矢吹可奈「かたっぽへたっぴ」北沢志保「マグカップ」【ミリマスSS】 (33)


ミリマスSSです。
プロデューサーはP表記。



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12月18日 昼下がり 765プロ事務所


可奈「ねえねえ、志保ちゃん!」

志保「可奈、どうしたの?」

可奈「誕生日に欲しいものって、志保ちゃん何かある?」

志保「へっ、私の?」

可奈「うんっ。今日って、志保ちゃんの誕生日まで丁度1か月だなーって思い出したんだ。それで、何が志保ちゃん欲しいかなって気になって…」

志保「別に、何でも構わないわ。これといって、欲しいものも今はないし」

志保「それよりも、雪歩さんの誕生日プレゼントは買ったの?それに、紗代子さんやエミリーの誕生日も近いわよ?」

可奈「わわっ、そうだった!雪歩さんのプレゼントは買ったけど、紗代子さんとエミリーちゃんの分はまだ…」

志保「もう…優先順位ってものがあるでしょ?2人のプレゼントを買ってから、私の分なんて考えなさいよ」

可奈「うん、そうだね…。よしっ!私、今から行ってくる!」

可奈「それじゃあ、行ってきまーす!」

ガチャ パタン


志保「まったく…」ハァ

琴葉「あ、あのー、志保ちゃん?せっかく可奈ちゃんが尋ねてきたのに、『何でもいい』っていうのはちょっと…」

志保「本当に何でもよかったから、何でもいいって答えただけです。特に可奈の場合には」

琴葉「ええっと、それは…?」

恵美「ただ単に、可奈から貰うものはなんでも嬉しいってことでしょ?」

志保「…///」プイッ

琴葉「そ、そういうことなの…?」

エレナ「それに、1か月も前から自分の誕生日のこと気にかけてくれるなんて、とっても嬉しいことだヨー!」

志保「二人とも、勝手な想像で言わないでください!」///

琴葉「でも…志保ちゃん、良かったね?」クスッ

志保「…はい///」コクッ

ことめぐエレナ(((かわいい)))


雑貨屋


可奈「紗代子さんとエミリーちゃんのプレゼントは、これでよし、と」

可奈「それじゃあ、志保ちゃんのプレゼントも考えてみようっと」

可奈(んー、どんなのがいいかな?折角なら、お揃いのものとか?)

可奈(一緒の髪留めとか!でも、髪留めは去年のプレゼントだった…)

可奈(こうしてたくさん置いてあると、逆に迷っちゃうなぁ)

可奈「よりどりみどり~、色とりどり~♪矢吹可奈~、迷うかな~♪」

可奈「…あっ」ピタッ

可奈「このマグカップ、かわいい…」

可奈(それと隣にチラシが。『陶芸体験!あなただけのお皿やカップ、作ってみませんか?』)

可奈「お揃いのマグカップを作るっていうのも、アリかな?」ボソッ

「…!」ピクッ


チョンチョン

可奈「…ふぇ?」

「あの…もしかして、陶芸に興味がおありですか?」キラキラ

可奈「えっ?」

可奈(わあ、すっごく綺麗な人…でも、すっごく目がキラキラしてる?)

「いや、さっき『ペアのマグカップを作るのもアリかな』って言ってましたよね?…だから、マグカップを作りたいのかな?と思ったので…」

可奈「あっ、えっと…友達の誕生日プレゼントを考えてて、そうしたらマグカップがあったから、お揃いのマグカップっていうのも良いのかな、って思って…」

「わあ…!それは素敵ですね!とってもいいと思いますよ!」

可奈「えへへ、ありがとうございます。でも、まだ1か月あるので今度このチラシに応募しようかな、って」

「1か月ですか?それは大変!器って出来るまで大体1か月かかるんです!もうこれ以上ってなると、お友達の誕生日に間に合いませんよ!」

可奈「へっ?そうなんですか!?ど、どうしよう…」オロオロ

「大丈夫ですよ、私に任せてください!今から私の知ってる工房にお連れします!」

可奈「い、今からですか!?」

「はい!善は急げ、ですから!さあさあ行きましょう!」ガシッ

可奈「ち、ちょっと待ってください~!ひゃああぁぁ…!」

・・・・・・・・・・


都内某所 陶芸工房


可奈(ということで、私は陶芸工房へやって来ました!)

