魔女と夢魔は無為の日々を安らかに漂う (66)
夢魔「ねえ、しましょ。いやらしいこと」
魔女「他を当たった方がいいわよ」
夢魔「んっんー、つれないなあ」
魔女「愛想なんて求めないで」
夢魔「んー、」
魔女「食事が終わったなら早く寝た方がいいわよ」
夢魔「うん、そうする。ごちそうさまでした」
魔女「おやすみなさい」
夢魔「おやすみなさい」
魔女「(なにをするわけでもなく)」
魔女「(暖炉の火のゆらめきを眺めている)」
魔女「(別に何もないわ。別に、何も)」
魔女「(薄暗い部屋でぼんやりとしていれば)」
魔女「(その内に眠りに落ちるだけ)」
魔女「(……随分な夢ね)」
魔女「(宿泊代のつもりで見せたのかしら)」
魔女「(…………)」
魔女「(……濡れている)」
魔女「(ためいきをつく)」
魔女「(これが願望、これか私の望み)」
魔女「(思い込まされたのかしら)」
魔女「(それとも自覚させられた)」
魔女「(どちらなのかしらね)」
魔女「(長い夜が明ける前に、もう一度だけため息をついた)
魔女「あっ、あっ……」
夢魔「抑えなくていいよ。いっぱい声を出して、」
夢魔「気持ちよく、なろ?」
魔女「あっ……ああ……やっ……いや……」
夢魔「おちんちん、きもちいい?」
魔女「あ……あ……は……あっ……」
夢魔「あはっ。いま、きゅっ、ってした」
夢魔「きゅうきゅう、ってしめつけられてる」
夢魔「隠しても淫乱さんだね」
魔女「ああっ……あん……あん……あうう……」
夢魔「かわいいこえ、もっといっぱいだしてね」
ずちゅ、ずちゅ、じゅぷ、じゅぷ
魔女「あ、あ、あっ、あっ」
ずちゅっ、じゅぷっ、ずちゅっ、じゅぷっ
夢魔「……やだ♪ 勝手にっ、腰が、動いちゃうっ♪」
じゅっ、ずちゅ、じゅぷっ、ずちゅっ
魔女「あん♪ やあっ♪ ああっ♪ あんんぅ♪」
ずちゅっ、ずちゅっ、じゅぷじゅぷ、じゅぷじゅぷっ
夢魔「やん♪ かわいい♪ いいよっ♪ それでいいんだよっ♪」
魔女「あはっ♪ あん♪ いく♪ いっちゃうよお♪」
夢魔「いいよっ♪ いっていいよ♪ いっちゃえ♪」
じゅぷっじゅぷっじゅぷっじゅぷっ
魔女「あっ♪ あーっ♪ おちんちん♪ おちんちんで♪ あっ♪」
ずちゅっ、じゅぷっ、きゅうっ、きゅうっ
魔女「あーっ♪ あーっ♪ いっちゃううう♪」
きゅうきゅう、きゅうきゅう……どくっ、どくっ、どくっ……
夢魔「やあん……♪ きもちよすぎだよぉ……♪」
魔女「ああ……♪ あ……♪ はあ……♪ はあ……♪ あは……っ♪」
どぷり、どろお……っ……
夢魔「ふふ♪ どろどろしたのがいっぱいながれてる♪」
くぱぁ……あ……どろ……っ……
夢魔「まだひくひくしてる♪ ほんとうにきもちよかったんだね♪」
魔女「うん♪ すごく、すっごくきもちよかったよ♪」
夢魔「これでさみしいのもへいきだね♪」
魔女「うんっ♪ もうさみしくないよ♪」
魔女「あのね」
夢魔「なぁに?」
魔女「ちゅーして、ほしいな……」
夢魔「いいよ、えっちのあとはいちゃいちゃしてすごそうね」
魔女「えへへ」
夢魔「ふふ……じゃあ……」
ちゅ……
魔女「あん……あむっ……」
夢魔「ん……んふ……」
ちゅ……ちゅ……
夢魔「(そうしてわたしと彼女は夢の中でくちづけをした)」
夢魔「(夢から覚めたあと、彼女はどんな顔でわたしと接するのだろう)」
夢魔「(夢の中の彼女は無邪気だった)」
夢魔「(やすらかなといき)」
夢魔「(やすらかなねむり)」
夢魔「(彼女の魂は少しでも安らいだだろうか)」
夢魔「(そうだといいと、何かに願った)」
魔女「……う……ん」
魔女「……もう、夜」
魔女「(また、濡れている)」
魔女「(彼女の見せる夢の中では……)」
ちゅぷ……っ……
魔女「あ、……っ……」
ちゅぷ、くちゅ、くちゅ、くちゅっ
魔女「あっ、あっ……あっ……」
くちゅっ、ちゅぷっ、ちゅっ、ちゅっ
魔女「(……きもちいい)」
くちゅり、くちゅっ、ぐちゅ、ぐちゅっ
魔女「は、あ、あっ、あん……」
魔女「(……こうしているあいだは、さみしく、ない)」
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅぐちゅ……
魔女「あん……あっ……あん……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
