穂乃果「みんなで叶える奇妙な物語」 (686)

これは世にも奇妙な物語風オムニバス形式のSSです

・一日一ストーリー(全部で九つ)で更新するつもりですが毎日出来る保証はないため結果的に不定期更新になります
・ストーリーによって地の文があったり無かったりします
・ストーリーによってキャラの性格、口調、時系列、舞台や関係など他根本的な内容が違います
・一ストーリー9500~15000文字を“目安”にしています
・作り終わってからあれこれ全然奇妙じゃなくね?って思ったものもあるのでそういうものも含めて違和感はスルーでお願いします
・最近インターネットの不調でよく電波が消えるので投下が急に無くなる可能性があります
・タモリ→理事長です

長くなりますがよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476491804

~理事長室

理事長「みなさんこんばんは」

理事長「これより始まるのは“μ’s”というアイドルグループが主役の物語」

理事長「主役は九人、全部で九人です」

理事長「えーそれでですが…」

ピーンポーンパーンポーン

「これよりμ’sによる奇妙な物語を開演いたします」

理事長「あら、まだ何も言えてませんがもう始まりのようです」

理事長「それではみんなで叶える世にも奇妙な物語」

理事長「始まり始まりです…」

~~~~~

理事長「人はいつどんな時も選ぶ、ということをしないといけません」

理事長「部活だったり買いたいものだったり今日のおやつだったり、どんな小さくても選択肢はできます」

理事長「でもそんなものでさえ迷うときってありますよね?優柔不断で決められないこと」

理事長「判断力、なんていいますよね」

理事長「そこで判断が出来るか、どうでもいいことなら時間をかけてもいいですが忙しい時、今動かないとダメな状況であなたは決められるでしょうか?」

理事長「迷うから選択肢があるんですよ、迷わないなんて答えは無しです」

理事長「しかしそんな時選択の手伝いしてくれる…なんてものがあったらどうでしょう?」

理事長「例えばこんなもの…」

~~~

凛「かよちん!どう考えてもラーメンの方がおいしいよね?!」

真姫「なんでよ!トマトの方がおいしいわよ!!」

花陽「え、えっと……」

二人「どっち!!!」

にこ「…なんでトマトとラーメンなのよ、比べるモノがおかしいでしょ」

凛「どちらも食べ物なんだから関係ないよ!」

真姫「その通りよ!」

花陽「だ、だから…両方美味しいって…」

凛「それじゃダメなの!どっちかにしてかよちん!!」

花陽「うぅ…ダレカタスケテー!」

凛ちゃんと真姫ちゃんにラーメンとトマト、どっちが美味しいかっていう質問攻めをされてる時のことでした

ピーピピピピピ!

花陽「っ?!」

にこ「花陽?」

『星空凛を選んだ場合 凛から好かれる真姫が凛に対して少しだけ嫌悪感を抱く

西木野真姫を選んだ場合 真姫から好かれる凛があなたに対して少しだけ嫌悪感を抱く』




【三秒の選択】


カチッ

花陽「!」

何かの起動音がした、残響で長い時間その音が耳に残る

『3』

『2』

花陽(カウントダウン…?!)

『1』

花陽「あ、え、えっと……ラーメンの方が…美味しいんじゃない…かな?」

ピー!

花陽「!?」ピクッ

凛「ホント?!やっぱかよちん分かってるぅ~」

真姫「はぁ?!ほんとありえないわ凛は」

凛「かよちんだって美味しいっていってるんだからラーメンがおいしいの方が正しいにゃ!」

真姫「人数だけすべて決まるものじゃないわよ!」

花陽「………」

にこ「花陽?大丈夫?なんか深刻そうな顔してるけど…」

花陽「う、うん…大丈夫…」

花陽「………」キョロキョロ

にこ「…?」

どこからともなく聞こえたアラームのような音と同時に空中に浮く文字

眼鏡を外して確かめる、取っても確かに映る青く透明な文字はどこか現実味を帯びないモノだった

花陽「あ、ちょっ…!」

そうしているとあの空中に浮かぶ文字はどこかへ消えてしまった

花陽(なんだったんだろう…)



穂乃果「花陽ちゃん!ちょっと一緒に来てほしいところがあるんだけど…来ない?」

花陽「え…一緒に来てほしいところ…?」

穂乃果「それは…行くまで秘密!」

花陽「う、うーん……」

花陽「どこか分からない…のかぁ」

ピーピピピピピ!

花陽「!」

まただ、またあのアラーム音が鳴った

『ついて行った場合 幸せな気持ちになるけど太る

ついて行かなかった場合 何もない』

カチッ

『3』

花陽(太る…?もしかしてデザートとかそういうことかな…)

『2』

花陽(でも確か穂乃果ちゃんってダイエット中だったような…しかも私もダイエット中だし…)

花陽「あっ…」

『1』

花陽(仲間を増やそうってことですか…!そうはいきませんよ穂乃果ちゃん!)

花陽「あ、ごめん…今日用事があって…」

ピー!
 
穂乃果「そっか…うん!わかった!じゃあまた明日ね!」ダッ

花陽「また明日!」

花陽「ふぅ危ないところでした、また海未ちゃんにガミガミは言われて特訓メニューをするのは勘弁です…」

花陽「確かにおいしいものを食べたい穂乃果ちゃんの気持ち…よーく分かります…」

花陽「私もものすごく食べたいです…!!」

花陽「ですが仕方ありません…」

~家

花陽「ただいま~」

花陽ママ「あ、丁度良かった!」

花陽「ん?どうしたの?」

花陽ママ「今日炊き込みご飯と普通の白いご飯どっちがいい?」

花陽「えっ……」

ピーピピピピピ!

花陽「!!」

花陽「!!」

『炊き込みご飯を選んだ場合 今日は炊き込みご飯になる

白いご飯を選んだ場合 今日は白いご飯になる』

カチッ

『3』

花陽「……あれ?」

選択肢に集中してて気付かなかったけど…

時間が止まってる…

お母さんが表情変えずに固まってる
水槽の金魚が何も動いていない

時計の針が動いていない

花陽「なにこれ…?どうなってるの…」

『2』

花陽「ん?ちょっとまって…」

花陽(これ0になったらどうなるの?)

ここで浮かんだ素朴な疑問

選択を時間で急かすのは知ってる
でも仮にここで選べなかった場合ってどうなるんだろう…?

花陽「………」ジーッ

半透明で青白い文字をじっと見つめる
どういう原理で出来てるのか全く分からないこのシステム

他のみんなには見えない文字を壁ではなく空中に浮かして更には時間までも止めてしまう

しかもよくよく考えれば選択肢を選んだ時の結果だって表示されてる
まるで未来が見えてるみたいに…

『1』

花陽「……大丈夫かな」ドキドキ

花陽「何にも…ないよね…?」

小さい鼓動の音が大きく聞こえた
残り一秒で不安になった

『0』

花陽「………」

ピー!

花陽ママ「あーそういえば最近白いご飯飽きたって言ってたのよね」

花陽「…え?お兄ちゃんが?」

花陽ママ「そうそう、だから炊き込みご飯でいいかしら?」

花陽「あ、うんわかったいいよ」

花陽ママ「じゃあ炊き込みご飯に決定~!」

花陽「……?」

0秒になって状況を進めたのはいいけどあまりよく分からない…

よく響くサイレンのような音と共に時は動き出した
動き出したと同時にお母さんが炊き込みご飯を進めてきた

花陽「うーん…?」

花陽「…時間を越すとランダムで選ばれるのかな」

花陽「…ってこんなところで考えてちゃダメだよね!」

スタスタスタ

ガチャッ

花陽「ふぁー……」

花陽「んーっ!」

ベットに飛び込んで背伸びをする

今日はなんだかよく分からない日だった

当然すぎる謎の現象
今のところ特に害はないもののこれから何があるかなんて誰も知らない

存在不明、解析不能な現象と付き合ってて不安一つ無しにこれからを過ごすなんて私には到底できない

花陽「……制限時間は三秒か」

3、2、1と天井に向かって指をなぞる

花陽「…へこたれたらダメだよね!元気出さないと!」

花陽「よしっ!明日もファイトだよっ!…なんてね」エヘヘ

~次の日

凛「あ、かよちーん!」

花陽「あ、凛ちゃんおはよう」

凛「おはよう!」

凛「ねぇ聞いてよかよちん!」

花陽「どうしたの?」

凛「あの後みんなに聞きまわってたらラーメンの方には希ちゃん、穂乃果ちゃん、かよちんだけでさ!」

凛「他のみんなはトマトだよ!?なんでみんなトマトなのかな…」

凛「希ちゃんはー…」

希『ラーメンに決まってるやん!トマトなんか比になるわけないやん!』

凛「それで穂乃果ちゃんはー…」

穂乃果『トマトも美味しいけどやっぱりラーメンだよねっ!うん!やっぱりラーメン!』

凛「やっぱりかよちんもそう思うでしょ?」

花陽「う、うん!」

凛「それに対してみんなは…」

絵里『うーんまぁラーメンも好きだけどトマトかしらね、なんか可愛いじゃない食べちゃいたくなるのよ』

凛「とか意味わからないこといってるし!」

ことり『うーん…やっぱりトマトかな♪一番の理由はヘルシーだからってところ♪』

凛「理由としては普通だけど全然共感できないよ!」

にこ『あーそうねぇ、ラーメンは家庭にも定番だしこころたちも好きだからラーメンにしたいところだけどやっぱりトマトかしらね』

凛「そこラーメンしろにゃ!!」

海未『すいません、私の家ってラーメンあんまり…というか多分ほとんど食べないんで消去法としてトマトですね』

凛「論外だよ!!」

花陽「あはは……」

凛「もう味方はかよちんと穂乃果ちゃんと希ちゃんだけだよ…」ギューッ

花陽「わぁ…苦しいよ凛ちゃん…」

凛「えへへごめん…」

花陽(そろそろいかないと……)

ピーピピピピピ!

花陽「!!」ピクッ

『そろそろいこうと言った場合 教室にいける

このまま凛の話を聞いてた場合 真姫と凛が直接対面、喧嘩は悪化するが凛から好かれる』

カチッ

『3』

花陽「凛ちゃんそろそろいこう?」

ピー!

凛「あ、うん!」

花陽「ふぅ…」

花陽(喧嘩が悪化って凛ちゃんと真姫ちゃんはもう既に喧嘩してる…?)

凛「いこっか!」

花陽「う、うん!」

~音楽室

花陽「あ、やっぱりここにいたんだね」

真姫「花陽…」

花陽「全然教室に来ないからここかなって」

真姫「凛がいるもの、居づらいでしょ?」

花陽「ま、まぁ…」

真姫「でもね花陽は別にいいのよ、敵は凛だから」

花陽「て、敵って…」

真姫「まぁ凛と私の話だから気にしないで」

花陽「う、うん…」

花陽「あ、あの…真姫ちゃん…」

真姫「なに?」

花陽「何度も言うけど…両方同じくらいおいしい…じゃダメなのかな?」

真姫「ダメよ」

花陽「あうぅ…」

真姫「それならもうとっくに解決してるわよ」

花陽「う、うん…」

真姫「授業始まる頃には行くから安心して」

花陽「うん…」

花陽(早く仲直りして欲しいなぁ…)

ピーピピピピピ!

花陽「え?」

『仲直りしてと言った場合 あなたと真姫の仲が悪化

このまま帰った場合 凛と真姫の仲が悪化』

カチッ

『3』

花陽「!!!」

花陽「そ、そんな……」

花陽「どうしようどうしよう…」

『2』

花陽「仲直りしてほしいけど…真姫ちゃんと仲が悪くなったら…」

『1』

花陽「…ごめん凛ちゃん」

花陽「じゃあ、待ってるね」

ピー!

真姫「ええ、分かったわ」

花陽「………」

スタスタスタ

花陽「ごめんね…凛ちゃん…」

なんだかとても罪悪感に包まれた
保身に走って凛ちゃんを身代わりにした

これで真姫ちゃんと凛ちゃんは更に悪化したのかな…



真姫「ふんっ」

凛「………」プイッ

花陽「うぅ……」

~昼

凛「かよちん!いこ!」

真姫「ちょっと待って!私は花陽に用があるの、一緒に食べようくらいの凛は後にして」

凛「はぁ?!なんで!かよちんと凛の間に真姫ちゃんは入ってこないでよ!」

真姫「こっちのセリフよ!凛が入ってこないで!」

凛「真姫ちゃんはにこちゃんといてよ!」

真姫「はぁ?!なんでにこちゃんがそこに入ってくるのよ!!!」

ガシッ

花陽「んえ?」

凛「ほらっ!いこ!真姫ちゃんの話なんか聞く必要ないよ!」

ガシッ

真姫「なんでそうなるのよ!花陽、行きましょう凛の話なんか聞く必要ないわよ」

凛「だからなんで入ってくるの!」

真姫「なんで凛が決めつけるのよ!」

花陽「あ、えっと…二人とも…」

花陽(ど、どうしよう…)

ピーピピピピピ!

花陽「あっ…」

『凛とお昼を食べた場合 真姫とあなたの関係が悪化、凛と真姫の関係が超悪化

真姫をお昼を食べた場合 凛とあなたの関係が悪化、真姫と凛の関係が超悪化』

カチッ

『3』

花陽「え…待って……」

花陽(どうしようどうしよう…)

どうしよう、選べない…
どっちも選べないよ…

『2』

花陽「うぅ…えっと……どうしよう…」

どっちを選んでも凛ちゃんと真姫ちゃんの仲が超悪化って…
しかもどっちを選んでも私と二人のどちらかと仲が悪くなっちゃうよ…どっちもイヤなことしかないのにどう選べばいいんだろう…

『1』

花陽「…無理だよ、私には決められないよ」

花陽「どちらとも関係が悪化なんてイヤだよ…」

花陽「うぁ…」ヨロッ

混乱で足のバランスが取れなくなり少しよろめく
なんでこんな選択肢しかないんだろう
もっと他に解決策はあるはずなのに、こんなマイナスだらけの選択肢二つのどちらかなんて決めるにも決まらないよ

『0』

花陽「………」

ピー!

希「あ、凛ちゃんちょっといいかな?」

凛「あ…う、うん…」

凛「ここで待っててよかよちん」

タッタッタッ

真姫「さて、行きましょう」グイッ

花陽「あ、ちょっ…」ズルズル

花陽(そっか…選べなかったから真姫ちゃんになったんだね…)

真姫「凛となんか食べる必要ないわ、花陽が無理するだけだわ」

花陽「う、うん…」

花陽「…ねぇやっぱりさ」

真姫「なに?」

花陽「仲直り…しない?」

真姫「……知ってるわよ、こんなくだらないことくらいで喧嘩してるのわ」

真姫「でもここはプライドってものがあるのよ!」

花陽「う、うん…?」

真姫「よーし!凛には絶対に負けないわ!」

真姫「大丈夫よ!絶縁とかそういうことは絶対にしないから」

花陽「そ、そう…」

真姫「それにしても花陽さっき瞬間移動しなかった?」

花陽「え?」

真姫「いや花陽を引っ張ってつれていこうとしたらなんか花陽の立ち位置が急に後ろに下がったような気がして」

花陽「あっ…」

花陽(もしかしてよろめいたから…?)

花陽「んっと…気のせいじゃないかな?」

真姫「そう?まぁそうよね、瞬間移動なんてありえないし」

花陽「うん…」

ありえてるんだよ真姫ちゃん…
文字が空中に浮いて未来が分かって時間が止まる魔法みたいな現象が…

花陽「はぁ……」

今頃凛ちゃん怒ってるのかな
待っててって言われたのに行っちゃった、しかも真姫ちゃんのところに…それじゃあ関係も悪化するよね…



凛「もう!かよちんまで真姫ちゃんの味方して…!」

凛「まぁどうせかよちんは無理やり連れていかれたからいいとして…」

凛「真姫ちゃんだよ!どこまで凛を怒らせれば気が済むにゃ!」プンプン

~帰り

花陽「はぁ……」

花陽(散々な一日だったなぁ…)

ピーピピピピピ!

花陽「!!?」

『帰っておにぎりを食べた場合 一時的な幸せに包まれる

帰ってラーメンを食べた場合 同情感が出来上がる』

カチッ

『3』

花陽「………」

お腹空いたし家で何か食べよう、何食べようって思ってたら来た

もしかしてどんな小さなことでも迷ったら来るのかな?

それにしてもホントにどうでもいいことだね…

花陽「…たまにはラーメンもいいよね」

花陽「ラーメン食べよっかな」

ピー!

花陽「早くお家帰ってラーメン食べよ」ダッ



花陽「ラーメンってこんなおいしかったんだ…」

花陽「あはは…誰の味方をするとかじゃなくて結局私はラーメン派閥かもね…」

ラーメンを食べてトマトよりおいしいと凛ちゃんに同情する

花陽「それにしてもあの謎の現象…」

近くにあった時計を手に取りそれを見つめる

花陽「……私にはピッタリなのかな」

花陽「優柔不断だし…決めるにも決められないし…」

部活を選んでる時だって真姫ちゃんと凛ちゃんがいなければスクールアイドルなんて始めてなかった

いつも誰かに背中を押されて前に進んでそして気がつけば隣に誰かがいた

自分で決められない私は前へ進めない

花陽「でも、不安だなぁ…」

花陽「今日みたいな選択肢、ホントにどうすればいいんだろう…」

花陽「あんなの選べないよ…」

花陽「やっぱり私ってダメだなぁ…」

時間制限があろうとも選べない選択肢は何も選べない

花陽「あ、このスープおいしい♪」

「花陽~ちょっと来て~」

花陽「あ、はーい!ちょっと待っててー!」

スタスタスタ

花陽「どうしたのお母さん」

「この花瓶をっとと…」

花陽「だ、大丈夫?」

「ええ、二つあるんだけど一つもってほしいのよ」

ズコッ

「あっ…」

花陽「あっ…」

ピーピピピピピ!

花陽「やっちゃった…」

『左の花瓶を取りに行った場合 右の花瓶が割れる、母が怪我をする

右の花瓶を取りに行った場合 左の花瓶が割れる、母が怪我をする』

カチッ

『3』

花陽「はっ…え?」

花陽「なにそれ…ほとんど同じじゃん…」

『2』

花陽「………」

花陽(どっちにするべき…?)

花陽「……どっちにしても同じだよね」

『1』

花陽「分からないよ…」

花陽「任せる、運命に任せます……」

ピー!

パリーン!!!

「いったぁ~…」

花陽「!?!?!!」

花陽「あ、あれ…?」

花陽「花瓶が…」

花瓶が二つとも割れた
今まではどちらかの選択肢が自動で選ばれていた

もしかしてそうじゃない…?

花陽「…あ、絆創膏もってくるね」

スタスタスタ

花陽「………」

花陽(やっぱり決めなきゃいけないんだ…)

花陽(自動で選んでくれるなんて甘すぎるもんね…それじゃあ時間の意味がないし…)

花陽「…三秒で決めないといけないんだ」

募る不安

三秒間でいかに正確な判断を下せるか、ああいうすぐさま決めなきゃいけない状況で私は何も選ぶことが出来なかった

これからもこういうことあるのかな…

花陽「…あ、早く絆創膏届けないと!」

花陽(とりあえず様子見だよね…)

~次の日

花陽「ふぁー…朝か…」

花陽「んー…なんか体が重い…」

花陽「…休もうかな」

ピーピピピピピ!

花陽「え?」

『今日を休んだ場合 二人死人が出る

今日を登校した場合 一人死人が出る』

カチッ

『3』

花陽「っ?!」

花陽「し、死人?!」

見間違いじゃない

“死人”

という言葉

『2』

花陽「あ、え…なにそれどういうこと…?」

もちろん文字を見るだけじゃ何も理解できなかった
まず死人ってなんだろう、誰が死ぬんだろう

花陽「れ、冷静に……」

私が行くか行かないかで死ぬか死なないかが影響される人がいるってこと
そこで知らない人が介入する可能性ってあるのかな?

『1』

花陽「いや…待って…」

違う

私が登校しても一人死人が出るんだ
そこで私はどういう影響力を持つ?

でも私が行けば一人死人が減るんだ

なら……

花陽「今日はいこう」

ピー!

花陽「はっ……」

ドクンッ

鼓動の音が大きく鳴り出した
突然現れたのは死の宣告

冷静に判断したつもりだけど普通に考えてもここは行くが当たり前

“死人が二人から一人になる”

すごい良い選択をしたような感じがあるけどこれってもう一人は死ぬことが確定してるんだ

花陽「……誰が死ぬの?」

問題はそこ

私が登校するだけで変わる未来なんだ
身近な人と思いたくないけどそう思うしかない

花陽「まさか…凛ちゃんとか真姫ちゃんじゃ…」

花陽「…大丈夫だよね?」



凛「おはようかよちん!」

花陽「お、おはよう!」

花陽「………」キョロキョロ

凛「どうしたの?かよちん」

花陽「ん、あ…いやなんでもない!」

花陽(真姫ちゃんどこかな…)

凛「?」

真姫「あらおはよう花陽」

真姫「そして凛」

凛「むっ…なにそのオマケみたいな言い方」

真姫「さぁ?」

凛「相変わらず腹立つにゃ…」

花陽「ほっ……」

真姫「何安心してんのよ」

花陽「気にしないでこっちの話だから」

真姫「…?」

取り合えず二人に会えて一安心
でも誰が死ぬか分からない以上油断は出来ない
それこそ身近な人って言えば凛ちゃんや真姫ちゃんだけではない

同じ派閥の穂乃果ちゃんや希ちゃんだって危ないんだ

花陽「まぁいこうか二人とも」

凛「うん!」

真姫「はいはい」



花陽「………」

『一人死人が出る』

あの文字が頭から離れない
もし凛ちゃんや真姫ちゃんがその死人だというのなら無理をしてでもその未来を変えたい

花陽「よしっ…」

小さな声で気合いをいれる

希「そんな難しい顔してどうしたん?」

花陽「あ、希ちゃん」

希「一人で抱え込む必要は全くないよ?相談できることなら素直に相談してみ?」

花陽「………」

花陽(言うべき…?希ちゃんってオカルトっていうかああいうの詳しそうだし…)

ピーピピピピピ!

花陽「!」

『希に話した場合 死人が二人になる

希に話さなかった場合 希からすごく心配される』

カチッ

『3』

花陽「話すと増える…?!」

花陽「と、とにかく話さないだよねこれは…!」

『2』

花陽「ううん、なんでもないよ希ちゃん」

ピー!

