モバP「やっぱり、ウチのアイドルたちは魅力的やん?」 ちひろ「そうですね」 (135)

以下モバP=P


P「だから、色々妄想するわけよ。」

ちひろ「ちょっとエッチな妄想ですか?」

P「それはあたりまえだけど、違うよ。」



ちひろ「かなりエッチな妄想ですか!」

P「それもそうだけど、お前ちょっと黙れ。」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1478263952


ちひろ「ごめんなさい。で、ところで何を妄想されるんです?」

P「いや、やっぱ別の出会い方してたら好きになってたんやろな^~って」

ちひろ「Pさん、恋多そうですもんね。」

P「そりゃあ、周りには男しかいなかったもんだから。」


ちひろ「ほかのSSでこの手の話をするとやっぱり未央ちゃんがトップバッターに出ますが。」

P「あー、もうクラスメイトだったら一度目が合えば恋に落ちるわ。」

ちひろ「えぇ...........」

ちひろ「もうちょっと、何かイベント位用意できませんか?」

P「いやいや、言うて男なんてそんなもんよ。」

未央『おっ!P君はちょっと筋肉質さんですな~』

P「とか言われながら、体の一か所でも触られてみな。」

P「ちひろでいうなら、クラスメイトの天ヶ瀬冬馬に『おまえ、きれいな手してるな』って言いながら握ってくるようなもんよ」

ちひろ「うわ、童貞っぽい。ぜったい、手汗びっしょりそう。」

P「ひっでぇ。」


P「んで、なまじっか未央は距離が近いから、『こいつも俺のこと好きかも?』っておもってまうやん?」

ちひろ「そこらへんがよくわかりませんが、まあいいでしょう。」

P「で、二人きりで映画さそってもホイホイついてきたりするから、もうイケるっておもうわけよ。」

P「だけど、映画デートの前日に見てしまうわけよ。」



P「自分がこれまで見たこともない笑顔をするちゃんみおを.........。」



P「その隣には、かっこいい男の人がいる。



ちひろ「うわぁ......」

P「映画の日にさりげなく、男の人のことを聞いたら。」

未央『うん/// 私の......彼氏......なんだ///』

P「って、ものすごく照れた顔でいうんだよな。」

P「そんときの自分ってどんな顔してるんだろ。」

P「『そうなんだ!お似合いだね!』っていうけど、顔は今にでも泣きそうなんだろうな。」

P「なまじっか、格好がいい一年上のセンパイなだけあって敗北感しかないわけよ。」

ちひろ「でも、Pさんの中の未央ちゃんって結構尻軽なんですね。」

ちひろ「彼氏いるのにほかの男の人とデートですか。」

ちひろ「流石に怒られますよ?」

P「うぬぅ.....、妄想の中くらいゆるしてよ。」
.


P「おのちゃんみおっぱいを、イケメン彼氏が好き放題してると思うと、胸がキュンってなりますわ。」

P「でも、その感覚が堪らなくきもちいい。」

ちひろ「Pさんはもしかして、NTR物のエロじゃないとヌけない人ですか?」

P「お前さっきからエグい事ばっかり言ってくるな。」



ちひろ「でも、未央ちゃんでさえそんなオチをされるとほかの人なんてどれだけひどいんですか。」

P「いやいや、落ちとしてはそんなに面白くもないし、他の人もだいたいこんな感じでフラれるオチだって。」

P「この手の妄想なんて自己完結で十分さ。」

ちひろ「そ、そうですか。」

ちひろ「じゃあ.........次誰にしてみましょうか。」

P「ぱっと思い浮かんだので言えば奏でとかいい線いきそうだな。」

P「実際あんなミステリアスビューティーな人にキスなんてせがまれたら、キスだけじゃ終わりませんぜ。」

ちひろ「野獣ですね。」

ちひろ「野獣先輩ですね。」

P「男なんてみんな野獣先輩よ。」


P「奏は、やっぱり高校生の文化祭だとおもう。」

ちひろ「やっぱり定番をいくんですね。それどっかのSSでもみましたよ(原典忘れました)」

P「王道を往かないと。」

ちひろ「中身まで一緒にしないでくださいね。」


P「俺と奏は普段でも仲は良い方だったりね。」

P「だけど、文化祭の実行委員が一緒になって、接近することが多くなるわけよ。」

ちひろ「はいはい。」

P「いっしょに、作業してると。しぐさの一つ一つが綺麗で時々見とれたりしちゃうわけですな。」

ちひろ「奏ちゃんですもの。」

P「ほのかに香る奏のいい匂いにドキドキしたりな。」

P「このまま、時が止まってくれたらいいのにって。」


奏『ちょっと、手が止まってるわよ。』

P「とか言われてふと我にかえったりね。」

ちひろ「ちょっと、手がとまってんよ~」

P「ホント黙れ。」


P「で、段々奏でもほうもそれっぽい雰囲気を見せてくるわけよ。」

P「一段落ついて休憩しているときに大好きな飲み物を差し入れてくれたりとかね。」

ちひろ「おお~、『これ好きだったわよね』とか言いながらね。」

P「そうそう、いつも飲んでるんだから分かるわとか言ってるけどちょっと照れてたりとか!」

ちひろ「もう!期待しちゃうじゃないですか!」

P「でも、俺は用心するわけよ!ちゃんみおとかいう前例があるから。」

ちひろ「あ、時間軸は同一なんですね。」




P「文化祭の出し物は成功したわけですよ。」

ちひろ「あっ、そこ飛ばしちゃいます?」

ちひろ「文化祭いっしょに見に行くとかはないんですか?」

P「あっ! それもいいな!」

P「勇気だして奏をさそってら、『顔真っ赤になってるわよ』ってからかいながらOKしてくれそう。」

ちひろ「一緒に歩いてる間隔が近くてドキドキしてるんじゃないですか?Pさん。」

P「そりゃあもう、ドキドキっすよ。」

P「ちゃんみおに『おっ、お二人さんあつあつですなー』とかからかわれるわけですよ。」

ちひろ「あれ?未央ちゃんもしかして別れてます?」

P「いやいや。まだまだガッツリラブラブ設定です。」

ちひろ「なんだ。おもしろくない。」

P「別にどっちでもいいんですよ。今は奏ルートなんで。」

P「で、からかわれて珍しく奏が顔真っ赤であわててるとすると。」

ちひろ「かわいい。」


ちひろ「でも、頭になかったルートの割にはよくもまぁすぐにストーリーでましたね。」

P「そりゃあ、何千何億と通った奏ルートじゃけえのぅ。」

ちひろ「じゃあちゃんみおルートは」

P「500万回は優に超えました。」

ちひろ「500万回フラれた男」



P「まぁ、そんなこんなでクライマックスですな。」

P「やっぱり、舞台は片づけが終わった後の教室!」

ちひろ「...........ん?」

P「二人きりでの打ち上げで、大変だったこととか楽しいこととか話すわけで。」

P「その間、夕焼けに染まった楓が余りにもう綺麗で」

ちひろ「楓?」

P「ああ、違う!奏だ!」

ちひろ「何千何億と通ったんじゃないんですか?w」


P「まぁ、そんなの見とれるしかないやないかと。」

P「惚れてまうやろと。」

P「なんならこっちは惚れてんぞと。」

ちひろ「もう、そういう目で奏ちゃんをみてるんでしょうね。」

奏『なに、私の方をじっと見つめて。』

奏『キスでもしたいの?』

ちひろ「ん?んん?」

P「で、その言葉に突き動かされるんやんな。」

P「当たり前よ!吸い込まれそうな美貌にぷるっとした唇よ。」

ちひろ「キスじゃ終わらせない定期ですか。」

奏『なんて、フフッそんな度胸があなたには──んんっ』


ちひろ「えっ........」

P「唇を奪っちゃうわけ。」


P「柔らかくて、暖かくて、ちょこっと震えてて。」

P「なぜかとってもいとおしくなって、ついでに抱き着いちゃったりして。」


ちひろ「ひゃあああああ」ドキドキ

P「で、突き飛ばされる。」

ちひろ「そして、奏ちゃんのほうを見ると?」

P「夕焼けのせいか照れているようにも見える奏がいるわけです!」

ちひろ「ウッヒョー!」

ちひろ(やっぱり、どっかのSSでみたけど触れないでおこう。)