夢魔「ふふ、おまたもふにふにしてる」
つぷっ、くちゅ、くちゅっ
夢魔「なかは、あったかくて、ぬるぬる」
くぱ……ぁ……
魔女「あっ……」
夢魔「だから、おちんちんも、いれたくなっちゃう」
魔女「…………」
夢魔「いやだったら、ていこうしてね」
ちゅぷっ……ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ……
魔女「ひ、あっ、あ、あうぅ」
夢魔「んっ、んっ……」
……ぬぷ……っ……
魔女「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
夢魔「ねえ、ぜんぶ、はいったよ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
夢魔「あはっ、すいついてる」
夢魔「きゅうきゅう、って」
夢魔「……さみしそうに」
夢魔「おっぱいも、すっちゃうね」
ちゅ、ちゅぱ、ちゅぱ……ちゅう……ちゅう……
魔女「あっ…………あん…………」
夢魔「きすも、したいな……」
夢魔「…………んっ」
……ちゅっ
魔女「ん……んっ……うん……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
魔女「…………」
夢魔「ねむりながら、ないてたら、よくないよ」
夢魔「…………」
夢魔「……これで、だいじょうぶ」
魔女「……う……ん」
夢魔「さみしいゆめ、みだらなゆめ、やさしいゆめ……」
夢魔「巫女さま、おやすみなさい」
魔女「(真夜中、暗い部屋、暖炉の火、座り心地の良いソファ)」
魔女「(寒さを感じさせない毛布)」
魔女「(窓の外は雪)」
魔女「(隣に座るのは)」
魔女「(わたしのひとさしゆびをくわえて、やさしく愛撫する彼女)」
魔女「(たぶん……)」
魔女「(……これは安息だとか安堵)」
1.
魔女は、ひどく、さびしげで、はかなげな
そんな顔で、夢魔に告げました
"また、いっしょに、いてくれる?"
夢魔は、少し困ったように、微笑みました
"というか、ね"
"再構築をね、あせらなくても、いいとおもうよ"
ふたりは、毛布につつまれ、ソファに座っていました
夢魔は、少しだけ、魔女を抱き締める力を強くしました
そして、みみもとで、ささやきました
"かわりにね"
"ちょっとだけ、ながく、ねむって、みるとか"
ささやいて、魔女に、そっと、もたれます
すこし、間がありました
夢魔は、魔女の顔を、そっと、のぞきこみました
彼女の瞳は、潤んでいました
どことも知れない場所がありました
それは、蔦に包まれた部屋でした
その蔦は、どこからか伸びています
わずかな光だけが届く
閉じた薄暗い部屋でしたが
空気は、濁ることなく、澄んでいました
部屋の中には
蔦にとらわれた、女性がいます
やわらかな、ゆりかごに
うまれたままのすがたを、つつまれていました
彼女のふたつの乳房の先には
白い花のような、なにかが
それぞれ吸い付いています
花は、乙女の、白い雫を吸い続けています
蔦は、孤独を癒すように、脈打ちながら
あまく、あたたかな、しずくで
その植物はうるおされていました
乙女の口に、蔦が、鈍く入り込みました
そして、乳白色の樹液をやさしく注ぎます
あまく、すずやかな供物は
その乙女をうるおしていました
互いが、互いに
ささげあっていました
乙女は、目を閉じたまま
かすかな熱を帯びた吐息をもらしました
ゆるやかな、呼吸を、つづけていました
彼女の両脚の付け根に、蔦がやわらかく巻き付いています
子宮までの道に、細い蔦が何本も入り込んでいます
蔦は、あたたかく、しめった膣内を
いとおしそうに、撫でていました
乙女は、ときおり、すすりなくような声をあげ
ふるえながら、あつい粘液を、子宮からこぼしました
蔦は、喜びで身を脈打たせながら
その液体を、吸いとります
そしてまた、あまくなめらかな樹液で
乙女をうるおしました
"りゅうじん、さま"
やさしく、みだれた、巫女の、声音でした
蔦は、とがめるように、巫女の子宮をつつきました
崇拝よりも、親密さを、もとめていたために
"あっ"
古き神の、成れの果てに、寄り添う
ただひとりの妻の、恋しさに満ちた、声音でした
"ごめんなさい、あなた"
ただひとりの妻の、優しさに満ちた、声音でした
澄み輝く月の光が辺りを照らしています