希「そ、そっか…分かった、でも辛いときはちゃんと相談してな?」

花陽「うん!」

花陽「じゃあ私はもう教室にいくね」

希「了解や」

花陽「それじゃあ…」

スタスタスタ

花陽「はぁ…」

花陽(希ちゃんに話したら死人が増えるって結局なんなんだろう…)

花陽(…ダメ、よく分からないや)

取り合えず死人は一人のまま
一人が死ぬことに変わりはない

キーンコーンカーンコーン

花陽「あ、早くしないと!」ダッ



花陽「………」

穂乃果「どうしたの?ずっと上の空だけど」

花陽「ねぇ穂乃果ちゃん」

穂乃果「ん?なーに?」

花陽「未来って変えれると思う?」

穂乃果「もちろんだよ!漫画でもよく見るじゃん!決まった未来を変えるシーン!」

穂乃果「私だって学校が廃校になる運命を変えたんだからきっと出来るよ!」

花陽「う、うん!だよね!」

穂乃果「でもどうしたの?急にそんなこと…」

花陽「ちょっと考え事をね…でも気にしないでなんでもないから」

穂乃果「う、うん」

そうだよね

未来は変えられる

穂乃果ちゃんの言う通りだよ
とにかく前向きにこの時間を過ごしたい

今思えばずっと考えっぱなしだった

花陽「ありがとう穂乃果ちゃん」

穂乃果「よく分からないけどどういたしまして!」

海未「さてそろそろ練習いきますよ!」

凛「よーし練習いっくにゃー!」

真姫「分かったわ」

花陽「はーい」

~帰り

凛「かーよちんっ!一緒に帰ろ!」

花陽「うん!」

真姫「あ、私も途中まで一緒だから同行させてもらうわ」

凛「えぇ~…」

真姫「えぇ~と言いたいのはこっちよ、なんで凛がいるんだか」

凛「そんなに凛が嫌なら一緒に来なくていいにゃ~」

真姫「なんでそうなるのよ!」

花陽「ふ、二人とも喧嘩はダメだよ…」

花陽「とりあえずいこ?」

真姫「…分かったわ」

凛「はーい」

死人が一人出ると宣告されてまだ何も起きてない

私に影響力があるのだとすれば私に今関わってる人に死の危険性があるんだと思う
なら凛ちゃんや真姫ちゃんに関わるなって話になるけどそうして死の可能性を回避できるほど単純でもない

私の知らないところで既に死は動いてる

私が凛ちゃんと帰ったのなら真姫ちゃんが死んでしまうのかもしれない
死人は一人
関わっても関わらなくても死の危険性は同じ

そして登校して死人が二人から一人になるわけだから帰るまでに何か起こる可能性が高い

花陽「………」グッ

だからこれから何か起こるんだと思って一瞬も気を抜かず待ってる

真姫「花陽もこの味覚音痴になんか言ってやってよ」

凛「味覚音痴はそっちにゃ!」

花陽「あはは……」

ドサッ

花陽「あ、ごめん荷物落ちちゃったから先行ってて」

真姫「分かったわ」

凛「はーい」

花陽「……あ、でもまっ」

花陽「っ!!?」

しゃがんで視界を下に向けて引き留めようとして前を向いた時の刹那

死のタイミングが近いと察した

大きく右に目を向けると電車が来てる

でも踏切が機能してない

音がでてない
遮断機が下がってない

花陽(助けきゃ…!)

ダッ

ピーピピピピピ!

花陽「?!」

ピタッ

『凛を助けた場合 真姫が電車にはねられ死亡

真姫を助けた場合 凛が電車にはねられ死亡』

カチッ

『3』

花陽「え…?!ちょっとまってよ!?」

目を疑った

無常にも死はあの二人のどちらかを選んだ

花陽「どっちかしか助けられない…!?」

花陽「なにそれ…おかしいよ…」

花陽「!!」

真姫ちゃんと凛ちゃんは大きく横幅をあけていた
そう、両手を広げても届かないんだ

喧嘩が原因だと思う

その時私は全てを理解した

ホントはここでどっちも死ぬ予定だったんだろう

けど私が登校したから
私がどちらかを助ける運命にあるから

死人が一人になったんだ

でも逆に言えばそれってどちらかは必ず死ぬんだ

『2』

花陽「待ってよ…決められないよ……」

花陽「どうしようどうしようどうしよう…!!」

花陽「凛ちゃんを助けたら真姫ちゃんが…でも真姫ちゃんを助けたら凛ちゃんが…!」

凛『かよちん!』

花陽「!」

真姫『花陽!』

花陽「!」

花陽「やめてよ…私を混乱させないでよ…」

花陽「どっちを選んでも結末がまったく同じだよ…死ぬ人と生きる人が違うだけだよ…」

花陽「………」

私はどちらの手を取ればいい?

何を優先して何を頼りにすればいいかが分からないよ…

決められないよ

でもさ…これ決められなかったら二人死ぬよね…?

もしここから助かる運命があるならどんな運命になる?

転んでたまたま死を回避とか?

でもそんなありえないよ…
…でもそうすると死人が二人になる…

もしかして助かる…?

でも違う…そんなことで生きる人が決まっちゃダメだよ…

でも誰かを助けて誰を犠牲にするのもダメだよ…

凛『ラーメンの方がおいしい!』

真姫『トマトの方がおいしいわよ!』

花陽「私が喧嘩を止めてれば…!」

過去の私の保身に走った選択を悔やむ
あの時私が正しい選択を取っていればどっちも助けれた
二人の間にあんな距離なんて出来るはずないのに喧嘩なんてしてたから…

『1』

花陽「…決めた」

花陽「行くよ…!」

ダッ

タッタッタッタッ

とにかく全力疾走で走った

私決めたよ

この選択肢の答え

私は真姫ちゃんの方にも凛ちゃんの方にも向かわずに真ん中をただただ走った

これが私の答え

きっとこれが最善の答えだったんです

『0』

ピー!

花陽「はああああああ!!」

凛「かよちん…?」

真姫「花陽…?」

ガンッ!!!

キー!!!

~~~

「次のニュースです
今日午後六時頃東京都千代田区にある踏切で女子高生一人が電車にはねられ死亡しました
発見当時近くに死亡した女子高生と同じ制服を着た学生二人が泣き叫んでいて現在は警察署で保護し話が聞ける状態になり次第事情聴取を行う予定だそうです。
また近くにある監視カメラを確認したところ電車が来てるにも関わらず踏切が機能しておらず電車くるのに気付かずはねられたとみて警察側は事故として処分を検討しているとのことです」

死人は一人でした

三人でもなく二人でもなく

“一人”

私の選択は間違ってたのでしょうか?

死人は一人でした、結果は変わりませんでした

でも私はこの選択を間違ったなんて思っていません

選択肢っていうのは今目に見えるものだけが選択肢なんてことはありません
これはいい例だったのかもしれません

真姫ちゃんを助けて凛ちゃんが死ぬのか凛ちゃんを助けて真姫ちゃんが死ぬのか

いいえ違います

“二人を助けて私が死ぬ”

第三の選択肢ってやつです。

目の前にあるものが“全て”とは限らないのです

END

~~~

理事長「短い時間で的確な判断が出来るか、それを判断力といいます」

理事長「でもどちらかが生きてどちらかが死ぬなんて選択肢で正確な判断が出来る人なんているんでしょうか?いや…そもそもそこに正確な判断なんて存在するのでしょうか?」

理事長「迷ってたらどちらも死んでしまう、そんな状況で何を頼りに選べばいいんでしょう?」

理事長「友情でしょうか?愛情でしょうか?人それぞれだと思います」

プルルルルルル

理事長「あ、はいもしもし」

理事長「え?!今日飲み会やるんですの?!」

理事長「あっ…でも今日はことりとも約束いれてた…」

理事長「でも飲み会にも…いやでも親としてことりとも……」

理事長「…ことりにしましょう、欲望よりも愛情を優先します!」

プルルルルルル

理事長「今度は誰ですか…」

ことり『あ、お母さん?今日穂乃果ちゃんのお家泊まるから約束はまた今度ね!』

理事長「……はぁ」

理事長「やっぱり愛情より欲望を選ぶのが安定ですよねぇ…」

とりあえずひとつめは終わりです
次時間が空いたときに二つ目更新します

>>1です
今からやる予定だったんですが見直してて一つストーリーの少しを作り直ししたくなったので今日はお休みです、なら他の出せよって思うかもしれませんがなるべく同じ物語の方向性(シリアス、ギャグだとか)が二回連続で出ないように順番を決めてるのでどうかよろしくお願いします

~~~~~

理事長「三大欲求の一つ“食欲”」

理事長「お腹がすいたら何かしらなんでもいいから食べたくなるでしょう」

理事長「お腹がすいて餓死しそうな時目の前に得体の知れないモノがあったらどうしますか?」

理事長「食べますか?食べませんか?」

理事長「私は食べません、ですがこれが自分の知ってる食べ物だったら答えは一つになってしまうでしょう」

理事長「日常生活において好きなものだけ食べるということは決して悪いことではありません」

理事長「ですがちゃんと“中身”を確認しましょう、外側だけ知ってるもの…なんてことがあるかもしれません」

理事長「警戒心をいつまでも持つことが、大切ですよ」

~~~

穂乃果「もうすぐバレンタインだね!!」

穂乃果「えーっと後三日だ!」

希「今年はみんなチョコもらえるかな?」

海未「チョコなんて太るだけです!そんなもの食べなくて結構です!」

にこ「まぁこのにこならチョコ軽く20個くらいはオーバーね」

真姫「そっ…バレンタインなんて興味ないわ」

凛「んー凛はチョコがもらえるならなんでもいいや!」

花陽「あぁ…チョコはおいしいですけど…今ダイエット…うぅ…」

ことり「私もみんなにチョコ作るから楽しみにしてね♪」

穂乃果「おお!ことりちゃんのチョコー!!」

絵里「ふひひ…えへへ……」

希「えりち気持ち悪い笑み浮かべないでや…」

絵里「バレンタインよ?!チョコが食べれるって思うとすごく心が幸せになるのよ!」

絵里「あ、でも私もちゃんとみんなにチョコは作るからね?」

穂乃果「絵里ちゃんはモテモテだもんねーもうチョコがもらえるのは決定事項みたいなものだよね」

にこ「うらやま…いやなんでもないわ」

真姫「ふーん……」

凛「えー…凛チョコ作れない…」

花陽「大丈夫だよ!凛ちゃん!私が教えるから一緒につくろっ!」

凛「うん!ありがとかよちーん!!」ギューッ

絵里「チョコチョコ~♪るんるん♪」

~帰り道

絵里「……!」

絵里「この匂いはチョコ…どこかしら…」

スタスタスタ

絵里「えっと…こっちかしら……」

絵里「…ここからね」

絵里「ってなにここ…やけに狭い路地裏ね…」

絵里「…ん?夢を叶えるチョコ専門店…?」

絵里「なにそれ…まぁ入ってみましょう」



【夢が詰まったチョコレート】

「いらっしゃいませ」

絵里「あの夢を叶えるチョコ専門店って…」

「名の通りです、チョコレートを食べることで叶えたい夢が叶うチョコレートを販売しております」

絵里「叶えたい夢って……」

「そちらに色々ありますので見るだけでもいかがでしょうか」

絵里「あぁはい…」

絵里「足が速くなるチョコ…頭がよくなるチョコ…暗記力がよくなるチョコ…」

絵里「これを食べたらその名前に書いてある効果が出るんですか?」

「はい、その通りです」

「効果は無制限です、一生続きます」

絵里「…値段が書いてないんですけど」

「値段はそのチョコの効果とお客様の能力に見合ったものを取引する形になります」

絵里「え?」

「例えばあなたがダンスのプロだとしたらそのダンスの能力を私方が貰う代わりにその能力に見合ったチョコレートを差し上げます、ダンスのプロですと他のプロの能力だったり小さな能力をいくつかもらうことが出来たりという感じです」

「また自身の能力で買えないような品であれば代償を追加することで買うことが出来ます」

「喋れない代わりに、だとか歩けない代わりに、といった感じです」

絵里「なるほど…代償はお金じゃなくて自身の能力ってこと」

「その通りです」

絵里「………!!」

絵里「これ………」

絵里「すいません、これを買うとしたら私の何の能力と取引できますか?」

「あなたの能力ですと…そうですね…バレエの能力と取引なんていかがでしょう?」

絵里「え…バレエか…他にありませんか?」

「お客様は頭が良いので頭の良さ、後はスタイルの良さなどでも大丈夫です」

絵里「うーん…」

絵里(スクールアイドルやってるから流石にスタイルを削っちゃうのはまずいし…)

絵里(頭悪くしたら成績に響くし…)

絵里(バレエもダンスに関係してるけどバレエが全てじゃないし…これを…)

絵里(……決めた!)

絵里「じゃあすいません、バレエの能力を引き換えにこの」


絵里「好きな人と恋人になれるチョコをください」


「わかりました」

「では目を瞑ってください、私がいいと言うまで目を開けちゃだめですよ?」

絵里「分かりました…」パチッ

「………」

絵里「………」

「はい、目をあけていいですよ」

絵里「あ、はい」

「これであなたのバレエの能力は消えました、そして取引通りそちらのチョコをどうぞ」

絵里「これを食べたらすぐに効くんですか?」

「はい、その通りです」

「ですがそちらのチョコの効果は実感しにくいため食べたならば実際にあなたの好きな人の近くにいってみてはいかかでしょうか?」

絵里「なるほど、ありがとうございます」

絵里「…もうここで食べていいですか?」

「どうぞ構いません」

パクッ

絵里「……味が全くしないですね」

「カカオじゃなくて夢が詰まってますから」

絵里「実感も全然ないですね…」

「そういうものですよ」

絵里「じゃあ行ってきますね」

「またご来店をお待ちしております」



ピンポーン

希「あ、えりち…っ!?」

絵里「ん?どうしたの?私に何かついてる?」

希「え…あ、いや…なんでも…ないよ!」

絵里「…いつもの口調どうしたの?」

希「え…私…ウチそんなこといった?」

絵里「…とりあえずあがっていい?」

希「だ、ダメ!えりちごめんまた今度!」

ガチャン!

絵里「あ、ちょっと!」

絵里(効果本当にあるのかしらこれ…)

~次の日

絵里「おーい!希ー!」

希「あ、えりち…」

絵里「昨日はどうしたの?」

希「いや…なんでもないんよ…」

ギューッ

絵里「ちょっ…希どうしたのよ」

希「授業始まるまで…一緒にいなきゃやだ…」

ズッキューン

絵里「」

希「今日のダンスペア、ウチと組も?」

絵里「え、えぇ…分かったわ」

ギュギューッ

絵里「あの、希さん?」

希「なんやさん付けして」

絵里「くっつき過ぎじゃない?」

絵里(いや嬉しいけどもなんていうか…)

希「…嫌だった?」ウルウル

絵里「違う違う!そういうわけじゃないの!」

絵里「ただ…急にどうしたのかなって…」

絵里(なんとなく分かるけど…)

希「…そんなに言わせたいん?」

絵里「え?」

希「えりちはいじわるやな…」

希「…ウチはえりちのことが好き!チューしたいくらい大好き!」

チュー

絵里「」プシュー

希「…どう?満足した?」

絵里「ま、まんぞくしまひた…」

希「ほらっ!なら早くいこ!」

絵里「は、はひ!」



にこ「……なんであんたらそんなべったりしてんの?」

絵里「…さぁ?」

希「ウチとえりちの関係ならこのくらい普通やん!」

にこ「はぁ?!あんたら何したのよ!」

絵里「ちょ!声大きいわよ!」

希「え?別に何もしてへんよ?」

にこ「希と絵里の関係って…」

希「ん?まさかにこっちウチとえりちがエッチなことしてたって考えてたん???」ニヤニヤ

にこ「なっ……」カアアア

希「うわ~にこっちは変態やなぁえりちとウチがあんなことやそんなこと」

にこ「やめえええ!!!」

絵里「………」ドキドキ

にこ「…なんで当事者であるはずの絵里が顔赤くしてんのよ」

絵里「うぇ?!まさかそんなはずないじゃない!」アセアセ

にこ「あんたら本当に何もしてないんでしょうね?あなたの相棒が動揺してますよ?」

希「えりちも変態さんなんやね…」

にこ「はぁ…朝っぱらなんて会話してるのよ私たち」

希「そういう時期なんやない?」

にこ「ぬぁんでよ!」

絵里「……はぁ」

絵里(これがチョコの効果か…)

絵里(嬉しいけどやっぱり慣れないわ…希があんなに甘えるなんて…)

希『一緒にいなきゃやだ…』

絵里「………」プシュー

にこ「わぁ?!大丈夫?!」

希「うはぁトマトみたいに顔赤い…」

絵里「……はっごめんなさい、ちょっと正気保てなくなってたわ」

にこ「ちょっ…大丈夫なの?」

希「なんでウチに聞くん…」

にこ「明らかにヤバイじゃないこの絵里」

希「大丈夫だよにこっち、こうすれば…」

希「えりち♪」

絵里「はぇ?なにかしら?」


希「今度ウチとイイコトしよ♪」ボソッ


絵里「………」

バタッ

にこ「なっえ…?!絵里倒れたわよ?!」

希「あちゃー…えりちには刺激が強すぎかも」

にこ「刺激って何話したのよ…」

希「別に大したことじゃないんよ?」

絵里「ふは……」

絵里(希が甘えてくれるのは嬉しいけどやりづらさを感じるのも事実なのよね…)

~練習

希「えりち!」

絵里「あ、そうねペアね」

希「えりちの手暖かい…」

絵里「う、うん…」

希「さてストレッチやろか」

絵里「えぇ了解」

絵里「……?」

希「どうしたんえりち」

絵里「…いやなんか体に違和感があって」

希「大丈夫?」

絵里「えぇ大丈夫よ、やりましょう」

希「うん!」



海未「わん!つー!すりー!ふぉー!」

絵里「あれ…」ヨロヨロ

海未「ストップです!絵里、さっきから動きがよろめいてます」

絵里「ごめんなさい…」

穂乃果「ううん!大丈夫!穂乃果もよくミスしちゃうし気にしないで!」

海未「絵里がミスするなんて珍しいですね、何かありました?」

絵里「いや…なにもないと思うわ気にしないで」

海未「え、ええ…ですが無理はしないように」

絵里「分かってるわ」

海未「では、再開します」

海未「わん!つー!すりー!ふぉー!」

絵里「……っ」ヨロッ

希「……?」



海未「では15分の休憩に入ります」

絵里「………」

絵里(バレエの能力を失ったからかしら…全然ダンスが出来ない…)

絵里(バレエで重要なバランスが全然取れない…まさかこんなことになるなんて思ってなかったわ…)

にこ「ねぇちょっと大丈夫?」

絵里「………」

絵里(どうしよう…とは言っても一から練習するしかないか…)

希「おーいえりちー」

絵里「………」

穂乃果「絵里ちゃん!!!」

絵里「わぁ!」ピクッ

穂乃果「今日の練習は調子悪かったけど気にしないで!誰にでもスランプってやつはあるから!」

絵里「…ええ」

にこ「何かあった?」

絵里「…っいや特にないわ」

にこ「………」ジトーッ

絵里「………」ダラダラ

にこ「あんたなんか隠してるでしょ?」

絵里「まさか…そんなわけないでしょう?」

にこ「そうはいうけどねぇ…」

希「にこっちまたえりちにいやらしいこといってるん?」

穂乃果「え?またってにこちゃんそういうの興味あったの?」

凛「そういうのってどういうのー?」

にこ「なっ…希!変なこというんじゃないわよ!!」

凛「ねぇにこちゃんそういうってどういうのー?」

穂乃果「さっきの話教えて穂乃果も気になるー!」

にこ「だああ!なんでもないわよ!!」

希「えりち大丈夫?」

絵里「ええなんとか…」

希「さっき言ってた違和感のせい?」

絵里「…多分」

希「病院で診てもらう?」

絵里「いやそんなことはしなくていいわ、一人でなんとかする」

希「なんとかって…なんとかできるん?」

絵里「…それは微妙ね」

希「ウチを頼って?ウチとえりちは」


希「恋人やん?」


絵里「!!!」

ドキッ

絵里「………」

絵里(違う…希と恋人になるためにバレエを捨てたなんて言えるはずないでしょ…)

絵里「ううん、大丈夫」

絵里「でももし辛くなったらいうわ、今はまだなんとかなりそうだから大丈夫よ」

希「そ、それならいいけど…」

絵里「…よし、頑張りましょう」

~夜

絵里「はっ…よっ……」

ズコッ

絵里「わぁ!?いてて……」

絵里「…やっぱりバレエを失ったのは大きかったわね」

絵里「……ホントに大丈夫かしら、私のスクールアイドル人生」

絵里「…っとにかくもう一回ね!」



ツルッ

絵里「わぁ!」



ズコッ

絵里「いったぁ…」



ガンッ

絵里「くぅ……」



絵里「ふぅ…怪我いっぱいしちゃったわね…」

絵里「…まぁ大丈夫でしょう」

絵里「払ったものは取り戻せないものね…頑張らなくちゃ!」

~次の日、教室

絵里「…おはよう」ズーン

希「うわぁどうしたのえりち!ボロボロやん!」

絵里「一日中ダンスの練習に励んでたわ…」

希「またそんな無茶して…」

ダキッ

希「ウチの温もりで休んで…?」

絵里「…うん」

ギュー

絵里「…とっても辛いわ」

希「辛いやろうね…どうしちゃったん急に?」

絵里「………」

絵里「…なんでかしらね?」

希「はぁ…えりちが苦しんでるの見るとウチまで辛くなるよ…」

絵里「ごめんなさい…」

絵里(ホントにごめんなさい…希の気持ちを弄んで…)

絵里(あんなチョコなんて食べるべきじゃなかったわよね…)

にこ「うぇ?!絵里大丈夫?!」

絵里「えぇなんとか…」

にこ「その傷…あんた何してきたのよ…」

希「一日中ダンスの練習してたんやって」

にこ「確かにあの時の絵里は明らかに後れを取ってたけどそんなにボロボロになるまでやってたら元も子もないじゃない…」

絵里「返す言葉もないわ…」

にこ「はぁ…やれやれね…」

希「今日の練習休む?」

絵里「いや、出るわちゃんとやらないといけないもの」

にこ「いやだからそんな傷じゃ」

絵里「いかせて、お願い」

にこ「…仕方ないわね、でも無理してるって感じたらやめさせるわよ」

絵里「…分かったわ」

~練習

海未「わん!つー!すりー!ふぉー!」

絵里「はっ…よっ……」

絵里(よしっなんとかついていけてるわ)

海未「ストップです!絵里、昨日よりかは良くなってますがやはりまだみんなより遅れています」

絵里「っ…ごめんなさい」

絵里「………」ギリッ

希「!」

穂乃果「もう!海未ちゃん!絵里ちゃんだって努力してるんだよ?そんなにきつくしちゃ絵里ちゃんに悪いでしょ!」

海未「そ、それはすいません…」

絵里「ううん、いいの悪いのは私だから…」

グッ

絵里(なんで…あんなに練習したのに追いつけないの…!)

海未「…ここは休憩にしましょう、10分の小休憩をします」

絵里「はぁ……」

希「えりち…」

絵里「なんでダメなのかしら…」

希「苛立ったらダメだよ?それが一番ダメなパターンやから…」

絵里「分かってるわよ…!」

希(いらついてる…)

花陽「すごーい!!!」

絵里「!」

凛「どう?かよちん!」

花陽「すごいすごい!まるで」


花陽「プロのバレエ選手だよ!!」


真姫「っほんとにすごいわね…どこで覚えたのこれ…」

凛「なんかチョコを食べたらバレエもダンスもすごく上手くなれた!」

花陽「チョコ?」

凛「夢を叶えるチョコだったかな?うーんと…確かそれのバレエとダンスが上手くなるチョコだった気がする!それを食べたら上手くなれた!」

真姫「なにそれ…そんな魔法みたいな話あるわけがないでしょ」

凛「ホントなんだってばー!」

凛「かよちんは信じてくれるよね?!」

花陽「え…えっとその…ホント…なのかな?」

凛「もー!かよちんまで疑ってー…」

凛「でもこの上手さは本物でしょー?」クルン

真姫「えぇ…ダンスは確かに今までとは比べられないほど上手くなってる…」

絵里「……!」

絵里(もしかして凛もあそこのチョコレート屋さんに寄ったのかしら…)

絵里(だとしたら凛は何を犠牲のしたのかしら……)

絵里(…あれ、私が行った時にバレエが上手くなるチョコなんてあった…?)

