モバP「菜々さんと温泉に行くことになった……」 (38)

ちひろ「すみませーん、モツ煮とだし巻き、追加の生中ふたつください」

P「いやちゃんと聞いてくださいよ」

ちひろ「プロデューサーさんの奢りって話だったじゃないですか」

P「奢る代わりに相談乗ってくれるって話だったじゃないですか!?」

ちひろ「いや、だって、話聞くって……ねえ?」

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ちひろ「惚気話がしたいんなら、奢りとはいえ帰りたいんですけど私」

P「いや、ノロケとかじゃないんですって……マジで悩んでるんですってば」

ちひろ「……仕方ないですね、どうせ菜々さん関連だろうとは思ってましたし」

P「すみません、いつも助かります……」

ちひろ「それで? 温泉にはどんなメンバーで行くんですか?」

P「え」

ちひろ「はい?」

P「メンバー、と言われても……俺と菜々さんの二人ですけど」

ちひろ「……はい? 二人っきり? 部屋は?」

P「個室がいっこ……」

ちひろ「それマジで言ってます?」

P「だから悩んでるって言ったじゃないですか……」

ちひろ「一応聞いておきますけど、プロデューサーさんがセッティングしたわけじゃないんですね?」

P「俺が菜々さんと個室で一泊とかセッティングするわけないでしょ!?」

ちひろ「んなこたぁ分かってますよ、誰の差し金かって聞いてるんです」

P「……高垣さんと川島さん」

ちひろ「あー……あ、すみません、日本酒熱燗でもらっていいですか?」

P「じゃあ黒霧お湯割りで、あと塩サバひとつ」

P「ほら、こないだあの二人、三船さんと旅行行ったじゃないですか」

ちひろ「ありましたね、日本酒がおいしかったってご満悦でしたけど」

P「そこの温泉がすごく良かったので、予約しちゃったので是非……と高垣さんに言われまして」

ちひろ「ふむ」

P「それ自体は了解したんですが、後日菜々さんに、俺が休んで旅行行くって伝えたら……」

ちひろ「菜々さんも同じ日に同じ旅館、同じ部屋で泊まることになっていた、と」

P「そういうことになりますね……」

ちひろ「ハメられちゃいましたねえ」

P「はい……」

ちひろ「まあこれもいい機会ですし、菜々さんハメちゃえばいいんじゃないですか?」

P「おい嫁入り前」

ちひろ「だってプロデューサーさん、去年のクリスマスだって結局手繋いでおしまいってあなた……」

P「そ、その話今関係あります!?」

ちひろ「夜の観覧車で二人きりになってまでしてキスすら済ませてないってどういうことですか!」

P「いや、こう……なんか下手にそういうことする感じの雰囲気でもなくなったといいますか……」

ちひろ「仕事してるときはそこそこいい男なのにこういう話題だとクッソ情けないですよね」

P「待って、まだ酒そんな入ってないのに辛辣すぎるでしょ、待ってください」

ちひろ「一応念のため確認なんですけど、菜々さんのこと嫌いなんですか?」

P「そんなわけないです」

ちひろ「じゃあ女の子として好き?」

P「う……それは……」

ちひろ「似たような問答かれこれ二桁はしてるんですから、すらすら答えてくださいよ」

P「……好きですよ、そりゃあ。一目惚れですから」

ちひろ「じゃあお泊りすればいいじゃないですか」

P「だーかーらー、それが簡単にできたら苦労はしてないんですよ!」

ちひろ「ええと、つまり、なんですか?」

P「はい……」

ちひろ「個室で二人きり、湯上がり浴衣の菜々さんの隣で寝たら手を出してしまいそうだからなんとかしたい、と」

P「そうなりますね……」

ちひろ「あほくさ」

P「いやできればもうちょっとオブラートにですね」

ちひろ「そんなんだから早苗さんたちに酔い潰されて弱み握られるんですよ」

P「え? なんでちひろさんがそんな話知ってるんですか……?」

ちひろ「夏前に居酒屋でヘタレ野郎呼ばわりされてるの聞いてるからですよ」

P「……もうなんとでも言ってください……」

ちひろ「少なくとも、事務所内ではプロデューサーさんの気持ちバレバレなんですよね」

P「そこまでですか」

