【モバマスSS】です
――――渋谷、ハチ公前広場
凛(珍しいところで見つけちゃったな。しかも一人でなにしてるんだろう?)
乃々「で、でも、もりくぼがんばるって決めましたし……やらないと……けど、こんなぁ……」ウロウロ
凛(さっきからあっちこっち、うろうろしてるし)
乃々「あぅ……ほんとにあれ、交差点なんですか……やっぱり人が多すぎて、どこを見ても人がいて……うぅ……」ウロウロ
ガヤガヤザワザワ
<ナンダアノコ
<サッキカラウロチョロナニシテンダ
<ツーカダレカニニテネ?
ガヤガヤザワザワ
凛(挙動不審すぎてちょっと目立ってるし)
乃々「あぁ……どうしよう帰りたい……けど、これくらい出来なきゃなにも出来ないかもですし……」ウロウロ
凛(……さすがにちょっと心配になってきた。なにをしてるのか聞くくらいはいいかな)
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乃々「渡る、渡らない……渡りたくない……帰りたい……でも、慣れていかないと……うぅ……」ウロウロ
凛「乃々」トントンッ
乃々「ひぃい!? ごめんなさいごめんなさいもりくぼ美味しくないです怪しくないです……!」ビクビクッ
凛「何言ってるの乃々?」
乃々「はぇ……? あ、凛さん……! ……どうしてこんなところに」キョトン
凛「それはこっちの台詞。珍しいね、乃々がこんな人の多い場所で一人でいるなんて。なにかテレビの企画?」
乃々「いえ、そういうわけでは……ただちょっと、もりくぼなりに特訓しようかと思って……」
凛「特訓?」
乃々「はい……あの、えと……実は、この前のライブでですね、もりくぼ、前を向いて歌えたんです……」
乃々(眩しかったおかげでもありますけど……)
凛「そうなんだ! すごいよ乃々、頑張ってる」
乃々「あ、ありがとうございます……それで、プロデューサーさんやファンの皆さんにそのことが好評だったようで……」モジモジ
乃々「プロデューサーさんなんか、泣いて喜んでくれて……おおげさだと思ったんですけど……」
凛「そんなことないって、プロデューサーならそれくらいの反応はするよ。私だって嬉しいんだから」
乃々「そ、そうなんですか……やっぱり……だから、ええと、そんなに喜ばれるなら……うぅ……」モジモジ
凛「?」
乃々「がんばって前を向くのが当たり前になれば……プロデューサーさん達への恩返しになるんじゃないかって……」
凛「……あ、だからここに来たの?」
乃々「はい……周りに人しかいない場所を歩けば……必然的に前を向くしかなくなって、人前にいることにも慣れると思って……」
凛「なかなか無茶な方法を……それで、その特訓はうまくいってる?」
乃々「……(フルフル)」
凛「だろうね。さっきから見てたけど、むしろあのままだと乃々の状態悪化しそうだったし」
乃々「……え、さっきから凛さんいたんですか……?」
凛「ああうん、ちょっとこっちに用事があってね。そしたら結構な人が注目してる場所があって、気になって覗いたら乃々がいたの」
乃々「……はぇ?」
凛「あれ、もしかして気付いてなかったの。かなり挙動不審だったから注目されてるよ?」
乃々「え」グルッ
ガヤガヤザワザワ
<アノコタチカワイクネ
<ナンカ、カミノナガイコモドッカデ
<コエカケヨッカナ
ガヤガヤザワザワ
乃々「ひぇえええ!? ほ、ほんとなんですけど……! ど、どうして……もりくぼはただ迷ってただけなのに……!」
凛「ともかく、あんまりここに留まってるとまずいよ。乃々はどうしたいのかな?」
乃々「も、もりくぼは……もりくぼは……ええと……」
凛「……」
乃々「や、やっぱり……がんばるって決めましたし……交差点、渡ってみようかと……」
凛「そっか」ニコッ
乃々「あ、で、でも……せっかく凛さんに会えましたし……その……」モジモジ
凛「いいよ。今回は一緒に歩いてあげる。ここは慣れてないと、人の流れに流されてまっすぐ歩けなかったりするからね」
乃々「……! あ、ありがとうございます……凛さん……!」パァァ
