・あんガルSS
・軽音部オンリー
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すず「方向転換…新しいボクたちの幕開けだ。良いとは思わないか。迷える子羊たちっ」
しずく「また勝手なことを」
るか「しずくちゃんっ、そんなこと言っちゃダメだよ! すず先輩は軽音部を思って会議しようとしてくれてるんだから」
しずく「そうかなぁ。わたしは何だか先輩は単に厨二系ロックに飽きたんじゃないかって思ってるんだけど」
すず「うっ」
しずく「何ですか、今の呻きは。さては図星なんですね」
すず「そ、そんなことはないっ。ボクはただ軽音部の未来を考えて言ってるだけだ! シズ、勘違いはよせ。いいな」
るか「ほら! やっぱり、すず先輩は偉大な人だなぁ…♪」
しずく「怪しいなぁ」
すず「こほん。とにかく、何かいい案があったらどしどし意見してくれ。とりあえず最初はボクから考えてきたテーマを発表するとしよう」
すず「ずばり、今のボクらに足りないのはアングラ感だ」
るか「あんぐら……」
しずく「はぁ。今のままでも軽音部は色んな意味でアングラっぽいとは思うんですが。厨二臭くて学院でないがしろにされてる感じとか」
すず「まぁシズの意見は尤もだが、ボクらの音楽は少しパンクが行き過ぎたかもしれないと考えていたんだ。それ故教師どもや生徒会や風紀委員に目を付けられたからな」
しずく「自覚はあったんですね。というかあんたがそのパンクロックを押し進めて軽音部が周りに目を付けられてきたんでしょうが」
すず「……」
るか「それで、すず先輩の考えているアングラ感とはどういったものなんですか…?」
すず「いいだろう。とりあえずロックを愛する者として共感した同胞でも挙げてみるとしようか」
しずく「同胞って」
るか「わぁ。すず先輩の同胞なんて、きっと伝説の歌手に違いないよ~っ」
すず「フッ、心して聞くがいい!」
るか「だ、誰なんですかっ」
しずく「溜めなくていいんで早く教えてください」
すず「そのアーティストとは……」
すず「た○だ。まぁロックを愛する者として知らないやつはいないとは思うが」
しずく「……○ま? えっ? すず先輩、正気ですか?」
すず「シズこそなんだ。その疑りかかったような目は」
しずく「てっきり洋楽のマイナーな歌手とかが出てくるかと思ったら」
るか「……た○、ですか」
しずく「まずあの人たちってロックバンドなんですか? すず先輩の意味不明な所とは少し似通ってるとは思いますが」
すず「当たり前だ。シズ、お前はちゃんとた○の音楽を聴いたことがあるのか? あの歌詞、演奏、ライブパフォーマンス、どれを取ってもロックの真髄に近い存在なんだぞ」
しずく「えええ……まずロックといえば○ま、って思考にはならないでしょ」
しずく「とりあえず、先輩はふしぎちゃん系ロックバンドを目指したいんですか?」
すず「何だと。まさかた○の歌詞とか雰囲気とか曲を見て取っただけで言ってるんじゃないだろうな!? ちゃんと歌詞考察までしてきたのかっ」
しずく「歌詞考察とか言う時点で…」
すず「ま、確かにロックの中にフォークも入ってるからな。それに全てにおいて独特で……た○はなかなか理解されない部分もロックといえるだろう」
しずく「もう何でもありなのか……これは最近○まのライブ映像でも見て影響されたのかな。歌詞とかは確かに厨二心がくすぐられそうな気はするけど」
すず「では早速た○リスペクトで気分一新されたボクらの演奏で世の腑抜けどもを圧巻させようじゃないか!練習開始だっ」
しずく「ちょっと、すず先輩。どこに行くんですか。まだわたしもあんまり状況が分かってないんですが」
すず「少し待っててくれ。ボクが用意してきた、た○っぽい物を持ってきたら。それを使って練習するぞ」
しずく「あー、もう。出て行っちゃったし。あの厨二病め」
るか「ちょ、ちょっと。しずくちゃん」
しずく「どうしたの。るかちゃん」
るか「た○って誰?」
しずく「あー……とりあえず動画でも観てみる?」
るか「う、うん」
(ライブ映像視聴後)
るか「何コレ……」
しずく「うーん。わたしもよく分かんないけど、曲の雰囲気とか圧倒されるような気がするね。でも先輩が好きそうだとは思う」
るか「こ、これがすず先輩のリスペクトするアーティスト。ぼくもこうならなきゃいけないのかぁ…」
しずく「ならなくていいよ……それにすず先輩も少し触発されただけだろうし」
すず「帰ってきたぞ!ボクの堕天使たちっ」
しずく「うわ、なんですか。その荷物」
すず「そうだなぁ…とりあえずシズはこれを着てくれ」
しずく「なっ、何でタンクトップ!? ……ってなるほど、確かにあのパーカッション担当の方もランニング姿ですけど。形から入るなんて単純というか」
すず「そしてルカは鍋と桶を使ってパーカッションとしてシズをサポートしてやってくれ」
るか「鍋と桶!?」
しずく「確かにそういうパフォーマンスもありましたけど…」
すず「そしてボクはアコースティックギターを持ってちゃんちゃんこを着て……よし、皆! 共に外へ出て平和ボケしている凡人たちの目を覚ましてやるんだっ!」
しずく「ええ~!? このまま外に出たら明らかに怪しいですよ!」
るか「わ、分かりましたすず先輩! ぼくも頑張ってよく分からない感を出しますっ」
すず「着いてこい!」
しずく「うわ~……絶対引かれるよ」
ベンベケベンベン
ベンベケベン
すず「~♪」
しずく「……」
るか「~♪」
すず「フッ、見てみろ。あの生徒たちの感動したような表情を。それに感嘆の声も上がっているじゃないか」
しずく「トンデモ集団が出てきたことによる悲鳴ですよ…」
かえで「ちょっと!? あんたら何してんのよ」
しずく「いや、これにはちょっと深い訳があって」
かえで「ついに部費が欲しいからってそんな桶に金を集めるようになったのね! 残念だけどあんたらが演奏してるのを見て生徒たちは引いて行ったわよ」
すず「ふん。出たな権力の犬! ボクたちの音楽を聴いて漆黒の心を目覚めるさせるがいい!」
かえで「はぁ…その格好といい、ついに軽音部は頭がおかしくなったのね。とりあえず先生たちには知らせておくから」
るか「ええっ!?」
すず「何、だと……!? 」
しずく「やっぱりこうなったか…」
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