幼馴染「あのっ!それ…私の体操着袋……です」 (165)
男子A「えー、コレって幼馴染さんのだったの?俺の机の横に掛かってたんだけど」
幼馴染「はい…私のです!机間違えちゃってごめんなさいっ」
男子A「そっか。じゃあ返さないとね……それっ」ポイッ
幼馴染「あっ…」
男子B「ナイスパース!」パシッ
幼馴染「あ、あのっ…」
男子B「わかってる、わかってるって!次は幼馴染さんにパスするからちゃんとキャッチしてねー?」
幼馴染「えと…できれば投げないで欲しい…です」
男子B「はい、いくよー?そーれっ」ポーイ
女「あぅ…」スカッ
男子C「オーライ」パシッ
幼馴染「………」
男子C「幼馴染さんちゃんとキャッチしなきゃダメじゃーんwww」
幼馴染「……あのぅ、ほんとにもう返してくれませんか?」
いきなりミス
女「あぅ…」スカッ ×
幼馴染「あぅ…」スカッ ○
俺「あ、間違ってかけちゃった」ビュルルー!!
体操着袋「いやぁぁ…」ベトー
男子C「…しょうがないなぁ。くくっ、男子A行くぞー?」
男子B「ほらほら幼馴染さん、男子Aのトコにくるっぽいからパスカットしないと!」
幼馴染「え…?は、はい」スススッ
男子C「うわー幼馴染さんにパスコース塞がれちゃったよーどうしよー」
男子B「いいよー幼馴染さん!ディーフェンスwwwディーフェンスwwwww」
男子C「いくぜー?そぉれっ!」シュッ
幼馴染「?」
男子B「ナイスパスwwwww」パシッ
男子A「幼馴染さぁん、そのディフェンスは流石に安直過ぎたよねー」
幼馴染「うぅ……」グスッ
男子B「ちょっとちょっと幼馴染さぁん、これくらいで泣いたらイヤイヤヨ?」
男子A「そうそう。それに幼馴染さん、次でラストだからさ……頑張ろ?」
幼馴染「返して…くれるんですか?」クスン
男子C「信じるか信じないかは…貴女次第です!」ニヤリ
幼馴染「し、信じます…!」コシコシ
男子B「おっけー!じゃ、いくよー?……せーのっ」シュッ
男「でもそーんなーんじゃだーめ」パシッ
男子ABC「あぁ?」
幼馴染「あっ…男ちゃん!」
男「もうそーんなーんじゃほーら」ポイッ
幼馴染「あ、ありがと…!」ポフッ
男「心は進化するよ…」ガラララ
男子ABC「は?」
男「もっともっと!」ダッ
男子A「ちょ、おい待てやコラー!」ダッ
男子B「あの野郎ぉ」ダッ
幼馴染「…えへへっ♪」ギュッ
男子C「………ちっ」ダッ
~後日~
幼馴染「か、返してください~!」ピョンピョン
男子A「だから取っていいって言ってるじゃーんwww」
幼馴染「た、高くて…届きませぇん~!」ピョンピョンピョン
男子B「いいよ、いいよー!でも幼馴染さん、もうちょ~っとだけ高く跳んでみよっか?」
幼馴染「え…あのでも、私これでも思いっきり~うぅ」ピョン
男子C「くぅ~あとちょっとなのに惜しいなぁwww」
幼馴染「ほんとですか?うー!」ピョン
ガラララ
男「まぁるいせか~い~♪」
男「ん?」ピクッ
男(あっ!あのアホっ娘はまーた体操着袋で遊ばれてやがる)
男子C「ほら幼馴染さん、頑張って!」
幼馴染「う~」ピョン
男子B「うおっ、惜っしー!あとちょっとだったのにwww」
男(どこがあとちょっとだ!30cmは足りてないっての!)
幼馴染「届かないですぅ」グスッ
男(……ったく、相変わらず世話が焼ける奴だ)
男子A「ほらほら頑張らないと。じゃないともう少し高くしちゃうゾ?」スッ
幼馴染「あっ、待ってくださぁい!」ピョンピョン
男子BC「くっくっwww」
男「ラッキー、クッキー、もんじゃ焼き♪」スッ
男子ABC「あぁ?」
幼馴染「あっ、男ちゃん…」クスン
男「やったねクマさん、パンツが見えるよ!」
男子A「あっ、てめぇ!」
幼馴染「パン…ツ?ひゃぅ~~~っ!///」バッ
男「お前はまだクマさんおパンツなんか穿いてるのか?」
幼馴染「ちがうよぉ!き、今日はペンギンさんだよ?」
男「…バカ、何自分からバラしてんだよ」
幼馴染「あっ!?うぅ~///」
男子B「おい」
男「ったく、呼ばれてるぞ幼馴染」
幼馴染「ふぇっ…?」
男子C「おい、てめえだよ!」
男「んー?」クルッ
オタク「はっ!?な、なんなんだな!ぼ、僕はもうちょっとで幼馴染たんのおぱんちゅが見えそうだなんてちっとも思ってなかったんだな!」
男「………」
オタク「わかったらさっさと幼馴染たんの前からどいて欲しいんだな!でないとペンギンさんおぱんちゅが捗らな--」
男「お前は二回死ねぇっ!」シュッ
オタク「はうぅっ!?」ボスッ
男「お先に~」ダッ
男子B「てめえ待てやコラー!」ダッ
男子A「ちっ、あの野郎…」ポイッ
男子C「………」パシッ
女「あっ…」
オタク「ひゅー…ひゅー…でもこれでようやく幼馴染たんのペンギンおぱんちゅを--」
男子A「シッ!」シュッ
オタク「うっぷす」バスッ
男子A「男ーっ!」ダッ
男子C「………ちっ」
オタク「ひゅー、ふひゅー、ひゅー、ふ--」
男子C「らぁッ!」シュッ
オタク「めんがぁっ!あ…ぁ…く……痛い…ん……だな」ズーン
男子C「フン」ダッ
体操着袋「………」ポテッ
幼馴染「あっ、私の体操着袋…!」テテテッ
幼馴染「よかったぁ…!」ギュ
?「………」
~さらに後日~
幼馴染「やめてください~」ヒーン
男子A「まぁまぁwww」ガシッ
男子C「少し大人しくしてようよwww」ガシッ
幼馴染「やぁ…放してくださぁ~い!」
男子B「何がでるかな♪何がでるかな♪」ガサゴソ
ガラララ
男「ふたりは♪プリッキュア~♪」
男「ん?」ピクッ
幼馴染「だめぇ…私の体操服しか入ってないですよぉ!」
男(またか…)
男子B「……おっ♪ちょっと湿ってるぜ!」
幼馴染「っ!?や、やあぁ~」グスッ
男(す~ぐ泣くからなアイツは。ヤレヤレ…)
男子A「……なぁ、なんだかここら辺臭くないか?」
男子C「あ、お前も?俺もそんな気がしてたんだよなー」
幼馴染「………」クスン
男子B「……コレじゃね?」ピラピラ
幼馴染「っ!!?」
男子A「それだっ!」
幼馴染「あ…うぅ…」グスッ
男子C「いや待て、ちゃんと匂い嗅いで確認するべきじゃね?」
幼馴染「っ!?やあぁ~だめぇ~」ジタバタ
男子A「幼馴染さん暴れちゃダメだよ?」
男子C「すぐ終わるからさ」
男子B「じゃあ順番な?まずは俺から…へへっ」ゴクリ
幼馴染「いやっ…いやぁ……」グスッ
スーハースーハー
男「くんかくんか…すーはーすーはー」スーハー
男子ABC「………は?」
男「う~ん、ほのかに甘くていいか・ほ・り♪」スンスン
幼馴染「あ……えっ、男…ちゃん?は、はうぅ……だめぇ///」
男子B「て、てんめぇ~~~!」
スーハースーハー
男子B「…ん?なんだこの音?」
オタク「………」スーハースーハー
男子A「あ、あんな遠くから…」
男子C「野郎っ…」スッ
男子B「まぁ待てよ!まずはコイツからだろ」
男子AC「…だな」ニヤリ
男「はぁ…」
男「your best! my best!体育なんだから 汗かいたって変じゃない♪」
幼馴染「男…ちゃん?」
男子A「殺せ殺せー!」ダッ
男子BC「うおー」ダッ
男「にやけるデブにはパンチ来るでしょ!」ダッ
男子ABC「おらァ」シュッ
オタク「な、なに…なんなのオタクら?」
男「メガネだって ブッ飛ぶぅ~♪」ササッ
男子ABC「?!」スカッ
オタク「ぶひぃっ!!?」ドカッ
メガネ「………」カシャン
男「生命(いのち)の花~咲かせて! 思いっきり~♪」ダッ
男子ABC「待てや男~!」ダッ