そこは、打ち捨てられた修道院であり
少女と女性の、ふたりがいました
"わざと抵抗しなかったのは"
少女は目を伏せます
"なんのつもり"
問いに応えはありません
相手は深い眠りについているから
苦しみを手放したかのようで
まだ手放せていない、そんな眠りに
"言い聞かせるように慎んだところで"
"反動じみた奔放を気取ったところで"
"黒は黒"
"身に纏うものすら、似たようなものね"
"どのみち、救済を夢みてる"
誰に聞かせるでもなしの独白は続きました
"やわらかな寝台をあげる"
"のぞむように眠りなさい"
"いつか、だれかの、くちづけで、めざめるまで"
"さもなければ、このよの、さいごのひまで"
真夜中はまだ、夜明けに辿り着こうとは、していませんでした
深い森の奥に、館がありました
おそらくそこは、ある種の春を売る場でもありました
館の中には、寝室がありました
寝台の上に、生まれたままの姿の、乙女がいます
乙女の髪は黒く、細く静かに流れ落ちる滝のように
腰ほどの長さにまで麗しく伸ばされていました
どこか幼げな姿態は
闇夜の薄暗がりのような人狼に組み敷かれ
いずれは母となるための儀式に供されています
既に生命の雫は
乙女の胎に注がれていました
まだ、この夜のうちに何度も注がれるでしょう
乙女は快楽に溺れながら
あまくはかない歌声を奏でました
白く輝く丸い月は
夜の空の半ばを漂っています
前触れもなく
館の地下から、何者かの大きな唸り声が響きましたが
乙女は快楽に浸り
狼は乙女に溺れていました
多幸感に包まれた、ふたりは
獣の叫びが館を震わそうとも
はなれようもなく、交わり続けていました
きっと、夜が明ける時まで
あるいは、朝が訪れた後でも
くらい、くらい
大きな部屋が、ありました
あるじのほかには、なにもない、部屋でした
橙色の、かすかなひかりが差し込みました
"おおきなこえ"
"修道院まで聞こえてた"
眠りにつく、おおきな、けものの前に
角燈を携えた、だれかが、立っていました
秋の夕暮れに照らされた麦の穂のような
そんな黄金色の髪の乙女がそこにはいました
緩く波打つ金の流れは左右の二つに束ねられています
"わるいゆめを、どうにかしないと、ね"
乙女は、果ての見えない、暗い天井を見上げてから
"あまく、やさしいゆめを、あなたにも"
魂を癒すための儀式を、はじめました
"だけど、なんだか"
"なんだか、おかしなはなし"
"再構築がはじまっているのかも"
"わたしたちの"
"しらないかたちで"
"じんちくむがいな、ようせいだよ"
伝統的なイメージの幽霊らしき何者かは
そう告げました
夜の森の中の、開けた場所に
おおきな切り株がひとつ、ありました
蒼白い月の光が照らしています
切り株の上には鳥籠があります
その中に、幽霊らしき何者かが閉じ込められていました
本当に人畜無害という気がしないので
"かごから、だして"
という頼みは聞き入れるわけには
ゆきませんでした
鳥籠をそのままにしておくのも
何かまずいことになりそうな気がしたので
籠ごと幽霊を連れ帰ることにしました
"ゆうれいじゃないよ"
"じんちくむがいなようせいだよ"
"かごからだし"
幽霊は籠ごと運ばれていることに気付きました
"むーびん?"
"きりかぶからはなれられるなら"
"かごから、でられなくてもいいや"
そして、むにゃむにゃと眠そうにしたかと思うと
籠の中で縮こまって、くうくうと寝息を立て始めました
蒼白い月の光が照らす夜のことでした
ある部屋で、男女がまじわっていました
円形の部屋の中心に置かれた寝台の上で
夜に浮かぶ、やわらかな、白い海のうえで
彼は彼女の脚を開き、くさびを深々と押し込んでいます
彼女は少女のような甘い恍惚を浮かべながら
引き抜かれては押し込まれるくさびと
何度も注がれる生命のしずくの熱さに
ただただ、焦がれています
部屋の隅に、少女がいました
ぼんやりと、立ち尽くしています
少女は彼と彼女のまじわりを無表情に眺めています
その無表情には
憧憬と、寂しさがかすかに混じっていたかもしれません
彼と彼女は少女に気付く様子はありません
妖精は作り上げた部屋の寝台の上で
何をするでもなく臥せています
"彼と彼女と、その娘"
くらいへやのなかで、意識の中に映った光景を
妖精は無機質に呟きました
"わたしには、かんけい……"
区切りと、無言
"……わたし?"
