリヤがそれを引き継ぐようにね」ギリ

アイリ「・・・・・・そんなこと――」

切嗣「もちろんそんなことは絶対にさせない! 必ず僕が聖杯を手に入れる」

アイリ「ええ・・・・・・そしてあなたの夢、理想を」

切嗣「その為なら僕は・・・・・・こんな子供が相手だろうと、手は抜かない」

数日後 遠坂邸・門

綺礼「奥様、残りの荷物は禅城家に送っておきました」

葵「ありがとうございます・・・・・・凛、それじゃあ、これで」

凛「はい・・・・・・」

葵「・・・・・・ねえ凛、荷物は今からでも何とかなるわ。私やっぱり――」

凛「お母様、これから寒くなりますから、体調にお気をつけ下さいね」

葵「凛・・・・・・」

葵「この子を、よろしくお願いします」

綺礼「最善を尽くします、奥様」

凛「お母様、きっとまたすぐに会えます」

――――
―――
――

遠坂邸・地下室 夜

凛「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバイ――」

凛(お母様はこれで安全だ・・・・・・きっとお父様ならこうしていた筈)

凛「――みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。繰り返すつどに――」

凛(勝つんだ! お父様の意思を継いだ、遠坂家六代目当主として!)

凛「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」パァァ

綺礼「・・・・・・」

璃正「・・・・・・勝ったぞ綺礼。この戦い、我々の勝利だ・・・・・・」

ギル「我を呼んだのは、お前か? 雑種」

※書き溜め分以上です。
大体Fate zeroアニメ一話分ずつくらいの感覚で書き溜めていきます。


劇場版「Fate/stay night」Heaven's Feel 2017年公開
前売り券三枚は買いたいよね。

遠坂邸・工房 夜

凛「英雄王ギルガメッシュ・・・・・・シュメールの都市国家ウルクを
治めていた人類最古の王にして、最強のサーヴァント、か」ペラ

ギル「こんな臭い地下室で何をしているのだ?」サラサラ

凛「ひゃっ! え、英雄王」スタ

ギル「・・・・・・それは何のつもりだ」

凛「え?」

ギル「その振る舞いと言葉遣いだ。召還されてからずっと気になっていたが
・・・・・・よもや臣下の真似事ではなかろうな?それともこの時代の子供は
皆そのような立ち居振る舞いをするのか?」

凛「いえ。私は御身の臣下として、礼――」

ギル「今すぐにやめよ、不愉快だ。子供ならば子供らしくせよ。
礼節と尊敬は同義ではない」

凛「え、と。・・・・・・じゃあ、そうする」

ギル「それでよい。ん? それは何だ」

凛「い、いや、別に」

ギル「何をこそこそとしている。その手に持っているものを見せよ
――ギルガメシュ叙事詩? 何だ、雑種の小娘よ。我のことを調べていたのか」

凛「・・・・・・マスターは、自分のサーヴァントの情報を知っておかないといけないから」

ギル「ならば我が答えてやろう」

凛「いいんですか?」

ギル「雑種風情が我に問いを投げるのは許されないが。お前は我に魔力を捧げている、
褒美の一つくらい与えてやろう。・・・・・・どうした、我のことが知りたいのであろう?」

凛「それじゃあ・・・・・・あの、英雄王の宝物庫には色んな財宝が入っているって書いてあったんだけど」

ギル「何かと思えばくだらんことを。当然だ。この世全ての財は我の物だからな」

凛「じゃ、じゃあ宝石も沢山あるの?」

ギル「無論だ。この部屋に転がっている石ころとは比べることも憚る至高の一品が揃っている」

凛「ど、どれくらい?」

ギル「数など数えさせたこともないわ。もっとも、数え切れる量ではないがな。見よ」
ジャラララ

凛「・・・・・・す、」

ギル「?」

凛「すっごーい!!! これ全部宝石なの!? うそ、これブルーダイヤモンドじゃない!
うわ、これ、もしかして神話に出てきた宝石!? 本でしか見たことのないものばっかり!」

 ギル「・・・・・・ク、クククハッハッハ。調子が出てきたではないか」

凛「あ・・・・・・」カァ

ギル「よい。特別に触れることを許す。その年で宝石の良し悪しの何たるかを弁えているとは
・・・・・・ククク、いや、中々どうして面白い。雑種の小娘よ、お前が目を付けたそれらは確かに
我が宝物庫の中でも一際価値のあるものばかりだ」

凛「・・・・・・やっぱりあなたって凄いサーヴァントだったのね」

ギル「ほう、我を召還したのは偶然ではないようだな」

凛「ええ、あなたは最強のサーヴァントって聞いていたの。
あなたを召還出来たら、勝利は決まるって。だから」

ギル「当たり前だ。我に勝てるサーヴァントなど存在しない。しかしな雑種の小娘よ。
お前はどうしてそこまで勝ちにこだわるのだ」

凛「もちろん、聖杯を手に入れる為よ」

ギル「・・・・・・ほう、それは聞き捨てならんな」

凛「え?」

ギル「先に言ったとおりこの世全ての財は我の所有物。お前が求めている聖杯とやらも、
当然この我の物だ」

凛「じゃああなたの宝物庫に聖杯が入っているの!?」

ギル「ない」

凛「・・・・・・えーと、じゃあ聖杯がどんなものか知っているってこと?」

ギル「知らぬ。雑種の尺度で計るでない。俺の財の総量は、とうに俺の認識を越えているのだ。
だが、それが宝という時点で我が財であることは明白だ」

凛「な、なるほど」

ギル「・・・・・・つまりだ、お前はこの我の財を盗むと、そう言っているのだが?」

凛「ごめんなさい! 私、聖杯があなたの物って知らなかったの。
それに、私は人の物を盗んだりしないわ!」

ギル「だが、欲しいのであろう?」

凛(・・・・・・遠坂が欲しいのはあくまで根源への到達に必要な物だから、聖杯を少し間でも
使えればそれでいい筈よね・・・・・・じゃあ)

ギル「・・・・・・どうした?」

凛「もし嫌じゃなければ、ほんの少しの間だけでいいから、
その・・・・・・聖杯を貸して下さい」

ギル「・・・・・・クク、ハッハッハッハ!」

凛「な、何でそんなに笑うのよ」

ギル「ククク、いや、まさかそのように返されるとは我も思っていなかった。
つくづく愉快な小娘よ。・・・・・・ああ、考えてやってもよい」

凛「ほんと!? ありがとう!」

ギル「だが、それにはこの聖杯戦争とやらを勝ち残らなければいけないのであろう?
勝算はあるのか? 綺礼がぼやいておったぞ、お前が計画を変更したとな」

凛「だって、アサシンさんのうちの一人をわざと殺すって言うのよ?」

ギル「まあつまらぬ采配ではあるが、そう悪い計画でもなかっただろう」

凛「いくらアサシンさんが百人いるからって、そんなことをしたら駄目だと思う」

ギル「・・・・・・よもや、殺生はしないなどと言う気ではなかろうな?」

凛「そうじゃなくて、何て言えばいいんだろう・・・・・沢山いても、それぞれにちゃんと役割があって、えっと、だから」

ギル(・・・・・・ほう)

――――
―――
――


(・・・・・王よ、奴隷を連れてまいりました)

(うむ。さて、どうしたものか・・・・・・)

(奴隷共よ。顔を上げよ)

(お前はどんな役目を負っているのだ)

(は、はい。私は、石を運んでおります)

(そうか・・・・・・お前はどうだ)

(わ、私は――)

――――

(・・・・・・もうよい、奴隷達を戻らせよ)

(よろしいのですか?)

(ああ、構わぬ)

――――
―――
――

ギル「この世界には無駄なモノなどいない、と?」

凛「! そう、私はそう思う」

ギル「そうか・・・・・・雑種の小娘よ、お前の名をもう一度聞かせろ」

凛「遠坂凛、だけど」

ギル「喜べ、凛。お前に少し興味が沸いた」

※書き溜め分以上です。
注:ザイードの幸運は少しだけ高く設定してあります。

マッケンジー邸・2階 夜

ウェイバー「静かだ。静か過ぎる」

ライダー「んー」

ウェイバー「もうサーヴァントは七騎揃ってるっていうのに、
戦闘はまだしも偵察活動にまで動きがないなんて・・・・・・。
使い魔が気づかない範囲でアサシンが動いているのか?」ボソボソ

ライダー「・・・・・・」

テレビ『ボーイングだ!打ち落とせ』

ウェイバー「・・・・・・おい」

ライダー「んー?」

ウェイバー「おい! 分かってるのかよ!? 聖杯戦争はもうはじまってるんだ!
僕がこうして偵察しているのに、お前は毎日毎日毎日毎日、煎餅齧って
ビデオ観てるだけじゃないか!! 使い魔以下だぞ? ネズミ以下だ!!
大体必要のない時は、霊――」

ライダー「・・・・・・あのなぁ、暗殺者如きなんだというのだ。隠れ潜むだけが取り柄の
アサシンなんぞ、余の敵ではあるまいに。それよりも坊主、これは凄いぞ!」

テレビ『レーダーは反応していないぞ・・・・・・B2か!?』

ライダー「――むう、このトマホークとかいうものも凄いな!」

ウェイバー「はあ・・・・・・」

冬木教会 夜

アサシン「璃正様」サァァ

璃正「む、アサシンか。何か問題か?」

アサシン「いえ、マスターが私を通してあなたに話があると。
これよりマスターの言葉を復唱致します。お返事は私に」

綺礼『父上、誰かこの教会を見張っている者は?』

璃正「ない。ここは中立地帯として不可侵が保障されている。
余計な干渉をしたマスターは、教会からの諫言がある」

綺礼『では、安泰ということですね』

璃正「うむ。それにしても便利なものだ。まさかサーヴァントを連絡手段に使うとは」

綺礼『このアサシンは各分裂体と念話ができますので。宝具を看破されない限り、
安全な連絡手段として使えます。念の為、常に一人以上教会と遠坂邸に
待機させておきますので』

璃正「分かった。凛君の方はどうかね」

綺礼『遠坂凛はマスターとしての定石通り、邸内から動いておりません』

璃正「・・・・・・うむ。計画に変更はあったが、サーヴァントがある程度減るまで
動かないというのも、一つの戦略だ。不測の襲撃に関しても、敵にアサシンがいない限り
アーチャーで十分対処出来る」

綺礼『はい。ですが・・・・・・』

璃正「アーチャーか」

綺礼『ええ、アーチャーには単独行動スキルがありますので、聖杯戦争開始からもう三度、
昼夜問わず単独で外出をしております』

璃正「・・・・・・彼は一体何をしているのだ」

綺礼『監視の報告によれば、市街地を散策しているだけのようですが。
他のサーヴァントとの遭遇も時間の問題かと』

璃正「このような状況になった以上、早期の戦闘は極力避けたいところだ。
万が一の場合は令呪の使用も考えるよう、凛君に進言しておいてほしい」

綺礼『分かりました。ん?・・・・・・』

アサシン「璃正様、少々お待ちください。遠坂邸を警護している者から
マスターに報告があるようです」

璃正「うむ」

綺礼『・・・・・・父上』

璃正「どうした?」

綺礼『明日、凛とアーチャーが外出をする予定だそうです』

璃正「・・・・・・そうか」

綺礼『ええ』

璃正「・・・・・・・・・・・・そうか」

翌日 冬木市・市街地

凛「ねえ、アーチャー」

ギル「どうした?」

凛「私も久しぶりに外出できて嬉しいのだけれど、その、大丈夫なの?」

ギル「なんだ、煮えきらん。はっきりと申せ」

凛「他のサーヴァントとかに会ったらどうするの?」

ギル「たかだか一介の英霊であろうが。我を見たら逃げ出すかひれ伏すかの
どちらかだろうよ」

凛「やっぱりあなたって凄いのね。そういえば、もう何度か町に行ったんだっけ」

ギル「ああ。この時代、なかなかどうして面白い」

凛「気に入ってくれたの?」

ギル「度し難いほどに醜悪だ。が、それはそれで愛でようもある。
肝心なのは、ここに我の財に加えるに値するだけの宝があるかどうかだ」

凛「あの宝石達に比べれば見劣りするだろうけれど、きっとあると思うわっ。
決めるのはあなただけど」

ギル「よく分かっているではないか。では我に見せよ、その価値のある物を」

凛「私が?」

ギル「なに、我がお前を連れ出した理由はそれだ。この世界は余すところなく我の庭だが、
こう勝手が違うと案内人の一人は欲しいところよ」

凛「うん、分かった。頑張ります!」

ギル「せいぜい己を示せよ? 凛」

冬木市・某ホテルの一室

舞弥「装備品一式、全て到着しております。マダム達もすでに冬木に到着し、
動き始めています。これで他のマスター達は、マダムをセイバーのマスターと
思い込むことかと」

切嗣「わかった」

舞弥「また、聖杯戦争が開始されてから現在に至るまで、どの陣営も
変わった動きはありません」

切嗣「そうか・・・・・・預けておいたやつはどこだ」

舞弥「こちらに」

切嗣「・・・・・・」ガチャガチャ、ガチャン

切嗣「2秒ってところか・・・・・・衰えたな」

舞弥「はい・・・・・・」

切嗣「・・・・・・あの娘に、イリヤの影が見えるんだ」

舞弥「・・・・・・」

切嗣「あれは未来のイリヤだ・・・・・・僕が、聖杯を手に入れられなかった未来の。
もしそうなればあの姿は、イリヤに・・・・・・・変わってしまうんだ」

舞弥「今必要なことだけに、意識を向けて下さい・・・・・・」ギュッ

切嗣「・・・・・・」

舞弥「余計なことは、考えないで」

冬木市 浜辺・夜

凛「綺麗、海が宝石みたい・・・・・・」

ギル「こればかりは我の宝物庫にも入らんな」

凛「私、男の人に連れられて町を歩いたの、はじめてよ」

ギル「我の隣を一日歩くことが出来たのだ、至上の喜びであろう」

凛「それで・・・・・・どうだった? 今日は」

ギル「言ったであろう、愛でようもあると」

凛「・・・・・・どういうこと?」

ギル「眼鏡といったか、あれは悪くない」

凛「ああ、似合っていたわよ?」

ギル「下賎の者の装飾品が我に合うと言うつもりか?」

凛「格好良かったってこと」

ギル「当然だ。が、そういうことではないのだ」

凛「?」

ギル「なに、昔我の臣下の中に、能力はあったが物が見えづらい者がおったものでな。
もしあれを与えていれば、より長く生き戦えたろうに」

凛「・・・・・・」

ギル「なんだその顔は」

凛「その・・・・・・本で読んだ性格と、少し違ったから」

ギル「臣下に高い能力を求めるのは当然だ。その本に書いていないのか?」

凛「いえ、ふふ。そうね」

ギル「まあ今日は及第点を与えよう。財に加えるべき宝はなかったが、
目を引くものは少なからずあった。・・・・・・ん? 凛、どうやら帰るのは
もう少し後になりそうだぞ」

凛「・・・・・・サーヴァント?」

ギル「ああ。有象無象のようだが、奴隷くらいには値するかもしれぬ。
どれ、少しばかり見物しようではないか」スタ、スタ

凛(あっち方は・・・・・・港のコンテナヤード?)

※書き溜め分以上です。

冬木市 港・コンテナヤード 夜

セイバー「――チャームの魔術・・・・・・」

ランサー「悪いが、持って生まれた呪いのようなものでな。
こればかりは如何ともし難い。俺の出生か、もしくは女に生まれた
自分を恨んでくれ」

セイバー「その結構な面構えで、よもや私の剣が鈍るものと
期待してはいるまいな、槍使い」

ランサー「そうなっていたら興ざめも甚だしいが・・・・・・なるほど、
セイバークラスの抗魔力は伊達ではないか。結構」

ランサー「この顔のせいで腰の抜けた女を切るのでは、俺の面目に関わる。
最初の一人が、骨のある奴で嬉しいぞ」

セイバー「ほう、尋常な勝負を所望であったか・・・・・・誇り高い英霊と相見えたのは、
私にとっても幸いだ」ニヤ

ランサー「それでは・・・・・・いざ」ニヤ

――――
―――
――

コンテナヤード・ヴィマーナ舟上

凛「なんて凄い速さなの・・・・・・これが、サーヴァント同士の戦い」

ギル「ほう、速いことが分かる程度には見えているのか。見直したぞ」

凛「え、ええ! お父様の魔術刻印を受け継いだから!」テレ

ギル「が、凛よ。あんなものでサーヴァントの戦いを計るでない。
我とは比べるまでもないわ・・・・・・凛、何を震えている」

凛「・・・・・・あの、出来れば、もうちょっと低く飛んで欲しい」

コンテナヤード・クレーン付近

切嗣「ふっ、舞弥。セイバー達の北東方向・・・・・・倉庫の屋根の上に、ランサーのマスターが居る。見えるか?」

舞弥『・・・・・・いいえ、私の位置からは死角のようです』ザザ

切嗣「分かった、こちらで仕留める」ガチャリ

切嗣(――いや、何かおかしい。膨大な魔力量を持つサーヴァント同士の戦いだ、
すでに他のマスターも気づいているはず・・・・・・この局面で現れるとすれば単なる馬鹿だが、
・・・・・・アサシンにとっては?)

「・・・・・・他愛なし」ザキン

切嗣「っ!」スタッ

アサシン「ほう、完全に虚を突いたつもりであったが・・・・・・
このザイードが、まさか人間に手札を読まれるとは」

切嗣「・・・・・・アサシン」ギリ

切嗣(まずい・・・・・・今我々には、対サーヴァント戦の備えがない)チラ

切嗣(令呪でセイバーを――駄目だ、それではアイリのガードが舞弥のみになる)

切嗣「・・・・・・タイムアルター、ダブルアクセル」

冬木市 某廃ビル・屋上

アサシン「マスター、ザイードが衛宮切嗣に接触しました」

綺礼「分かった。下がれ」

アサシン「御意・・・・・・」サァァ

綺礼(完全な独断専行・・・・・・これは父上や遠坂凛の計画を潰しかねない行為だ。
私は一体、何をしている・・・・・・私は何がしたいというのだ)

綺礼「衛宮切嗣、お前は何処に向かっている・・・・・・」

冬木市 港・コンテナヤード 夜

セイバー「なるほど。一度穿てば、その傷はを決して癒さぬ呪いの槍。
・・・・・・もっと早くに気づくべきだった」

セイバー「魔を絶つ赤槍、呪いの黄槍・・・・・・加えて、乙女を惑わす右目の泣きぼくろ。
フィオナ騎士団・随一の戦士、輝く貌のディルムット。まさか、手合わせの栄に
与るとは、思っていませんでした」

ランサー「それがこの聖杯戦争の妙であろうな。だがな、誉れ高いのは俺の方だ。
時空を越えて英霊の座にまで招かれた者ならば、その黄金の宝剣を見違えはせん」

ランサー「かの名高き騎士王と鍔迫り合って、一矢報いるまでに至ったとは・・・・・・。
どうやらこの俺も、捨てたものではないらしい」

ランサー「――覚悟しろセイバー、次こそは・・・・・・取る!」

セイバー「それは私に取られなかった時の話だぞ、ランサー」

「AAAALaLaLaLaLaie!」ゴゴゴゴゴ

ライダー「――双方剣を収めよ、王の前であるぞ!」バサッ

ランサー「・・・・・・!」

ライダー「我が名は征服王イスカンダル! 此度の聖杯戦争においては、
ライダーのクラスを得て現界した!」ニヤリ

セイバー「・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・・あぁぃぇぁぁわわわ」

※書き溜め分は以上です。
Fate zeroアニメでいえば今は四話ラストの状態です。
書き遅れましたが、Fate zero含めFateシリーズのネタバレがあります。


書き忘れの今更感が凄い
俺は大丈夫だけど、一応FGOの7章やfakeの話題に触れるなら一言言っとくほうがいいよ

コンテナヤード・クレーン付近

アサシン「ほう、どうにも人間離れしたその身のこなし・・・・・・
なかなか楽しみがいのある相手だが・・・・・・いつまで持ちますかな」

切嗣「はぁ、はぁ」ポタ、ポタ

切嗣(逃げ切れない・・・・・・頼み綱は・・・・・・舞弥)

アサシン「戯れもここまで。そろそろ、暗殺いたしましょう」ジャキン

切嗣「くっ! タイムアルター、トリプルアクセル!」

>>75
遅れて申し訳ないです。
はい、fakeからギルの台詞を少々拝借しております。

冬木市 港・コンテナヤード 夜

ウェイバー「何を考えてやがりますかあっ! この馬鹿はあ!!っ痛」ドサリ

ライダー「うぬ等・・・・・・一つ我が軍門に降り、聖杯を余に譲る気はないか!
さすれば余は貴様らを朋友として遇し、世界を制する隊列を共に、分かち合う所存でおる!!」

ランサー「・・・・・・その提案には承諾しかねる。俺が聖杯を捧げるのは、
今生にて誓いを交わした新たなる君主一人だけ・・・・・・断じて貴様ではないぞ、ライダー!」

セイバー「そもそも、そんな戯言を述べ立てる為に、貴様は私とランサーの
勝負を邪魔立てしたというのか・・・・・・騎士として、許しがたい侮辱だ」

ライダー「むう・・・・・・待遇は応相談だが?」

セイバー・ランサー「くどい!」

コンテナヤード・ヴィマーナ舟上

凛「イス、カンダル?」

ギル「我の世界を征服しかけたとぬかす、愚かな英雄よ」

凛「へえ、大きくて格好良い人だなぁ」

ギル「・・・・・・あまり身を乗り出すな。落ちても知らぬぞ」

凛「うわぁ! 揺れた!?」

ギル「風だ」

『――聖杯に招かれし英霊は、今ここに集うがよい! なおも顔見せを怖じるような
臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れぇ!!』

凛「っ! 大きな声・・・・・・」

ギル「道化と思って傍観していたが・・・・・・あのような世迷言、見逃す訳にはいかん」

凛「た、戦うの!?」

ギル「たわけ、罪人を裁くだけよ。我はこの場を離れるが、よもやお前は
この舟の上から我を見下ろす訳ではあるまいな?」

凛「当然よ! あなたが戦うなら、私も降りて戦う!」

ギル「・・・・・・凛、この聖杯戦争はお前の戦いだ。己が道は己で開いてみよ。
が、我も我の都合で動く。今この時においては、物陰で刮目し我を見ておればよい」

冬木市 港・コンテナヤード 夜

ギル「我を差し置いて王を称する不埒者が、一夜に二匹も沸くとはな」サァァァ

凛「ここからならギリギリ見えるかな・・・・・・あの人、何で街灯の上に出てきたの?」コソコソ

ライダー「――そこまで言うならまずは名乗りを上げたらどうだ、アーチャー。
貴様も王たる者ならば、まさか己の異名を憚りはすまい」

ギル「問いを投げるか、雑種風情が・・・・・・王たるこの我に向けて!
我が拝謁に栄によくして尚この面貌を見知らぬと申すなら・・・・・・
そんな蒙昧は生かしておく価値すらない!!」ジャキン、ジャキン、ジャキン

凛「あれがアーチャーの宝具・・・・・・?」コソコソ

雁夜『・・・・・・殺せ』

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」」シュゥゥゥ

ライダー「――坊主よ、サーヴァントとしちゃあどの程度のものだ、あれは」

ウェイバー「分からない。まるっきり分からない!
見えないんだよ・・・・・・あの黒い奴、間違いなくサーヴァントなのに!
ステータスも何も全然読めない!」

ギル「・・・・・・誰の許しを得て我を見ている? 狂犬めが。
せめて散り際で我の連れを興じさせよ、雑種」

雁夜『連れ・・・・・・アーチャーのマスターが来ているのか!? 遠坂、時臣!!』スタ、スタ

コンテナヤード・クレーン付近

アサシン「色々と見せてもらいましたが、これで詰めと致しましょう。
それとも、まだ何かあるのですかな」ジャキン

切嗣「はぁ、はぁ・・・・・・」

切嗣「舞弥!!」

アサシン「!」チュイン

アサシン「ほう、この場所に勝機を得ておりましたか。確かに私の位置からでは狙撃手は狙えませぬ。
・・・・・・しかしこの程度の速さでは、私の身体を掠ることもできない。


切嗣「・・・・・・」ドサリ

アサシン『ん? マスター・・・・・・しかし良いのですかな?
標的はまだ・・・・・・御意』

アサシン「最後の足掻きは無駄ではなかったようですな。それでは」サァァ

舞弥「切嗣! 遅れて申し訳ありません」シュタ

切嗣「・・・・・・舞弥、アサシンはどうした」

舞弥「理由は分かりませんが、撤退したようです」

切嗣「そうか・・・・・・」

舞弥「傷は?」

切嗣「大丈夫だ。サーヴァント相手に数分時間を稼いだだけでも奇跡に近いよ。
・・・・・・僕がついていたのか、よほどアサシンの幸運値が低かったのだろう」

コンテナヤード・海辺の通路

「はあ、はあ・・・・・・そこかぁああ遠坂時臣!!」

凛「きゃあ!?・・・・・・かり、やおじさん?」

雁夜「り、凛ちゃん? はあ、はあ。どうしてここに・・・・・・遠坂、時臣は」

凛「・・・・・・お父様は、随分前に亡くなったじゃないですか」

雁夜「え・・・・・・? 何、を言ってるんだい?
凛ちゃん。僕は、桜ちゃんや君の為に、遠坂時臣を、僕は――あぁ!」ザキン

アサシン・女「凛様、こちらへ」シュウウゥ

凛「やめて! あの人は敵じゃないわ!!」

アサシン・女「あの者の手をよくご覧下さい」

凛「・・・・・・令、呪?」

雁夜「はあ、はあ。どうして、どうしてアサシンが・・・・・・?
凛ちゃん、危ないからこっちにおいで・・・・・・そいつは、危ないんだ。
もしかして、脅されているのかい? 遠坂時臣が、あいつがまた君達を利用しているんだ!
そうなんだろう!? 大丈夫だよ・・・・・・僕が、君達を、守る!!」

凛「違うの、待って! 雁夜おじさん!」

雁夜『はあ、はあ。令呪を持って・・・・・・命ずる!』

アサシン・女「離れて下さい! マスター、緊急事態です」

雁夜『来い、バーサーカー!!』パァァァ

バーサーカー「A――urr!」サァァァ

冬木市 港・コンテナヤード 夜

ギル「利口にも逃げおったか、狂犬めが・・・・・・! そこの雑種共、お前達はどうするのだ。
もっとも、逃亡を許す気は毛頭ないがな」

ウェイバー「ら、らら、ライダー!」

ライダー「落ち着け坊主。あいつが何本宝具を所有しているかは知らぬが、隠し玉はこちらにもある」

セイバー「アイリスフィール、ここはお逃げください!」

アイリ(・・・・・・切嗣、今どこにいるの?)