メガネ「ぐはーっ」バリン
男「メガネバリバリぃ~☆」
幼馴染「男ちゃん……ありがと///」
?「………」
~放課後~
男「ったくお前は、トロいからいつもターゲットにされんだぞ?」
幼馴染「うん…ごめんねぇ」ニコニコ
男「いつも俺が助けてやれるって訳じゃねえんだぞ?」
幼馴染「うん!いつも助けてくれてありがとね~男ちゃん♪」ニコニコ
男「ニコニコしやがって。からかわれやすい自分の体質…ホントにわかってんのか?」
幼馴染「えー?う~ん…でも、男ちゃんがいっつも守ってくれるから」エヘヘ
男「………はぁ、しょうがない奴だな。俺が幼馴染みだった事、ちゃんと神様にも感謝しろよ?」
幼馴染「うんっ!神様も、男ちゃんを私の幼馴染みにしてくれてどうもありがとございますっ♪」
男「…やれやれ、お前はホントにばかな奴だな」ペチン
幼馴染「う~、なんでぇ?」ナデナデ
男「ま、だからこそ守ってやらなくちゃって思うんだけどな」ボソッ
幼馴染「? 男ちゃんなぁに?」
男「……ぷっ」
幼馴染「?」
男「なんでもな~い~♪なんでもな~い~♪きぃ~みぃ~の笑顔を~♪」タタッ
幼なじみ「あ~ん、男ちゃん待ってよぉ~!」
?「………くっ」
男「ただいま」
母「あらおかえり。今日は遅かったのね」
男「まあね」
幼母「男ちゃん、おかえりなさ~い」
男「あ、おば……幼母さん、こんばんは」
幼母「ふふっ、こんばんは~」
男「幼馴染の奴も多分家に帰ってますよ。一緒に帰ってきたんで」
幼母「あら、いつもあの子に付き合わせちゃって悪いわね~」
男「いえいえ~…って、ん?この匂いは」ダッ
男「よっしゃー思った通り焼肉だ!」
?「つけダレの匂いで気付くとか…あんたどんだけ鼻いいのよ」ジャー
男「あ、姉ちゃん。今日は部活休み?」
姉「ええそうよ。さっさと手を洗ってきなさいな」キュッ
男「おう!やっきにっく♪やっきにっく~♪」タッタッタ
姉「あんなにはしゃいじゃって……可愛いっ♪」フキフキ
男「あー、帰りに買い食いしないでよかったぜ」ゴシゴシ
ガチャ
?「ただいまー!」
幼馴染「おじゃましま~す」
男「おう、妹おかえり~。幼馴染も一緒か!おばさん来てるぞ」
幼馴染「うん!今日は男ちゃんのお家で一緒にご飯~ってメール来たから」
男「そか。……あ、だからご馳走なのか!」
妹「ご馳走?お兄ちゃん、今日のご飯なにー?」
男「喜べ妹よ、なんと焼肉だぞ焼肉!」
妹「ほんとーっ!?やたー」ピョンピョン
幼馴染「妹ちゃんよかったね~!」
妹「うんっ♪あ、ねえ幼馴染ちゃん、私の部屋行こー!」
男「おいおい、もう飯だぞ」
妹「制服着替えてくるだけだもーん!行こ、幼馴染ちゃん」
幼馴染「あははっ、うん、行こー!」
男「あいつら…ホントに仲いいな」
姉「ええ、そうね。まるで本当の姉妹みたい」ヌッ
男「うおっ」ビクッ
姉「ご飯炊けたわよ。早く来なさい」スッ
男「…あーびっくりした。気配消して近付くなよな~全く」
「「いただきまーす」」
男「まずはタン塩からだろ!」ジュー
妹「あーっ、お兄ちゃんずるーい!私そのお兄ちゃんが焼いてる美味しそうなお肉が食べたいっ!」
男「ばかめ!こういうのは早い者勝ちって決まってるんだよ」ジュー
妹「うぅー。別にいいもん!私この霜降りお肉トッピしちゃうから♪ほらほら幼馴染ちゃんも!」ササッ
幼馴染「あ、うん。ありがとー!」
男「なにィー!?貯肉は無しだろ?」ジュー
母「あんた達ー、お肉は沢山あるんだから仲良く食べなさいよー?んくっ…んくっ…」ゴクゴク
幼母「うふふ、あっちの子供達の席は賑やかでいいわね~」
母「ぷはーっ!賑やかすぎよ。私達は私達で今日は久々に飲むわよー!」
幼母「あらあら、明日起きられるかしら~」
男「よし…そろそろかな?」ジュー
姉「………男」ツンツン
男「ん?なに姉ちゃ--ガボッ!?」カツッ
男「うあっづうぁぁー」ピチャッ
姉「私が作ったわかめスープ…美味しい?」
男「美味しい?…じゃねえっての!いきなり何すんだよヤケドしそうになっただろ!」
姉「はむはむ…美味し♪」
男「って、それ俺が大事に育ててたタン塩ぉ~!」
姉「お姉ちゃんファーストよ」
男「うぅ…なんて事だ」
幼馴染「男ちゃん」ツンツン
男「なんだよぅ」
幼馴染「はい、どうぞ♪」
男「ま、まさかそのタン塩……恵んでくれるのか?」
幼馴染「うんっ!だから、あ~ん」
男「お…幼馴染ぃー」ガバッ
幼馴染「あぅ…お、男ちゃん///」
妹「お兄ちゃんのえっちー」
男「うるせい」
姉「………」カシャッ
男「へっ?」
姉「………」ポパピプペ
男「………」
姉「………」ユーガッメー
男「………」
姉「………く…ぷぷっ…」プルプル
男「誰にメールしたぁーっ?!」
ギャーギャー
幼馴染「………///」ポー
妹「幼馴染ちゃん」チョン
幼馴染「あ、妹…ちゃん?」
妹「やったね♪」グッ
幼馴染「………うん///」
姉「………」
~翌日~
ドンッ
幼馴染「はうっ」ドタッ
男子A「あっれ~?今何かにぶつかったかな?」
幼馴染「いたた…」
男子B「気のせいだろwww」
幼馴染「あの…男子Aくん、ごめんなさぃ」
男子C「うおっ、幼馴染さんいたんだ!」
幼馴染「はい…」
男子A「いやぁ、俺の方こそぶつかっちゃってごめんね~www」
幼馴染「いえ」
男子A「ははっ……あーあ、菌がついちまったよ」
幼馴染「?」
男子B「おいおいそれやべえだろwww」
男子C「幼馴染菌かよwwwww」
幼馴染「えっ、あの…」
男子A「おらっ、ターッチ!」ペチッ
男子B「うわあぁっ!ざけんなっ!タッチ」
男子C「はい残念www俺バリヤー中wwwww」ガキーン
幼馴染「幼馴染菌って…」
男子B「くっそ~、しゃあねえ奥の手使うか…」スタスタ
幼馴染「えっ、あ、あのっ……なんですか?」ビクッ
男子B「………」ガバッ
幼馴染「ひゃっ!?」
男子B「幼馴染菌パワーアーップ!」ギュ
幼馴染「や…」
男子B「……う~ん、なかなか良い匂いがしますなぁ」クンクン
幼馴染「や…やあぁっ!」グググ
男子B「お、女の子って…柔らかい」スリスリ
幼馴染「やめてください…!」グスッ
男子B「おっと悪い!幼馴染さんごめんね!躓いちゃってさwww」
幼馴染「え…?」グスッ
男子B「だからー、躓いちゃったんだって!ごめんねー」
幼馴染「………はい」クスン
男子B「よっしゃー!これでバリヤー無効だぜ!ターッチ」ペチッ
男子C「うわーやられたわwww」
男子A「スーパーバリヤー!」ガキーン
男子B「同じくスーパーwwww」ガキーン
幼馴染「………」グスッ
男子C「しょうがねえ……俺も菌倍増させるしかねえよな」ニヤリ
幼馴染「あ、あの……私…」ビクビク
男子C「うわっ、こけたー!ちょ、幼馴染さんどいてー!www」ガバッ
幼馴染「ひゃうぅ…」
男子C「いてて、ごめんね幼馴染さん!」ギュー
幼馴染「あのっ…ど、どいてください…!」グググ
男子C「わかってるわかってる!よいしょっと」サワッ
幼馴染「っ!」ブルッ
男子A「ケツ触りやがったwww」
男子B「セクハラ野郎wwwww」
男子C「いやぁ、わざとじゃないんだけど手が当たっちゃったみたいねwww幼馴染さんめんごwwwww」
幼馴染「うぅ…男ちゃぁん」ヒック
男子A「次は俺のターンだな」ニヤニヤ
幼馴染「や…もぅやだぁ…」ポロポロ
ガラララ
男「ブレーキをがま~んし~て~い~し~こ~ろをか~わ~して♪」
男「泣きそうな…ん?」ピクッ
幼馴染「男…ちゃ…」ポロポロ
男(めっちゃ泣いてる…!?)
