安部菜々「ウサミンランド?」 (62)
会議室
菜々「な、なんですかそれ?」
常務「うむ。実は新しい事業でテーマパークを作ることになってな」
菜々「は、はぁ」
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常務「そこで、キミにはウサミンランドのマスコットをやって貰いたい」
菜々「ええ!?」
常務「昔からの夢でな……ファンや子供達に夢や希望を与えてあげたいのだ」
菜々「じ、常務……」
菜々「でも、ナナには無理ですよ~」
常務「キミしかいないのだ」
菜々「ですが……」
仁奈「菜々おねーさん! さっきからこのおばさんは何を言ってるでごぜーますか?」
常務「お、おばっ!?」
菜々「に、仁奈ちゃん!」
常務「い、いいか仁奈くん。私は『おばさん』じゃなくて『お姉さん』だぞ?」
仁奈「テーマパークって遊園地でごぜーますか?」
常務「そ、そうだ」
仁奈「やったー! 遊園地だー!」にぱーっ
菜々「うぅ……」キュン
常務「うぅ……」キュン
常務「ど、どうだ菜々くん。子供達の喜ぶ顔が見たくないかね?」
菜々「た、確かにこれはヤバいですね……」
菜々「はぁ……わかりました! 引き受けます!」
常務「本当か!?」
菜々「はい! やるからには全力で頑張りますよー!」
菜々「ちなみに、いつ頃から始まるんですか?」
常務「明日がプレオープンだ」
菜々「あ、明日ぁ!?」
常務「心配はない。もう施設は完成しているからな」
菜々「そういう問題じゃないですよ!」
常務「色々な理由があってな……早急にやらなければならなかったのだ」
菜々「理由?」
常務「税金対策だ」
菜々「夢と希望はどこにいったんですか!!」
常務「最近儲かって仕方がないのだ! はっはっは!」
常務「とにかく明日からよろしく頼むよ」
菜々「うぅ~わかりましたよ……」
常務「仁奈くん、明日は遊園地だぞー!」
仁奈「わーい! 遊園地でごぜーます!」
常務「はっはっは」
菜々「本当に大丈夫なんでしょうか……」
─────
───
─
次の日
菜々「おはようございますっ」
仁奈「菜々おねーさん! おはようごぜーます!」
常務「おはよう。では早速向かうとしよう」
菜々「あ、あの~」
常務「なんだ?」
菜々「場所はどこにあるんですか?」
常務「東京だ」
菜々「あっ、なら近いですね!」
常務「うむ。私の車で向かおう」
車内
菜々「でも、東京でテーマパークを作ってたのなんて知りませんでしたよ~」
常務「…………」
菜々「あ、あれ? これじゃあ東京出ちゃいますよ?」
常務「…………」
菜々「あ、あの、常務?」
常務「…………」
常務「……実はウサミンランドは東京ではないのだ」
菜々「え?」
常務「これは極秘事項なのだが、本当の所在地はウサミン星だ」
菜々「え? え?」
仁奈「わー! ウサミン星でごぜーますか!」
菜々「ま、まさか!」
常務「ウサミン星は千葉け──」
菜々「わーーー!! わーーー!!」
常務「どうしたんだね?」
菜々「じ、常務! ウサミンランドは東京にあるって言ったじなかいですか!」
常務「何かおかしいところがあったか?」
菜々「ありますよ!」
常務「東京ディ○ニーランドだって東京じゃなくて千葉だろう」
菜々「わーーー!! わーーー!!」
菜々「わ、わかりましたよ! それよりもウサミン星についてはもう触れないでください!!」
常務「わ、わかった……」
菜々「もうっ……」
菜々「あっ、この辺は私の家の近所だ。最近工事していると思ったらそういう事だったのね」
仁奈「近所? おお! ほんとうにここはウサミン星なんでごぜーますね!」
菜々「あっ……」
常務「結局自分で言ってるではないか……」
ウサミン星・ウサミンランド
常務「さて、着いたぞ!」
仁奈「ついたー!」
菜々「お疲れさまですっ!」
常務「今日は私が案内しよう。さぁ、付いてきたまえ」
菜々・仁奈「はーい!」
仁奈「うわー! すげーひれーです!」
常務「仁奈くんは迷子にならないように、私と手を繋いでおこう」
菜々「どこにこんな土地があったんでしょうか……」
常務「みな東京に出たがるからな。ゴーストタウンを買い取ったのだ」
菜々「だから夢と希望!!」
常務「入り口を潜ると、まずはショッピングが出来るな。ここは帰りに寄るとしよう」
菜々「ほうほう」
常務「そしてアーケードを越えると」
仁奈「わー! お城だー!」
常務「どうだ、凄いだろう?」
菜々「あ、あれ? なんかこの構図どこかで……」
常務「ふっふっふ、女の子は皆お姫さまだからな……」
菜々「ま、まさか……」
常務「我が美城のシンボルでもある……」
菜々「シ、シンデレ──」
常務「そう!『課金城』だ!!」