可奈(この女性の名前は「はじめ」さんというのだそうです!私と2つしか変わらないのに、とても綺麗で大人っぽい雰囲気の人です)

可奈(そのままだと衣服が汚れるからということで、作務衣と呼ばれる作業着に着替えました)

「可奈ちゃんは、陶芸は初めて?」

可奈「初めてです。マグカップって難しいですか?」

「そんなに難しくないですよ。でも、初めてだったら少し難しいかもしれないですね」

可奈「あっ、そうなんですか…」

「大丈夫、私が手取り足取り全部教えますよ!こう見えて、小さい頃から陶芸をしてましたから」エッヘン

可奈「わあ、そうなんですか!すごい…!」キラキラ


「まず、私が手本をお見せしますね」

「こうして練った土をろくろの真ん中に置いて、ろくろを回して、このように土を上に押し上げるように…」クルクル

可奈「ふむふむ」

「それから、この山の頂上の部分に指を入れて、それから器の形を…」クルクル

可奈「わっ、お皿の形になった!」

「そして両手の親指人差し指を輪の形にして、側面を筒状になるように絞って…そして、ちょうど良い高さになるまで伸ばしていくと…」グイッ

可奈「わあ…!」

「あとは底の部分を、紐を使って切り取ったらひとまず出来上がりです」

可奈「すごい!取っ手が付いたらマグカップそのものです!」

「えへへ、ありがとう。それじゃあ可奈ちゃんもやってみよっか」

可奈「は、はい!うう、ちゃんとできるかな…」

「私もお手伝いしますから、大丈夫ですよ」クスッ


・・・

可奈「よしっ、で、出来ました!」

「うんっ、いい具合に出来ましたね!」

可奈「ありがとうございます!…でも、ほとんどはじめさんの手を借りてばかりでしたけどね」エヘヘ

「次は、可奈ちゃんだけでやってみますか?」

可奈「わ、私だけですか?」

「さっきも結構上手くできてましたから、いけますよ!」

可奈「そ、そうなのかな…よし、頑張ってみます!」

「ふふっ、その意気です♪」


可奈「…わわっ!」グニャ

「大分、上手になってきましたよ!もう少し、右手を柔らかく使ったらきれいになると思います」

可奈「うう、でもこのままだと、出来上がる前に日付が変わってしまうかも…」

「…そうだっ」ティン

「可奈ちゃん、もう一つアドバイス。贈りたい人がいるのなら、その人のことを想いながら作ると上手くできますよ」

可奈「贈りたい人のことを想う、ですか?」

「はいっ、その人に贈ったときにどんな表情するのかなとか、どんな風に使ってくれるかなって想像するの」

可奈「志保ちゃんが、どんな風に…」


可奈(志保ちゃん、喜んでくれるといいなあ…)

