マラソン大会で好きな子への告白を賭けて勝負に出た男、その女の子は意外なことに… (15)

 ガヤガヤと生徒たちの声が聞こえる。
 女の先生「よーい
     ドーンと号砲が鳴る。
     一斉に生徒たちが走り出す。
     走っている上杉太陽(16)と篠ノ井亮輔(16)。

 太陽「だるいなぁ」

 亮輔「こう暑い日にやらなくてもいいのにね」

 太陽「本当だよ。普通マラソン大会って秋にやるよな?」

 亮輔「僕の中学はそうだったけど」

 太陽「ちくしょー…ま、いいよテキトウに走ろうぜ」

 亮輔「でも太陽、さすがにこんなに後ろ走ってたら成績に響くよ。女子ばっかりじゃないか」

 太陽「いいんだよ」

 亮輔「僕は嫌だなぁ。君の巻き添えで成績下がるのは」

 太陽「友達甲斐がないなぁ、亮輔くん。じゃあいいよ、一人で先に行きたまえ」

     と言いながら、どこか余所を向いている太陽。

 亮輔「…どこ見てるんだ?」

 太陽「え?いや、別に」

     太陽の視線の先を見て、にやける亮輔。

 亮輔「ああ、わかった。なんでこんなとこわざわざ走るのかと思ったけど…なるほどね」

 太陽「なんだよ」

太陽の視線の先には学校のアイドル、冴木まどか(16)が走っている姿がある。

 亮輔「冴木さんは諦めた方がいいと、何度言えばわかるんだ」

 太陽「たまたまそこにいたからちらっと見てただけでしょうが!」

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亮輔「はいはい。君みたいな平面民族に彼女のような美女は似合わないよ」
 太陽「まどかちゃんだって同じ日本人だっつーの」
     そこへやってくる南家夏子(16)。
 夏子「あんたたち、何ごちゃごちゃやってるの?」
 太陽「なんだよ。お前には関係ないだろ」

 夏子「あんた達ねー。テキトウにべちゃくちゃ喋りながら走らないでよ。ここらへんの女子はみんな必死に走ってるんだからね!」

 太陽「俺だって必死だっつーの」

 亮輔「(ニコニコしながら)冴木さんにね」

 太陽「お前なぁ!」

     怪訝な表情の夏子。

 夏子「冴木さん…って、まどか?」

 亮輔「そうそう」

 夏子「へぇ…太陽ってまどかに気があるんだぁ、知らなかったなー」

 太陽「なんだよ、まどかまどかって、気安く呼ぶなよ」

 亮輔「君のじゃないだろ」

 夏子「だって私まどかと仲いいもん」

 太陽「え?まじ?」

 夏子「同じ部活だからね」

 亮輔「ああ、そっか吹奏楽」

 太陽「そうか…。頼む夏子!幼馴染のよしみで、まどかちゃんとの仲を取り持ってくれ!」

 夏子「ええ?な、なんで私がそんなことしなきゃいけないのよ」

 太陽「頼むよ。俺がこんなにお前にお願いすることなんかないだろ?」

 亮輔「確かに珍しい」

 夏子「ええ?…でも…」

 秋穂「いいんじゃない?取り持ってあげても」

     突然話に加わる倉野秋穂(16)。

 夏子「あ、アキ」

 亮輔「おはよう秋穂」

 秋穂「おはよ、りょうくん」

 太陽「ほら、秋穂もこう言ってるしさ」

 夏子「えー、でもなぁ…」

 秋穂「ただで取り持つのは面白くないわよねぇ」

 太陽「いや、もう何でもするよ。本当なんでもする。誓う」

 秋穂「ふっふっふ。じゃあこうしない?これで一番になったら夏子は太陽と冴木さんの仲を取り持つ、でも一番になれなかったら太陽は夏子の言うことをなんでも一つやる。これでどう?」