男「まぁたなんかやられたのか?」
幼馴染「男ちゃぁん」タッ
男「おっと、急にどうした?」ナデナデ
幼馴染「うぅ…」グスッ
男子A「ちっ、めんどくせー奴が帰ってきやがった」
男「ん?」
オタク「ハァ…ハァ…幼馴染たん…」
デジカメ「………」ジー
男「ちょっと見ーせて!」ヒョイ
オタク「あぁっ!今とっても大事な泣き顔シーンを撮っていたんだな!返して欲しいんだな!」
男「まぁまぁ、ちょっと何があったか見るだけだからさ」ポチポチ
デジカメ「…ターッチ」
男「………………」
デジカメ「…もぅやだぁ………」ピッ
男「………オタクさんきゅ」
オタク「フゥー、感謝するくらいならさっさと返して欲しいんだな。続きを早く撮らねば--」
男「………」シュッ
オタク「うごふっ」ガスッ
男「黙って撮影してたてめえも同罪だ」
男「そして…」
男子ABC「うっ…」
男「汚物は消毒だーっ!」
~放課後~
幼馴染「男ちゃぁん…男ちゃぁん…」グスッ
男「だ~いじょぶだって!あいつらは俺が十分に修正してやったからさ。な?」
幼馴染「うん…。でも、怖かったよぅ~」
男「そうだよな、怖かったよな…。守ってやれなくて、ごめんな」
幼馴染「あっ、ううん!全然男ちゃんが謝る事じゃないよ!男ちゃんは私をちゃんと助けてくれたよ!私が…」
男「ん?」
幼馴染「私が、男Aくん達に何か嫌われちゃうような事をしちゃったからいけないんだよ…」
男「………ぷっ」
幼馴染「え…男ちゃん?」
男「あはははっ………はぁ。あのなぁ幼馴染」
幼馴染「?」
男「お前みたいなお人よしが人に嫌われる事なんか絶対にないっつーの!」ツン
幼馴染「ひゃん」
男「あいつらの場合は逆なんだよ。好きな子ほどイジメたくなるってヤツ。ほんとガキは困るね~」
幼馴染「でも…幼馴染菌ってぇ」ジワ
男「ば~か。お前についてる菌なんてせいぜいバカ菌とかアホ菌くらいしかねえよ」
幼馴染「むぅ…バカ菌とかアホ菌って、男ちゃんひど--」
男「それに…」ポンッ
幼馴染「ふわぁ」
男「もし菌があったとしても、こうやって俺が吸い取ってやるから平気だろ?」ナデナデ
幼馴染「………うん。男ちゃん、ありがと///」
?「………っ」ギリ
~翌日・校門~
男子ABC「すいやせんっしたぁ!」ズザァー
幼馴染「えっ、え?あの…」
男子ABC「ほんっとーに、さーせんっしたぁ!」ズザァー
幼馴染「え…あのっ、私もう気にしてませんから…!だから頭を上げてください!」
男「おう、お前らよかったな。許してもらえたみたいだぞ」
男子ABC「アニキ、おざーっす!」
男「おう。で、けじめはつけたのか?」
男子ABC「………」
男「ま、そっちに関しては俺は関係ないけどな」
男子A「……幼馴染さん、もう俺達心を決めました!」
幼馴染「?」
男子B「回りくどい事はやめにします!」
男子C「そして、漢らしく散ってみせます!」
幼馴染「? えと…それはどういう…」
男子ABC「幼馴染さん」
幼馴染「は、はいっ」ビクッ
男子A「ずっと好きでした!俺と付き合ってください!」
男子B「俺も幼馴染さんが好きです!俺とお付き合いしてください!」
男子C「俺が一番幼馴染さんを愛しています!だから俺の彼女になってください!」
男子ABC「オナシャス!」
幼馴染「えっ、あの、あの……ありがとうございます。で、でも…私、好きな人がいるんです!だから、ごめんなさい」
男子ABC「うぅ…やっぱり」グスッ
男「ズッコーンwww」
男子ABC「っ!」キッ
男「うっ、なんだよお前ら…」
男子A「幼馴染さんを…たのんます」グスッ
男子B「お二人の事、応援する事にします…うぅ」グスッ
男子C「敗者は語らず…ただ去るのみ……アニキ、お幸せに!」グスッ
男(こいつら実はかなり本気だったな…)
男「……ふぅ。なぁ幼馴染、お前の好きな奴ってさ」
幼馴染「あうぅ///」
男「もしかして--」
幼馴染「あああ、あのっ!男ちゃん私、先行ってるね!」テテテッ
男「あっ、おい!……はぁ」
男子ABC「はぁ」
男「………なんだよ」
男子ABC「ヘタレ」
男「うるせっ。お前らも新しい恋見つけろよな!例えばお前らにも幼馴染みくらいいるだろ?」
男子ABC「俺らの幼馴染み…」チラ
G子「はぁ…ふぅ…あー今日もあっついわぁ」ハァフゥ
男・男子ABC「………」
G子「ん?あんたら何見てんのよ!」
男「い、いや、別に…!」
男子ABC「………」
男「正直すまんかった…」
男子ABC「………」
男「………お、俺らも教室行こっか」
男子ABC「………うぅ」グスッ
男(あいつが幼馴染みでよかった)ホッ
キーンコーンカーンコーン
男「やっべ、予鈴鳴っちまった!ったく、あいつらふて腐れて結局は全員揃って帰りやがって」
男「ん?」
幼馴染「………」
男「どうしたんだ?」
幼馴染「あ、男ちゃん…」
男「何でこんなとこに突っ立ってんだ?もう予鈴鳴ったぞ」
幼馴染「…うん」
男「早く上履きに履き変えて……って、あれ?幼馴染、上履きは?」パカッ
幼馴染「うん……なくなっちゃった…えへへ」
男「なっ…?!なくなったって何だよ!」
幼馴染「……わかんない。私も上履きに履きかえようとして下駄箱のフタ開けたんだけど、最初から上履き入ってなかったの…」
男「はぁ!?くっそ誰が……あ」
男(……いや、男子ABCはもうこんな上履きを隠したりなんて女々しい事はしないハズ)
男(…………まさか、な。ま、一応見てみるか)
男「なぁ幼馴染、ちょっとあっち向いててくれるか?」
幼馴染「え…男ちゃんなんで?」
男「いいからいいから、あっち向く!回れー右!」
幼馴染「は、はいっ」クルッ
男「………」ガタッ
男(……案の定下駄箱の上にあったか。しかも画鋲まで仕掛けてやがる!ちっ、誰だよくそっ!)
男「……あーっ!」
幼馴染「えっ、どうしたの?」ソワソワ
男「はぁ……ったく、お前はホントにドジだな」
幼馴染「え?」
男「ほれ!」
幼馴染「あ、上履き!ありがとう男ちゃん!でも、どこにあったの?」
男「一段上の奴んトコ!入ってたぞ」
幼馴染「えっ……一段上のところ?」
男「そっ。今度からは間違えないようにしないとな!ほれ、急がないと遅刻だぞ?」
幼馴染「…う、うんっ!」
?「………くすっ」
~翌日~
幼馴染「あははっ、男ちゃんそれ変だよ~」
妹「でしょでしょ?お兄ちゃん変だよねー!」
男「そっか?……あ、やべえ!俺そういえば今日日直だったんだ!」
姉「あら、そうなの?」
男「ああ!って事で、お先に~」ダッ
姉「あ…、私のバッグは置いて………行っちゃったわ」
幼馴染「……あれ、男ちゃんって今日日直だったかなぁ?」
妹「違うの?」
幼馴染「うん。確かまだ先だったと思うんだけど」
妹「なーんだ!相変わらずお兄ちゃんはあわてんぼさんだよねっ」クスッ
姉「全く困った子ね。バッグ返して貰わなくちゃ」ポパピプペ
妹「ああ…お兄ちゃんかわいそう。こんな人使いが荒い人なんかがお姉ちゃんで。自分の部活道具なんだから自分で持てばいいのに」
姉「嫌よ。どうして私があんな重いテニスバッグなんて持たなきゃいけないのよ」
妹「はぁ…わがままなお姉ちゃん」
姉「男はああ見えて私に使われる事を喜んでいるのよ?だからいいの」
妹「本当は嫌がってるに決まってるもん。お姉ちゃんに逆らったら怖いから言うこときいてるだけ!ね、幼馴染ちゃん!」
幼馴染「あはは…どうだろうね~」ハハ
~昇降口~
男(……もしかして今日も隠されてるなんて事ないよな)
男(でも昨日のは明らかに隠された感じだったし。……画鋲まで仕込まれてやがった…くそっ!)