懐疑を挟んで、無言
"そう……わたしは、わたし……だったね"
納得しようとするようでいて
自分の言葉を信じていない様子でした
静けさが続くうちに
薄明かりが、どこからか差し込んできました
霧に包まれた東の岸辺に魔女は辿り着きます
そして、まじないのことばにより
魔女のための船が現れます
岸を離れる船
船は陸地の南を回り
西の果ての孤島へと向かいます
灰色の雲の陰の海を船は進みます……
館の外は、秋の嵐
予言の最悪は免れそうですが
それでも、何日も、雨が続いています
そして、夜の前から、夕の前から
このへやは、薄暗く、ほのくらく
"ずっと、はなして、くれませんね"
彼女と彼は、寝台の上で、つながったままでいます
"さみしいから、ですか?"
羽毛で優しく撫でるような
柔らかい声音の、挑発でした
彼は答えずに、彼女の奥を、追い詰めるように
深々と、突きました
"んっ……"
彼女の吐息の愛らしさは、濃くなり
"そんなに……されて、しまうと……"
"あかちゃんが……できて、しまいますね……"
彼女のくちびるからは
うれしそうな、困惑が、つむがれます
曇天から、雨とも言えない雨が降っています
その空の下にある煉瓦造りの街を歩く魔女がいます
彼女の華奢な身体は、お腹だけ膨らんでいます
少し苦しげな呼吸をしながら
並び立つ建物の壁に、無意識に手を当て身体を支えながら
彼女は通りを歩きます
魔女は、龍の彫像をかかげた、寺院らしき建物に入ります
"もうすぐ、産まれます"
裸になり、柔らかく大きな寝台の上に身体を横たえると
彼女は静かに目を閉じました
おしころしたような乱れた呼吸だけが、部屋に響いています
汚物と血と流した汗で、寝台が汚れていました
産まれた子は、寺院の者に運ばれて行きました
この子もまた母とは離れ
この街の住人として育てられることになります
出産を終え、弱った魔女の身体が
輝く闇に包まれます
しばらく経つと、清められた寝台の上で
魔女は、ぼんやりと横になっています
女神の衣、といった印象の
清楚でゆるやかな寝巻きを着せられていました
横になったまま、静かな呼吸を繰り返すうちに
魔女は寝息を立て始めました
ほどなく、龍の仮面と法衣を身に付けた寺院の者が現れ
魔女に毛布をかけると、部屋から出て行きました
母であると言われても
傍目にはそうとは思えないような
そんな少女が、静かな眠りについていました
"魔女の娘もまた、魔女"
"その娘もまた、魔女"
"その繰り返し"
魔女は、ぽつりと、呟きました
夢魔は、問いかけました
"……どうか、した?"
魔女はゆるやかに、首を振り、否定しました
ゆるやかな黒髪が、やわらかく、揺れました
"……別に"
"ただの、事実の、再確認をしただけ"
"魔女が、魔物の子を産んでいるうちに"
"たまに、娘が、産まれるの"
"……わたしは、魔女にならずに、この森に来たけど"
そして魔女は、口をつぐみました
"そう……"
夢魔は、それだけ呟いて、何事かを考えていたようでした
冷え冷えとした秋がはじまり
暖炉が使われ始めていました
はぜる音と、揺らめく火の光が
その部屋の中にありました
"生き恥って"
"どういうことだと思う?"
くらい外の風景を、冷えた夜の星と空を眺めながら
魔女は誰に問うでもなしに問いました
すこし、間がありました
"たとえば"
"するべきことを、為せないこと"
"なにも持ち得ぬものが、なにごとかを為そうとすること"
"無為とわかっていて、なにも望みすらせずに、それを為すこと"
魔女は、むなしそうに、つぶやきました
"どこにもたどりつけないような、遠くを眺めるように"
"さいしょから、こたえは、わかりきっているのに"
魔女は、なげやりな、しずかな吐息のあとで
"くだらないことを"
目を伏せました
夜空に、白い布を被った、亡霊のような何かが浮かんでいました
"かのじょはきっと、こころのびょうきなんだ"
ぼんやりと、ただよっていました
"だからといって、わたしには、なにもできないし"
沈黙が訪れました
"……"
"いいや、しばらくただよっていよう"
そうして、亡霊のような何かは
どこへともなく、ただよってゆきました
女性が、屋敷の離れの通路を、歩いていました
淑やかでありながら、どこか武人然と、凛とした
そんな女性でした
女性に割り当てられた部屋の前で
彼女の義母が、静かに佇んでいました
"どうされましたか"
女性は会釈をして問いました
"あの、"
彼女の義母は、おそるおそる、問いかけます
"大丈、夫?"
"息子はちゃんと、優しい?"
彼女は頷いて、応えます
"大丈夫です"
"きちんと、優しくしてもらえて"
"むしろ、びっくりするくらい、やさしくて"
"気恥ずかしいというか、くすぐったいくらいで"
"こんなに、大事にしてもらえるんだって"
"あのひとと、戦っているときは"
"想像もしていませんでした"
不安げだった義母の表情が、やわらぎました
"わたしは"
柔らかであたたかな寝台のなかで、魔女が呟きました
"他人が、おそろしい"
"自分の中にいる、他人が"
"その段階から、既に"
"おそろしくて、閉じこもった"
"そう……"
夢魔は、やさしく、やわらかく、つぶやいて
向かい合って横になった魔女を、だきしめました
服の上同士からでも、ぬくもりはつたわりあいました
"もう少し、ベッドの中で、やすんでいよう?"
