「大人には見えないドラゴンが居た」 (4)


「あれ、お前今日も来たのか」

「ぴゅい!」

大人には見えないドラゴンを、親に内緒で飼っていた。
飼っていた、といえば語弊があるが、家の納屋に出入りしていたそいつに、たまにドングリなんかをあげるのが楽しみだった。

「ぴーい!」

不思議と肉なんかは食べずに、ドングリとか、驚いたことにビー玉なんかを好んで食べた。
ひとしきり食べた後は決まって口から火を噴く。

一度顔に向かって思い切り吹きかけられたことがあるが、少し温かな風と言った様子で、焦げ跡一つ見つからなかった。
不思議な生き物だ。

「あ、今日持ってきたのもうなくなっちゃったや」

「むー!」

「明日も来るからさ、またいっぱい松ぼっくりとか持ってきてやるよ」

「ぴいい!」

昔から、こういうファンタジーな事が起こらないかずっと夢見て過ごしてきた。
だからこいつを見つけた時には心が躍った。

高校一年生にもなってロクな友達も出来なかった僕にとって、こいつは初めての友達と呼べる存在なのだ。

「じゃ、明日な!」

「ぴ!」

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