P「ふと、我に返って『ごっ、ごめん』とかいう俺P」

P「奏は何も言わずに去ってしまう..........」





P「その日から卒業まで二度と口を交わすことはなかった。」




ちひろ「そんな........。」

P「進学も別々の道になって、しばらくたって風のうわさで一年上の先輩を付き合ってることがわかるんだよね。」

ちひろ「ちょっとwまた一年上の先輩ですかw」

ちひろ「その人未央ちゃんの元カレとかじゃないですよねww」

P「そんなことしたら、グーパンかますからその方向性はなしで。」


ちひろ「でもそれだと........」

ちひろ「三年生の設定付け加えたらもうひと味わいしますね。」

ちひろ「一年生、二年生だと仲直りしちゃいそうですし。」

P「その設定いただき。」



P「あーでも。すっきりした。頭の中にあった妄想をどこかに吐き出したくてしょうがなかった。」

ちひろ「それはよかったです。」


ちひろ「是非とも、そのお二方にご感想をきいてみたいですね。」

ちひろ「どうでした?未央ちゃん、奏ちゃん。」


P「ファッ!」

未央「」

奏「」



P「.......................。」

未央「何か」

奏「言い残したことはあるかしら?」

未央「人を勝手に尻軽キャラなんかにして。」

奏「人の名前を間違えて。」

ちひろ(奏ちゃんの怒ってるとこはそこなんだ。)


P「......................。」

二人「なにか。」


P「........なぁ、知ってるか。」

P「夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが。時々すっごい熱くなる...........らしいぜ。」

P「ただ、同時に夢ってやつは呪いと同じなんだ。呪いを解くには夢を叶えないと。でも、途中で挫折した人間はずっと呪われたまま。」


P「つまり、おまえらとホテルムーンサイド..............」

二人「死ね!!」



ギャアアアアアアアアアアアアアア!



ちひろ「なーにやってんだか。」



本田未央「ハッピーエンドを知りたくて.............」


例えるなら太陽のようだった。

まぶしい位の笑顔が堪らなく好きで。

明るくてみんなの人気者な姿を

僕は遠くでずっと見ていた........。




何時からだっただろう。

彼女が僕の隣にいるようになったのは。

当然彼女にとっては僕はただの友達の一人で。

普通の友達のように接していた。

だけど、そんな姿でさえも僕は何よりも愛おしかった。




(以下P=p)

p「本田さん......今度、僕と映画にいきませんか。」


勇気を出して、僕は彼女.........本田未央を映画に誘った。

放課後、部活が始まるギリギリの教室の中だった。

彼女は、一瞬驚いたそぶりを見せて、だけどすぐに笑って答えてくれた。


未央「映画!? 行く行く!」


屈託のない笑顔だった。


やった。

やったぞ。

何度も何度も快哉を叫ぶ。


僕はやったのだ。

あの快濶で可憐な本田未央をデートに誘うことができたのだ。

何度も何度も快哉を叫ぶ。

止まらない。

帰宅路を通っている人々の訝しげな目に包まれているがお構いなしだ。

どうして自分の体は、自分の声は、この思いに対してあまりにも小さすぎるのか。

全て吐き出せば、喉から全身が飛び出てしまいそうだ。


そんな、幸福感が体の内部から膨れ上がってくる。

ああ、このまま、幸福感に身を破裂させてしまいたい。



次の日が来た。

目線は幾度となく彼女の方へ行ってしまう。

愛おしい。

ぱちくりという擬音が似合っているそのつぶらな目が。

ふと、こっちの視線に気づいて、振り向くそのしぐさが。

僕を見て、こぼれだすその笑みが。



先生「じゃあ、この問題をp君解いてくれ。」

p「えっ! えっえっえっ!」

p「えっと.........」

先生「全く........女の子ばっかり見ているからだ。」

ワハハハハハハ

ヨッ! ムッツリスケベ!

p「たはは~////」

p「////」チラッ


未央「/////」





今日は金曜日。

今日さえ耐えてしまえば彼女とデートだ。

もっとも、普段の授業も彼女のおかげで暇ではないのだが。



最近、彼女からの接し方も変わってきた気がする。

筋肉質だと言って僕の肩に触れたり。調理実習の時に作ってくれたクッキーをくれたり。

彼女も少し僕を異性としては意識してくれているのだろうか。



そんなことを思っていると、はるか先に彼女を見つけた。

p「あ、本田さんおはよ...........」



未央「ちょっと!変なこと言わないでよ~」

?「ははっ!わるいわるい。」

未央「もうっ!セクハラだよ!」



本.....田さん。


長身だ。しかも体躯はいい。

さらに、整った顔立ち.................



以下p=P


P「ちょ、本田様そろそろ勘弁さしていただいてよろしいですか?」

P「せっかくのオフになんでおr.......わたくしが妄想小説を書かなくちゃいけないんですか。」

未央「いや、ダメでしょ。ハッピーエンドを見せてよ。」

未央「人を勝手に尻軽女にしたんだから」ゴゴゴゴゴゴ

P(やっべぇ、怒りすぎてキャラ変わってんよ。)

未央「ほら、イケメンみつけてイチャイチャしてるのを目撃して、死にそうになっているところから!はい!」

P「チックショー!!」

以下P=p


体の中で鉛が生まれているのが分かる。

それが一秒一秒大きく、重たくなってきている。


いつかは、アスファルトに穴をあけてしまいそうだ。


一歩一歩が進まない。

あの男の人はいったい誰だったのだろう。

彼女の何なのだろう。


幼馴染なのだろうか。

彼女にセクハラ出来る異性とすれば

恋人なのだろうか。

あんな笑顔をするくらいなのだろうから。


知るのが怖い。

知ってしまえばいったいどうなってしまうのだろう。

全身が鉛になってしまって沈んでしまって浮き上がれなくなるのだろうか。

それならいっそ、絶望に体を窶してしまった方がありがたい。



声を聞くのが怖い。

あんなに愛おしい声なのに。

「あの人は私の彼氏」という声を何度も作り出してしまう。

あの愛おしい声で聴いてしまうのが怖い。



未央「p君おはよ!顔色悪いけどどうしたの?」


愛おしくて、でも一番聞きたくない声が聞こえた。



p「..............何でもないよ。」

未央「何でもないって!そんな訳ないでしょ!」


彼女は僕の額に手を当てる。

未央「熱.....はないみたいだね」


バシッ


p「やめてよっ!!」

未央「どうしたの!おかしいよ!今日!」

p「そんなの、本田さんには関係ないよっ!」



未央「ッ!」




これまで見たことのない表情を、今日二回見ることができた。

褒められたことじゃあないけれど。


ショックで茫然としている彼女を傍に僕は歩を進めた。








それから、何があったか覚えていない。

授業が予定通りに進んだのかさえも知らない。

自分がまともな通学路で、何の問題もなく帰れたかでさえも。


気が付けば、ベッドの上で倒れこんでいた。


頭の中ではずっと、本田さんのことばかり考えている。


あの男の人と手をつないで、ショッピングにでも行っているんだろうか。

オシャレなお店で仲よくご飯を食べている姿が思い浮かぶ。

映画館で映画でも見ているのだろうか。

あの男の人に肩を寄せてるんだろうか。

逆に眠ってしまったあの人の頭を寄せさせてるんだろうか。

夜は観覧車にのって夜景を楽しんでいるんだろうか。

「楽しかったね」って言いながら、幸せなキスをするのだろうか。





そして...............。






以下p=P


未央「えぇ~、何コレ。きょうび中学生でもこんなデートしないよ。」

未央「プロデューサーまともに恋愛したことないの?」

P「うっさい!悪かったな!」

未央「幸せなキスって発想が気色悪いし。」

未央「『そして.......』って溜めるあたりなんか童貞臭い。」

P「アイドルが童貞とかいうんじゃねえよ。」

P「絶対ちひろの奴の影響じゃねえか。つぎ会ったら説教してやる。」





ちひろ「ヘックチ!え゛え゛ぃ、ヂクショー!!」

ちひろ「ズズッ...........フフッ。さて、この空を守ったのは一体誰なんでしょうか。......ねぇ、Pさん。」



じゃあ実際に二人でデートしてみたらいいんじゃないかな?