男(もしこれでまた隠されてたりしたらどうすりゃいいんだよ……あいつの悲しむ顔なんて見たくないぞ俺は)
男「………」
男(よし、開けるか…)パカッ
上履き「やぁ」
男(よかったあった~!……って、あるのが普通なんだっての。…画鋲も仕掛けられてないな)
男(そもそもあいつが本当に嫌われるとかイジメに遭うだとかは考えられん)
男(他の誰かと間違えられてたんだろきっと。まぁ誰にするにせよ、画鋲とかは流石にやり過ぎだと思うが)
男(でも、とりあえず今朝のところは一安心だな)
携帯「………」ヴ-ヴ-
男「ん、姉ちゃんか。なになに………あっ、姉ちゃんのバッグ持ってきちまってたのか」
男「しゃあない。昇降口のわかりやすい所に置いておくよっと…」ポパピプペ
携帯「………」ヴ-ヴ-
男「……はいはいわかったよ。わかってたよ!あーもう暑いってのに」スタスタ
?「………」ニヤリ
~校門~
妹「あっ、お兄ちゃんだ!」
ドドドドド…
男「はぁはぁ…ったく、わざわざ俺が持って来なくても置いときゃいいだけだろ~?」
妹「そうそう!ほんっとお姉ちゃんはわがままだよね。こんな暑い中、急いで走らされてお兄ちゃんかわいそう」
幼馴染「男ちゃん暑そうだねぇ。はい、ハンカチどうぞ♪」スッ
男「あ、いいのか?すまんな」フキフキ
姉「……男」チョイチョイ
男「ん、なんだ?」
姉「よしよし、本当に良い子ね。素直にお願いきいてくれる子はお姉ちゃん大好きよ♪」ナデナデ
男「ぐっ…やめろよ恥ずかしいな」
姉「あら、恥ずかしがる事ないじゃない。ほら、ぎゅ~」ギュー
男「むぐぐ…」
姉「すりすり~」スリスリ
男「ちょ…やめ……ホントに恥ずいって!」
妹「いい加減は・な・れ・な・さ・い!もうっ」グイッ
姉「あんっ、もう妹は意地悪ね」
妹「幼馴染ちゃんも文句言った方がいいよ?お姉ちゃんすぐ調子に乗るんだから」ブツブツ
幼馴染「わ、私は別に…」
妹「あっれ~、そんな事言ってていいの?お兄ちゃん取られちゃうよ?」
幼馴染「はうっ、それは…でも男ちゃんには…」
妹「取られたら取り返せばいいんだよっ!……こうやって♪」グイッ
男「痛っ、急に引っ張るなって」
妹「油断してる方が悪いのー!」
男「…ったく、意味不明だっての。ほれ、さっさと教室行くぞ」グイッ
幼馴染「ひゃうっ」
妹「ひゅー、ひゅー!アツいねぇ!」
姉「……はぁ、あの子達が羨ましいわね」
妹「お姉ちゃん、あの子達って誰の事?」
姉「わかってるくせに」
妹「……まぁね」
姉「でもそんな些細な事…私には関係のない話だわ」
妹「じゃあ、私にも関係なーい♪」
姉「ふふっ、イケナイ子ね」
~昇降口~
男「ほんっとわがままな姉ちゃんで困るぜ」
幼馴染「色々とお願いしちゃうのは、それだけ弟の男ちゃんが可愛いからなんだよきっと」
男「からかって遊んでるだけだと思うけどな。はぁ」パカッ
幼馴染「それもあるのかもね~。男ちゃんの反応ってなんだか可愛いんだもん♪」
男「可愛いとか言うなっての!ったく」
幼馴染「あはは、ごめんね~……っ!?」パカッ
男「やれやれ、弟は辛いよ………ん、幼馴染どうした?」
幼馴染「えっ!?………な、なんでもないよ!」
男「?」
幼馴染「……男ちゃん、私ちょっと用事があるの。だから、先に教室行ってていいよ!」
男「ん?先に行ってていいって何を………っ!」パカッ
幼馴染「あっ、男ちゃ…」
男(下駄箱の上…っ)
男「………」ガタッ
男「…くっ」
幼馴染「あ、あはは……また間違えちゃったのかなぁ?」
男「……幼馴染」
幼馴染「な、なぁに男ちゃん?」
男「ごめん」
幼馴染「えっ、何で男ちゃんが謝るの?」
男「……ちょっと待ってろよ。スリッパ借りて来るから」
幼馴染「あ…うん。ありがとう…」
男(陰湿な真似しやがって!誰だよ…くそっ!)
?「………ふふっ」
~教室~
ガラララ
男「そんじゃな」
幼馴染「うん」スタスタスタ
男「………」ガタン
男(誰が…なんでだよ…あいつが何をしたってんだ……くそっ)
幼馴染「いやぁぁぁ!」ガタッ
男「っ!? 幼馴染、どうした!?」
セミ「ミミミ…ミミッ」
男「せ…み?」
幼馴染「うぅ…男ちゃん……ひっく…机の中に……セミがぁ…ぐすっ…」
男「ちっ…!」ガシッ
ガラララ
男「………」ポイッ
セミ「ミミッ」パタパタパタ
幼馴染「うえぇ…」ヒック
男「ほれ。幼馴染、もう外にやったから大丈夫だって」
幼馴染「ありがと……ぐすっ…」
男「……おいっ!幼馴染の机にセミなんか入れやがったの誰だ!」
教室内「………」シーン
男「ちっ」
委員長「男くん、ちょっと」チョイチョイ
男「ん?」
男「どうかした?」
委員長「うん…実は今朝こんな事が黒板に書いてあって。もう私が消しはしたんだけど…」スッ
携帯「『幼馴染はヤリマンビッチ』」
男「!?」
委員長「私が教室に一番乗りで…男くんには知らせといた方がいいと思ったから写メったんだ」
男「……そっか。委員長、ありがとう」
委員長「ううん。……ねえ、幼馴染に何かあったの?」
男「それはこっちが聞きたいくらいなんだよな」
委員長「…そうだよね」
男「こんな事が続くとは信じたくないが…委員長、これからも幼馴染を助けてやってくれ」
委員長「あ、うん。それはもちろん!」
男「ありがと」
~昼休み~
男(次はゴミ捨て場から見てみるかな)タッタッタ
別クラス女子「男く~ん!」パタパタパタ
男「うっ…よ、よう」
別クラス女子「やっと捕まえました~!もぉっ、休み時間の度にいないんですから!」プンプン
男(やばい…今はコイツからは逃げねば)
別クラス女子「ちょっと来てください!お話したい事がたくさん--」
男「ごめん!急いでるから」ダッ
別クラス女子「あ、待って~!ふえぇっ、待ってくださぁい」グスッ
男(すまん…)タッタッタ
別クラス女子「うぅ…男くん、絶対に私の事ストーカーだと思ってるよぉ」グスッ
?「別クラス女子さん」スッ
別クラス女子「ふぇっ?あのぅ、なんですかぁ?」
?「あなたが知りたがってる事教えてあげる」クスッ
~昇降口~
男「はぁー」
男(ゴミ捨て場にも体育館の屋根にも部室棟の屋根にもないか)
男(もう捨てられちまったのかな…)
男「鍵でも付けろってか?はは…笑えないし。とりあえずあいつの靴は無事だろうな?」パカッ
セミ「ミミッ…ミミミッ」パタパタパタ
男「うおっ!びびった~…ってかまたセミかよ」
男「上履き隠したりセミ仕込んだり、小学生かっての」スッ
上履き「やぁ」
男「……そして上履きは戻ってきてる、と。買い直さないで済んだって喜べばいいのか?……くそやろうが」
キーンコーンカーンコーン
男「幼馴染、今日は念のため上履きは持って帰るんだぞ!」
幼馴染「うん!今日はありがと~男ちゃん」
男「あ、いや気にするなよ。……って、気にするよな…」
幼馴染「ううん、私は大丈夫だよ…!だって、いつも男ちゃんが守ってくれるから♪」
男「……まぁな!俺らは幼馴染みだからな!」
幼馴染「うん♪」
女「…男」
男「ん?あ……なんだよ女」
女「なによ、そんなあからさまに嫌そうな顔しなくてもいいいじゃない」
男「別に………で、何?」
女「はぁ…お客さんよ」
男「客?」クルッ
別クラス女子「お~い、男く~ん♪」フリフリ
男「ぐ……」
女「それじゃ、さよなら」
男「…ああ」
別クラス女子「お~い」ニコニコ
幼馴染「……男ちゃん、行かないの?」
男「…行く。じゃあ幼馴染、気をつけて帰るんだぞ?」
幼馴染「あはは、大丈夫だよぉ」
別クラス女子「男く~ん」フリフリ
男「そんじゃお先な!」
幼馴染「うん…!バイバイ」フリフリ
別クラス女子「………」フリフリ
ガチャ
男「ただいま」
女「お帰りなさい。遅かったのね」
男「………」
女「あがらないの?」