夢魔がささやくと、魔女は、こくりと頷きました
"私は痛みを感じず何をも苦にしない"
"私は享楽に快楽に狂おしく身を任せる"
"そして私は健気に貴方をただ愛する"
心と体を守るための、まじないの言葉を唱え終わり
暗き神の巫女は生まれたままの姿をさらけ出しました
秋の野山に咲くような果実の
くらい紫のような色彩の
ゆるく波打つ長くうるわしい髪が
寝台の上にさらさらとながれました
"どうぞ、貴方の求めた母の影を"
"少しでも、わたしから、掬い取って"
巫女は目を閉じ、産道に沈み込む、くさびをそのまま受け入れます
母に回帰しようとするような、そんな切なる崇拝の行為に
巫女から、あつい吐息が、漏れました
少女が、森の上空にいました
なにもかもを、諦めきったような表情で
言の葉をつむぎはじめ
"これは天の柱"
"これは天の剣"
"これは天の砲"
彼女は、杖を構え
巨大な光を蓄えていました
"つまるところ、天意"
光は、収縮をはじめました
その収縮は、限界まで行われ
"滅せよ、魔女の異端の最たる者と"
"共にありし、眠りの異神よ"
爆ぜながらも束ねられた光が
魔女の住処に放たれましたが
その滅ぼす光が、何にも届かぬうちに
強力な障壁が、展開されました
光は障壁に力を吸い取られ、かき消えてゆきます
そして声が響きました
"こんなことしちゃだめ!"
"私たち以外には効かないように"
"していたみたいだから"
"べつにいいけど!"
怒りながらも、それでも幼く、甘い声音ではありましたが
その怒気は、確かに神威と呼べるものでした
"でもおこってるからね!"
"めっ!"
叱りつける声が辺りに響き渡り
少女の抱えていた殺意だとか害意は完全に削がれていました
"何なのかしら"
少女は部屋に戻っていました
"……何なのかしら"
少女は寝台の上で倒れ伏していました
"……本当に、何なのかしら"
少女は、わけもなく寂しくなりました
寝返りをうち、ぼんやりと、天井を眺めます
そのうちに
彼女は右手で、左の乳房を、撫でています
彼女は左手で、下腹部の、ちいさな突起を、撫でています
呼吸は、すこし、みだれていました
"……ばかみたい"
感情も、すこし、みだれていました
"……ばか、みたい"
呼吸が、みだれてゆきます
"……あ……っ……"
左手の、ひとさしゆびは、秘所に呑まれていました
いつの間にか、くちゅ、くちゅと
湿り気を帯びた音が響いていました
左手の、なかゆびも、呑まれていました
湿り気と、淫らさが、また、ふえていって
"……あ……ん……っ……"
嬌声混じりの、とろけたような、熱っぽい呼吸を、ゆるやかに繰り返していました
そしてしばらくして
"……あっ"
彼女は、あまく、果てました
いつか、おとずれる、未来:
"……世界に失望し"
"世界に怯え……"
"……それでも!"
虹の巫女は、戦衣をまとい、戦杖を両手で構え
"System..."
吹き荒れる嵐の中、叫ばれる、ちから呼ぶ、ことばは
"...OverRide!"
失われはじめた世界を、取り戻すための、咆哮
いつか、おとずれる、未来:
"どうしたってこの手を使わないわけにはいかないのよ!"
前兆の嵐の中で、少女は叫ぶ
"私は私が何者であったかをついに思い出した!"
"今討ち果たすべきを討ち果たすため私は仮初の姿を捨てる!"
"望んだ平穏を! 望んだ人の生を! 今ここに捨てる!"
"変化! 龍王!"
黒衣の少女は、女帝たる黒き龍へと姿を変える
"これでかけら一つ残さず消し飛びなさい!"
"我誓う! 世界さえも次元さえも切り裂く咆哮にて敵討つことを!"
"消滅の旋律を! 灰燼の響きを受け!"
"滅せよ! 世界に仇なす忌まわしき敵たる存在よ!"