以下P=p


デートの日が来た。

やっぱり体が重い。

僕はどうしたらいいんだろうか。

行かない方がいいんだろうか。



昨日はあんなことがあったんだ。

もう、終わっているのかもしれない。


いや、そもそも始まってなんかなかったのかもしれない。

あの笑顔を見てしまったから。


.................いるのかな、本田さん。



出会ったら一度謝ろう。

一歩。

そして、ちゃんと本田さんの口から真実を聞こう。

一歩。

恋人だったら、満面の笑みで祝ってしまおう。

一歩。

その時は僕はいったいどんな顔してるんだろう。

一歩。

もしかしたら

一歩。

泣きそうな顔になってるかもね。

一歩。

でも、本田さんなら言ってくれると思う。

一歩。

僕は.........。

一歩。

本田さんの『大切な友達』だって.......。



待ち合わせ場所には、長身の男が立っていた。

体躯が良く、顔だちも良かった。


男は鋭い目つきをしている。

ひと睨みすれば、それだけで人を刺し殺してしまいそうな。

刃渡り6センチ以上の目つきをしていた。


警察にいってしまえば銃刀法違反で捕まえられるんじゃないか。

そんな気さえした。





男「君が、p君だな。」

男はぼそりとつぶやいた。

p「そうだ。」

男「ついてきてもらおう。ここでは人目に付く。」

p「要件ならここできく。」

困るなぁ。

と男が歩を進める。

男が襟首を掴んで言った

男「ごちゃごちゃぬかさず、ついてくればいいんだ。わかるか。」



以下 p=P


未央「.............何これ。」

未央「雰囲気変わっちゃってるけど。」

P「いや、ちょっと夢○先生を意識してみた。」

未央「ちゃんとまじめにやって!」

P「うっす。」





以下P=p


男「君が、p君だね。」

男はそういった。

美しい声だった。甘い声だった。

だけど、甘い声の芯には冷たい何かが潜んでいた。

p「は。」

男「大事な話がしたい。ここでは人目に付くからついてきてくれないかな。」

p「何で人目に付いたらいけないんですか。」

p「やましくなかったら、ここで言えばいいじゃないですか。」

男「......................。」

男が歩を進める。

男が僕の襟首を掴んで言った

男「ごちゃごちゃぬかさずについてこい。」


頬に岩のようなものがぶつかった。

拳だ。

それも、あの男の拳だ。

殴られた頬が燃えているかのように熱くなっている。


男「よくも、未央の奴を泣かせやがったな。」

男「未央を泣かせる奴はゆるさねぇ!」



『未央』......か。

やっぱりこの人は、本田さんとそういう関係なんだろうな。

拳!

痛いなぁ、顔もそうだけど。

心も痛いなぁ。

いいなぁ、素敵だなぁ。

顔が良くて、声もよくて、おまけに好きな人を全力で守る誠実な人で。

そんな人なんかに。


p「あなたなんかに........僕の気持ちなんてわかりませんよ。」


本田さんのことが好きで。

本田さんからも好かれてるあなたなんかに。


男「そうかよ! それじゃあ二度と! 未央には近づくな!!」


拳が飛ぶ。



素敵なお人。

どうか、これからも本田さんの笑顔を守ってください。

あなたが一番知ってると思いますが。

本田さんは明るくて、まるで太陽のような人なんです。

一人さみしくいた僕を照らしてくれたんだ。



そんな本田さんを支えてあげてください。

これからも、本田さんがいっぱい人を幸せにするのを助けてあげてください。

これからも、この先も本田さんの隣にいるのは恐らくあなただ。

だけど...............


左手で殴る手を掴む。
掴んだ手で引っ張る。

男を惹きつける。


誰もが振り返るような。

誰もが見とれてしまうような。

本田さんが見とれてしまうような。

本田さんのあの笑顔を独り占めしてしまうようなあなたの


その顔を一発殴らせてください!!


僕は思いっきり右手を振りかぶった。





?「やめて!」

聞き覚えのある声がした。

未央「兄ちゃんやめて! 話するだけって言ったじゃん!」

未央「そこまでやっていいなんて言ってないじゃん!」


本田さん..........。


未央「p君大丈夫!?」

p「う、うん。でも、本田さん。今その人のことを.....。」

未央「うん、ごめんね。」

未央「この人、私の兄ちゃんなんだ。」



男の人は、本田さんのお兄さんだった。

昨日帰ってから一日中本田さんが泣いてたみたいで

理由を聞いたら、僕が冷たくなっていたから、何か悪いことをしたのかも。


ということだった。


そして、次の日が映画デートだったからどういうつもりか聞き出すつもりだったらしい。


未央「ホント!ごめんね!」

p「こっちのセリフだよ。本田さん。」

p「冷たいことして、本当にごめん。」


未央兄「しっかし、俺が未央の彼氏かと思ったからってか。

未央兄「それじゃあ、直接未央に聞けばよかったのによ。」

p「ははっ、申し訳ないです。」


未央兄「泣きやますの、大変だったんだぜ」

未央兄「なんせ、めったに泣かないけど一度泣いたら中々泣き止まないんだから。」

未央「ちょっと!兄ちゃん!」

以下 未央兄=兄


兄「まぁ、仲直りもすんだわけだし、これで一件落着だな。」

兄「楽しんで来いよ。あんまり遅く帰ってくるんじゃねえぞ。」

未央「ありがとう兄ちゃん。」

p「本当に申し訳ありませんでした。」


兄「ああ。」

兄「あ、そうだ。」

未央・p「??」


兄「一個言い忘れたわ。p君ちょっとおいで」

p「は、はいっ」ビクッ!!


p「あ、あの。話って.....。」

兄「あ、うん。耳かしてみ。」


僕は、お兄さんに耳を傾けた。


兄「未央な、家でよく俺にお前の話をしてくるんだよ。」ボソッ

p「えっ.............。」ボソッ

兄「授業中に目が合ったとかさ、いっしょにご飯食べたとかさ。」ボソッ

兄「休憩時間にこんな話したってな。」

p「本田さんが........。」

兄「そん時の未央の顔って、十数年一緒にいたけど...............。」













兄「一度も見たことないいい笑顔だったぜ。」













p「...........................。」

兄「悪いな、時間取らせてよ。」

兄「それじゃあ、行ってきな。」

p「は、はい!」



タタタタタタタタッ!





兄「...........ホントはよう。」

兄「お前をボッコボコにするつもりだった。」

兄「未央をあんなになるまで泣かせた張本人だったから。」


兄「だけど、未央だけはお前を最後まで信じてるって言ったんだ。」

兄「お前を信じる気なんてなかったさ。」


兄「だけど、俺は信じた。未央が信じるお前をな。」

兄「その選択は、どうやら間違ってはなかったみたいだな。」





兄「そのセリフ、結婚式くらいで言わせてくれよな。」クルッ






.


p=P

未央「ちょっと!大事なところで打ち間違えてる。」

未央「『そのセリフ、結婚式くらいで言わせてくれよな。』じゃなくて『このセリフ、結婚式くらいで言わせてくれよな。』じゃない?」

P「悪い、普通に打ち間違えた。」


P「で、こんなもんでいいんじゃないか?」

未央「エッピローグ!エッピローグ!」

P「まだかかせるのかよ!俺に!」





P=p


あれから、しばらく経ち。

僕たちは無事卒業式を迎えた。


未央「へへっ、卒業.....しちゃったね。」

p「そうだね。」


未央「お互い進む道は違ってるけど。これからも.........」

p「一緒にいられたらいいね。」

p「..............未央ちゃん。」

未央「何、p君。」


p「ここは、卒業式恒例のアレだと思わない?」

未央「あれ?」


僕は胸にある第二ボタンをもぎ取った。


p「受け取って!僕の第二ボタン。」

未央「ふつう、私からくださいっていう物だと思うけどw」

p「それもそうだねw」


未央「............有難う。」

未央「ねぇ、p君。」


p「?」

未央「第二ボタンもほしいけど。」

未央「私、もっと欲しいものがあるんだ。」




p「えっ、いいけどそれって、ちょっ未央ちゃ───」

未央「」

p「」





















p=P


P「はぁ、はぁ。か..............書ききってやったぞ!」

未央「ついにハッピーエンドになりましたな!」

P「たまったもんじゃないっすよ。」

P「せっかくのオフが消えたし!」


未央「分かった分かった!未央ちゃんもお礼にひと肌脱ぎますか!」

P「おっ!ホテルムーンサイドなのか!!」

未央「セクハラで訴えるよ!」

P「曲名なのでセーフ」

未央「プロデューサーがいうとそういう意味にしか聞こえない。」



P「んで、お礼って?」

未央「そうだなぁ..........」















未央「女性経験なさそうな、プロデューサーのために。」

未央「未央ちゃんがデートしてしんぜよう!」
















.