男「いや、なんでお前がいるんだ?」
女「いけないの?」
男「いいとかいけないとかそういうんじゃなくて、なんでお前がウチにいるのかって聞いてるんだよ」
女「来たいから来ただけよ。いけないの?」
男「来たいから来ただけって……一体なんのつもり--」
姉「部活終わってそのまま連れて来たのよ。お姉ちゃんが無理矢理にね。何か文句があるのかしら?」
男「ぐ……なら勝手にしろよ。俺は関係ないからな!」スタスタスタ
姉「もう、男ったら!」
女「お姉さん、ごめんなさい…」
姉「こぉら!女が謝る事なんて何もないでしょ?悪いことなんて何にもしてないんだから」
女「でも…」
姉「そんな悲しそうな顔しちゃだーめ!私は委員長の事、とっても出来の良い後輩だと思ってるのよ?」
女「え、あの…後輩……ですか?」
姉「だって女って才色兼備な所だけじゃなくて何から何まで本当に私と似てるんだもの。まるで昔の私を見てるみたい!他の子に嫉まれる所までソックリ♪」
姉「そんな自分みたいな子、可愛いと思わずにはいられないわよ……と同時に、本当の妹みたいに思ってるんだから。だからつまらない事を気にするの禁止よ♪」ツンッ
女「はぅっ…。お姉さん、ありがとうございます…」
姉「うんうん!やっぱり女は素直で可愛いわね♪可愛い子には……ぎゅ~」ギュッ
女「きゃっ」
姉「よしよし!いい子いい子~」モミモミ
女「んん…っ……お、お姉さんっ///」
ガチャ
妹「たっだいま~」
姉「あら、お帰りなさい」モミモミ
女「はぁ…はぁ……んっ……い、妹…さん、お帰りなさい」ハァハァ
妹「あはっ、先輩いらっしゃーい!またお姉ちゃんにイジメられてるんだー」
姉「イジメてるだなんて失礼ね。スキンシップは大切なのよ?ねっ♪」キュッ
女「ぁんっ……お、お姉さんっ///」ビクンッ
妹「………うーわー。ごゆっくり~」スタスタスタ
~2階・男の部屋~
男(女連れて来るとか…姉ちゃんは何考えてんだよ)
男「………いい加減に諦めてくれよなぁ」
トントン
男「?」クルッ
女「トントン」ニッコリ
男「なっ、何してんだよ!」
女「あなたを呼びに来たの。お夕飯できたから」
男「だからって勝手にドア開けるなよな!」
女「最初から開いてたのよ?」
男「く……わかったから先に降りてろよ」
女「わかったわ。ちゃんと降りて来てね」
男「………」
女「……あっ、あと一つ言うことがあったんだ」
男「………なんだよ」
女「私……絶対に諦めないからね。あなたの事」
男「な……」
女「それじゃ、待ってるから」スッ
男「………聞こえてたのかよ。くそぅ」
~1階・リビング~
ガチャ
妹「あ、お兄ちゃん遅い!早く席に着いてよ」
男「はいはい悪かった悪かった」
姉「男の席はそこよ」
男「ん?」
女「はい、ここに座って」ポンポン
男「………はぁ、はいはい」ガタン
男「あれ、そういえば母さんは?」
妹「もう、今日から出張って言ってたでしょ」
姉「うん、女がね。今日のはぜーんぶ女の手作り♪」
男「………」
女「男が美味しいと思ってくれたのなら、とても嬉しいわ」
男「……ま、確かに旨かったよ。今度は彼氏にでも作ってやれよな」スタスタスタ
姉「あ、ちょっと」
男「あー、皿とか後片付けは全部俺がやるわ。姉ちゃんは女送ってやれよ」ジャー
姉「だめ。あんたが送って行きなさい」
男「俺、今皿洗いで忙しい」カチャカチャ
女「私も手伝います」
男「いい」キュッキュッ
女「でも…」
男「………」カチャカチャ
姉「いいわ。女、男がお皿洗い終えるまで待ってましょ!男、あんたが送ってあげなさい。いいわね?」
男「………はぁ」カチャカチャ
男「そうだっけ。……おっ、今日は肉じゃがか!それにサラダも旨そうじゃん」
姉「腕によりをかけて作ったから、遠慮しないでいっぱい食べなさいね」
男「おう!そんじゃ、いただきまーす」
男「ぱくぱく……もぐもぐ……」
姉「どう?美味しい?」
男「ああ、めちゃくちゃ旨い。姉ちゃん、得意料理を『肉じゃが』って言ってもいいくらいだぜ」ガツガツ
姉「そう、よかった」
男「?」
男「あー、食った食った。ごちそうさん」
女「…お粗末様でした」
男「え?」
姉「ごちそうさま女。とっても美味しかったわよ」
女「いえ、お姉さんに比べたら私なんて全然…」
男「姉ちゃん、腕によりをかけて作ったとか言って…」
妹「お兄ちゃん、私もついていってあげる♪」
姉「妹はお姉ちゃんと一緒にお留守番よ♪」
妹「そんなぁ~」
女「それでは、お邪魔しました」
姉「ええ、また来てね…っていうより、私が連れて来ちゃうかな♪」
男「………先行くから」スタスタスタ
妹「あっ、お兄ちゃん、帰りにプリンとアイス買ってきてねー!」
女「わ、私ももう行きます」
姉「ええ、気をつけてね」
女「はい。お姉さん、今日はありがとうございました」
姉「ううん、こちらこそ美味しいお夕飯ごちそうさま。私は女の事、応援してるからね!」
女「はい…!………い、妹さんも、お休みなさい」
妹「……先輩バイバイ」フリフリ
女「……では」ペコリ
タッタッタ…
妹「………お姉ちゃん」
姉「なぁに?」
妹「本気で応援してるんだ。先輩の事」
姉「そうよ」
妹「……そっかぁ。先輩かぁ」
姉「どうかした?」
妹「んーん、なんでもなーい」
姉「そっ、ならいいけど」
女「………ねえ、男」
男「………」
女「やっぱり怒ってる?」
男「……何を?」
女「今日私がお家へお邪魔しちゃった事」
男「別に」
女「本当?」
男「嘘ついてもしょうがないだろ」
女「……うん。ごめんなさい」
男「………」
女「……ねえ、男」
男「……なんだよ」
女「手……繋いでもいい?」
男「ダメだ」
女「……じゃあ、いつになったら繋がせて貰えるの?」
男「………」
女「………」
男「…何で俺なんだよ」
女「好き……だから」
男「………もっと自由に生きろよな」
女「自由に…生きてるわよ。私は…自分の気持ちに素直に生きてるだけ」
女「あなたこそ…私から逃げないでよ」
男「逃げてねえよ」
女「逃げてるじゃない!」
男「………」
女「ちゃんと見てよ。私の事…一人の女の子として」
男「……俺は、自分の事は自分で決めるんだ。周りなんて関係ないさ」
女「その言葉…信じてる」
男「………」
女「私の気持ちはずっと変わらないから」
男「………」
女「………」
男「じゃ、着いたから」スタスタスタ
女「送ってくれてありがとう。男も気をつけて帰ってね」
男「………ああ」スタスタスタ
女「………」フリフリ
女「………男」
女「私、どうしたらいいの?」
~後日~
体育教師「今日は初日だからずっと自由時間にするが、くれぐれも事故のないように!以上」
キャハハ イヤーン
男(やっぱプールは最高だぜ)
女「………」
モブA「女さんの水着姿楽しみにしてたのになー」
モブB「まさか見学とはな。くそぅ」
男(………ま、俺には関係ないがな)
幼馴染「ひゃ、冷たーい!」
男(…あいつも楽しんでるみたいだな)
委員長「また幼馴染の事見てるの?」ヒョコ
男「わっ、委員長!?」
委員長「んー?あ、男くん目がエッチだゾ?」
男「ご、ごめん」バッ
委員長「くすっ、いいよ別に。でさ、あれから何かあった?」
男「…幼馴染の事?」
委員長「うん」
男「あれから何回かセミを仕掛けられたりはしたみたいだが、今ではカワイイとか言ってるくらいには慣れたらしい」
委員長「ふふっ、なにそれ」
男「まぁなんていうか、今は平気かな。だいぶ落ち着いてきた」
委員長「そう。よかった」
男「委員長も、いろいろと気遣かってくれてありがとな!」
委員長「ううん、そんなの当然だもの。クラスの仲間なんだし、これからも私に出来る事があれば協力するから」
男「ありがとう」
委員長「はぁ……でも妬いちゃうなぁ」
男「ん?」