ちひろ「みくちゃんはともかく、みりあちゃんとか仁奈ちゃん辺りも噂してるレベルですけど」

P「……そこまでですか……」

ちひろ「あの二人って付き合ってるのかなー? って純真な目で聞かれる身にもなってください」

P「いやあそうか……そこまでか……」

ちひろ「さっさと付き合っちゃえばいいじゃないですか。みんな応援してくれますよ、絶対に」

P「そうかもしれませんけど……でもなあ」

ちひろ「なんですか」

P「いや、菜々さんの方はどう思ってるか分からないじゃないですか」

ちひろ「……それ、本気で言ってますか?」

P「……」

ちひろ「……」

P「……嘘ですよ。嘘ですから、そんな目で俺を見るのはやめてください」

ちひろ「危なかったですね、もう少しで熱燗ぶち撒けるとこでした」

ちひろ「言っておきますけど。私、二人に関しては全面的に菜々さんの味方ですからね」

P「……菜々さんの方から一線引かれちゃってる気がするんですよね、どちらかというと」

ちひろ「なにか、あったんですか? そういうこと」

P「やっぱりほら、アイドルっていう仕事が大好きじゃないですか。だから、こう……」

ちひろ「あー……トップアイドルになるまでは、みたいな話ですか?」

P「まあ、そんな感じですね。その時は、伝えたいことがあるんです……って」

P「菜々さんがそのつもりなら、俺が勝手に好意を伝えるのもよくないかな……と思いまして」

ちひろ「うーん……その辺の初々しい中学生みたいな恋愛っぷりが、見てる側としては歯痒いんですよねえ」

P「中学生ですか」

ちひろ「今日日、少女マンガでももうちょっと展開早いですよ」

P「そうなんですか……でも、ファンを大事にしたい、っていうのは菜々さんの中で強そうで」

ちひろ「仕事を大切にするのは結構ですけど、お互いの好意を無視するのも不健全だと思いますけどね私は」

P「そうかもしれませんけど……菜々さんの夢は、俺の夢ですから。菜々さんの意向を尊重したいんですよね」

ちひろ「この場でかっこいいこと言っても『でもちゅっちゅはしたい』って注釈付いちゃいますね」

P「ほっといてください……」

ちひろ「プロデューサーは、アイドルマスターと呼ばれるような存在になりたいんですよね?」

P「……そりゃあまあ、究極的には」

ちひろ「なら、アイドルとしても女の子としても幸せにしてやるぐらいの敏腕ぶり、発揮していいのでは?」

P「気軽に言ってくれますね……」

ちひろ「気軽に言いますよ。私はかわいいアイドルの味方で、プロデューサーさんの味方ではないですし」

ちひろ「それにどうせ川島さんたちのことですし、菜々さん側にもいろいろ吹き込んでるとは思いますよ?」

P「あー……そう考えると尚更めっちゃ顔合わせづらいな当日」

ちひろ「手出すのはいくらでも揉み消しますから、避妊だけはしてくださいね?」

P「急に生々しいこと言わないでくださいよ!」

ちひろ「ちゃんと男の人から誘うんですよ?」

P「なんで俺が手出す前提で話進んでるんですかこれ!?」

ちひろ「え、隣の布団で菜々さんの胸が呼吸に合わせて上下するの見て揉まずに寝られるんですか?」

P「やめろぉ想像させるなぁっ!」

ちひろ「まあ、揉めとは言いませんけど、せめて唇奪うくらいの根性は見せてください」

P「いやあ……割とマジな話ここで手出したら、菜々さんに拒絶されませんかね……?」

ちひろ「大丈夫ですって。相手がプロデューサーさんなら、悪くてもビンタ一発で終わりでしょうから」

P「ビンタ……ビンタかあ」

ちひろ「何かトラブルがあっても、私や川島さんたちがフォローしますから、そこは安心してください」

P「なんか、どんどん外堀埋められてますよね……ここ一年で更に……鍋パにも呼ばれたし……」

ちひろ「そりゃあ、みんな菜々さんのこと大好きですから。責任重大ですよ、プロデューサーさん」



ちひろ「骨はきちんと拾ってあげますから、菜々さんと温泉、楽しんできてくださいね!」

短いけど終わりです
私は好きにした、君らも好きにしろ

ダメでした(こなみ)

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