真姫「夢を叶えるチョコレート屋?だっけ」

凛「そうだよ!」

真姫「夢を叶えるんだったらもっと現実味のないことでも叶えればよかったのに、お金持ちとか」

凛「ううん、凛が叶えられる夢は限られてるの、そんな大きな夢叶えられないよ」

凛「凛には“取柄”がないから、ダンスが上手くなれば少しは出来るかな!って…」

凛「そこでバレエが上手くなれるチョコを食べた!凛でも叶えられた!」

絵里(………)

絵里(いや…ない、そんなの無かった)

絵里(…!!!!)

絵里(まさかだと思うけど…あのチョコって……)


絵里(取引した能力が売られるの…?)


絵里(…うん、バレエだけじゃない、ダンスまで出来なくなってた)

絵里(凛は私の能力が入ったチョコを食べた…?)

絵里(その可能性が高いわよね…)

絵里(…もしそうだとしたら私が食べた能力も誰かのってこと…)

絵里(嘘でしょ………)

希「えりち…?そんな深刻そうな顔してどうしたん…?」

穂乃果「絵里ちゃん…?顔真っ青だよ?大丈夫…?」

絵里(店の人に聞くべきよね…)

絵里「…ごめんなさい、今すぐ行かなきゃいけないところが出来たわ、先帰るわね」

ダッ

ガチャ

希「あ、ちょっとえりち!」

穂乃果「絵里ちゃん!」

海未「どうかしました?」

希「今すぐ行かなきゃならないところがあるっていってどっかに行っちゃって…」

ゴタゴタゴタゴタッ

キャー!!

希「!!!」

ガチャン!

穂乃果「…っ?!絵里ちゃん!!」

希「えりち?!」

花陽「ど、どうしたの?!」

真姫「…!滑り落ちたって感じかしらね…」

穂乃果「血が出てるから早く救急車呼んでよ!」

ことり「今、呼んでる!」

希「嫌や…!えりち死なないで!!!」ユサユサ

真姫「揺らさないで!悪化するかもしれないわ!」

希「あ……ごめん…」

にこ「希…気持ちは分かるわ、でもここは絵里を信じるしかないのよ」

希「…っせやけど!」

にこ「………」フルフル

希「っ!!」

にこ「…まぁでも近くにいてやりなさいよ、みんなには私が適当に言っておくから」

希「え…でも…」

にこ「知ってるのよ?絵里と希の関係」

にこ「あ、別にそういうことではないからね!」

希「ばれてたん…」

にこ「当然でしょ、逆に隠し通せると思わないことね」

にこ「しっかりしなさいよね、あんたがしっかりしないと絵里おかしくなるわよ」

希「どうしてそんなことわかるん?」

にこ「私、未来が見えるから」

希「え?」

にこ「未来が見えるチョコを食べた」

希「え…?ええ?!」

にこ「これはオフレコでお願いね」

希「み、未来が見えるって…!」

にこ「未来が見える私からのヒント、大事にしなさいよね」

スタスタスタ

希「まっ…にこっち!」

希「いってもうた…」

希「ウチがしっかりしないと…か」

~病院

絵里「ん…ここは……」

希「えりち!!」

ギュッ

絵里「の、希……」

希「そんな体で勝手にどっか行かないでや!ウチどんなに心配したか…!」

絵里「ご、ごめんなさい……」

絵里「っいてて……」

絵里「…あれ……?」

絵里「足が…動かない……」

希「………」

絵里「どうして…?」

絵里「どうして私の足は動かないの…?」

希「階段で滑り落ちた代償やって…」

希「頭から血も出てたし死んでもおかしくなかったんやってえりちは」

希「でもこうやって生きてはいられるけど…」

希「その代償に…」

絵里「足が動かなくなった…?」

希「………」コクコク

絵里「そんな……スクールアイドルはどうなるの?!」

希「………」

絵里「…出てって」

希「え……」

絵里「今は一人にさせて……」

希「う、うん……」

ガララ

絵里「………」

絵里「…動かない」

ポロッ

絵里「あんなッ…チョコ食べるんじゃなかった……ッ!!」

絵里「あんなのがあったせいで…!私の人生は崩れた……」

絵里「楽して希とくっつこうとしたから…!!」

絵里「動いてよ……」

絵里「動いてよ!!」

絵里「私の足動いて!!!!なんで動かないの!!!?」

絵里「私だってアイドルしたいのよ!ダンスだってしたいのに!!」

ポロポロ

絵里「凛にまで私の能力を取られて……」

絵里「私は根本的にダンスが出来なくなって…」

絵里「このチョコのせいでもう…何もかもがぁ…!!!」

絵里「イヤだよ…イヤだよぉ……」ポロポロ

絵里「なんでなのよ…こんな人生…イヤよ……」

絵里「夢ってそんなに辛いモノだったの…?夢を一つ叶えて代償にバレエを無くしただけなのに…」

絵里「私の人生まで奪われるの…??」

絵里「何が夢だ…!何が叶えるだ…!」

ポロポロ

絵里「もういや……」

絵里「いやあああああ!!!!」

ガララ!

希「えりち!!」

ダキッ

希「落ち着いてやえりち!!」

絵里「いやああああ!!!もういやああ!!!」ジタバタ

希「えりち!えりちってば!!!」

絵里「なんで!なんで?!?!」

希「えりち!!!」

パチーン!

絵里「っ…!」

希「しっかりしてよ!そんなんじゃウチまでおかしくなりそうになるやん!!」

希「ウチの知ってるえりちはもっと前向きでポンコツで可愛くて今ある状況で頑張ろうとするんよ!!」

希「今のえりちはえりちやない!!ずっと狂ったように泣き叫ぶえりちなんて大嫌いや!!!」

絵里「っ!!!」

絵里「……ごめんなさい、希…私がどうかしてたわ」

希「うん…やっといつものえりちやね」

絵里(そっか、今ある状況で頑張る…か)

絵里(………なら)

絵里「……希、あのね私言わなきゃいけないがあるの」

絵里(まずはけじめをつけるべきよね)

希「ん?なに?」

絵里「…私が急にダンス出来なくなった理由はね、夢を叶えたからなの…」

希「夢…?」

絵里「好きな人と恋人になれるチョコを食べた…」

希「!!!」

希(にこっちや凛ちゃんがいってたやつや…)

絵里「食べて希の近くに行ったらね、希が私にものすごい甘えてくれた」

絵里「恋人とまでいってくれた」

絵里「でもやっぱりそれってチョコの魔法で希をただ弄んでるだけなんだって気が付いたの」


絵里「…だからごめん、私たち…別れましょう?」


絵里「最低なのは私、それで最低だからこそ希とは一緒にいれないの」

絵里「希みたいに優しくて思いやりがあって当事者のように思いを実感してくれたり…」

ポロポロ

絵里「そんな女神みたいな人…私には似合わないわ」

絵里「希は本当の希と向き合うべきなのよ…私が食べたチョコの魔法のせいで狂ったその気持ちにさよならするのよ」

絵里「…さよなら、希」

希「えりち……」

絵里「近づかないで!!」

希「!!!」ピクッ

絵里「もういいの…!希の気持ちを弄んだ罰なのよ…!この代償は…」

絵里「希はもっと…もっと素敵な人と恋人になって?」

ポロポロ

希「いやえり」

絵里「だから早く出てって!!!」

絵里「早く!出てってよ!!!」

希「っ……」

希「…うん、いくね」

ガララ

絵里「はぁ、もうどうすればいいか分からないわよ……」

絵里「私ってホントバカ…何がしたいの…」

絵里「……死のうかしら」

絵里「もう何もする気が起きないや…」

絵里「あんなチョコレート一つでここまで崩壊するなんて…」

絵里「バタフライ効果なんてよく言えたものね…」



にこ「希、ちょっときて」

希「……いや」

にこ「いいから来なさいって」

希「…歩けない」

にこ「絵里じゃないんだからそういうのやめなさいよね」

希「……なぁにこっち」

にこ「なに?」

希「未来が見えるならウチがこの後どうするか分かるん?」

にこ「まぁ大体は」

希「その未来…ウチ死んでない?」

にこ「さぁ…知らないわ」

希「未来が見えるなら教えてくれてもええやん…」

にこ「ねぇ凛や絵里もチョコ食べたことは知ってるでしょ?」

希「…もちろん」

にこ「何もノーリスクで夢を叶えてるわけじゃないのよ」

希「どういうこと…?」

にこ「自分の何かを犠牲にして夢を叶えてるってこと、凛も絵里も」

にこ「そして私もね」

にこ「更に言えばその夢は自分の何かと見合ったものでしか取引出来ないから恋人を作るっていうのは結構大きかったと思うわよ、犠牲が」

希「!」

にこ「気付いた?絵里、自分の大切な取柄を犠牲にしてまで希を選んだのよ」

にこ「気持ちを整理してもう一回向き合うことをオススメするわ」

にこ「何かを犠牲にしてまで叶えた夢、再度希が叶えてやりなさいよ」

にこ「今度は、犠牲がない夢で」

希「ちょっと待って!」

希「にこっちは…にこっちは何を犠牲にしたん…?」

にこ「……さぁね」

にこ「でも気にしなくていいわよ、絵里みたいにあんな生殺しするような代償じゃないから」

希「そ、それって…」

にこ「…想像にお任せするわ」

にこ「じゃあね、私はもういくわ」

にこ「絵里、頼んだわよ」

スタスタスタ

希「………」



ガララ

絵里「!」ピクッ

希「…やっほーえりち」

絵里「…なに?」

希「ちょっと忘れ物しちゃって…」

絵里「そう…取り終わったら早く出てって」

ダキッ

絵里「!!!」

希「ウチはえりちにさよならなんてしないよ、ウチの気持ちは偽物でもないし魔法で狂った気持ちでもない」

希「本当の気持ちなんよ」

希「ウチはずっと前からえりちのことが大好き」

絵里「そんな…その優しさが魔法のせいなのよ…!」

希「ううん、違うよ」

希「ウチねヘタレだったからいつまでもえりちに好きって言えなかった」

希「だからね!正直えりちのかけてくれた魔法には感謝してるんよ」

希「でもやっぱり言わされた感があったからもう一回」

希「えりち、大好きだよ」

ポロポロ

絵里「信じて…いいの?」

希「うん、信じて」

絵里「バカみたい…なんで私希のこと信じなかったのかしら…」

絵里「誰かにとられるんじゃないかってずっと焦ってた…」

希「ウチもそうやった、穂乃果ちゃんとかにこっちにとられたらどうしようってずっと思ってた」

絵里「…バカね、私たち」

希「うん…大馬鹿やん」

希「それでね、今の話聞いて決めたんよ」

絵里「え?」

希「これ」

絵里「…チョコ?」

希「えりちの足が治る代わりにウチの記憶からえりちが消えるチョコ」

絵里「え?!ちょっダメに決まってるじゃないそんな危険なチョコ!」

希「凛ちゃんに場所教えてもらったんだ、そこでこういうチョコを作ってもらった」

希「代償を作るにはこのくらいじゃないと成立しなかったんよ…」

希「一生治らない足を治すための代償はこのくらいじゃないと…」

絵里「ダメよ!そんなの食べちゃダメ!」

希「…ウチはまたえりちと一緒に歩きたい」

絵里「私の足なんていいから!自分を大事にして!」

希「えりち……」

希「きっとえりちを忘れたウチでもえりちを好きになる、だからその時また…」

パクッ

絵里「―――――!!!」

~~~

にこ「それであんた…」

希「…?」

にこ「はぁ……」

にこ「全然犠牲を防げてないじゃない…」

にこ「ねぇ希」

希「なに?」

にこ「私は誰?」

希「にこっちやん」

にこ「この人、誰だかわかる?」

絵里「………」

希「………」

希「…ごめん、分からない」

クラッ

にこ「おっとと…気持ちは分からなくもないけどしっかりしなさい…」

絵里「え、ええ…」

絵里「こんにちは、初めまして…になるかな、あなたには」

希「?」

にこ「あんまり無理しなくいいわよ?」

絵里「いえ、いいの」

絵里「すーはー……」


絵里「私は絢瀬絵里、あなたの恋人よ」


希「え…」

にこ「希は絵里の治らないはずの足を希が絵里を忘れることで絵里の足を治したのよ」

にこ「………!」

絵里「にこ?」

にこ「……ふっ」

にこ「絵里、私トイレに行ってくるわ」

絵里「え、ええ…」

ガララ

絵里「………」

希「………」

絵里(気まずいわね…)

希(気まずいなぁ…)

絵里「あ、え、えっと希言ってくれたのよ」

希「?」

絵里「えりちを忘れたウチでもウチはえりちを好きになるって…」

希「……それで?」

絵里「…!そ、そうよね…!ご、ごめんなさい…」

絵里「………」ウルッ

希(あちゃー…つい本音が…)

希(もしホントにウチの恋人だったら酷いことしてるなぁ…ウチ)

ギューッ!

希「!」

絵里「希が私を知らなくても私は希の事、ちゃんと覚えてる」

絵里「どんな希でも大好きのままだから!!」

絵里(…払った代償は取り戻せない、だからまた組み上げるしかないのよ)

絵里(だからまたやり直す、1から…)

絵里(元々あんなチョコに頼ったのがいけなかったのよ、一度組み上げた関係だったけど崩して後悔はない、希にも素っ気ない感じで振り払われたけど)

絵里(チョコを食べたことは後悔してるけどね)

希「…うん」

希(暖かいなぁ…ウチに対する熱さかな…)

ガララ

穂乃果「おー!希ちゃーん!」

絵里「!」

パッ

絵里(危ない…抱き着いてるところなんて見せられないわ…)

ことり「お見舞いにきたよ♪」

真姫「元気にしてる?」

希「う、うん!元気!」

凛「絵里ちゃん泣いてなかった~?」

海未「ふっ流石にそれはないですよ、絵里を何だと思ってるんですか」



希「ウチの恋人だよ」



絵里「!!」

にこ「ふふっ…」

にこ(この先の未来も…大丈夫そうね)

希「そうでしょ、えりち」

絵里「え、ええ…」

希「だって、ウチの恋人だよ」

「………」

にこ(みんな呆気にとられてるわね…)

にこ「あ、そうそう!みんな用事があってきたんでしょ?」

穂乃果「……あ、うん!はい、これチョコレート!」

希「チョコレート?あ、今日って…」

絵里「…!」

穂乃果「バレンタインだよ!」

絵里「!!!」ゾクッ

凛「はい!どうぞ!」

希「このマイクは?」

凛「叶えたい願いをどうぞ言って!」

絵里「!?」ゾクゾクッ

ことり「今度ちゃんとしたバレンタイン会やろうね♪」

凛「うんうん!」

絵里「ちっ…ちょ…チョコは…」

にこ「絵里?」




絵里「チョコはもう認められないわよぉ!!!」


その日以来えりちはチョコを食べなくなったとかなんだとか

払って消えたモノをまたコツコツと積み上げていつか取り戻せますように…

…うん、ハッピーエンドやね?



HAPPY END(はあと

~~~

理事長「夢が叶うチョコレート、チョコが好きで欲望に忠実なら食べない他ないですよね」

理事長「ですが何かを得るには何かを犠牲にするしかないのです」

理事長「犠牲したものと得たものに互換性がなくても感じる気持ちは必ず“後悔”なんだと思います」

理事長「そんでもって私はノーリスクで夢が叶うお酒が欲しいな~」チラチラッ

【夢が叶うお酒】

理事長「あ、ホントにあるじゃない!」

理事長「えーっと…ことりともっと仲良く出来ますように!!!」ゴクゴクッ

シーン…

理事長「…あれ?」

ことり「お母さん!」

理事長「あらことりどうしたの?」

ことり「お母さんと私はもう仲良しでしょ!これ以上あがらないくらいに!」

理事長「!」

理事長「そうよね!私が間違ってたわことりいいい!!」

ことり「おかあさあああん!!!」

ギューッ

~理事長室前

希「…叶ってるやん、その夢」

二つ目終わりです、最後の(はあとってやつはこのPCが環境依存のハートしかないので仕方なくこれにしました
三つ目の時もよろしくお願いします

~~~~~

理事長「世界は何が起こるかわかりません」

理事長「宝くじで大当たりが出ても今すぐ何かしらの原因があって死んでしまっても人生で勝ち組になれる転機が来ても」

理事長「それは“不思議”とは呼べません」

理事長「そう、それは例え魔法が使えても…」

理事長「ですがこんなこと考えていて少し思いませんか?」

理事長「宝くじなんて当たるわけない、俺はずっと家にいるから事故死はまずない、そんな漫画やアニメみたいなこと起こるわけない」

理事長「魔法なんて絶対に使えない」

理事長「当たり前ですよね?だから人々はこういう目で見るんです」

理事長「“普通”じゃない…と」

~~~

穂乃果「うわ~!ショッピングモール大きいね!」

希「あれ?ここに来るのは初めてなん?」

穂乃果「うん!ずっと来たいな~って思ってたんだけどなかなかチャンスがなかったんだよ」

希「そうやったんやね、ここは見ての通りすっごく広いから一回では回りきれないくらいなんや」

穂乃果「ええ?!じゃあ今日一日では回りきれないってこと?!」

真姫「こんな時間からなら目的の売り場とちょっと覗くくらいしかできないわよ」

ことり「へぇ…そんなに広いんだね」

穂乃果「あれ…ことりちゃんもここに来るの初めて?」

ことり「うん!穂乃果ちゃんと同じ、初めてだよ」

穂乃果「そうだったんだ!初めてってわくわくするよね!」

ことり「うんうん!どのお店も可愛くて目移りしちゃう!」

絵里「凛と花陽も離れずついてくるのよ!」

凛「あっ!あそこの服、かよちんに似合いそうにゃー!」

花陽「待って凛ちゃん!はぐれちゃうよー!!」

希「引率するのは大変そうやね…えりち」

絵里「ええ…はぐれなきゃいいんだけど…」

真姫「とりあえずレイングッズ売り場に向かえばいいの?」

ことり「うん!多分それでいいと思うよ、真姫ちゃんは何回かきたことあるの?」

真姫「ええ、ママの買い物の付き添いでね」

穂乃果「うわぁ…!外国のお菓子だって!詰め放題なの?」

穂乃果「ねぇ、ピンクのグミ売ってるー!」

穂乃果「あ、あそこのお店も可愛いー!!」

海未「穂乃果…はしゃぎすぎです」

穂乃果「だってぇ…どのお店も可愛いしおいしそうだし…気になっちゃうんだもん!!」

凛「見てみて!かよちん!」

花陽「こっ、これは!!超高級炊飯器!!!」

花陽「釜戸で炊くご飯を完全再現したという幻の…」

「動くな!!!」

凛「!!!」ピクッ

花陽「!!!」ピクッ

「そこガキ動くんじゃねぇぞ」

凛「…え、は、はい……」

花陽「だれかたすけ」

「うるせぇ!」

花陽「!!!」ピクッ

海未「!!」

海未(拳銃を持った強盗犯が…)

海未(いち…にい…さん…結構いますね…)

海未(!!穂乃果は!)チラッ

穂乃果「え…あ…え…?え……?」

海未「穂乃果!落ち着いてください!」ボソボソ

穂乃果「ど、どうしよう…凛ちゃんたちが人質に…」ウルウル

海未「…何か凛と花陽で話してますね」

穂乃果「え?何を?」

海未「わかりません…」

海未「!!!」

海未(こちらにサインを送ってきてる…?)

海未(…まさか逃げるとか言わないですよね?!)

海未(さん…?にい…?)

海未(カウントダウン…?)

海未(いち…)

ダッ

凛「いこっ!かよちん!そこの死角にいこ!」

花陽「うん!」

海未「!!ダメです!そっちは行き止まりです!!!」ダダダッ

穂乃果「あ、ちょっと海未ちゃん!!!」

「このっ!」

バァン!!

穂乃果「……?」

凛「……あれ?」

花陽「……え?」

海未「えっ……」

穂乃果「海未ちゃん…?」

「…?!なんだこいつ!」

バァン!!

海未「いたっ……」

希「なんやあれ?!銃弾貫通してるのに海未ちゃんピンピンしてる…?!」

「??!こ、こいつ化け物だ!!」

バァン!バァン!バァン!

海未「ってて……」

にこ「…なにこれフラッシュモブ?」

絵里「そうは言うけど胸のあたりから血…出てるわよ…?」

海未(なんですかこれ…もう何発かは私の体を貫通してるはずなのに…)

海未(動けてる…?)

海未(!!そうだ、ならとにかくこの強盗を止めないと!)

海未「すいません傘借ります!」

海未「はぁあああ!!」ダダッ

「このっ!このっ!来るな!!」

バァン!バァン!

海未「っ…効きません!」

ことり「え…なっ…え…?えぇ?!」

海未「めえええん!!!」

バコーン!!!



【化け物】

~次の日

希「海未ちゃん…昨日のなんなん…?」

真姫「念のため病院で見たけど心臓に穴があいてた、けど今のように生きてる」

真姫「…普通じゃ即死なのよ?」

真姫「……こんなこと言いたくないけど」

真姫「不死身としか……」

海未「不死身…?!」

穂乃果「し、心臓に穴があいてるって…」

海未「ですが私の体には何も穴があいてませんよ?!」

にこ「確かに銃弾が貫通したのよね?」

海未「しましたよ!でも痛いってだけで…」

絵里「痛いって……」

海未「…昨日警察にも言われました」

海未「君は何者だって…」

海未「……なんですかこれ!」

凛「海未ちゃん…不死身になっちゃったの…?」

海未「知りませんよ!なんでこんなことなったのか私でもわかりません…」

穂乃果「で、でもさ!こうやって生きてるんだからいいじゃん!それで!」

穂乃果「何も追及することはないよね?そうだよね??」

海未「………」

花陽「…私もそう思うかな、確かにおかしいけど追及することじゃないよね」

花陽「私もこの話は終わりにしたいな!」

にこ「まぁ私はどっちでもいいわ、知ったところでって感じだし」

絵里「ええそうね、私もどっちでもいいわ」

ことり「うん!私はもういいと思う!この話は終わりにしよう!」

凛「うん!」

真姫「はぁ…仕方ないわね、じゃあこの話はやめね」

希「う、うん……」

海未「みなさんすいません…」

穂乃果「いいの!いいの!さぁ練習いこうよ!」

凛「今日も練習いっくにゃー!」

海未(…ホントになんだったんでしょうあれ……)

~帰り道

穂乃果「クレープ屋に寄ろうよ!」

海未「またですか?!太りますよ?」

穂乃果「大丈夫!大丈夫!」

海未「何が大丈夫なんですか!」

ことり「で、でも私もクレープ食べたいな♪」

海未「ことりまで…!」

海未「はぁ…もうしかたな」

ガコーン!!!

