提督「このシフトで遠征を回せ。希望休や有給申請は考慮するが新任である私が配慮した結果だと伝えるように」
五月雨「あの駆逐艦の全員が月に一度は遠征に入っています」
提督「何か問題でも?」
五月雨「遠征や演習にも出た事がない子もいます。だからその…」
提督「論外だな。練度の低いものは順を追って高難易度の遠征に行けるようになってもらう。初めは長距離、次はタンカー護衛…そして最終目標は東京急行だ」
五月雨「無理です!そんな高難易度の遠征なんて行けるわけありません!」
提督「行えない理由は?私のプランでは一年後には立派になっている予定だ。このプランに異議があるなら聞こう」
五月雨「一年?一か月じゃないんですか?」
提督「集中運用ならば一か月でそこまで到達するかもしれない。だが戦力の偏り、遠征の効率面、大規模作戦の同時出撃を考えた場合、底上げをするのが最善と判断した」
五月雨「でも一か月しかシフトがありません」
提督「一月も経てば成長する。その成長の過程を考慮してシフトを組み直すのが私の仕事だ」
五月雨「でも」
提督「感情論で反発する前に与えられた仕事で結果をだせ。私はお前達に何も期待していない。ただできる事をしてこいと言っているだけだ」
五月雨「ッ…貴方も私達を兵器と罵るんですが」
提督「鎮守府は軍であり会社だ。お前達は私に与えられた仕事をこなし、私はお前達が得た戦果でより良い待遇を得る。それを返還するのがお前達に払われる給金であり、待遇の改善だ」
五月雨「給金?」
提督「後ろの紙を見ろ。そこに艦種によって遠征用、演習用、出撃用の時給及び日当、戦果次第のボーナスを記してある」
五月雨「お金に…ご飯、くるま?」
提督「それを全ての艦娘にコピーして配れ。同時に次回からのシフトの希望用紙を出すようにと通達。今日は以上だ」
五月雨「司令官さんは私達に何をさせたいんですか?」
提督「効率的な仕事。それだけだ」
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艦娘安価
下2
ドン!
能代「阿賀野姉は、阿賀野姉は何処!?」
提督「夜中の2時に執務室に殴り込みに来て言い放つ第一声がそれか」
能代「五月蝿い!阿賀野姉が遠征で大破したって…」
提督「阿賀野は入渠中だ。明日、いや今日のマルロクマルマルまで入渠を厳命している」
能代「ほぇ?」
提督「間抜けな声を出す暇があるなら殴り飛ばした扉の修繕及びあと二時間後に入っている遠征に備えろ」
能代「嘘…そんなの嘘!また阿賀野姉を解体して新しい阿賀野姉にするんでしょ!」
提督「その新しい阿賀野姉を育てるコストと今の阿賀野型一番艦の阿賀野を育てるコストを考えた時に前者は何一つメリットがない」
能代「メリットって…」
提督「能代、お前が何をしようがどうしようかどうでもいい。ただ与えられた仕事をこなし、結果を出す限り私はお前に何もしない。ただ与えるだけだ」
「だが」
提督「非効率な存在は排除する。それだけは覚えておけ」
すまん、間違えた
入渠ドッグ
能代「私が護らないと…また新しい阿賀野姉が…」ブツブツ
阿賀野「何してるの能代?」
能代「阿賀野姉?怪我は?大破したって駆逐艦の子達が…」
阿賀野「大丈夫だよ。ほら、提督さんが直ぐに修復剤を使ってくれたからここでゆっくりしてたの」
能代「修復剤?」
阿賀野「うん、高速修復剤。大破して、また怒られると思ったら直ぐに入渠ドッグに運ばれてマルロクマルマルまでここで休めって」
能代「良かった…良かったよぉ」ポロポロ
阿賀野「え、なんで泣くの?泣かないでよ、能代!」
能代「阿賀野姉が悪い…阿賀野姉のバカァ…」
翌日
提督「これは?」
能代「その…すいませんでした」ペコ
提督「詫びのつもりか…ふん、くだらん。持って帰れ」