ギル「ほう、逃げぬか。我を差し置き王を称するだけはある。
その小癪な愚かさでもって、どこまで我を通せるか・・・・・・見せてみよ」

ランサー「・・・・・・来るぞ!」

(もうやめて! 雁夜おじさん!!)

ギル「!・・・・・・まあよい」

ウェイバー「・・・・・・宝具が、消えた?」

ギル「命拾いしたな雑種共。次までに有象無象を間引いておけ。
我とまみえるのは、真の英雄のみでよい」サァァァ

アイリ「・・・・・・助かったの?」

セイバー「お待ちを、アイリスフィール。まだ敵は残っています」ジャキン

ライダー「待て待て、今宵はもう十分であろう。うぬ等は決着を急ぐにはちと勿体ない相手だ」

ライダー「ランサーのマスターよ! どうしてもというのであれば戦うが、
消耗の少ないこちらに分があるぞ」

ケイネス『・・・・・・撤退せよ、ランサー』

ランサー「・・・・・・」チラ サァァァ

セイバー「・・・・・・」コクリ

ライダー「いや、それにしてもあの金ぴかにバーサーカー。まるで嵐のようだったわ」

アイリ(・・・・・・)

セイバー「結局お前は何をしに出てきたのだ、征服王」

ライダー「そう恐い顔をするな、まだ周囲に胡散臭い気配がしておろう、
いつまたおかしな連中が現れてもおかしくないわ。・・・・・・まずはランサーとの因縁を
精算しておけ。その上で、貴様かランサーのどちらか勝ち残ってきた方と相手をしてやる」

セイバー「!・・・・・・そうか」

ライダー「では騎士王、しばしの別れだ!」ドドドド

コンテナヤード・海辺の通路

凛「アーチャー!」

アーチャー「何だこの雑種の集まりは、うっとうしい」サァァァ

アサシン・女「バーサーカーとそのマスターによる襲撃がありました。
・・・・・・何とか引かせはしましたが」

凛「アサシンさん達が、何人も・・・・・・」

アーチャー「狂犬ごときにばたばたと・・・・・・無駄な浪費だ。帰るぞ、凛」

アサシン・女「・・・・・・待て」

アーチャー「・・・・・・なんだと?」

アサシン・女「離れていたとはいえ、凛様の異常に直ぐ気づいた筈だろう。
マスターの身一つ守れないサーヴァントが、私の一部を無駄呼ばわりするか」

アーチャー「誰に向かって口を聞いている・・・・・・興が冷めていなければ、
貴様の首はとうにないぞ・・・・・・雑種!」

凛「やめて、アーチャー! もう、いい、よ・・・・・・もう、やめて」

アーチャー「何故泣いている」

凛「えぐ、う、う・・・・・・」

アーチャー「言った筈だ、これはお前の戦いだと。
そこに飛び散る鮮血の色を忘れるな。それはお前が流させた血だ」

凛「分かってる、分かってるから・・・・・・」

アーチャー「・・・・・・馬鹿者が」

※投稿がまちまちになりましたが、書き溜め分は以上です。

乙乙
ポンポン話が進むがアサシンが普通にすげえ脅威だな

>>97
前半の戦闘は本編の焼き増しになりかねないので、結構省いています。
ハサン達は幸運Eランクの可哀想な人ですが、時臣の優雅ダイブ後はE+になっています。
元々上手く使えば恐ろしい敵ですよね、幸運Eランクだけど。

冬木市・某工場 深夜

雁夜「はあ、はあ、は、ははは、ははははは・・・・・・アサシンめ、
いくら増えようが俺のバーサーカーの敵じゃない・・・・・・う、うぅぇ」ビシャ

雁夜「バーサーカーめ、凛ちゃんを助ける指示を無視しやがって・・・・・・。
これから先この様じゃあ・・・・・・身体が、持たないっ、はあ、はあ」

雁夜「だが制御出来れば・・・・・・やれる」ズリ、ズリ

雁夜「待ってろよ、二人とも」

冬木市 用水路・キャスターの工房 夜

輝く水晶

龍之介「スッゲー! マジにスッゲー! なあ青髭の旦那、あれ全部マジなんでしょ?
SFXでもなんでもないガチだったんでしょ!? たっまんねえ!
で、聖杯戦争だったっけ? 旦那も今のあれに噛むんでしょう!? ・・・・・・旦那?」

キャスター「・・・・・・叶った」

龍之介「かなったって・・・・・・ええっと」

キャスター「見たまえ!! 彼女こそ答えだ!! あの凛々しき面影、
神々しき居住まい!! あれこそは紛れもなく!! 我が運命の乙女に他ならぬ!!」

龍之介「・・・・・・知り合い?」

キャスター「いかにも!! かつて神にすら見捨てられ!!
屈辱の内に滅んでいった彼女が今!! ついに復活を遂げたァ!!
これが、これ程の奇跡が!! 我が願望の成就でなくしてなんだというのか!!!」

キャスター「ぅぅぅううあああ乙女よ!! 我が聖処女よ!! ・・・・・・ぎゃああああぁぁ!!」ガタン

龍之介「かんっぜんに何か入っちゃってるな、旦那・・・・・・ん? あれ、この子」

凛『えぐ、うう・・・・・・』

龍之介「聖処女とまでは言わないけどさ・・・・・・見てみたいなあ、中身」ニヤリ

冬木市ハイアットホテル・ケイネスの工房 夜

ケイネス「・・・・・・分かった。下の階で火事だ。まあ間違いなく放火だろうが」

ソラウ「放火? よりもよって今夜・・・・・・?」

ケイネス「人払いの計らいだよ」

ソラウ「じゃあ、襲撃?」

ケイネス「セイバーのマスターは可能な限り早急に槍の呪いを解消したいだろうからな。
ランサー、下の階に降りて迎え撃て。無碍に追い払ったりはするなよ?」

ランサー「承知しました」

ケイネス「御客人にはケイネス・エルメロイの魔術工房をとっくり堪能してもらおうではないか。フロアひとつ借り切っての完璧な工房だ。
結界二十四層、魔力炉三器、猟犬がわりの悪霊・魍魎数十体、無数のトラップに、廊下の一部は異界化させている空間もある。
ふはははは、お互い存分に秘術を尽くしての競い合いができようというものだ。
私が情けないという指摘、すぐにでも撤回してもらうよ、ソラウ?」

ソラウ(・・・・・・この話、もう何回目かしら)

冬木市・某廃ビル 高層階

少し先で爆破される冬木市ハイアットホテル

舞弥「最後まで標的に動きはありませんでした。ホテルの外にには脱出していません」

切嗣『150メートル高みからの自由落下・・・・・・。
どんな魔術結界で防備を固めていても、助かる術はない』ザザ

舞弥「・・・・・・!」ガチャリ、バラララ!

切嗣『ま――!』

綺礼「それにしても、建物もろとも爆破するとは・・・・・・魔術師とは到底思えんな。
いや、魔術師の裏をかくことに長けている、というべきかな?」

舞弥「言峰、綺礼!」

綺礼「ほう、君とは初対面の筈だが? それとも私を知るだけの理由があったのか・・・・・・。
ならば君の素性にも予想は付くが」

舞弥「っ!」

綺礼「私にばかり喋らせるな、女。返答は一つだけでいい。
お前の代わりにここに来る筈だった男は、どこに居る!」ブンッ

舞弥(遠坂邸に放った使い魔・・・・・・アサシンは、遠坂陣営と?)シュタッバン!バン!

綺礼「――なかなか悪くない動きだ、相当に仕込まれているようだな・・・・・・!?」カラン、シュウウ

綺礼「・・・・・・消えたか。まあ良い。
あの女の他にこれを投げ込んだ奴が居るというだけで、今夜のところは収穫だ」

綺礼(それに、衛宮切嗣を襲わせたアサシンも令呪を使うまでもなく死んだ・・・・・・。
父上や遠坂凛に私の行動が洩れることはないだろう)

アサシン「綺礼様」サァァァ

綺礼「どうした?」

アサシン「早急にお耳に入れておかなければならぬ議が・・・・・・。
ついに、キャスターを捕捉致しました」

綺礼「ほう」

遠坂邸・バルコニー 深夜

アサシン・女「凛様」

凛「・・・・・・アサシンさん」

アサシン・女「お邪魔でしたか?」

凛「いいえ。隣、どうぞ?」

アサシン・女「・・・・・・」

凛「?」

アサシン・女「凛様は、お優しいのですね」

凛「どうしたの? 突然」

アサシン・女「今のこともそうですが、凛様は、私達の為に涙を流してくれました。
この身はサーヴァントであるがゆえ・・・・・・いえ、それ以前にもそんなことをしてくれた人はいません」

凛「・・・・・・ごめんなさい。私のせいで、他のアサシンさんを沢山死なせちゃったんだよね」

アサシン・女「私達の任務はあなたを警護することでした。凛様が気に病まれることはありません」

凛「・・・・・・あの、アサシンさんにも、一人一人名前があるのでしょう?」

アサシン・女「はい。元は一人の人間でしたが、私達は確かに個として存在していましたから」

凛「名前、知りたい。死んじゃったアサシンさん達の名前」

アサシン・女「・・・・・・ええ、いいでしょう。まずは、ザ――」

凛(ああ、そっか)

アサシン・女「そうです。あの頃には気の病などありませんでしたから」

凛(みんなはもう帰ってこなくて・・・・・・私は生きてるんだ)

アサシン・女「――ええ、願いは一人の存在になることだったのです」

凛(私は・・・・・・)

凛「きっと叶うよ、アーチャーに聖杯を借りる約束をしてるから!」

(これは、お前の戦いだ)

凛「・・・・・・もう大丈夫だよ、アサシンさん。私、もう泣いたりしない。これは、私の戦いだから」

アサシン・女「アサシンのサーヴァントとして、あなた方の勝利を確約致しましょう」

凛(・・・・・・これが、聖杯戦争なんだ)

※書き溜め以上です。
明日の夜続きを更新する予定です。
さよならザイード。

翌日 朝 冬木市 遠坂邸 念話での会議

綺礼『アサシンに詳しく調査させましたところ、キャスターとそのマスターは、
深山町から隣町を股にかけ、就寝中の児童を次から次へ、夜明けまでに15人を誘拐、
恐らく今、世間を騒がせている連続誘拐犯かと』

璃正『うむ、神秘の秘匿は?』

綺礼『一切行っておりません。もはや聖杯戦争そのものが、眼中にないのかと』

凛「そんな・・・・・・そんなの許せないわ! 早くその人たちを助けにいかないと!」

綺礼『凛、彼らの犯行をみるに恐らく誘拐された児童はす――』

璃正『綺礼! 凛君の言うとおり、早急な解決が要求される。
キャスターとそのマスターは排除するほかあるまい』

綺礼「・・・・・・問題は、サーヴァントにはサーヴァントをもって抗するしか手段はありません。
さりとて、ここまで戦闘を極力控えさせてきたアサシンをここで周囲に晒す訳にもいきますまい」」

凛「待って綺礼! そんなこと言っている場合じゃないでしょう!?」

璃正『凛君、私達はあくまで聖杯を勝ち取ることが目的だ。
キャスター陣営の暴挙は見過ごしておけないが、こちらの手札を晒すのは好ましくない』

凛「じゃ、じゃあアーチャーを」

綺礼『今までの行動をみるに、英雄王ギルガメッシュがこちらの采配に従うとも思えないが?
それとも令呪を使って無理やりにでも従わせると?』

凛「それは・・・・・・言ってみなくちゃ分からないでしょう?」

璃正『とにかく急を要する事態だ。若干のルール変更は私の権限の内、
全てのマスターをキャスター討伐に向かわせよう。
凛君も可能な限りアーチャーを動員する方向で動いてくれたまえ』

冬木市 遠坂邸・地下工房 朝

凛「・・・・・・ここに居るの? アーチャー」ガチャリ

ギル「どうした、凛」

凛「あの・・・・・・キャスターとそのマスターが子供達を誘拐してるらしくて、
サーヴァントにはサーヴァントじゃないといけないから、その・・・・・・。
キャスターを倒して欲しい」

ギル「断る」

凛「どうしてよ!」

ギル「我は我の都合で動く。お前には魔力の供給を受けてはいるが、
その褒美もくれてやったろうに。何よりこれは、お前の戦いではないのか?」

凛「・・・・・・」

ギル「ならば我にそのような小間使いをさせるな。
ただの雑種であればその首、即刻撥ねているところだぞ、凛」

凛「そうね・・・・・・ごめんなさい」ガチャッ バタン

ギル「・・・・・・泣いていたかと思えば今度はこの我に命令か。子供とは恐れがないものよ」

凛「・・・・・・もう! こうなった私一人で何とかしよう。サーヴァントは恐いけど、
捕まってる人を逃がすだけなら私でも出来る筈」ズカズカズカ

リンゴーン

凛「お客さん?」

アサシン・女「敵の罠かもしれません。対応はしない方がよいかと」サァァァ

凛「アサシンさん、どんな人だが分かる?」

アサシン・女「凛様と同じ年頃の、黒髪の少女ですが」

凛「コトネよ!」タッタッタ

アサシン・女「凛様!」

凛「大丈夫、友達なの!」タッタッタ

ガチャリ

凛「コトネ!」

コトネ「凛ちゃん! 久しぶり。病気でおやすみだって聞いていたけれど、大丈夫なの?」

凛「あ・・・・・・ええ! もう大分よくなったわ」

コトネ「よかった」

凛「でも、どうしたの? 突然」

コトネ「・・・・・・えっと、最近恐い事件が多いって、凛ちゃんも知ってるよね?」

凛「・・・・・・誘拐事件?」

コトネ「うん・・・・・・それでお父さんがね、ここは危ないから新都にお引っ越しするって。
だから、凛ちゃんに会いたくって」

凛「そっか・・・・・・」

コトネ「少し遠くなるけれど、私と友達でいてくれる?」

凛「・・・・・・もちろんよっ。それよりコトネ、新都でも間違ってることはちゃんと違うって言うのよ?」

コトネ「うんっ! ありがとう、凛ちゃん。それじゃあ、もう行かないといけないから・・・・・・。
えっと・・・・・・」

凛「新都なんてすぐなんだから、きっと遊びにいくわ!」

コトネ「うんっ! それじゃあ、またね」

凛「うん、またね」

凛(こんなところにまで影響があるなんて・・・・・・やっぱり許せない。
遠坂家六代目当主の私が、何とかするんだ)

冬木市 用水路・キャスターの工房 朝

龍之介「ああ、違う違う・・・・・・親指は、こう」グチャ、グチャ

磔「・・・・・・」ピク、ピク

龍之介「ん~♪ 完璧・・・・・・あ、お帰り、旦那」

キャスター「・・・・・・ぬう!!」バキィ

龍之介「なぁああ!? そんなぁ」

キャスター「忌まわしくも神めは!! 未だジャンヌの魂を束縛したまま話さないぃぃ!!」

龍之介(あぁ、会いに・・・・・・っていうか迎えに? 行ってたんだっけ)

キャスター「我々は証明しなくてはならない!! 神威の失墜を、ぁ愛の虚しさを!!
如何なる非道も悪徳も!! 決して神罰には値しないのだとおぉぉ!!」

龍之介「うんうんっ! 分かるよ、旦那のがよっぽどCOOLだ!」

キャスター「しからば!! 我らは更なる背徳を、更なる冒涜を!
篤信の生贄を山と積み上げるべし!!」

龍之介「・・・・・・えーと、それはつまり・・・・・・これからは質より量ってこと?」

キャスター「そうです! その通りです!! 流石はリュウノスケ。
まずは牢に居る14人から速やかに贄とします。それから新しい子供達を補充をしましょう」

龍之介「何だか勿体ないけど・・・・・・あの時の“材料”が手に入るかもなぁ」ニヤ

冬木教会 朝

璃正「今、聖杯戦争は重大な危機に見舞われている。キャスターのマスターは、
昨今の冬木市を騒がせている連続誘拐事件の犯人であることが判明した」

璃正「よって私は非常時における監督権限をここに発動し、暫定的ルール変更を設定する。
全てのマスターはただちに戦闘行動を中断し、各々キャスター殲滅に尽力せよ」

璃正「そして見事キャスターのマスターを討ち取った者には、特例措置として追加の令呪を寄贈する。
これは、過去の聖杯戦争で脱落したマスター達が使い残した令呪である」

璃正「諸君らにとってこれらの刻印は、貴重極まりない価値を持つ筈だ。
キャスターの消滅が確認された時点で、改めて聖杯戦争を再開するものとする」

璃正「さて、何か質問はあるかね? もっとも、人語を発音出来る者に限らせてもらうがね」

飛び去る使い魔達

綺礼『お見事でした、父上』

璃正「教会に集まった使い魔は5体だった。つまり・・・・・・」

綺礼『つまり、生死不明だったケイネス・エルメロイ・アーチボルトは生きているのですね』

璃正「これでキャスター対策はひとまず安泰だ。令呪の一画を与えるのは痛いが、
サーヴァント2体保有という我々のアドバンテージを越えるものではない」

綺礼『ええ』

璃正「・・・・・・綺礼、昨日の話だが・・・・・・凛君は遠坂家の当主ではあるが、まだ幼い。
必要以上に恐怖を煽る必要はないだろう、違うかね?」

綺礼『・・・・・・いえ、おっしゃる通りかと』

璃正「ああ。・・・・・・では通信を終える」

璃正(クラウディア君が死んでから様子が変わったとは思っていたが、
時臣君の死後はより異常に思える・・・・・・信仰が息子を支えてくれるとよいが)

冬木市・マッケンジー邸 昼

ウェイバー「――先に断っておくが、僕はお前の為に町まで出向いて特大ズボンを買ってくる気はないからな!」

ライダー「何だと!? 坊主、貴様ァ余の覇道に異を唱えると申すか!」

ウェイバー「覇道とお前のズボンとは! 一切合財! 金輪際! 全くもって関係ない!!
外を歩き回る算段をする前に、敵のサーヴァントの一人でも討ち取ってみろ!」

ライダー「なるほど、相分かった。とりあえず敵のみしるしを上げさえすれば・・・・・・
その時は余に! ズボンを履かすと誓う訳だな!?」

ウェイバー「お前・・・・・・そんなに現代の格好で外を歩き回りたいのか?」

ライダー「騎士王の奴めがやっておったのだ、余も王として遅れを取る訳にはいかん!!
さて、余が敵を討ち取るのはよいが・・・・・・その敵は見つけておるのだろうな?」

ウェイバー「うっ・・・・・・ああもちろんだ!! キャスターを見つける算段をつけてある!」

ライダー「では早うせんか!!」

ウェイバー(そんなにズボンが欲しいのか・・・・・・)

ウェイバー「なら、まず・・・・・・川で水を汲んできてくれ」

ライダー「川ァ? 何故余がそんなことをせねばいかん!」

ウェイバー「いいから行ってこーい!!」

冬木市・未遠川上流 夕方

ライダー「全く・・・・・・飲み水ならいつも捻って出しておろうに・・・・・・ぬ?」ジャバ、ジャバ

アーチャー「・・・・・・」スタ、スタ

ライダー「おおい、アーチャーではないか!!」

アーチャー「・・・・・・」チラッ スタ、スタ

ライダー「うおおおい!! 何だ、聞こえぬか!?」

アーチャー「聞こえておるわ! 雑種」

ライダー「こんな夕暮れ時に何をしておるのだ?
よもや、余と戦う為にここまで探しにきたのではあるまいな?」

アーチャー「たわけ、次までに有象無象を間引いておけと言った筈だ。
これ以上その世迷言を重ねるならば」

ライダー「まあ待て、お前の言うとおりまだ倒さねばならぬ敵も多い。
それにこの水が零れてはかなわん」

アーチャー「・・・・・・水だと?」チラ

止まっている用水路の注ぎ口

ライダー「そうだ、この小瓶一本がな・・・・・・果てにはズボンに結びつくらしい」

アーチャー「・・・・・・」

ライダー「そんなことより貴様は何をしておるのだ」

アーチャー「お前に関係はない」サァァァ

ライダー(よもやこんなところでアーチャーに出くわすとは・・・・・・。
うむ、坊主がここを選んだにはそうおうに理由があるらしい)ニカリ

冬木市・某廃ビル 夕方

アサシン・女「綺礼様」サァァァ

綺礼「・・・・・・お前には遠坂凛の警護を任せている筈だが?」

アサシン・女「急をようする事柄でした故。アーチャーは綺礼様の予想通り要請を拒み、
遠坂凛は単身キャスターの工房へ向かおうとしております。
私一人では警護しきれません、全人員を投入した方がよいかと」

綺礼「私はキャスター討伐に関与するなと言った筈だが・・・・・・?」

アサシン・女「・・・・・・遠坂凛は一人で向かおうとしているのです」

綺礼「聞こえていた」

アサシン・女「・・・・・・綺礼様、あなたは!」

綺礼『令呪をもって命ずる、遠坂凛についていくな』

アサシン・女「な!?」

綺礼『重ねて令呪をもって命ずる、このことを他言するな』

アサシン・女「・・・・・・」ギリ

綺礼「どうした? アサシン。残りの令呪も使わせる気か?
もっとも、最後の令呪で何を命令するかはお前も弁えていると思うが」

アサシン・女「・・・・・・御意」サァァァ

綺礼「・・・・・・暗殺者のサーヴァントと豪語するわりには、
人の血が通っているのか。こうもつまらないことに令呪まで使わせるとは」

綺礼(まあ、令呪のあてならばある)

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

切嗣「――キャスターに関しては、僕らにアドバンテージがある。
何を血迷ったか、セイバーをジャンヌダルクと勘違いして付け狙っているんだから、
こいつは好都合だ。僕らは待ち構えているだけでいい」

セイバー「マスター、それでは足りない。奴の悪行は容認し難い、
これ以上被害が広がる前にこちらから打って出るべきです」

切嗣「・・・・・・アイリ、この森の結界の術式は、もう把握出来たかい?」

アイリ「ええ。大丈夫。それよりも問題は、セイバーの左手の呪いよ」

アイリ「――ランサーはまだ健在なんだわ・・・・・・まずはランサーを倒すべきじゃないかしら?」

切嗣「それには及ばない。君は地の利を最大限に生かしてセイバーを逃げ回らせ、
敵を撹乱してくれればいい」

セイバー「・・・・・・」ギリ

アイリ「キャスターと戦わせないの?」

切嗣「キャスターは放っておいても誰かが仕留めるさ。
むしろキャスターを追って血眼になっている連中こそ、恰好の獲物なんだよ」

セイバー「・・・・・・マスター・・・・・・あなたという人は・・・・・・一体どこまで卑劣に成り果てる気だ!!
あなたは英霊を侮辱している! 私を逃げ回らせ、子供が殺されるのを見過ごせというのか!!」

アイリ「・・・・・・キャスター以外とは、休戦の筈でしょう?」

切嗣「構わないよ。今回の監督役はどうにも信用出来ない。
奴はアサシンのマスターである言峰綺礼の父親だ。
そして先日舞弥が言峰綺礼の襲撃にあった際、奴は遠坂邸に放った使い魔を持っていた」

アイリ「遠坂陣営とアサシンのマスターが手を組んでいるって言うの?」

セイバー「マスター!!」

切嗣「奴はもともと遠坂家先代当主の弟子だった男だ、その可能性は高い。
そして監督役の言峰璃正も当主と懇意だったと聞く。
あくまで可能性のだが、疑って掛かったほうがいい」

セイバー「あなたにも子供が居るだろう!!」

切嗣「っ!・・・・・・それじゃあ、解散しよう」ガタ

遠坂邸・門 夜

凛「・・・・・・」スタ、スタ

アサシン・女「行っては駄目です」

凛「・・・・・・でも、行かなきゃ」

アサシン・女「このままでは、あなたは一人で行くことになります」

凛「それでも誰かが行かないといけないの!!」

凛「・・・・・・ねえ、アサシンさん。聖杯って人の命より大切な物なの?
そこまでして手に入れないといけない物なの?」

アサシン・女「・・・・・・」

凛「ごめんなさい・・・・・・死んじゃった人達の為にも聖杯は必ず手に入れる。
でも、ここで逃げ出したら・・・・・・もう自分を遠坂家の当主だって言えなくなると思う」

凛「・・・・・・私は、行くわ」タッタッタ

アサシン・女「待っ――」ビリ

(令呪をもって命ずる、遠坂凛についていくな)

アサシン・女「・・・・・・」ギリ

アサシン・女「アーチャー!」ガチャ、バタン ガチャ、バタン

アサシン・女「どこですか!? アーチャー!!」

アサシン・女「アーチャー!! お願いします、凛と一緒に! 凛と一緒に行って下さい!!」タッタッタッタ

アサシン・女「どこだ・・・・・・アーチャー・・・・・・」

アインツベルン城・バルコニー 夜

アイリ「・・・・・・切嗣」スタ、スタ

切嗣「もし・・・・・・もし僕が・・・・・・。僕が今ここで何もかも放り投げて逃げ出すと決めたら!
・・・・・・アイリ、君も一緒に来てるか?」

アイリ「・・・・・・イリヤは、城に居るあの子はどうするの!」

切嗣「戻って連れ出す、邪魔する奴は殺す、それから先は・・・・・・!
僕は僕の全てを、君とイリヤだけの為に費やす」

アイリ「・・・・・・逃げられるの? 私達」

切嗣「逃げられる!! 今ならばまだ!!」

アイリ「・・・・・・それは嘘よ」ギュ

切嗣「・・・・・・!」

アイリ「あなたは決して逃げられない。
聖杯を捨てた自分を、世界を捨てられなかった自分を・・・・・・あなたは決して許せない。
きっとあなた自身が、最初で最後の断罪者として・・・・・・衛宮切嗣を殺してしまう」

