渋谷凛「おはよう、パーティ楽しんでる?」
鷺沢文香「はい、おかげさまで。凛さんも楽しまれているようで何よりです」
凛「うん。事務所の飾り付け、やってくれたんだってね」
文香「ええ。私だけではありませんが、皆さんのことを思って日常を彩るのは悪くなく」
凛「凝ってるもんね。文香らしいなって思ったよ」
文香「……熱が入り過ぎてしまうのが悪い癖で……お恥ずかしい」
凛「私はそういうの、文香のいいところだと思うけどね」
文香「であれば、いいのですが……」
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凛「文香って変なとこ自信ないよね」
文香「……そう、でしょうか」
凛「だって、飾り付け、頑張ったんでしょ?」
文香「それは、はい。特別な日に手は抜けませんから……」
凛「なら、もっと自信持ったら?『これは私が作ったんだぞー!』って」
文香「……それは、その」
凛「ほら、言ってみなよ。そこの栞モチーフの飾り、作ったの文香だよね?」
文香「はい。やはり……分かりますか」
凛「うん。文香らしくてかわいいと思う」
文香「ありがとう、ございます」
凛「ほら、『これは私が作ったんだぞー!』って。ね?」
文香「……その、ええっと……」
凛「私しか聞いてないし、大丈夫だって。恥ずかしがることないでしょ?」
文香「はい……え、っと。これは……私が作ったんだぞぉ……すみません。どうか忘れてください……」
凛「ぷっ、あはははは。ごめん、ちょっと待って。想像以上だったよ」
文香「あの、凛さん。もしかして、私は今、からかわれたのでしょうか」
凛「違う違う。想像以上にかわいくて、ずるいな、って。それ文香のプロデューサーさんにやってきたら?」
文香「……やはり私をからかってましたよね?」
凛「……ふふっ」
文香「誤魔化さないでください」
凛「ごめんって、お詫びに、はい。ナスのキャビア風ディップ」
文香「それは私が作ったものです」
凛「え、嘘。文香って料理上手なんだね」
文香「レシピ本のおかげです。この数日間はその偉大さが骨身に沁みました」
凛「でも、すごいよ。やっぱり文香は才能あるんだね」
文香「記されている分量通りに調理を進めることで、私のような初心者でもこのような料理を作ることができて……」
凛「やっぱり凝り性だよね、文香ってさ。今度私にも教えてよ」
文香「はい。私でよろしければ、よろこんで」
凛「ありがとう。楽しみにしてるよ」
文香「さて、先ほどの私をからかった件なのですが……」
凛「そこに戻すんだ」
文香「もちろんです」
凛「戻さなくていいのに」
文香「そういうわけにもいきません」
凛「そっか」
文香「そうです」
凛「で、私は何をしたらいいわけ?」
文香「話が早くて助かります。凛さんには、物真似をしていただきたく思います」
凛「物真似? そんな持ちネタないんだけど……」
文香「以前、凛さんはきらりさんの物真似をなさったそうですね」
凛「ごめん、待って。待ってください」
文香「一度、生で見てみたいと思っていたのです」
凛「ごめん、ごめんってば」
文香「では。よろしくお願いしますね?」
凛「……に、にょわぁ……? りんちゃんだにぃ……? りんちゃんのきゅんきゅんぱわーではぴはぴさせるにぃ……?」
文香「ありがとうございました」
凛「……はぁ、高くついたなぁ」
文香「ふふ。仕返し、です」
凛「まぁ、お祝いの席だし、ね。ちょっとくらいの恥ずかしさは忘れることにするよ」
文香「そうですね。きゅんきゅんぱわー、素敵でした」
凛「もう忘れて」
文香「はぴはぴさせられてしまいました」
凛「忘れて、ってば」
文香「……すみません。調子に乗り過ぎましたね」
凛「いいよ。でも文香、今日はほんとに楽しそうだね」
文香「やはり、今日の私はそう見えるのでしょうか?」
凛「うん、すごく。やはり、って?」
文香「プロデューサーさんにも同じことを言われたので……」
凛「ふふっ。惚気なら聞いてあげないよ?」
文香「……そんなつもりはなくて、ですね……」
凛「まぁ、でもこうして文香と話せる時間が作れてよかったよ」
文香「……? それはどういう……」
凛「だって、文香、文香のプロデューサーさんとべったりだったし」
文香「……それは、その。日頃の感謝を、と……」
凛「そうだね。そういうことにしとくよ」