穂乃果「…え?」

ことり「海未ちゃ…」

穂乃果「う…海未ちゃあああああん!!!!」

ことり「て、鉄骨って…ここ工事してないよ?!?!」

穂乃果「それどころじゃないでしょ!!!下敷きになってるんだよ早くどかさなきゃ!!」

ことり「う、うん!」

ズリズリ

海未「うっ…いったぁ…」

穂乃果「うみ、え…?」

ことり「海未ちゃん…?」

海未「…あれ?私生きてる…?」

穂乃果「………」

ことり「………」

海未「………」

穂乃果「血まみれだけど大丈夫…?」

海未「ええ…特に何も…」

穂乃果「…ホントに大丈夫?」

海未「え、ええ…」

ザワザワ

海未「…どうします?これから」

ことり「………」

穂乃果「今日は…帰ろっか、クレープなんて食べたくないや…」

海未「…わかりました」

海未(確かに私は下敷きになったはずなのに…)

スタスタスタ

海未(何も無かったかのように動けてる…)

海未「………」

~次の日

穂乃果「…っ海未ちゃんおはよう!」

海未「…?」

海未「お、おはようございます」

穂乃果「いこっか!ことりちゃん!海未ちゃん!」

海未「え、ええ…」

ことり「昨日大丈夫だった?」ボソボソ

海未「あの後ですか?」ボソボソ

ことり「そうそう…」

海未「特には…でもやっぱりおかしいです…」

海未「私は明らかに鉄骨の下敷きになったはずなのに…ピンピンしてました」

海未「私…どうなってしまったんでしょうか…?」

ことり「うーん…私にはよく…」

海未「はぁ……」

ことり「大丈夫?」

海未「容態的には大丈夫ですが精神的には大丈夫じゃないかもしれません…」



海未(私が不死身だとしたら私はどうなるんでしょう…)

海未(人体実験に…いややめましょう、そんなこと考えたくありません…)

先生「じゃあ園田さんここ読んでー」

海未(みんなに気をつかわせて申し訳ないですね……)

先生「園田さーん?」

海未(もう何もないといいんですが……)

先生「園田さん!!」

海未「は、はい!!」ピクッ

先生「考え事ですか?今は授業に集中してください」

海未「は、はい…すいません…」

穂乃果「………」

ことり「………」

~昼

海未「……??」

ことり「どうしたの海未ちゃん?」

海未「実は今日寝坊してしまって朝ごはん食べてないのですが…」

ことり「ええ?!大丈夫なの?」

海未「ええ…それがまったくお腹がすかなくて…」

海未「今も全然すいてなくて…あんまりお昼ご飯食べる気にならなくて…」

ことり「…やっぱりそれもそのー…不死身…みたいなのに関係してるのかな…?」

海未「あまりよく…」

穂乃果「海未ちゃーん!ことりちゃーん!どうしたのー?」

海未「いえなんでもありません、お昼ご飯食べましょうか」

穂乃果「うん!!」

グゥ~

海未「あれ…?」

ことり「お腹すいたの?」

海未「いえまったく……」

海未「もしかして感覚麻痺…?」

ことり「大丈夫…?」

海未「もしかして今までの全ての痛みも緩和されてるだけ…?」

海未(…いやでもそれだけなら私はもう死んでるはずです…)

真姫『念のため病院で見たけど心臓に穴があいてた、けど今のように生きてる』

海未(穴があいてて私はピンピンしてるなんておかしい…)

海未「とりあえず食べますね」

ことり「うん…」

真姫「あ、いたわ!海未!」

海未「真姫、どうしたんですか?」

真姫「ちょっと来て」

海未「はい、今行きます」

真姫「今度もう一度病院来てくれない?念のためよ」

海未「え、ええ…わかりました」

真姫「…ねぇ昨日鉄骨の下敷きになったのに何事も無かったかのように起き上がって鉄骨どかしてどこかへ行った女子高生がいたって聞いたけど…」

真姫「…やっぱり海未なの?」

海未「…ええ、その通りですね」

海未「痛いってだけで特に何もありませんでした…」

真姫「…やっぱり調べてみる必要あるんじゃない?」

真姫「別に海未が嫌ならやらないけど…」

海未「…ちょっと考えてみます」

海未「あ、それはそうとその話をどこできいたんですか?」

真姫「その話って海未が鉄骨の下敷きになったってやつかしら?」

海未「そうです」

真姫「…ちょっと辛い思いするかもしれないけどいい?」

海未「辛い思い…?よくわかりませんがわかりました、どうぞ」

真姫「これよ」

海未「ん…?」

真姫「これはツイッターっていうアプリなんだけど」

真姫「…ここ」

海未「……鉄骨に下敷きになってもぴんぴんしてる女子高生現る…これなんていうんですか?wがいっぱいありますけど…」

真姫「w一つでわら、っていうのよ、まぁ簡単にいえば笑ってることを示すネットスラングね」

海未「そうですか…」

真姫「まぁその貼られてるサイト見てみると分かるけど…」

海未「!!!」

海未「…なんですかこれ」

真姫「…そのサイトで言われてる内容をまとめると“気持ち悪い”って言われてるのよ」

海未「………」

真姫「…あまり自分自身が不死身だってことは言わないほうがいいと思うわ」

真姫「世間じゃこんな目で見られるから…」

海未「…わかりました、ありがとうございます」

スタスタスタ

真姫「あ、海未!」

海未「なんでしょう…」

真姫「私たちは別にそんな目では見てないから!」

海未「…ええ、分かってます」ニコッ

真姫「心配ね…大丈夫かしら…」

~帰り道

海未「はぁ……」

ことり「た、大変だね…」

海未「なんでこう…不死身とかわけのわからないものが…」

ことり「まだ決まったわけじゃないし…」

ことり(もう決まったようなものだけど…)

穂乃果「…大丈夫だよきっと!」

穂乃果「海未ちゃんは普通にしてれば大丈夫!」ギュッ

海未「え、ええそうですね…」

ことり「あ、信号青だよ」

海未「あ、はい」

穂乃果「あ、ごめんごめん」

海未「…そうですよね!」ニコッ

海未「ふつうにし」

グシャア!!!

穂乃果「ひっ……」ゾクッ

ことり「うっぷ……」

穂乃果「海未ちゃん!大丈夫?!」

海未「ええ…特には…」

穂乃果「はぁ……」

ことり「血がすごいけどホントに大丈夫…?」

海未「ええ……」

穂乃果「………」



ことり「帰ったらシャワー浴びるの?」

海未「血を落とさないといけませんからね…」

ことり「親の人には何か言われないの?」

海未「見つからないように入りますよ」

ことり「あはは……」

穂乃果「………」

ことり「…私たちなんて会話してるんだろ」

海未「普通ではないですよね…」

穂乃果「………」

海未「…どうしました?穂乃果?」

穂乃果「おかしいよ…やっぱりおかしいよ…」

穂乃果「銃弾が貫通しても…鉄骨の下敷きになっても…車に轢かれてもこんな何事もないように話してる…」

穂乃果「そんなのおかしいよ…!!」

穂乃果「海未ちゃんがこういう死ぬような出来事に巻き込まれた後に生きてる海未ちゃん見てると頭がおかしくなりそうになるの…!」

ことり「…!」

穂乃果「海未ちゃんが生きてることはすごく嬉しい、でもなんか違うの…!」

穂乃果「なんか違うの!!!」

穂乃果「海未ちゃんが望んでそんな変な力手に入れたわけじゃないのは知ってる…でもそう分かっていても思うんだよ…」


穂乃果「気持ち悪いって……!」


海未「っ……!」

ことり「ちょ、ちょっと穂乃果ちゃん…」

海未「し、仕方ないじゃないですか…!」

海未「なら私にどうしろっていうんですか!」

穂乃果「っ!!知らないよ!!」

ダダッ

ことり「あっ!穂乃果ちゃん!」

海未「もう…なんなんですかこれ…!!」

ことり「海未ちゃん……」

海未「ことりも気持ち悪いって思ってるんですか!」

ことり「まさか!そんなわけないよ!!」

ことり「海未ちゃんは海未ちゃんでしょ?!それとも今の海未ちゃんは違う誰かなの?!」

海未「違いますよ!!」

ことり「そうでしょ…?穂乃果ちゃん…きっと混乱してるんだよ…」

ことり「だって常識じゃ考えられないじゃん…普通なら死ぬはずの出来事で生きてるって…」

ことり「でも海未ちゃんの気持ちも分かるよ、だって急にこんな体になって穂乃果ちゃんにあんなこといわれてもどうすればいいのか私だってわからないもん…」

海未「………」

ことり「だから穂乃果ちゃんを責めないであげて…?」

海未「っわかりました…すいません、今日はここで別れましょう…」

海未「私あっちの道から行くので…」

ことり「う、うん……」

スタスタスタ

グシャア!!

ことり「!?!?!?」

海未「うはっ……」

海未「はぁ…なんなんですかこれ…」

「やべぇ…化け物だ…」

ことり「海未ちゃん……」



ガブッ

海未「いたっ……」

「き、君大丈夫か?!」

海未「え?この蛇ですか?」

「そ、そいつは猛毒の蛇だよ!早く離れて!」

海未「猛毒…?全然何も感じないんですが…」

「?!?!君噛まれたのか?!」

海未「え、ええ…」

海未「とりあえず…はい、どうぞ」

「あ、どうも…」

海未「私もう行きますね…」

「君!ホントに噛まれたのか?!病院に…ってなんでそんなぴんぴんしてるんだ…」

海未「…大丈夫ですからお気になさらず」

「なんだあれ…不死身か何かか…」

海未「はぁ……」

『化け物だ…』

海未「化け物…か」

海未「やっぱり受け入れられないものなんですね…」

海未「…神社でお参りしていきますか」

~神社

パンッパンッ

海未「………」

海未(この謎の病が治りますように…)

海未「……はぁ」

海未「空が青いです…」

希「…おもいっきりオレンジ色なんやけど」

海未「希ですか…アルバイト中ですか?」

希「その通り!海未ちゃんはどうしてここに?」

海未「穂乃果に気持ち悪いって言われました…」

希「え…気持ち悪いって…」

海未「さっき車に轢かれました、見ての通り私の制服は血だらけですよ」

希「…なるほど、服の違和感はそれやね」

海未「でもこうやって何事もなく動けてることに対して気持ち悪いって言われましてね…喧嘩ですよ」

希「あらら……」

海未「はぁ…なんなんでしょうこの体…」

海未「もう不死身だって言われても否定できません…」

希「…普通じゃ考えられない出来事やもんね」

海未「どうしたらいいんでしょう…」

希「…死なないっていうのは案外憧れる存在なのかもしれないけど実際なると辛いもんなんやね」

海未「あまりいい気分ではありませんね」

海未「はぁ…ごめんなさい帰りますね、勉強とかもあるので」

海未「…それに外にいると自分のおかしい体でついでに頭もおかしくなりそうなので…」

希「それは…」

海未「不死身って辛いですね…」

希「…とりあえず出口まで送ってくよ」

海未「ええ」

海未「………」

希「………」

希「あんまり無理しないでな?」

海未「分かってますよ」

希「さて、もう出口やね」

海未「そうですね、またお話しましょう」

希「もちろんや!」

海未「それでは」

ズコッ

海未「うぇ……」

ゴタゴタゴタゴタッ

希「ちょっ海未ちゃん!!」

海未「いたた……」

希「…それ平気なん?」

海未「特には…」

希「……この高さの階段から滑り落ちてピンピンしてるなんて」

海未「…やっぱり変ですよね、分かってます」

希「…海未ちゃん、ウチその不死身の原因調べるよ」

海未「え……」

希「海未ちゃんも分からないままなのは辛いでしょ?」

希「ウチ我慢できんよ、こんな悩み抱えてるのに何にもできないなんて」

希「答えは出なくても出来ることはしたい」

海未「…すいません、ホントに……」ポロッ

希「別にいいんよ、海未ちゃんは普段通り生活してればいいんや」

海未「はい…ここは素直に任せます…頑張ってください…」

希「任しとき!」

~家

海未「………」

穂乃果『気持ち悪いって……!』

海未「…今家には誰もいませんでしたね」

海未「試して…みますか」

海未「包丁ってどこにありましたっけ……」

海未「えっと…あ、ありました」

海未「希には悪いですが死ねるならここで死にたいです…」

海未「世間からは化け物といわれ…穂乃果に気持ち悪いとまで言われて…」

海未「とても普段通りにできるわけがないでしょう…!」

海未「すー…はー…」

ドスッ!

海未「ぷはっ!!」

海未「おえぇ……かはっ…!」

海未「はぁ…はぁ…はぁ…」

海未「やっぱり生きてるのですか……」

海未「やっぱり私は……」

海未(不死身なのでしょうか…?)

海未「はっ!いけません、帰ってくる前に早く片付けないと…」

海未「…包丁は買い直しときましょう」

~次の日

穂乃果「………」

海未「………」

ことり「………」

ことり(気まずい…)

海未「…すいません、私先にいきますね」

海未「なんとか穂乃果を抑えてあげてください」ボソッ

ことり「!!」

ことり「うん、わかったよ」ボソッ



海未(不死身の人は自分で自分を殺せば死ねるというのをどこかで聞いたことあります…)

海未(ですが自分から死ねないのならば…)

先生「園田さんここ読んでー」

海未(…胴体切断とかどうでしょうか)

海未(ってなんで私はどうやったら死ねるかなんて考えてるのでしょう…)

先生「またですか…園田さん?」

海未(正直生きるのが辛いです……)

海未(私は普通に生きたいだけなのに…どうしてこんなことに…)

先生「園田さん!!」

海未「は、はい!」ピクッ

先生「授業に集中してください!!」

海未「す、すいません…」

穂乃果「………」

ことり「海未ちゃん…」

~昼

希「海未ちゃん、ちょっといい?」

海未「はい、分かりました」

海未「すいませんことり、穂乃果をよろしくお願いします」

ことり「うん!任されたよ!」

海未「ではいきましょう」

希「うん!」

海未「それで用件は…」

希「その不死身の件だよ」

海未「!!!」

海未「何か分かったのですか?」

希「過去に海未ちゃんみたいな人がいないか調べてみたんよ、そしたら二人、同じような人がいた」

海未「!」

希「一人目は十年前にロシアに住むごく普通の少女」

希「二人目は七年前、アメリカでも有名なモデル」

希「ちなみにその二人は今も何しても死なないんだって」

海未「………」

希「それでね、やっぱりそういうのが起きて何もしないわけないやん?」

希「ちょっとした調査があったんよ、まぁ大体の内容は話すと長くなるから割愛するけど」

希「まぁ結論から言うと」


希「近くにいる人間の死を庇うから不死身なんやって」


海未「え…?どういうことですか?」

希「運命的な何かが働いて近くにいる人間の死が海未ちゃんにふってくるんやって、だからそれを庇うために不死身になってるんやと結論が出てる」

海未「え…それはつまり…私が今まで死ぬような出来事に遭遇したのは…」

希「誰かの死を庇ったから…ということになるね」

海未「確かによく考えれば事故が多すぎます……」

海未「…これは病気なのですか?」

希「何とも言えないんよ、発症したならば何が原因かわからないし…」

希「……それでさこっからはちょっと辛い話になるけどいい?」

海未「ええ、覚悟してます」

希「さっきいった二人の人は今も生きてて今も誰かの死を庇い続けてるんよ…」

海未「!!!」

希「…気付いた?もしかしたら海未ちゃんも……」

海未「そういうことですか…」

希「後で海未ちゃんも見てみるといいかもしれへんね…」

希「インターネットでMONSTERって検索すると出るよ」

海未「!!!」

海未「化け物…ですか」

希「…うん」

海未「やっぱり…その人たちもそういう目で見られているんですか?」

希「賛否両論って感じやね…」

海未「そうですか……」

海未「これからどうしたらいいと思いますか…?」

希「…ウチからなんも言えない」

希「海未ちゃんが取りたい行動をとればいいと思う」

希「それにウチは何も言わない」

海未「そうですか…」

希「ウチね思うんよ」

希「不死身だからこそ出来ることがあるって」

海未「不死身だからこそ出来ること…?」

希「でもウチは不死身じゃないからよくわからない、もし気になるなら海未ちゃん自身で見つけるんや」

海未「…わかりました、ありがとうございました」

希「また困ったことあったらいってな?」

海未「はい!」

真姫「あ、いたわ!」

海未「真姫ですか、どうかしました?」

真姫「今日空いてるかしら?」

海未「空いてますよ」

真姫「病院に行きましょう、再検査するの」

海未「分かりました」

希「いってらっしゃい海未ちゃん」

海未「ええ行ってきますね」

真姫「二人で何か話してたの?」

海未「ええそんなところです」

真姫「ふーん…」

キーンコーンカーンコーン

希「ありゃ…海未ちゃんお昼食べた?」

海未「いえ食べてませんよ」

希「大丈夫?食べてなくて」

海未「大丈夫ですよ、不死身のせいなのか空腹を感じなくなってるみたいですし」

希「それは…便利なんかな…?」

海未「微妙なラインですね」

真姫「何?やっぱり海未は不死身なの?」

海未「ええそのようです」

海未「近くにいる人間の死を庇うために不死身になってると聞きました」

真姫「え?なにそれ…いみわかんないんだけど…」

希「えっとね―――」

~病院

真姫「……不死身って本当なのね」

海未「ええ」

真姫「心臓にあった穴がなくなってるし…」

真姫「はぁ…希から聞いた時は驚いたけどすごい人に選ばれたわね…」

海未「できればこんな役目選ばれたくなかったですよ…」

真姫「まぁ…そうよね」

真姫「近くの公園に行きましょう?なんかここじゃ落ち着かないわ」

海未「分かりました」



真姫「はい、コーヒーにしちゃったけどよかった?」

海未「ええ…ってこれ…」

真姫「ブラックコーヒーよ?」

海未「うぅ…苦いです……」

真姫「そう?変に甘いよりこっちの方がおいしいと思うんだけど」

海未「不死身でも理解できない味覚ですね…」

真姫「それは光栄ね」

海未「別に褒めてませんよ…」

海未「はぁ……苦い…」

真姫「まぁいいじゃない、死を引き寄せる不死身でもまだ楽しく暮らせるんだから」

海未「ポジティブに、考えればそうですね」

真姫「どうせ死ねないんだったら人生満喫するのが乙なものでしょ」

海未「まぁ…そうですよね」

海未「…私思うんですよ」

真姫「何を?」

海未「この不死身のチカラで人の命を故意に救えないかって」

真姫「本気…?」

海未「どうせ死ねないんですから死ねないってことを活かせば常人じゃ出来ないようなことも出来ると思うんですよ」


海未「不死身だからこそ出来ること…です」


真姫「……もし海未がそうしたいならそうすればいいと思うわ」

真姫「でも病人をそのチカラで救うのは間違ってる」

真姫「世界のバランスが崩壊しかねないわ」

海未「分かってます、助けるのはあくまでも事故死や殺人です」

真姫「そう…わかってるならいいけど…」

海未「そういえば気付いてますか?」

真姫「多分…」

海未「さっきからこの前の通り、人がよく通ってますよね、しかも走ってる人がほとんど」

真姫「消防車も通ってた、ってことは一つしかないわよね」

海未「火事…ですね」

真姫「まさか行くの?」

海未「ちょっと行ってみようかと思います、もし助けられる人がいるなら助けたいですから!」

真姫「はぁ…仕方ないわね、私もついていくわ、現地まで」

海未「ええお願いします!」

海未「ではいきましょう!」

真姫「了解よ!」

ダダッ

~~~

真姫「やっぱり火事ね…」

「子供がまだ取り残されています!」

「だけどこの火だと…」

真姫「…通行止め張られてるけど行くの?」

海未「ええもちろん!」

海未「必ず帰ってきます!」

真姫「ええ…」

「あ!ちょっと君!」

海未(見つけましたよ!不死身だからこそ出来ること!)

海未(この煙をいくら吸っても大丈夫!この火にいくらあたっても大丈夫!)

海未(不死身な私にしか出来ないことです!)

海未「あ、君ですね」

海未「よいしょ…」

海未「今外まで届けます」チラッ

海未(?!?!)

海未(まだ人いるじゃないですか!でもこっちの方は大人ですし…)

海未「…っこの子届けたら迎えにいきます!」

ダッ

真姫「あ、きた」

「おーい!人がでてきたぞー!」

海未「すいません、この子をお願いします」

海未「では」

ダダッ

真姫「ってちょっと!どこいくのよ!なんでまた炎の中にいくのよ!」

海未「まだ人がいるんです!!」

海未(私で運べるでしょうか……)

海未(私は不死身ですけど相手の方は違いますし…)

海未「待っててください、今運びますからね」



真姫「遅い……」

真姫「はぁ…なにやってんのよ海未…」

ドカーン!!!!!

真姫「!!」ピクッ

真姫「爆発…?!海未大丈夫かしら…」

カタ・・・

真姫「……何今の音」

ガタガタガタ

真姫「ちょ…これまさか…」

真姫「建物がくずれ」

ガッシャーン!

「建物が崩れた!大勢の人が下敷きになったから早くどかせ!」

真姫「っあ…あ……」

真姫(海未は…私は……)

真姫(目の前が真っ黒に……)

真姫(っおわりか…)

『終わりませんよ!』

~一か月後

ことり「ほらっ!早くいこ!」

凛「待って待って!」

希「ごーごーや!」

花陽「みんな早いよぉ~…」

絵里「そんなはしゃぐものじゃないでしょ!」

にこ「はいはい、とりあえず早く行くわよ」

真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいって…まだ後遺症残ってるんだから…」

穂乃果「………」

ダダッ

ことり「海未ちゃん!新曲できたよ!」

ことり「これが衣装だよ!」

ことり「すごく…可愛いと思わない?」

ことり「海未ちゃんのね…青とか…清楚…とかそういうの…イメージ……したんだ!」

ポロポロ

絵里「よく…最後までいえたわねことり…!」

凛「なんで…なんで死んじゃったの…?!」

花陽「これから…だったじゃないですか…!!」

にこ「今日で一ヶ月…か」

希「不死身…じゃなかったん…?」

真姫「……私まだ信じれない」

絵里「分かるわよ…海未を殺したくないのは…」

絵里「ちゃんと海未の死体まであったじゃない!心の中の海未はもうやめて!!」

真姫「違うのよ!!がれきの下敷きになって視界が暗んだ時声が聞こえたのよ!」

真姫「海未の声が!」

希「でも現に死んでるやん…」

ことり「そういう話はやめてよ…!また希望持ちたくなるでしょ…?!」

真姫「っ…!」

真姫「…なんで!なんで死んじゃったのよ!」

真姫「言ってたじゃない!不死身の私にしか出来ないことがあるって!」

真姫「不死身じゃなかったの?!」

ドンドンッ!

希「真姫ちゃん!墓を叩くのは罰当たりや!」

真姫「っ!!」

穂乃果「………」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「…私ね、悔しいの」

凛「悔しい?」

穂乃果「なんで海未ちゃんにあんなこといったんだろうって…ずっと後悔してた」

穂乃果「海未ちゃんが死んだって聞いて何かの冗談かと思った」

穂乃果「だって海未ちゃんは不死身だったもん、不死身なのにどうやって死ぬんだってずっと思ってた」

穂乃果「でもね…」

ポロポロ

穂乃果「あんな…黒く焼けた海未ちゃんの死体みたら…とても冗談なんていえなくなった…!」

穂乃果「海未ちゃんに謝れなかった…!最後の最後まで海未ちゃんにごめんねが言えなかった…」

穂乃果「…そんなバカな私が悔しいの!!!」

ことり「穂乃果ちゃあん…!」

穂乃果「うぅ…うああ…うわああああああああん!!」

穂乃果「海未ちゃんごべんなさいいいいいいいいい!!!」

凛「やめてよ…そんな泣いたら凛まで…!」

ポロポロ

花陽「うぅ…うわあああ…!」

ポロポロ

真姫「ふざけるんじゃないわよ…!」

ポロポロ

にこ「に…にっこにっこ…にぃ…」

希「にこっち無理しないでいいんよ?泣きたい時に泣いてええんよ?」

にこ「べ、別に…泣くつもりなんて…ないわよ!」

ポロポロ

絵里「どうして死んじゃったのよ…!」

ポロポロ

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「お願いだから…また一緒にダンスしようよ…」

穂乃果「一緒に笑おうよ…一緒にクレープ食べに行こうよ…」

穂乃果「お願いだから…お願いだから……」

穂乃果「直接…ごめんねを言わせてよぉ…」

「はい、分かりました」

穂乃果「?!?!?!」ピクッ

絵里「え…」

凛「今の声…」

海未「ぷはっ…やっと外に出れました…」

ことり「う、う…う…」

にこ「海未ぃ?!」

海未「言ったじゃないですか、私は不死身だって」

海未「話聞いてましたよ、穂乃果」

穂乃果「え…」

海未「また、一緒にダンスしましょう?笑いましょう?クレープ食べましょう?」

穂乃果「!!!!」パアアア

穂乃果「うん!!!」

穂乃果「あ、それと海未ちゃん…」

海未「はい、なんでしょう?」ニコニコ

穂乃果「ご、ごめんね!気持ち悪いなんていって…」

海未「大丈夫ですよ、気にしてません」

真姫「な、え…どうして…」

希「今までなにしてたん?!」

海未「地上に上がろうと頑張ってました、息が出来なくて何百回か死んでたと思います…」

真姫「えぇ…それは…」

海未「私は思いました」

ことり「…?」

海未「今までは化け物と差別されていましたがこのチカラを使えばみんなを救うことが出来ます!」

希「なるほど、近くの人の死を庇うことができるもんね…」

にこ「え…?それ大丈夫なの…?」

海未「全然大丈夫です!ちょっと痛いくらいですから!」

海未「現に真姫も救ってますし!」

真姫「そういえばあの事件、がれきに埋もれた人は結構いたけど死者は0人だったわね…」

絵里「なっ…え?!」

海未「ですので私がみんなの未来をお守りします!」

凛「未来って…そんなことできるの?!」

海未「はい!だから安心してください!急に死ぬなんてことはないと思うので!」

穂乃果「ぷっ…あははははは!」

穂乃果「うん!じゃあ私たちを守って海未ちゃん!」

希「うーんとは思ったけどいいんやない?μ’sの守護神海未ちゃんってことで」

ことり「守護神かぁ…今度はそういう曲にしてみる?」

真姫「協力するわよことり」

花陽「い、一時はどうなるかと思いましたけど…」

絵里「なんか大丈夫そうね」フフッ

凛「よーし!練習いっくにゃー!」

にこ「泣いて損したわ…」

希「めちゃくちゃ泣いてたもんなぁ?」ニヤニヤ

にこ「うるさい!」

海未「あぁ…なんで私死のうなんて思ったんでしょう…」

海未「普通じゃ助けられない誰かを守ることが出来るなんて…考えれば考えるほど」



海未「不死身って素晴らしいですね!!!」



END