切嗣「恐いんだ・・・・・・イリヤが、イリヤが僕達を待っている。
この先聖杯戦争が進めばイリヤは必ず君を失う! 僕がもし失敗すればイリヤも同じ運命だ!!」

アイリ「あなた一人を戦わせはしない。
私が守る、セイバーが守る・・・・・・それに、舞弥さんも居る」

アイリ「!」ビク

切嗣「・・・・・・敵襲か。舞弥が発つ前で幸いだった。今なら総出で迎撃出来る」

切嗣「アイリ、遠見の水晶玉を用意してくれ」

アイリ「・・・・・・はい」

冬木市・未遠川上流 用水路入り口 夜

凛「ここ、よね」ガチャガチャ

凛「・・・・・・うん、大丈夫。きっと大丈夫よ」スタ、スタ

凛「薄暗い・・・・・・きゃあ!」ズリ

凛「こ、これ・・・・・・海魔っていうやつじゃ・・・・・・死んでるの?」

凛「大丈夫、私は出来る・・・・・・きっと大丈夫」スタ、スタ

キャスターの工房 夜

凛「・・・・・・ここ、なの? 真っ暗で何も見えない・・・・・・何、この臭い」スタ、スタ

「おい」

凛「きゃああ!!」ビタン

ギル「何を一人で騒いでいるのだ、凛」

凛「あ、アーチャーなの!?」

ギル「何、お前の戦いを見物してやろうと思ってな。手を貸すつもりはないぞ」

凛「通路で死んでいた海魔の群れは・・・・・・?」

ギル「ああ、あの醜悪な化物か・・・・・・愚かにも我の道を塞ぎおったのでな、
切り伏せたわ。おかげに宝剣宝槍を何十丁か捨てる羽目になった」

凛「そう・・・・・・あ、あなたは来ないって言っていたじゃない、どうして来たのよ」

ギル「何度も同じことを言わせるな、我は我の都合で動く」

凛「ふ、ふーん。ならお礼は言わないわよ!」

ギル「それでよい。が、残念だったな凛。
お前が打倒しようとしていたサーヴァントはおらぬようだ。
・・・・・・ここの汚れは耐えれらたものではない。帰るぞ、凛」

凛「なに言ってるの、いないなら好都合よ!
何処かに誘拐された人が居る筈だから、早く助け出さないと!」

ギル「見たところ、そんなものはおらんが」

凛「あなたの顔もはっきり見えない程暗いのに、どうして分かるって言うの?」

ギル「我を侮るな、全て見えておるわ。いいから早く出るぞ、とんだ無駄足を踏ませおって」

凛「でも、ちゃんと探さないと!!」

ギル「・・・・・・ここ数日のその横柄な態度、我が何度見過ごしたと思っている。
お前には礼節と尊敬は違うと教えたが、あまり我を見くびるなよ?」

凛「・・・・・・ごめんなさい」

ギル「分かればよい。その聞き分けのよさは買ってやろう」

凛(でも最後に一回見渡すだけなら! えっと、確かこの宝石同士を合わせて・・・・・・)シュッ

パァァァァァ

凛「・・・・・・え?」

ピチャ、ピチャ、ピチャ

凛「あ、あ・・・・・・こ、れ・・・・・・な、に? ・・・・・・ぁあああ、ああ」ドサリ

ギル「・・・・・・凛よ」

凛「だって、ゆ、うかい、ひぐっ、かい、されて、た、たす」

ギル「凛!! 我を見よ!!」

凛「あ・・・・・・え、え?」

ギル「・・・・・・これはお前が流させた血ではない」

凛「でも・・・・・・わた、私が、もっと、早く」

ギル「自惚れるな!! お前がどう思うと、人は死ぬ。早いか遅いかの違いがあるだけだ」

凛「・・・ああ、うぐ、うああぁん、ああぁぁん」

ギル「・・・・・・早く立て、凛」

ギル「・・・・・・馬鹿者が」

※書き溜めは以上です。
アサシンの幸運Eは伊達じゃない。

※次の更新は深夜になると思います。
都度改行の仕方をかえてすいません、読みやすい方法を模索しています。

冬木市・未遠川上流付近・上空 ゴルディアス・ホイール

ライダー「む、あれは」

ウェイバー「アーチャー!? な、何でこんなところに居るんだ。
あれ・・・・・・用水路から出てきたのか?」

ライダー「ほれ見たことか、坊主。戦況は刻一刻と変わっておるのだ。
あ奴め、やはりキャスターの潜伏先を探っておったな」

ウェイバー「やはりって、お前もしかして知っていたのか?」

ライダー「水を汲みに行った時にちいとな」

ウェイバー「知っていたなら早く言えよ!!」

ライダー「それとなく伝えたろうが・・・・・・ほう?
やけに宝具の多い奴だとは思っておったが、よもや戦闘機まで所有しているとは」

ウェイバー「・・・・・・つくづく底が知れないな、あのサーヴァント。一体何処の英霊なんだ」

ライダー「おい坊主。ズボンもそうだが、やはりB2を10台程購入するべきではないか?」

ウェイバー「だーかーら、そんな金はない!!」

ウェイバー「・・・・・・先手は取られたけれど、一応僕らも行くか? キャスターの工房」

ライダー「あの短気な男が荒らした後だ、あまり意味はないのではないか?」

ウェイバー「サーヴァントは魔力の塊だから、戦闘をすればそれだけで痕跡が残るんだよ。
アーチャーの宝具のこととか、キャスターのことが分かるかもしれない」

ライダー「ほう、やはりお前は優秀な魔術師のようだな!」

ウェイバー「だから、これも初歩中の初歩だよ・・・・・・お前やっぱり僕を馬鹿にしているだろ」

ライダー「どうしてお前はそう・・・・・・ん?」

凛『うぐ、ひっく・・・・・・』

ウェイバー「誘拐されていた子かな?」

ライダー「あの様子を見るに・・・・・・坊主、お前は見ない方がよいものがあるかもしれんぞ?」

ウェイバー「ほら、馬鹿にしてるじゃないか!
どうせお前じゃ魔術の痕跡なんて分からないだろ? 早く行けよ、ライダー!」

ライダー「まあ、止めはせんが・・・・・・」

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

遠見水晶に写るキャスターと子供達

アイリ「居たわ!」

セイバー「アイリスフィール、敵は誘いをかけています」

アイリ「人質・・・・・・でしょうね、きっと」

セイバー「私が直に出向いて、救い出すしかありません」

ギョロ

アイリ「! 千里眼を見破られている」

キャスター『昨夜の約定通り、ジル・ド・レェ、まかり越してございます。
我が麗しの聖処女ジャンヌに、今一度お目通りを願いたい』

セイバー「アイリスフィール!」

キャスター『まあ取り次ぎはごゆるりと、私も気長に待たせて頂くつもりで
それなりの準備をして参りましたからねぇ』パチン

キャスター『さあさあ坊や達、鬼ごっこをはじめますよ。
ルールは簡単、この私から逃げ切ればいいのです・・・・・・さもなくば!!』ガシ

セイバー「やめろ!!」

切嗣「・・・・・・」

アイリ「酷い・・・・・・」

キャスター『さあお逃げなさい、100を数えたら追いかけますよぉ。
ねえジャンヌ! 私が全員捕まえるまでにどの位かかりますかねぇ』

切嗣「・・・・・・セイバー」

セイバー「!」

切嗣「キャスターを、倒せ」

セイバー「マスター・・・・・・はい!」タッタッタ

舞弥「・・・・・・」

冬木市 遠坂邸・閉じられた門付近 夜

凛「うぐ、ひっく・・・・・・」スタ、スタ

ギル「・・・・・・」スタ、スタ

「誰かいませんか」ガシャン、ガシャン

凛「・・・・・・?」

凛「あの、どうされましたか?」

「君、遠坂凛ちゃんかい?」

凛「え、ええ・・・・・・あの」

中年の男「娘は、コトネは来ていないか!? 君の友達のコトネだ!」

凛「・・・・・・コト、ネ?」

中年の男「物音がしたと思ったら、急に家の中から消えたんだ!
今朝君の家に行ったと聞いていたから、ここかと思ったんだが・・・・・・」

凛「・・・・・・い、え、来ていないと、思います」

中年の男「そうか・・・・・・連絡網はあるね!?
もし娘が来たら直ぐ電話をして欲しい! いいね?」

凛「はい・・・・・・」

中年の男「ありがとう・・・・・・ここら辺は変な事件が多い、君も早く家の中に戻りなさい!」タッタッタ

凛(コ、トネ・・・・・・もしかして、キャスターに・・・・・・?)

凛「う、おぇ、うぇえ」ビシャ

凛「ぜえ、ぜえ・・・・・・何で、何でそんな・・・・・・駄目だ、やだ、やだよ・・・・・・どうして」ボソボソ

ギル「・・・・・・凛、今日はもう屋敷に戻れ」

凛「・・・・・・」ビクッ

ギル「その雑種、お前の友なのであろう? ならば行かぬほうがよい」

凛「――だ、め」スタ

ギル「何処へいく」

凛「・・・・・・助けなくちゃ」スタ

ギル「あれを見たであろうが・・・・・・もう遅い」

凛「! う、おえぇ」ビシャ

ギル「なあ凛よ。・・・・・・友の死をみるのは、相当に堪えるものだぞ」

凛「うるさい!! ぜえ、ぜえ、うっ・・・・・・あなたには、分からない・・・・・・」

ギル「何だと?」ギロ

凛「大事な友達なの!! あんな・・・・・・あんなこと、に、は・・・・・・絶対させない。
・・・・・・あんなものを見て、うっ・・・・・・そんな平気な顔をしてるあなたには! 分からないんでしょ!?」

ギル「・・・・・・ああ、分からんな。
雑種でこさえた山になど、何の感慨も涌かぬ。・・・・・・本当に行くのだな?」

凛「うん・・・・・・」

ギル「・・・・・・ならば乗れ」シュウウ

凛「ヴィマー、ナ」

ギル「お前の覚悟は分かった。我がその結果を見届けてやる」

凛「・・・・・・ありがとう」

冬木教会 夜

璃正「さて、ことが大きくなる前にキャスターが討伐されるとよいが・・・・・・誰だ!」

綺礼「・・・・・・父上」

璃正「綺礼か・・・・・・ここに来て大丈夫なのか?」

綺礼「ええ、アサシンの報告によれば全サーヴァント・マスターはキャスター討伐に向かったようです」

璃正「なに、アーチャーもか!」

綺礼「・・・・・・はい、ご安心を。全ては今夜終わります」

璃正「そうか・・・・・・これでいよいよ第二局面ということか。綺礼、時間はあるのか?」

綺礼「ええ、ここに来る他、今日の予定はありません」

璃正「・・・・・・いや、なに。この聖杯戦争がどうなるかはまだ分からん。
お前とゆっくり話せる保障のある時間は、今宵くらいだろう」

綺礼「・・・・・・はい」

璃正「クラウディア君を失った後・・・・・・お前は何処かが変わった。
第八秘蹟会の任がお前の心を鎮めてくれるかとも期待していたが・・・・・・。
結局のところ、私はお前に何もしてやることが出来なかった。
私は父として、聖堂教会の司祭として失格だ」

綺礼「・・・・・・」

璃正「・・・・・・思い出させてしまったようだな、すまない。
何か用があったのだろう? 先に聞いておこう。何せ夜はまだ長い」ニコリ

綺礼「ええ・・・・・・父上が申されたとおり、今後何が起こるか分かりません。
父上の腕に預託令呪があることも、今朝の監督権限の発動で全マスターに知られました。
万が一ここが襲われた時に備え、預託令呪の管理状況を確認しに参ったのです」

璃正「そうか・・・・・・抜かりはない。
私の腕から令呪を引き剥がすには、呪文の詠唱が必要だ」

綺礼「それを聞き、安心致しました。もし万が一、父上に何かあった際には・・・・・・」

璃正「・・・・・・そうだな。お前には教えておくべきだろう・・・・・・しかし」

綺礼「ええ、ご安心を。アサシンの警戒も解いております。ここには父上と私しかおりません」

璃正「うむ・・・・・・呪文は、ヨハネ福音書4章24節の聖言だ。
For God is Spirit, so those who worship him must worship in spirit and in truth」

綺礼「祈りと賛美があれば、どこであっても、そこが聖霊に導かれた礼拝となりうる・・・・・・」

璃正「そうだ。例えどのような状況であったとしても・・・・・・綺礼よ、お前が祈りを捧げる限り・・・・・・
神もクラウディア君もお前を見守って下さる。もちろん、私も見守っておるよ」ニコリ

綺礼「そう、ですか。ありがとうございます、父上・・・・・・忘れません」

璃正「さて、場所を変えよう。聖堂の中では酒は飲めぬ」

璃正(私はふがいのない父であったが・・・・・・少しだけ肩の荷が降りた。
極上の酒とまではいかぬが、頃合の良いワインがた――)

璃正「がはっ・・・・・・何だ、これは」

璃正(私の腹から出ている、これは・・・・・・黒鍵?)

綺礼「あの女が死んだ時感じたものに・・・・・・私は自分自身で蓋をしました。
自分でも分からなかったのですよ、何処からそんな感情が生まれたのか」

璃正「何、をしている、のだ・・・・・・綺礼」ボタ、ボタ

綺礼「しかし、遠坂時臣の死の際ではっきりと確信したのだ!
あれは、間違いなく私から生まれ出でたものだと」

綺礼「――悔しかったのだよ!! 死ぬくらいならば、私が殺しておけばよかったと!!」ブン

璃正「ぐああ!」バタン

綺礼「やっと叶いました・・・・・・全てあなたのおかげです、父上。
こうして、祈りまで捧げることが出来るのですから」

璃正(わた、しは・・・・・・間違って、いたのか)

綺礼「For God is Spirit, so those who worship him must worship in spirit and in truth」

冬木市の何処

綺礼「・・・・・・まだだ、まだ、分からない・・・は、ははは・・・・・・? ははは、はっはっは!!」

綺礼(何だこの感情は、湧き上がる充足感は・・・・・・!!)

綺礼「何てことだ・・・・・・これは・・・・・・私は、愉悦を感じているのか・・・・・・?
――まだだ、まだ足らん。疑問と感情があふれ出して歯止めが聞かない!!」

綺礼「・・・・・・問題はない、ここにはその材料で溢れている」

※更新がまちまちになりましたが、書き溜めは以上です。
続きは明日の夜更新する予定です。



これって描写してないだけで裏でギルが原作みたいに愉悦教えてるの?

>>183
いえ、教えていません。
時臣ダイブで奥さんの時の感情が蘇る→凛の采配にギルガメッシュが退屈しないからワインせびりにこない→
みたいな感じでちょっとずつ本編からずれていった結果、ここで素直になったって感じです。

他のキャラクターもバタフライ効果的に台詞や動きを変えてあります。

※更新していきます。
これもかなり遅くなって申し訳ないのですが、嘔吐描写もあるので
そういうのが苦手な方はご注意下さい。

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

机の上に遠見水晶

セイバー『ぐあ!?』

キャスター『申し上げた筈ですがァ? 次に会う時は相応の準備をしてくると』

アイリ「――キャスターの魔力だって、無限じゃない筈・・・・・・。
枯渇するまで持ちこたえれば、セイバーに勝機はあるわよね・・・・・・切嗣?」

切嗣「・・・・・・」

アイリ「切嗣・・・・・・?」

切嗣「あ、ああ・・・・・・それより、他のマスターが森に入ってきた反応はないのか?
舞弥、アイリを連れて城から逃げてくれ、セイバー達とは逆方向に」

アイリ(さっきのことといい、少し様子がおかしいわ・・・・・・)

アイリ「・・・・・・ここに居ては、駄目なの?」

切嗣「セイバーが離れた場所で戦っている以上安全ではない。
僕と同じことを考えている奴だって、居るだろうからね」

アイリ「・・・・・・分かったわ・・・・・・!?」ビリ

切嗣「どうした? アイリ」

アイリ「どうやら、新手がやってきたみたい」

冬木市 郊外の森 夜

セイバー(何故だ、奴の魔力は底なしだというのか? まさか・・・・・・奴の魔力の源は)

セイバー「・・・・・・その本が貴様の宝具か」

キャスター「ええ・・・・・・我が盟友プレラーティの残した魔書により、
私は悪魔の軍勢を従える術を得たのです!! いかがですゥ? ジャンヌ。
懐かしいですねェジャンヌ、何もかも昔のままだ。その気高き闘志、尊き魂の在り様は!
 紛れもなくあなたがジャンヌ・ダルクであることの証!!それなのに何故だ!!
何故目覚めてくれないのですゥ!? 嗚呼ジャンヌジャンヌジャンヌゥ!!!アーッ!!!」

セイバー(とても・・・・・・とても気持ち悪いッ!!)

キャスター「未だ神のご加護を信じておいでか!!
この窮地にも奇跡があなたを救うと!? 嘆かわしいィ・・・・・・コンピエーニの戦いをお忘れか!?
あれ程の辱めを受けて尚あなたは神の操り人形に甘んじるのかァァァァ!!!」

セイバー「ぐあぁあああァ!!」

ズバッ! ズバッ!

セイバー「!? ・・・・・・はぁ、ぜえ、ぜえ・・・・・・」

ランサー「無様だぞ、セイバー。もっと魅せる剣でなければ騎士王の名が泣くではないか」

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

モニターに写る正面玄関

ケイネス『アーチボルト家九代目当主、ケイネス・エルメロイがここに仕る。
アインツベルンの魔術師よ、求める聖杯に命と埃を賭して、いざ尋常に立ち会うがよい』ザザ

キィィ バン! バン!

ケイネス『・・・・・・からくり仕掛け頼みとは・・・・・・ここまで落ちたかアインツベルン。
よろしい、ならばこれは決闘ではなく誅罰だ』ザザ

切嗣「・・・・・・!」スタ、スタ

切嗣(水銀・・・・・・なるほど、自動索敵か・・・・・・まずい!)

ケイネス「見つけたぞ、ねずみめが」

切嗣「・・・・・・」バララララ!

ケイネス「スカルプ!」

切嗣「タイムアルター・ダブルアクセル」

ケイネス「ほう・・・・・・自らの体内を固有結界として、時間を操り加速したというところか」

ケイネス「――イレ・サンクティオ!」

冬木市 上空 ヴィマーナ舟上

凛(待ってて・・・・・・コトネ!)

アーチャー「先の場所には居なかったであろう? どこへ向かえばよいのだ」

凛「ぜえ、ぜえ・・・・・・このまま、進ん、で!」

凛(・・・・・・お父様に貰った魔力針が強く反応してる・・・・・・その先に、サーヴァントが!)

冬木市 郊外の森 夜

舞弥「・・・・・・マダム、お急ぎを」

アイリ「・・・・・・! また新手の侵入者よ、丁度私達の進む先に居る・・・・・・このままだと、鉢合わせするわ」

舞弥「分かりました、では北側へ迂回しましょう」

アイリ「・・・・・・やってくるのは、言峰綺礼の仲間よ」

舞弥「・・・・・・!」

舞弥「・・・・・・遠坂陣営・・・・・・遠坂凛が?」

アイリ「舞弥さん・・・・・・あなたが切嗣から受けた命令は、私の安全を確保することよね?」

舞弥「はい・・・・・・でも」

アイリ「でも、何? あの子供だけは、絶対に切嗣のところへ行かせる訳にはいかない・・・・・・と、思う訳?」

舞弥「マダム、あなたは――」

アイリ「偶然ね・・・・・・全くもって同意見なのよ、私も」

アイリ「遠坂凛、おそらく切嗣にとって最悪の戦いになるであろう子供・・・・・・。
ここで私達が食い止める。いいわね? 舞弥さん」

舞弥「申し訳ありませんが・・・・・・お覚悟を願います、マダム」

アイリ「・・・・・・ええ、私の心配はしなくていい。
あなたはあなたの務めを果たして。切嗣の命令ではなく、あなた自身が必要と思っていることを」

舞弥「・・・・・・はい・・・・・・マダム?」

アイリ「ううん・・・・・・人間の心って、不思議よね」

舞弥「・・・・・・相手が相手です。私一人で向かうことも出来ますが」

アイリ「――駄目よ。切嗣の弱さは、私と舞弥さんが補わないと」

舞弥「・・・・・・行きましょう、マダム」

アイリ「・・・・・・ええ」

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

血の飛び散る廊下

ケイネス「ぐあ!? ・・・・・・スカルプ!!」

切嗣「・・・・・・」バララララ! タッタッタッタ

ケイネス「ぜえ、ぜえ・・・・・・ヴォールメン・ハイドラグラムの自立防御を突破されただと。
・・・・・・いや違う、奴の子供だましのような攻撃に、私が油断しただけだ!
もっと速く、そしてより効率良く防御体勢を整える・・・・・・」

ケイネス「魔術師の面汚しが・・・・・・下賎の屑が!私の血を流すなど・・・・・・思い知らせてくれる」ザキン、ザキン

――――
―――
――


切嗣(あれで奴もこいつの威力を理解しただろう。もう同じ攻撃は通用しない・・・・・・。
次は渾身の魔力を注ぎ込んで防御してくる筈だ)

ガチャン、ガチャリ

切嗣(いや・・・・・・そうであってくれなければ困る)

冬木市 郊外の森 夜

大量発生する海魔

セイバー「ランサー、この辺りで一か八か賭けに出る気はないか?」

ランサー「根負けするようで癪だが、このまま雑魚とばかり遊んでいるのも芸がない。
良いだろう・・・・・・乗ったぞ、セイバー」

セイバー「私が道を開く、ただ一度きりのチャンスだ。ランサー、風を踏んで走れるか?」

ランサー「ふん、なるほど・・・・・・造作もない!」

キャスター「末期の祈りは済みましたかなァ? さあ恐怖なさい?
絶望なさい! 武功の程度だけで覆せる差には限度というものがある・・・・・・」

キャスター(何を考えているのかは知りませんが・・・・・・無駄ですよォ? ジャンヌゥ。
海魔を仕込んだ子供もまだ“一人”残しているのです・・・・・・。
プレラーティーズ・スペルブックに傷でもつかぬ限り、人質を取られる恐怖がまたあなたを襲う・・・・・・)

キャスター「んふふふふ・・・・・・屈辱的でしょう?栄えもなければ誉れもない魍魎達に
押しつぶされ窒息して果てるのです! 英雄にとってこれ程の恥はありますまい!!
・・・・・・その麗しき貌、今こそ悲痛に歪ませておくれェジャンヌゥ!!」

ランサー「来るぞ! セイバー」

セイバー「ストライク・エア!!」ズバァ

※とりあえずここまでです。
続きはまとめて深夜までには更新します。

冬木市 郊外の森 夜

凛「コト、ネ・・・・・・コトネー!!」タッタッタッタ

ギル「・・・・・・」サァァァ

凛「? アーチャー、何処に行ったの?」

バン!

凛「!!」ドサリ

凛(・・・・・・何、これ? あ、足が・・・・・・熱い)

凛「・・・・・・痛い!! あ、ああ・・・・・・足が!」ダラァ

舞弥「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

アイリ「・・・・・・」スタ、スタ

凛「痛い・・・・・・痛いよう・・・・・・だ、誰? ――港に居た、セイバー、の、マスター?」

舞弥「サーヴァントも連れていないようですね・・・・・・」

バン!

凛「ぎゃああ!・・・・・・あ、あああ」ズリ、ズリ

アイリ「待って! ・・・・・・私が、やるわ」

舞弥「いえ、ここは――」

アイリ「さっきも言ったでしょう!?
・・・・・・私は、切嗣を助ける。この聖杯戦争は、私達の戦いよ」

凛(!・・・・・・そっか、だから、アーチャーは・・・・・・)

凛(足も肩も痛い、凄く痛いし、頭はクラクラする)

アイリ「やらなきゃ・・・・・・このマスターを、殺す!!」

凛(・・・・・・でも、立たなきゃ!自分で、決めたんだ!!)

凛「――あぁぁあああ!! ガンド!!!」ボタタタ バンッ!!

舞弥「マダム!――ぐあ!」ダッ バタン

アイリ「舞弥さん!」

舞弥「がっ、あ、う・・・・・・」

アイリ(何て子なの・・・・・・あの年で、フィンの一撃を)

凛「・・・・・・負け、ない。コト、ネが、待ってるんだ。
・・・・・・そこをどけろ! セイバーのマスター!!」

アイリ「! シャープ・イスト・レーベン!」

凛「ガンド!!」

冬木市 郊外の森 夜

海魔の大群に開いた道

ランサー「いざ、覚悟!!」タッタッタッタ

キャスター「なァ!?」

ランサー「抉れ、ゲイ・ジャルグ!」ザキン

キャァァアァ!!

キャスター「貴様ァ・・・・・・貴様貴様貴様貴様貴様貴様、貴様ァァァ!!」

ランサー「如何かな? 今のセイバーに左手が戻れば、ざっとこんなものという訳だ」

キャスター「ぬぅ・・・・・・」

セイバー「覚悟は良いな・・・・・・外道」

キャスター「ふ、ぬふふ・・・・・・いいでしょう・・・・・・。
今宵はここでお暇させて頂きましょう、ジャンヌ?」ニヤ

セイバー「逃がすかァ!――!?」ダッ
シュウウウウウウウ

『これはあなたの為に用意した物だ・・・・・・あなたに始末して貰いましょう?』

セイバー「何処だ、キャスター!!」ブンッ

シュウウウウ、ウウウ

『あなたのせいですよ、ジャンヌゥ。中途半端に攻撃をするから』サァァァ

セイバー「・・・・・・これ、は」

コトネ「が、ああ、あ、たす、たすけ、て」グチャ、グチャ

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

ケイネス「まさかさっきと同じ手が通じるとは思っていまいな? 下衆めが」

切嗣「・・・・・・」ガチャリ

ケイネス「――肺と心臓だけを治癒で再生しながら、爪先からじっくり切り刻んでやる・・・・・・。
悔やみながら、苦しみながら、絶望しながら死んでいけェ!そして死にながら呪うがいい、貴様の雇い主の臆病ぶりを!!
聖杯戦争を辱めたアインツベルンをなァ!!」

切嗣「・・・・・・」バララララ

ケイネス「フェルボール・メイ・サングイス!!」

バン!

ケイネス(やはりそうきたか・・・・・・馬鹿め!)

