リポーター「こちらの遺体をご覧下さい」

リポーター「完全に頭蓋骨が砕けており、頭が変形してしまっています」

リポーター「あちらの男性は、胸が大きく陥没しています」

リポーター「また、こちらの遺体からは、これは……脳みそでしょうか」

リポーター「脳みその一部が飛び出してしまっております」

リポーター「この方の命を奪った一撃の威力がいかに凄まじかったかを物語っています」

キャスター「リポーターさん」

……

リポーター「はい、なんでしょう」

……

キャスター「こちらから見る限り、死者は男性ばかりのように見えますが？」

……

リポーター「そうですね、催しの性質上、やはり男性がほとんどです」

リポーター「ですが、わずかに女性らしき方の遺体も見受けられます」

リポーター「広場の外ではサイレンが鳴り響いております」

リポーター「待機していた救急車による、負傷者の搬送作業が始まったもようです」

リポーター「また、あちらでは、これまた待機していた救急隊の方々でしょうか」

リポーター「遺体の収容作業が始まっています」

キャスター「リポーターさん」

……

リポーター「はい」

……

キャスター「今回生き残った方々にインタビューすることはできますか？」

……

リポーター「はい？」

……

キャスター「今回生き残った方々にインタビューすることはできますか？」

……

リポーター「……あ、はい、あちらに比較的軽傷の男性がおりますので」

リポーター「インタビューしてみたいと思います」

リポーター「こんにちは」

男「こんにちは！」

リポーター「このたびはいかがでしたか？」

男「いやー最高ですね！　最高に面白かったです！」

男「特訓してきたかいもあって、何人かにぶつけて、倒すことができました！」

男「私も一発かすってしまったのですが、まあこのとおり軽いケガで済みました！」

リポーター「危機一髪でしたね」

男「そうですね！　だけどこのスリルがヤミツキになりますね！」

リポーター「またこの催しがあったら参加したいですか？」

男「もちろんです！」

男「肩はもちろん、全身を鍛えて……参加したいですね！」

リポーター「頑張って下さい」

男「はいっ！」

リポーター「どうもありがとうございました」

男「どうもー！」

キャスター「この催しが行われた現場は、毎回このような状態になりますが……」

キャスター「凄惨なのにもかかわらず、一種の風物詩というおもむきすらありますね」

……

リポーター「そうですね、こうして遺体が散乱した現場を見ていると」

リポーター「悲惨さというよりは、祭りが終わった後の寂しさのようなものを感じてしまいます」

リポーター「また亡くなられた方々も、みなさん満足そうな笑みを浮かべているのが印象的です」

リポーター「やはりこの遊びには、それほどの魅力があるということでしょうね」

……

キャスター「リポーターさん、ありがとうございました」

……

リポーター「ありがとうございました」