~~~

理事長「怪物というのは基本的には受け入れられません」

理事長「気持ち悪い、怖い、危険などから誰も近づこうとはしません」

理事長「でも怪物だって輝けるのです」

理事長「嫌われ者にも光があるんです、希望があるんです」

理事長「しかし…怪物なんて私たちの近くにいませんよね?」

ことり「ばぁ!!」

理事長「ぴぃ?!ってことりじゃない…なにその恰好…」

ことり「肝試しで使ったカッパの衣装だよ♪」

理事長「…あ、いましたね!」

ことり「え、何が?」

理事長「ここにことりという超可愛い怪物が!」

ことり「もう!ことりは怪物ではありません!」プンプン

理事長「ああ…こんな可愛い子を産めてお母さんは幸せです…」

ことり「ことりもお母さんのところに産まれて幸せだよ♪」

理事長「ことりぃ!」

ことり「お母さん!」

ギューッ

三つ目終わりです
このストーリーは九つの中で三番目に長いストーリーだったので一日で終わらせられるか不安だったんですがなんとか終わらせることが出来ました
四つ目もよろしくお願いします

~~~

理事長「世界にはマザーコンプレックスというモノが存在します」

理事長「母親に対して強い愛着心を持つ人のことを言います」

理事長「私たちはこれを“マザコン”と略し呼びます」

理事長「私たちの世界では他にも色々出回ってますよね」

理事長「ロリータコンプレックス、ブラザーコンプレックス、ファザーコンプレックスなど他にも様々なモノがあります」

理事長「またこれを略しロリコン、ブラコン、ファザコンと世界各国の言葉は違えどそのモノというものは全て同じモノです」

理事長「一般的にこの〇〇コンというのはあまりいいイメージでは見られていないでしょう、ですがこれもれっきとした愛であることに違いはありません」

理事長「ですが考えてみてください、すべてがすべてちゃんとした愛だとは限りません」

理事長「重すぎる愛は反って歪みやすくなるでしょう」

理事長「相手に対して“好きすぎる”という感情を抱くのはもう既に手遅れかもしれません…」

~~~~~

穂乃果「ふぁー…やっと高校二年生かぁ…」

海未「留年しないでよかったですね」

穂乃果「ひどいよー!って言いたいところだけどホントそうなんだよねー…」

ことり「でもちゃんと二年生になれたんだし喜ぶべきじゃないかな?」

穂乃果「だよね!」

「お姉ちゃん!」

穂乃果「もー勉強って面白くないんだよねー…」

穂乃果「なんで勉強って必要なのー?お母さんみたいにお店の店員さんやる仕事は頭使わないよ?」

海未「そうだとしてもちゃんとやらなきゃいけないのですよ!!」

「お姉ちゃん!!」

ことり「そういえばあの出来ない出来ないって言ってた数学の問題どうだったの?」

穂乃果「あー海未ちゃんの半強制的マンツーマンで嫌というほど頭に叩き込まれてもうすっかり覚えちゃった…」

ことり「それは…よかったねというか大変というか…」

高校二年生になり少し経って新学期にも慣れてきた頃だった

「お姉ちゃん!!!」ギューッ

穂乃果「わぁ!!?」ピクッ

ことり「あ、雪穂……ちゃん?」

海未「雪穂…ではありませんよね…?」

穂乃果「誰…?」

凛「私は星空凛!でも本名は高坂凛!未来から来た穂乃果お姉ちゃんの妹にゃ!!」



【時空を超えたシスコン】

穂乃果「っえええええぇ?!?!?」

海未「はぁ?!穂乃果!そんなこと信じちゃいけないですよ?!」

ことり「え…え…えぇ?!」

凛「お姉ちゃん会いたかったよ~!」モギューッ

穂乃果「わぁ…」

ことり「み、未来から来たって…」

凛「凛はお姉ちゃんに会うためにきたんだよ!お姉ちゃんのことならなんでも知ってるもん!」

海未「なんですかこの子は…」

穂乃果「じゃあ凛ちゃん!」

凛「はい!」

穂乃果「問題だよっ!私のスリーサイズは?」

なんだかよくわからないからとりあえず問題を出してみる
それにしてもこの子は誰なのかなぁ…妹とか言われても私の妹は雪穂だし…
まさか本当に未来でまた私の妹が産まれるのかな…?

凛「今のお姉ちゃんはバスト78ウエスト58ヒップ82だね!」

海未「なっ……」

ことり「………」メモメモ

穂乃果「え…適当に言っただけなのにそうなの?」

凛「うん!なんなら今から測る?」

穂乃果「いやいいよ!」

穂乃果「じゃあ私の好きな食べ物は?」

凛「イチゴ!」

穂乃果「私の住んでる和菓子屋の名前は?」

凛「穂むら!」

穂乃果「私の趣味は?」

凛「シール集め!」

穂乃果「昨日私が食べたパンは?」

凛「ランチパック!中身はイチゴ!」

穂乃果「私が最近読んだ漫画の名前は?」

凛「Storm in Lover!」

穂乃果「…全部正解」

海未「え?!」

ことり「えぇ?!」

凛「だから言ったでしょ?凛はお姉ちゃんのことならなんでも知ってるって!」

穂乃果「…うん、確かにあの漫画は昨日読み終わってまだ雪穂にも見せてない」

まさかの全問正解
もしかして本当にこの子…

海未「…っですが!それだけでは何も証明なりません!第一未来から来たなんてそんな非科学的な…」

ことり「ならえーっと…凛ちゃんだっけ?」

凛「そうだよ!」

ことり「この後…うーんじゃあ三日後くらいの穂乃果ちゃんに起こる一番大きな出来事を教えて!」

凛「それは……」

穂乃果「…?」ドキドキ

凛「ここの高校が廃校になるのを阻止するためにスクールアイドルを始めること!!!

~二週間後、中庭

海未「まさか本当に廃校になるなんて…」

ことり「…凛ちゃんのいうこと、ホントになっちゃったね」

あれから二週間
この凛ちゃんの言う通り廃校のお知らせが来た

凛「ほぉら!お姉ちゃんこっちこっち!」

穂乃果「こらああ!私のパン返せえええええ!!!」

凛「なら捕まえてみてよー!」

穂乃果「まてまてー!!!」

海未「しかも穂乃果は凛を妹ととして見始めるようになってますし…」

ことり「更にはUTXで見かけたスクールアイドルに憧れてスクールアイドル始めちゃうし…」

海未「穂乃果が珍しく真剣だったので私たちも賛成しましたが…」

だから私は廃校を阻止する為にスクールアイドルを始めた

グループの名前はμ’s

グループ名を募集して、それできた名前の中で選んだ
なんだかこれにしろって誰かに言われたような気がしたからこれにした

穂乃果「つっかまえた!」ギュッ

凛「わぁ…捕まっちゃった…」

ことり「…一日中ベッタリだよね、あの二人」

海未「穂乃果は警戒心なさすぎです!」

ことり「でもちょっと探ってみるとあの凛って子、結構な有名人みたいなんだよね」

海未「えぇ…そうでしたね…」

ことり「秋葉一の美女!なんて言われてるみたいだし…」

凛「はい、あーん」

穂乃果「あーん!」ハムッ

穂乃果「う~ん!今日もパンがうまいっ!」

一年生徒「あ、あの凛さん!さ…サインください!」

凛「あ、うん!分かった!」カキカキ

一年生徒「あ、ありがとうございます!これからもアイドル頑張ってください!」

凛「うん!でも凛よりお姉ちゃんを応援してほしいな!」

一年生徒「は、はい!穂乃果先輩も頑張ってください!」

穂乃果「うん!頑張るよ!」

海未「…凛のおかげといってもいいでしょう、アイドルを初めてライブしたら人気爆発でまだ少ししか経ってないのにもうこの辺じゃ知らない人がいないくらいにまで……」

ことり「なんか私たち凛ちゃんの人気のおこぼれもらってるみたいだね…」

海未「まぁ廃校を阻止するって目的に関してはいい感じではあるんですけどね…」

穂乃果「わぁ!蜂だ!」

凛「にゃ!」

ペシッ!

穂乃果「ちょ…ちょっと凛ちゃん…そんな殺さなくても…」

凛「ダメだよ!お姉ちゃんが危なかったもん!」

穂乃果「…うん、じゃあそこは仕方ないとして…」

グリグリ

穂乃果「なんでまだ足で蜂の死体をグリグリしてるの…?」

凛「生きてたら刺されちゃうかもでしょ?」

凛「殺すなら殺すで完全に殺さないと…」

穂乃果「う、うん……」

キーンコーンカーンコーン

凛「あ、お昼終わっちゃったね…」

凛「また後で!授業終わったら来るね!」

穂乃果「う、うん!!」

海未「穂乃果、行きましょう」

ことり「いこっか」

穂乃果「はーい」

~放課後

凛「お姉ちゃん!!」

穂乃果「ごめん待たせちゃったね…」

凛「ううん!お姉ちゃんならなんでも許すよ!」

穂乃果「あはは…ありがとう!」

ことり「ごめんごめん授業が長引いちゃって…」

海未「お待たせしました、穂乃果、凛練習に行きましょう」

穂乃果「うん!」

凛「うん!」

真姫「…ほらいってきなって!」ボソボソ

花陽「う、うん…」

花陽「あの!私!小泉花陽といいます!」

花陽「「一年生で背も小さくて声も小さくて人見知りで…得意なものも何もないです…!」

花陽「でも…でもアイドルへの思いは誰にも負けないつもりです!」

花陽「だから……」

花陽「μ’sのメンバーにしてください!」

穂乃果「うん!喜んで!」

穂乃果「握手…しようか!」

花陽「は、はい!」

ギュッ

ことり「それで…後ろの子はどうする?」

真姫「え?私?」

海未「メンバーはまだまだ募集中ですよ!」

~次の日

穂乃果「…ん、朝…?」

凛「おはよっ!お姉ちゃん!」

穂乃果「わぁ!凛ちゃん?!」

凛「もう会いたくて来ちゃった!」

穂乃果「…てまだ六時じゃん!」

凛「早く起きて悪いことはないよお姉ちゃん!」

穂乃果「いや…うん…そうだけど…」

どうやって家に入ったんだろう…もちろんお母さんには言ってあるんだろうけど…

凛「お姉ちゃんが寝てる間部屋の片づけとかしといたよ!」

穂乃果「うわぁ…ホントだ綺麗になってる…」

凛「さっ!ご飯食べていこうよ!」

穂乃果「う、うん!」

凛「あ、お姉ちゃんの部屋にカバン忘れちゃった、先行ってて!」

穂乃果「はーい!」



凛「お待たせ!」

穂乃果「ちょ、ちょっと待ってて今食べてるから!」モグモグ

凛「うん!あ、ゆっくりでいいよ?」

穂乃果「うん!」

凛「お姉ちゃん!」スリスリ

穂乃果「どうしたの?凛ちゃん」ナデナデ

凛「にゃ~…」コロンコロン

穂乃果「ふふ、凛ちゃん猫みたいで可愛いね!」

凛「うん!お姉ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいにゃっ!」

雪穂「……なにその子」

穂乃果「あ、この子はみら」

凛「あ、どうも!穂乃果先輩のお世話になってる者です!」

雪穂「あ、はい…」

凛「妹さんですか?」

凛「まぁ知ってるけど…」ボソッ

雪穂「…?」

穂乃果「あ、うん!そうだよ!雪穂っていうんだ!」

凛「そっか!雪穂ちゃんよろしくね!」

雪穂「あ、よろしくお願いします」

穂乃果「あ、食べ終わったからいこうか凛ちゃん」

凛「はい!」



穂乃果「あんなに改まんなくてよかったよどうせ雪穂だし」

凛「ううん!挨拶くらいはちゃんとしないとね!」

穂乃果「凛ちゃんは偉いね~…私とは大違いだよ」

凛「っそんなことないよ!だってお姉ちゃんは凛のお姉ちゃんだもん!」

穂乃果「あはは…凛ちゃんのお姉ちゃんかぁ…」

穂乃果「なんかあんまり想像できないや…」

穂乃果「聞いたよ?頭ものすごいいいんでしょ?体力測定でもトップだったって!」

穂乃果「もし本当に凛ちゃんが私の妹なら私はいい妹を持ったなぁ…こんなに可愛くて!」ギューッ

凛「にゃっ…」

穂乃果「頭も良くて運動神経も良くて私の妹にはもったいないよ~」ナデナデ

凛「ううん!お姉ちゃんがお姉ちゃんだったから!」

凛「ずっと一緒だから頑張れたんだよ?一緒に勉強して…」

穂乃果「あはは…未来の私が頑張ってるなら凛ちゃんも大丈夫かな?」

凛「うん!それに今はお姉ちゃんがいるし!」ギューッ

穂乃果「わぁ…もう仕方ないなぁ…」

凛「あはっ!おんぶだ!」

穂乃果「このまま学校までいっくよー!」

もし凛ちゃんが本当に私の妹なら…って思うとなんか嬉しくなった
毎日家に一緒にいれたらどんなに楽しいだろう
私の妹とは思えないくらいの完璧っぷりはもう自慢の妹って言い張れるね!

穂乃果「そういえば凛ちゃんは私の妹なんでしょ?」

凛「うん!そうだよ!」

穂乃果「なんで過去にきたの?未来に私はいないの?」

凛「………」

穂乃果「凛ちゃん?」

凛「何歳…とは言わないけどお姉ちゃん死んじゃったんだ…」

凛「……凛とっても寂しくてね…お姉ちゃんがいないと独りぼっちだったんだ」

穂乃果「え……」

凛「だから過去に戻ってお姉ちゃんに会いに来た」

凛「凛がしっかりしてれば守れたのに…お姉ちゃん死んじゃって…」ポロポロ

穂乃果「ちょ、ちょっと凛ちゃん!」

穂乃果「大丈夫!私は死なないよ!」

ギューッ

穂乃果「一緒にいよ?絶対穂乃果は消えたりしないから…」

凛「うん…うん!!」パアアア

穂乃果「私が凛ちゃんを守るよ…」

凛「うん!」

~数日後

希「ほぉうら!にこっち!」

にこ「なによ…」

希「今日こそいうんやろ?」

にこ「別に……」

穂乃果「?」

希「あのー!すいません!」

希「μ’sでまだメンバー募集してるって聞いて入りたく申し込みにきました!」

希「えっとーウチは東條希!趣味は占い!一応ダンスは出来るつもり!」

希「ほら…にこっち…」ボソボソ

にこ「だから私は別に…」ボソボソ

希「もうじれったいなぁ…」

希「この子は矢澤にこ、一応アイドル研究部部長をしてるんよ?だからメンバーにすればぶし」

にこ「だあー!!私自身で言うわよ!」

にこ「私は矢澤にこ、アイドル研究部部長をしてるわ」

にこ「…正直言うと最初はあなたたちの事嫌いだったわ」

にこ「でも、練習してる姿みたら真面目なのが伝わったの、だからその…私も…」

にこ「μ’sにいれてください!」

希「ウチも!」

穂乃果「喜んで!」

ギュッ

凛「………」

あれから少し経ってメンバーが増えた
人数は多い方が盛り上がれるからいいよね!
廃校を阻止するのも大事だけど私は楽しくやりたいからダンスの腕なんて問わないのがモットー

~帰り

穂乃果「いやぁ人数も増えてにぎやかになったね!」

凛「うん!」

穂乃果「凛ちゃんのおかげだよ!ファーストライブは凛ちゃんがいてくれたから成功したしそれ以降も凛ちゃん大活躍だったもんね!」

凛「ううん、全部お姉ちゃんがしたこと、凛はそれのアシストをしただけだよ!」

穂乃果「もお~そこは素直に喜べ凛ちゃんよぉ~」ギュー

凛「にゃにゃにゃ!ならここは素直にありがとうお姉ちゃん!!」モッギュー

穂乃果「にゃ~!」

凛「にゃにゃ~!」

気付いたら凛ちゃんと親密な関係になってた
まだ凛ちゃんと出会ってから今に至るまでであんまり月日は経ってないはずだけど、それでもいつも一緒にいてくれるからことりちゃんや海未ちゃんと同じくらい仲良しになってた

次第に凛ちゃんを“本当”の妹として見るようになった

か弱い妹を守るのはお姉ちゃんとして当然でしょ?

~家

凛「えーっと…この問題がこうなるんだよお姉ちゃん」

穂乃果「へぇーどうしてそうなるの?」

凛「ここがー…こうなるでしょ?」

穂乃果「うんうん」

凛「そして次にここをこうすると…?」

穂乃果「あっ!なるほど!すごいね凛ちゃん!」

凛「えへへ~ありがと!」

穂乃果「凛ちゃんがいるとなんでも出来るな~…勉強もうまい具合に進むし…」

穂乃果「すごい妹持ったものだなぁ…」

凛「全部お姉ちゃんのおかげ!」

穂乃果「全部凛ちゃんのおかげだよ!」

凛「いやいやお姉ちゃんが!」

穂乃果「凛ちゃんが!」

凛「………」

穂乃果「………」

穂乃果「ぷっ…」

凛「っぷぷ…」

二人「あははははははは!!!」

穂乃果「もう本当に私たち姉妹だね…」

凛「だねっていうか本当に姉妹だってばー!」

穂乃果「あ、そうだったね!」

凛「ずっと一緒だよ?」

穂乃果「うん!私も凛ちゃんとずっと一緒にいたい!」

穂乃果「あ、もう八時だけど…家の方は大丈夫?」

凛「お姉ちゃんと離れたくない…」モギュッ

凛「お姉ちゃんは凛と離れたい…?」

穂乃果「そんな!ずっと一緒にいてほしいくらいだよ!」

凛「じゃあ今日泊まっていいかな…?お姉ちゃんがいないと正気保っていられそうにないんだ…」

穂乃果「も、もう仕方ないなぁ」ニヘー

穂乃果「よしよし」ナデナデ

凛「にゃー!」

ギュギュー

雪穂「…べったりねありゃあ」

~次の日

絵里「ねぇ!私もアイドル部入りたい!」

絵里「生徒会の仕事やっと終わってやっと好きなこと出来るようになったのよ!!」キラキラ

希「うわぁ…えりちがいつにもまして輝いてる…」

真姫「…生徒会長ってこんな人だったのね」

花陽「で、でも無駄に堅苦しいよりこっちの方が関わりやすくて私は好きかな…!」

穂乃果「はい!喜んで!」

ギュッ

凛「……~♪」

希「さて!えりちの入部も終わったところで練習いこうか!」

穂乃果「うん!そうだね!」

またメンバーが増えた
これで九人!
もっともっと盛り上がるね!