凛「お礼なんていいよ。それよりほら、もうすぐ信号変わるから、蒼になったら行こうか?」
乃々「はい……が、がんばります……」ギュ
凛(卯月みたい)フフッ
――パッ
凛「あ、蒼になった。じゃあ渡ろうか乃々」
乃々「い、行きます……!」
――――渋谷、スクランブル交差点
ザワザワ ザワザワ
ドタドタ バタバタ
乃々(行くとは言いましたけど……人が、いっぱい、歩きすぎなんですけど……)フラフラ
ドンッ
<シツレイ
乃々「わわ……!?」ヨロヨロ
乃々(人に流されるんですけど……! このままじゃ……はぐれて……)
凛「乃々!」ガシッ
乃々「あ……」
凛「後ろを見たら違う方向に流されてるから焦ったよ。怪我してない?」
乃々「は、はいぃ……助かりました……」
凛「と言っても、まだここは交差点だからね。とりあえずセンター街のほうにまで抜けるよ」
乃々「わ、わかりました……その、凛さん……」
凛「なに?」
乃々「こ、今回は、このまま手を握っててください……」
凛「しょうがないか。いいよ、ほら」ギュ
乃々「……ごめんなさい、迷惑かけて……」
凛「謝る必要もないって。さ、行こう」
乃々「……(コクン)」
――――渋谷、センター街
凛「ふぅ……渡れた。乃々、大丈夫?」
乃々「はい……なんとか……うぅ」
凛「まぁ、今日はちょっと人が多いみたいだし、乃々が流されそうになったのもしょうがないよ。だから落ち込まないで」
乃々「でも……まさか、交差点一つ上手く渡れないなんて……」ションボリ
凛「ここは多いと三千人くらいが一斉に動くらしいから、普通の交差点と思わないほうが良いよ」
乃々「そ、そんなにいっぱい……」
凛「そうそう。だから私も小さいころはちょっと歩くの怖いと思ってたんだ」
乃々「凛さんでも……」
凛「うん。けど今はこうして乃々を助けても平気なくらい歩けてる。慣れたらどうってことないよ」
乃々「慣れるんでしょうか……」
凛「乃々なら心配ないよ。だって、ライブになったらもっと大勢の人が動くし、その人達が皆乃々に注目するんだよ?」
乃々「あ……」
凛「そして乃々は、そんな人達をちゃんと見ながらライブが出来るようになるために、ここに特訓しに来たんでしょ?」
乃々「そ、そうでした……人の多さに怖くなって忘れるところでした……」
凛「ふふっ、ならもう忘れないようにね。それに一度は渡れたんだから、次からはもっと上手く出来るって」
乃々「次……え、もうあんなに人が集まってるんですけど……さっき、いっぱい人が交差点渡ってたのに……」
凛「ここは人通りが絶えないから、あれくらいはいつものことかな。それで、乃々はどうする?」
乃々「……や、やります。さっきのは凛さんのお陰でしたけど、一人で往復出来るようにはなっておきたいですし……」
凛「その意気だよ。よし、じゃあここまで来たら私も最後まで付き合ってあげる」
乃々「いいんですか……?」
凛「ここまま別れても心配になっちゃうし、それに行き先に誰かがいたほうが、乃々もなんとかなりそうでしょ?」
乃々「そうですね……渡った場所に凛さんがいてくれたら……安心できます」
凛「なら、私は次にあの広場に戻ったら、乃々が交差点の往復を一人で出来るのを見守るから」
乃々「な、流されないようにまっすぐ前を見て歩いてここに来て……まっすぐ凛さんのところに戻る……」チラッ
乃々「……これなら、なんとかできそうです……」
凛「よし、じゃあ本格的に特訓開始だね。とりあえず信号が蒼になったから、一旦広場に戻るよ」
乃々「わ、分かりました……戻るのも大変そうですけど……」
凛「慣れて」ニコッ
乃々「あうぅ~……」
――――十数分後、渋谷、ハチ公前広場
ザワザワ ザワザワ
凛(……よし、今度はどこにも流されずにセンター街にまで辿り着いたみたい)グッ
凛(視線をキョロキョロさせちゃうと流されちゃうから、ちゃんと前だけを見てる……その調子だよ、乃々)
ドタドタ バタバタ
凛(あ、信号が変わった……乃々は……)ジーッ
凛(いた……! 今回は今までで一番人が多い中で歩いてるけど、ちゃんと前を向けてるみたい……よし、そのままこっちに!)