可奈「よしっ」

可奈「…」クルクル

可奈「あっ!…で、でも出来たかな?」

「うん!かなり上手くできてると思う!」

可奈「ちょっと、真ん中のところが凹んでて、それに少し斜めになってる気がするけど…」

「そうかな?むしろ味があるように見えるよ?」

「よしっ。仕上げに、底を切りはずしましょう!」

可奈「は、はい!」


可奈「最後に底を切って…やった!出来ました!」

「すごいよ可奈ちゃん!今日が初めてとは思えないくらい!」

「コツをつかむのが上手いのかなあ…?可奈ちゃん、もしかすれば陶芸の才能があるのかもしれないよ?」

可奈「ありがとうございます、えへへ…」テレテレ


「それじゃあ、マグカップの色を決めましょうか。可奈ちゃん、どんな色にしますか?」

可奈「えっと…白っぽいのとかできますか?」

「出来ますよ。白だけでも結構種類がありますし、他にも赤でも青でも、オレンジもOKです。カタログがあるからお見せしますね…」ペラッ

可奈「あ、このクリームがかった白色、志保ちゃんっぽいかも」

「マグカップ両方とも、その色にする?」

可奈「いえ!1つ目だけお願いします!それを志保ちゃん、私の友達用にするので」

「あら、そうなんですか?後に作った方こそ温かみがあって、プレゼントにいいかなと思ったけど…」

可奈「せっかくなら、上手くできた方をあげたいかなって。それで、もう一つの方はこのオレンジ色にお願いします!」

「分かりました」

「なるべく、お友達の誕生日に間に合うようにしますから。あと、釉薬…色づけと取っ手の取り付けは流石に難しいかもしれないから、私がさせてもらいますね」

可奈「はいっ、ありがとうございます!」

「出来上がり次第すぐに連絡するから、楽しみにしててね?」

可奈「はいっ!出来上がりが楽しみだ~♪喜んでくれるかな~♪」

「…ふふっ♪」

__________
______
___


1月15日


ウッウー!