にこ「あんたついてけるの?」

絵里「こう見えても小さい頃はバレエやってたのよ?」

真姫「へぇ~バレエなんてやってたのね」

凛「お姉ちゃん!屋上まで競争しよう!」

穂乃果「お、絶対に負けないよ?」

穂乃果「海未ちゃんスタートの合図お願い!」

海未「え、ええ…」

海未「では…よーい…」

海未「どんっ!」

穂乃果「ほっ!」ダッ

凛「よっと」ピョーン

海未「?!?!?」

凛「ほっよっと、じゃーんぷ!」

穂乃果「え…ちょっ…」

私には考えられない跳躍力
ゲームみたいに壁を蹴ってまた別の壁を蹴って移動したりしてる

凛「いっちばーん!」

穂乃果「はぁ…はぁ…凛ちゃん何あれ…」

海未「ホントですよ!なんですかあれ!」

海未「階段を一回のジャンプで上り終えて虫みたいに壁にくっついたと思ったら勢いつけて跳躍して…」

凛「本気!」ニコッ

穂乃果「へぇー!すごいよ凛ちゃん!!!」

凛「今度お姉ちゃんにも教えてあげるね!」

穂乃果「うん!」

ことり「いないと思ったらもう先に行ってたんだね…」

凛「よーし!練習!」

穂乃果「いっくにゃー!!」

凛「いえい!」ハイタッチ

穂乃果「がんばろっ!」ハイタッチ

なんだか言葉は交わさずとも心だけで分かるようになった気がした

以心伝心

っていうんだっけ?
なんだか姉妹っていうのも分かる気がする

真姫「にしてもあの二人はホントに…姉妹みたいね」

ことり「…ホントかどうかは分からないけど凛ちゃんは妹なんだってね、未来の穂乃果ちゃんの」

花陽「ん?それはどういうことですか?」

ことり「凛ちゃんは未来から来たんだって、穂乃果ちゃんに会うためにって」

にこ「へぇー設定としては悪くないわね、でもそういうのは矛盾ができやすいからそういうのを徹底すればもっといいキャラ出せるかもしれないわ」

ことり「…設定、なのかなぁ?」

希「ふーん……未来から来た、か」

海未「………」

ことり「海未ちゃんどうしたの?」

海未「ことり…凛はまずいかもしれません…」

ことり「え?」

海未「未来から来た、ですか……」

~二週間後

穂乃果「ライブお疲れさまー!」

花陽「今回のライブは今までも比がないくらいの大成功でしたね!」

希「まさか講堂に人が入りきらないくらいになっちゃうとはなぁ…」

凛「でもでも!それだけ凛たちは有名ってことだよ!」

あれからまた更に月日が経った
放課後屋上で毎日練習して講堂でライブをした
結果はもちろん大成功、人が入りきらないほどにまで人気は上昇した

にこ「その通り!これからは行動にも気をつけなさいよ?この辺じゃもう有名人なんだから」

真姫「興味ないわね、普通にしてればいいのよ」

にこ「ぬぁんでよ!」

絵里「この調子でどんどん盛り上げていきましょう!」

ことり「う、うん!」

それで月日が経っていくごとに凛ちゃんとの関わりも増えるようになった
朝、起きたら部屋にいるなんて当たり前
昼、お昼ご飯を一緒に食べようって誘ってくるのは当たり前
夕方、宿題を一緒にしてくれるのも当たり前
夜、お話ししたりゲームしたりするのも当たり前

それはなんだか私にとって凛ちゃんはもう生活において必要不可欠になってしまったような気がした

海未「………」

凛「……?」

~帰り

凛「おーい!お姉ちゃーん!」

穂乃果「待ってー!今いくよー!」

海未「穂乃果!」

穂乃果「ん?」

海未「少しお話いいですか?」

穂乃果「うん!分かった!凛ちゃんちょっと待ってて!」

凛「はーい!」

穂乃果「それで話って?」

海未「凛についてです」

穂乃果「ん?凛ちゃんがどうしたの?」

海未「…感じませんか?」

穂乃果「何を?」

何かと問えば突然漂う緊張感を私は感じた

海未「結構前にどっちが先に屋上まで行けるか競争をしましたよね?」

穂乃果「あーうんあったね!」

海未「その時からです、凛から妙な殺気が出ているような感じがします…」

海未「それに何か裏があるような気がして」

穂乃果「…つまり海未ちゃんは凛ちゃんが敵って言いたいの?」

海未「え…いや…そういうわけじゃ…」

穂乃果「ならなんでそんなこというの?そういうこと言ってるってことは敵として見てるんだよね?」

穂乃果「凛ちゃんは違うよ絶対に違う、仲間だよ絶対仲間だよ」

穂乃果「それにあんな可愛い子に裏があるってどんなことするの?」

穂乃果「例え海未ちゃんでも凛ちゃんのこと悪く言うのは絶対に許さない」

穂乃果「…私いくね?凛ちゃん待ってるから」ニコッ

海未「!!」

なんでだろう…なんかとにかく凛ちゃんを貶してるように見えた
そう見えたら私は自然と親友の海未ちゃんを突き放してた

凛ちゃんを貶すなんて許さない

知らぬ間に私にはそういう考えが出来てしまった

だって普通に考えて凛ちゃんが悪いなんてありえないよね?
凛ちゃんだよ?凛ちゃんに裏があるなんてそんなわけないよね?

凛ちゃんだもん

穂乃果「お待たせ凛ちゃん!」

凛「大丈夫?海未ちゃんものすごい深刻そうな顔してるけど…」

穂乃果「大丈夫大丈夫!さぁいこ!」

凛「うん!」

そして今日も帰って勉強してそれからゲームしたりする
凛ちゃんがいてくれるからどんなときもずっと楽しかった
こんなに私に尽くしてくれてこんなに私と一緒にいてくれて

それってなんだか…恋、みたいだよね?

だから私も凛ちゃんを大切にしたい

穂乃果「この問題は?」

凛「これはこうするの!これはこれだけ覚えとけば簡単だよ!」

穂乃果「おお!なるほど!」

穂乃果「はぁ~やっと終わった~!」

凛「お疲れお姉ちゃん!」

穂乃果「今日もありがと凛ちゃあああん!!」モギューッ

凛「どういたしましてお姉ちゃあああん!!」ギューッ

穂乃果「この時間が幸せ…」

凛「凛もそうだよお姉ちゃん…」

凛「…あ、さては凛のおやつ食べたな~?」

穂乃果「え?!どうして…ってあ…」

凛「こらぁ!ちゃんとお姉ちゃん用と凛用あったのにどうして食べちゃうにゃあ!」

穂乃果「ごめん!二つあったからどっちも私のだと…」

凛「はぁ…もう仕方ないなぁ…今回だけだよ?」

穂乃果「本当?!やっぱ凛ちゃんは優しいなぁ!」スリスリ

凛「凛も凛も!」スリスリ

毎日こんな感じのやり取りで凛ちゃんと過ごしてる
凛ちゃんはなんでもこなす完璧な人間だった
家事が出来る、料理が出来る、勉強が出来る、運動が出来る、思いやりがある、私へ尽くしてくれる
とにかくなんでもできた
そんな姿を見てるととってもカッコよくて…それでもってとっても可愛くて…

穂乃果「私が凛ちゃんを守るからね」

凛「凛もお姉ちゃん守るよ!」

穂乃果「…!う、うん!」

凛「あ、照れてる!」

穂乃果「えっ?!なんで分かったの?!」

凛「顔赤い~」

穂乃果「もおー!からかわないでー!」

~次の日

絵里「大ニュースよ!」

穂乃果「え?なになに?!」

絵里「な、なななんと!」

絵里「予想以上の入学希望者の為廃校は中止、音ノ木坂は来年もここにあるわよ!」

花陽「き、き…きっ…」

穂乃果「きたあああああ!」

にこ「やったじゃない!!」

真姫「本来の目的はこれで達成したわけね」

希「ここまでやった甲斐があったなぁ」

凛「取り合えずこれで一安心だね!」

ことり「………」

海未「………」

穂乃果「うん!そうだね!やったよことりちゃん!」

ことり「…え、あ、うん……」

絵里「…?何かあったの?」

ことり「いや……なんでも…」

にこ「その様子じゃ何も無いわけないでしょう、言ってみなさい?」

真姫「そうよ、私たち仲間でしょ?」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん…?」

ことり「穂乃果ちゃん……」

ことり「私ね…私ね…!」ポロポロ

ことり「海外の方の学校に留学することになったの…!」

海未「……っ」

穂乃果「そ、そんな…どうして…?!」

穂乃果「これからだったじゃん…!ずっと一緒だよってスクールアイドル始めた頃約束したじゃん!」

穂乃果「どうして…どうして留学なんてするの…」

ことり「……言えない」

穂乃果「なんで…?!」

ことり「……それも言えない」

穂乃果「どうしてさ!ことりちゃんは私を信用できないの?!」

ことり「…信用したよ?でもその結果だもん」

穂乃果「なに?!どういうこと!」

穂乃果「ちゃんと喋ってよ!!伝わらないよそんなんじゃあ!!!」

パチーン!

凛「!!!!」

穂乃果「っ!!!」

海未「少しは自分で考えてください!!!」

海未「どうしてなんて聞いて答えが出るならもうことりはとっくに言ってますよ!!」

海未「そんなことも言われなきゃ分からないんですか!」

穂乃果「……じゃあなんなのさ!!海未ちゃんはこの前に行った通り凛ちゃんの敵であると同時に私も敵なの?!」

穂乃果「なに?!ことりちゃんがどんな気持ちかなんて知らないよ!知るわけないよ!」

穂乃果「そんなことも言われなきゃ分からないんですかって言われなきゃ分からないに決まってるよ!そんなことも言われなきゃ分からないの??」

パチーン!

凛「!!!!?」

穂乃果「っ………」

穂乃果「…もういいよ、私たちの友情ってこんなもんだったんだね」

穂乃果「たかが知れるよ」

穂乃果「ことりちゃん、さよなら」

穂乃果「海未ちゃんもさよなら」

穂乃果「いこ?凛ちゃん」

凛「あ、うん」

ガチャン!!

なんだかかっとなってやった

ことりちゃん、どうして穂乃果を信じてくれなかったんだろう

でもあそこまでいう必要はなかった

後悔しかない出来事
でも今更修復が効くほど甘い世界じゃない

凛「お姉ちゃん…」

穂乃果「…やっちゃったね」

穂乃果「もう海未ちゃんにもことりちゃんにも…」

穂乃果「μ’sの皆にも顔見せられないよ…」

穂乃果「…時間を戻せればなぁ」

グループ存続の危機に値する出来事
ただ悔やみ苦しい望みを口にする私

そんな私に一つの楔が突き刺さる

穂乃果「はぁ……」

凛「……ねぇお姉ちゃん」

穂乃果「何?」

凛「凛…悪いことしたかな…」

穂乃果「……どういうこと?」

凛「気付かなかった?ことりちゃんはずっとお姉ちゃんのこと好きだったんだよ」

穂乃果「!!!?」

凛「でもお姉ちゃんはずっと凛といた」

凛「だから近付けないし話すこともままならない」

凛「そんなときことりちゃんに一通の手紙が届く」

凛「内容は海外へ留学という件、ことりちゃんの選択次第では留学じゃなくてこのままμ'sにいた」

凛「でも凛がいたからお姉ちゃんには近付けない、大好きなお姉ちゃんはこんなに近くにいるのに近づけないなんて辛い思いするなら海外に行った方がマシだ、そう思って留学を選んだ」

穂乃果「っ!」

凛「ねぇお姉ちゃん…これって凛が悪いの?」

凛「…凛が悪いなら消えるよ、元の世界に戻る」

凛「凛…お姉ちゃんに元気もらったから…独りで死んじゃうかもしれないけど未来に戻れるよ…」

穂乃果「え……」

凛「やっぱり凛が悪いんだ…ごめんじゃあ帰るね…」

穂乃果「ッ待って!待ってよ!」ガシッ

穂乃果「行かないで!私は凛ちゃんがいないともうダメなの!」

穂乃果「海未ちゃんにもことりちゃんにもお別れしてμ’sのみんなとも気まずくなっちゃったのに凛ちゃんがいなくなっちゃったら私……」

穂乃果「死んじゃうよぉ……誰も支えてくれない誰も助けてくれないよぉ…」

穂乃果「行かないでぇ…お願いだからぁ……」ポロポロ

何かに負けた気がした

逃げ道もなければ選ぶ選択も無かった

海未ちゃんとことりちゃんたちを突き放して退路を絶った私
凛ちゃんさえも突き放したら進路が消えてしまう

凛ちゃんと私、今は逆の立場なんだ

穂乃果「凛ちゃんは悪くないよ、悪くない…」

凛「…うん、そうだよね!」ニコッ

凛「凛がお姉ちゃんを守るよ、誰もお姉ちゃんを傷つけさせない触らせない」

凛「お姉ちゃん、家についたけど凛は用があるから先に入ってて?」

穂乃果「いや…行かないで…私を一人にしないで……消えちゃうのが怖いよ……」

凛「…じゃあ目をつぶって?大丈夫、消えないよ凛を信じて」

穂乃果「う、うん…」パチッ

チュッ

穂乃果「?!?!」ゴクンッ

穂乃果「あ、あれ…今喉に何かに……」

穂乃果「…っあれ…なんだか眠く…」バタッ

凛「ごめんね、少しの間お姉ちゃんは家で寝てて」

凛「よいしょっと…」

ガララ

凛「すいません!穂乃果先輩練習疲れてぐっすり眠ってしまって起こすのもあれかなって思って家まで送りにきました!」



凛「さて……」

凛「お姉ちゃんを傷付けた分は返そうかな」

ギシッ

銀色に輝く二つの刃物が軋む

空が藍色の時

いつもは黄色の瞳をした少女もその時だけは瞳を赤くした

凛「すいません!海未ちゃんの友達の星空凛という者です!海未ちゃんに用があって来たのですが今大丈夫ですか?」

スタスタスタ

ピョーン

凛「入るね、海未ちゃん」

ガチャッ

凛「どうも♪」

グシャアッ!

血しぶきが壁にべたべたとくっつく
壁から壁へ飛び移り重力を無視したような動き
それってまるで

殺し屋

みたいだよね

凛「…さて帰ろ」

その日犠牲になった少女とその痕跡は跡形なく消えてしまった、つまりは行方不明
どういう方法で消えたのかはわからない

凛「また一人殺しちゃった…お姉ちゃんになんて言おうかなぁ…」

けどただ一人知ってる人間がいる

穂乃果「すぴー…凛ちゃん…ずっと一緒だよぉ…zzz」


そして後に一人


その黄色で、でも黒くて赤い真実を知る人間が生まれる

希「死神…か、何か起こる予兆やね」

希「未来から来た…どうやら嘘じゃないようやね」

希「高坂凛…兼、星空凛…過去に関する情報が何一つない…」

更に一人

黄色くてオレンジ色の嘘を知ることになる

凛「殺すなら完全に殺さないと…」

私のこの救いようのない愛情も

凛「そう言ってくれたのは凛の大好きな人」

凛ちゃんの狂ったその愛情も

凛「いつでも凛と一緒にいてくれた…」

知らない見えないはずの未来も

凛「そう…こうやって何かを殺す時だって一緒にいてくれた」

何もかもが


凛「穂乃果お姉ちゃん♪」


もう“手遅れ”なのかもしれない

凛「絶対に守るよ、お姉ちゃん♪」

今日もどこかで過去に戻った彼女がいる

“絶対に守る”

そう言いながら死なせてしまったから約束が破綻した
だから今日も彼女は愛する独りの姉を守る

彼女なりの“罪悪感”を背負って

凛「よしっ!帰ろ!お姉ちゃんが待ってるもんね!」

彼女はずっとその姉を離さない/離れない

だって…だって…



私が死んだら次の私がこうなるのだから




わたし が  殺された   未来から来た妹だから



みんな誰が私を殺したのか分からない

でも知ってる人間が一人、いること…

わかるよね?

凛「お姉ちゃん♪」

END

~~~~~

理事長「お互い片方が消えたら死んでしまうような弱さ、まさに共依存です」

理事長「それは救いようのない愛、そしてそれこそが」

理事長「手遅れ、です」

理事長「妹の誘惑に勝てる姉なんて、いないのかもしれません」

ことり「お母さん!!!」

理事長「あらことり、何かしら」

ことり「大好きだよっ♪」

理事長「ええ!私も大好き!」

理事長「マザコンことり悪くないわね…」

ことり「…だから私以外の人とは関わったらダメだよ?」ニコッ

理事長「え……」

ことり「これからは私がお母さんの全てを決めるね♪まずはご飯だけど…」

ことり「次にお風呂で…あ、先に寝るところとか決めちゃおっか♪」

ことり「どこがいい?床がいい?お風呂がいい?外がいい?」

理事長「こんなことり嫌だわああああ!!!」

ことり「あ、そうそう私以外とは話しちゃだめだよ???」

理事長「ちょま……」

理事長「まだ終わってないのよおおおおお!!!!」

四つ目終わりです
半分になります五つ目もよろしくお願いします