菜々「こ、この際、名前は置いといて……どこからどう見てもシンデレラ城じゃ」
常務「キミ達はシンデレラガールズだからな」
菜々「それはそうなんですけど!」
常務「だがシンデレラ城ではどこかのパクりではないか」
菜々「いや、もうすでに色々とマズいですよ……」
常務「では、まずは課金城に行くとしようか」
菜々「あっ、入れるんですね!」
常務「もちろんだ。最後には『勇者のメダル』が貰えるぞ」
菜々「待って! やっぱりパクりじゃないですか!」
常務「何を言っている? 本家はもう貰えないぞ?」
菜々「本家とか言わないでください!!」
常務「それにしても、最後にメダルが貰えたのは10年前だぞ? よく知っていたな」
菜々「え!? あ、ああ~当時はもう7歳ですからね! な、なんとなく覚えてたんですよ!」
常務「ほぉ~?」
菜々「と、とにかく行きましょう!」
仁奈「じょーむ! 早く行くでごぜーますよ!」
常務「ふふっ、慌てなくてもシンデレラ城は逃げないぞ」
菜々「課金城はどうした!?」
アトラクション終了後
仁奈「おもしろかったー!」
常務「そうだろう、そうだろう?」
菜々「まんまミステリーツアーじゃないですか……」
常務「では、次に行くとしよう!」
仁奈「おー!」
仁奈「次はなんでごぜーますか?」
菜々「また何かのパクりじゃ……」
常務「そんな訳ないだろう! ウサミンランドは各アイドルをモチーフにしたアトラクションが売りなのだ!」
仁奈「おお! 他のおねーさんがいるんでごぜーますか?」
常務「うむ。ではまずは白坂小梅がモチーフのアトラクションだ!」
白坂小梅のホーテッドマンション
菜々「こんな事だと思いましたよ!!」
常務「白坂小梅がプロデュースした本格的なホラーアトラクションだ」
小梅「……い、いらっしゃい」
菜々「きゃあ!!」
仁奈「あっ! 小梅おねーさん!」
小梅「ふふっ……み、みんな……楽しんでいってね……」
菜々「い、色々な意味で不安になってきました……」
アトラクション中
仁奈「あはははー!!」
菜々「きゃあーーー!!」
仁奈「すげー!!」
菜々「いやーーー!!」
仁奈「うおー!!」
菜々「もう許してーーー!!」
菜々「」
アトラクション終了後
菜々「ぜーはー、ぜーはー」
小梅「ど……どうだった……?」
仁奈「すげーおもしろかったでごぜーます!」
小梅「ふふっ……よかった……」
菜々「いやいやいやいや! 怖すぎますよ! どれだけ本格的なんですか!!」
常務「それが売りだからな」
菜々「限度がありますよ!!」
菜々「うぅ……常務は仁奈ちゃんと同じやつに乗ってたからいいですけど、ナナはひとりぼっちですよ!」
小梅「そ、それは大丈夫……菜々ちゃん……あの子と一緒だったから……」
菜々「」バターン!!
常務「よし、次に行くとしよう!」
仁奈「おー!」
菜々「次はなんですか? 2連続でホラーだったので、少し疲れましたよ……」
常務「ではファンシーな感じでいくとしよう」
菜々「お願いします……」
大和亜季のシューティングギャラリー
菜々「ファンシーとは!?」
常務「このライフルで的を撃つんだ。良いスコアを出すと、保安官バッジが貰えるぞ」
仁奈「おお!」
パーン!!
菜々「おや? 先客ですか」
パーン!!
清良「…………」パーン
清良「ふぅ……」
亜季「凄いです清良殿! 百発百中であります!」
菜々「…………」
常務「…………」
仁奈「…………」
常務「……次に行くとしようか」
諸星きらりのイッツ・ア・スモールワールド
常務「ここは本家と違って、我々ゲストが小人となって探検するところだ」
菜々「だから本家はやめてください! ですが、こういうのを待ってたんですよ!」
アトラクション中
仁奈「うわー! 全部でけー!」
菜々「あっ、あっちに大きなお菓子の家がありますよ!」
きらり「にゃっほーい! みんな来てくれたにぃ☆」
菜々「あっ、きらりちゃん!」
きらり「おっすおっす! きらりんパワーでハピハピしてゆー?」
菜々「はい! 素敵なアトラクションですね!」
きらり「実はこのアトラクション、常務ちゃんが最初に企画してくれてねぇ☆ 装飾とかも一緒に考えたんだよぉ!」
菜々「へぇ! そうだったんですかぁ!」
きらり「うんっ☆ たまにはこういう趣もいいだろうって!」
菜々「常務もいいところあるんですねぇ」
常務「おい」
仁奈「きらりおねーさんも一緒に遊びやがりましょー!」
きらり「よぉし! まっかせてぇ~☆」
アトラクション終了後
菜々「ふふっ、楽しかったですね!」
仁奈「次はなんでごぜーますか!?」
常務「そろそろ絶叫マシンにでも行くしようか」
菜々「うぇ……あんまりナナ得意じゃないです」
三村かな子のハニーハント
菜々「ここが絶叫マシン?」