可奈「あっ、LINEだ」ピッ

可奈「はじめさんからってことは…もしかして」

『可奈ちゃん、完成しましたよ!』

可奈「わあ、やったぁ!えっと…」メルメル

『今から行ってもいいですか?』

『もちろんですよ♪』

可奈「急いで行かなくちゃ!」


陶芸工房


ガララッ

可奈「こんにちはー!」

「あっ、可奈ちゃん!結構ギリギリになってしまって、ごめんなさい」

可奈「いえ、大丈夫です!でも出来上がったって聞いたら、すぐにでも見たくて…」エヘヘ

「とてもいい具合にできてますよ、ほらっ」

可奈「わあ、すごい…」パアァ

「それと可奈ちゃんが頑張って作った方も、ほら」

可奈「わあ…これはこれで、可愛いかも」

「自分の作った器がこうして完成するときほど、嬉しいことはないですからね」

可奈「すごいです!はじめさん、ありがとうございます!」

「どういたしまして♪喜んでもらえると、いいですね♪」クスッ

可奈「はいっ!えへへ...♪」

__________
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___


1月18日 765プロ事務所


「せーのっ」

「「「志保、誕生日おめでとう!!」」」

パンパーン! オメデトー! キャッキャッ

志保「ありがとう、ございます」ペコリ

茜「はいはーい!しほりん!茜ちゃんからしほりんへプレゼントー!」

志保「し、しほりんって…でも、茜さんありがとうございます。これ、結構かわいいかも…」

茜「えへへ!でしょでしょー!」

律子「志保おめでとう。はいっ、これは私から」

志保「これ、買おうか悩んでいたやつです…。律子さん、ありがとうございます」

瑞希「北沢さん、こちらをどうぞ。…ハピバだぜ、いぇい」

志保「瑞希さん、これは?」

瑞希「猫の形をしたチャームです。…もしかして、気に入らなかった?」

志保「いえ、とってもかわいくて…嬉しいです」


奈緒「はい志保、私からもプレゼントや!」

志保「奈緒さんも、ありがとうございます」

奈緒「そ、れ、に~?」チラッ

可奈「…」ソワソワ

志保「!」

奈緒「プレゼント渡したくて、ずっと待ってる子が…な?」

可奈「志保ちゃん!誕生日おめでとう!」

可奈「そ、それで…志保ちゃん!これ!」スッ

志保「あ…可奈、ありがとう」


志保「開けてもいい?」

可奈「うんっ」

志保「んっ…これは…」ガサゴソ

茜「マグカップ?」

可奈「はいっ、私が作ったんです!志保ちゃんとペアのマグカップを作ろうと思って…」

瑞希「矢吹さんが、ですか?…これはすごいぞ」

律子「へえ、素人目で見ても良くできてるわね。可奈、すごいじゃない!」

可奈「ありがとうございます!実は、手伝ってもらいながら作ったんですけどね」

可奈「それに、取っ手は別の人に付けてもらって…」

志保「それでも、とても綺麗にできてるわ」

可奈「本当っ!?えへへ…」テレテレ


奈緒「ん?でもさっき、ペアって言うとったけど、もう一つは?」

可奈「あっ…えっと、その…」

志保「?」

可奈「実は、2つ目は失敗しちゃって…」ガサゴソ

コトッ

瑞希「むっ、真ん中付近が少しへこんでますね」

茜「それにちょっと、傾いてるよーな...?」

律子「でも、これはこれで味があっていい感じがするわよ?」

可奈「最初の方はみっちり指導してもらいながら作ったけど、その2つ目は私一人で作ったから、あまり上手くいかなくて…」

可奈「でも、せっかく志保ちゃんにプレゼントするなら綺麗な方を使ってほしいなーって思って!」

志保「…」


志保「ねえ、可奈」

可奈「志保ちゃん、どうしたの?」

志保「私、そっちがいい」

可奈「…へっ?」キョトン

志保「可奈が作ったマグカップを、私に貰えない?」

可奈「こ、こっちを?…でも、ゆがんでて傾いてて、へたっぴだよ?」

志保「だからこそ、そっちがいいの」

奈緒「な、なあ志保、なんで急に…?」



志保「…そのマグカップの方が、気持ちがこもってる気がしたから」

可奈「!」


志保「それに、オレンジ色の方が可奈からのプレゼントって分かりますし…」

志保「ただ、それだけです」

奈緒「ふぅ~ん」ニヨニヨ

志保「な、奈緒さん、その顔は何ですか?」アタフタ

奈緒「いや…ホンマに仲ええなあって」

志保「べ、別にそういうわけで…って、他の皆さんも何ですか!その顔は!」

可奈「志保ちゃん!」ギュッ

志保「か、可奈!?」


可奈「えへへ…志保ちゃん、ありがとう」

志保「…私の誕生日な訳だし、私の欲しいものを欲しがっても良いでしょ?」

可奈「そうだね。…でも私、そのマグカップ作るとき、志保ちゃんが使ってくれる姿とか、喜んでくれる姿を想像しながら作ったんだ」

可奈「気付いてくれたんだ、嬉しいなぁ…って思ったら、つい」エヘヘ

志保「可奈、ありがとう。…絶対、大切にするから」ニコ

可奈「!…うんっ!」パアァ


志保「ねえ、可奈。後でこのマグカップ作った場所、教えてくれない?」

可奈「いいけど、どうして?」

志保「今度、私が可奈のために何か作りたいから」

可奈「ホントっ!?えへへ…約束だよ?」

志保「…うんっ」クスッ


おわり


おまけ


ワイワイ キャッキャッ

P「うんうん。仲良きことは何とやら、ってやつだな」

恵美「ねえねえ、プロデューサー」ヒョコッ

P「ん?エレナどうした?」

エレナ「さっきからコトリの様子が変な感じだけど、大丈夫かナ?」

P「変?」チラッ

小鳥「カナシホ…ウフフ、サイコウ…」ピヨピヨ

P「あー…幸せそうだから、いいんじゃないか?」

琴葉「あ、あはは…」


奈緒「でも可奈、よく陶芸の工房とか知ってたな?」

可奈「実は、雑貨屋さんでマグカップ見てたら話しかけられて、それからそのまま工房に…」

奈緒「へっ、それって初対面だったってこと?」

可奈「えっと、そういうことに…なるのかな?」

律子「可奈、あのねぇ…知らない人について行かないって色んな所で言われてるでしょ?」

P「そうだぞ?その人がたまたま良い人だったから、良かったけど」

可奈「あ、あはは、すみません~…」


瑞希「それで矢吹さん、その人の正体は?」

可奈「えっと、女性です!はじめさんって言って…あっ!」ガタッ

志保「えっ、テレビ?」

『今日は愛知県瀬戸市にやって来ました!この場所は、瀬戸物の語源となった、瀬戸焼の里として知られて…』

可奈「この人です!はじめさん!」

奈緒「へっ?この子って確か、藤原肇ちゃん…」

志保「アイドルですよね?346プロの」

可奈「…へっ?そうなんですか?」

志保「気がつかなかったの?」

可奈「う、うん…」

律子「…プロデューサー」

P「うん、今度…向こうにお礼言っておくよ」


おわり


少しフライング気味になりましたが、志保誕生日おめでとう!
かなしほはいいぞ。

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