切嗣「・・・・・・」ニヤ

ケイネス「!?」

冬木市 郊外の森 夜

ランサー「・・・・・・!」

セイバー「・・・・・・どうかしたのか? ランサー」

ランサー「我が主が、危機に瀕している・・・・・・。どうやら、俺を残してそちらの本丸に切り込んだらしい」

セイバー「・・・・・・きっと、私のマスターの仕業だ・・・・・・急ぐがいい。己が主の救援に向かえ」

ランサー「・・・・・・しかし、これは」

コトネ「があ、あ、グギャ、あ、ああ」ピク、ピク

セイバー「・・・・・・私に任せろ。さあ、急げ」

ランサー「・・・・・・かたじけない」

セイバー「ランサーよ、我ら二人は騎士としての決着を誓おう・・・・・・そしてその誇りを貫こう」

ランサー「ああ」サァァァ

コトネ「く、るし、い・・・・・・おな、か、苦し、が、あ」グチャ、ビシャ

冬木市 郊外の森 夜

凛「ぜえ、ぜえ・・・・・・」ズリ、ズリ

ギル「そのままでは死ぬぞ、凛」サァァァ

凛「魔力、針が・・・・・・もう、すぐ」ズリ、ズリ

ギル「・・・・・・」スタ、スタ

凛「――コト、ネ? やっと、見つけた・・・・・・! コトネ!!」ズリ、ズリ、ズリ

ジャキン

ビシャ

凛「・・・・・・あ、ああ」ヘタリ

セイバー「・・・・・・幼子よ、あなたはどうしてここに?・・・・・・アーチャー!」

ギル「黙れ、雑種。それは我のマスターだ」

コトネ「・・・・・・」ダラァァ

凛「そん、な・・・・・・セイバー! セイバー!!」ズリ、ズリ、ズリ

ギル「待たぬか、凛。それをよく見よ」

セイバー「・・・・・・何のようだ、アーチャー」

ギル「なに、その娘がキャスターに連れ去られた友を探すというのでな、そこのそれをだ」

凛「ごめん・・・・・・助けられなかった・・・・・・ごめんね・・・・・・? コトネ」

セイバー「・・・・・・アーチャーのマスターよ。その子供は、腹の中に海魔を入れられていたのだ」

凛「コト、ネ・・・・・・」バタン

セイバー「大丈夫か!?」ダッ

ギル「触るな、雑種。それは我が連れて帰る」ダキ

セイバー「・・・・・・すまない、アーチャーのマスターよ・・・・・・私は」

ギル「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

――――
―――
――

※今日はここまでです。
続きは明日の夜で、今日よりは多く更新する予定です。

ハイペースだな
冗長なギャグパートなしにこれは凄いわ
期待

>>224
大筋をアニメ準拠にしているのでギャグより凛の嘔吐を優先しました。

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 夜

ケイネス「がぁああああ!? かはっかはっ・・・・・・ぎ、あ、あああ」バタン

切嗣「・・・・・・」ガチャリ

バン チュイン

切嗣「!」

ランサー「今ここで貴様を串刺しにするのがどれだけ容易いか、
分かっていような? セイバーのマスターよ」サァァァ

切嗣「・・・・・・そういうことか」

ランサー「俺のマスターは殺させない。セイバーのマスターも殺さない。
俺も彼女も、そのような形での決着は望まない」

切嗣「・・・・・・」

ランサー「・・・・・・夢忘れるな。
今この場で貴様が生き存えるのは、騎士王の高潔さ故であったことを・・・・・・」サァァァ

切嗣「・・・・・・っ。はあ、はあ・・・・・・がはっ」ガク

切嗣(全身の骨が軋む・・・・・・アサシンとの交戦から固有時制御を使い過ぎた・・・・・・)

冬木市 郊外の森 夜

セイバー「アイリスフィール!」タッタッタッタ

アイリ「セイ、バー。アーチャーの、マスターは・・・・・・ここに居た、敵は何処に?」

セイバー「! ・・・・・・もうこの森には居ません・・・・・・それより傷は!」

アイリ「私は大丈夫よ。それより舞弥さんを」

アイリ(あなたに触れられた瞬間から、アヴァロンを感じたわ・・・・・・ありがとう、セイバー)

セイバー「舞弥、肩を」

アイリ(遠坂凛・・・・・・切嗣が彼女を殺したら、今度こそ切嗣の心は壊れてしまう。
・・・・・・なのに、私は・・・・・・)

冬木教会・深夜

綺礼「・・・・・・」パァァァ

凛「・・・・・・ん、んん・・・・・・」

綺礼「ここを訪ねたことはひとまず正解だ、アーチャー。
私は治癒魔術にそれなりの心得がある」パァァァ

ギル「・・・・・・」チラ

僅かな血痕

綺礼「だが解せん。何故私がここに居ると分かったのだ?」

ギル「分からぬのは我の方だ・・・・・・貴様こそ何故ここに居る」

綺礼「・・・・・・父上に所用があったのだ、生憎外出中の様子だが。
・・・・・・遠坂凛は治療後アサシンに送らせよう、貴様は遠坂邸に戻るがいい」

ギル「黙れ。お前はただ治療をすればよい・・・・・・」

綺礼「・・・・・・そうか」パァァァ

――――
―――
――

冬木市・某廃ビル 深夜

ケイネス「っ・・・・・・」

ケイネス「・・・・・・? なんだ、これは」ギシ、ギシ

ケイネス(身体が・・・・・・動かない)

ソラウ「気がついたようね」

ケイネス「ソラウ・・・・・・ここは? 私は何故ここに居る・・・・・・!?」

ソラウ「――何があったか、覚えていないの?
全身の魔術回路が暴走した形跡があるわ・・・・・・即死しなかったのは奇跡ね」

ケイネス「・・・・・・! なに、を言っているんだ」

ソラウ「とりあえず、間に合ったのは臓器の再生まで。
あなたの魔術回路は壊滅よ、もう二度と魔術の行使は出来ない・・・・・・。
ねえ、泣かないで? ケイネス。私達はまだ負けていないわ」

ケイネス「・・・・・・ソラウ?」

ソラウ「聖杯が万能の願望機だというのなら、
あなたの身体を完治させるのも十分に可能な筈でしょう?
――だから、ね? ケイネス・・・・・・私にその令呪を譲って頂戴?」

ケイネス「――駄目だ!! 令、呪は――!?」

ミシ、ミシシシ

ソラウ「・・・・・・」

ケイネス「あ、あああ・・・・・・!」

パキ

ソラウ「私程度の霊媒治療術だと、根付いた令呪を強引に引き抜くまでは無理なのよ。
どうしても納得しないと言うのなら・・・・・・その右腕を切り落とすしかないけれど、どうするの?」

冬木市 郊外の森・アインツベルン城 深夜

ベットで目を閉じる舞弥

アイリ「心配ないわ。魔術による治療は、被術者による負担が大きいの。
朝には意識を取り戻すわ。ちょっと舞弥さんを見ていてくれるかしら、セイバー」ガタ

セイバー「切嗣へ報告に?」

アイリ「彼も、心配しているだろうから・・・・・・」

セイバー「・・・・・・アイリスフィール、お願いがあります。
あなたから切嗣に進言して欲しい、ただちにキャスターの討伐に向かうべきだと」

アイリ「・・・・・・セイバー」

セイバー「このままキャスターを野放しにしておけば、
犠牲になる子供達が増えるだけです」

アイリ「・・・・・・駄目よ」

セイバー「アイリスフィール!!」

アイリ「あなたの気持ちはよく分かるわ、セイバー。
・・・・・・でも、今はやめて上げて」ギィ、バタン

セイバー「・・・・・・」ギリ

冬木市・某廃ビル 深夜

ソラウ「どうしてよ!? ・・・・・・ランサー。
私と戦って、私を守って! 私を支えて! 私と共に、聖杯を取って!」

ランサー「・・・・・・出来ません。
ケイネス殿が戦いを放棄するというのなら、私も聖杯など要りません」

ソラウ「・・・・・・彼の身体を癒すには、奇跡の助けが必要だわ!!
それが叶うのは、聖杯だけでしょう? ・・・・・・彼の負傷に責任を感じているのなら、
ロードエルメロイの威信を取り戻そうと思うのなら、あなたは主に聖杯を捧げなければ!」

ランサー「ソラウ様・・・・・・あなたはケイネス殿の伴侶として、
ただケイネス殿の為だけに聖杯を求めると、そうおっしゃるのですね?」

ソラウ「む、無論です!」

ランサー「誓って下さいますか? 他意はないと」

ソラウ「・・・・・・誓います。私はケイネス・エルメロイの妻として、夫に聖杯を捧げます」

ランサー(・・・・・・同じ目だ、あの時のグラニアと。
俺は誰も恨んでいない、ただ、運命の巡り合わせがあまりにも悪すぎただけのこと・・・・・・。
俺が現世で望むのは、前世で叶わなかった忠節。もうあんな悲運を繰り返したくない・・・・

マッケンジー邸・2階 深夜

明かりの消えたウェイバーの部屋

ライダー「おお! これが布団か・・・・・・うむ、なかなかよいではないか!」ズシ

ウェイバー「・・・・・・出入りの時は霊体化しろって、言っただろ」ボソ

ライダー「固いことをいうな、坊主。
そのおかげで、こうして異国の寝具にありつけているのではないか」

ウェイバー「お前だけな・・・・・・大体、サーヴァントの癖に酒を飲み過ぎなんだよ。
誰だよ友達のアレクセイって。僕は知らないぞ、そんな奴」ボソ

ライダー「だが、楽しかったであろう?」ニカ

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「・・・・・・坊主、あれは忘れてしまえ。
あんなものを覚えていたところで、何の役にも立たんぞ」

ウェイバー「・・・・・・うるさい、馬鹿。・・・・・・もう忘れたよ」ボソ

ライダー「ならばよいのだ・・・・・・」ベシッ

ウェイバー「痛っ!!」

遠坂邸・寝室 朝方


――
―――
――――

(僕は道具だ。君が裁定する必要のないものだ。世界の終りまで、君の傍に有り続けられる)

(共に生き、共に語らい、共に戦う。それは人でも道具でもない。友と言うのだ、エルキドゥ)

(悲しむ必要はありません。僕は兵器だ。君にとって数ある財宝の一つにすぎない。
この先、僕を上回る宝はいくらでも現れる。だから君が頬を濡らすほどの理由も価値も、
僕にはとうにないのです)

(・・・・・・エル、キドゥ?)

(――ああ。  なんて、罪深い)

凛「・・・・・・っ。今の、は・・・・・・夢?」

※書き溜めは以上です。
次の更新は、本日深夜までには行います。

アサシン・女「おはようございます、凛様」

凛「アサシン、さん?」

アサシン・女「・・・・・・昨夜遅く、血まみれのアーチャーがあなたをここに運び込みました。
一体何があったのです?」

凛「・・・・・・あ、ああ・・・・・・コト、ネ・・・・・・」

アサシン・女「凛様?」

凛「・・・・・・コト、ネ・・・・・・ごめん、なさい」

遠坂邸・廊下 朝方

アサシン・女「・・・・・・アーチャー」

ギル「凛は起きたか、雑種」サァァァ

アサシン・女「凛様に一体何があったのですか、あの憔悴の仕方は異常だ」

ギル「卑しい暗殺者めが・・・・・・昨日の様子も監視していたのではないのか?」

アサシン・女「・・・・・・」ギリ

『アサシンよ、現任務を放棄し私の元へ集合しろ』

アサシン・女「! ・・・・・・アーチャー、もしお前が何かしたのだとすれば、許さんぞ」サァァァ

ギル(これで潰れるようであれば、それまでということよな・・・・・・)

冬木市・某ビジネスホテル 一室 朝

切嗣(遠坂邸に動きは無し・・・・・・。
昨夜の襲撃の意図は掴めないが、キャスター襲撃の便乗が可能性として高い。

間桐のマスターは見るからに無防備で襲撃は容易にみえる・・・・・・だが、
バーサーカーの不可解な特殊能力は、アーチャーとライダーを牽制する意味でも泳がしておくべきだろう。

ロードエルメロイは再起不能筈だが・・・・・・ランサーは脱落していない。
新たなランサーのマスターが誰なのか、早急に確認する必要がある。

キャスターの所在は依然として不明だが、昨夜もまた市内で数名の児童が失踪した・・・・・・。
奴らは何の憚りもなく、狼藉を繰り返しているのだろう)

切嗣(ライダーは常にマスター共々飛行宝具で移動する為、追跡は困難・・・・・・。
一見豪放に見えるが、隙のない難敵だ・・・・・・だが、最も脅威なのは――。

言峰綺礼・・・・・・今の時点で僕がセイバーのマスターであることはばれていない筈だが、
アサシンと共にこちらに不可解な襲撃を繰り返し、唐突に姿を隠した。
遠坂陣営と組んでいる可能性が高かったが、昨日の襲撃時には参加しないどころか、
監視すらしていない様子・・・・・・もっとも、僕が目的であったなら全て理解出来るが。

言峰綺礼・・・・・・お前は何者だ)

キャスターの工房 朝

雷に打たれたような燃え跡

龍之介「あ、ああ、ひでェ・・・・・・あんまりだァア・・・・・・。
精魂込めて俺達が仕上げてきたアートが・・・・・・酷すぎる!
こんな、これが人間のやることかよォォォ!!」

キャスター「・・・・・・リュウノスケ。
本当の美と調和というものを理解出来るのは、ごく一握りの人間だけなのです。
むしろ大方の俗物にとって美とは、破壊の対象にしかなり得ないものです」ダキ

龍之介「――壊れた分だけ、また造るしかないってこと・・・・・・?」ぐす、ぐす

キャスター「その通り!! いつもながらリュウノスケ、その端的なる理解はあなたの美徳ですよォ?」ニコ

龍之介「・・・・・・俺達、あんまり楽しみ過ぎたせいで、バチが当たったのかなァ」

キャスター「これだけは言っておきますよ!? リュウノスケ!!」

龍之介「だ、旦那?」

キャスター「神は決して人間を罰しない!! ただ玩弄するだけです!!
かつて私は、地上にて具現しうる限りの悪逆と篤信を積み重ねた・・・・・・。
だが、殺せども汚せどもこの身に下る筈の神罰はなかった!!

結局、最後に私を滅ぼしたのは神ではなく、私と同じ人間共の欲得でした。
我が背徳に歯止めをかけたのは裁きなどとは程遠い、ただの略奪だったのですよォォ!!!」

龍之介「・・・・・・でも、旦那・・・・・・神様は、居るんだろ?」

キャスター「何故、信仰もなく奇跡も知らぬあなたがそう思うです?」

龍之介「だって、この世は退屈だらけな様だけど、探せば探す程面白可笑しいことが多すぎる!
きっと登場人物50億人の大河小説を書いているエンターティナーが居るんだ!!
そんな奴について語ろうと思ったら・・・・・・これはもう神様としか言い様ない!」

キャスター「では・・・・・・果たして神は、人間を愛していると思いますか?」

龍之介「そりゃあもうゾッコンに!
この世界のシナリオをずっと休まずに書いているんだとしたら、
それはもう愛がないとやってられないでしょ!!」


キャスター「・・・・・・まさか、こんなにも新しく瑞々しい信仰が芽吹いていようとは・・・・・・。
信服しましたリュウノスケ、我がマスターよ!!!」

冬木市・某廃ビル 昼

綺礼(・・・・・・師と妻の死に己が殺せなかったことを悔やみ、
父の死では喜びを見出した・・・・・・。私は一体何だ・・・・・・何を願う。
――試さなくては、私が私という人間を理解する為に)

「・・・・・・綺礼様」サァァァァァァァァ

綺礼「これで全てか?」

アサシン「はい、88人全てでございます。
しかし本当に良いのですかな? 諜報活動を中断など・・・・・・」

綺礼「構わん。これより状況は第二局面へと移る」

綺礼(・・・・・・いや、新たなものへと変わる)

綺礼「――これよりバーサーカーのマスターに接触する。お前達は私の警護をしろ」

綺礼(間桐雁夜・・・・・・その残酷で醜悪な運命は、調べる程に惹かれるものがある・・・・・・その理由は教えろ)

アサシン・女「・・・・・・」

冬木市・某工場 夕方

雁夜「・・・・・・どうした! 落ち着け、バーサーカー・・・・・・ぜえ、ぜえ」

綺礼「・・・・・・間桐雁夜」

雁夜「誰だ!!」

アサシン「・・・・・・」サァァァ

雁夜「アサシン!? ・・・・・・お前はマスターか!!」

綺礼「落ち着きたまえ、私は敵ではない。君を助けに来たのだ」

雁夜「嘘をつくな!! 遠坂時臣と組んで凛ちゃんを利用しているのだろう!?」

綺礼(なんと愚かな・・・・・・資料は読んだが、よもやそこまでの曲解をしているとはな)

綺礼「・・・・・・その通りだ、遠坂時臣は娘を利用しこの聖杯戦争に臨んでいる。
だが、私はその非人道的な行動に嫌気が差し、遠坂陣営から離脱したのだ。
――これを見たまえ」

雁夜「!? ・・・・・・それは全て、令呪なのか?」

綺礼「いかにも・・・・・・この預託令呪は元々監督役である言峰璃正が所有していたもの。
そして遠坂時臣はこれを狙い、昨夜監督役の暗殺を実行した。
・・・・・・だが、この預託令呪だけは私が守りきり、こうして監督役を引き継いだのだ」

雁夜「・・・・・・それで、どうして俺の目の前に現れる?」

綺礼「聖杯・・・・・・万能の願望機とよばれるそれは、
悪しき者の手に渡ればどんな災厄を招くか分かったものではない。
――間桐雁夜よ、君は聖杯に何を望む?」

雁夜「俺自身に望みはない・・・・・・俺はこの聖杯戦争で勝ち残り、
桜ちゃんや凛ちゃんを救いたいだけだ!!」

綺礼「・・・・・・その崇高な願いを持つ君に、聖堂教会は聖杯を手に入れて欲しいと願う。
私がアサシンのマスターとしてこの聖杯戦争に臨んだ訳も、実のところそこにある。
根源への到達という隠れ蓑に踊らされ、一時は遠坂時臣についた私に
非があることは重々承知の上なのだが・・・・・・。
間桐雁夜よ、今一度言う。私は君の助けになりたいのだ」

雁夜「・・・・・・本当に、俺に協力してくれるのか?」

綺礼「もちろんだとも。さあ、手を出したまえ」パァァァ

雁夜「・・・・・・令呪が!」

綺礼「私が居る限り・・・・・・君は何度でも令呪を行使することが出来る。気に入ってくれたかな?」ニヤ

遠坂邸・寝室 夕方

凛「・・・・・・アーチャー。いるんでしょう?」

ギル「ほう・・・・・・気が狂ったのかと思っていたが」サァァァ

凛「・・・・・・ごめん、なさい」

ギル「一体何について詫びておるのだ。この我に汚れた身体を運ばせたことか?」

凛「あ・・・・・・その、それも・・・・・・ごめんなさい。
・・・・・・私、夢をみたの。その、あなたと、エルキドゥさんって人のこと、見ちゃった」

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・だから昨日止めてくれたのよね・・・・・・友達の死を見るのは辛いって」

ギル「やめよ、あれは我と友だけに与えられた時間だ」

凛「・・・・・・ごめんなさい」

ギル「・・・・・・・・・・・・あの出来事で我は、“死”への怖れを知った。
何せ我と拮抗する程強かった者でも死ぬことが分かったのだ、動揺したものよ」

凛「・・・・・・」

ギル「我は不死を求めて放浪の旅に出た。
・・・・・・そして紆余曲折果てに、ようやく不老不死になる霊草を見つけたのだ」

凛「・・・・・・アーチャーは、それを飲んだの?」

ギル「いや、それがな・・・・・・帰路の途中、泉に立ち寄って水浴びをしていたところで、
腹をすかせた蛇に食べられてしまったのだ」

凛「怒らなかったの?」

ギル「いや・・・・・・あれ程笑ったことはない。
我には未来を見通す眼があったからな、元より我には不滅の身など必要ないと悟ったのだ。
未来永劫不屈の身をもってして、どうして生の喜びを謳歌できよう」

ギル「人はいつか死ぬのだ、凛。だからこそエルキドゥはかけがえのない友となった、永遠のな」

凛「・・・・・・私、キャスターが許せない。・
・・・・・コトネの為にも、絶対あんな人を許しておけない・・・・・・」

ギル「・・・・・・友の為なら、あの恐怖と戦う覚悟がお前にあると?」

凛「・・・・・・キャスターを、倒す」

ギル「・・・・・・凛よ、我はお前をマスターとして認めよう。
お前は、我と共に戦うに値するだけの者だ」

凛「アーチャー・・・・・・。 ! 何、これ。魔力針が、割れた?」

ギル「川の方向で何かあったようだな・・・・・・立てるのか? 凛」

凛「・・・・・・当たり前でしょう?」ニコ

冬木市・未遠川 夕方

川の中で佇むキャスターと橋の上の龍之介

龍之介「神様もびっくりなすっげーツッコミ、頼んだぜー! 旦那ァ!!」

キャスター「ご期待あれリュウノスケェ! 最高のCOOLをご覧いれましょう!!」

龍之介「まっじ!? 楽しみにしてっからさァ!!」

キャスター「・・・・・・」ニコ

龍之介「今からすっげー面白ェことがはじまるんだ!!」

※今日の更新は以上です。これで前半は終了です。
後半からはオリジナル展開が多くなっていくので、原作のシナリオで満足という方はご注意下さい。
明日夜、続きを更新する予定です。

※今日更新と言いましたが、諸事情で明日になりました。
申し訳ないです。

令呪何画使えば今日になりますか?

期待

>>266
三画で今日の23時になります。

言峰ぇえ!
預託令呪をよこせぇえ!

>>268
半端になるのはあれだと思っていたのですが、書き溜めてある分だけ後で更新しておきますね。

冬木市・某廃ビル 屋上 夜

ソラウ「何が起こっているか見えますか? ランサー」

ランサー「やはりキャスターです。川の中に陣取って何かやっているらしい。
仔細のところまでは見えかねますか」

ソラウ「仕留めるなら、今が絶好のチャンスね」

ランサー「・・・・・・然り」

ソラウ(キャスターを仕留めれば、一つ失ったランサーとの絆を取り戻せる)

ランサー「私は打って出ますが、
ソラウ様はどうかここに居残り、我が武功をご見聞下さいますよう」

ソラウ「そんな! 私だって今はマスターです! お傍から援護します」

ランサー「・・・・・・なりません。あなたにはケイネス殿のように武の心得がある訳ではない。
あの川岸は死地となりましょう。ご理解下さい」

ソラウ「・・・・・・でも」

ランサー「ソラウ様もまた、このディルムットの矛先に曇りありと疑われますか?
・・・・・・恣意のある戦いに戯れる男と」

ソラウ「・・・・・・ランサー、現場の判断は全てあなたに任せます。
どうか存分に、悔いなき戦いを」

ランサー「かたじけない」サァァァ

ソラウ「・・・・・・勝利の暁には・・・・・・ランサー・・・・・・あなたの笑顔を、私に」

冬木市・未遠川 夜

現れる巨大な海魔

キャスター『今再び! 我らは救世の旗を掲げよう!!』

アイリ「キャスターが・・・・・・吸収されていく・・・・・・?」

セイバー「これは!?」

キャスター『傲岸なる神よ、冷酷なる神よォ!!我らはみ座より引きずり落とす!!!』

ドドドド

ライダー「よォ! 騎士王!!」

セイバー「征服王!」

ライダー「よせよせ、今夜ばかりは休戦だ。
あんなデカ物を放ったままでは、おちおち殺し合いの一つもできはせんわ。
さっきからそう呼びかけておるのだ。ランサーは承諾した、時期に追いついてくる筈だ」

セイバー「・・・・・・」チラ

アイリ「・・・・・・」コク

セイバー「了解した、こちらも共闘に依存はない。暫しの盟だが、共に忠を誓おう」

ウェイバー「アインツベルン、あんた達に策は?
さっきランサーに聞いたが、キャスター本人と戦うのはこれが最初じゃないんだろう?」

アイリ「とにかく、即効で倒すしかないわ。
あの怪物は、今はまだキャスターの魔力の供給で現界を保っているんだろうけれど、
あれが独自に糧を得て自給自足をはじめたら、もう手に負えない」

ライダー「なるほどなァ。
奴が岸に上がって食事をおっぱじめる前に、けりをつけねばをならん訳か」

ウェイバー「でもキャスターはあの分厚い壁の中だろう?」

「何匹集まればまともな戦いが出来るのだ? 雑種共が」

セイバー「アーチャー!? ライダー、これは」

ライダー「ほう!! 相変わらず良い戦闘機よなァ!!」

ウェイバー「・・・・・・呼んだのは僕らじゃないぞ」

アーチャー「喚くな、雑種。我はこの娘の戦いを見物しに来たに過ぎん」

凛「遠坂陣営もこの共闘に参加します」

アイリ「・・・・・・遠坂、凛」

ランサー「奴の宝具さえ剥き出しに出来れば、
俺のゲイ・ジャルグは一撃で術式を破壊出来る・・・・・・」サァァァ

セイバー「ランサー、その槍の投擲で岸からキャスターの宝具を狙えるか?」

ランサー「物さえ見えてしまえば、造作もないさ」

セイバー「ならば先方は私とライダーが務める・・・・・・いいな、征服王」

ライダー「構わんが、あれの腸を剥き出しにする前に自給自足をはじめられては面白くない。
アーチャーのマスターか? 飛び入りで参加したのだ、お前達にも案はあろうな?」

凛「・・・・・・平行してマスターを直接叩く」

ウェイバー「確かにマスターを先に倒せれば手っ取り早いだろうけれど・・・・・・。
あの見物客の中にキャスターのマスターが居るっていうのか?」

アイリ「・・・・・・キャスター陣営は聖杯戦争とは別の、
ある種愉快犯的な行動で動いていたから可能性は高い・・・・・・だけど」

ランサー「おめおめとこちらに正体は明かすまい。どうする気だ? アーチャーのマスターよ」

凛「・・・・・・あいつら、子供が好きなんでしょ?」

ライダー「ほう・・・・・・」ニカリ

冬木市 未遠川付近のビル 夜

雁夜「・・・・・・本当にこれで大丈夫なんですか」

綺礼「もちろんだとも。君の願いは聖杯を得た先にある。
であれば、他の陣営は削れる時に削った方がよい・・・・・・」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「何も心配することはない・・・・・・君はただ、戦場を荒らせばいいのだ」