P「.................それって、ほかの人が言ったから採用したろ?」

未央「そっ! そんなことはどうだっていいの──」














以上

本田未央「ハッピーエンドを知りたくて」でした。

>>29氏ありがとう。


奏「バッドエンドにあいたくて」


奏「バッドエンドにあいたくて」


奏「バッドエンドにあいたくて」

調子悪くて連投失礼

質問ですけど

ノリで最後まで書ききるか
ノリで最後まで書き溜めてからがいいか


以下P=p

p「そんな..............お母さんが異星の姫だなんて。」

p「ウソだといってよ!お母さん!」

菜々「わ、私は..........。」


?「そう、だからこそ。私はあなたを殺しに来た。」

?々「あなたを殺して今度こそ..........」スウッ

影菜々「私は本物の安部菜々となる......。」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

影菜々「そして、正式なウサミン星の女王として君臨する!」

菜々「あなたは........」

p「知ってるの! お母さん。」

菜々「あの人は......かつて私の中にいた.....。そう、私の一部。」

菜々「パパと結婚する前に、ウサミン星から離れたときに消し去ったはずなのに。」

影菜々「確かに、私はあなたから敗北を喫し姿を消した。」

影菜々「だが、完全には消し去ることは適わなかっただけよ。」

影菜々「そして、私は雌伏した。力を取り戻し、なお力を蓄えた。」

影菜々「すべては、あなたを倒し、私が安部菜々となるため!」


影菜々「さぁ、退きなさい。遠き私の息子よ。我が覇道を邪魔するな。」


p「嫌だ! お母さんは僕が守る。」

影菜々「黙れ!」ゴオッ

p「ぐあああああああっ!!」

菜々「pくん!」


p「おかあさん.....逃げて。」

黒菜々「囀るな!」ゲシッ!

p「うわあああああああああああっ!!」


p「ふふっ、ふふふふふふっ。」

影菜々「何がおかしい!」

p「お母さんの一部って聞いてたけど、なんてことはないね。」

p「見た目はお母さんみたいだけど、全然似てない。」

p「お母さんは、アンタと違って。自分が自分であるために人を引きずりおろしたりはしない!」

影菜々「なんだと.......。」

菜々「pくん........」



p「アンタがそんな性格でよかった。」

p「行くよ!お母さん!」

p「終わらせよう。お母さんの因縁を。」



菜々「......................。」ウルッ

菜々「pくん........いえ、p。」


菜々「私の知らないうちに立派になっちゃって。」


p「いくよ!お母さん! 変身だ!」

菜々「ええ!」



p・菜々「変身!!」



ヘンシーン キャハッ!

カメンライダー ウサミン!







*時は遡ること 数か月前


菜々「はい!それでは、私たちのクラスの出し物を何にするか決めたいと思います!」

菜々「何かいい案はありませんか?」



し~ん



菜々「ほ、ほら!例えばお化け屋敷ーとか。」

菜々「たこ焼き屋さんとかメイド喫茶とか.............。」



し~ん



菜々「んも~これじゃあ、何も決まらないじゃないですか!」

キモオタ「ブ、ブヒッ。それじゃあ拙者ひとつ提案いいでござるかwwwww」

菜々「は、はい!キモオタくん!」

キモオタ「こ、高校三年の文化祭。せ、拙者はこれまでにない大きなことをやりたいでござるよwww」

キモオタ「たとえば、映像作品を製作してそれを上映するとかでござるwww」


菜々「おお! 映像作品制作ですか!」

まわり「でも、機材とか動画編集とかはどうするんだ.........」

キモオタ「そ、それは問題ないでござるよwwww拙者こう見えてもyoutubeで10万再生はだしてるyoutuberなのでござるよ。」

まわり「ウッソ!」

キモオタ「デュフフ、証拠を見せるでござるよwwwフォカヌポォwwwww」


菜々「おお......カメラワークとかすごいですね。」

菜々「でもyoutuberってただ、同人作品の宣伝をしてるだけじゃないですか。」

キモオタ「ただの言葉の綾でござるwww」



キモオタ「だけど、こうは思わないでござるか。」

キモオタ「このクラスには、美男美女の群雄割拠だと」ドドドドドド


クラスメイト「で、でた。キモオタのなぜかキャラが変わるときに出るモード。」

クラスメイト「なぜか、ものすごくかっこよくなるよね。」


キモオタ「安部さんをはじめ。本田さんやイケメン君。速水さん。」

キモオタ「名前を上げればきりがない。」

キモオタ「そんな彼ら彼女らをよりかっこよく、より可愛く引き立たせる作品を作り上げられたとしたら。」


キモオタ「私は、製作者冥利に尽きる。クラスメイトの皆は最高の思い出ができる。形として残る。」

キモオタ「最高だとは思わないか。」

菜々「そ、そうですね(汗)。」

クラスメイト(男)「た、確かに。」

クラスメイト(女)「イケメン君のカッコいいところみてみたいかも.........。」


キモオタ「どうでござるかwww速水殿wwwww」


クラスメイト(あっ、もういつものキモオタ君になった。)




奏「................................。」

奏「別に、いいんじゃないかしら。」

キモオタ「デュフフフフwwwww決まりでござるなwwww」

菜々「で、では。私たちのクラスの出し物は映像作品ってことでよろしいですか!」

みんな「はーい!」

菜々「よ、よかった~。決まらないかと思ってた。」







p「...............................。」


僕は何時もの通り、何も変わらないと思っていた。

僕は裏方で、ワカメの役をやるのだと。

そう思っていた。


キモオタ「p君wwwwキミ主役で映像物語を作ることになったからwwww」


...................は?


キモオタ「今回の主人公は女装の似合う子が適役なんだのさwwwww」

菜々「えっと、キモオタくんから聞いたんだけど。」

未央「p君って...........女装趣味なんだって?」


誰だ、僕を勝手に女装趣味なんかにしやがった奴は......キモオタ君だけど。

そうして、ボクはなぜか女装主人公のヒーローものをやることとなった。





以下p=P

奏「えっ、プロデューサって女装趣味だったの?」

P「そんなわけないだろ! こういうキャラ付とかしていかねえと話造っていけねえんだよ!」

P「おかしいだろ、未央に続いてなんで奏のフォロー小説とか作らないといけねえんだよ。」

P「しかも、バッドエンドって。お前実はエm.......。」

奏「違うわ。」バキッ

P「痛って!!」




p「はぁ、セリフ覚えたり衣装造ったりだなんて殆どやったことないのに........。」


昔、罰ゲームで女装をさせられたことがあった。
忘れもしない、チャイナ服だった。

簡易的なお団子を頭につけられて、化粧をさせられた。

忘れもしない、あの時の友達の驚きを。

そして忘れもしない。それ以降の友達の見る目を。


隙があれば女装をさせようともくろむ彼らの野獣のような眼を。




?「...........さい。私はそんなあなただから共に戦おうと決めたのよ。」




教室から、凛々しい声が聞こえる。

ただの凛々しい声ではなく、その周りを艶で囲ったような声を。

この声の持ち主を僕は知っている。

僕は教室の扉を開ける。



奏「さぁ、立ち上がりなさい。敵はまだいなくなったわけじゃないわ。」

速水奏。
僕の隣の席の女子にして、今度製作される作品のヒロインである。
どうやら、台本を片手に演技を行っているようだ。


奏「母親を守りたい......あなたの想いはその程度だったのかしら?」

奏「それなら失望したわ。私たちはここでコンビを解消させてもらうわ。」

気が付くと、僕は自分の台本を広げていた。

p(ま、待ってよ。)

奏「なによ、まだ何かあるわけ?」

奏「ならば、手短に言ってほしいわ。私は暇じゃないの。」

p(目の前にいる敵は、速水さん一人が片づけられる数でもないじゃないか!)