スタスタ
乃々「もうちょっと……もうちょっとで――……り、凛さん!」
タタタッ! トンッ
凛「おっと……ふふっ、おかえり、乃々」
乃々「や、やったんですけど……もりくぼ、前を見て交差点を往復できました……!」
凛「ちゃんと見てたよ。よく出来ました。どうだった?」
乃々「……前を見続けるのはやっぱり大変です……」
凛「そっか。でも、こうしてちゃんと戻ってこれたんだし、一歩前進だね、文字通り」
乃々「はい……凛さんのおかげで……なんとお礼を言えばいいのか……」
凛「私はなにもしてないし、全部乃々が自分で努力したことだからね。お礼なんて言わないでいいよ」
乃々「……わかりました。でも、もりくぼの中で感謝だけはさせてください……ありがとうございます」ペコリ
凛「それじゃあ結局お礼になってるよ乃々」クスクス
乃々「……はっ」
凛「ふふっ……そうだ! せっかく今日こうしてスクランブル交差点をまっすぐ歩けたんだから、次はもう少し長い距離を歩かない?」
乃々「え、そ、それは……」キョロ
凛「あ……ごめんね、嫌なら無理しなくて」
乃々「あ、え、えっと……別に嫌なわけでは……ただ、これ以上もりくぼといるのは凛さんに迷惑が……」
凛「そんなことないってば。私は私で決めて乃々といるんだし……それとも、乃々は私といるのは困るかな?」
乃々「それこそ……絶対ないですけど……」
凛「……良かった、だったら付いてきて。案内するから。あ、電車に乗るけどお金はある?」
乃々「ちゃんと持ってますけど……ちなみにどこに……?」
凛「そうだね……隣の駅から行ける場所かな」ニコッ
――――数分後、原宿、竹下通り入口
乃々「ま、まさかここは……」
凛「そう、竹下通り」
乃々「ひぇえええ!? 凛さん鬼なんですけど……ここは……むーりぃー……」
凛「そうかな?」
乃々「まっすぐどこまでも人の流れが続いてますし……交差点と違って呼び込みの人までいます……難易度が桁違いなんですけど……」
乃々「そ、それに、キノコさんが言ってました……原宿は、特にリア充の巣窟だから危険だって……」
凛「どんな風に?」
乃々「呼吸をすればリア充の空気に肺がやられ……歩けばリア充のムードに五感を侵され……最後には廃人になっていると……」
凛「どんな魔界なのそれ……駅で美玲の看板みたでしょ? だから大丈夫」
乃々「美玲さんは可愛くて元気でオシャレだからいいんです……原宿も似合ってます……でももりくぼは違いますし……」
凛「ふーん……つまり乃々には原宿はまだ早いってこと?」
乃々「早いどころかいることが許されていないというか……と、とにかく凛さんには悪いですけど、今日のところは……」
凛「残念だなぁ」ションボリ
乃々「あ……」
凛「今の乃々なら心配ないと思ったんだけどな……そっか、だめか……はぁ……」ションボリ
乃々「え、えと、あう……その……」アセアセ
凛「でも、乃々に無理させるわけにもいかないからね。分かったよ、とっても残念だけど今回は」
乃々「や、やっぱり……もりくぼも、ここを歩いてみたいんですけど……!」
凛「そうなの? 良かったよかった、さすが乃々。そう言ってくれるって信じてたよ」ナデナデ
乃々「……な、なんだかつられてしまった気がするんですけど……」
凛「気の所為じゃないかな。それに乃々は自分が原宿は似合わないって言ってたけどさ、たとえばあそこを歩いてる人達を見て」