 太陽「いいだろう、その話乗った!」

 夏子「ちょっと!そんな勝手に…」 

 亮輔「いいねぇ、面白いじゃん」

 太陽「俺が本気になれば楽勝だっつーの!」

 夏子「あんた、わかってんの?一番になるってことは、小川君に勝たないといけないんだからね?」

 亮輔「テストでもスポーツでも常に一番の小川君か。確かに強敵だな」

 太陽「ご説明ありがとう。だが、愛は勝つ!」

 夏子「愛って…ここ最後尾なんだよ?無理に決まってるじゃん!」

 秋穂「でも、太陽って中学の時、長距離走一番だったって聞いたことあるなぁ。あながち無理でもないんじゃない?」

 亮輔「え?本当?」

 太陽「まぁ、昔な。夏子、終わった後、やっぱりなし、はなしだからな」

 夏子「いいわよ…やれるもんなら、やってみなさいよ!」

 太陽「よぉし!行くぞ亮輔!」

 亮輔「僕の成績もなんとかなりそうだな」

 加速して走って行く太陽と亮輔。

 夏子「…秋穂、あんたねぇ…!」

 秋穂「そんなに怒らないでよ。小川君に勝つなんて無理に決まってるんだからさ」

 夏子「そうゆうことじゃないでしょ!」

 秋穂「だって、夏子。こうでもしないと、何にもきっかけないまま終わっちゃうよ?あなたは太陽にしてもらいたいこと考えてればいいの」

 夏子「あ、あんた最初っからそれが目的で…」

 秋穂「そうよ。私は夏子の親友だもん。友達想いでしょ?」

 夏子「そんなこと言っても…私たちはさぁ…」

 秋穂「いいじゃん。一緒に映画行こうでも、なんでもさ。こっちのことは任せときなさい。ほっほっほ」

     と、秋穂も加速して前へ行く。

 夏子「あ、ちょっと!…もう…」


     集団の前方で走っている井上駆(16)と舘未来(16)。
 駆「はぁ…はぁ…」

 未来「ねぇ、駆」

 駆「ん?」

 未来「小川君ってなんであんなに運動できるのかしら」

 駆「さぁね」

 未来「陸上競技くらい勝ちたいって思わない?」

 駆「思うよ!そりゃあ!」

 未来「陸上部のエースが、帰宅部に負けてちゃあねぇ」

 駆「くそ…俺だって本気で走ってるよ」

     顎に手を当て、真剣に悩み始める未来。

 未来「おかしいわよねぇ、ちょっと人間離れしてるというか…」

 駆「お前…そんなこと考えずに、集中して走れよ」

 未来「だって、気になるんだもの」

 駆「はじまったよ。未来の気になる、が」

 未来「ちょっと話してくる」

 駆「え?今?」

 未来「全力で走れば追いつくわよ。最後までは持たないでしょうけど。私はマラソンの順位なんてどうでもいいし」

 駆「お前…それでも陸上部の部長か?」

 未来「これが私なの。それじゃあまたね」

     加速して前へ行く未来。

 駆「…ったく、俺だって、エースの意地くらいあるっちゅーの…」

 太陽「うおおおおお!」

     駆を追い抜かして行く太陽。

 駆「う…上杉?」

     追いつき、駆と並走する亮輔。

 亮輔「はぁ…はぁ…あ、井上。じゃあ先頭までもう少しか…」

 駆「篠ノ井?お前たちこんなに足速かったっけ?」

 亮輔「僕はまぁ限界だけど…太陽は元気みたいだね…」

 駆「…あいつって、なんか部活入ってたっけ?」

 亮輔「いや、帰宅部だよ」

 駆「帰宅部…!」

 亮輔「いやぁ、しんどい…きっつ…」

     速度を落とし、後ろへ下がる亮輔。

 駆「くそ…どいつもこいつも…」


 先頭で平然と走っている小川総次郎(16)。

     そこへ追いつく未来。

 未来「はぁ…はぁ…小川くん。独走だね」

 総次郎「…舘さんか。何?」

 未来「ちょっとお話したいなぁって思って」

 総次郎「今?今じゃないとダメなの?」

 未来「うん。ダメ」

     平然と前を向いて走り続ける総次郎。

 総次郎「…前から思ってたけど、舘さんってちょっと変わってるよね」

 未来「そんなことないよ。自分に素直なだけ」

 総次郎「ははは」

 未来「ねぇ、ずっと不思議だったんだけど、一番を取るコツとかあるの?」

 総次郎「そんなのないよ。99%の努力と1%の才能」

 未来「私だったら、99%も努力できないな。何でそんなに頑張れるのかしら?」

 総次郎「舘さん、俺は負けちゃいけないんだ。小川家の人間はみんなそうやって育ってきた。常に一番を取り続けることが至上命題なんだよ。だから、俺にとっては一番を取るために努力することは自然なことなんだ」

