智絵里「さ、紗枝ちゃんがPさんの匂いを嗅ぐのを止められない……!」 (27)


※現在は2016年12月31日です。


――事務所前

P「寒い寒い……智絵里、車入れるから早く降りちゃいなさい」

智絵里「は、はいっ……もう事務所についちゃった」ガチャッ

P「いいでしょ別に。外も寒いんだし」

智絵里「で、でも……事務所に戻れば紗枝ちゃんが……」

P「紗枝? あー、この後紗枝連れて外出なきゃダメだったわね」

智絵里「さ、最近の紗枝ちゃんは必要以上にPさんに近付いて匂いを嗅いでるんです……だから、Pさんが男の人だってバレちゃう可能性が……」

P「まあ確かに不安といえば不安だけど……でもまあ、私に何かあれば智絵里が助けてくれるんでしょ?」

智絵里「!」

P「ほら、いつも私とちひろさんに『2人は危機感が足りなくて~』とか言ってくれるじゃない」

智絵里(Pさんが……私を頼ってくれてる……!)

P「だからまあ、事務所にいる間は智絵里がいるからいいかなーって」

智絵里「Pさんが私を頼ってくれてる頼ってくれてる頼ってくれてる私がしっかりしないと私が私が私が私が私が私が……」ブツブツ

P「ほらほら、ブツブツ言ってないで事務所入るわよ」

智絵里「は、はーい!」タタタッ

……
…………

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――事務所

ガチャッ!

P「ただいまー」

智絵里「も、戻りました」



文香「お疲れ様です……」

奈緒「おかえりー」


『あなただけは死んでくださあああああい!!』

『私のこの蒼炎……アイオライトブルー!』


P「あら、あなたたち2人だけ? ちひろさんは?」

奈緒「ちょっと外に出るってどこか行っちゃったよ」

P「あらそう。何やってたの?」

文香「丁度……奈緒さんが録画して持ってきてくださった糞アニメを見ていました……」

智絵里「糞アニメって……あの魔法少女アニメですか?」

奈緒「そうそう。最後には視聴率も1%越えなくなっていつ打ち切られるか分からなかった糞アニメ」

P「糞糞言いながらよく見てるわねあんたたちは……あれ? そういえば紗枝来てなかった?」

奈緒「あれ? 紗枝ならさっきまでここに……」キョロキョロ

文香「奈緒さんの髪の毛にお顔を埋めていたはずですが……」

P「次の仕事もあるのに……うっ!?」ズシッ!

智絵里「Pさん!?」

P「い、いま突然背中に重みが……」グググッ

紗枝「……」スンスンスンスン……

智絵里「さ、紗枝ちゃんいつの間に……!?」

P「紗枝ー……あんた重いんだから背中に乗っかってこないで降りなさい……というか気付かれずに圧し掛かってくるとか妖怪じゃないんだから」

紗枝「もう少し……」スンッ、スンッ、スンッ

奈緒「あたしの尻が解放されてよかったよホント……」

文香「あの様子では……私がPさんの匂いを嗅ぐのは難しいです……」

奈緒「どうなってんだよこの事務所は」

カチッ!

ピピピッ! ピピピッ!

奈緒「おっと、テレビの時報が鳴ったな」


『12月31日15時』

ガチャッ!!

ちひろ「大変ですプロデューサーさん! アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージで期間限定アイドルの紗枝ちゃんが登場しましたよ!」


http://i.imgur.com/Jbsr2Jx.png


紗枝「この間うちが撮影したお仕事やわぁ」

P「あらそう」ヨイショッ

ちひろ「……あら、ガチャ引かないんですか?」

P「別にいいかなって……それに、毎年年末年始って忙しいじゃないですか」

紗枝「……Pはん?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

智絵里「さ、紗枝ちゃんのこんち気が高まって……!?」ビクッ!