乃々「……あ、フワフワしててカワイイ服を着てるんですけど……あの服……いいな……」
凛「乃々が好きそうな服だよね。けどああいう服を着てる人のすぐ後ろにはどんな人がいる?」
乃々「……な、なにかすごい髪色をした……表現しにくい格好の人が……」
凛「ああいった人たちが同時いる場所なんだ、ここは。美嘉や加蓮も、そこを楽しんでる部分あるらしいし……」
凛「だから、乃々だってちゃんとここにいていいんだよ。大丈夫、乃々の可愛さは私が保証するから」
乃々「あぅ……凛さん……そういうこと、簡単に言うの……ずるいんですけど……」カァァ///
凛「プロデューサーの口調が移っちゃったのかもね、ふふっ。……とりあえず、ここでこうしてても勿体無いし、そろそろ……」
乃々「は、はい……行きましょう……竹下通り……どんなところなのか……ドキドキするんですけど」
凛「そうだね」
凛「(……出口まで無事に辿りつけるかな)」ボソッ
乃々「え?」
――――2時間後、原宿、竹下通り出口
乃々「……うぅ」グッタリ
凛「……さすが乃々。いろんな人に捕まったね」
乃々「呼び込みの黒人さん……声かけてきすぎなんですけど……観光客の人も、どうしてもりくぼばっかりに……」グッタリ
乃々「しかもアイドルだってばれそうになったからお店に隠れないといけなかったですし……つ、疲れたんですけど……」
凛「でも、これでいっぱい人がいる所もちょっとは慣れたんじゃない?」
乃々「むしろ……もっと苦手になりそうなんですけど……」
凛「うーん、こういう場所で人に慣れたらライブでも前を向けると思ったんだけどな……」
乃々「ごめんなさい凛さん……やっぱり今のもりくぼに原宿は無理です……ここにいるともりくぼは魂まで消滅するかもです……」
凛「私の方こそごめんね。結局乃々に無理させちゃって」
乃々「い、いえ……でも、これで目標が一つ出来ました……一人で原宿を歩けたら、きっともりくぼは、すごい成長出来ます……」
乃々「だから、その日が来るようにがんばろうかと……」
凛「そうだね。ここを乃々一人で歩ける日がきたら、誰とでも目を合わせて会話も出来るようになってるよ、きっと」
乃々「……その前に、まずは誰かと一緒に問題なく原宿を歩けるようになりたい……けど帰りたい……」
凛「それじゃあ駅に向かって戻ろうか?」
乃々「そ、そうでした……駅に戻るにはさっきの道を……うぅ……でもすぐには……」
凛「……だったら、原宿まで来たし、何か食べていこうか」
乃々「……あ、いいですね……もりくぼ、おなか空きました……」
凛「ちなみに、なにか食べたい物とかある?」
乃々「いえ、特にこれといったものは思い浮かばないんですけど……」
凛「なら、ここから右をまっすぐに行ったところに、加蓮がオススメしてたポテトのお店があるはずだから、そこに行こっか」
乃々「……(コクン)」
――――数分後、ラフォーレ原宿
乃々「……そういえば、凛さんって、よくこういう所に来るんですか……?」
凛「ええと……アイドルになってからはそんなにないけど、それでも放課後にたまに覗きにくることくらいはあるかな」
乃々「わぁ……少女漫画みたいなんですけど……」
凛「でも、乃々もその内、こういう場所に来るのが当たり前になるんじゃない? 高校生になったらさ」
乃々「高校生……もし、凛さんと同じ学校に入ったら、凛さんを先輩って呼ぶことになんでしょうか……」
凛「私を?」
乃々「はい……『凛先輩』って」
凛「……」ピタッ