 未来「なるほど…そうだったんだ…力の原動力が…はぁ…わかったよ。小川君が好きになる子もきっとパーフェクトな子なんだろうね…冴木さんとかさ…」

 総次郎「いや、俺は…」

     と、視線を落とす総次郎。

 未来「ああ…限界…話してくれてありがとう…それじゃあまたね…」

 速度を下げ、後退していく未来。

 未来「はぁ…はぁ…」

 太陽「うぉぉぉぉ!」

 未来「上杉、君…?」

     未来を抜かし、総次郎に肉薄する太陽。

 太陽「小川ぁぁぁぁ!捉えたぞ!」

     最後尾、走っている夏子。

     そこへ近寄ってくるまどか。

 まどか「夏子」

 夏子「あ、まどか…」

 まどか「あのさ…さっきの話…聞こえちゃったんだけど…」

 夏子「え?あ、いや…ごめんね、なんか勝手に…」

 まどか「夏子、上杉君のこと好きなの?」

 夏子「や、やだなぁ…そんなことあるわけないでしょ。あんな単細胞バカ。秋穂が勝手に勘ぐってるだけだよ。まどかも迷惑でしょ、あんなやつに好かれて…」

 まどか「ううん。迷惑じゃないよ」

 夏子「え?」

 まどか「わたしも、上杉君のこと気になってたから」

     驚愕する夏子。

 夏子「…え…まじ?」

 まどか「うん。…ねぇ、本当に好きじゃないの?」

     夏子の顔を覗き込むまどか。

 夏子「そ、そんなわけないじゃん…ただの腐れ縁だよ…」

 まどか「あー。よかった。気にしてたんだ。夏子絶対上杉君のこと好きだと思ってたから。でも、そうじゃないなら…」

     表情が変わる夏子。

 夏子「…やっぱり、ダメ」

 まどか「え?」

 夏子「私の方が、まどかよりもっと前から好きだったんだから」

     笑うまどか。

 まどか「でも、私も譲れないから。ねぇ、これで勝負つけない?」

 夏子「負けた方が身を引く、ってことね」

 まどか「終わった後に、待ったはなしだからね」

 夏子「負けないから」


まどか「わたしだって負けない」

     走る速度を上げる二人。


     一方、必死で走っている秋穂。

     亮輔に追いつく。

 亮輔「はぁ、はぁ…あ、秋穂」

 秋穂「はぁ…りょうくん…」

 亮輔「お前、うまくやったな。これで二人がくっつけばいいんだけど」

 秋穂「へへへ。うん、そうなんだけど…でもさ、もしかしたら…って気がしない?」

 亮輔「太陽が勝つってこと?」

 秋穂「うん」

 亮輔「確かに…あのラブパワーは尋常じゃなかったからな…」

 秋穂「だから、ちょっと小川君に話したいことがあったんだけど…やっぱり私じゃ無理だな…」

 亮輔「何?」

 秋穂「小川君はね。夏子が好きなのよ」

 亮輔「え!まじで!」

 秋穂「私が言うんだから、間違いない」

 亮輔「それは知らなかったなぁ…意外だ」

 秋穂「だから、小川君が一番取ったら、夏子との間を取り持ってあげるって言おうと思ったんだけど…」

 亮輔「頭が回るねえ、そうゆうところ好きだよ」

 秋穂「ありがと」

 亮輔「わかった…じゃあ、俺言ってくる」

 秋穂「いいの?」

 亮輔「二人にうまくいって欲しいからね」

 秋穂「亮輔は格好いいなぁ」

 亮輔「お世辞はいいから、今度お泊りデートね。それじゃ」

     速度を上げて走って行く亮輔。

     笑顔でそれを見送る秋穂。

 息が荒い未来。隣を走る駆。

 駆「無理しなくてゆっくり走ればいいのに、順位関係ないんだろ?」

 未来「はぁはぁ…いじわる言わないでよ…一緒に走っていたいの…」

 駆「またそうゆう…気を持たせるようなことを言う…」