綺礼(キャスターの化物が蹂躙する様に私の心は何を見出すか・・・・・・確かめる他あるまい)ニヤ

冬木市・未遠川 夜 ゴルディアス・ホイール

ウェイバー「駄目だ、また元に戻ってる・・・・・・!」

ライダー「むう・・・・・・上陸を阻むだけで精一杯よなァ」

ウェイバー「アーチャーのマスターに期待するしかないのか?」

ライダー「あれは肝っ玉の据わった小娘だ、なかなか面白い」

ウェイバー「・・・・・・なんだよ、その目は」

ライダー「・・・・・・まあ、なんだ・・・・・・得手不得手あるわな」

ウェイバー「何だよその目はー!! ・・・・・・!?」

『A――urrrrrrッ!!』

ウェイバー「バーサーカー!? ・・・・・・セイバーの方に向かってる!」

ライダー「やはり今世の戦場の華は戦闘機か・・・・・・坊主、何だその目は」

ウェイバー「・・・・・・得手不得手って割には、みんな何かに乗っているじゃないか」

ライダー「・・・・・・ではライダーの面目躍如たる戦いを見せねばなァ、坊主!!」ドドドド

ウェイバー「・・・・・・待て待て待て待てェ!!」

冬木市・未遠川 夜

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ババババ

セイバー「バーサーカー!! 何故ここに・・・・・・!」キィン、キィン

キャスター『ヌフ、ァハハハハ! ヌハハハハ!!』ズルズルズル

セイバー「ま、ずい・・・・・・!」キィン、キィン

ライダー「AAAALaLaLaLaLaie!」ゴゴゴゴゴ

セイバー「!」

ライダー「化け物に専念しろ、騎士王!!」ゴゴゴゴ

セイバー「すまない、ライダー!」

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ババババ

ライダー「ぬゥ、前回より火力が上がっておるな!?」

ウェイバー「こいつも化け物だろォォ!」

冬木市・未遠川 夜

ランサー「バーサーカーめ・・・・・・俺も加勢に・・・・・・ !」

アイリ「・・・・・・ライダーが押されているわ・・・・・・ !?」

アサシン「・・・・・・」サァァァァァァ

アイリ「アサシン!? 何なの、この数は」

ランサー「50は居るな・・・・・・離れるなよ、セイバーのマスター」

冬木市・未遠川付近 ビルの屋上 夜

切嗣(・・・・・・状況は混沌を極めているな。バーサーカーの不可解な襲撃・・・・・・何か引っかかる)

舞弥『切嗣』ザザ

切嗣「・・・・・・舞弥、ランサーのマスターの捜索はどうなった」

舞弥『指定ポイントの半数を捜索しましたが、未だ』ザザ

切嗣「ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリは必ずこの付近に居る筈だ。残りのビルを捜索してくれ」

舞弥『了解しました』ザザ

切嗣(ランサーにセイバーの宝具を教える手もあるが・・・・・・。
――まずはキャスターのマスターを仕留める・・・・・・!)ガチャリ

冬木市・未遠川全域 夜

龍之介「やっちまえェ! 青髭の旦那ァ!! ぶっ潰せ、ぶっ殺せェ!!ここは神様の玩具箱だァ!!」

――――

セイバー「ハァ!! くそ、きりがない!!」ザキン、ザキン

――――

ランサー「・・・・・・舐めるなよ? アサシン共」ザキン

アサシン「・・・・・・」

アイリ(・・・・・・切嗣)

――――

ライダー「伏せていろ、坊主!!」ドドドド

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ババババ

――――

雁夜「ぜえ、ぜえ・・・・・・は、はは・・・・・・やれる、やれるんだ! 俺のサーヴァントは最強なんだ!!」

綺礼「・・・・・・」ニヤ

冬木市・未遠川 土手 夜

龍之介「ふっふ、ふふ、はははは! もう退屈なんてさよならだァ!!」

凛「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

龍之介「・・・・・・? あれェ、あの子・・・・・・前に見た・・・・・・」

凛「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

龍之介「ねえ、お嬢ちゃん・・・・・・一人なのかな?」

凛「?」チラ

凛(令呪! ・・・・・・かかった!!)

冬木市・未遠川付近 ビルの屋上 夜

切嗣「・・・・・・! あの異様な挙動、キャスターのマスターか? ・・・・・・!」ガチャリ

切嗣(あれは!? ・・・・・・遠坂、凛!)

凛『キャスターのマスターね!』

龍之介『えェ? ・・・・・・ああ、もしかして君、魔術師ってやつ・・・・・・?
アハ、いいねェ、いいなァァ!! 魔術師の中ってどうなってるのかなァ!?』

切嗣(今ならキャスターのマスターと合わせて確実に排除出来る・・・・・・)ガチャリ

凛『ここであなたを倒す!!』

切嗣(・・・・・・アーチャーの宝具は脅威だ、ここで、排除しなければ・・・・・・)

切嗣「・・・・・・ぼ、くは・・・・・・僕は!!!」ガチャリ

バン!!

冬木市・未遠川 土手 夜

凛「きゃあっ!?」

龍之介「・・・・・・え? 何? え、ああ・・・・・・」ボタ、ボタタ

凛「・・・・・・銃、撃?」

龍之介「あ、ハハ。そりゃあ気づかねェよなァ・・・・・・灯台もと暗しとは言ったもんだぜ。
誰でもねェ、俺の腸の中に・・・・・・捜し求めていたものが、隠、れて、やがったんだ・・・・・・。
何だよ、俺の中、にあるなら、あるって・・・・・・言ってくれりゃいいのにさァ・・・・・・」

バン!!

冬木市・未遠川 夜

キャスター『! あ、ああ・・・・・・リュウノスケ、我がマスターよ。私を残して先に逝くとは・・・・・・。
ですがリュウノスケ、ご心配なく・・・・・・あなたとの約束は果たします故・・・・・・。
リュウノスケよ笑覧したまえ!! 私からの手向けを! 最高のCOOLを!!』

ライダー「いい加減にせよ、バーサーカー!! ふん!!」ドドドド

バーサーカー「!?」バキッ

ウェイバー「・・・・・・なん、だこれ? キャスターの魔力が増えていく!?」

セイバー「ライダー!! これではきりがない!!」

ライダー(・・・・・・奥の手を使う他ないか・・・・・・しかし、あれでは止めを刺しきれん)

冬木市・未遠川 土手 夜

龍之介の手から消える令呪

ギル「もう終わったのか? 凛」サァァァ

凛「・・・・・・うそ、でしょ? マスターが死んだのに・・・・・・魔力が消えないなんて」

ギル「存外にしぶといようだな」

凛「これじゃあキャスターが岸に上がるのも時間の問題だわ・・・・・・どうしよう・・・・・・」

ギル「ほう、もう手はないのか?」

凛「・・・・・・私には、ない・・・・・・」

ギル「・・・・・・なあ凛よ。己の手を見るがいい」

凛「・・・・・・え?」

ギル「そこに、何が見える」

(――我はお前をマスターとして認めよう。お前は、我と共に戦うに値するだけの者だ)

凛「――英雄王・・・・・・ギルガメッシュ・・・・・・」

ギル「なんだ? 我がマスターよ」

凛「・・・・・・キャスターを、倒して!!」

ギル「容易い」ニヤ

※かなり半端ですが、書き溜め分はここまでです。
この先のシーンを書きたいが為にこのSSを始めました。
続きはまとめて明日の夜更新する予定です。

熱いじゃないか……

無理に書かせたみたいで申し訳無かったが、引き続き期待やで

>>293
あった分を出しただけなので、大丈夫ですよ。
ありがとうございます。

冬木市・未遠川 夜

ランサー「――これで12だ。いつまで続ける気だ? アサシンよ」ザキン

アサシン「・・・・・・」サァァァァァァ

アイリ「・・・・・・消えた? 何だったの、一体・・・・・・」

ランサー「奇怪な・・・・・・。――支援が遅れた、これでは間に合わんぞ!!」

アイリ「・・・・・・待って! あれは・・・・・・アーチャー?」

冬木市・未遠川 夜

セイバー「・・・・・・ハァ!!」ザキン

ライダー「しぶとい・・・・・・!!」ドドドド

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ババババ

「・・・・・・邪魔だ狂犬」ヒュン、ヒュン、ヒュン

バーサーカー「!? A――ur・・・・・・」サァァァ

ライダー「ようやく消えたか・・・・・・一体どういう心づもりだ、アーチャーよ」

ギル「黙れ雑種。我の道を開けよ」サァァ ジャキン

セイバー「!! アイリスフィール! そこを離れて下さい!!」

冬木市 未遠川付近のビル 夜

雁夜「がああァァ!! ぜえ、ぜえ・・・・・・うッがはッ」

綺礼「よくやった、間桐雁夜よ。今宵はこれで十分だ」

雁夜「きゃ、キャスターの・・・・・・ぜえ、ぜえ、討伐は、いいんですか?」

綺礼「・・・・・・大丈夫だ。あれが出てきた以上、直に終わる」

綺礼(・・・・・・心変わりをしたか、英雄王。
・・・・・・やはり、遠坂凛はあの場で殺しておくべきだったか。――まあいい、手はまだある)

アサシン・女「綺礼様、ランサーのマスターを捕捉致しました」サァァァ

綺礼「・・・・・・手筈通りに済ませろ」ニヤ

アサシン・女「・・・・・・御意」サァァァ

冬木市・未遠川付近 ビルの屋上 夜

切嗣「・・・・・・撃て、なかった・・・・・・」ドサ

舞弥『切嗣、川で動きがあったようです』ザザ

切嗣「僕は・・・・・・ぼ、くは・・・・・・」

舞弥『切嗣・・・・・・?』ザザ

切嗣「・・・・・・イリヤ」

冬木市・未遠川 夜 ヴィマーナ舟上

ギル「少し騒がしくなるぞ、数歩下がれ」

凛「・・・・・・いやよ、あなたの隣に居たい」

ギル「・・・・・・クク、ハッハッハ!」

凛「もう、なによ、こんな時に!」

ギル「泣き喚くわ怒鳴り散らすわと思えば、我の横に居たいだと? クク、つくづく恐れを知らぬ小娘だ。
万物の道理のわからぬうちは、ただ王たる我の威光に目を輝かせておればいいものを・・・・・・」

凛「あ、あなたのマスターなんだから、当然じゃない!」

ギル「・・・・・・遠坂凛、価値のある者よ。戦いに臨むその厳然たる意思、大儀である。
褒美に一つ教えておいてやろう・・・・・・ここからは、戦いではない」

ギル「さあ・・・・・・目覚めの時だ、エアよ」ザァァァァ

ウェイバー「・・・・・・風?」

ライダー「・・・・・・離れるぞ、坊主!!」ドドドド

ウェイバー「あ、あの剣は・・・・・・森羅万象全てを崩壊させる、対界宝具なのか・・・・・・?」

凛(・・・・・・本で読んだ、通りだ)

ギル「雑種共よ・・・・・・」ザァァァァ

凛(――それは、混沌の世界を天地に分けた)

ギル「これが、天の理というものだ」ザァァァァ

凛(生命の記憶の原初、この星の最古の姿、地獄の再現・・・・・・それこそは)

ギル「いざ仰げ!! 『天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ』!!」

冬木市・未遠川 夜

巨大海魔内部に入る亀裂

キャスター『・・・・・・あ、ああ・・・・・・この、黒い光は・・・・・・?』

(あなた方が居るから、私は苦難も悲嘆も乗り越えられるのです。・・・・・・ジル、神は居るのですよ)

キャスター『そうか・・・・・・これが、神罰なのか』

(――ジル。さァ、共に・・・・・・)

キャスター『・・・・・・私は・・・・・・一体』

ザァァァァ

――――
―――
――

某教室

アイリ「みなさーん、こんにちは!
突然の聖杯戦争で一杯一杯のあなたを助けるQ&Aコーナー、
お願い!アインツベルン相談室。司会の、アイリでーす!」

ゼっちゃん「弟子ゼロ号です! 押忍!!」

アイリ「今回は色々史実と食い違う所があるから、質問も多いんじゃないかしら?」

ゼっちゃん「元々聖杯戦争のことをあまり知らないので、私は大丈夫です!」

アイリ「・・・・・・うん、ゼっちゃんはね」ニコ

ゼっちゃん「あ、でも強いて言えば、あのアーチャーが使っていた宝具に謎が残ります!
師匠に貰った聖杯戦争の教本で宝具の種類について読んだのですが、
対界、宝具? の記述はあまりなかったので!」

アイリ「対界宝具、簡単にいえばその宝具一つで世界と戦えるものなのよ!」

ゼっちゃん「そ、そんなに凄いものだったのですか!!
大丈夫なんですか? あんな川原で使ってましたけれど」

アイリ「全開の力を出せば“世界を切り裂いた”名に違わず、
その一撃は目の前の敵どころかその周囲の“世界”をも切り裂くのだけれど、
担い手の英雄王ギルガメッシュは都度状況に合わせて威力を調整しているらしくて、
今回もあくまで巨大海魔を倒せるだけの出力で放ったようね」

ゼっちゃん「それにしても川べりの一般人が無事だったのは凄いですね。一体何者ですか!」

アイリ「ええ。アーチャー本人は出力のこと以外は考えずに宝具を使ったようだから、実は結構危なかったんだけれど、
川べりと巨大海魔の間に幸運値A+のライダーと、規格外に運が強いウェイバー君が揃っていたことが大きかったんじゃないかしら。

少しでも角度と出力が違えば居合わせていたサーヴァントが全て消滅して、
残ったアサシンとアーチャーの一騎打ちという悲しい展開になっていたでしょう」

ゼっちゃん「む、難しくて頭に入ってきません・・・・・・」

アイリ「うん、少しずつ覚えていこうね」

ゼっちゃん「押忍!」

アイリ「さて、それではそろそろお別れの時間です!」

ゼっちゃん「名残惜しいですが、さようなら!」

※短くて申し訳ないのですが、書き溜めは以上です。
散々嘔吐を書いたので、ギャグではないですが挿話を入れました。
明日の夜更新から最後までは本編のみです。


後何回の更新で終わるか大体の目安はあるんです?

>>310
月曜日に完結する予定です。

冬木市・某廃ビル 屋上 夜

ソラウ「・・・・・・良かった、これで・・・・・・報酬の令呪を受け取れば、
ランサーと私は完全な形で繋がれる・・・・・・」

ザキン

ソラウ「・・・・・・あ、あ? ・・・・・・ああ!? ぎゃあああああ!!私の、右手・・・・・・ない!?
私の右手、私の右手・・・・・・あれがないと・・・・・・あれがないとディルムットを呼べない!!ディルムットに構ってもらえない! 右手、右手ェェェ!!」

アサシン・女「・・・・・・」ドス

ソラウ「手・・・・・・私の・・・・・・手」ドサリ

――――
―――
――


舞弥『・・・・・・切嗣、申し訳ございません。
ランサーのマスターがアサシンに捕らえられました・・・・・・切嗣? ・・・・・・切嗣』

冬木市 未遠川付近 橋のアーチの上 夜

ライダー「・・・・・・見事であったわ」

ギル「たわけ、造作もない」

ライダー「全く・・・・・・ありゃ余の時代でも神話の中の話だぞ? バビロニアの英雄王」

ギル「・・・・・・今更になって察したか」

ライダー「あんなものを振り回す英雄は二人といないだろう」

ギル「今宵は機嫌がいい、降伏するならば臣下として遇してもよいぞ?」

ライダー「何を言う、あんなものを見せられて血の滾らぬ英雄などおるか」ニカ

ギル「ほう・・・・・・ならばその闘志、今すぐにでも武を持って示すか?」ニヤ

ライダー「それが出来れば痛快であろうが・・・・・・。
貴様を相手の戦となると、今宵の余はいささか以上に消耗し過ぎとる。
無論、見逃す手はないと突っかかってくるならば、相手にせん訳にもいかんがなァ」

ギル「構わぬ、逃亡を許すぞ? 雑種。
我が至宝を拝謁して尚その闘志、道化の代わり程度にはなるであろう」

ライダー「もしや貴様も、あの攻撃で相応の消耗をしておるな?」

ギル「我は挑発には死をもって遇するぞ?」

ライダー「次に持ち越しだ、英雄王。
我らの対決はすなわち聖杯戦争の覇者を決める大一番となることだろう!
ほれ、行くぞ坊主」

ウェイバー「た、高い・・・・・・落ちる落ちる落ちる!」

ライダー「全く・・・・・・では、さらば!」

ドドドドド

ギル「締まらん連中よ・・・・・・行くぞ、凛」

凛「・・・・・・腰、抜けちゃった」

ギル「・・・・・・落ちぬから安心せよ」

※続きは深夜更新します。

デレたギルガメッシュが頼りになるし無敵感すごい
こら負ける目がありませんわ

>>317
ほんとに無敵過ぎて何書けばいいのか分からなくなってきました。

冬木教会 夜

「お待たせして申し訳ない。流石に今夜は少々取り込んでいるもので」スタ、スタ

ケイネス「致し方ありますまい、事が事ですからなァ・・・・・・。
ところで、私の知っている監督役とは別の方のようですが?」ギイ、ギイ

「聖堂教会からの応援です、流石に一人だけで今夜の事態は収拾がつかないもので」

ケイネス「・・・・・・さて、私の申告についてはどのように・・・・・・?」

「・・・・・・確かに、キャスター討伐の戦いにおいては、
ランサーのサーヴァントが有志の共同戦線に参加していたと聞きます」

ケイネス「・・・・・・それでは、私にも令呪一画を譲り受ける資格が?」

「・・・・・・」ニヤ

「皆この杯から飲め、これはその罪が許されるようにと多くの人の為に流す私の血、契約の血である」

ケイネス「・・・・・・は、はは。これで・・・・・・」パァァァ

「さて、ランサーのマスターよ。お前はどちらを選ぶ?」バサァ

ケイネス「お、お前は・・・・・・」

綺礼「妻の命か、聖杯か」

アサシン・女「・・・・・・」

ソラウ「・・・・・・」

冬木市・某廃ビル前 深夜

ランサー「・・・・・・お前がここに現れるとはな、セイバー」

セイバー「・・・・・・私の、味方が調べ上げて知らせてきた。ここがあなたの所在だと」

ランサー「我が主の許婚が今何処にいるか・・・・・・セイバー、よもやお前に心当たりはあるまいな」

アイリ「・・・・・・?」

セイバー「知らないが、それが何か」

ランサー「いいや、忘れてくれ。ところで、いいのかセイバー。
キャスターとの戦いで消耗してる筈だが・・・・・・」

セイバー「それはどのサーヴァントも同じこと・・・・・・。
もう今夜は、誰もが荒事を控えて守りに入っている筈だ。
だからこそ、余計な横槍が入る心配もない」サァァァ

ランサー「・・・・・・」

セイバー「すでに夜明けも程近いが、
我々が雌雄を決するには今夜を逃す手はないと私は考える。どうだ、ランサーよ」

ランサー「・・・・・・セイバーよ、俺はこの場に我がマスターがいないことを嬉しく思ってしまった。
騎士道に反したこの俺を、お前はまだ仇敵と言ってくれるのか」ジャキン

セイバー「ディルムット・オディナ・・・・・・行くぞ」ニヤ

ランサー「来い、騎士王!!」ニヤ

冬木市 某道路 深夜

車を走らせる舞弥

舞弥「もうすぐランサーとセイバーの居る場に着きます。どう対処しますか?」

切嗣「・・・・・・僕には分からない」

舞弥「・・・・・・諦めるのですか」

切嗣「違う!!」

舞弥「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・引き金を、引けなかったんだ・・・・・・僕は、弱くなってしまった・・・・・・」

舞弥「・・・・・・ええ」

冬木市 某道路 深夜

車を走らせる舞弥

舞弥「もうすぐランサーとセイバーの居る場に着きます。どう対処しますか?」

切嗣「・・・・・・僕には、分からない」

舞弥「・・・・・・諦めるのですか」

切嗣「違う!!」

舞弥「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・引き金を、引けなかったんだ・・・・・・僕は、弱くなってしまった・・・・・・」

舞弥「・・・・・・ええ」

冬木市・某廃ビル前 深夜

セイバー「ハァ!!」ガキン

ランサー「・・・・・・セイバー、やはり俺は、両腕の揃ったお前を倒してこそ・・・・・・」

セイバー「余計なことは考えるなよ、ランサー。
今この左腕が戻れば、きっと慙愧が剣を鈍らせる。
あなたの槍の冴えを前にして、それは致命的な不覚となるだろう・・・・・・」

ランサー「セイバー・・・・・・」

セイバー「それに、あなたに受けたこの傷は誉であっても枷ではない。
故にディルムットよ、この状態でこそ私は全力で戦える」

ランサー「ははは・・・・・・騎士道の剣に誉れあれ。俺は・・・・・・お前に出会えて良かった!」

冬木教会 夜

ケイネス(・・・・・・ソラウ・・・・・・私は・・・・・・)

綺礼「どうした、ランサーのマスターよ」

ケイネス「た、例えランサーを自害させたとしても・・・・・・。
私とソラウが生きてここを出られる保障はないではないか!
せめて、契約を・・・・・・セルフギアススクロールで私達の身の安全を!」

綺礼「お前に与えた選択肢は二つだった筈だが?
ランサーを自害させ妻とここを出て行くか、妻を捨てその小さな銃で私に立ち向かうか。
発言をしてもよいと言った覚えはない」

ケイネス「・・・・・・あ、ああ・・・・・・くっ、うう・・・・・・う・・・・・・」

綺礼「時間はある。ゆっくりと考えたまえ」ニヤ

冬木市・某廃ビル前 深夜

ランサー「・・・・・・!」カラン

セイバー「!?」ザキン ドシュ

ランサー「・・・・・・見事なり、騎士王・・・・・・」ドサ

セイバー「違う!! 何故・・・・・・何故槍を捨てた!!」

ランサー「なに・・・・・・どの道最後の剣戟はかわせなかった。
なれば、せめて最後に、お前の穢れ無き剣を眺めたかったのだ」サァァァァァ

セイバー「こ、れは・・・・・・魔力供給切れ!? マスターに何かあったのか!!」

ランサー「何度言えば分かる・・・・・・セイバーよ、お前の勝ちだ。
この身は、騎士王の誉れある剣によって果てるのだ・・・・・・なあ、そうだろう?」

セイバー「・・・・・・そうだ、ディルムット・オディナよ。まこと恐ろしき槍であったが・・・・・・私の、勝ちだ」ギリ

ランサー「・・・・・・そうか・・・・・・それだけ、が・・・・・・俺の救いだ・・・・・・」サァァァァ

セイバー「・・・・・・」

サァァァァァ

冬木教会 夜

ケイネス「・・・・・・これ、は・・・・・・」サァァァ

綺礼「ほう・・・・・・先にランサーが死んだか」

ケイネス「何故、何故ランサーは死んだのだ!」

綺礼「まあ、結果は出たのだ・・・・・・お前の妻を帰そう」

アサシン・女「・・・・・・」ドサリ

ケイネス「・・・・・・あ、ああ・・・・・・ソラウ・・・・・・ソ、ラウ?」

綺礼「出血が多すぎたようだ・・・・・・お前は魔術師であろう? 治癒魔術を使うがいい」

ケイネス「し、んでいる・・・・・・死んでいるではないか!!!」

綺礼「おや、アサシンから報告は受けていなかったが? すまないことをした」ニヤ

ケイネス「ソ、ラウ・・・・・・すまない・・・・・・すまない」ガチャン! ズリ、ズリ

綺礼「アサシン、どうやら歩けないようだ。手を貸してやるがいい」

アサシン・女「・・・・・・」ギリ

綺礼「ほう、命令を無視するのか」

ケイネス「こ、ろせ・・・・・・もう・・・・・・殺してくれ」

綺礼「何故私がそのようなことをしなければならないのだ。死にたければその銃を使え」

ケイネス「あ、ああ・・・・・・」ガチャリ

バン!