乃々「……あ、あれ? 凛さん、急に立ち止まって……どうしました……?」
凛「……もう一回だけ」
乃々「?」
凛「もう一回だけ、言ってもらってもいい?」
乃々「え? 良いですけど……『凛先輩』」ニコニコ
凛「……」
乃々「あ、あの……」
凛「……乃々が私のいる学校に入学してくれるの、今から楽しみにしてるから」
乃々「へ? あ、も、もしかして先輩って呼び方のほうがいいなら、今からでも……凛さん、アイドルとしても先輩ですし……」
凛「それはいいかな……普段からそう呼ばれたら可愛さに耐えるのきついかも」
乃々「そ、そんな……凛さんだって、綺麗ですし……」
凛「……うん、この話はここまでにしよう。なんだかダメージが大きくなりそうだから。それよりほら、そろそろ目的のお店に」
乃々「……あれ? あの人……」
李衣菜「まだかなー」トントン
凛「李衣菜? なんでここに」
李衣菜「ああ凛ちゃん。いやー、ここのポテトっておいしいらしくてさ」
凛「ああなんだ、李衣菜もここに買い物に来てたんだ。一人?」
李衣菜「えっ!? あー、うん、一人一人! 大丈夫だよ、一人だから!」
乃々「なぜそんなに必死に強調を……」
凛「怪しい」
李衣菜「いやいや全然怪しくないって。そっちこそ結構珍しい組み合わせじゃない?」
凛「そうかな?」
李衣菜「だってほら、凛ちゃんと乃々ちゃんって総選挙で一緒になってたりラジオで共演してたり他にも……あれ?」
李衣菜「……実は結構珍しくない?」キョトン
凛「自分で言って自分で解決しないでよ」
李衣菜「ごめん」
乃々「それで、李衣菜さんは誰と」
店員「32番の方ー」
李衣菜「あ、はーい!」タタッ
乃々「あ」
店員「こちらBOXが一つとFLOWERが一つになります。お熱いのでお気をつけ下さい」
李衣菜「どうも。よっと」ゴソッ
凛「また随分買ってるけど、本当に一人なの?」
李衣菜「ええっと……それに答えると面倒なことになりそうだからごめん行くね! それじゃー!」タタッ
乃々「……逃げたんですけど」
凛「あれは絶対誰かと一緒だね。でも誰と一緒なんだろう?」
乃々「凛さんに心当たりは……?」
凛「李衣菜が一緒にいそうな相手って言われたらすぐに何人か浮かぶから、あんまり特定は出来そうにないかな……」
乃々「そうですか……それにしても、李衣菜さんの買っていたポテト、美味しそうでした……」
凛「ここは加蓮オススメのお店の一つだからね。ポテトの見極めだったら、加蓮の右に出る相手は事務所にいない気がするよ」
乃々「ポテトの見極め……」
凛「まぁ、正直、加蓮の体のことを考えたら困るんだけどね。とりあえず、好きなの選びなよ乃々。支払いは私がするから」
乃々「そ、そんな……別に自分で払えるんですけど……」
凛「いいから。これはさっき無理させちゃったお詫びみたいなものだし」
乃々「だ、だったらもりくぼも……」
凛「乃々は気にしなくていいの。ね?」ニコッ
乃々「わ、わかりました……お言葉に甘えさせてもらいます……凛さんの分も、一緒に注文していいですか?」
凛「うん、お願いするよ」
――――数十分後、原宿駅
乃々「……まさか、駅に戻るのに竹下通りを通る必要がないなんて……」
凛「最初に乃々の特訓になると思って竹下通りを通ったけど、さっきのポテトのお店なんかに行くなら表参道口からのほうが近いんだ」
乃々「うぅ……まさか凛さん、最初からあのお店に行きたくて……?」ジトーッ