P「何よその顔は……分かったわよ。引くわよ」ハァ……


http://i.imgur.com/gE92wtW.png

P「はい」

http://i.imgur.com/q8AkAJ0.png

P「はい残念」

紗枝「続きは?」

P「へ?」


紗枝「まさか……うちのがちゃがこれで仕舞いなわけ……ありまへんやろなぁ?」

P「ええええ……」

紗枝「うちのがちゃなのに、大阪猫娘のときの5583分の1のじゅえるを使うただけで諦めるんどすか?」

P「古傷を抉りこむように嫌なこと言ってくるわね……分かったわよ。後でもうちょっと引くから」

紗枝「それならうちも見させてもらいます」スンスンスンスンスン……

P「いやだから、今すぐ回すわけじゃないから……ちょ、ちょっと離れなさいっ!」

紗枝「Pはんががちゃを回すまで離れまへん!」ゴゴゴゴゴッ!!

智絵里「あ、あんなに紗枝ちゃんがPさんにくっ付いて……う、うううう……」



智絵里(また紗枝ちゃんが隙あらばPさんの匂いを……こ、こうなったら私が……!)


キィィィィン……!

智絵里「さ、紗枝ちゃん! そんなにPさんの匂いを嗅いだらダメですよっ!」

紗枝「智絵里はん? どないしたんや突然?」

智絵里「Pさんもお仕事で疲れてて……この後もお仕事に行かなきゃダメだから……紗枝ちゃんも、少しは我慢してください!」

紗枝「……」

智絵里(やった……ちゃんと紗枝ちゃんにしっかり言えた……私がしっかりしないと……)



『……里……絵里……』



智絵里(私のせいでPさんが大変なことになっているから、私がPさんを守って……)


『智絵里!』


智絵里「!?」ビクッ!

奈緒「おい智絵里、どうした?」

智絵里「えっ……な、奈緒ちゃん……!?」ビクッ!

奈緒「どうした? いきなり事務所に置いてあるぴにゃこら太像に話しかけて……」

智絵里「えっ!? あ、あれ、私いま紗枝ちゃんにお話ししてて……」キョロキョロ

文香「紗枝さんなら……つい先ほど、Pさんと共にお仕事に出られましたが……」

智絵里「えっ!? そ、そんなはずは……」ハッ!?

智絵里(違う……わ、私……きっと紗枝ちゃんのこんち気で幻覚を見させられて、その隙に紗枝ちゃんはPさんと……)

智絵里「わ、私も……紗枝ちゃんのこんち気に対抗できるようにならないと……!」ガクガクブルブル


……
…………

――車内

P「何だか事務所出る前の智絵里の様子がおかしかったような……」

紗枝「智絵里なんはうちのこんち気の波動を受けて、幻覚を見ているんよ」

P「そう……私は何も聞かなかったことにするわ」

P「……」


紗枝「Pはんのまふらー……ええ匂いやわぁ……」スンスンスン……


P(この子も……他人様のお尻の臭い嗅いだりとか変なことするようになった子だけど……もうこっちに来て随分経つのよね)

P(うちの事務所の最初の子が智絵里だから……その2つ後かしらね。正月も仕事で忙しいから、しばらく実家にも帰ってないし)

P(……そうね。たまにはいいかしら)