能代「ムッ…別に持って帰ります。そう言えば提督は秘書艦をつけないのですか?」
提督「私一人が仕事をした方が早い」
能代「それって提督のスペックだけで非効率ですよね?」
提督「何が言いたい」
能代「能代が提督の秘書艦になってあげます」
提督「要求は?」
能代「要求ですか?」
提督「通常のシフトにプラスして秘書艦の仕事をするならそれなりの褒賞がいるだろ」
能代「はぁ…なら提督のことを教えてください。着任したてなので提督の事を知りたいです」
提督「変わった奴だな…まあいい。検討しておく」
能代「任せてください、この阿賀野型軽巡二番艦の能代は優秀なんですから」
艦娘安価
下2
提督「入渠をしろと私は言っている」
大鳳「まだ戦えます!だから私を出撃させてください!」中破
提督「出撃は認められない。シフト通りの出撃及び演習以外の出撃は認めない」
大鳳「ですが!」
提督「能代、大鳳は疲れている。入渠ドッグに連れて行け」
能代「わかりました。大鳳さん、行きましょう」大鳳の腕を引く
大鳳「…」トボトボ
提督「過度な仕事は結果はでるが長い目で見た時に非効率な事が多い。休める時に休み、結果を出す場できっちりと結果を出せ」
大鳳「クッ…私はまだ戦えるんです…」
能代「大鳳さんは何故そこまで戦いたいんですか?」
大鳳「私が艦娘だからです。逆に能代さんは戦いたくないんですか?あの時のように結果を出せない存在ではなく、やればやるほどに戦果を挙げれるのに戦いたくない理由がありますか?」
能代「私はそこまで戦果に拘るつもりはありません。阿賀野姉が居て、姉妹全員が無事で過ごせるならそれに越した事は無いと思ってます」
大鳳「腑抜けてます…私達は戦わないといけないんです…戦って、戦って、戦い続けて結果を出すだけの存在なんです」
能代「……」
大鳳「じゃないと誰も私を認めてくれないのよ」ボソッ
能代「以上が報告です」
提督「結果を必要以上にだす意味がわからない。必要最低限しか求めていないのに対して、それ以上を出すなら双方が納得できる形で出すべきだ」
能代「それは…」
提督「能代の意見は聞いていない。これは提督として私と大鳳の問題だ。情緒不安定な部下を正常にするのは上司たる私の役割だ」
能代「どうにかできるんですか?」
提督「ふん、これくらいの問題を解決できない提督など居ない。居たらそいつはクビだ」
数日後
大鳳「全ての戦闘に置いて、S判定及び無傷です。この大鳳、まだまだ戦えます」
提督「良くやった、大鳳。MVPは君だろう」
大鳳「はい、だからこのまま出撃を…」
提督「だから優秀な君に少し手伝ってもらいたい事がある」
大鳳「手伝い?なんですか?」
提督「後輩空母の指導だ」
大鳳「お断りします。装甲空母の私が普通の空母に教える事はありません」
提督「ほう…私は君だからこれを頼んでいるのに断るのかね」
大鳳「…私だからですか?」
提督「そうだ。戦闘経験ならばこの鎮守府でトップクラスに入る大鳳に後期型の空母が学べばそれは良い教練になる。私は君が必要なんだ大鳳」
大鳳「必要?私が?戦闘以外で?」
提督「そうだ」
大鳳「……ぅ…が?…」ブツブツ
提督「ダメか?なら君は私にとって…」
「不必要な存在だな」
大鳳「ッッッ!やります、やらせてください!」
提督「ありがとう、大鳳。これからも君を必要とする時が戦闘以外であるかもしれないがその時も頼むぞ」
大鳳「はい、この大鳳にお任せください!」
能代「一部の空母から大鳳さんの扱きがキツイと陳情が来てます」
提督「わかった。度合いを確認して大鳳に注意しておこう」
能代「それにしてもどうやってあの大鳳さんに後輩空母の指導をやらせたんですか?」
提督「やらせたわけではない。効率良く、空母の成長を考えた時にそれが最善だっただけだ」