~~~~~

理事長「太古昔から世界のさまざまなところで伝説として残されてきた“吸血鬼”」

理事長「今となっては小説、漫画、ドラマなどの幅広いジャンルで見れる妖怪ですね」

理事長「生死を超えた不死身とされている吸血鬼ですが弱点があったり殺す方法があったりしますよね」

理事長「十字架を直に見れない、にんにくが嫌い、日に当たると灰になってしまうなど不死身のくせに案外脆かったりします」

理事長「また吸血鬼は血を吸えないことでも死んでしまいます、半永久不死身みたいな感じですかね?」

理事長「しかし吸血鬼なんて現実にはいません、伝説ですから」アハハ

理事長「でも、こういう鬼はいるかもしれませんよ…?」

~~~

希「隙あり!」ワシワシ

花陽「ぴゃあ?!?」

希「う~ん!やっぱり花陽ちゃんのは安定感があるやんね!」

花陽「も、もう…希ちゃん…」

真姫「安定感って何よ…」

希「ふぅよかったよ花陽ちゃん、それじゃウチ生徒会の仕事あるからじゃあね!」

花陽「う…うぅ…」

凛「かよちん大丈夫?」

花陽「うん…」

真姫「ほんと希は…」

花陽「で、でも大丈夫、希ちゃんを責めないであげて?」

真姫「え?なんで希を庇うのよ」

真姫「もしかして何かあるの?」

花陽「ううん、なんでもない!」

花陽「とにかくお昼食べよっか!」

凛「う、うん!」

真姫「ええ…?」

花陽(気持ちよかったなんていえないし…)



【わしわし鬼】

希「花陽ちゃんのもいいけどやっぱり一番はことりちゃんのかなー…バランスの良さがなんとも…」

絵里「何が一番ですって?」

希「お、えりち!」

絵里「はぁ…またやったの?」

希「ウチの日課みたいなものやし!」

絵里「いい加減やめにしたら?その歳でそんなことやってたら捕まるわよ?」

希「現に捕まってないから大丈夫!」

絵里「そういう問題じゃないのよ…」

希「なんや?えりちもされたくてウズウズしてるん?」

絵里「はぁ?!そんなわけないでしょ!さっさと生徒会の仕事終わらせるわよ!」

希「ふふっ…えりちはえりちやなぁ…」

希「うーん、でもえりちのも揉んでみたいなぁ…」

希「後で揉んでみよ!」



絵里「はい、これよろしく頼むわ」

希「了解や」

絵里「よいしょ…えーっとこれはー…」

希「隙あり!」ワシワシ

絵里「ひゃあ?!?!?」

希「あー…なんとも言えない柔らかさやな…」モミモミ

絵里「何してんのよ!」ペシッ

希「いてっ…」

絵里「真面目にやりなさい!」

希「ごめんごめんって、つい興味本位で…」

絵里「やっていいことと悪いことがあるでしょ!」

希「そうはいうけどえりちすごい気持ちよさそうな顔してたよ?」

絵里「…っ気のせいよ!」

絵里「…そうね、もう仕方ないわ」

希「ん?」

絵里「今日からワシワシ禁止よ!!!」

希「えぇ?!」

絵里「異論は絶対に認められないわぁ!」

絵里「みんなにも言っておくからね、もしやったら…」

希「やったら…?」

絵里「そうねぇ…まぁ考えておくわ、希が嫌いそうな罰を」

希「oh…」

絵里「ワシワシ禁頑張ることね」フフッ

希「えりちのおにいいいい!!!」



希「はぁ……」

希(ワシワシ出来ない…か)

希(ただの遊びやったらいいんやけど……)

ズコッ

希「あえっ…?」

穂乃果「っととと!大丈夫?希ちゃん?」

希「あぁ…ごめん穂乃果ちゃん…」

穂乃果「どうしたの?元気ないね、穂乃果に出来ることならなんでもしてあげるよ!」

希「んー…なんでもかぁ…」

絵里『わしわし禁止ね』

希「じゃあワシワシさせて?」

穂乃果「え……」

希「ごめんえりち!」ワシワシ

穂乃果「んあっ…」

ドゴォ!

希「っいった~…」

絵里「まったく…希といったらこうよね…」

希「ありゃりゃ…見つかってしまった…」

絵里「罰としてジュース奢りね?μ’sのみんな分」

希「ちょっ…えりちそれはないって…」

絵里「むしろ勝手に胸揉んで約1000円で済むならまだマシでしょ、普通に見て犯罪なのよそれ?」

希「はぁ…仕方ないなぁ…」

穂乃果「…あれ?希ちゃんもう終わり?」

希「え?」

穂乃果「…あっ!なんでもない!なんでも!」

穂乃果「わ、私いくね!それじゃあ!」

絵里「ほら穂乃果が怯えてたじゃない」

希「え?あれ怯えてたん?」

絵里「当たり前でしょ、セクハラする先輩をもって穂乃果たちも不幸ね」

希「そこまで言わんでも……」シュン

絵里「そう思うのならワシワシはやめることね」

希「もう…酷いなぁ…」

希「ウチの寿命縮めたいん…?」ボソッ

絵里「え?何かいったかしら?」

希「何もいってへんよ、じゃあウチらもそろそろいこうか」

絵里「ええ」

希「……はぁ」



海未「今日のダンスレッスンはここで終了です、お疲れ様でした!」

穂乃果「お疲れ様!」

希「おつかれ~」

凛「希ちゃーん!」

希「んー?どうしたん?」

凛「今から真姫ちゃんと噂のデザート食べに行くんだけど行かない?」

希「おっいいね!いくいく!」

凛「じゃあ三人でいこ!真姫ちゃん早く!」

真姫「はいはい、ごめんなさいね大丈夫だった?」

希「全然いいよ、今日バイトもないし暇やから」

凛「それじゃいっくにゃー!」



希「真姫ちゃんなにそれ…」

真姫「パフェじゃない、別におかしいところはないでしょ?」

希「いや大きすぎやない…」

希「凛ちゃんはカップアイスだし差がすごい…」

真姫「そういえば聞いたわよ、ワシワシ禁止されたんだって?」

希「そうなんよ…とうとう咎められたかって感じや…」

凛「希ちゃんはそんなことして何か得するの?」

希「えっ……」

真姫「そんなの聞かなくても分かるでしょ、希にそういう趣味があるってだけで…」

希「いやあるにはあるんよ?得」

凛「え?なになに言ってみて!」

希「いやそれは秘密というか…」

真姫「どうせやらしいこと考えてるんでしょ?」

希「残念ながらハズレやね」

凛「えー…教えてよ~…」

希「ワシワシさせてくれたらいいよ?」

真姫「禁止されてるのになんでやるのよ!」

凛「いや…それは…いやでも…」

真姫「凛は凛で何迷ってるのよ!」

凛「…っやめとくよ」

希「そっか、分かったよ」

希「でもちゃんと意味はあるんやから誤解しないでな?」

真姫「胸揉むのに意味って何よ…」

希「まぁまぁ……」

希「あ、ウチも食べないとね」

パクッ

希「っ?!!?」

真姫「ん?どうしたの?口抑えて」

希「んー!んんっ!んっんん!」

真姫「はい?」

希「これまさかキャラメル入ってる…?」

凛「当たり前だよ!ここはキャラメルを使ったデザート屋さんだもん!」

希「はぁ…これ凛ちゃんにあげるよ、ウチキャラメルが大の苦手なんよ…」

希「見たくもない…」

真姫「なにそれ…キャラメルにどんな思いがあるのよ…」

凛「ホントにいいの?お金とか返せないけど…」

希「うん、大丈夫だよ」

希「ごめん、キャラメルで気分悪くなったから先帰るね」

希「また明日!」

凛「うん!また明日!」

真姫「また明日」

真姫「…キャラメルで気分悪くして帰るってどんなことされたらキャラメルにそんな嫌悪感わくのかしらね…」

凛「確かに言われてみれば…でも想像つかないや…」

真姫「謎ね」

凛「謎にゃ」

~次の日

希「おはよう!」

絵里「おはよう希、朝から元気ね」

希「ん?そうかな?」

絵里「ええ充分すぎるくらい」

希「まぁ気合いれないといけんからね!」

希(ワシワシ出来ないから尚更…)

絵里「そ、そう…まぁ良いことだと思うわ」

希「………」ジーッ

絵里「どうしたの?私に何かついてる?」

希(あぁ揉みたい…えりちのその柔らかな胸を揉みたい……)

希「………っ!」フルフル

絵里「希?」

希「な、なんでもない!早くいこ!」ダッ

絵里「あ、待て!」

希(我慢我慢…決まりやぶって友情壊すようなことしちゃダメやもんな…)

~部室

希「………」ボケー

絵里「希、おーいのぞみー?」

希「……ん?どうしたんえりち」

絵里「こっちのセリフよどうしたのよそんなボケーっとして」

希「んー邪念を出さないように無心でいようかと」

絵里「はぁ?何の話?」

希「こっちの話、えりちには関係ないから気にしなくていいよ」

絵里「はぁ…何なのよまったく…」

希(揉みたいなんて考えたら我慢出来なくなるなんて言えないし…)

穂乃果「はい!頼まれてた漫画持ってきたよ!」

海未「ありがとうございます」

海未「っ…あんまり見たくないですが歌詞のためです、頑張ります」

希「?!?!?!」

バンッ!

絵里「!?」ピクッ

希「穂乃果ちゃん今すぐそれしまって!!!」

穂乃果「え?ど、どうして」

希「いいから!!」

穂乃果「う、うん…」

希「はぁ…」

希(また寿命縮むとこやった…)

絵里「どうしたのよ、急に」

希「だってあの本……」

希「百合やん……」

穂乃果「え?希ちゃんってもしかしてこういうが嫌いなの?」

希「一冊でも読んだら死んじゃうかもしれないね」

海未「そ、そんな大げさな…」

希「とにかくウチの前では百合本読まんといて、寿命短くなるから」

絵里「何、寿命短くなるって」

希「あっ…」

希「ひょ、表現の問題や!」

絵里「そ、そう…」

希(大丈夫なんかなぁ…こんなんで…)

~二日後

希「おはようえりち」

絵里「おはよ…ってなんか雰囲気変わった…?」

希「ん?そうかなぁ?」

絵里「なんていうか…すごい暗いオーラを感じるんだけど…」

希「えりちってそんなの信じるん?」

絵里「いやホントにそうなのよ…ん?そんなのって希が大好きなオカルト系じゃない、何か嫌な事でもあった?」

希「うーん…まぁあるにあるけど気にしないで」

希(揉めなくなったからなんて言えないし…)

絵里「え、ええ…でも何かあったら言いなさいよ?」

希「もちろんや」

凛「おーい!希ちゃーん!絵里ちゃーん!」

希「お、凛ちゃんおはよう」

絵里「おはよう凛」

凛「おはようにゃ!」

真姫「待ちなさいって…」

花陽「待って…」

凛「あ、ごめんごめん…」

希「おはよう、二人とも」

真姫「おは……?」

絵里「ん?どうかした?」

真姫「希雰囲気変わった?」

希「ええー真姫ちゃんもそういうこというん?」

花陽「あ、私もそう思ってた…」

凛「あー確かに変わってるような?」

希「えぇ…ウチそんな変わったんかな…」

希(胸が揉めないと二日で変わるんか…)

希「多分気のせいやない?」

真姫「いや…もう黒いオーラが出てるんだけど…」

花陽「……うん、私もそう見える」

希「そんなこと言われても…」

希(誰かの胸揉まないとなぁ…でも街中にいる人の揉んだら確実に捕まるし…)

希(どうしよ…)



花陽「あ、ちょっと待って…」

凛「うん!」

真姫「早くしなさいよね」

希「あ、みんないる」

希(ここは真姫ちゃんをワシワシ…)

絵里「禁止よ?」

希「…はい」

希(ああああああああああ!!)

希(えりちのバカ!!)

絵里「顔にワシワシするよって出てるのよ、また奢らせるわよ?」

希「ウチ一人暮らしやから生活費辛くなるんよ…」

絵里「でしょ?だからワシワシはもうしない、たばことかでよく言われてるじゃない脱たばこって」

絵里「希も脱ワシワシして健全な生活心がけましょう?」

希「……うん」

希(健全も何もウチは……)

希「………」

絵里「そんなに落ち込むことなの…」

~三日後

希「……おはよう」ドヨーン

絵里「??!?!」

絵里「ちょ…どうしたの希…」

希「…なんでもない」

絵里「なんでもないわけないでしょ!」

希「えりちには関係ない……」

絵里「もう!またそれ!」

絵里「日に日に体調悪くして何があるの?」

希「何も…ない…」

絵里「だから……」

希(ワシワシを我慢して五日目…ウチの死ももうすぐな気がする…)

希(少しでも気を抜くと理性が吹っ飛んで無差別にワシワシしたくなって夜も眠れないし…)

ワキワキ

希「はっ…」フルフル

穂乃果「おっはよー!」

希「おはよう……」

穂乃果「っ?!?!」

穂乃果「希ちゃん大丈夫?!」

穂乃果「目が充血してるけど…」

希「…うん」

穂乃果「くまもすごいけど…」

希「…うん」

穂乃果「死にそうな声してるよ…?」

希「…うん」

絵里「ちょっと希、いくらなんでも返事適当すぎない?」

希「うん…」

穂乃果「絵里ちゃんこれ…?」

絵里「私にも何があったか全くわからないわ…」

希(ごめん二人とも…理性保つので精一杯なんよ…)

希「…ごめん、ウチ先いくね」

ヨロヨロヨロ

穂乃果「…あれ大丈夫なの?」

絵里「絶対に大丈夫じゃないわよ…」

絵里「ついこの前まで気合いれていかないと!なんて言ってたくらいだし…」

~教室

にこ「…あんた何してんの?」

希「何でもないからほっといて…」

にこ「机で顔を伏せてずっと黙ってて何もないなんて無いでしょ…希に限っては特に…」

希「………」

にこ「保健室行く?なんで今日学校来たのよ、そんな体調悪いならおとなしく家で休んでなさいよ…」

希「うぅ…ううん…うあっ…」

にこ「ちょっ…そんな声あげないでよ…なんか聞いてるこっちまで恥ずかしくなるでしょ…」

絵里「案の定苦戦してるようね…」

にこ「何があったのよこれ…」

絵里「それが答えてくれないのよ」

希(揉みたい…揉みたい…)

希(我慢が出来ない……)ムズムズ

絵里「ちょっと体揺れてるけど大丈夫?」

にこ「希?おーいのぞみー!」ユサユサ

希「や、やめ……」

希(やばい、もう無理…意識が……)

絵里「はぁ…仕方ないから今日は早退ね、先生には私が言っておくわ」

にこ「ええ、でも一人で大丈夫?」

希「………」

希(………)

希「……にこっち」

にこ「ん?なに?」

希「ちょっときて」

グイッ

にこ「っ?!?!」

にこ「その力…希どうしたの…?」

絵里「ちょ、ちょっとまって何する気?」

希「なんでもいいやん」

絵里「…何?また雰囲気変わった?」

希「いいから来て」

にこ「うわああわわ…」

絵里「あ、待て!」

スタスタスタ

絵里「ちょっと待ちなさいって!」

にこ「希の力が強すぎて握られてる手がはずせないのよ!」

ズルズル

絵里「希!」

希「………」

絵里「ねえ聞いてる?!返事くらいしなさい!」

希「うるさいな」

グイッ

絵里「っ?!」

希「えりちも来たいん?」

絵里「どこに…?」

ズルズル

希「はい、ついた」

にこ「屋上…何するつもり?」

希「それは……」

~放課後

ことり「絵里ちゃんとにこちゃん、どうしちゃったんだろう…」

ことり「様子見に行ったけどずっとピクピクして動かないし…」

海未「屋上で倒れてたんですよね?」

真姫「みたいね、授業サボってた生徒が屋上行った時に見つけたらしいわよ」

真姫「悶絶してるみたいで特に周りに何もおかしなものがあるわけでもないし何が起こったのかはわからないってさ」

凛「でも二人がああなるってことはやっぱり…」

花陽「何かあったっていうのはもう…」

希「決定事項やんね」

穂乃果「……うん」

海未「希は何があったかわからないんですか?」

希「うーん…ウチにはよく…」

海未「そうですか…」

真姫「…大切な友人二人があんな意味不明な状態なのにやけに冷静ね、希」

真姫「てっきり謎解決のために全力を尽くすとばかり思ってたけど」

希「これでも結構必死なんよ?」

希「今は情報集めだよ」ニコニコ

真姫「そ、そう…」

花陽「今日の練習ってどうなるんですかね…?」

海未「…やります?私はあの二人の謎を解明したいんですが…」

真姫「いいんじゃない?犯人はこの学校にいるんだし」

真姫「屋上で二人同じ状態になるなんて病気的な何かとは考えづらいし」


凛「でもあんなピクピクした状態ってなにされたらああなるの?スタンガンとか?」

花陽「うーん……」

海未「武術とか格闘技に因んだものじゃないですかね?」

真姫「まずどうああなったかよりも誰がどういう動機をもってやったかを探すべきでしょ」

ことり「うん、私もそう思う」

希「そうやね」



海未「では各自聞きこみをお願いします」

「はーい」

穂乃果「………」

海未「穂乃果?」

穂乃果「ん?何?」

海未「どうかしました?」

穂乃果「ちょっと考え事してただけ、私も聞き込みいくね」

海未「分かりました、気を付けて」

タッタッタッ

穂乃果「あ、希ちゃん…」

希「ここで待ってれば誰かが来る、そうカードが告げてたんよ」

穂乃果「ねぇ希ちゃん…」

希「なに?」

穂乃果「…思ったんだけどさ」

穂乃果「希ちゃん、朝と全然雰囲気とか違うよね…?」

穂乃果「全然元気なかったし体調的にも全然優れてるように見えなかった」

穂乃果「それなのに今は何事も無かったかのようにニコニコとしてる」

穂乃果「ホントならもっと落ち込むところだよね…?」

穂乃果「それってまるで…」

穂乃果「絵里ちゃんとにこちゃんがあんな状態になったとたんに希ちゃんが元気になったような感じがして…」

希「ふーん……」

希「じゃあもしそうだとしたら…どうする?」

穂乃果「希ちゃんが何をしたか…教えてもらうよ!」

希「ほぉ…でも穂乃果ちゃんに勝ち目なんてあるんかな?」ニシシ

希「穂乃果ちゃんも…」

ワキワキ

穂乃果「!!」

希「ワシワシしてあげるよ!!!」ダダッ

穂乃果(っ逃げなきゃ!)

ダダッ

希「待てー!」

穂乃果「海未ちゃーん!ことりちゃーん!誰かー!!」

凛「穂乃果ちゃん!どうしたの?」

穂乃果「凛ちゃん逃げて!」

希「うひひひ!!」

凛「どういう状況?!」

穂乃果「いいから!」

凛「う、うん!」

~音楽室

穂乃果「隠れよう!」

凛「う、うん!」

ササッ

希「穂乃果ちゃーん?逃げても明日には会うんだよー?」ニコニコ

凛「どうしたの…?あの希ちゃん…」ボソボソ

凛「なんか怖いよ…」

穂乃果「多分絵里ちゃんとにこちゃんがああなったのは希ちゃんのせいだと思う…」ボソボソ

凛「え?!」

穂乃果「しーっ…大きな声出すと…」

凛「あ、ごめん…」

穂乃果「希ちゃんね、朝ものすごい体調悪かったみたいでね…」

穂乃果「全然返事も返してくれなかったの…うんうんってただ頷いてそういうだけで…」

穂乃果「でも今はあんなにぴんぴんしてる、それに犯人は希ちゃんじゃない?って聞いたら否定しなかった、だとしたらどうするって言われた」

穂乃果「図星なんだと思う」

希「ハロー♪」

穂乃果「っ!?」

凛「希ちゃっ…」

キャー!!!!

海未「今のは凛の声…?」

真姫「何かあったみたいね、どの辺からかしら?」

海未「下の階から聞こえた気がします…」

真姫「じゃあ下の階にいきましょう」

ダッダッダッ

穂乃果「逃げて!!」

海未「え?穂乃果どういうことですか?」

希「ふふっ待てー♪」

真姫「なにあれ…」

穂乃果「遊びとかじゃないからとにかく逃げて!」

海未「え、ええ!」

ダッ

真姫「希に何があったの?!」

穂乃果「今回の事件の犯人希ちゃんだよ!」

真姫「え?!」

穂乃果「……っ」

海未「穂乃果…?!」

穂乃果「凛ちゃんが犠牲になっちゃった…」

海未「なっ…」

真姫「ってことはまさか凛もあの状態…?」

穂乃果「……うん」

真姫「…そう」

海未「なら私がどうにかします!」

海未「希程度なら倒すことも可能でしょう!」

ピタッ

海未「さぁ!勝負です!希!」

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「穂乃果は他のみんなと合流して身を守ってください!」

海未「後で必ず行きます」ニコッ

穂乃果「っ…う、うん!いこ!真姫ちゃん!」

真姫「わ、分かったわ!」

真姫「ピンチになったら逃げるのよ!」

海未「分かってますよ!」

希「海未ちゃんかぁ…そういえば海未ちゃんはまだやったことなかったね」ワキワキ

希「それじゃあ行くよ海未ちゃん!」

海未「望むところです!」



穂乃果「はぁ…はぁ…はぁ…」

真姫「どうする?これから」

穂乃果「花陽ちゃんとことりちゃんに会わないと…」

真姫「そうね、早く行きましょう」

ダレカタスケテー!!!

穂乃果「!!」

真姫「花陽の声…まさかもう…」

穂乃果「とにかく声がした方にいこう!」

真姫「え、ええ!」



希「待ってたよ、二人とも」

ことり「………」ピクピク

花陽「……うあ」ピクピク

真姫「っ!!」

穂乃果「希ちゃん…どうしてこんなことするの…」

希「生きるためやもん、仕方ないやん?」

真姫「生きるためって…何して生きるのよ…」

希「人の胸を揉む」

穂乃果「!」

希「ウチ、定期的にワシワシしないと死んじゃうんよ」

真姫「は?頭大丈夫?」

希「えりちにワシワシ禁止って言われたときは死んでくれって言われてるのかと思った」

希「でもウチやっぱり我慢出来なかったんよ…」

希「今日、えりちとにこっちを屋上でワシワシした」

希「今まで抱えてた苦痛が全部無くなったよ」

希「だからこんなに元気、ほら穂乃果ちゃんの謎は解けたでしょ?」

穂乃果「…うん」

真姫「はぁ?!こいつの言ってること信じるの?!」

希「真姫ちゃんも言ってたやん、人の胸揉むのにどんな理由があるのよって」

希「ワシワシしないと死んじゃうからだよ」

真姫「!」

希「さてもう答えは言ったからそろそろいいかな?」

穂乃果「…何が?」

希「もう二人以外は全員ワシワシしちゃった、後は二人だけだよ」

シュンッ

真姫「うぇえ?!」

希「おやすみ真姫ちゃん」

ワシワシ

真姫「あんっ…やめっ…あぁ…」

希「どう真姫ちゃん?」

バタッ

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「ほの…か…」ピクピク

シュンッ

穂乃果「っ!」

穂乃果「離して!!」

希「ねぇ穂乃果ちゃん」

穂乃果「離して!離してよ!」

希「なんで目の前にいる花陽ちゃんやことりちゃんが気絶してるか知ってる?」

穂乃果「え……」

希「胸揉んだだけで気絶するなんて普通に考えておかしいやん」

穂乃果「………」

希「答えはね…」


希「気持ち良すぎて気絶してるんよ??」ワシワシ


穂乃果「んあっ!!やめ…」

希「ホントは気持ちいいんやない?体が全然抵抗してないよ?」

穂乃果「ちが…違うもん!」

希「今なら逃げれるよ?逃げないん?」

穂乃果「っ……」

ダッ

希「ふふっ穂乃果ちゃん、中々やるやん…」ニシシ



穂乃果「うう…なにこれ…」

穂乃果「体が…変……」

希「穂乃果ちゃーん、おとなしく出てきた方が後は楽だよー?」

穂乃果「どこかに隠れないと…」

穂乃果「…部室、部室に行こう」

ガチャン

穂乃果「ふぅ…もうみんな……」

穂乃果「うあっ…もうっなんなの体が変だよ…!」

希「体が変なん?」

穂乃果「!!!」ピクッ

ガチャッ

希「はろー♪捕まえにきたよ♪」

穂乃果「いやっ…こないで…」

ドサッ

希「っ!!!」ピクッ

穂乃果「あれ…?」

希「そこまで抗うか…穂乃果ちゃん」

穂乃果「あ、これって最近噂のキャラメルデザート屋のキャラメル…」

穂乃果「!!」

穂乃果(もしかして希ちゃんはこれに近づけない…?)

希「や、やめ…それをこっちに向けないで…!」

穂乃果「よ、よし…出てけ!」

希「…っ覚えとき!穂乃果ちゃん!」

ガチャン!

穂乃果「た、助かったぁ…」

穂乃果「……でもやっぱりおかしい」

穂乃果「体がまだ疼いてる…」

穂乃果「胸が…変だよ……!」

穂乃果「も、揉んだらなおるかな…」

穂乃果「……全然ダメだ」

穂乃果「さっきの希ちゃんくらいなら…」

穂乃果「って私は何を考えてるんだ…!」

希「呼んだ?」

穂乃果「っ!?」ピクッ

希「あのキャラメルさえしまってくれれば揉んであげるよ?」

希「楽にしてあげるよ…?」

穂乃果「っ……」

ガチャッ!

希「なーんだ、すぐそこにいないじゃん」

希「無理やりにでもワシワシしてあげようかと思ったのに」

穂乃果「来ないで…!」

希「くっ…相変わらずキャラメルは……」

穂乃果「うっ…」ヨロッ

希「ふふっどう?揉んでほしいでしょ?」

穂乃果「そんなわけっ…!」

希「ほらー体が誘ってるよー?さっきの気持ちよかったでしょ?」

穂乃果「全然だよ!」

希「まだ強がるんかー…」

穂乃果(んんっ…早く行ってよ希ちゃん…!)

穂乃果(体がムズムズする…)

希「隙あり!」

穂乃果「しまっ…」

希「はーやっと捕まえたよ穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「離せ!」

希「おっとっとそんな暴れないでって」

ワシワシ

穂乃果「~~~~~っ!」

希「気持ちいい?」

穂乃果「ぜ、全然!」

希「今なら逃げれるよ?」

穂乃果「………っ」

希「あれ?逃げないん?」

穂乃果「やだっ…違う…違う!」

希「ふふふ…なーに穂乃果ちゃん?言いたいこと、他にあるんやない?」

穂乃果「…ない!ない…よ!」

ワシワシ

希「なにかな穂乃果ちゃん」

穂乃果「うあああ…気持ちい…っ!」フルフル

希「…堕ちていいんだよ?穂乃果ちゃん」

モミモミ

穂乃果(っ…もっと…ほしい…)

穂乃果(もっともっと……)

穂乃果「んんっ…もっと……」

希「ふふっなーに?穂乃果ちゃん」


穂乃果「もっと…揉んでぇ…!」


希「ふふ、うん分かった♪」

希「ワシワシってのはな、獲物が逃げないように快感を与えるんよ」

希「そうすると誰も逃げなくなる、逃げられるのにね?」

ガラッ

希「痛っ!この本は…」

穂乃果『はい!頼まれてた漫画持ってきたよ!』

海未『ありがとうございます』

海未『っ…あんまり見たくないですが歌詞のためです、頑張ります』

希「あの百合のぉ…」

ビリビリ

希「…っ!?頭が…」

希「うっ…痛い…」

クラッ

希「……あれ?ウチ何してたんだっけ」

希「確かワシワシするの我慢してて…にこっちとえりちに話しかけられて…」

希「何したんやっけ…」

穂乃果「希ちゃん」

希「ん?って、穂乃果ちゃん?!どどど、どうしたん?」

希(やば…ワシワシの話聞かれてたかな…)

穂乃果「早く揉んで?」

希「はい?」

穂乃果「早くワシワシしてよ…待ってるのに…」

希「はい?!穂乃果ちゃんどうしたん?!」

穂乃果「早く気持ちよくさせてよ…」

希「いやいや!ダメやってそういうのは!」

穂乃果「なんで…?希ちゃんワシワシしてるじゃん…」

希「そ、それは…仕方ないやん!生きるためやもん!」

穂乃果「だから生きるためにしてよ…ワシワシ」

希「最低限やってればいいんよー!!!」ダダッ

穂乃果「待ってー!ワシワシしてよー!」ダッ

希「何が起こってるん?!?!」

絵里「希!」

希「あ、えりち!穂乃果ちゃんなんとかしてや!」

絵里「希…またやって…?」

希「…何を?」

絵里「何をってもう…ワシワシにきま」

希「言わんでいいわー!!」ダダッ

絵里「希待ってー!」

凛「あ、希ちゃん!」

希「凛ちゃん助けてや…」

凛「うん!ワシワシしてくれたらたすけ」

希「なんでもないー!!」ダダッ

海未「いましたよ!希!」

希「っ!」

海未「さぁ!かかってきてください!ワシワシアタックで!」

希「遠慮しとくー!」ダダッ

にこ「のぞ」

希「にこっち後でー!」ダダッ

ギュッ

ことり「捕まえました♪」

花陽「わぁやったねことりちゃん♪」

希「げっ…やばっ…」

ことり「さて…希ちゃん続きして?」

穂乃果「あ、ナイスだよことりちゃん!」

絵里「希!またやって!」

凛「次凛やってね!」

海未「再戦ですね!」

にこ「希、仕方ないから揉んでいいわよ?」

真姫「あ、いたわ!生きるために私をワシワシしなさいって!」

穂乃果「さぁ希ちゃん…続き、しよ?」

希「ゆ…ゆゆ…るりっ…」





希「百合はあかーん!!!」





END

~~~

理事長「血が吸えない吸血鬼…みたいな存在なのかもしれません」

理事長「吸血鬼は獲物が逃げないように血を吸うとき相手に快感を与える、という話があるそうです」

理事長「そうすると自分から血を吸うことを強要せずとも相手から求めてきます」

理事長「吸血鬼は血が吸えて相手は快感を味わえてまた快感が味わいたくなって吸血鬼のところへ…なんていうサイクルですね」

理事長「しかし彼女は血が吸えない吸血鬼のような存在でした、仕方なくという気持ちから行ってただけ」

理事長「相手から求めてきちゃ…やりづらいですよね?彼女は致命的に百合が苦手ですしね」

理事長「また吸血鬼というのは血が吸えなくなると理性を失って誰でもいいから無理やり血を吸おうとする、というのを聞いたことがあります」

理事長「彼女がこの後どうなったかは想像次第ですね」

理事長「しかしよく考えましたよね、そんな吸血鬼なんてものを」

理事長「まさに鬼才、吸血鬼なだけに…」

ヒュー………

~~~~~

五つ目終わりです
性的な感じは控えたけど完全には抑制出来なかった
六つ目もよろしくお願いします

四つ目のラストが俺には難解すぎた分五つ目は楽に読めて良かった

凛ちゃんの話、誰かアホな自分に解説を…

>>315>>316 すいません、分かりづらかったですね…もうちょっと簡単に書くべきでした。
自分は凛が穂乃果を“好きすぎて”殺しちゃった、或いは何かをキッカケに二人の関係に亀裂が入って凛が穂乃果を殺したということで作っています

何の捻りというか布石もありませんが>>205

凛「凛がしっかりしてれば守れたのに…お姉ちゃん死んじゃって…」ポロポロ

というのはしっかり(冷静でいれば)守れたのに…というつもりです
そして>>240

「みんな誰が私を殺したのか分からない

でも知ってる人間が一人、いること…

わかるよね?」

というところですが凛が過去に来る前の世界にいた穂乃果が誰に殺されたかで色々変わってきます

それで同じく>>240の最後

凛「お姉ちゃん♪」

というセリフですがこれは凛が穂乃果を殺したという示しです
分かるよね?→お姉ちゃん♪

でも知ってる人間が一人、いること…≠>>237の「けどただ一人知ってる人間がいる」

>>236で海未が殺された後、行方不明になったと書いてるあります
行方不明ということは誰も海未のことを知らないという意味です
>>240の「みんな誰が私を殺したのか分からない」というのは行方不明になったということです
そして知ってる人間が一人(凛)、いること…という流れになります
行方不明でも殺した本人はどうなってるか知ってますからね

すごくわかりづらかったですね、もっとわかりやすく書くかもっと示しを増やすべきでした。正直分からないのが当然だと思います、こちらの書き方が悪かっただけで自分も見返して「ん?」ってなる部分あったので以後気を付けます

それで補足ですが>>239の「今日もどこかで過去に戻った彼女がいる」というのは何回も過去に戻る=穂乃果が死んでるという意味です、それはつまり凛がその数穂乃果を殺してるという意味です

>>239「彼女はずっとその姉を離さない/離れない」

>>240「私が死んだら次の私がこうなるのだから

わたしが殺された未来からきた妹だから」

というのは穂乃果が死んでは戻って出会ってはまた殺して戻ってを繰り返してるということです

用事が連日続いてるので後一日か二日は更新できません
後穂乃果のストーリーは色々おかしな点あってホントにすいませんでした
身体能力とかはもう「未来だから」って感じで済ませてあったので深い意味は込めてません
予防線みたいなものになりますが残りのストーリーもこんなようなことあるかもしれませんがそこはもう時すでに遅しという感じですのでご了承ください、作り直せば話は別ですが作り直すほどのネタが無いのでこのままいきます

~~~~~

理事長「むかーしむかし人々は一つの個性を見つけました」

理事長「色、です」

理事長「人というのは実に空っぽなモノです」

理事長「でも時間が経つたび、何かがあるたび、言葉に出すたびその人には“色”が付きます」

理事長「イメージカラー…なんて言いますよね?」

理事長「その色は個性になります」

理事長「最初は誰もが空っぽなんです、そして時間が経てば絶対に色が付くでしょう」

理事長「でも…そんな掟がない世界がありました」

理事長「酷く理不尽なこんな世界が…」

『君の瞳には色が無いんだね』

「えっ…」

『真っ黒、その中に一つ白があるだけ』

「…ダメなの?」

『ダメではないよ、ただ…』


『可哀想だなって』

凛「はっ?!」

凛「…嫌な夢」

凛「今日は……」

凛「あ、そっか高校の入学式だね」

凛「……頑張っていかないと」



【その子がくれた色】

凛「………」

スタスタスタ

中学三年生から高校一年生になった
青春ってよく言われる時、そんな人生の春で凛はまだ冬を過ごしてる

世界は凛を嫌った
凛が凛って名前がつく頃にはもうこの世を不幸に生きる事が決まってた

ザワザワザワ

凛「………」

凛の回りでは常にひそひそ話が聞こえてくる

凛が美人だから?
凛が可愛いから?
凛が有名だから?