凛「そんなことないよ。ちゃんと乃々のことを考えてやったんだから」
乃々「そうですよね……それにしても、さっきのポテトは美味しかったんですけど……」
凛「いろんな種類があったし、一回じゃ食べきれないからまた行けるといいね」
乃々「……はい……あ、次にまた原宿で特訓するときに、あのお店をゴールにすればなんとか……?」
凛「もう次のこと考えてるんだ、ふふっ、やる気だね乃々」
乃々「そ、そういうわけではないんですけど……」
凛「とりあえず、今日はもう終わりにするってことでいいのかな?」
乃々「そうです……凛さん、今日は付き合ってくれてありがとうございました……お陰で、もりくぼは力尽きずにすみました……」
凛「こちらこそ。乃々には悪いかなって気もするけど、楽しい時間を過ごせたよ」
乃々「いえそんな……迷惑をかけてばっかりと思っていたので……凛さんが楽しかったなら、もりくぼも嬉しいですけど……」
凛「そっか」ナデナデ
乃々「あぅ……そ、それで凛さん……今後のことなんですけど……」
凛「今後のこと?」
乃々「え、ええと……お時間がある時でいいので……もりくぼの特訓に、また付き合ってほしいんですけど……」
凛「あぁ、なんだそんなことか」
乃々「も、もちろん迷惑だとか嫌だとか……凛さんが付き合いたくないのであれば、特にもりくぼのことを気にせず……」
凛「そんなことないって。次また特訓する時、誘ってくれると嬉しいな」
乃々「ほ、本当ですか……?」
凛「うん、楽しみにしてるから」
乃々「……!」パァァ
凛「ふふっ。それじゃあ電車も来たことだし、今日はもう帰って次に備えよっか」
乃々「あ……そうですね……えと……途中まで一緒でも、いいですか……?」
凛「もちろん」
乃々「……えへへ」ニコニコ
――――翌日、プロダクション、事務室
凛(昨日は思いがけず乃々と一緒になって、楽しかったな……)チラッ
凛(でも今日は乃々レッスンで時間空いてないみたいだし、特訓は無理そう……残念)
凛(その後は私がレッスンと仕事で時間が作れないし、どうしよう……)
加蓮「あらら、予定表なんかみて落ち込んじゃって、どうしたの『凛先輩』?」
凛「ああ加蓮、ちょっとね…………ん?」
加蓮「なにかなー?」ニヤニヤ
凛「……加蓮、今、妙なことを言わなかった?」
加蓮「えー? 全然? なにも変なこと言ってないって『凛先輩』♪」
凛「ッ……ま、まさかあの時李衣菜が一緒にいた相手って……!」カァァ///
加蓮「乃々ちゃんは素晴らしい行いをしてくれました♪ そう思うよね『凛先輩』!」
凛「ちょ、やめて……年上なのに先輩ってやめてってば!!」///
加蓮「そんなこと言われてもねー。ところで先輩、私実は食べたいポテトがあって♪」
凛「いやいや、だめだから。何言ってるの加蓮、どうせ昨日いっぱい食べたんでしょ、だったら――」
加蓮「あ、奈緒ー! ちょうどよかった実は凛ってねーっ♪」
凛「やーめーてー!!」///
――その後、乃々を発端とした凛いじりのネタは同世代のアイドル達に広まり、暫くの間、凛は乃々に慰められる日々が続くのであった。
〈終〉
街を歩いてたら唐突に森久保と凛ちゃんの話が欲しくなったので
なんでだろうね、まったく理由がわからない。なのでもっと森久保と凛ちゃんのSSとか増えて下さい
読んでくださった方ありがとうございました
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