漆黒の龍王の、次元さえも切り裂く咆哮は
世界を無に帰す大いなる脅威へと叩きつけられる
晴れた午後でした
白と黒を基調とした、清楚な装いの少女がいます
河の近くの木細工の道にいました
さらさらと、水の流れる音が聴こえます
開けた場所ですが、辺りには誰もいません
彼女は、つくりのよい安楽椅子に身を預け、かすかにゆれていました
"また、未来が、見えた"
物憂げな表情でした
"でも、今は、まだ"
まだ風はゆるやかで、冷えていても、きびしさはありませんでした
"その時じゃないから"
ため息をつくと、ずり下がっていた
やわらかな毛布を引き上げ
また、まどろみに戻りました
やがて夜となり、そこはひえびえとした暗がりでした
"あなたは"
月明かりに照らされた、かすかな声
"わたしと"
そして、星の散りばめられた空を、少女は眺めています
安楽椅子に座ったまま、冷たい夜の中で
言葉はまだ、継がれませんでしたが
"しぬのよ"
絞り出すように継がれて、続いたのは、嘆息
"討ち果たすために死ぬ覚悟はできている"
"だけど、死力を尽くしても、果たせなかったときは?"
自らの内に問うても、仕方のないことではありましたが
"どうすれば、いい?"
少女は、問わずにはいられませんでした
いつか、おとずれる、未来:
そうだ、私はいつも言葉が足りない
足りぬを足らそうともせずに
諦めてすぐに見捨てようとする
そして見捨てることすら半端な形でしかできない
では諦めるのか?
私は溜息をついた
違う、せめて死力を尽くすことだけは
いつか殺し損ねた相手の成れの果てを見る
"こんどこそ、あなたは、わたしと、しぬのよ"
全霊の、渾身の、必殺の一撃の圧を、更に上げる
そう、砕け散るまで、戦うだけ
くらく、かわいた、洞窟がありました
奥には、厳重な鍵のかかった、金属の扉がありました
その先には、燈に照らされた石造りの通路があり
さらに、いくつかの部屋があります
そのひとつの中に、少女と、女性がいました
灰色がかった緑の、かわいらしい短髪の少女は、はだかで
艶やかな、肩ほどまでの黒髪の女性も、はだかでした
少女な身体には、ありえないはずのものが、ありました
"ちょっと、生やしてみたっす"
"遊びの幅が、広がりそうっすね"
彼女はわ無邪気に、悪戯そうな表情で
かたく、ふくれあがった、下腹部のくさびをなでました
"それが、わたしの、なかに?"
女性は、寝台に横たわりながら
ほんのすこし、身をかたくしていました
"だいじょうぶっすよ"
"慣らしとか、ほぐしをするんで"
"それに、ほんとうにだめそうなら、これは、なしっすから"
女性は、少し薄暗い表情になり
"いえ、そういうこと、ではなく"
"まぎらわしいことを、いいました"
"粗雑に扱われても、私など"
少女は、ため息をつきながら
女性にくちづけ、舌をからめました
しばらく、舌と舌のからみあいが、続きました
それがおさまると
どこか、かなしげに、無表情な少女と
なにかを、おしころしたような、潤んだ目の女性が
"それこそ、なしっすよ"
少女が、ぽつりとつぶやきました
"そういう、思い詰めたところが"
弱々しく、首を振りました
さらさらと、緑灰の、みじかい髪が揺れます
"まあ、いいっす"
"今夜は試しっすけど"
"いきなり行けちゃいそうだったら、入れるっすからね"
"……はい"
女性は、かぼそいこえで、こたえました
よくほぐされ、潤滑液でひたされた秘所に
少女のくさびが、ゆっくりと、しずみこんでゆきました
"う、あ、"
"あ、あっ"
"……はあ、っ"
"……は、あ"
"……あっ"
女性は、少女のくさびを受け入れ、呑み込みました
どこか:
"ははあ。これはセックスしないと出られない列車っすね?"
閉じ込められた列車の中で
緑灰の髪の少女が楽しげにことばを紡ぐと
白と黒の服を着た黒髪の少女が
"何を言っているの貴女?"と首を振りました
"冗談すよ"
緑灰の少女は片目を瞑り、てへぺろと呟きました
"ちょっと先の先の先まで見てくるっす!"
少女は最後尾の客室から外に出て
どれほど先にあるかもわからない
先頭車両まで走り始めました
通路が思いのほか広いためか
緑灰の少女は両腕を横に伸ばし
"きいいいいいん"と声を出しながら走って行きます
その声も、じきに遠ざかり、聞こえなくなり
黒の少女はためいきをつきました
"先の先の先"
"これは、未来からの挑戦といったところかしら"
どこかより、あの場所へ:
"光よ爆ぜよ! 前へと突き進め! そして運命を照らせ!"