綺礼「少しは楽しめるかと思ったが・・・・・・やはりこれではない。
感謝する、ケイネス・エルメロイ。お前のおかげで、疑問が一つ減った」ニヤ

冬木市・某廃ビル前 深夜

セイバー「・・・・・・」ギリ

アイリ「・・・・・・セイバー」

舞弥「マダム、状況をお教え下さい」スタ、スタ、スタ

切嗣「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

セイバー「衛宮、切嗣・・・・・・貴様がやったのか・・・・・・」

舞弥「? ・・・・・・何を」

セイバー「答えろ!! 下郎!!!」

※今日はここまでです。
すいません、途中同じ文章を書き込んでしまいました。
次の更新は明日夜行います。

切嗣「・・・・・・」

アイリ「・・・・・・切嗣、どういうことなの? あなた、た・・・・・・が」ドサリ

切嗣「アイリ!」

セイバー「アイリスフィール!!」

切嗣「舞弥! 土蔵に急ぐぞ」

舞弥「はい・・・・・・」

――――
―――
――

翌日 遠坂邸・地下工房 朝

凛「あれ、確かこの辺にあった筈・・・・・・あっ!」ゴソゴソ

ギル「何をしておるのだ?」サァァァァ

凛「ひゃ! もう、何でいつも突然現れるのっ! 」コソコソ

ギル「我に扉を開けさせる気か?」

凛「そう言ってるの!」

ギル「断る」

凛「なんでよ! ・・・・・・待って、理由はもう分かっているから。
ドアノブに触りたくないし王様は自分で扉を開けないのよね」

ギル「ほう、いよいよ分かってきたではないか」

凛「こんなことで褒めれられても嬉しくないわ・・・・・・」

ギル「我の問いにまだ答えていないぞ? 何をしていたのだ」

凛「なッ! べ、別に何でもいいでしょう!?」

ギル「全く・・・・・・随分と気が大きくなったものだな、凛」

凛「・・・・・・英雄王、今日は必ずや御身の口に合う朝食を作ります」

ギル「やめよ、気色悪い!!」

凛「だったら仕方ないじゃない!
あ、そういえばアサシンさんが昨日から帰っていないんだけど、何か知ってる?」

ギル「知らぬ」

凛「あれだけ毎日連絡をしてきていた璃正神父からも何もないし。
・・・・・・昨日のことで忙しいのかなぁ」

ギル「・・・・・・凛、これよりは極力我の傍を離れるでない」

凛「どうして?」

ギル「いいから言う事を聞け」

凛「う、うん・・・・・・分かった。
あ、あと・・・・・・コトネの、ことなんだけど・・・・・・」

ギル「・・・・・・」

凛「今朝連絡があってね、コトネが帰ってきたんだって・・・・・・もう目は覚まさないけど。
・・・・・・アーチャー、あなたが運んでくれたんでしょう?」

ギル「・・・・・・知らん」

凛「・・・・・・ありがとう」

ギル「知らんと言っているだろう。
さあ凛、王たるこの我を満足させるという朝食、試してやろうではないか」

凛「・・・・・・はい、頑張ります。じゃあ早く上に行きましょ」

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・痛ッ、なに?」ドン

ギル「扉を開けよ」

凛「・・・・・・はーい」ガチャリ

衛宮邸・土蔵 朝

魔方陣の中で眠るアイリ

アイリ「・・・・・・ん・・・・・・セイ、バー?」

セイバー「アイリスフィール、具合はどうですか?」

アイリ「どうやら心配させてしまったみたいね、ごめんなさい」

セイバー「いえ・・・・・・本当に大丈夫であれば、それに越したことはないのですが・・・・・・!」スタッ

アイリ「・・・・・・大丈夫、この気配は舞弥さんだわ」

――――
―――
――

セイバー「・・・・・・そう、ですか」

舞弥「はい・・・・・・ランサー消滅に、切嗣は関与しておりません」

アイリ「撃てなかった・・・・・・切嗣は、そう言ったのね?」

舞弥「・・・・・・」

アイリ「・・・・・・舞弥さん、話しておきたいことがあるの」

セイバー「・・・・・・私はこれで」スタ、スタ、スタ

ガチャン

アイリ「・・・・・・私は聖杯戦争の為に設計されたホムンクルス、それは知っているわね?」

舞弥「はい・・・・・・」

アイリ「アハトのおじい様は、器そのものに生存本能を与え、
あらゆる危険を自己回避して、聖杯の完成を成し遂げる為に、
器にアイリスフィールという偽装を施したのよ・・・・・・それが、私・・・・・・」

舞弥「そんな・・・・・・では、あなたは」

アイリ「これから先、私は元の物に還っていくわ。
次はきっと、こうしてあなたと話をすることも出来なくなるでしょう・・・・・・」

舞弥「・・・・・・」

アイリ「だからこそ、切嗣は私にセイバーの鞘を預けた・・・・・・。
アヴァロン、その効果は・・・・・・知ってる?」

舞弥「老衰の停滞と、無制限の治癒能力・・・・・・そう聞いています」

アイリ「その効果が、私という殻の崩壊を押しとどめてくれているの・・・・・・。
もっとも、セイバーとの距離が離れてしまうと、途端にボロが出てしまうのだけれど」

舞弥「・・・・・・何故、私には教えたのですか?」

アイリ「久宇、舞弥・・・・・・あなたなら、決して私を哀れんだりしない・・・・・・。
きっと私を認めてくれる・・・・・・そう、思ったから」

舞弥「マダム、私は・・・・・・あなたという人を、もっと遠い存在だと思っていました」

アイリ「そんなこと、ない・・・・・・私は、イリ、ヤの母親で。
・・・・・・ただの、切嗣を愛する人間、よ・・・・・・あなたと・・・・・・同じ」

舞弥「マダム・・・・・・」

アイリ「あの人・・・・・・自分のことなんか、少しも考えないでしょう?
だから・・・・・・だからね。誰かが、傍で・・・・・・切嗣の心の代わりに、なって上げないと。
・・・・・・舞弥さん、お願いがあるの・・・・・・聞いてくれる?」

舞弥「・・・・・・はい」

アイリ「・・・・・・あの人の為に、あの人の代わりに・・・・・・あの人を、裏切って」

冬木市・某山の中腹 昼

ライダー『美味いのか? その、弁当というやつは』

ウェイバー「・・・・・・いいや、不味い。日本の食文化も底が知れるな」

ライダー『坊主、貴様さっき新都で、お好み焼き・鍾馗を素通りしおったな?
あそこのモダン焼きは絶品であったというのに・・・・・・惜しいことを』

ウェイバー「食いたかったのなら、実体化すれば良かったじゃないか」

ライダー『・・・・・・坊主、お前は』

ウェイバー「ここが何処か分かってるよな? お前を召還した場所だよ。
お前にとって、冬木で一番相性の良い地脈はここだろ? 回復の効率も段違いに捗る筈だ。
・・・・・・僕は今日一日ここに居る、だからお前も完全な状態で戦いに望める筈だ」

ライダー『気づいておったのか?』

ウェイバー「僕を馬鹿にするなッ。
あれだけ興奮して魔力を放出していれば、誰だって気づくさ。
・・・・・・アーチャーと戦うなら、全開の状態じゃないとまずいんだろ?」

ライダー『お前も覇道の何たるかが分かってきたようだな!!』

ウェイバー「いざっていう時にお前が魔力切れになったら、困るのは僕なんだからな!
お前の切り札ってやつ、それだけ出し渋るんだからとんでもなく魔力を食いつぶすんだろ?
お前は・・・・・・僕に負担を掛けさせない為に、半端な状態で戦ってきたんだ」ギリ

ライダー『・・・・・・だってのう。
まあ正味のところ、サーヴァントとしての余は生粋のソウル・イーターであるからにして、
消耗しておるところで全開の魔力消費をすれば、坊主の命すら危うくし兼ねんからなァ』

ウェイバー「・・・・・・それでいいんだ、これは僕が始めた戦いだ。僕はな、ただ証明したいだけだ。
この僕が、こんな僕にだって! ・・・・・・この手で掴み取れる物があるんだってことを」

ライダー『だが坊主、そいつは聖杯が本当にあった時の話だ』

ウェイバー「え?」

ライダー『余はなァ、以前にもそういうあるかないかの知れぬものを追いかけて戦ったことがある』

ウェイバー「・・・・・・オケアノス」

ライダー『そうだ・・・・・・オケアノスを見せてやると、そういう口上を吹き散らし、
余の口車に乗って疑いもせずついて来たお調子者を、随分と死なせた。
皆最後まで、余の語ったオケアノスを夢見ておった』

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー『この時代の知識を得た時はまあ堪えたわい。
まさか大地が丸く閉じているなんて、悪い冗談にも程がある・・・・・・。
だがそれでも、地図を見れば納得するしかなかった。』

ライダー『余はな、もうその手の与太話で誰かを死なせるのは嫌なんだ。
聖杯の存在が確かなら、命を賭けて戦うお前に報いてやることも出来ようが・・・・・・。
生憎、まだそうとも言い切れん』

ウェイバー「・・・・・・それでも、それでも僕はお前のマスターなんだぞ!!」

ライダー『・・・・・・フハハ、ハッハッハ! 坊主、貴様も言うようになったではないか!!
確かに魔術回路の方も普段より威勢がよく回っておる』

ウェイバー「この調子で夜まで休めば、どこまで回復出来る?」

ライダー『心配するな、全快しておる筈だ。
それより無理せずに寝ていろ。今のお前には、休息こそが戦いだ』

ウェイバー「うん・・・・・・ん・・・・・・」スウ、スウ

ライダー『・・・・・・』

冬木教会 昼

雁夜「・・・・・・ん、あ・・・・・・ぁあ!? ぜえ、ぜえ」

綺礼「起きたか、間桐雁夜」スタ、スタ

雁夜「言峰神父・・・・・・ここ、は?」

綺礼「冬木教会の聖堂だ。君の腐りかけた皮膚に治療を施しておいたのだよ・・・・・・。
バーサーカーには今日の夜もう一つ仕事して貰う。構わないかな?」

雁夜「・・・・・・ええ、それが、勝利に繋がるのなら・・・・・・」

綺礼「それはありがたい・・・・・・では、それまで休息するといい」

雁夜「ありが、とう・・・・・・ございます・・・・・・はあ、あ、あ・・・・・・」

雁夜(葵さん、僕は・・・・・・桜ちゃんと凛ちゃんを・・・・・・必ず・・・・・・)

翌日 遠坂邸・地下工房 昼

アイリ「夢じゃないのね? 本当に・・・・・・また、会いに来てくれたのね?」

切嗣「・・・・・・ああ、そうだよ」

アイリ「ありがとう・・・・・・最後に、これを返さないとね」

切嗣「・・・・・・待て! 待ってくれ・・・・・・まだ、いいんだ・・・・・・」

アイリ「・・・・・・切嗣」

切嗣「・・・・・・」

アイリ「切嗣、私はね・・・・・・幸せよ。
恋をして、愛されて・・・・・・夫と娘と、九年も・・・・・・。
あなたは、全てを与えてくれた。私には望むべくもなかった、この世の幸せの全てを」

切嗣「・・・・・・すまない。君には、もっと外の世界を見せたかった」

アイリ「ううん、もういいの。
私が取りこぼした幸せがあるのなら、残りは全部、イリヤに上げて。
あなたの娘に・・・・・・私達の、大切なイリヤに」

切嗣「・・・・・・ぼ、くは。僕は・・・・・・冷徹な昔に戻れない・・・・・・。
イリヤから君を取り上げて・・・・・・それなのに、僕は!!」

アイリ「ねえ、切嗣。あなたはこの道の先で、幸せになれるの?」

切嗣「・・・・・・!」

アイリ「・・・・・・出来ることなら、叶うことなら。
・・・・・・あなたを幸せにしたかった。ずっと、この先も」

切嗣「・・・・・・僕は、行くよ」

アイリ「お気をつけて・・・・・・あなた」

――――
―――
――


切嗣「舞弥、どこだ。・・・・・・舞弥?」

切嗣(こんな時に何をしているんだ・・・・・・仕方ない。
予定通りセイバーをライダーの所在に向かわせる。そして僕は・・・・・・遠坂凛を叩く)

冬木市 浜辺・夕方

凛「ここは、夕暮れも素敵ね・・・・・・」

ギル「解せんな、この状況で安易に出歩くとは」

凛「これから先何がどうなるか分からないから、あなたと話したかったの!」

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・ねえ、まだ怒ってるの?」

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・やっぱり怒ってる」

ギル「当たり前だ! 何だあれは、焦げていたではないか!!」

凛「だって・・・・・・ホットケーキなんて作ったことなかったんだもの」

ギル「であれば、作らねばよかったのだ」

凛「あれなら満足すると思ったの!!」

ギル「たわけ! だから焦げていたではないかッ!!!」

凛「・・・・・・ごめんなさい」

ギル「・・・・・・そんなことを言うためにここに来たのか」

凛「・・・・・・ねえアーチャー、あなたは今の世界で宝物を探していたのね?」

ギル「まあそうだが、生憎この醜悪な世には宝など存在せんようだ」

凛「・・・・・・これ、あなたに上げる」

ギル「・・・・・・何だこれは」

凛「これはね、見習いの魔術師が一人前になった時に、証として師に貰う物なの。
私のお父様はもう死んじゃったから、これから先私がどんなに凄い魔術師になったとしても、
絶対にこれが私の物になることはない・・・・・・私には一生手の届かない、私の大切な宝物」

ギル「いらぬ」

凛「どうしてよ! アゾット剣って買うと結構高いのよ!?」

ギル「・・・・・・が、これが宝であるというのなら、その時点で我の財であることは明白だ。
・・・・・・これは、我の宝物庫に収めるに値する」

凛「・・・・・・ありがとう、アーチャー」

ギル「宝を取られて感謝するなどお前くらいの者だぞ、凛」

遠坂邸・周辺 夕方

切嗣(・・・・・・結界は張られているが・・・・・・人影がない・・・・・・?
どういうことだ・・・・・・魔術師がこの局面で外出をしているというのか・・・・・・? 馬鹿な)

バキン

切嗣(! 土蔵の結界が破られた! 舞弥・・・・・・何処で何をしている!!)

切嗣『令呪を持って我が傀儡に命ず・・・・・・セイバー、土蔵に戻れ!!』

――――
―――
――

衛宮邸・土蔵 夕方

サァァァァ

セイバー「アイリスフィール!! ・・・・・・何処に・・・・・・!」タッタッタ

セイバー(・・・・・・! アイリスフィールを、感じる)

衛宮邸から走り出るバイク

セイバー(何だこの感覚は・・・・・・! あれは、ライダー!? 何故彼が・・・・・・!)

※書き溜め分は以上です。
予定通り明日夜の更新で完結する予定です。
アサシンがこのタイミングまで生き残ってしまいました。

冬木市・上空 夜 ゴルディアス・ホイール

ウェイバー「ヒィ! 速い速い速いィ!!」

ライダー「坊主、貴様のおかげでようやっと万全で戦いに挑むことができる!!」

ウェイバー「ど、何処に向かう気だよ」

ライダー「む? 帰るのだ」

ウェイバー「はァ? な、ならもっとゆっくり走れよ!」

ライダー「がはははは!! ついはしゃぎ過ぎたわ」

ウェイバー「・・・・・・今夜は町がやけに静かだな」

ライダー「嵐の前の静けさというやつよ。今宵はしっかりと休息せねばなるまい」

ウェイバー「だったら尚更ゆっくり走れよ・・・・・・」

間桐邸 夜

バン!

鶴野「んんゥゥ!!」バタバタ

切嗣「サーヴァントの偽装をして騙せるとでも思ったか。
ライダーのマスターにあそこを看破するだけの諜報能力などない。
アーチャー程の戦闘能力があれば遠坂陣営が偽装をする必要性もない。
・・・・・・消去法でいけば、アイリスフィールを誘拐したのはバーサーカーの可能性が高い」

鶴野「し、知らない! 俺は何も知らない!!」

切嗣「では、間桐雁夜は何処にいる」

鶴野「雁夜だと!? ふ、あんな馬鹿野郎の居所なんぞ!!」

バン!

鶴野「があァァ!!」ダラァァ

鶴野「し、知らない! 本当に何も知らない!!
教会の監督役とかいう奴についていったまま、どっかに消えちまった!!」

切嗣「・・・・・・監督役だと? 昨日から失踪している言峰璃正か?」

鶴野「え、あァ? 璃、正? そんな奴は知らない! 俺が見たのは、言峰綺礼という奴だけだ!」

切嗣「! 言峰・・・・・・綺礼」

切嗣(このままでは・・・・・・負ける・・・・・・)ギリ

――――
―――
――

冬木市・郊外の工場 夜

雁夜「・・・・・・神父、こんな小細工に本当に令呪を2つ費やすだけの意味が?」

綺礼「案ずる必要はない、雁夜。 さあ、手を出したまえ」

パァァァ

雁夜「! ありがとう、ございます」

綺礼「言った筈だ。私と組む限り、君は令呪を惜しむ必要はない。
それにしても、変身能力とは・・・・・・」

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」サァァァ

綺礼「つくづく、バーサーカーにするには惜しい宝具を持っている」

雁夜「・・・・・・元々こいつは、他人を装って武勇をたてた逸話をいくつも持っている英霊だから。
・・・・・・この女、こいつが本当に聖杯の器なのか?」

アイリスフィール「・・・・・・」

綺礼「正しくは中身が、だがな。・・・・・・心配するな、聖杯は必ず君に譲り渡す」

雁夜「ああ・・・・・・。 ! あれは」

セイバー「バーサーカー! 貴様だったのか!!」ブロロロロ

綺礼「どうしたここが?」

雁夜「分からない! 目視出来る範囲で追跡はなかった筈だ!」

綺礼「私は女を連れて例の場所へ移動する。セイバーをあしらった後、合流しよう」タッタッタッ

雁夜『・・・・・・令呪を持って命ずる。セイバーを殺せ、バーサーカー』

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」

セイバー「!? アイリスフィールは何処だ!! 卑怯者!!」

雁夜「・・・・・・うるさい、うるさいうるさいうるさい!! 邪魔をするなァァ!!」パァァ

バーサーカー「!! A――urrrrrrッ!!!」ザキン

セイバー「ぐあッ! 何て、力だッ・・・・・・」ギン

冬木市・郊外の工場 夜

「カッカッカ」

綺礼「! ・・・・・・貴様は」

臓硯「そう構えるでない」ズォォォ

綺礼「何の用だ・・・・・・間桐臓硯」

臓硯「なに、貴様がどのように雁夜を壊すか、興味が尽きぬでな」

綺礼「我々はあくまで共闘関係を結んでいるだけだが」

臓硯「建前はいらぬ。言ったであろう、雁夜を壊す算段に興味があると」

綺礼「・・・・・・間桐の勝機をみすみす潰すというのか?」

臓硯「カッカッカ・・・・・・雁夜めが悶え苦しむ様は本当に・・・・・・ああ、見ていて飽きぬでな。
間桐の勝利か、雁夜の無様な末路か・・・・・・迷いどころよ」

綺礼「貴様は肉親の苦悩がそこまで見ていて楽しいか?」

臓硯「おおとも、お前と同類というやつだ」

綺礼「・・・・・・なんだと?」

臓硯「お主からはわしと同じ臭いがするぞォ?
雁夜という腐肉の旨味に釣られて這い寄ってきた・・・・・・蛆虫の臭いがなァ」

綺礼「・・・・・・」ザキン

ズオォォ

綺礼「!」

臓硯「おお怖い怖い・・・・・・青いとはいえ教会の犬、からかうとなれば命がけか。
またいずれ見えようぞ・・・・・・」

綺礼「・・・・・・」

綺礼(・・・・・・父と妻に対する思いが、腐肉への卑しい渇望だと・・・・・・?
違う! 私の中にあるものは、そんな物ではない筈だ・・・・・・。
・・・・・・問わねばなるまい・・・・・・聖杯に)

冬木市・郊外 夜

セイバー「くッ! はァァァ!!」ギン

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ギン

雁夜「はは、はははは!! ゴホッ、ゴホッ・・・・・・いい、ぞ、やれ!!」

セイバー(魔力量が・・・・・・違い過ぎる・・・・・・!)

セイバー「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

雁夜「・・・・・・行、ける・・・・・・勝てるんだ!!」

セイバー(・・・・・・離れすぎたか、もうアイリスフィールの居場所が分からない・・・・・・! ならば!!)

セイバー「・・・・・・エクス」サァァァ

雁夜「! まずい、バーサーカー! 俺を連れ――」

セイバー「カリバー!!」

ズバァァァァ

セイバー「ぜえ、ぜえ・・・・・・やった、か?」

セイバー「・・・・・・消え、た? 何処だ!! 何処にいる!?」

セイバー「待て! アイリスフィールに何をするつもりだ!! バーサーカー!!」

セイバー「・・・・・・くそ」ギリ

禅城邸付近 夜

葵「――ええ、少し夜風に当たってくるだけですから」スタ、スタ、スタ

葵「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

葵(・・・・・・凛、あなたはまだ戦っているの?)

葵(・・・・・・桜を失って、あの人を失って・・・・・・あなたまで失ったら、私は・・・・・・)

切嗣「・・・・・・」

葵「・・・・・・凛・・・・・・」

冬木市・郊外 夜

雁夜「撒い、たか?・・・・・・うッ、おえ・・・・・・あァァァ!!」ビシャ

雁夜(全身が痛い・・・・・・歩くだけで骨が折れそうだ・・・・・・)

雁夜「ぜえ、ぜえ・・・・・・それ、でも・・・・・・俺は・・・・・・」

(雁夜おじさん! 今日は何をして遊ぶ?)

雁夜「・・・・・・さく、ら・・・・・・凛ちゃん・・・・・・俺が・・・・・・俺しか、助けられない。
・・・・・・俺が、助け、るんだ!」ズリ、ズリ

雁夜「うぐッゴハッ・・・・・・」ズリ、ズリ

(そう。あなたには、あなたの道があるものね。・・・・・・でも、魔術から離れてもあなたは私の友達よ)

雁夜(あなたの為に・・・・・・俺は)

雁夜「・・・・・・葵さん・・・・・・」ズリ、ズリ

マッケンジー邸・屋根の上 夜

マッケンジー「ほれ、コーヒーもあるぞ」

ウェイバー「・・・・・・おじさん、一体いつからここに居るのさ」

マッケンジー「久々に、空でも眺めながら孫の帰りを待ってみようかと思ってな」

ウェイバー「・・・・・・」

マッケンジー「お前が小さい頃は、何度もこうして星を眺めたなァ。覚えとるか?」

ウェイバー「・・・・・・うん、まあね」

マッケンジー「マーサと二人で日本に住むときは住まいはこの深山の丘に建てて、
必ず屋根に出られる天窓をつけようと決めていてな。・・・・・・こうしてお気に入りの屋根の上に座ってな?
孫と一緒に星を眺めるのが夢だったのじゃ。・・・・・・まさか、叶うとは思わなかったが」

ウェイバー「・・・・・・え? あ・・・・・・」

マッケンジー「・・・・・・なァ、ウェイバー。お前さん、わしらの孫ではないね?」

ウェイバー「!」

マッケンジー「どうしてわしもマーサもお前さんのことを孫だと信じ込んでいたのか
不思議ではあるが・・・・・・お前さん、わしらの孫にしては日頃から優しすぎたわな」

ウェイバー「・・・・・・怒って、ないんですか?」

マッケンジー「まあ、ここは怒って当然のところなのかもしれんがな。
・・・・・・ここ最近、マーサの奴が本当に楽しそうによく笑うようになってな?
以前じゃ考えられんことじゃ・・・・・・お前さん方に、感謝したい位でな」

ウェイバー「・・・・・・」

マッケンジー「見たところ、わしらに何か悪さをしようとここに住み着いている訳でもなさそうだしな。
むしろ・・・・・・どうだろう? 出来ることなら、もうしばらくこのまま続けて欲しいんだが」ニコ

ウェイバー「・・・・・・申し訳ないけど、約束は出来ません。無事またここに帰ってこられる保障はないので」

マッケンジー「すると、命がけなのかね? お前さん方は」

ウェイバー「はい・・・・・・」

マッケンジー「それがお前さんにとって、どれだけ大切な事柄なのかは分からんが・・・・・・。
人生長生きした後で振り返ってみればな、命と計りにかけられる程の事柄なんて、
結局のところ、一つも有りはせんものじゃよ?」

ライダー(・・・・・・)

ウェイバー「・・・・・・」

遠坂邸・バルコニー 深夜

凛「・・・・・・ん? アーチャー」

ギル「あまり遅くまで起きていると背が伸びんぞ?」サァァァ

凛「うるさいっ。お母様みたいなこと言わないでよ」

ギル「我はお前のサーヴァントなのだぞ?」

凛「余計おかしいと思う・・・・・・」

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・結局アサシンさんも璃正神父も、
綺礼すら何処に居るか分からないし・・・・・・これからどうなるんだろう」

ギル「有象無象を気に掛ける必要はない。我がいる以上、勝つのはお前だ」

凛「・・・・・・ねえ、アーチャー・・・・・・今日は浜辺に行ったきり、ずっと霊体化していたわね?」

ギル「・・・・・・」

凛「私、気づいているのよ? あなたの宝具には、相当の魔力消費があるって」

ギル「そんなものはない」

凛「変な嘘をつかないで・・・・・・最初からおかしかったのよ。
私が魔力供給をしているって言っている割には、
いくら戦闘をしても全然魔力を吸い取られる気配がなかった。
最初はよっぽど燃費の良いサーヴァントなのかと思ったけれど
あなたが乖離剣を使った時にはっきり分かった。
・・・・・・あなたの貯蔵魔力、もう殆ど残っていないでしょ」

ギル「・・・・・・いくらお前に大人程の魔力量があろうと、それは常人の魔力量に過ぎん。
もしここまでの戦いとエアの開放に利用していれば、お前は立つことも叶わんだろうよ」

凛「・・・・・・ずるい」

ギル「・・・・・・」

凛「ずるいわ!! これは私の戦いだって言ったのはあなたじゃない!!」

ギル「我は我の都合で動くと言った筈だ。お前の都合など知ったことではない」

凛「・・・・・・私は、これまで色んな人に助けられて、色んな人に迷惑をかけたわ。
・・・・・・あなたにまで気を使われたら・・・・・・もう、耐えられない」

ギル「・・・・・・」

凛「あなたは・・・・・・私のサーヴァントなんでしょう?
私の剣なんでしょう? ・・・・・・だったら、私にその剣を持たせてよ!」

ギル「・・・・・・王の座から万物を見通すとな、人一人の命よりよほど価値のある物があると分かる。
お前の望む聖杯は、それこそ何億の雑種と天秤にかけても余りある価値があるのだろうよ。
お前が命をかける意義もあるかもしれぬ・・・・・・が、お前は子供だ」

凛「・・・・・・」

ギル「お前は何も知らぬ。
醜悪で、そこはかとなく美しい我の世界をお前はまだ知らぬのだ。
・・・・・・お前の生は、まだはじまったばかりなのだぞ」

凛「自分が子供だなんて分かってる!!
それでも・・・・・・私はあなたの、マスターなのよ」

ギル「・・・・・・すまなかったな」

凛「え!?」

ギル「・・・・・・それ以上一言でも何かを言えば我はお前を許さん」サァァァ

凛「・・・・・・アーチャーが・・・・・・あや、まった・・・・・・」

※今日の更新はここまでです。
これまでの逃亡をお許し下さい。
少しずつですが、完結させます。

翌日 円蔵山 柳洞寺・境内 朝

切嗣(戦いを勝ち抜き聖杯を降臨させるには、
冬木にある四つの霊脈のいずれかで儀式を行わなければならない。
・・・・・・そのうちの二箇所、遠坂邸・聖堂教会にも言峰綺礼の姿はなかった。
となれば残り二つ、ここ円蔵山か、もしくは冬木市民会館・・・・・・。
舞弥が居れば、市民会館の方に回したんだがな・・・・・・また、僕は一人になってしまった)チラ

セイバー「・・・・・・」スタ、スタ

切嗣(・・・・・・そういえば、あれを頭数に入れていなかったな)