奏「でも、それでも私は戦わなければならない。」

奏「それが、私達...........いえ、私の使命だから。」

奏「変身!」


奏「はああああああああああああっ!!」






奏「.......................とりあえずここまでね。」カチッ

p「...............。」



何ということだ。
何という演技力なのであろうか。

いつの間にか、自分は彼女の世界に吸い込まれていた。
自分も物語の中にいた。
目の前に大量の倒すべき敵が見えていたのだ。

演技とはなんと素晴らしいものなのであろうか。
物語の速水奏を演じるのではなく、既に物語の速水奏となるのが演技なのか。


奏「で、いつまでそんなところで棒立ちになっているのかしら?」


冷たい風を吹きつけるかのような、冷たい物言いだった。
だが、そこには悪意はない。それが、彼女なのだから。


p「凄かったよ、速水さんの演技。」

p「なんというか、吸い込まれたというか。」

p「気が付いたら、速水さんの世界に入ってたよ。」


速水「そうね、演技途中から入ってたものね。」

p「えっ! いつから!?」

速水「そうね、『待ってよ!』ってところかしら。」


自分が心の中で読んでいたと思っていたところだった。

もう自分でも、分からなくなるくらいのめりこんでいたのか。


奏「だけど、キモオタくんも既に台本を用意してたあたり。本気度がうかがえるわね。」

奏「普段、どこか一歩引いているような彼があそこまで突っ走るなんて。」

p「珍しいよね。」

p「体育祭の時以来か。」

奏「逆転勝利の立役者.......案外ここぞでの一言で人が動く人が何か大きなことをしでかすのでしょうね。」

p「........僕たちも一役買いますか。」


奏「そうね。」

奏「よかったら、一緒に練習する?」

奏「お互い主役なんだし。」


ニコリと微笑んだ。
雪解け水のようであった。



奏「ふぅ.........今日は練習これくらいでいいんじゃないかしら?」

p「ふへぇ.......もうクタクタ........。」

奏「もう、しょうがないわね。」


そういって彼女はどこかへ行ってしまった。

しかし、彼女の世界は楽しいものであった。

いないはずのキャラ、つまり居ないはずの本人でさえ、自分の近くで喋っているようであった。

安部さんが、「私お母さんって年じゃないですよ!まだ17歳ですっ!」と起こっている姿でさえも
本人が近くにいないはずなのに、聞こえてしまっていた。

このまま、彼女の世界の余韻の海に沈んでしまうのもいいかもしれない。


ピトッ


p「冷たっ!!」

奏「.........ほら、ジュース買ってきたから元気出しなさい。」

p「これって、四ツ谷サイダー!」

奏「好きなんでしょ?これ。」

p「そうだけど......どうして。」

奏「べ、別に。隣でいつも飲んでる飲み物がこれだったから、覚えてただけ。」プイッ

p「そ、そう。」

p「でもうれしいな。」ニコッ


奏「..............................。」




*別の日

菜々「あ、P君!」

p「安部さん。どうしたの?」

菜々「ほら! 私とp君は今度の作品で親子じゃないですか!」

p「そ、そうだね。」

菜々「良かったら今日は一緒に練習しませんか!?」

p「うん!ボクでよかったら!」

菜々「それにしても酷くないですか!? ナナはそんな歳じゃありませんよ!?」プリプリプンプン

p「あ、あはは。」



予想していた通りの表情で、予想していたセリフで
彼女はぷりぷりと怒っていた。


菜々「えへへ、それではどこから始めましょうか。」

p「じゃあ、このページの3行目からで。」

菜々「分かりました!」










奏「..........................。」


うん。

何かが違う。


菜々「よく食べないと、いい大人にはなれませんよ!」

p「だからって、僕の苦手なものばかり入れないでよお母さん........。」

菜々「あなたのパパはなんでも食べる素晴らしい人だったわ。」


p「なんだよそれ!」

菜々「pくん.........。」



なんだろう。

上手くピースが合わない。



p「もう知らないよ!」ダッ!

菜々「待って! p君!」


自分がpとして、あの物語のpとなっていない。

どこか、芯のところがずれている。


菜々「ありがとうございました!」

p「こちらこそありがとうございました。」

p「.................。」

菜々「どうしました? なにか思いつめてるような感じですが。」

p「あの.......、速水さんも練習によんでみていいですか?」

菜々「奏ちゃんを.................ですか?」

菜々「.................................?」カッチカッチカッチカッチ 。o0(p 奏)




菜々「!?」ピーン! 。o0(p?⇒奏)




菜々「なるほど!そういうことでしたら!」

p(何がそういうことなんだろう............)


奏「で、私はついでで呼ばれたってことね。」

菜々「そんな、ついでってわけじゃ.........」

奏「まぁ、いいわ。手伝ってあげる。」

菜々「ありがとうございます!」



そして、彼女も知ることとなる。



菜々「奏さん!ダメです!それ以上はあなたの体が!!」

奏「いいえ!まだまだ持つわ。」

影菜々「これでとどめ。散りなさい。」

奏「エネルギー120パーセント!!」


ガギィン!


影菜々「なにっ!」

奏「今よ! p君! 菜々さん!」

菜々「で、でも...........。」

奏「今しか、倒すチャンスがないじゃない!!」ガシッ!

影菜々「やめろっ!! 放せえっ!」

p「か........奏さん。」

奏「p君、見せて。あなたの覚悟を。」

奏「世界を救うって言ったその覚悟を。」

奏「でも、最後に一度いってほしいわ」

奏「私のこと..............『奏』って呼んで。」

p「奏.............さん!」

黒菜々「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」バリバリ

奏「ぐうっ! 早く! もう持たないわ!」

菜々「奏ちゃん..............。」

菜々「必ず、おうちに帰ってきてくださいね。今度は母としてお迎えしますから。」ニコッ

奏「」ニコッ

p「そんな.....そんな.......」

菜々「行きましょう!p!」ウサミンマックスパワー!

p「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



p「かなでえええええええええええええっ!!」ライダーキック




奏「..........................さようなら。p..........。」






菜々「す、すごいですね。」

菜々「気が付いたら私、お母さんになってましたよ。」

p「速水さんと一緒に練習してるとなんか、こう。雰囲気が違うっていうか。」




奏「私のこと..............『奏』って呼んで。」





あの儚そうに僕を見る目に、吸い込まれていった。
とても美しかった。

そう、雷に打たれたような衝撃を受けた。
ダイヤモンドの輝きにたとえたり、電圧に例える人の気持ちが分かった気がする。


p「なんか、自分が本当に速水さんのパートナーって感じがする。」

奏「!?」

奏「................何をきざなことを言ってるのかしら。」

p「ごめんね。」

奏「構わないわ。この様子だと収録のほうも大丈夫そうね。」

奏「頑張りましょう」

p・菜々「はい!」



そして、クランクアップの時間がやってきた。


キモオタ「全撮影が終了したでござるー!!」

クラスメイト「お疲れ様でしたー!!」

キモオタ「動画編集は拙者の同人サークルで大急ぎでやってるでござるよ」

キモオタ「終わるまで待っててくれでござるwwwwwコポォwww」



菜々「楽しみですね! どんな形になるのか!」

p「そうだね!奏........速水さんもそう思わない?」

奏「...............ええ。私もそう思うわ。」


p=P


奏「ねぇ、プロデューサー。」

奏「私この展開飽きちゃった。」

奏「とっとと、アタシに惚れてストーリはじめてくれない?」


P「えっ、仮面ライダーウサミンは..........。」

奏「いや、ホントそんなのはいいから」

P「(´;ω;`)」


奏「ねぇ、p。」

奏「わたし、pとパートナーで良かったと思うわ。」

奏「あなたが、頑張ってくれたおかげで。私も頑張ろうって思ったわ。」


速水さん。

ダメだよ。そんな笑顔で僕を見ないで。

そんな、違和感もなく体にしみるようなこと言わないで。


奏「この、作品反応いいといいわね。」ニコッ



速水さん.......僕は.......