撃たれた激光は
なおも無機質に戦いを続ける機械を消し飛ばし
その先すらを打ち砕き歪んだ次元を歪め
彼女たちが存在するべき世界への道を開いた
"戻るわよ"
黒の少女は緑灰の少女に短く告げた
"うわぁ! 凄いっすね"
"正直ここから戻れないかと思い始めてたっす"
"あわや次元の狭間の藻屑になるものかと……"
"私もよ"
緑灰の少女に対し
気のない表情で相槌を打つ
"じゃーお先っすよー"
"どうぞ"
同行者が帰還を果たした後も
黒の少女は、少しだけとどまっていた
"私たちは"
一瞬だけ、言葉が詰まり
"私たちは、ごみじゃ、ないから"
言い直しを呟くと、彼女は、世界の扉を越えた
その後:
"おかえりなさい"
黒髪の女性が迎えました
"ただいまっす"
緑灰色の髪の少女が帰りを告げて
黒髪の女性の隣に座りました
"さびしかったです"
"ごめんね。ちょっと色々あって帰れなかったっす"
女性は微かに頷いて
"さみしいです"
"はぐ、したいです"
麗しい蔦が美しい彫像に絡み付くように
その両腕を少女に絡ませました
"もっと"
黒髪の女性は肉襞の中に深々と、四肢からうずもれています
生まれたままの肌が、乳房が、腹部が露出しています
ぬるぬるとした触手が、彼女のからだを、やさしく撫でています
そのうちに、下腹部に、秘所に触手が入り込み
水音を立てながら、あまく、犯しました
"あっ"
"あふ、っ"
"あ、っ"
女性は、朱に染まった熱っぽい表情で、涎をたらしています
ゆるやかで、微熱に染まった呼吸を、繰り返しています
すこし、冷えるくらいの洞窟の中でしたが
彼女はあたたかい粘液と行為にまみれて
寒さなど、感じてはいませんでした
"おねが、い"
"あなたの、なかに、"
さびしげに、すすりなくように
"とじこめて"
懇願のあとに、女性は、肉襞にやわらかく包まれました
襞のなかは、やさしい肉の色でした
女性は、四肢を解放され、赤子のように丸まっています
触手が、全身をなでまわしました
口の中にも、そっと入り込みます
女性は、舌を、絡めました
触手をなめまわして、息をつぎます
からだに、うでに、あしに、触手はまきついて
また、女性の産道にも入り込み、快楽を流し込みます
"いっぱい"
"いっぱい"
"きもちいいです"
欠けた心を満たす快楽があふれた喜びの涙も
心地よさに、たれながさずにはいられない涎も
愛しあうことでからだの奥からにじみ出る雫も
彼女は、ぜんぶ
"だいすき、です"
ほどなく、女性は、意識を失いました
傍目には、傷ついた繊細な少女としか言いようがない
そんな黒髪の女性が
あたたかな泉で、緑灰色の髪の少女に、洗われています
ふたりは、生まれたままの、姿で
"う……"
"目が覚めたっすか"
目覚めた女性を迎えたのは、やさしいこえでした
"まだちょっと洗いきれてないっすね"
告げる少女を、女性はおしとどめて
"なにも、しないで、このままで"
"いっしょに、いて"
潤んだ目で、ねがいを、つぶやきました
"おっけーっすよ"
"まったりしましょ"
やわらかな夜が、続いていました
漂っているな
本来であれば消されているはずの
放逐されたがゆえに存続する世界がか
消去ではなく再構築だ
そして放逐という形容も疑問だ
もうすこし定義にこだわれ
厳密さにこだわる気が起きないのだ
そして、あの龍の王がさせまいとしている
意味合いとしては消去とさしたる違いはない
させまいというには女帝はなまぬるい
自覚があるのかわかったものではないが
迷ったあげくに現状維持を選んだ
どちらにせよ
あの者たちは再構築をためらっている
あの女さえも今では緑龍の胎の中にうずもれている
半ば死せる龍が
力を取り戻し甦るためという名目で確保しているな
名目は名目でしかなさそうだが
概してなまぬるいのだ、龍というものは
改めて問うが
我と汝は如何様にするのか
なにもしない
無為の安寧をこの先も続けさせるだけだ
橙色の光の夜灯が、かすかに輝く部屋でした
やあ、ここが天界だ
長く長く登った階段の突き当たりの扉の先が
このような狭くて薄暗い部屋で驚いたかい
部屋の主は続けました
せっかくだから、そこのソファに座るなり
窓の外でも眺めてみるといい
暗い空に浮かぶ星と君の世界が見えるよ
部屋の主は台所と思わしき隣室で軽食の用意をしています
軽食が作られている隣室から声が聞こえました
概念を作る儀式にすぎないがね
きつね色のトーストとあまいカフェオレを君にまず提供しよう
訪問者はそのまま眠れそうな深々とした座り心地のソファに座っています
また声が聞こえました
その幽霊の白い布は脱いだらどうだい?