委員長「こんなにも男くんに想われてるなんて、幼馴染が羨ましいかも」
男「ばっ、な、何言ってんだよ!」
委員長「あはは、冗談よ。……半分ね」ボソッ
男「?」
委員長「幼馴染かぁ………あれっ、幼馴染の様子が変じゃない?」
男「え?」
幼馴染「……っ///」
委員長「なんか水中に隠れるみたいに体勢低くして…」
男「あ、あれって……肩紐が切れてるじゃねえかっ!」ダッ
ザワザワ…
ゴブリン「やべっ、俺勃ちそう」
サタン「くっそー幼馴染ちゃんのポロリ見逃したー」
ゴリポン「俺ずっと見てたが、ありゃ無理だべ。ガード堅すぎたわ」
エルフ「幼馴染ちゃんの生肩エロすぎるわ」ハァハァ
幼馴染「あぅ……なんでぇ…///」
男「幼馴染ーっ!」
幼馴染「あ…男ちゃんっ!うぅ~」グスッ
男「泣いてる場合じゃないだろ!ほれ、バスタオルは用意してあるから、ゆっくり上がって来い」
幼馴染「うう…ありがとう~」グスッ
女「………」
男「これ……ハサミで切られてるじゃねえか」
幼馴染「……うん」
男「着替えてる時に気付かなかったのか?」
幼馴染「うん。全然」
男「……くっそ、誰がこんな事」
幼馴染「男ちゃん」
男「ん?」
幼馴染「ごめんね」
男「は、何がだよ?」
幼馴染「こうやっていつも面倒に巻き込んじゃって…」
男「面倒って…何言ってんだよ!お前は被害者なんだぞ。もっと怒っていいんだぞ!」
男「今回も水着なんかに細工して…下手したらクラスの連中に裸を見られてたかも知れないのに」
幼馴染「うん…。でも私ももしかしたらって、イタズラされちゃうような心当たりはあるの」
男「心当たり?どんなだよ?」
幼馴染「それは……男ちゃんには言えないよ」
男「なんだよそれ!」
幼馴染「ごめんね。でも、男ちゃんには…言いたくない」
男「………」
幼馴染「ごめんね。助けてくれてるのにわがまま言って」
男「わかった。……でも、これからも助けるからな。お前にいいって言われたとしても勝手に」
幼馴染「うんっ、ありがとう。男ちゃん、期待してるね♪」
~休み時間~
ザワザワ…
男(ん?なんだこの騒ぎは)
幼馴染「うぅ……ひっく…」ポタポタ
男「っ!?幼馴染、お前何して…」
幼馴染「男…ちゃん……ぐすっ」ポタポタ
男「なんでずぶ濡れ……」チラ
幼馴染「ひっく……ぐすっ……」
男「……トイレで何かあったのか?」
幼馴染「…う…ん。いきなり上から……ひっく…雑巾…と……水が……」グスッ
男「~~~ッ!?」
男「もういい!もういいから!こっち来い!」グイッ
男(こんな酷い事………犯人は誰だよ)
幼馴染「うぅ……ひっく…」
男(誰なんだよォくそがっ!)ギリ
男(落ち着いてきたと思っていた幼馴染へのイジメ……それはその日を境にさらに酷いモノへとなっていった)
男(机には、セミなんかではなく、どこから見付けてくるのか…ゴキブリやトカゲの死骸が入れられたりする事も多くなった)
男(職員用トイレの使用が許可され、水をぶっかけられる事も無くなったに思われたが、それも一時的なモノだった)
男(酷い時にはゴミ箱をひっくり返され、頭から埃だらけの姿で泣いてる幼馴染を見付けた事もある)
男(誰にやられたのか聞いても、幼馴染は頑として口を開こうとはしなかった)
幼馴染『ごめんね…男ちゃん……ごめんね……』
男(泣きながら何故か謝ってくる幼馴染。被害者は自分なのに)
幼馴染『男ちゃん、今日のスイカはすっごく甘くて美味しかったねー♪』
男(たまの一緒に食べる夕食の感想を、普段のイジメなんてないかのように笑顔いっぱいに言う幼馴染)
幼馴染『私、平気だよ?男ちゃんが傍にいて、助けてくれるから♪』
男(まともに助けてあげる事も出来ていない俺に、そう言いながら笑顔を振り撒く幼馴染)
幼馴染『ひっく……男…ちゃん……ぐすっ……』
男(泣きながら、弱い自分をとことんまで見せてくれる幼馴染)
男(俺は悔しい…。幼馴染をこんな悲しい顔にさせてる奴に…そして、笑顔の幼馴染を守る事も出来ない自分に腹が立ってしょうがない)
男(俺は、幼馴染に何をしてあげられるのか……そんな事ばかり考えていた)
キーンコーンカーンコーン
男「幼馴染、今日も一緒に帰ろうか」ガタッ
幼馴染「うんっ♪………あ、今日は用事がある日だったんだ。だから男ちゃん、ごめんけど今日は一緒に帰れないかも」
男「どんな用事なんだ?少しくらい待つぞ」
幼馴染「ガールズトーク…ってやつ!今日は結構長引いちゃうと思うから、やっぱり先に帰ってて?」
男「そっか…なら仕方ないな。そんじゃ、お先な~」
幼馴染「うん♪……バイバイ」フリフリ
女「………」
女「………」ポパピプペ
男「なんか一人で帰るのって久しぶりだよなぁ」
『ふえ~ん!せっかく男くんから誘って貰えたのに今日に限って大事な用事があるんです~』
男「あいつともこのままズルズルいくのはダメだよな…お互いのためにも」
『あなたこそ…私から逃げないでよ』
男「……正直、完全に見抜かれてるわな。どんだけ似てるんだよ」ハァ
携帯「………」ヴーヴー
男「ん、着信?………げっ、姉ちゃん!」ピッ
男「何か用……今は帰り道。ああ、ちょうどあの駄菓子屋んとこだけど。……は?いや、一緒に帰るって…姉ちゃん部活あんだろ!」
男「部活終わるまで待ってろって…どんだけ時間かかるんだよ!そんなに待てねえよ。いやだから無理だって」
携帯『一人で帰ったら…あとで酷いわよ?』ピッ
男「………戻るか」
携帯「………」ヴーヴー
男「今度は誰から……妹か」ピッ
男「もしもし」
携帯「………」ヴーヴー
男「ん、着信?………げっ、姉ちゃん!」ピッ
男「何か用……今は帰り道。ああ、ちょうどあの駄菓子屋んとこだけど。……は?いや、一緒に帰るって…姉ちゃん部活あんだろ!」
男「部活終わるまで待ってろって…どんだけ時間かかるんだよ!そんなに待てねえよ。いやだから無理だって」
携帯『一人で帰ったら…あとで酷いわよ?』ピッ
男「………戻るか」
携帯「………」ヴーヴー
男「今度は誰から……妹か」ピッ
男「もしもし」
~旧体育館~
ガララララ
幼馴染「………」スタスタスタ
幼馴染「………」
モブ女A「男くんは?」
幼馴染「先に帰ってもらったよ」
モブ女B「本当に?」
幼馴染「うん」
別クラス女子「本当なんですか?」
委員長「ええ。彼が帰った所は私も確認したわ」
幼馴染「ね?言ったでしょ」
モブ女A「うるさいっての」シュッ
幼馴染「っ……」バインッ
モブ女B「流石はバレー部」
幼馴染「……今日はボールぶつけるの?」
モブ女A「それもいいかもね」
モブ女B「ボールは沢山あるしね♪」
幼馴染「……いいよ」スッ
モブ女A「てめえ、調子のんなよ!ほんとにやるぞっ?!」
幼馴染「………」ビクッ
モブ女B「ぷっ、ビビってんじゃんwww」
委員長「ふぅ、やめなよ。今日は話しに来てもらったんだから」
幼馴染「今更何か話す事でもあるの?」
委員長「……いつも言ってるわよね。これ以上調子に乗った事はしないでって」
幼馴染「調子に乗った事って?」
委員長「あんた、この子と男くんが付き合ってるの知ってるわよね?」
別クラス女子「………」
幼馴染「知ってるよ」
委員長「そう、じゃあ話は早いわね」
幼馴染「でも付き合ってるフリ…だよね」
別クラス女子「っ!ふ、フリなんかじゃないです~!」
幼馴染「フリだよ。だって男ちゃんから直接聞いたんだもん」
幼馴染「彼女さんはいいの?私なんかには構わないでいいから…って聞いてみたら、全部教えてくれたの」
別クラス女子「ううう~!」
幼馴染「女さんの事も全部ね」
委員長「そう。そこまで知ってるんだ」
幼馴染「………」
委員長「あんたさ、もう男くんに付き纏うのやめなよ」
幼馴染「付き纏ってなんかないよ」
モブ女A「嘘ついてんなよ!」