セイバー「昨夜から市外をくまなく巡って、アイリスフィールを探しています。
・・・・・・が、以前手がかりもなく・・・・・・申し訳ありません」

切嗣「・・・・・・」

セイバー「・・・・・・では、何かあった時は以前のように令呪による召還を」スタ、スタ

切嗣「・・・・・・」チラ

葵「・・・・・・ん・・・・・・」

旧キャスターの工房 朝

魔方陣の上に横たわるアイリスフィール

アイリ「・・・・・・・・・・・・」

綺礼「・・・・・・聞こえているか、女」

アイリ「・・・・・・ん・・・・・・言峰、綺礼」

綺礼「ここはかつて、キャスターのマスターが隠れ潜んでいた場所だ。
衛宮切嗣は最後まで探し出せなかったようだがな・・・・・・。まもなく聖杯戦争は決着する。
おそらくはこの私がアインツベルンの悲願を遂げる担い手となるだろう」

アイリ「・・・・・・遠坂凛と、同盟を結んでいたのではないの?」

綺礼「言葉が足りなかったか? 聖杯は私の物になると言っているのだ」

アイリ「・・・・・・」ギリ

綺礼「私ではそんなに不満かね?」

アイリ「私が聖杯を託すのはただ一人。・・・・・・代行者、断じてお前などではないわ。
それに衛宮切嗣は、お前の危険性をすでに見抜いている。覚悟することね」

綺礼「・・・・・・ほう、それは私にとって福音だ。
衛宮切嗣の行動原理は私に通ずるところがある、せいぜい参考にさせてもらおう」

アイリ「片腹痛いわね・・・・・・誰よりも彼とは程遠い男のくせに」

綺礼「・・・・・・なんだと?」

アイリ「切嗣にお前が見抜けたとしても、その逆はありえないわ。
あの人の心にあるものを、お前はなに一つ持ち合わせてはいない」

綺礼「・・・・・・何故貴様が私について語る?」ガシ

アイリ「がァ!」ギリギリ

綺礼「私が空虚な人間に見えるか? 女。・・・・・・いや、私もそう考えていた。
だが、今の私には欲がある。意思がある。聖杯に私の願望が何たるかを問う目的がある」

アイリ「あ、が・・・・・・かはッ」ギリ、ギリ

綺礼「私と奴とどう違う? 長きに渡り何の益もない戦いに身を投じ、
ただ殺戮ばかり繰り返してきた男が、あれ程の無軌道が、徒労が! 迷い人でなくて何なのだ!」ギリ

アイリ「ぐ、あ、ああ」

綺礼「あの男が聖杯にどんな願いを託しているのかは知らん!
だが、その本質は私と同じだ! そうでなければならない!!」グッ

アイリ「あァ! ・・・・・・ぜえ、ぜえ」ドサ

綺礼「・・・・・・答えろ、衛宮切嗣と私の願いにどんな差異がある? どんな違いがあるというのだ」

アイリ「・・・・・・どんな願いであっても、人の欲から生まれることは同じね。
その点で言えば・・・・・・お前も、あの人も、他のマスターですら違いはないのでしょう」

綺礼「・・・・・・」

アイリ「・・・・・・でも、お前は一人だ。お前の願いの先に喜ぶ者もいなければ、それを憂う者もいない。
・・・・・・託されることもなく、省みる場所もない・・・・・・孤独の中で醜くもがいているだけ」

綺礼「・・・・・・はッ、ははは・・・・・・何をくだらないことを。よもや愛何だと言う訳ではあるまいな」

アイリ「そう言っているのよ。・・・・・・お前には、愛がない。その心にも、周りにも、何処にも」

綺礼「馬鹿な、そんな物は足枷にしかならないだろう。理解出来ない」

アイリ「それが分からないから、そんなに怒り苦しんでいるのでしょうね。
・・・・・・それに・・・・・・あの人とお前にはもう一つ決定的な違いがある」

綺礼「・・・・・・」

アイリ「・・・・・・私はあの人に、選択肢をあげた。
あの人の道は一つじゃない。辛くなったら、逃げ出せる道がある」ニコ

綺礼「・・・・・・分かったよ」ガシ

アイリ「がァ、あ、あ、あ」ギリ、ギリ、バキ

綺礼「・・・・・・」

ドサリ

綺礼「・・・・・・分かったよ。他人に解答を求めることは出来ないと」

アイリ「・・・・・・」

綺礼「・・・・・・聖、杯」

ドイツ・某所

「装備の不足があれば送ると言っていた筈だが・・・・・・使いの者が何のようだ」

ガチャリ、ババババ

「! がァァ!? な、ぜ・・・・・・裏切ったか!! 衛、み」

パン

タッタッタ、ガチャリ

「・・・・・・おじい様? さっきの音は・・・・・・誰?」

※遅くなり申し訳ないです。
続きは後で更新します。

マッケンジー邸・ウェイバーの自室 夜

ライダー「おお。目が覚めたか、坊主」

ウェイバー「ふあァ・・・・・・夜になったら起こせって言っておいたのに。なにやってたんだ、お前」

ライダー「あァ、すまんすまん。
・・・・・・だがまあ、今夜はいつも程焦らず、落ち着いて構えておこうと思ってなァ」

ウェイバー「・・・・・・なんでさ」

ライダー「むゥ、まあ、何となくな・・・・・・今夜辺りに決着がつきそうな予感がするのだ」

ウェイバー「・・・・・・うん、夜の空気が静か過ぎる感じがする。
もう参加者も残り少なくなっているってことなのかな」

ライダー「・・・・・・ここからは本当に強い者達ばかりということだ」

バーン、バーン

ウェイバー「・・・・・・!? 今のは、市街地の方か?」

ライダー「妙な魔力の波動だなァ。以前にも似たようなのがあったが」

遠坂邸・屋根の上 夜

市街地の上空に無数の照明弾

凛「えっと、このパターンは、色違いで4と7だから・・・・・・達成と、勝利?
あんな狼煙を上げるって・・・・・・どういう意味よ?」

ギル「・・・・・・聖杯戦争は決着した、とでも言っているのだろうな」

凛「何よそれ! でもあっちは教会の方向じゃないし・・・・・・」

ギル「大方あの川べりに居た雑種のどれかが、我に対する恐怖で気が触れたのだろうよ」

凛「またそんなこと言う・・・・・・これってつまり、
勝ったのは自分だ、文句があるならここに来いってことじゃないの?」

ギル「なんだと? 王たるこの我をよもや挑発するとは・・・・・・許しておけぬ。
凛、お前も祝砲を上げよ。盛大にな」

凛「なんでそうなるの!?」

ギル「気に食わぬ」

凛「ええ、無理よ・・・・・・だって、祝砲の魔術なんて習ったことないもの」

ギル「では何でも良い。とにかく何か打ち上げよ。このままでは気が治まらぬ」

凛「・・・・・・えーと、確か前にコトネと遊んだ時のあれがまだ・・・・・・」

マッケンジー邸・ウェイバーの自室 夜

ライダー「むゥ、また何か上がったぞ、坊主」

ウェイバー「あっちの方向は遠坂陣営の工房があった筈だけど。
・・・・・・何を考えているんだ、遠坂は・・・・・・あれ、日本の花火だろ」

ライダー「現代の知識はある程度弁えているが、花火という物はよく分からん。
坊主、あれにはどんな意味があるのだ?」

ウェイバー「一応祝砲の意味もあったと思うけど。
・・・・・・花火は確か日本の夏の夜の風物詩だよ、ようは祭りだ」

ライダー「ほう、祭りとな!? 勝どきを吠える挑発に挑発で返すとは・・・・・・。
面白い!! 坊主、こっちも負けてはおれん! 何か打ち上げい!!」

ウェイバー「張り合うものじゃないんだよ!! 馬鹿!!」

マッケンジー邸前 夜

ライダー「・・・・・・坊主」

ウェイバー「なんだよ」

ライダー「本当に何も打ち上げぬのか?」

ウェイバー「そうだよ! 馬鹿」

ライダー「そうかァ・・・・・・まあ良い、今夜は決戦の大一番!! 挑戦を受ける強者として馳せ参じよう!!」

ウェイバー「・・・・・・そうか、これが・・・・・・最後なんだな」

ライダー「おおともさ!! さァ、目指す戦場が定まったとあらば!
余もまたライダーに恥じぬ形で戦に望もうではないか!!」ジャキン

バリ、バリバリ!!

ライダー「出でよ!! ゴルディアス・ホイール!!」

ウェイバー「・・・・・・魔力は本当に大丈夫そうだな」

ライダー「一滴の損耗もないわ!! さァ坊主、何をぐずぐずしておる、ほれ」

ウェイバー「・・・・・・ここからは、本当に強い者しかいちゃいけないんだろ?」

ライダー「・・・・・・?」

ウェイバー『我がサーヴァントよ、ウェイバー・ベルベットが令呪をもって命ず。

ライダーよ、必ずや最後までお前が勝ち抜け。

重ねて令呪をもって命ず、必ずお前が聖杯を掴め。

さらに重ねて令呪で命ず、ライダーよ・・・・・・世界を掴め。

・・・・・・失敗なんて、許さない』

ウェイバー「・・・・・・さあ、これで僕はもう、お前のマスターでもなんでもない。
もう行けよ、何処へなりとも行っちまえ。・・・・・・お前なんか、もう・・・・・・うわァッ」グイ

ライダー「もちろん直ぐに行かせてもらうが、あれだけ口喧しく命じた以上は、
当然貴様も見届ける覚悟であろう?」

ウェイバー「馬鹿馬鹿馬鹿ァ!あのな、令呪ないんだぞ!?
マスターやめたんだぞ!! 何でまだ僕を連れていく!! 僕はッ!」

ライダー「・・・・・・マスターじゃないにせよ、余の友であることに違いはあるまい」

ウェイバー「え?」

ライダー「フフン」ニカ

ウェイバー「・・・・・・僕は、僕なんかで・・・・・・本当に良いのか?
お前なんかの隣で、僕は・・・・・・」

ライダー「あれだけ余と共に戦場に臨んでおきながら何を言うのだ。馬鹿者!
貴様は今日まで余と同じ敵に立ち向かってきた!! ならば友だ!! 胸を張って堂々と余に比類せよ」

ウェイバー「・・・・・・あァ、ぐす・・・・・・ヒック・・・・・・あぁ!!」

ライダー「さて、ではまず第一の令呪に答えるとしようか! 坊主、刮目して見届けよ!!」

ドドドド!!

ウェイバー「ああ、やってみろよ! この僕の目の前で!!」

冬木市・某大通りの道路 車中 夜


切嗣(奴は戦いの主導権を握る為だけに、もっとも儀式に向かない場所を選んだ。
冬木市民会館・・・・・・つまりは、その場所に応戦するだけの仕掛けがあるということ)

切嗣(ならば話は早い・・・・・・セイバーを先に向かわせ、火力で小手先の罠を一掃し、本丸叩く・・・・・・それに)

葵「・・・・・・」

切嗣「こちらにも準備はある」

冬木市民会館・屋上 夜

雁夜「・・・・・・ここで大丈夫なんですよね?」

綺礼「ああ、もちろんだとも。
ここは聖杯を召還出来る霊脈のなかでも一際範囲が大きく、入り組んでいる。
集まったマスターとサーヴァントは己ずと混戦を強いられるだろう」

雁夜「そこを、つくんですか」

アサシン「・・・・・・」サァァァァ

綺礼「ああ、そうだとも。
サーヴァントの手が塞がっている状態で、令呪の補強を受けたアサシンを止める術を持つマスターはいない」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「セイバーが到着したようだ。では、手筈通り応戦をしてくれ」

雁夜「・・・・・・信じていいのですね?」

綺礼「信じる者は救われる。安心したまえ、間桐雁夜よ」ニヤ

アサシン・女(・・・・・・凛様)ギリ

冬木大橋 夜

ギル「・・・・・・」

凛「・・・・・・ここに誰か来るの?」

ギル「あのライダーとかいう雑種が我に挑んだのがここだ。
よほどの馬鹿でない限り、顔を出すだろうよ」

凛「・・・・・・魔力は、大丈夫なの?」

ギル「・・・・・・」

凛「もう、嘘はつかないで」

ギル「・・・・・・我はお前の剣なのであろう? ・・・・・・ならば、我を信じよ」

凛「・・・・・・」

ドドドド!!

凛「!」

ライダー『よォ!! やはりここであったか、アーチャーよ。今宵も女子連れか』スタ、スタ

ギル「喚くな、雑種」

凛「・・・・・・」

ギル「怖いか?」

凛「ううん・・・・・・私、あなたを信じているもの」

ギル「そうか」スタ、スタ、スタ

サァァァ カラン トプ、トプ

凛(ここでお酒を飲むつもりなの・・・・・・?)

ライダー「今日はあの戦闘機に乗っておらんようだなァ」トプ、トプ

ギル「・・・・・・」

ライダー「まさか貴様、不調か?」

ギル「黙れ雑種。何故我が宝物を貴様に見せねばならない」

ライダー「ガハハ、そう固いことを言うな。お前との戦に備え、こちらは十分に休息を済ませてきた」

ギル「ほう、確かに充溢するそのオーラ、いつになく強壮だ。
・・・・・・どうやら何の勝算もなく、我の前に立った訳でもないらしい」カラン

ライダー「ふん」カラン

ゴク、ゴク

ライダー「何と美味い酒だ!! このような酒は飲んだことがない!!
・・・・・・勝利の美酒とはこのような味を言うんだろうなァ」

ギル「これから死ぬ雑種への手向けとしては破格の待遇だぞ、せいぜい我を楽しませよ」

ライダー「・・・・・・バビロニアの王よ、最後に一つ、宴の締めの問答だ」

ギル「許す、述べるがよい」

ライダー「王とは、孤高なるや否や」

ギル「王とは絶対だ。聞くまでもない」

ライダー「・・・・・・その覇道こそ、孤高なり・・・・・・見事だ。
・・・・・・その揺るがぬ在り様に、余は敬服をもって挑むとしよう」

ギル「よい、存分に己を示せよ? 征服王。
ただの道化かと思っていたが、貴様は我が審判するにあたう賊だ」スタ、スタ、スタ

カラーンッ

凛「・・・・・・あなた達、本当は仲が良いの?」

ギル「くだらぬことを言うな・・・・・・我から離れるなよ、凛」

凛「・・・・・・勝って、ギルガメッシュ」

ギル「誰に向かって言っている」ニヤ

ライダー『行くぞ、坊主!!
――集えよ我が同胞! 今宵我らは、最強の伝説に雄姿をしるす!!』

ライダー『アイオニオン・ヘタイロイ!!』

ザァァァァァァ

固有結界 アイオニオン・ヘイタイロイ 内部

凛「そん、な・・・・・・嘘でしょ? 心象風景が具現化されている・・・・・・固有結界だなんて!」

ライダー『ここはかつて我が軍勢が駆け抜けた大地! オケアノスを夢みた覇道!!
余と苦楽を共にした勇者達が、等しく心に焼き付けた景色だ!!』

オオオオォォォォ!!

ギル「ほう」

ブケファラス『ヒィィン』

ライダー『おお、久しいな。相棒』

凛「あれ、一騎一騎がサーヴァントよ!?」

ライダー『さあて、でははじめるか。英雄王』ニヤ

※今日はここまでです。
続きの更新は明日行う予定です。
原作のアニメ準拠でいけば、残り二話辺りの展開です。

冬木市民会館 地下駐車場 夜

セイバー「・・・・・・」スタ、スタ、スタ

ジャキン

セイバー「なッ!?」ギイン

バーサーカー「・・・・・・」ジャキン、ジャキン

セイバー「バー、サーカー!!」ギイン、ギイン

『令呪を持って命じる、セイバーを、殺せ!』

バーサーカー「!!」ジャギン、ジャギン

『重ねて令呪を持って命じる、セイバーを殺せ!!』

バーサーカー「A――urrrrrrッ!!」ジャギン

セイバー「ぐあッ!! なん、て、力だ!!」ギイン

冬木市民会館 地下 夜

雁夜「ぜえ、ぜえ・・・・・・があぁぁぁあ!! ・・・・・・はあ、あァ」ドサリ

『どうしてそんなに苦しむの?』

雁夜「バーサーカーは、戦わなきゃ、いけないか・・・・・・ごふッ」ビシャ

『何で?』

雁夜「あの神父が、そう言って、いたから」

『神父さんが?』

雁夜「約束してくれたんだ・・・・・・俺に聖杯を渡すって。聖杯さえあれば、君を救える」

『助けてくれるの?』

雁夜「ああ、約束したろ? また、みんなで、昔にみたいに、一緒に遊ぼうって」

『じゃあ、また会えるのね。お姉ちゃんと、お母さんと、お父さんに』

雁夜「おとう、さん・・・・・・? え? なん、で?
なんで、なんで、なんでなんでなんで!! あ、あァ、あああああァァァ!!」

固有結界 アイオニオン・ヘタイロイ 内部

『AAAALaLaLaLaLaie!』ドドドドド

凛「・・・・・・アーチャー」ガクガク

ギル「夢を束ねて覇道を志す・・・・・・その意気込みは褒めてやる。
だが兵共よ、弁えていたか? 夢とはやがてことごとく、覚めて消えるのが道理だと」サァァァ

凛(鍵剣・・・・・・またあの宝具を?)

ギル「なればこそ、お前の行く手に我が立ちはだかるのは必然であったな。
・・・・・・さあ、見果てぬ夢の結末を知るがいい」サァァァ

ギル「いざ仰げ!! 『天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ』!!」

ザァァァァァ!!

凛「きゃあッ!!」ドサ

バキ、バキキ、バキ

凛(凄い・・・・・・固有結界が、空間ごと破壊されていく! これがアーチャーの全力なんだ)

ギル「・・・・・・ぜえ、ぜえ・・・・・・」

『――終わらぬ』

ギル「ッ!?」

凛「・・・・・・なに、これ・・・・・・空間が、修復? いや、再構成されてる!!」

ライダー『覇道を謳い、覇道を示す! この背中を見守る臣下がいる限り! 夢は、終わらぬ!!』

ザァァァァ

ライダー『アイオニオン・ヘタイロイ!!』

ザザァァ、ザザァァ

凛(え・・・・・・これは、海?)チラ

ライダー『見え、た・・・・・・! 最果ての海は近いぞ!! さァ、蹂躙せよ!!』

オオオオォォォォ!!

ギル「クク、ハッハッハ!! これ程愉快な気分は久方ぶりだ!!
いいぞ、征服王! ぜえ、ぜえ・・・・・・人の身でありながら、天の理に抗うか!!」

凛「アーチャー! あなた、これ以上は!!」

ヒュン!

ギル「下がれ! 凛!!」ジャキン

凛「きゃあッ!」

ギル「頭を低くしていろ、次の矢を捌ける保障はない!!」

凛「う、うん!」

ギル「『天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ!!』」

ザァァァァ!!

※少ないですが、更新は以上です。
次回は明日更新予定です。明日、明後日で終われる予定です。
時間あれば今日また更新します。

冬木市民会館 地下駐車場 夜

崩れ落ちるバーサーカーの鎧

セイバー「・・・・・・おま、えは」

ランスロット「・・・・・・Ar・・・・・・thur・・・・・・」

セイバー「・・・・・・サー・ランスロット」

ランスロット「Arthurrrrr!!」ジャキン

セイバー「何故だ、友よ! 円卓の騎士の内でも第一と賞されたあなたが!
何故、バーサーカーに落ちてまで・・・・・・ぐあァッ!!」ジャキン

ランスロット「・・・・・・」ジャキン、ジャキン

セイバー「待って、待ってくれ!! 私は此度の聖杯にブリテンの救済を望んでいる!!
大丈夫なのだ、ランスロットよ!! 私が必ず民を救う!! 私が!!」

ランスロット「Arthur!!!」ガキン

セイバー「私を信じてくれ! ランス、ロット!!」ガキン

冬木市民会館 地下 夜

雁夜「・・・・・・はは、いいぞ! 殺せ、ぶっ殺せ!! バーサーカー!!」

切嗣「・・・・・・」スタ

雁夜「ッ・・・・・・おま、えは?・・・・・・はは、お前を知っているぞ・・・・・・セイバーのマスター。
ははは、死ね、死ね、死ね死ね死ね!! 令呪を持って命ずる! バーサー――」

切嗣「・・・・・・」ガチャリ

葵「・・・・・・」

雁夜「なッ! 葵さん!? ・・・・・・貴様ァァ!!」

切嗣「動くな」

雁夜「・・・・・・お前もなのか・・・・・・お前も、俺の邪魔をするのか!
ぜえ、ぜえ・・・・・・俺は・・・・・・俺はただ!! 皆の笑顔がみたいだけなんだ!!
俺は聖杯に、俺は聖杯に選ばれたんだ!! 俺は、皆を――」

切嗣「バーサーカーを殺せ」ガチャリ

雁夜「ッ・・・・・・待てよ、待ってくれよ!! あと少しなんだ!! あと――」

バンッ!

雁夜「葵さんッ!!」

葵「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・次は外さない。この女の頭を吹き飛ばす」

固有結界 アイオニオン・ヘタイロイ 内部

ウェイバー「あの海は・・・・・・」ドドドドド

ライダー「おおともさ! あれこそ我らが夢見た世界の果てよ!!」ドドドドド

ウェイバー(そんな訳ない・・・・・・この世界に、果てなんてないのに)

ライダー「続け! 続くのだ!! 足を動かせ!! 手綱を握れ!!」ドドド

『天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ!!』ザァァァァ

ウェイバー「また来る!! うああァァァ!!」ドドドドド

ライダー『アイオニオン・ヘタイロイ!!』ザァァァァ

ウェイバー「ライダー!! これ以上持たないぞ、お前!!」ドドドドド

ライダー「ぜえ、ぜえ・・・・・・続け、続けェェェ!!」ドドドドド

ウェイバー(駄目だ・・・・・・この魔力量だともう固有結界は使えない。
このままだと、僕達は・・・・・・)

ライダー「蹂躙せよォォォ!!」ドドドドドド

ウェイバー「・・・・・・AAAALaLaLaLaLaie!」ドドドドド

ライダー「なッ!? がはははは!!
坊主、貴様も分かってきたではないか!! AAAALaLaLaLaLaie!!」

ウオォォォォ!!

ライダー「・・・・・・ウェイバー・ベルベットよ」ドドドドド

ウェイバー「な、なんだよ! こんな時に!!」ドドドドド

ライダー「・・・・・・貴様、臣として余に仕える気はあるか?」ドドドドド

ウェイバー「ッ・・・・・・あなたこそ、僕の王だ・・・・・・。
あなたに仕える、あなたの尽くす・・・・・・どうか僕を、導いて欲しい!
同じ夢を見させて欲しい!!」ドドドドド

ライダー「夢を示すのが王たる余の務め。そして王の示した夢を見極め!
後世に語り継ぐのが臣たる貴様の務めである!!」ガシ

ウェイバー「うわッ!なに、を?」ドドドドド

ライダー「・・・・・・」ブンッ

ウェイバー「うわァァ!!」ドサリ

『生きろ、ウェイバー』ドドドドド

ウェイバー「ライダー!!!」

冬木市民会館 地下駐車場 夜

アロンダイトを己の胸に刺すランスロット

ランスロット「!?」ドシュ

セイバー「・・・・・・どう、して・・・・・・?」カラン

ランスロット「・・・・・・そう、か」ドサリ

セイバー「ランスロット!!」タッタッタッ

ランスロット「ああ、騎士王よ・・・・・・私は、わた、しは」

セイバー「切嗣か・・・・・・!! 何故だ!! 何故お前は!!」ギリ

ランスロット「私は、私はただ、あなたに・・・・・・あなたに」

ランスロット(あなたの手で、裁かれたかった)

セイバー「・・・・・・安心して果てるが良い、ランスロットよ。
お前達の望みは、ブリテンの救済は・・・・・・必ずこの騎士王が果たす」

ランスロット「ッ!!・・・・・・この期に及んでなお、
そのような理由で、剣を取るのですか?」サァァァ

セイバー「!・・・・・・なにを、言っているのだ」

ランスロット「は、はは・・・・・・困ったお方だ。あな、た――」

サァァァァ

セイバー「ランスロット!! ・・・・・・何故笑う・・・・・・。
お前は何を願っていたというのだ・・・・・・ランスロット・・・・・・答えてくれ、ランスロット」

セイバー「・・・・・・私は」

冬木市民会館 地下 夜

バン!