奏「ほら、手が止まってる。」

クールな顔で僕の頭を小突く速水さんが

奏「べ、別に。隣でいつも飲んでる飲み物がこれだったから、覚えてただけ。」プイッ

照れながら、そっと助けてくれる速水さんが

奏「私のこと..............『奏』って呼んで。」

儚げな瞳が

艶のある声が

氷のような美貌が

雪解け水のような微笑みが



何もかも好きになりました。


ソースのにおいがする。

あたりでは、焼きそばを作っているクラスがあるようだ。

しかも、自分のクラスの隣なので、大変食欲にとっては厳しいものがある。

僕は今、教室の中で、映画上映の放送担当をやっている。

隣には、速水さんが進行役を務めている。

キモオタくんのチームの映像編集は対してもので。

CGが、まるで本物であるかのように機能している。

変身シーンに全くの違和感がない。

鑑賞者も、思わずプロが編集したのかと思ってしまうほどである。


p『えっ、これを使って変身するの!?』

ウサミン(Cv:安部菜々)『そうなのです!それが唯一ウサミン兵と戦う手段なのです!』

p『えっ、でもこれ.........。』

奏『ああ、もう! 戦えないなら邪魔しないで!』ギイィン!


鑑賞者(男)「あの子クールでかっこよくないか?」

鑑賞者(男)「やばい、すっげぇ美人。」

鑑賞者(男)「ってか、CGのクオリティー高くね?」


イケメン「なぁ、p。」

イケメン「俺にはお前のもつ苦しみを分かってやることはできないかもしれない。」

イケメン「だけどよ、少しはそれを俺にぶつけてきたっていいんだぜ。」

p「イケメン............くん。」

イケメン「俺とお前は親友だろ?」

p「うっ、ううっ。うわああああああああああ」


鑑賞者(女)「キャアアアアッ!イケメン君かっこいい!!」


p「速水さん!僕戦います!」

p「こんなやつらの為に、これ以上誰かが悲しむ姿は見たくない!」

p「皆が笑顔でいてほしいから!だから見ててください!僕の変身!」

p「行くよ!ウサミン!」

ウサミン(Cv:安部菜々)「了解なのです!」

p「変身!」

ヘンシーン キャハッ!

カメンライダー ウサミン!

p「って!! なにこの衣装!」女装メイド


鑑賞者(女)「かわいい」

鑑賞者(男)「かわいい」

奏「かわいい」

未央「かわいい」

p「///////(いっそ殺して)」


p「そんな..............お母さんが異星の姫だなんて。」

p「ウソだといってよ!お母さん!」

菜々「わ、私は..........。」


影菜々「そう、だからこそ。私はあなたを殺しに来た。」

影菜々「あなたを殺して今度こそ..........」スウッ

影菜々「私は本物の安部菜々となる......。」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

影菜々「そして、正式なウサミン星の女王として君臨する!」



観客「」ドキドキ

観客「」ドキドキ

p「すごいなぁ、ちゃんと安部さんが二人いることになってる。」




菜々「奏さん!ダメです!それ以上はあなたの体が!!」

奏「いいえ!まだまだ持つわ。」

影菜々「これでとどめ。散りなさい。」

奏「エネルギー120パーセント!!」

ガギィン!

影菜々「なにっ!」





奏「p君、見せて。あなたの覚悟を。」

奏「世界を救うって言ったその覚悟を。」

奏「でも、最後に一度いってほしいわ」

奏「私のこと..............『奏』って呼んで。」

p「奏.............さん!」

黒菜々「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」バリバリ

奏「ぐうっ! 早く! もう持たないわ!」

菜々「奏ちゃん..............。」

菜々「必ず、おうちに帰ってきてくださいね。今度は母としてお迎えしますから。」ニコッ

奏「」ニコッ

p「そんな.....そんな.......」

菜々「行きましょう!p!」ウサミンマックスパワー!

p「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

p「かなでえええええええええええええっ!!」ライダーキック


奏「..........................さようなら。p..........。」



観客(女)「かなでちゃあああああん!!」

観客(男)「死ぬなああああああっ!!」

奏「本人目の前にいるんだけど...........。」



菜々『や、やりました?』

p『やった............と思う。』



奏「でも、みんなpの女装姿慣れてしまってるわね。」

p「そんな、フォローとは言えないフォローはやめてよ。」

奏「褒めてるだけよ。可愛くて、唇奪いたくなるわ。」

p「ドキッ」



菜々『パパ.......終わりました。』

菜々『私たちのたたか──』

グサッ

菜々『ふぐっ!』

p『!?』

影菜々『........。』

菜々『そんな.........倒せてないの........。』

影菜々『寸でのところで、防御が間に合った。』

影菜々『悪いけど、あの子は』


奏『』

影菜々『無駄死にね。』


p『そん......な。』

影菜々『そして、今度は私が安部菜々として生きる時が来た。』


影菜々(?)『』バリバリ

菜々(?)『きゃああああああああっ!』


あたりを煙が覆った。


p『お母さん........。』

菜々『ふぅ......漸くこの体に戻れたわね。』

p『お母さん.....』

菜々『遠き息子よ.......。』

菜々『私は最早アナタの母親の安部菜々ではない。』

菜々『せめて、あなたの母親と同じところに送ってあげましょう。』



p「もう、合いの手が少なくなったね。」

奏「もうみんなが、作品見るのに集中してるわね。」

キモオタ「どうでござるかー(小声)」

p「うん、いい感じ。」

キモオタ「それは、重畳でござる。」



p『ぐああああああっ!』

菜々『遠き息子よ、せめて安らかに眠れ。』

p((僕は.............死んでしまうのか。))

菜々『たああっ!!』

p『ッ!』


僕は死を覚悟し、目をつむった。












?『何を勝手にあきらめているのかしら。』

p『えっ...........』

奏(亡霊)『あなたは、まだ一人じゃないわ。』


観客(女)「きゃあああああああああっ!!」

観客(女)「奏様あああああっ!!」

p「なんか、奏さんにファンを奪われちゃったね。イケメン君。」



?『そうですよ、p』

菜々(亡霊)『私たちがついています。』

菜々・奏(亡霊)『たとえ、体が動かなくなっても。』

p『そ、そうだよね。』

p『僕たちは心でつながっている!』


p『力をかして、お母さん。奏。』


ゴゴゴゴゴゴ


菜々『な、なんだこのオーラは。』

パワーアップp『これが僕の強化バージョンだ!』

菜々『!?』

パワーアップp『いくぞ!!』



奏「さて、この先よね。」

p「そうだね。」


以下パワーアップp=p

パワp『行くぞ!僕の最終必殺!』

菜々『ふふっ、ふふふっ!』

p『なっ! 何がおかしい。』

菜々『いやいや。』

菜々『私の遠き息子は意外と愚鈍だなと.........。』

p『なにいぃ!』

菜々『忘れたか、今は私自身が安部菜々であることを。』

菜々『私を殺してしまえば、お前の母親も死ぬ。』

p『ぐぬぅ!!』

p(どうすれば...............)