紗枝「ん? Pはん、どないしはったん?」

P「うん? ううん、何でもないわよ」

紗枝「年末のお仕事も、Pはんと一緒やとなんや楽しいわぁ♪」スンスンスン

P「はいはい。どうせ臭いがどうとかって言うんでしょ」

紗枝「お仕事も終われば、もう夜やけど……Pはんと一緒やと明るう気分になる……ふふっ、なんでもありまへん」

P「まあいいけど。女子寮の子たちも、今日は遅くまで起きてるだろうから年越し前には送ってあげるわ」

紗枝「ほんなら、あんじょうきばりまひょか。Pはんにも早う休んでもらわんとあきまへん」

P「頑張って頂戴ね」

……
…………

――数時間後、○×スタジオ

ちひろ『え? 紗枝ちゃん、ご実家に帰らせるんですか?』

P「ええ、あの子もずっと家に帰してあげれていないから……正月休みくらいいいかと思って」

ちひろ『うーん、まあ女子寮組は帰省するタイミングも難しいですからね。紗枝ちゃんも最近はお仕事も詰まってましたし』

P「というわけで、年始の対応とかは紗枝には声かけないようにしますから。それに正月の仕事は翠たちのほうが忙しいですし」

ちひろ『分かりました。それじゃスケジュールは調整しておきますね』

P「お願いしますね」

ピッ!

P「さて、と……」チラッ



「いいね紗枝ちゃん、次は可愛らしく……そうそう!」パシャパシャ!

紗枝「こうどすか?」


P「撮影も早く終わりそうだし……あとは帰るだけね」


……
…………

――数時間後、夜、車内

P「紗枝、お正月の予定って何か入れてる?」

紗枝「うちどすか? お仕事あるんかなぁと思っとったし、何も入れてまへんなぁ」

P「そう、それならよかった。1週間くらい空けておいて頂戴ね」

紗枝「はぁ……?」

紗枝(なんやろ……もしかしてPはん、お正月にうちのこと、何処かに連れてってくれるんやろかぁ?)

P「早く事務所閉めておかないとーっと……」

紗枝(なんや楽しみやわぁ……ふふっ、Pはん、何してくれはるんやろ?)


……
…………

――数十分後、事務所

ガチャッ!

P「ただいまー」

紗枝「はて、みなはん、まだてれび見てはったんどすか?」

文香「お疲れ様です……」

智絵里「お、お帰りなさい!」

奈緒「おかえりー。いま丁度最終話まで終わったところでさー」


『そう! それじゃあ早速、王国に契約更新の連絡を入れておかないとね!』

『お願いします。ふふっ♪』


奈緒「やはり糞アニメだったか……」

P「あんたたち結局1日中アニメ見てたのね……」

文香「確かに、奈緒さんのおっしゃるとおりの糞アニメでしたが……これはこれで、よき経験になったかと」

智絵里「私つまらなかったです……」

奈緒「まあ、みんな大体同じこと考えるからさ。あ、そうそうこの後に後番の予告があるんだ」

文香「後番組……ですか?」

奈緒「深夜帯のアニメ枠だからさ、1つ終わったらまた次のアニメが放送されるんだよ」

文香「なるほど……どのようなアニメなのでしょうか」


……
…………

――テレビ(録画映像)