なにしろここに来たのは君くらいで他に誰かが来たためしがない
仮に誰か来たとしても偽装くらいはわけはない
訪問者は少し考えてから、頷きました
白い布は畳まれてソファの脇のサイドボードに置かれました
ソファに深々ともたれた彼女は
トーストをすこしかじりました
そのあとで、何か物言いたげにして
けっきょく、あまいカフェオレをひとくち飲むだけにしました
「つまり」彼が口を開きました
「世界は、否応なしに一度終わるかもしれない」
「再構築を最大限回避したところで」
少し、間がありました
「宙に輝く星、エレメンタリウム」
「安らかに漂うはずの巫女と虚夢の魔神」
淡々とした、透明な呟きが部屋に響いています
「そう……」
「常に、予定調和の未来というわけにはいかないからね」
彼女は、ことばを紡ぎました
「協力、してくれる?」
彼は迷いなく頷きました
「もちろん。及ぶかは定かでないにしても、最大限はね」
それは雷雨
それは暗雲
それは綻び
「湧いて湧いて、きりがない」
ひかり、落雷
無数に放たれた光弾で消し飛ぶ無数の何か
重い灰色の空間で映し出されるコントラスト
ひびわれた空から数多くの何かが、影の群れが現れている
再度、落雷
落ちた光は地を震わせる
灰色の中での照り返しは白と黒
「考えてもみれば」
土砂降りの空、呟く声
球の障壁に包まれた黒髪の乙女
打ち付ける雨粒も何もかもが彼女を包む結界に弾かれている
そうね、と続いた
「世界が終わるときの音に似ている」
彼女が異界からの影を滅ぼし終え
空の亀裂が閉じきっても
吹き荒れる嵐はまだ続いている
それは、嵐のなかの、ふたつの降臨
ひどく不自然な、荒れ地
雨に打たれ、黒く染まった石の園
そこに、誰かが立っている
"余計なお世話は、百も承知"
"早送りの結末を、いつか来るはずの結末を"
"今ここで、呼び出して"
黒に近い灰色の空
無の概念を凝縮した白の乙女
銀の色の腰までの髪は凪いだようでいて静かに揺れている
彼女は女神じみた白い衣を纏うて宙に浮いている
誰かが、呟いた
"大山、鳴動して"
地を蹴る、跳ぶ、そして乙女の前に
誰かの右手は、開いたその手は乙女の前に伸ばされる
"鼠、一匹"
そして、透明な力の波が放たれた
冷えた三日月が見下ろす夜。
“つまりな、世界の壊れが激しかったのだ”
“それで祖龍王が概念化していたというわけか”
“すんでのところであったわけだ”
“そして《白と黒》は回避されたわけだ”
“そうだ。《ブラン=ド=ノワール》は避けられた。これからは我ら灰黒鋼の時代だ”
“貴殿は冗談が過ぎる”
“無論冗談だ”
“冗談にもならぬぞ”
“だが次の役目は我らであろう”
“王が去ったとはいえ次を姫や侍従にやらせるわけにはいかんのだ”
“そうであろうな”
“プーッ。本当に冗談が過ぎるよ”
彼らが去ったあとで無機質な呟きがありました。
幼子のような響きです。ただ秋の夜のように冷たい。
晩秋の亡霊のような白い布の姿がそこにありました。
“でもあの子たちはあの人たちに任せればいいか”
“うん。そうだね。まだよくわからないけど”
亡霊の姿が首をかしげたように見えました。
“なにもかもが全然わからないけど”
“ちょっとは思い出せたはず”
“あのひとを探しに行かなきゃ”
《亡霊》は漂うように飛び去りました。
庭園の離れ。
ふたりで使うには大きい白い寝台。
わたしの下に黒く長い髪が流れた。何もまとわぬ白の肌が横たわる。
外は巨大な岩が転がる音、違う。雷と雨。
世界が壊れる音ではない。
“はやく”
甘える声がする。
統合された彼女はそれでも間違いなく彼女だった。
ただ反動なのか、むしろより幼くなった。
“ねぇね。はやく”
裸同士で抱き締めて戯れる。彼女は満たされた様子だ。
わたしは満たすことによって満たされる。
雨は激しくなった。燻るような遠雷も続く。
それでも、この世は何事もない。
“とうにお気付きかと思いますが”
”貴女にとっては残念なことに”
“あの余計な世話焼きの結果”
“貴女は[ピーーー]なくなりました”
“滅びることもできないようです”
“諦めてください”
“私にとってはすべてが好都合ですが”
昼の陽が注ぐ中であろうとも薄暗い寝室で
緑の髪の乙女が褪せた金の髪の乙女にくちづけた
抱き締め合った身体のようにふたりの舌も絡み合う
おしころされたふたりの吐息は部屋に溶けてかききえる
“どこかで滑稽な記述に書き換えられたようです”
“そういえばそうでした”
くちづけから少し間を置いた頃合いに
どこか酩酊を感じさせる様子で緑髪の乙女が呟きました
“滑稽ついでにもう少し、しましょう”
乙女は私に覆い被さり、くちづけを続けました
幸いの泉の水音が聴こえていました
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