菜々(このブレスレットは、ウサミン星の王の証です。)

菜々(星を守る者としての全てが詰まってるんですね。)



p『お母さん...........』

p『奏..........。』


p『うおおおおおおおおおおおおっ!』

菜々『バカめ!血迷ったか!』

p『うおおおおおおりゃああああああ!!』

菜々『何っ! ブレスレットが!』

菜々『貴様!返せ!』

p『返すもんか! これは母さんの......ウサミン星王のものだ!』


菜々(亡霊)『p聞こえますか。』

p『お母さん。』

菜々(亡霊)『それを左手首につけなさい。』

菜々(亡霊)『そうすれば................。』



以下p=P

奏「なんで、方向修正してからもウサミンなのよ。」

P「じゃあ、パワーアップして、ママを助けたうえでラスボス倒して上映終了したところから再開するわ。」


P=p

p「凄かったね、スタンディングオベーション。」

奏「そうね、私たちも頑張ったかいがあったわ。」

p「あ、あのさ。速水さん。」

奏「どうしたのかしら?」

p「速水さんさえよかったらなんだけど.............どうかな。」

p「この後、い........一緒に......出し物とか見に行かない?」



奏「...............ふふっ。」

プニッ

奏「顔、真っ赤になってるわよ。」

p「しっ、仕方ないでしょ!」

奏「ふふっ、いいわ。」

奏「だけど、私を楽しませてね。」


幸せだなぁ。


p「あちちちちっ!たこ焼き熱い!あちち!」

奏「ほら、ちゃんとフーフしないとだめよ。」

p「お母さんみたいなこと言わないでよ。」

奏「あら、菜々も似たようなこと言ったのかしら?」

p「そっちじゃないよ!」

モブ「キャー、映画やってた二人よ!」



速水さんがいると僕はとっても幸せだよ。



モブ「さぁ、輪投げ!10個中4個以上はいれば景品だよ!」

p「速水さん!いっしょにやろう!」

奏「そうね。」


p「う.....上手い。」

モブ「全部入りましたね........。」

奏「まぁ、こんなものかしら。」



未央「おっ! おふたりさん!」

未央「アツアツですな~!」

奏「かっ////からかわないでよ未央。」

奏「それより、未央の方はどうなのよ。」

未央「う~ん、今日は仕事が忙しいんだって。」


p「そ、そうなんだ......。」

未央「だから、今度一杯埋め合わせしてもらうんだ!」

p「そ、そっか。」


*回想

p「そういえば、この前本田さんがカッコいい男の人と一緒だったけどあの人って.....」

本田「えっ、カッコいかった?」

本田「有難う.....あの人さ、私の.....彼氏なんだ。」

p「そう......なんだ。」




p「.................。」



p=P

奏「ちょっと、未央のところが回想だけ本田になってるわよ。」

P「あ、ほんとだ。」

P「まぁ、いいわ。アイツこの前クタクタになるまで連れまわしやがったし。」

P「本田や本田! あんなやつは本田や!」

奏「意味が分からないわ.....そうじゃなくても本田じゃない。」



P=p

菜々「あ!奏ちゃん、pくん!」

菜々「すごいですよ!さっきからほかのクラスの人が話しかけてくれるんです!」

モブ「あっ!菜々お母さんたちだ!」

菜々「だけど、ナナだけお母さん呼びなのがちょっと........」

菜々「ちょっと!ナナはそんな年じゃありませんよ!」

p「でも、演じてる時でもそうでないときも阿部さんの包容力が凄いから」

p「きっと、いいお嫁さんになりそうだね!」ニコッ

菜々「そっ//////そうですか?」

菜々「それなら、いつか.....私のお婿さんに........」

菜々「な、なんちゃって!テヘッ」

奏「ムッ」

一体いつから阿部さんになってたんだろうか


奏「でも、そうね。こんなにファンができているなら。」

奏「私たちも、宣伝も兼ねてコスプレしたほうがいいんじゃないかしら?」




p「え゛っ!?」




菜々「キャハッ! お母さんですよ!」

p「なっ、なんでまたこんな格好をしないといけないの.........。」

奏「あら、でもいい感じに宣伝兼ねた写真撮影ができてるわよ。」

菜々「可愛いですよ、p!」

p「へっ、変なこと言わないでよ母さん!」

菜々「なんだ!ノリノリじゃないですか。」


カメ子「おお~、良さそうじゃん!」パシャパシャ


菜々「文化祭お疲れ様でした!」

菜々「片付けがありますが、その前に打ち上げてしまいましょう!」

菜々「最後にまとめてかたずけた方が、気持ちとしては楽ですしね!」


キモオタ「ブヒwww大好評だったぜござるよwww」

イケメン「なんか、映画始まる前と終わり近くで黄色い声の矛先が違ってて楽しかったけど。」

菜々(被害者がケロリとしてますね........)コソコソ

p(終わった後の速水さんの黄色いへの歓声っぷりがすごかったね。)コソコソ



菜々「それではみなさん!素晴らしいひと時をありがとうございました!」

全員「かんぱーい!」







































.