文香「……弁明は、意味を為さないようですね……」
凛「別に、楽しかったら楽しいって言えばいいと思うんだけど。それじゃだめなの?」
文香「そう、ですね。どうやら今日の私はいつにも増して楽しんでいるようです」
凛「ふふっ、アニバーサリーだもんね。それくらいで丁度いいんじゃないかな」
文香「はい、ありがとうございます。ふふ」
凛「それで、私なんかと話してて大丈夫? なんか話し込んじゃって迷惑だったかな」
文香「凛さんとお話しする時間は、私にとってとても有意義で……迷惑だなんて、そんな」
凛「ありがと。私も文香と話すの、楽しいよ」
文香「同じ、ですね。ふふ」
凛「そうだね。ふふっ」
文香「話し込む、といえば凛さんこそ、プロデューサーさんと過ごされなくてよろしかったのですか?」
凛「うーん、さっきまで一緒だったんだけどね。文香を見かけたから、ちょっと話してくるね、って」
文香「わざわざ、私のために時間を作ってくださったのですね」
凛「そんな大層なものでもないけどね。私のプロデューサーも、ふらふらしてるし」
文香「仲が良いのですね」
凛「そうかな? うーん、そうかも」
文香「そういえば、凛さんは事務所にいらっしゃる前にプロデューサーさんとお花屋さんに行かれたそうですね」
凛「あれ、なんで知ってるの? 話したっけ」
文香「いえ、凛さんのプロデューサーさんが自慢してらしたので」
凛「え。自慢、って?」
文香「胸に付けてらっしゃるリンドウのお花を指差しながら『凛と選んできたんだよー』とおっしゃっていたので……」
凛「……はぁ、ほんとにもう」
文香「凛さんと言えば、あのお花ですし。言われなくとも……とは思いましたが」
凛「そんなに私、あの花って感じするかな」
文香「それは、はい。凛さんの衣装に度々配われていたので……」
凛「あー、そっか。まぁ、プロデューサーには後でキツく言っとかないと、かな」
文香「ふふ。それにしては楽しそうですね」
凛「んー、どうかな」
文香「私の目には、今の凛さんはとても楽しそうに映ります」
凛「……え、っと。ちょっと意味が」
文香「とても怒っているようには見えなくて」
凛「いや、怒ってるからね。ほんとに勝手なことばっかされてさ」
文香「そうですか」
凛「そうだよ、まったく」
文香「プロデューサーさんに自慢してもらっていることを知り、少し嬉しそうでしたので」
凛「そんなことないって」
文香「ですが、とても素敵な笑顔ですよ?」
凛「え、嘘。にやけてる?」
文香「……嘘です」
凛「あ。もしかして私、からかわれた?」
文香「……ふふ」
凛「誤魔化さないでよ」
文香「すみません。悪気はないのです」
凛「うん、分かってる。まぁ、文香が楽しそうでよかったよ」
文香「ありがとうございます。本当に夢のような1日で……」
凛「何言ってるの。まだ始まったばかりでしょ?」
文香「それは、そうなのですが。これは夢ではないかと思ってしまう程に……」
凛「私達が作る今は夢なんかより綺麗でしょ? 違う?」
文香「そういった考え方もあるのですね……」
凛「最初も言ったけど文香はさ、もっと自信持っていいよ。今日もおしゃれ、頑張ったんでしょ?」
文香「それは、その……はい。精一杯のおめかし、です」
凛「ヘアバンドしてないの、珍しいよね」
文香「……変、でしょうか」
凛「ううん。綺麗だと思うよ。嫉妬するくらいには」
文香「……凛さんにそこまで言わせておいて、謙遜しては罰が当たりますね……」
凛「ふふっ、そういうこと。分かったら、私に言ったこと文香のプロデューサーさんに言っておいでよ」
文香「凛さんに言ったこと……とは?」
凛「精一杯のおめかしなんでしょ? 褒めてもらわなきゃもったいないよ」
文香「……ふふ。そうですね。では、お言葉に甘えて……」
凛「うん。またね」
凛「……行っちゃった。ふふっ、みんな浮かれてるなぁ」
凛「私も大概、か」
凛「……………」
凛「あ、プロデューサー。ううん、待ってないよ」
凛「あのさ、聞いてよ。文香ってば、おかしいんだ」
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―
おわり
ありがとうございました。
アイプロが楽し過ぎて辛いです。
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