葵「・・・・・・ん、ここ、は」

切嗣「・・・・・・」バン、バン

雁夜「がァァァ!! ぜえ、ぜえ・・・・・・やめて、くれ。
僕は、皆を・・・・・・葵さんを、桜ちゃんを、凛ちゃんを救いたいだけなんだ」

切嗣「黙れ!!」バン

雁夜「がッ、あ、あァ・・・・・・頼、む・・・・・・僕しか、もう僕しかいないんだ・・・・・・。
殺さないでくれ・・・・・・お願い、だ・・・・・・」

葵「か、雁夜君? どうして・・・・・・い、いや、きゃあァァァ!」

切嗣「ッ!? 暴れるな!! 来い」スタ、スタ、スタ

葵「離して!! 雁夜君! 雁夜君!!」ズリ、ズリ

雁夜(・・・・・・あ、れ? 葵さんの声が、するや・・・・・・。
ごめん、葵さん・・・・・・僕は、君達を・・・・・・救えなかったよ)

雁夜「・・・・・・」

固有結界 アイオニオン・ヘタイロイ 内部

砂浜、天の鎖に繋がれたライダー

ライダー「ぬッ・・・・・・全く貴様ァ、次から次へと珍妙なも――」ドシュ

凛「・・・・・・結界が、解けていく」

サァァァァ

ギル「ぜえ、ぜえ・・・・・・夢より、覚めたか・・・・・・征服王」

ライダー「ぐはッ・・・・・・そうさなァ・・・・・・。
此度の遠征で・・・・・・とうとう、潮騒の響きを聞いたのだ・・・・・・。
・・・・・・おちおち、目を覚ましている場合では、ないわな・・・・・・」

冬木大橋 夜

ギル「また幾度なりとも挑むといいぞ、征服王。
時の果てまでこの世界は余さず我の庭だが・・・・・・驚かされたわ。
まさかこの世の果てが、あったとはな・・・・・・」

ライダー「はッ・・・・・・馬鹿者が・・・・・・あるに、決まっておろう」ニカ

サァァァァ

ギル「ぜえ、ぜえ・・・・・・ッ」ドサ

凛「アーチャー!!」

ギル「触るなッ!! まだ戦いは、終わっておらぬ」タ、タ、タ

ウェイバー「・・・・・・」

ギル「・・・・・・小僧、お前がライダーのマスターか?」タ、タ、タ

ウェイバー「・・・・・・違う。僕は、あの人の臣下だ・・・・・・」

ギル「・・・・・・そうか。だが小僧、お前が真に忠臣であるならば、
亡き王の仇を討つ義務がある筈だが?」

ウェイバー「・・・・・・お前に挑めば、僕は死ぬ」

ギル「当然だな」

ウェイバー「それは出来ない・・・・・・僕は、生きろと命じられた!」ギリ

ギル「・・・・・・忠道大儀である。ゆめ、その在り方を損なうな。
・・・・・・行くぞ、凛」タ、タ、タ

凛「う、うん・・・・・・」チラ

ウェイバー「・・・・・・う、ぐすッ・・・・・・ああ、ああァ」ドサリ

ギル「・・・・・・見事な、王であったわ」タ、タ、タ

凛「・・・・・・そうね」スタ、スタ、スタ

※本当に申し訳ないです。また逃亡をしていました。

二年前 遠坂邸・地下工房 夜

凛の手に置かれた宝石のオブジェ

凛「わぁ! お父様、もっと教えて下さい! これはどうやったら作れますか?」

時臣「そうだな・・・・・・これは今の凛には、少し難しいかもしれない」

凛「むう・・・・・・」

時臣「でも、凛が毎日努力すればきっと作れるようになる」

凛「え?」

時臣「何といっても、お前は遠坂の娘なのだから」

凛「はい! ――――――ですよね!」

時臣「・・・・・・」ニコ

冬木市民会館 1F大ホール 夜

舞台の上に横たわるアイリ

凛「ここに、聖杯が・・・・・・え? あの人って、セイバーの」スタ、スタ

ギル「ぜえ、ぜえ・・・・・・気を抜くな」スタ、スタ

凛「ねえ・・・・・・もうこれ以上は」

ギル「我を信じろと、言った筈だが?」

凛(私の魔力も、もう殆どない・・・・・・こんな状態で、まともな戦闘なんて)

ギル「ッ。止まれ、凛」

凛「え?」

セイバー「・・・・・・」フラ、フラ

凛「セイ、バー・・・・・・」

セイバー「じゃ・・・・・・・・・を・・・・・・な」

ギル「下がれ!!」ドン

凛「きゃあ!」ドサ

セイバー「邪魔をするなァァ!!」ダダダダ

ヒュン! ヒュン!

セイバー「ハァ!!」ガキン、ガキン

ギル「ハァ、ハァ・・・・・・雑種の分際で・・・・・・我が宝物を地に落とすか!!」

ヒュン! ヒュン! ヒュン!

セイバー「聖杯を取るのは! 私だ!!」ガキンガキンガキン!! ダダダ

ギル「しまッ――!!」フラッ

凛「ガンド!!」

ガキン

セイバー「ッ!!」シュタ

ギル「凛! 何をし――」

凛「うるさい!! これはお前の戦いだって言うんだったら、守ろうとなんかしないで!!」

ギル「なッ!? 貴様、誰にむかっ――」

凛「どうせもう宝具もまともに出せないんでしょう!? かっこつけんな!!
アーチャー、私は!! あなたのマスターは!! もう逃げたりなんかしない!!」

ギル「黙れ!! ぜえ、ぜえ・・・・・・剣の1本や2本、我が出せぬと思うな」サァァァ

凛「・・・・・・アゾット剣」

ギル「これは我の宝物だ。どこで使おうと文句は言わせぬ」

セイバー「アーチャーのマスターよ・・・・・・子供だからといって、私は手を抜かない」

ギル「ぜえ、ぜえ・・・・・・はッ、雑種の如きにこの我が手心を加えると思うなよ?」ジャキン

『では、いよいよ最後の戦いということかな?』

サァァァァァ

アサシン「・・・・・・」

凛「う、そ・・・・・・何で、アサシンさん達が・・・・・・」

アサシン・女(・・・・・・凛様)ギリ

綺礼「よくやった、凛。ライダーを撃退させたことは褒めよう」

凛「綺礼! あなた、何で今更!」

綺礼「今、更? ハハハ、何を言っているのかな? 凛。
今この瞬間こそが、聖杯戦争を終わらせるにふさわしい舞台ではないか。
この通り、私の準備も整っている」ズリ

凛「その令呪は!? あなた、まさか璃正神父を・・・・・・」

ギル「雑種めが・・・・・・まとめて切り伏せてやる」

綺礼「ほう、死にかけのサーヴァントにしては威勢が良いではないか。
生憎とこの環境での戦闘は、アサシンに分があるが?」

『令呪を持って我が傀儡に命ず・・・・・・セイバー、アーチャーに加勢しアサシンを撃退しろ』

綺礼「利口な判断だ、衛宮切嗣・・・・・・やはり貴様は面白い」

切嗣「・・・・・・」スタ、スタ

凛(誰・・・・・・なの?)

切嗣(・・・・・・残りの令呪は一画。優先すべきは・・・・・・言峰綺礼。
・・・・・・だが、この場に出るのは賭けだ)ギリ

綺礼「・・・・・・では、はじめようか」

綺礼『令呪を持って命じる・・・・・・殺し尽くせ、アサシン』

アサシン・女「逃げて! 凛様!!」ダダダダ

セイバー「ハァァァ!!」ダダダダ

切嗣「タイムアルター、ダブルアクセル!!」シュタ

凛(アサシンさんは敵で、知らない人がセイバーのマスターで・・・・・・。
もう訳分かんない!! 分かんない、けど!)チラ

ギル「我の隣に立つことを誇りに思え、凛」

凛「遠坂家たるもの、常に余裕を持って優雅たれ!! 行くわよ! アーチャー!!」

???

アイリ「ここ、は・・・・・・?」

『お母サま!』

アイリ「・・・・・・だれ、なの?」

『ひドい! わたシノこト、忘れチャッたノ? イリヤのコト、忘レチゃっタノ?』ドロ、ドロ

アイリ「違う!! あなたはイリヤじゃない!!」

『あレ? 何で分かるンダロう・・・・・・まあ、イイや』

アイリ「きゃあッ!? 手、手が、手が、こんなに!! 離、して!!」ガシ、ガシ、ガシ

『コこは聖杯のなカだよ。万能の願望機がコの世ノ全テの嘆きを刈りトリ、
すベテの苦悩を取り払ウ・・・・・・ソレをカナえる力が手にハイルのよ?
良かッタね、お母さマ』ドロ、ドロ

アイリ「ちが、う・・・・・・こん、な・・・・・・こんな呪いで! 叶うはずがない!!」ガシ、ガシガシ

『ここで一ショにキリツグをマちまショう? ねェ、叶うノヨ?
ヨカッたね、ヨカッタネ!! コレでマたオカアさマとキリツグと会エルネ!
ソウヨ、ワタシとキリつグのイリヤが、これでタスかルのよ!!』ドロ、ドロ

アいり「ちガう!! 駄目ヨ!!
コンな、まさカ聖ハいがコンナことにナっているなんて!!」ドロ、ズリ

あイリ『何を言ってイルの?
あナたがそう望ンデいルんじゃナい? 私がそう望んでいるのよ?』

「こんな、の!! ワタしモ、キりつグも望んデイナい!!!」ドロ、ドロ、ガシ、ガシガシ

アイリ『私が私なの、切嗣と愛し合っているのは私なの。イリヤの母親は私なの。
・・・・・・あなたじゃないわ・・・・・・じゃあ、あなたは何なんでしょうね』ニヤ

「いヤ!! ヤメて・・・・・・こンな、殺リクなんて・・・・・・キリつグは!! ノゾん・・・・・・」ドロ、ドロ

アイリ『“何か”さん、さようなら。私はここで切嗣を待つわ。私の愛する切嗣を。
あはは、あははははは、あはははははははあはは!! 早く!! 早く来い!!
この世界に!! あなたの望む真の平和が――きゃあ!?』サァァァ

パァァァァ

アいリ『ナに、コレ・・・・・・ヒカりが・・・・・・』

あイリ「これ・・・・・・アヴァ、ロン・・・・・・セイバーが、近くにいるの?」

アいり『ソレをステロ!! タダノジカンカせぎにしかならナイのヨ!?
ハヤくステロ!! ネガいをカナエるんでショウ!? ハヤく!!』ドロ、ドロ

アイリ「時間稼ぎでも良い・・・・・・私は、これは汚染された聖杯だと、あの人に伝えなきゃ」

いリや『ヤめてよ、オカあサマ・・・・・・どうシてソンナ酷イことをスルの?
ワタシのコと、愛シテないノ? ワタシを、ウんでクレないノ?』ドロ

アイリ「イリヤの真似なんてしないで!!」ガシ、グググ

イリや『ガァッ!! クル、しい、よ・・・・・・オカあサマ。
真似、なンカじゃないわ・・・・・・ワタしはアナタの、記憶の中ノ、イリヤスフィールよ?
ネえ、ヤメてよ・・・・・・息ガ、デキナいよウ』ググ、グググ

ドサ

アイリ(・・・・・・切嗣・・・・・・早、く)

※書き溜め分は以上です。
続きはまた近日中に更新します。

冬木市民会館 1F大ホール 夜

綺礼「・・・・・・ほう、倍速で動くのか」ジャキン

切嗣(2倍速に追いつくのか!?)バララララ

綺礼「・・・・・・芸がない」スタ、ブン

切嗣「タイムアルター・トリプルアクセル!!」

綺礼「!?」スカ

切嗣(ここだ・・・・・・! 起源弾)

綺礼「フン!!」バキン

切嗣「なッ! ・・・・・・がァァァ!?」バキィ

綺礼「・・・・・・どうしたのだ、衛宮切嗣。もう終わりなのか?」

切嗣「・・・・・・がッごほ、ごほ」

切嗣(起源弾が効かない・・・・・・預託令呪を魔力源にしてるのか・・・・・・?)

綺礼「立て。貴様にはまだ問うていないことがある」

切嗣「ぐあ・・・・・・ぜえ、ぜえ」ズリ ビキビキ

切嗣(・・・・・・固有時制御の反動が、大きすぎる。
・・・・・・アヴァロンもないこの状況で四倍速を使えば、僕は)

綺礼「そこの女が言っていた、貴様には別の道があると・・・・・・それはどういう意味だ?」

切嗣「・・・・・・?」

綺礼「この混戦の中でその負傷では死したも同然だ。貴様に退路など残されてはいない。
・・・・・・では、なんだ? 私と貴様にどう違いがある。・・・・・・何が違う!!!」

切嗣(アイリ、すまない・・・・・・僕は、イリヤを迎えには行けないよ)

切嗣「ぜえ、ぜえ・・・・・・タイムアルター」ズリ

切嗣(それでも、僕らの願いだけは・・・・・・)

切嗣「スクエアアクセル!!」ブンッ

綺礼「ッ!? 速――」

冬木市民会館 1F大ホール 夜

アサシン「ぐあァァ!?」

ギル「・・・・・・ぜえ、ぜえ。雑種が、群れおって・・・・・・ッ!?」

アサシン「・・・・・・」ジャキン

凛「ガンド!! はあ、はあ・・・・・・大、丈夫? アーチャー」

ギル「・・・・・・」ジャキン

アサシン「がはッ!?」ドサリ

凛「きゃあ!? ・・・・・・あ」

ギル「気を、抜くな。・・・・・・死ぬぞ」

セイバー「ストライク・エア!!」ザァァァ

アサシン「がァァァ!?」ドサリ

アサシン「ッ!!」ドサリ

セイバー「どけ、下郎!! 聖杯を手にするのは私だ!!!」

ギル「はッ、世迷言を、雑種め・・・・・・ぜえ、ぜえ」

凛「数が、多すぎる・・・・・・」

ギル「・・・・・・」ドサリ

凛「アーチャー!!」

凛(もう、魔力が・・・・・・)

アサシン女「・・・・・・」ジャキン

凛「ぎゃあ!?」ドシャ

アサシン女「・・・・・・て、・・・・・・い」ボソ

凛「あ、あぁ・・・・・・アサシン、さん?」

アサシン女「逃げてください!!! 凛!!!」ジャキン

凛(なに、これ? 時間が、遅い・・・・・・? ああ、そっか・・・・・・私、死ぬんだ)チラ

ギル「・・・・・・」

(凛、ご飯はしっかり食べなさい?)

凛(ああ、何でこんなこと、思い出すんだろう)

(強力な魔術は、術者へのリスクも大きい。細心の注意を忘れないように)

凛(お父様・・・・・・すいません・・・・・・私は・・・・・・)

(そうだね、凛。令呪というものは、強大なサーヴァントに絶対命令を下せるものだ)

(じゃあ、令呪にはそれだけの魔力があるということですか? お父様)

(そう。言い換えれば、命令という形を持ってサーヴァントに魔力を供給するということになる)

(力を与えるということですか?)

(いや、それは違うよ。サーヴァントとマスターの関係は、あくまで――)

凛(・・・・・・まだ、諦めない!!)ギリ

凛『立って!! アーチャー!!』パァァァ

アサシン女「ッ!! ・・・・・・ありがとう、ございます」ジャララララ

ギル「・・・・・・エルキドゥを・・・・・・雑種如きに触れさせるとはな」

凛「アーチャー!」

セイバー「!?」

アサシン「・・・・・・なん、だ、と?」ジャララララ

アサシン「動、けぬ」ジャラララ

セイバー「ハァァァ!!」ザキン、ザキン

アサシン「がぁぁ!!」ジャラララ

アサシン「ぐはッ!!」ジャラララ

ギル「ぜえ、ぜえ・・・・・・後はあの雑種で、なんとかなるだろう」

アサシン女「無事で、なによりです。凛」

凛「・・・・・・アサシンさん」

アサシン女「さあ。早く、殺して下さい」ニコ

ギル「・・・・・・」ジャキン

凛「やめて!! それ、貸して・・・・・・アーチャー」

ギル「・・・・・・ああ」

凛「・・・・・・アサシンさん、私」

アサシン「・・・・・・急いで下さい」

凛「・・・・・・ごめんなさい」ジャキン

アサシン「ありがとう」ニコ

冬木市民会館 1F大ホール 夜

綺礼「・・・・・・が、は・・・・・・」ボタ、ボタタ

切嗣「ぜえ、ぜえ・・・・・・がはッ」ビキビキビキ

綺礼「まさか、がほッ・・・・・・四倍速で動くとは・・・・・・不意を点かれたぞ」

切嗣「・・・・・・ぜえ、ぜえ」ガチャリ

綺礼「待て! 殺すな!! 私には、目的が!! 貴様と同――」

バンッ! ドサリ

綺礼(・・・・・・私は、一体・・・・・・なにを・・・・・・求め、て・・・・・・)

綺礼「・・・・・・」

凛「・・・・・・綺礼が」

ギル「先の補充を続けろ」

凛「え?」

ギル「まだ戦いは終わっていない!」

切嗣「動くな!!」ガチャリ

葵「・・・・・・」

凛「あ!? お母、様」

ギル「凛! 急げ!!」

切嗣「こちらの指示以外に言葉を発すれば、この女の頭を吹き飛ばす」

凛「・・・・・・あ、あ」

ギル「・・・・・・」ギリ

切嗣「遠坂凛、令呪がある手を上げろ」

凛「・・・・・・い、や」スッ

切嗣「次だ。令呪の一画を使い、アーチャーを自害させろ」

凛「ッ!?」

ギル「・・・・・・」

凛(・・・・・・アーチャー)

切嗣「・・・・・・ごふッ・・・・・・早く、しろ」ジャキ

切嗣(アーチャーの消滅後、速やかに遠坂凛を、)

凛「・・・・・・あ、え?」

切嗣(僕は、今度こそ・・・・・・間違えない)ポト、ポト

切嗣「早くしろ!!!」

イリヤ「キリ、ツグ?」

※逃亡していました。
続きは近日更新します。

※コテハンテスト
次回からこれで更新します。

※すいません、ミスです。
次回からこれで更新します。

※すいません、はじめてだったもので。

切嗣「・・・・・・イリ、ヤ?

イリヤ「キリツグだ!」ニコ

舞弥「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・どうして、ここに、イリヤが?」

イリヤ「あんまり遅いから、迎えに来たんだよ」ムウ

切嗣「あ、ああ、あ・・・・・・舞弥!!! どうして!! どうして連れてきた!!!
僕は、こいつを、殺して、僕らの、願いを・・・・・・!!」ジャキ

凛「ッ」ビク

舞弥「切嗣・・・・・・ここが、あなたの分かれ道です」

切嗣「・・・・・・なに、を」

舞弥「殺しますか? その娘を」

切嗣「そうだ!! そうしなければ。そうしなければ・・・・・・ナタリアが、
アイリが犠牲になった意味がない!!! ・・・・・・シャーレイを、殺せなかった、僕は」

舞弥「死に理由がなければ、マダムの生涯に意味はなかったのでしょうか」

切嗣「そう、だろう?」ポタ、ポタ

舞弥「意味は、あったそうですよ」

イリヤ「・・・・・・?」ニコ

切嗣(・・・・・・イリ、ヤ)

舞弥「切嗣、あなたは銃を捨てることが出来る」

切嗣「出来ない!!!」

舞弥「出来ます。手の力を抜くだけで、それは消えます」

切嗣「あ、ああ、あ・・・・・・」ドサ

舞弥「あなたは、選んでいいのです」

切嗣「僕は!! 僕、には・・・・・・」

舞弥「それが、マダムの願いです」

・・・・・・ガシャン

切嗣「・・・・・・僕には、撃てない」ポタ、ポタ

※続きは近日更新します。次回で終わりです。

セイバー「ふざけるなァ!!!」ザキン

凛「きゃあッ!!」

ギル「ぐッ!! 」ガキン

セイバー「アーチャー!!! 貴様らを殺さなければ、聖杯戦争は終わらない!!」ガキキキ

凛『勝って! アーチャー!!』パァァァ

ギル「! エルキドゥ!!」

ジャララララ ガシ

セイバー「ぐあァ!! ぐッ!! はな、せ・・・・・・離せ!!!
私は、故国の滅びの運命を変える!!!」ジャラララ

ギル「・・・・・・貴様は、自らが招いた滅びをなかったことにするのか?」

セイバー「そう、だ・・・・・・聖杯が真に万能であるならば、我が故国の運命を、変えることが!!」

ギル「愚かな」

セイバー「愚かだと!? 貴様も一国を統べた王であれば分かる筈だ!!」

ギル「ああ、そうさな。そして貴様には分かるまい」

セイバー「黙れ!!!」ギリ

ギル「貴様は、王ではない。正義と理想に溺れた、凡俗な雑種よ」

セイバー「なに、を」

ギル「王とは孤高である。
であるが故に、その行いがどんな蛮行であっても、正義なのだ。答えでなければならない。
その責を逃れ、あまつさえ願望機に時計の針を戻させるなどと・・・・・・貴様に王を語る資格はない」

セイバー「それでは暴君ではないか!!! 貴――」ドシュ

ギル「問答をする気にもなれんがな、散り際に己を恥じる時間だけはくれてやったのだ。感謝せよ」

セイバー「わ、た、しは! 間違って、など・・・・・・」サァァァァァ

凛「・・・・・・セイバーのマスター。あなたは、棄権するの?」

切嗣「・・・・・・」ポタ、ポタ

ギル「この戦いの佳境まで正体を隠し、暗躍していたのだろう。
ここで消す方が良いと思うが?」ジャキン

イリヤ「キリツグをいじめないで!! もう聖杯戦争は終わったんでしょ!?
キリツグは私と帰るんだから!!」

ギル「・・・・・・どうするのだ?」

凛「・・・・・・お母様が無事なら、それでいい」

葵「・・・・・・すう、すう」

アイリ「・・・・・・ん・・・・・・」

切嗣「・・・・・・アイ、リ?」

アイリ「・・・・・・切、嗣。また、会えた」ニコ

切嗣「・・・・・・どうして」

アイリ「セイバーの魂が、私の中に入って、アヴァ、ロンが、少しだけ、時間をくれたの」

イリヤ「お母様!!」

凛「あなた、聖杯の器なの?」

アイリ「・・・・・・そう。この道を、選んだのね。切嗣」ニコ

アイリ「聖杯戦争の覇者、遠坂、凛。この聖杯は、汚染されているわ」

凛「・・・・・・汚染?」

アイリ「もう、純粋な、願望機では、ないの。
これはあらゆる願望を、呪いと殺戮によって、成就させる」

凛「・・・・・・」

アイリ「それでも、私を、使いますか?」

凛「・・・・・・アーチャー」

ギル「なんだ」

凛「あなたの宝を、破壊したい」

ギル「・・・・・・そんな薄汚れたものはもう宝とは言えぬ。ただの女だ」

アイリ「・・・・・・ありが、とう」ニコ

イリヤ「お母様、また一緒に暮らせるの?」

アイリ「前に、言ったでしょう? 私とは、もう、お別れなの」

イリヤ「・・・・・・やだ!」

アイリ「わが、ままを、言わない、の。私は、いつ、でも、あなたの、傍に居るわ」ナデ

切嗣「・・・・・・アイリ、僕は」ポタ、ポタ

アイリ「イリヤを、幸せに、して」

切嗣「・・・・・・」ポタ、ポタ

アイリ「あなたも、幸せに、なって?」

切嗣「・・・・・・分かって、るよ。アイリ」ポタ、ポタ

アイリ「あなたを、愛しています」ニコ

切嗣「・・・・・・ああ、僕もだよ」ニコ

アイリ「・・・・・・舞弥、さん。ありが、とう」

舞弥「・・・・・・マダム」

アイリ「二人を、よろしくね。・・・・・・もう、行って」

舞弥「・・・・・・はい」スタ

イリヤ「離して! まだお母様と居たい!!」バタバタ

アイリ「いってらっしゃい・・・・・・イリヤ、あなた」

切嗣「・・・・・・」ズリ、ズリ

ギイイ、バタン

アイリ「・・・・・・もう、時間が、ない。・・・・・・お願い、早く、私を」

ギル「・・・・・・薄汚れているとはいえ、万能の願望機だ。我が至宝をもって壊す他あるまい」

凛「・・・・・・」チラ

一画だけ残された令呪

ギル「少しお前の魔力を巻き込むが、それでこと足りるであろうよ」

凛(・・・・・・お父様、ごめんなさい。この聖杯は――)

凛『最後の令呪を持って命じる。アーチャー、聖杯を破壊して』

ギル「・・・・・・ああ」


――
―――
――――

半壊した冬木市民会館前・深夜

凛「・・・・・・お母様」

葵「・・・・・・すう、すう」

凛「・・・・・・」ニコ

サァァァァァ

ギル「無事に脱出出来たようだな」

凛「ほんとよ! 結構危なかったのよ!? あんなに周りを巻き込むことはないじゃないの!!」

ギル「・・・・・・クク、ハッハッハ。最後まで業腹な娘よ」サァ、サァァ

凛「・・・・・・あ・・・・・・あなた、身体が」

ギル「戦いは終わったのだ。当然であろう?」

凛「・・・・・・ありがとう」

ギル「何故礼を言う?」

凛「だって、あなたが助けてくれなかったら、私は」

ギル「自惚れるな。我は我の都合で動いたに過ぎぬ」

凛「・・・・・・つまり、自分の意思で私は助けてくれたの?」

ギル「なッ!? 何故そうなる!!」

凛「・・・・・・ふふ、ありがとう」ニコ

ギル「・・・・・・まあ、少しは興が乗る戦いであったわ」

凛「・・・・・・」

ギル「にしても、なんだこれは。刃は短く、切れ味も良くなかったが?」

凛「魔術用なの!! アゾット剣で戦う弓兵なんて居ないわよ!!」

ギル「・・・・・・良い宝だ」サァ、サァァ

凛「・・・・・・なによ、それ」モジ

ギル「全く、現世は醜い。有象無象が犇き、無駄な生が溢れておる」サァ、サァァ

凛「・・・・・・」

ギル「・・・・・・だが、お前はそう悪くなかった」サァ、サァァ

凛「・・・・・・ッ」ポタ、ポタ

ギル「・・・・・・泣くな、凛。別れがあるからこそ、この世界は美しいのだ」サァ、サァァァ

凛「泣いて、ない!」ポタ、ポタ

ギル「ハッハッハ! この我に嘘までつくとは」

凛「嘘じゃ、ないもの」ゴシゴシ

ギル「・・・・・・別れだ、凛」サァァ、サァァァァ

凛「・・・・・・さよなら、ギルガメッシュ」ニコ

ギル「・・・・・・」

サァァァァァァ、ァァァ、・・・・・・

凛「・・・・・・」

遠坂邸前、朝

凛「行ってきます! お母様!」タッタッタ

葵「はい、気をつけるのよ」ニコ

凛「はーい!」タッタッタッタ

凛(第四次聖杯戦争は、勝者の居ないまま終わった)

「ねえキリツグ! 今日はくるみの芽を探しにいきましょ!!」

「そうだなぁ、この街にくるみはあるかな?」

「切嗣、ここから数キロ程離れた並木にあります」

凛(・・・・・・沢山の人が死んだ代わりに、何か得たものはあったのかな)

冬木市、公園前

凛「・・・・・・?」タッタッタッタ

「おーいシロウ! もう学校はじまっちゃうぞ!! いつまで鉄棒するんだよ」

「まだ逆上がりが出来ないんだよ!」

「それならそれでいいだろ! もう置いてってちゃうぞ!」タッタッタ

「あ・・・・・・いいよ、俺一人でも練習する!!」

凛「・・・・・・」

士郎「・・・・・・何?」

凛「・・・・・・べ、別に?」

士郎「・・・・・・そ、そっか」

凛(それでも、何かを得たと信じたい)

士郎「・・・・・・! くっそー、また出来なかった。絶対諦めないぞ」

凛(私は、遠坂家六代目当主で)

凛「・・・・・・ふふ、ばっかみたい」ニコ

凛(英雄王ギルガメッシュの、マスターなんだから)

※終わりです。何度も逃亡と完結詐欺をしてすいませんでした。
またSSをお刺身の上に乗せる作業に戻ります。

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