常務「ゲストが甘いものを持ち歩いてだな」
菜々「?」
常務「文字通り『ハント』される」
菜々「こっちが被食者!?」
常務「持つものにドーナッツとパンもあるぞ」
菜々「いや、もう展開読めたんですが……」
菜々「ナナこんなの嫌ですよぉ! 他には無いんですか!?」
常務「うーん、三大マウンテンとかか?」
菜々「おお! いいですねぇ!」
常務「では、スプラッシュ・マウンテンに行こうか」
棟方愛海のスプラッシュ・マウンテン
菜々「なんで愛海ちゃん?」
常務「棟方愛海がゲストのお山を……」
菜々「却下!」
棟方愛海のスペース・マウンテン
菜々「なんでまた愛海ちゃんなんですか!」
常務「わかったわかった。次に行こう」
菜々「もうオチが読めましたよ……」
棟方愛海のビックサンダー・マウンテン
菜々「やっぱり!!」
常務「なんださっきから文句ばっかり」
菜々「せっかくきらりちゃんのアトラクションで見直したのに!」
菜々「だいたいディ○ニーランドのパクりばっかりじゃないですか! いい加減訴えられますよ!」
常務「そう言われてもなぁ……」
菜々「他にはどんなアトラクションがあるんです!? まさかスターツアーズですか!?」
常務「スターじゃなくてワールドなら」
菜々「ワールド?」
常務「ヘレンの世界(ワールド)ツアーとか」
菜々「あっ、ちょっと面白そう」
菜々「ちなみに他には?」
常務「不思議の国のアリスをモチーフにした『橘ありすのイチゴカップ』とか」
菜々「急に可愛く攻めてきましたね!」
常務「あとはアイドルモチーフじゃないんだが」
菜々「?」
常務「ネバーランドとか」
菜々「ピーターパンですね!」
常務「いや、マイケル・ジャクソン」
菜々「待った! そのネタはマズイですよ!!!!」
菜々「あっ、そういえば昔マイケル・ジャクソンのアトラクションありましたよね!」
常務「キャプテンEOか? あったにはあったが20年前くらいに無くなっただろ」
菜々「え!?」
常務「あっ、一時期復活したんだっけか」
菜々「そそそ、そうですよ! ナ、ナナはその時に来たんでした!」
常務「本当か?」
菜々「ほ、本当ですよ~! あ、あはは~」
菜々「って、そんなことよりディ○ニーのパクりばかりじゃ不味いですってば!」
常務「あっ! 待て待て! 本家にないのもあるぞ!」
菜々「?」
常務「えっと『ラブリーチカと賢者の石』というのが」
菜々「ユニバーサル・スタ○オ・ジャパン!!」
菜々「今度はそっちですか!」
常務「お、落ち着け……」
仁奈「菜々おねーさん。仁奈はヒマでごぜーますよ……」
菜々「うっ……」
常務「ほ、ほら! 仁奈くんがヒマにしているではないか! とりあえず行くとしよう!」
菜々「わ、わかりましたよぉ……」
ラブリーチカと賢者の石
仁奈「あー! 千佳ちゃんだー!」
千佳「仁奈ちゃん、いらっしゃい!」
キャッキャ ワイワイ
常務「ほら、あの子達の顔を見てみろ」
菜々「ふふっ、子供の笑顔はいいですねぇ」
常務「だろう? 私はこの為にウサミンランドを作ったのだ」
菜々「色々と気になるところはありますが、確かにこっちも幸せな気持ちになれますね」
常務「だから改めて言おう……」
菜々「…………」
常務「安部くんにはウサミンランドを司る新しいマスコットをやってくれ」
菜々「急に真面目になったと思ったらこれだよ!!」
常務「お? そろそろウサミンランドの目玉のパレードの時間だ!」
菜々「ほお! パレードですか!」
常務「何を言っている? キミの出番だぞ?」
菜々「は?」
常務「さぁ、早く支度をしてくれ」
菜々「いやいやいやいや! ち、ちょっと待ってください! 何をするのかも知りませんよ!」
常務「なんとかなるさ」
菜々「ま、待ってください!!! いやー!!!」
なんやかんやでパレードは大成功し、この日のプレオープンは終了。
そして翌日、オープンを迎え、入場規制も入る程の大盛況。
連日、世界各地から観光客が詰め寄り、
日本はおろか、ウサミンランドは世界一のテーマパークとなっていった。
─────
───
─
そして20年後……
客A「なぁ、ひとつ気付いたんだけどさぁ」
客B「ん?」
客A「ウサミンランドのウサミンって、20年前から歳を取ってなくないか?」
客B「た、確かに……」
???「キャハッ……」
終わり
訂正
>>13
×菜々「じ、常務! ウサミンランドは東京にあるって言ったじなかいですか!」
○菜々「じ、常務! ウサミンランドは東京にあるって言ったじゃないですか!」
高垣楓「prank show」
高垣楓「prank show」 - SSまとめ速報
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