片付けが終わり、誰もいなくなった教室は閑散としていた。

だが、悪いものではない。

僕の周りではここであった思い出が走馬灯のようにめぐっている。

衣装作りに手間取って、安部さんや速水さんに怒られている自分がいる。

衣装を来て恥ずかしがっている自分がいる。

演技の練習している自分がいる。

演技の練習を手伝っている自分がいる。

自分を世界に連れ込んでくれる速水さんがいる。

自分を暖かく包み込んでくれるお母さん(安部さん)がいる。

大きく息を吸い込む。



走馬灯のように巡る思い出を肺の中に詰め込むように。

思い出が、肺を通じて体の中へとめぐっていく。


がらりと扉が開いた。


奏「あれ、p。どうしたのこんなところで。」

p「速水さん。」


夕日がさしかかるようになってきた。

速水さんが来たせいもあるか、妙に退廃的な気分が増してきた。

しかし、夕日もいい仕事をするものだ。

夕日に映える速水さんが美しくて気を抜くとため息を思い出ごとついてしまいそうだ。


p「やっぱり、思ったんだけど。」

p「速水さんかクールでかっこいいね。」

p「夕日に映えてるよ。」

奏「そうかしら。私から見るとpも夕日に映えて」

奏「とってもかわいいわ。」

p「うれしくなんかないよ........。」

奏「そうね、私もうれしくないわ。」

奏「あなたには綺麗だっていってほしいから。」


p「えっ。」


心臓がドキドキする。

速水さんがじっと僕の顔を見つめてる。

やっぱり今日は夕日がいい仕事をする。

夕日で隠れているだろうけれど、僕の顔が真っ赤に燃えているのが分かる。

どうか、速水さんにはきづかれないでほしい。


速水さんが近づいてくる。

バレたのであろうか。

彼女が一歩一歩近づくたび、鼓動が速くなり、顔の温度が熱くなっていく。


奏「フフッ、どうしたの?私の顔をジックリみて。」

奏「キスでもしたくなったの?」


そういって、彼女は眼を閉じた。

彼女のぷっくりとして艶やかな唇が夕日にあてられていた。

酷いよ、速水さんは。

僕の気持ちも知らないで。

僕の視線はすでに彼女の唇にしかなかった。

この、吸い込まれるような唇はどれほど柔らかいのだろうか。

どれ程暖かいのだろうか。


奏「ふふっ、なんて。そんな度胸はあなたには───んんっ!」


形容しがたい柔らかさであった。

歯や骨さえなければ、どこまでも沈み込んでしまいそうな弾力なのであろうか。

甘いにおいが鼻をくすぐる。これが、彼女の匂いなのか。

ずっと嗅いでいても、苦痛にはならないいい匂いだ。

ふと、彼女から震えを感じた。

前に近所から預けられた猫がちょうどこんな感じに震えていたのをおびえている。


可愛い。

ギュウ

可愛い。

ギュウッ

可愛い。

ギュウウッ

速水さん。

可愛いよ。

抑えきれなくなった思いが、出てきているのか。

僕は速水さんを抱きしめていた。


ああ、このまま時が止まってしまえばいいのに。














奏「やめてっ!!」















それは、速水さんからの拒絶だった。

彼女を見ると、恐怖にまみれた顔だった。

そのとき、自分がいったい何をしでかしたのかをようやく認識した。

自分はなんということをしてしまったのであろうか。

取り返しのつかない失敗をしてしまったのだと察した。



p「ご............ごめん。」

奏「...............................。」



彼女は無言で教室を走り去った。

僕は.................。




朝が来た。

だが、その日から、速水さんが僕に話しかけてくることはなくなった。

必要最低限の会話。

必要最低限の交流。


菜々「どうしたんですか、最近仲悪いみたいですけど。」

奏「べつに、前々からこんな雰囲気だったじゃない。」

菜々「....................。」


卒業式になっても。

僕たちは、何も話を交わすことはなかった。



そして、その一年後。

僕は安部さんから、速水さんに彼氏ができたことを知った。

菜々「びっくりしましたよ。ナナはp君と付き合うと思ってたものでしたから。」

p「.............。」




p=P

奏「良くかけたわね。」

P「えっ、待てよ。俺まで最後まで書き終わってないぞ。」

奏「いいの。ここからは少し私に書かせてくれないかしら?」

P「あ、ああ。まぁいいけど...............。」



P=p

菜々「あの、一つ聞かせてください。」

p「なに?」

菜々「もし、一度だけ人生やり直せるとしたらどうしますか?」

p「やりなおせるとしたら..........。」



奏「よかったら、一緒に練習する?」

奏「お互い主役なんだし。」ニコッ




奏「.........ほら、ジュース買ってきたから元気出しなさい。」

奏「好きなんでしょ?これ。」








奏「あなたには綺麗だっていってほしいから。」





















奏「やめてっ!!!」





僕は。

そう。

一度だけ人生をやり直せるとしたら。



p「卒業の前までにごめんなさいって謝りたい。」


菜々「──ふふっ。さすがですね、p君は。」

菜々「いいですよ。」


菜々「たった一度だけ人生をやり直させてあげます」ピカーッ!

p「えっ!」

p「安部さん!これは!」

菜々「これまでのことは悪い夢ってことになります。」

菜々「だけど、努々忘れないでください。」

菜々「この悪い夢は──正夢になるのですから。」


p「安部さん・・・・。」

菜々「pくん。一つだけお願いが。」

菜々「いまだけ、私のこと『菜々』ってよんでください。」

p「えっ・・・・・」

菜々「」


安部さんが物さみしそうな眼をしている。

一体どういうことなんだ。

p「な......菜々。」

菜々「はい、pさん!」



僕は光に包まれた。












奏「バッドエンドにあいたくて」|




















奏「バッドエンドにあ|





















奏「バッ|























奏「|





















奏「バッドエンド|




















奏「バッドエンドを変えたくて」|










区切りです。

長らくの無音迷惑かけてます。
もう暫く迷惑かけます。

その間過去作品でもご覧になって待っててください。


口の悪いPの話
貴音「二条…貴音ですか。」 貴音(二条)「せやで!」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52074972.html

口の悪くないPの話
あずさ「但だ長酔を願い 醒めるを用いず」
http://456p.doorblog.jp/archives/42718349.html


見慣れた天井だった。

あれから、何百回と過ぎたと思っていたのだが、悪い夢だったようだ。

あれから......つまり、速水奏にキスし、彼女に拒絶された日からは、その実数日しかたっていなかった。


昨日の夢を例えるのなら、背中に刃物を突きつけられたのだと思う。

そして、自分には最後のチャンスを与えられた。

早く謝らないと、自分は後悔することになる。


一体何に後悔するというのか。

彼女にキスしたことなのだろうか。

彼女にそのことを謝罪していない事なのだろうか。


ジリリとスマホが鳴る。

起き上がってスマホをとる。

................安部さんからだった。



「おはようございます、p君。」




電話越しに聞く彼女の声は、とてもかわいらしかった。

だが、それを言うと、素顔は可愛くないのかとクラスメイトや本人から怒られそうだ。


そういうわけではない、彼女の声は所謂アニメ声と呼ばれる部類であった。

菜々「............p君聞いてます?」

p「う、うん。ごめん。」

菜々「もしかして、まだ寝ぼけてます?」

p「うん.....実は夜更かししちゃって。」

菜々「もうっ! 今日は休みだからってゴロゴロしちゃだめでしょう!?」

p「そうだね、ゴメンね。お母さん。」

菜々「まだ、あの設定続いてるんですかぁ!」

菜々「お母さんじゃないですよ!」


電話越しから、プリプリ怒っていた。



菜々「........あの、p君。一つ聞かせてもらってもいいですか?」


奏ちゃんの事なんですけれどという頃には、安部さんの声のトーンが変わっていた。

アニメで例えるなら、シリアスシーンに向かっているようなそんなトーンだった。

そう、これから自分は追い詰められるのだろう。

自分は問い詰められるのであろう。


菜々「文化祭のあと......奏ちゃんと何かあったんですか?」

p「...............。」

菜々「あんなに仲よくしてたのに、何も起きてないはずがないじゃないですか。」

菜々「言えない事..........なんですか?」

p「その..........。」

菜々「p君だから、酷いことはしていないと信じています。」

菜々「だから、菜々は根掘り葉掘りとは聞きません。ただ、ギスギスしている二人を。」

菜々「菜々はこれ以上みていられない。」


安部さんは、もう一つシリアスなトーンを重ねた。

先ほどから、背中に刃物を当てられた感覚がしていた。

その感覚の正体が分かった気がする。

夢の中での彼女は、僕に夢が現実になるといった。

そのトーンは、こんなにもシリアスはしていなかった。しかし意志というか、さながら一本の芯鉄が入っていた。

その感覚が胸のあたりにも、ある。

つまり、僕はいま、未来・現在の安部菜々から、動けと命令しているのだ。

なぜだ。

なぜ、彼女はここまでする。

僕の為か? いや、断じてちがう。



速水奏..........。



そう、彼女の為に。


p「安部さん。」

菜々「えっ、あっ。はい。」

p「...................決めたよ。」

p「僕は速水さんに謝罪する。」


菜々「は、はい。」

p「無理言うんだけどさ。いまから、速水さんを連れてくることってできる?」

菜々「えっ、それは......恐らく今日は奏ちゃんは何もないとは思いますけれど........。」

菜々「随分、足早に決めましたね。」

p「安部さんのおかげだよ.......どんな結果になろうとも後悔はしない。」

p「そんな後悔は、あの後悔に比べたら何倍もましなんだから。」

菜々「............分かりました。」


安部さんは怖ろしい。

彼女が、指定した場所は河川敷であった。

当初は、こんなところで人に聞かれたらどうするんだと考えた。

それは否、その理由はすぐに知ることとなった。

個室はプライベートを守れる空間として考えがちだが、

その実、どの輩が聞いていても身を守る術をもっていない。

河川敷は当然であるが、広い。それこそ、遠くの学生の笑い声などか微かにしか聞こえない。

笑い声ですらそれなのである。さらに、人が近づいてきたならそれが手に取るようにわかる。

つまり、オープンな場所がもっともプライベートが守れる空間なのだ。


自分なら、個室を用意していた。

個室の食事処であっただろうか。

もしくは、どこかのレストランであっただろうか。



それを彼女は全否定した。


菜々「あっ、見つけました!p君!」


安部さんの姿があった。

すこし、実年齢よりも幼いのではないかと思ってしまいそうな。

少々ピンクを基調としたメルヘンチックなコーディネイトだった。

その隣には........


奏「ねぇ、菜々。どういうつもりか教えてもらえるかしら。」


速水さんがいた。


菜々「私は、ほかの友達も呼びましたといいました。」

菜々「それがp君ではないなんて言ってませんよ。」

奏「それを含めて、どういうつもりか聞いてるのだけど?」

菜々「p君を見てもまだ、分かりませんか?」

菜々「もしかしたら、それを含めてどういうつもりか聞いてますか?」

奏「......................。」キッ


菜々「何とでも言ってください。」

菜々「私にとっては........そんなに睨まれることよりも。」
















菜々「大切な友達二人が、このまますれ違っていく様を見るほうがよっぽど怖いから。」ゾワッ


















目のトーンが消える。

二次元ではよくこの表現がされている。

そして、声のトーンが変わった。

胸に刃物を当てられた感覚もする。


速水さんも同じ感覚を体感しているのだろうか。

速水さんは、「わかったわよ」といいながらおとなしく身を引いた。



そう、これからだ。

僕のやることはこれからなんだ。

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