モブ女B「最近毎日一緒に帰ったりしてるだろ!彼女でもないくせに」
幼馴染「うん。でもそれは男ちゃんから誘ってくれるからだよ」
別クラス女子「男くんは優しいから、幼馴染さんに同情してるだけなんです~!」
幼馴染「うん。それも知ってるよ?」
委員長「……あんたさ、やっぱり卑怯だよね」
幼馴染「?」
委員長「私が気付いてないとでも思った?被害者ぶるのやめなよって言ってんの」
幼馴染「何の事?」
別クラス女子「し、シラを切るつもりなんですかぁ?」
モブ女A「自分で水被ったりしてんだろ?」
幼馴染「………」
委員長「ゴミまみれになった時も自分でゴミ箱ひっくり返したんでしょ?」
幼馴染「………それが何?」ガサゴソ
別クラス女子「も、もう自作自演するのはやめてくださぃ!」
幼馴染「どうして?」
委員長「男くんを振り回すのはやめてって言ってるのよ!」
幼馴染「………」
幼馴染「物を隠された。気持ちの悪い虫を仕掛けられた。水着を切られた。びしょ濡れにされた」
幼馴染「全部あなた達が一度はやった事に変わりはないでしょ?」
委員長「……あなたが、男くんと仲良くするからじゃない」
幼馴染「………男ちゃんね、昔からよく私の事を守ってくれたんだぁ」
幼馴染「男の子にからかわれた時や、上級生に目立って生意気だって呼び出された時だって」
幼馴染「いっつも守ってくれたの。そして、その度に私に優しくしてくれたんだぁ」
幼馴染「今回だってそう。私が酷い事される度に、どんどん優しくなってくれるの。ギュッて抱きしめてくれたりも…」
幼馴染「もう少しなんだよきっと。もう少し酷い事をされ続ければ、男ちゃんは私だけを見てくれるようになるの」
幼馴染「幼馴染はしょうがない奴だなぁ。ったく、俺が傍にいてやるしかないな……って」
幼馴染「だから…さ」
幼馴染「もっと私をイジメテ?」チョキ
モブ女A「な…コイツ自分の髪を…」
モブ女B「頭おかしいって」
幼馴染「ねえ、偽者の彼女さん」クルッ
別クラス女子「……ひっ」
幼馴染「あなたって、男ちゃんに名前で呼んで貰った事はある?手を繋いで貰った事はある?」スタスタスタ
別クラス女子「や……怖い…。こ、来ないでくださいぃ」ビクビク
幼馴染「あーんってしてあげた事はある?ギュッて抱きしめて貰った事はある?近くで男ちゃんの匂いを感じた事はある?」スタスタスタ
別クラス女子「こ、来ないでください~っ!」ポイッ
幼馴染「っ……!」タラー
別クラス女子「あ、わざとじゃ……ごめ…なさ…」ポロポロ
幼馴染「……いいよ。ん……ちょっと鼻血出た。これでまた男ちゃんに心配して貰える。ありがと♪」ゴシゴシ
委員長「あなた……本当に頭おかしいんじゃないの?」
幼馴染「ん…そうかも。だからもっと協力して欲しいな」ニコッ
委員長「っ…」ゾクッ
ガララララ
委員長「あ……お、遅いじゃない」
女「………」
幼馴染「あれー、女さんだ!どうしたの?」
女「……全部聞いていたわ」
幼馴染「そうなんだぁ」
女「………」
モブ女A「ほらっ」ポイッ
カラン…
女「………」
モブ女B「あんたもあの子に認めて貰いたいんだろ?見ててあげるからやりなよ」
幼馴染「あはは、お互い大変だねぇ。妹ちゃんに嫌われてたの私だけじゃなかったんだ。ちょっと安心しちゃったかも」
女「………あの子は関係ない」
委員長「あら、そんな事言っていいの?妹さんに義姉だと認めて貰えないなんて、絶望的だと思うけど?」
モブ女A「いくらあんたが男くんの許婚だからって、妹さんに認めて貰えないんじゃねえ」
モブ女B「結婚なんて無理無理」
女「そんな事……関係ないのよ!」シュッ
幼馴染「痛っ…!」パンッ
男「!?」ガタッ
姉「ちょっと待ちなさい」ガシッ
男「ね、姉ちゃん…?!」
姉「いいから、今は大人しく見てなさい」
男「姉ちゃん…なんでここに?」
姉「…あの子からメールが届いたのよ。今日の部活は遅れますって。あの子、嘘が付けない性格だから、遅れる理由を書かなかったのよ」
姉「普段なら理由まで絶対に書くはずなのにね。様子が変だったから、ちょっと探してみたの」
姉「男、ちゃんとあの子を見てあげて…?」
男「………」
幼馴染「いたた……どうせならそのモップで叩いてくれればよかったのに」
女「………」
幼馴染「それで怪我でもできれば、決定的だったんだけどなぁ」
女「まだそんな馬鹿な事を言ってるの?なんで叩かれたのかまだわからないの?」
幼馴染「だって、許婚なんてズル過ぎるよ。そんなのどう頑張ったって勝てっこないよ。こうでもしないと…男ちゃんに見てもらえない」
女「私だって…好きで許婚なんかになったんじゃないわよ。許婚でよかったなんて事、一度もない」
女「ただ親同士が勝手に決めた許婚だからって、あの人は最初から私の事なんて見てもくれない」
女「俺はお前の親父の後を継ぐつもりはない。自分の嫁は自分で決める。好きに恋人作っていいぞ、俺には関係ないから…って」
女「最初から選択肢にも入れて貰えない。私が彼をどんなに愛していても、見ても貰えない。こんな残酷な事って…ある?」
幼馴染「ならキッパリと諦めてくれればよかったのに」
女「私は諦めないわ。あの人の事が好きだから」
女「幼馴染さん…男は、あなたが傷付く姿を見て傷付いてるわ。そんな傷付く彼を、私は見たくない」
女「同情を引いて、優しくして貰うのは簡単な事よ。でも、そんな事では彼から愛情を貰うなんてできっこない」
幼馴染「………」
女「逃げてはダメよ。彼に愛される事から。愛して貰える努力をしましょうよ…自分から」
別クラス女子「あ、あの……じゃあ周りの人に認めてもらうにはどうすればいいんですかぁ?」
女「…そんなの簡単じゃない。認めさせればいいのよ。相手が誰であってもね」
姉「ぷっ……あははは!あー、あの子らしいわ」
男「………」
姉「じゃ、私は部活に戻るから、終わるまで待ってなさいよね♪」
男「……ああ」
~部活帰り~
女「………」
男「………」
女「ねえ」
男「ん」
女「どういう風のふきまわし?あなたから一緒に帰ろうだなんて、明日には雪でも降りそうよ?」
男「そうか?」
女「ええそうよ」
男「………」
女「………」
女「ねえ」
男「ん」
女「どうして今日は誘ってくれたの?こんな事初めてだし…」
男「さぁな」
女「さぁなって……ちゃんと説明して欲しいんですけど!」
男「理由は?」
女「へっ……り、理由?!」
男「………」
女「それはもちろん……どうしてそんな気になってくれたのかな~って…聞きたかったから」
女「って、なんで私が説明をして欲しい理由を説明しているのよ!」
男「………」
女「はぁ…はぁ…」
男「ぷっ…」
女「な、何が可笑しいって言うのよこのおバカ!」
男「いや、お前がこんなにお喋りな奴だなんて知らなかったからさ」クク
女「…こ、こんな自分…知らなかったわよ私だって!好きな人とお話するのがこんなに楽しいだなんて///」モジモジ
男「キャラじゃないぞ」
女「なっ…知りもしないくせに言わないでよ!」フーンダ
男「……似てるんだよな」
女「えっ?」
男「初恋の人にさ」
女「初恋の人に?私が?」
男「ああ。その恋が決して叶わぬモノだって知った時にはさ、もう次の恋から逃げてたんだよ」
男「もうこんな想いはしたくない……なら初めから恋なんてしないって。逃げてた」
男「なのにすぐ恋しちゃったんだよ。相手はさ、まぁ一目惚れなんだけど…似過ぎてたんだよ、初恋の人に」
女「私が初恋の人に似ている……一目惚れした??」
男「女の言う通り、逃げてたよ。ごめん。素直に認める」
女「えと…それで、男の初恋の相手ってもしかして……」
男「さぁな。ただ、女と話してみて確信したかな。やっぱり似てるわ。見た目も中身もな」