 未来「でも、いいのよ?駆は私に気をつかわないで先に行っても。小川君だけじゃなくて、上杉君にも負けてるじゃない」

 駆「わかってるよ…タイミングがあるんだよ、タイミングが…」

 未来「はぁ…はぁ…頑張ってよ…エースなんだから…」

 駆「…」

     追ってくる足音が近づいてくる。亮輔だ。

 亮輔「はぁ…はぁ…井上…」

 駆「…篠ノ井。…お前、そんな頑張るタイプだったっけ?」

 亮輔「ちょっと…頼みがあるんだけど…」

 駆「ん?」


 激しいデッドヒートを繰り広げている太陽と総次郎。

 太陽「負けねぇ…絶対負けねぇ!」

 総次郎「なんなんだこいつ…引き離せない…俺だって…負けるわけには…!」

 太陽「はぁ…はぁ…!」

    ついに総次郎を抜き切り、先頭に飛び出す太陽。

 総次郎「くそ…バカな…俺が…俺が、負けるなど…あってはいけない…小川家の男子が、負けるわけには…!」

 太陽「はっはっはっは!じゃあな!」

 総次郎「くそ…ありえん…」

 駆「小川!」

     総次郎に何とか追いつく駆。

 総次郎「…はぁ…はぁ…井上か…」

 駆「やっぱ…はぁ…お前すげーよ。追いつくのがやっとだ…格好つかないぜ、ったくよぉ…」

 総次郎「…はぁ…いや、俺より、すごいのはあいつだろ…」

 駆「上杉?…どうなってんだ…?お前でも勝てないのか…?」

 総次郎「…俺に何が足りないって言うんだ…くそ…」

 駆「…そうだ。篠ノ井から…あー、正確には、倉野から…伝言頼まれたんだけど…」

 総次郎「?」

 
 先頭を独走している太陽。

 太陽「へっへっへっへ。見たか俺の実力を!これでまどかちゃんは俺のもんだ、どんなもんだい。何が小川だ。ラブパワーを得た俺に、敵うやつなんていないっつーの!」

     猛スピードで太陽を追ってくる足音が聞こえる。

 太陽「な、何!?小川!」

     太陽に追いつく総次郎。

 総次郎「わかったよ、お前にあって、俺に足りなかったものが」

 太陽「え?」

 総次郎「愛の力」

 太陽「お前、なんで…」

 総次郎「冴木さんへの愛がお前にそこまでの力を出させたんだ。しかし、それもここまで。同じく愛の力を得た俺に、もはや敵はない。全力で叩き潰す!」

 太陽「お前の事情は知らないけどな。俺だって、負けるわけにはいかねーんだよ!」

 総次郎「小川家の底力を見せてやるぞぉぉ!」

 太陽「俺のラブパワーだってこんなもんじゃないぜー!」

 太陽と総次郎「うぉぉぉぉぉぉおおおお!」

     激しいデッドヒートを繰り広げる二人。

     しかし、更に後ろから追い上げてくる足音が迫ってくる。


 夏子とまどかである。

 太陽「え?」

 総次郎「な、何!?」

 夏子「太陽、邪魔!」

     太陽を押しのけ、先頭に躍り出る夏子とまどか。

 太陽「うぉっ…!う、うそ…だろ…」

 総次郎「バカな…速すぎる…なんてスピードだ…」

     男二人を置き去りにして走る二人。

 まどか「夏子、私絶対負けない!」

 夏子「それは、こっちのセリフだっつーの!」

 まどか「夏子なんか、いじいじして、いつまで経っても告白できなかったくせに!」

 夏子「昨日今日好きになったあなたに、あいつの何がわかるってのよ。こっちは生まれた時から一緒なんですからね。年季が違うんだから!」

 まどか「私が勝つから、そんなの関係ないから!」

 夏子「勝つのは、わたしよ!」

 夏子とまどか「いっけぇぇぇぇぇぇぇえええええ!」

     息を荒げ、ゴールに駆け込む二人。

     一着がゴールした瞬間、号砲が鳴る。

 男の先生「す、すごいじゃないか、二人とも。校内新記録だよ!」