能代「そうですか…あと」
コンコン
提督「入れ」
大鳳「失礼します!頼まれていた指導が終わりました。何かする事はありますか?」
提督「そうだな…なら明日の出撃に備えて休め」
大鳳「え…でもそれじゃあ…」
提督「安心しろ。私はいつでも大鳳を必要としている」
大鳳「そうですよね、みすてないですよね…失礼しました、其れでは休息に入るので失礼します」
ガチャ…
能代「まるで犬みたい」
提督「忠犬大鳳…いや、あまりおもしくないな」
艦娘安価
下2
提督「引率の駆逐艦が命令を聞いてくれない?」
阿武隈「はい…陣形とはまもってくれるんですが…他の事は聞いてくれないんです」
提督「監督不届きだな」
阿武隈「はぅ~…」
提督「与えられた僚艦を従えるのは旗艦の役割でそれをこなせないのは論外だ」
阿武隈「…うぅぅ」
提督「阿武隈、旗艦とは何かを考えた事はあるか?」
阿武隈「え、その…ないです」
提督「旗艦とは責任者の事を指す。責任者は二つの事を守ればいい。この二つさえ守れればそれ以上は求めない」
阿武隈「何ですか?」
提督「一つは与えられたシフトを遂行する事。そのシフトに疑問及び不信感があれば全て答えよう。もう一つは、旗艦を含めた全ての艦娘を生かして帰る事だ」
阿武隈「わかってます」
提督「それならいい。艦娘は自己犠牲で得られる成果を知っている場合がある。それは阻止しろ。轟沈して得られた戦果よりも生きて帰って来た後に築く成果を私は重視している」
阿武隈「わかりました!…提督は少しだけ北上さんと似てます」
提督「北上と?どの点だ?」
阿武隈「えへへ、秘密です。今日はありがとうございます。阿武隈、もう少しだけ頑張って来ます」
撤退中
雪風「雪風が殿を務めます」
阿武隈「ダメだよ、雪風ちゃん」
雪風「でもこのままじゃ、皆沈みます!なら雪風だけが…」
阿武隈「これは旗艦命令。皆も聞いてると思うけど自己犠牲は認めません。生きて鎮守府に帰ってくる事を提督は望んでます」
雪風「リソー論だけで戦えません!誰かが…誰かが犠牲にならないといけない時もあるんです」
阿武隈「そうかもしれないけど私が旗艦だから私に従ってもらう。雪風ちゃんが此処で沈んだらそれ以降に雪風がやることを誰かが代わりにやらないといけないことになるからそんな非効率な事は旗艦として認めません」
雪風「でも!!」
阿武隈「大丈夫、私を信じて。こう見えても旗艦なんだから」
阿武隈「やる時はやるんだから!」
執務室
阿武隈「阿武隈、戻りました」ピシッ
提督「よくやった。想定外との交戦において、的確な判断により危機を脱出。これは評価に値する」
阿武隈「提督のおかげです。生きて帰ってこいって言ったじゃないですか。だから頑張ったんですよ」
提督「そうだな、そう言ったな…今日はもう休め、褒賞は後日然るべきものを用意する」
阿武隈「なら秘書艦がしたいかなって!」
提督「秘書艦?能代と交代でか?」
阿武隈「はい!能代がいない時は私が秘書艦を務めます!」
提督「それは良いが秘書艦としての褒賞は能代と変わらんぞ?」
阿武隈「別にいいです。褒賞よりも提督の事がもっと知りたくなっただけです!」
艦娘安価
下2
大和「此方が戦果報告です」
提督「……」目を通す
提督「よくやった。次のシフトまで自由にしておけ」
大和「はい!それでは自由にしておきます」
スタスタ…ボフ
提督「何故、ソファーに座る」
大和「提督の観察をしようと思いまして」
提督「私の観察?」
大和「はい、執務の邪魔をしないので此処に居て良いですか?」
提督「…好きにしろ」
このSSまとめへのコメント
続きはよ。
期待
これ、元スレでかなり叩かれてるんだね。
俺は続きが見たいけど、残念だ。
粘着されて更新止まったっぼいね