女「うぅ~、なんか間接的な気もするけど…喜んでもいいんだよね///」
ガチャ
男「ただいま」
女「おじゃまします」
幼馴染「男ちゃん、おかえりなさい♪」
男「お、おう!…ただいま」
幼馴染「女さんも、いらっしゃい♪」
女「えっ!……あ、あの…お、おじゃまします?」
男「あ、あのさ…幼馴染」
幼馴染「…男ちゃん!」
男「な、なんだ?」
幼馴染「私ね、男ちゃんに謝らないといけない事があるの」
男「………」
幼馴染「私ね…男ちゃんをいっぱい騙して、傷付けてきちゃった……ぐすっ」ポロポロ
幼馴染「男ちゃんに優しくして欲しかったから、いっぱい嘘をついてました…うぅ」ヒック
幼馴染「ごめ…っ……なさ…い…えぐ…」グスッ
男「幼馴染!」ガシッ
幼馴染「ぇ?」
男「確かに…確かに俺は幼馴染が酷い事をされてるのを知って、傷付いた」
男「でも幼馴染だってずっと苦しかったんだろ?いつも謝ってきてたろ?」
男「俺は傷付いた。でも幼馴染だってその度に傷付いてきたんだ。おあいこだよ。だからもうこの話はおしまい…な?」ナデナデ
幼馴染「う…ぐすっ……男ちゃ……んああーーーーん」
女「……ふぅ、勝手におじゃましますね」
ガチャ
女「こんばんは。おじゃまします」
姉「はい、いらっしゃ~い!待ってたわよ♪」
女「あ、お姉さん。帰りは気を遣っていただいてすみませんでした」
姉「ううん、気にしないの!そんな事より……ほら、あそこよ。捜してるんでしょ?」
女「ああ、妹さん、そこにいたんですね♪」ニッコリ
妹「ひっ…!?」ビクッ
バシッ…バシッ…
妹「あうっ…ひうっ…ひゃんっ…」
女「………懲りたかしら?」
妹「し、知らない知らない!私何も知らな--」
バシッ
妹「ひゃんっ……うぅ…ごめんなさいぃ!」
女「いくら妹さ…妹でも、許せる事と許せない事があります。わかりますね?」
妹「ひゃ…ひゃい!」バシッ
女「私は貴女のお義姉ちゃんなんですから、義妹の悪い所を直すためには心を鬼にしてみせます」シュッ
妹「いったぁーいぃ…ぐすっ…ごめんなさい!もう許してせんぱ--」
女「お義姉ちゃんです!」シュッ
妹「いだぁーい」グスッ
姉「ふふっ…あーあ、怖いお姉ちゃんが増えちゃったわね♪」
女「ちゃんと謝るんですよ?」
妹「はい…」シュン
ガチャ
母・幼母「「ただいま~」」
男「おかえり~って、二人してこんな時間から酔ってるのかよ…」
女「おじゃましています」
母「あら、女ちゃんいらっしゃい♪」
幼母「あら?あらあらあらあら~?……こんばんは」
女「こんばんは。はじめまして。男さんの『許婚』の女と申します」
幼母「幼馴染の母兼、男ちゃんの未来の義母です。こちらこそよろしくお願いしますね~♪」
男「ここでも修羅場か……ん?」
妹「う~、絶対認めないもん。あんな暴力的なお姉ちゃん一人で充分だし!」
幼馴染「じゃあこっちのお姉ちゃんはどうかなぁ?優しいよ?」ニコニコ
妹「………考え中」プイッ
姉「あんたもおバカねぇ。実の兄妹は結婚できないのよ?」
妹「えっ、そうなの!?そんなぁ~」
男「バカ発見」
姉「私はもう女に話は通してあるから、あんたはあんたで頑張んなさいね♪あ、こっちはもう締め切りだから!」
妹「えっ、お姉ちゃんそれどういう意味?!」
幼馴染「妹ちゃん妹ちゃん、ちょっと」チョイチョイ
妹「何?幼馴染ちゃん達にはお兄ちゃんは渡さない--」ゴニョゴニョ
幼馴染「どうかな?私を応援してくれたら、他にも良い事あるよ♪」
妹「幼馴染ちゃん、いつお兄ちゃんと結婚するの?楽しみだね♪」キラキラ
男「幼馴染、こいつに何吹き込んだんだ?」
幼馴染「えへへっ、なーいしょ♪」
姉「……意外と侮れない子だったみたいね。女、来なさい。作戦会議よ」
女「はい、お姉さん」
妹「幼馴染ちゃん、こっちもラブラブ大作戦考えよ?あんなブスには絶対にお兄ちゃんは渡さないもん」
幼馴染「妹ちゃん心強いなぁ♪」
男「……なんなんだこいつら」
~風呂場~
女「ねえ、お姉さん」ゴシゴシ
姉「なぁに?」
女「お姉さんはどうして私を応援してくれるんですか?」ゴシゴシ
姉「なによいきなり……はい、交替。背中向けなさい」
女「あ、すみません」クルッ
姉「私はね~利己主義な女なのよ。常に自分に与えられた選択肢の中から最高のカードを選ぶの」ゴシゴシ
姉「その最高のカードを選んだだけの話よ」ゴシゴシ
女「うぅ…なんか現金な話なんですね」クスン
姉「ま、それもあるけど…女になら男を任せてもいいかなって思えたのは事実だから」
女「お姉さん!」パアァ
姉「……ふふ。羨ましいわ…あなたと幼馴染ちゃんの事が。血の繋がりって、時には残酷な事もあるのだから」
女「はい…。私も今は、男の許婚になれた事に感謝しています」
姉「女……男を悲しませたら、お義姉ちゃんが本気で盗っちゃうんだからね?」
女「はい♪」
幼馴染「ねえ、男ちゃん」
男「んー、どうした?」
幼馴染「男ちゃんはさ、私の事好き?」
男「ぶっ!?い、いきなり何聞いてきてんだよ」
幼馴染「……私はね、男ちゃんの事が好きだよ?」
男「お、おう…さんきゅ」
幼馴染「男ちゃんは?私のこと…好き?」
男「そ、そうだな。まぁ…好き……だぞ」
幼馴染「本当?同情とかじゃない?」
男「同情とかじゃねえよ!……そんなんじゃない。お前の事、守りたいって思ってるよ」
幼馴染「あははっ、嬉しい♪……じゃあさ、女さんと私…どっちの方が好き?」
男「は…?いや、そんなの……わかんねえよ。お前は、妹みたいに守ってやりたいって思ってるし」
男「…女は女で、なんか理想っていうか、憧れちまう所があるし……」
幼馴染「……じゃあ、同じくらい好きってこと?」
男「………ああ。そういう事にしといてくれ」
幼馴染「そっか……じゃあ、いいよね。自分から…好きになって貰いたいから」スッ
男「ん?幼馴染、急にどうし--」
チュッ
男「っ!?/////」
幼馴染「………ぷはっ。これで…一歩リードかな/////」
女「な、な、なな……なにやってるんですかーっ!?」グスッ
妹「お、幼馴染ちゃん…ダイタン///」
男「見られてたー!?」
女「お、お、おおお姉さん!どうしま…どど、どうすれば…あ、あ…ああー」
姉「いいじゃないキスくらい。私達なんてもう一歩はリードしてるんだから♪」
幼馴染・妹「え…?」
女「わ、わわ私は知りませんっ!未知の領域です!……あら?私達がもう一歩リードって事は??」
姉「だからね…」ゴニョゴニョ
女「きゃーーー/////」
男「いや、何もないから…」
姉「………」ゴニョゴニョ
女「っ…!っ……!/////」ハァハァ
男「………なんか目が怖いんだが」
姉「えい」ドン
女「んーっ!></////」チュッ
妹「はぁ…はぁ……いつの日か私がお兄ちゃんを…!」ハァハァ
姉「こらこら、寝取りなんて悪趣味よ。お姉ちゃんみたいにちゃんと契約しなさい」
男「契約って何だよ!?」
姉「知りたい?」
男「………」
姉「女と結婚してからのお・た・の・し・み♪」チュッ
男「………/////」プシュー
妹(結論…。お兄ちゃんは押しに弱い!私にもチャンス?むふふ♪)
おわり
・姉は幼馴染のイジメに関しては全く知らない(関与無し)
・幼馴染イジメの発端は妹による指示(お兄ちゃん好き好き嫉妬)
・許婚も妹に幼馴染をイジメないと義姉として認めないと言われていた
・妹は兄にイジメの現場を見せて失望させ、漁夫の利作戦を狙っていた
・姉も男大好きっ子。どうせ結婚出来ないなら2番目でもいいという考え
保守支援ありがとうございました
男「例えばの話をしていいか?」幼馴染「勝手にしなさいよ」
リベンジさせて?
また夜にでも立てるわ
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