 夏子「はぁ…はぁ…そんなことはどうでもいいんで!」

 まどか「はぁ…どっちが勝ったか教えて下さい!」

 男の先生「え、ああ…えーと、ほぼ同時だったなぁ」

 夏子とまどか「どっちですか!どっちが一位ですか?」

 男の先生「別にいいじゃないか、二人とも一番だよ。そんな厳密に順位を決めるのが目的じゃないし…」


 夏子とまどか「厳密じゃないと困るんです!」

 男の先生「そ、そんなに言うなら。そうだな…ほんの少し、南家の方が早かったな」

     大きくジャンプし、ガッツポーズをする夏子。

 夏子「いっよっしゃー!」

 まどか「先生、本当ですか?本当に夏子の方が早かったんですか?」

 男の先生「まぁ、ほんとにちょっとの差だよ。タイムは同じだし、別にそんなに気にしなくても…」

     地面に拳を叩きつけるまどか。

 まどか「くっそぉぉ…!」

 夏子「まどか、おとなしく負けを認めなさい」

     高笑いする夏子。

 まどか「わかったわよ…でも、わたしは諦めないからね。あなたが気を抜いたら、すぐに奪っちゃうんだから。しっかり捕まえておきなさいよ!」

     去っていくまどか。

     入れ違いにやってくる太陽。

 太陽「夏子、お前どうしちゃったんだよ…。走るの全然得意じゃなかったのに…」

 夏子「あ…うん…ちょと本気出してみようかなー…ってさ」

 太陽「あーあ、小川には勝ったけど…一番じゃないから意味ないぜー。ちくしょー」

     見ると向こうで縮こまってぶつぶつ喋っている総次郎の姿。

 総次郎「ありえない…俺が四位だと…何かの間違いだ…」

 夏子「…」

 太陽「さぁて…で、どうする?」

 夏子「え?」


 太陽「一位じゃなかったら、なんでも言うこと聞くんだろ?」

 夏子「あ、ああ…うん…」

 太陽「もう煮るなり焼くなり、好きにしてくれー…」

 夏子「べ、別に、そんなことしても全然面白くないわよ…」

 太陽「じゃあ、なんだよ?」

     恥ずかしそうにそっぽを向く夏子。

 夏子「…こ、今度の日曜日、私を楽しませなさい!」

 太陽「えぇ?どうやって?」

 夏子「映画見たりとか…お茶飲んだりとか…そんなの、自分で考えなさいよ!どこにでも連れて行けばいいでしょ…。言っときますけど、全部あんたの奢りだからね!」

 太陽「えぇぇ!」

 夏子「えぇぇぇ、じゃなーい!わかった?返事は!」

 太陽「わかったよ…」

 夏子「もっとはっきり!」

 太陽「わ・か・り・ま・し・た!」


     別の場所で二人の光景を眺めている駆。

     ゴールした未来が近くにやってくる。

 未来「お疲れ様」

 駆「結局負けちゃったよ…悪かったな、部長」

     笑顔で駆を見つめる未来。

 未来「ううん。そりゃあ勝てればよかったけど。格好よかったよ」

     目が合い、急いで視線を逸らす駆。

 駆「…あ…あのさ、今度どっか行かない?映画とか…」

 未来「いいよ」

 駆「え?まじ?」

 未来「県大会で一位になったらね」

 駆「楽勝だよ!あいつらさえいなきゃ…俺のエースたる所以を…」

 総次郎「舘さん」

     二人の間に割り込む総次郎。

 未来「あ、小川君。お疲れ様」

 総次郎「今回のことで、自分の未熟さを痛感した。鍛え直すために、陸上部に入部したいんだけど。いいかな?」

 未来「やったぁ!もちろんOK!即戦力は大歓迎よ!早速だけど、県大会の選手に登録しておくからね。頑張って!ファイト!」

 駆「…まじ?」


 終わり

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