『新番組予告』


「前線の強襲艦隊、後退しています!」

「予備の戦闘機も全部出撃させろ! P少佐のヴァルキュリアもカタパルトに運べ!」



P「……ありす、そろそろ俺も行かなければならん。あとは、任せたぞ」

ありす「……Pさん、あの時……貴方と出会うことが出来なかったのは、私の運命だったのかもしれません」

P「ありす……」

ありす「もしかしたら、呪われていたのかもしれません。何年も、何年も……私自身の、この身体と一緒に……だけど」

ありす「私は、いまこの宇宙で……貴方の傍にいることが出来るこの時間が一番幸せなんです」

ありす「最後に貴方と出会うことが出来た私の運命と、貴方を信じます。ずっとずっと……だから、私を離さないでください」



『生存本能ヴァルキュリア -Destiny of Alice-』



ありす「私は貴方と対等でいたい……だから、最後は私自身が選ばなきゃダメなんです。貴方との未来の形を……」


……
…………

――事務所

文香「なるほど……糞アニメを見た後であるためでしょうか、ずいぶんと普通のアニメに見えますね」

奈緒「これはゲームが原作のアニメなんだ。エンディングがいくつかあるゲームで、今回はそのうちの1つのシナリオがアニメになるんだよ」

智絵里「さ、さっきまで見ていた糞アニメとは違って、難しいお話になりそうなアニメですね……」

奈緒「原作知らないと付いていけないアニメっていうか……まあ、原作でも馬鹿みたいなシーンがあるし、そういうところは軽いノリだったりするよ。ハハッ!」

P「ほらほら、そろそろ事務所閉めるからあんたたちも帰る準備しなさい」

ちひろ「みなさーん、ついでに戸締りするの手伝ってくださいね」

奈緒「はーい」

紗枝「せや、Pはんさっきの話……」

P「ん? ああそうそう、紗枝、あなた正月は仕事入れないようにしておいたから、たまには実家に帰っておきなさい」



紗枝「は?」


P「ちひろさんと話しててね、紗枝も頑張ってくれて助かってるけど、しばらく家に帰してあげれてないなって思ってたのよ」

ちひろ「そういうわけで新幹線の切符も取っておきました♪ 紗枝ちゃん、お正月は実家でごゆっくりしてくださいね!」

文香「さすが……Pさんとちひろさんですね」

奈緒「紗枝はあたしと違って実家が遠いからなー。よかったじゃん」

智絵里「紗枝ちゃん、ゆっくりしてきてね!」ニコニコ

智絵里(これで紗枝ちゃんが、しばらくPさんの匂いを嗅げなくなるから安心できる……)ホッ


紗枝「へぇ……そうどすか。わかりました」

紗枝(そんな……)


P「それじゃ、今日は早めに寮に帰って、実家に帰る準備しておきなさいね。駅までは送ってあげるから」

紗枝「おおきに、Pはん……」

紗枝(うちは、うちはPはんと一緒におるのが……)



智絵里(よかった、本当によかった……これで私も、安心してお正月を迎えられそう……)

キィィィン……

……
…………

――新年、1月7日、事務所

ガチャッ!

智絵里「おはようございますっ」タタタッ!

ちひろ「おはようございます、智絵里ちゃん」

P「おはよう智絵里。今日の仕事は午後からだけど、随分早く来たわね」

智絵里「は、はいっ……Pさん、えいっ!」ボフッ!

P「ちょっとちょっと、いきなり飛びついてこないで頂戴。智絵里あなた、最近随分と甘えん坊さんになったわね……」

智絵里「そ、そうですか? えへへ……♪」ギュウウウッ!

ちひろ「なんだか紗枝ちゃんみたいですねぇ」

P「ホント、智絵里もあの子に似てきたわね……」

智絵里「……そうですか?」

P「ま、智絵里なら大丈夫かしらね。そういえば、紗枝って今日帰ってくるんでしたよね?」

ちひろ「確かそうですね。明後日からはお仕事ありますし」

周子「おはよー」

ちひろ「おはようございます」

P「おはよう周子。昨日渡した台本、覚えた?」

周子「覚えた覚えた。多分なんとかなるかなーってくらいには」

P「それならいいけど……外出るまでまだ時間あるから、ちょっと休んでて頂戴」

周子「そうするー……ん?」ピクッ

智絵里「……おはようございます」

周子「……おはよ」スタスタ


周子(あれ、おっかしーなぁ……なんかこんち気っぽいのが事務所に溢れてる?)キョロキョロ

周子(なんか、紗枝ちゃんのことを上手く認識できなくて智絵里ちゃんに見えるような……)


智絵里?「……」スン……スン……スン……


……
…………

――同時刻、京都、小早川家(紗枝の部屋)


智絵里「あれ、わ、私……どうして、紗枝ちゃんのお家の布団に……?」

智絵里「ま、まさか……私、紗枝ちゃんのこんち気にやられて……!」ハッ!?

智絵里(や、やられた……このままじゃ、Pさんが、Pさんが紗枝ちゃんに正体を探られて大変なことに……!!)



――その後、智絵里は小早川家を抜け出し、急いで事務所へと戻ったのであった。


……
…………

おわり

こんち気っていうのは西の国京都出身の人間が使うことの出来る力のことです。
HTML依頼出して終了。

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