違う

凛の瞳には色が無いからだ

「あの子珍しいね~…」

「瞳に色が無いなんてなんか可哀想…」

「なんか真っ黒って気持ち悪いよね…」

凛「………」

この世界は実に理不尽な世界だった

瞳の色が個性の全てだったからね

真っ黒な凛には無個性だって言われてるもんだよ。
だから誰もが凛をこう見るんだ

“かわいそう”

低く見られ気持ち悪いと非難され無個性とバカにされて世界中の人からいじめを受け続けてる

凛「っ……」ダッ

いてもたってもいられなくなってその場から逃げた
せっかくの高校生活もこんなんじゃ楽しめるはずなんてなかった

ゴンッ

「きゃっ…」

凛「ご、ごめん!」ダッ

「あ、まっ…」

「行っちゃった…」



凛「はぁ…はぁ…」

もう高校生になって何日か経ってるけど未だに高校生になった気がしない
だって中学生の時と何も変わってないもん
場所が変わっただけで状況は変化しない

凛「……はぁ」

息切れはするのにため息はそれ関係なく無限に出てきた

ただ疎く見られる凛はずっとこんな感じ、守ってくれるのはお母さんとか家族だけ

「あ、あの!」

凛「!」ピクッ

凛「あ、はい…なんですか?」

そんな辛い日々、引きこもろうかななんて考えてた時だった

花陽「だ、大丈夫ですか…?さっきぶつかって…」

凛「大丈夫です、凛…私もう行きますね」

花陽「あ、待って!」

凛「…なんですか?」

花陽「さっき何かに逃げてたのってもしかして…」


花陽「目の瞳に色が無いから…ですか?」


凛「っ…」

バカにされるんだって思って逃げようとした

ギュッ

花陽「待って!私は別に何も言わないよ!」

凛「!」

凛の手を握って吸い込まれるくらいの真剣な眼差しで凛を見つめる

花陽「私は何も言わないよ、私もあなたと同じだから…」

凛「同じってまさか…」

花陽「うん!私は瞳に色がない人!」

凛「…そっか」

花陽「あれ?なんか思ってた反応と違ったな…えへへ」

凛「………」

凛が抱えてる重りは瞳が真っ黒なだけじゃない
産まれた時からあったもう一つの障害

凛「凛ね、分からないんだ」

花陽「分からない?何が?」

凛「色が分からないんだ、白と黒しか見えないんだ」

『君の瞳には色が無いんだね』

こうして初めて言われるまで世界に色があることを知らなかった
白と黒で構成された凛の世界は間違ってるって言われた

それ以来瞳の色を気にするようになった

青、赤、緑、そうやって色の名前を言われてもどんな色なのか全然分からなかった
その分からない話で凛はどんどん低く見られてった

凛「だからあなたが真っ黒の瞳だろうと何色の瞳だろうと凛にとっては何も…」

花陽「…ホントに見えないんだ」

凛「え?」

花陽「私、今カラーコンタクトってもので瞳の色を誤魔化してるんだ」

花陽「…それも確認できないってことはホントに見えてないんだね」

凛「…うん」

花陽「でもね!私嬉しいんだ!」

花陽「やっと気持ちを分かち合える人に出会えて!」

凛「そんな不本意な…」

花陽「私は小泉花陽って言います!あなたは?」

凛「星空凛…」

花陽「そっか!よろしくね凛ちゃん!」

凛「うん、よろし」

花陽「あ、私の事はかよちんって読んでね!」

凛「…く、かよちん」

花陽「うん!」

ただ明るさを前に出して真っ白い笑顔と真っ黒い瞳の中輝く白、完璧に凛を友達として見てた

花陽「あ、私たち同じクラスだね!」

凛「う、うん…」

常にソワソワしてて落ち着きがないというか笑顔を絶やさないというかそんなこの子は凛と横に並んで優しくしてくれた
凛を疎く見る人たちとは違って。

凛「どうしてそんな凛に優しくするの?分かち合えるって言ってもそんなに…」

花陽「私はただ凛ちゃんと友達になりたいって思っただけだよ、学校生活あんなんじゃつまらないでしょ?」

花陽「私がなんとかして見せます!」

凛「そ、そんないいよ…悪いし…」

花陽「いいの!私だってまだ友達少ないしやれることだって少ないから」


花陽「一緒にやってこ?」


凛「…!」

そう言い手を差し伸べてきた
凛と一緒に学校生活を送るというのがどれだけ辛いのか知らないんだ

凛「……分かった」

ギュッ

でも凛はその手を握った
握った手は今までの中でも一番温かくて忘れられなかった

辛い日々をこの子が救ってくれる、そう信じてみたくなった

色が無くても眩しく見える笑顔を凛に振りまく

花陽「わああ…!」パアアア

花陽「ありがとう!一緒に頑張ろうね凛ちゃん!」

凛「う、うん!」

こうして凛の高校生活はやっと始まりを迎えたのだと思う

この子と一緒に。

~数日後

花陽「こんにちは!」

凛「こ、こんにちは…」

花陽「今日は凛ちゃんに私のお友達を紹介したいんだ!」

凛「う、うん…?」

花陽「はい、きてきて!」

「な、何よ…」

花陽「私のお友達!可愛いでしょ!」

「ふーん…まぁ…」

花陽「自己紹介」ボソッ

「はぁ…?」

真姫「…西木野真姫、まぁよろしく」

凛「あ、星空凛です…よろしくお願いします」

真姫「いい名前ね」

凛「あ、ありがとう…」

凛「……何も思わないの?」

真姫「何が?」

凛「凛…瞳真っ黒だよ?」

真姫「あぁ別に気にしてないわよ、大丈夫差別なんてしないから」

凛「う、うん…」チラッ

花陽「ふふっ」パチッ

かよちんはにこにこしながら凛にウィンクをしてきた

凛「!」

かよちんの無色の瞳から伝わったこと、凛のためにしてくれたことなんだ

花陽「やっぱ差別はダメだよね!」

花陽「真姫ちゃんみたいな人がいてよかったよ~」ギューッ

真姫「うぇえ…抱き着かないで!」

凛「………」

花陽「あ、ごめんね」

花陽「みんな同じクラスだから何か困ったらとりあえず相談してね?」

凛「うん…」

真姫「え、ええ…」

凛とは比べ物にならないコミュニケーション力に見透かせない心、なんでも出来そうな不思議な雰囲気を纏ったかよちんはいつも凛の傍にいた
口調は丁寧ながら砕けた感じが残り神出鬼没、いつもどこにいるのか分からないのがかよちん

真姫「………」カミノケクルクル

そしてこの真姫ちゃん
差別をしない人なんて初めてだ

瞳の色っていうのは頭の良さだとか人柄とかそういうものと同じくらい重要なもの
それなのに瞳の色を気にしてないってすごく珍しい人だ

ザワザワザワ

凛「!」

また聞こえる、汚す必要性もない無色の凛を汚す言葉が
だから最初の一文字も聞かずに耳を塞ぐ
目を閉じてじっとその声が止むのを待つ

花陽「凛ちゃん」

凛「!」

耳を塞ぐ手を優しく引っ張って閉じた世界を開けた

花陽「あそこ」

そう言いながら指を指してた

凛「ん…?」

凛「あの人が何…?」

花陽「あの子はねここでは…というか世界でもかなり有名な子なんだ」

花陽「今こんなに騒がしいのは凛ちゃんのことじゃなくてあの子のこと」

凛「どういうこと…?」

花陽「瞳がねダイヤモンドのようにキラキラしててその中でも透き通った青色…スカイブルーかな?そんな色でとっても綺麗って言われてるんだ」

花陽「年に一回、誰の瞳が一番綺麗か…なんていうコンテストがあるんだけど去年そこで大賞を取ってるんだ」

真姫「…皮肉なものよね、スタイルでもない頭の良さでもない産まれた時に引いたカードだけであんなにちやほやされて」

真姫「私たちは何を引いたんでしょうね、大富豪でいう4か5くらいかしら」

花陽「じゃああの子はジョーカー?それとも2?」

真姫「さぁ?どっちも引いたってパターンが合ってるんじゃない?」

「あ、君!」

凛「………」

「おーい!あなただよー!」

凛「…え?凛?」

「そうそう!」

穂乃果「初めまして!私は高坂穂乃果!」

穂乃果「とっても珍しい瞳の子がいたから話しかけてみたくなって!」

凛「え…あ、はい…」

花陽「………」

真姫「………」

穂乃果「真っ黒な瞳、吸い込まれそうで魅力的だね!」

穂乃果「黒って無色とか言われてるけど私はそうは思わないな!黒もちゃんとした色、そうでしょ?」

笑顔だけどどこか威圧感のあるトーンで回りに集る人に問う

シーン…

でもその問いに答える人はいなかった
これが現実ってやつ、名声がある人が何を言おうとも世界は傾かない

例え一つの学校という小さな世界だとしても。

穂乃果「あはは、ごめんなんか重い空気になっちゃったね…」

凛「い、いえ…」

穂乃果「とにかく私は別にあなた…あ、凛ちゃんだっけ?」

凛「は、はい…」

穂乃果「凛ちゃんのこと、変に見てないからね!いじめられたら私に相談するんだよ?」

穂乃果「私は凛ちゃんの味方だから!」ニコッ

ギュッ

凛の冷めた手を両手でギュッと握ってきた
真っ白い笑顔で白黒でもわかるいくつもの線や白が入った綺麗な瞳

凛「は、はい…」



真姫「ふんっ良いわよね、ああいう立場の人は」

花陽「あはは…それ私も思っちゃったかも」

凛「………」

花陽「あの人はね自我を貫くことでも有名なんだ」

花陽「回りに影響されない、自分の思ったことをやる、それがあの人のモットーなんだと思う」

真姫「さっきのは正直味方なんだか敵なんだか分からなかったわ、あの立場で言われても煽りとしかとらえられないもの」

凛「うん…凛もバカにされてるんだって思ってた」

凛「でも…ちょっとだけなら信じてみてもいいかな…って」

真姫「…まぁ凛がそういうなら…」

凛「………」ギュッ

制服の胸元を掴んでちょっとだけ深く考えた
もしあの人の凛への言葉が慈悲とか余裕とかそういうものだったら凛は別に必要ないなって思う

困ってるのは変わりないけどそんな気持ちで助けられたところで凛は救われない

~次の日

凛「…?!」

花陽「凛ちゃんどうしたの?」

凛「瞳…なにそれ…」

花陽「え?」

凛「…見たことない色がついてる」

花陽「え…もしかして色が分かるようになったの?」

凛「いや…瞳だけ色が…」

花陽「…何色?」

凛「…ごめん今まで白と黒しか見たことないから何の色か分からない」

花陽「そっか!じゃあ真姫ちゃんに聞きに行こう!」

凛「…うん!」

一生見れることがないだろう色が凛の世界に現れた
白と黒だけの世界、そこにとっても綺麗な色が着色した

花陽「おーい!真姫ちゃん!」

真姫「ん?どうしたの」

凛「!!」

真姫「凛…?目を丸くしてどうしたの?」

凛「真姫ちゃんにもある…」


凛「色が」


真姫「色?」

凛「瞳の色、瞳にだけ色がついてる」

花陽「真姫ちゃんの瞳は紫だね!」

凛「紫色…ブドウと同じ色なんだっけ」

真姫「そうよ、紫色」

凛「…綺麗だね、すごく綺麗」

真姫「そ、そう…ありがとう…」

花陽「あ、それで私の瞳の色なんだけど…何色に見える?」

真姫「黄色…じゃないかしら」

花陽「だって、凛ちゃん」

凛「黄色…星と一緒の色だっけ?」

花陽「うん!お星様と同じ色だよ」

凛「そっか…かよちんの瞳もとっても綺麗だね…」

花陽「…どうして見えるようになったんだろうね?」

凛「あまりよく…」

凛「あっ……」

真姫「どうしたの?」

凛「あの人たちにも瞳に色がついてる…」

そう指を指す先の女の子
何色かは分からないけどものすごく輝いてた

凛「………」

気付けば魅了されてて口を開けたままにしてた

花陽「あれはこの学校の生徒会長と副生徒会長さんだね」

花陽「副生徒会長はグリーンタイガーアイって呼ばれてて輝く緑に薄く黒い色が調和してて珍しくどこか不思議な瞳として結構有名なんだ」

花陽「生徒会長は瞳も綺麗だけどそれ以上にスタイルとか人柄の良さの方に注目が集まってる感じかな、とっても優しくてこれ以上の生徒会長はいないほどなんだって」

真姫「へぇ~…」

凛「あの二人の瞳は何色なの?」

花陽「副生徒会長の方はさっき言ったけど緑、生徒会長は青かな、副生徒会長の緑は普通の緑とちょっと違うけど…」

凛「緑と青…か」

凛「………」キョロキョロ

凛「他に瞳に色がついてる人はいないね…」

真姫「色が付いてる人といない人がいるの?」

凛「うん…二人とあの人たちにはついてたけど他の人は特に…」

花陽「どうして私たちだけは見えるんだろう?」

真姫「私にはよく…」

瞳に色がある人は限られてた
でもどういう理由で白黒の世界に色がついたのかが分からない

凛「………」ジーッ

ただ、凛はその色がある瞳を見つめた

その日初めて瞳に色があるということを知った

この輝く瞳に色が無いってなんて悲しいことなんだろう
身をもって実感した

「そんなにじろじろ見られたら恥ずかしいやん」

凛「!」ピクッ

花陽「あ、すいません…悪気は無いんですよ?」

「うんうん、知ってる知ってる」

「瞳のことで…ウチらを見てたんやろ?」

希「あ、ウチは東條希!副生徒会長やで」

凛「星空凛…です」

希「別にそんなにかしこまらなくてもいいんよ?先輩とか後輩とかウチは別に気にしてないし」

凛「い、いえ…」

真姫「そういえばさっき瞳にことでって言ってたけど…」

希「うん!真っ黒な瞳でウチを見つめる子がいてすぐにウチのこと見てるって分かっちゃった」

凛「………」

希「あ、別に貶してるわけやないんよ?ただ気付いた理由を…」

凛「あ、いえ分かってます…」

希「ふーむ……」ジーッ

凛「な、なんでしょう…」

希「…なるほど」

凛「?」

希「よしっ!ここはひとつ、凛ちゃんの運勢を占ったげよう!」

真姫「それは?」

希「タロットカード!ウチの相棒や!」

希「むむむ…はーっ!」

真姫「…声って必要なの?」

希「気合っていうもんや」

希「さて、カードは…ん?…」

花陽「トランプ…?」

真姫「スペードの3ね」

希「…ってこれタロットカードじゃなくてトランプやん!」

真姫「ふっ…」

希「あー!今笑ったやろ!」

真姫「だってあんな格好つけといてそれはないでしょ」

希「仕方ないやん!なんでトランプもってきてるねん!」

真姫「それはこっちのセリフよ…」

凛「ふふふ…」

希「あ、やっと笑えたね」

凛「え?」

希「ずっと無表情、或いはなんか悲しそうな顔してたやん」

希「憧れてるんやろ?瞳に色がある人たちに」

凛「………」

希「ならまずは根本的に色のある人間にならないと!」

希「よく笑う、よく怒る、よく泣く、もちろん無理に笑う必要もないし怒る必要もない」

希「でも笑える時は笑った方がええで?」

希「ウチの瞳は少し特殊だけどこの瞳に自信が持てる」

希「凛ちゃんがその瞳に満足してるならそこまでって感じの話やね」

凛「満足なんか…」

希「せやろ?はい」

凛「トランプの…」

希「スペードの3は大富豪で一番強いジョーカー対抗カードや、それ以外は何でもないけど存在意義があるなら充分に輝ける」

希「…あとは自分で考えること」

凛「…分かりました」

希「あ、ウチこの後用事あるからもういくね!」

希「また今度!」

凛「また今度」

真姫「すごい人ね…」

花陽「全部見透かしてるような人だったね…」

凛「………」

窓から見える白い桜を見つめる

色が判別出来ないという症状は技術が常に進化し続けてる今でも治療法がないらしい
だから色が見えるなんて奇跡みたいなものだった

瞳以外に色なんてついてない

どこも白か黒で構成されてる

花陽「桜…綺麗だね」

凛「…ごめん、その気持ち全然分からないや」

花陽「そっか…」

凛は色が見えないのがコンプレックスだった

みんなが喜んでた風景も景色も凛にはただただ殺風景なモノにしか見えなくて感受性を失ってた

ドラマやアニメの感動のシーンも白黒ならば感じれるモノも多くはない
ゲームでも常に白黒というハンデを背負ってプレイしてるうちにつまらなくなった

凛はまだ感じれる感情が乏しい

凛「桜って何色なの?」

花陽「ピンク色だよ」

凛「ピンク色?」

花陽「うーん…可愛い色!」

凛「可愛い色…?」

花陽「あはは…もうピンクの瞳の人に会ってみるしか分からないね…」

凛「そっか…」

凛「………」

窓に映るかよちんの瞳は黄色だったのに凛の瞳は無色だった
こういうところで無色な自分がイヤになる

“無色だっていいじゃないか”

いじめられるたび何回、何十回、何百回と思ったこと
なんで瞳の色だけでこんな酷い扱いを受けるんだって宛先の無く誰かに怒ってた

そしてそのうち理解したんだ

そんな自分が惨めだって

~数日後

凛「…あっ」

花陽「ん?あの子を見つめてどうしたの?」

凛「あの人の瞳にも色がある…」

花陽「あぁあの子の瞳が見えるんだ」

凛「何かあるの?」

花陽「あの子の瞳は赤色、それは普通の赤とは違って真っ赤でね」

花陽「宝石のように光に反射してまさにガーネットって呼ばれてるんだ」

花陽「あ、ガーネットっていうのは誕生石のことだよ、一月の」

凛「う、うん…」

花陽「アイドル志望らしくてね、あの瞳もあって将来有望って言われてるんだ」

凛「そっか…」

瞳だけで将来有望

なんて救いようのない世界だろう
瞳ってなんだろう、人の存在価値を決めるものなのかな

凛「…すごいね、あの瞳」

花陽「すごいね、引き込まれそうだもん」

花陽「輝いてるだけじゃない、引き寄せられる瞳だね」

凛「!」

花陽「どうしたの?」

凛「あの人たちも瞳に色が…」

花陽「あぁ、あれはオレンジ色だね」

花陽「二人とも同じ色でしょ?」

凛「うん…」

花陽「あの二人の瞳は全てが同じ色で構成されててね、まさに運命の人、前世でも一緒だった人なんて言われてロマンチックな人たちなんだ」

花陽「…すごいよね、瞳って」

花陽「私たちの瞳自身が宝石みたいになってるじゃん」

花陽「…でもね、だからこそ瞳がない人には厳しい世界なんだよね」

凛「………」

凛「…なんで凛だけ」

凛「なんで凛だけ…色が無いんだろう…」

花陽「………」

瞳なんか…そんな瞳の色を否定するような考えと同時になんで凛には瞳の色が無いんだろう、そんな瞳に縋る思いが共存してる

自分でもわかるんだ

凛の瞳にも色が欲しいってね。

今まで何回も挑戦して失敗して諦めた
瞳に色が無ければ見える世界に色もない

ホントに色が無かった

失敗するたび心が病んでいった
それでいつしか暗い性格になってた

原形も残らないくらいに。

「瞳黒い子だ~」

「可哀想だよね~…どうやって社会生きてくんだろう」

凛「………」ギリッ

花陽「り、凛ちゃん…」

瞳で全てが決まる世界、そんな世界になんか産まれたくなかった

ダッ

花陽「あ、待ってよ凛ちゃん!」

ダッ

さっき降り出した雨と全方向から聞こえる喧騒と二つの足音

輝く瞳を見るたびに死にたくなるほどの劣等感を感じる
失敗してきた分の憎しみがある

いくつもの可能性を蹴飛ばしてきた

花陽「待って凛ちゃんどこ行くの!」

凛「ほっといて!」

そう言い下駄箱で靴を履いて雨が降る外へ飛び出す

外に出ても後ろから聞こえる足音

ザーザーザー…

タッタッタッ

花陽「凛ちゃん!」

花陽「止まって!」

凛「うるさいうるさい!」

凛「カラーコンタクトなんて甘えてるから凛の気持ちも分からないんだよ!」

凛「カラーコンタクトして瞳がある人ぶってなんとかしてあげるとか凛の世話焼き人みたいな立場して鬱陶しいんだよ!!!」

凛「ただ凛の昂る感情を抑えようと頑張ってるのが見え見えなの!!!」

凛「それでも凛を慰めてきて逆に凛が惨めなんだよ!!」

花陽「……分かった」

花陽「今までごめんね、分からなかったよ」

花陽「でもね、そういわれてもまだ私を信じてほしいって思ってる」

花陽「もし…まだ私を信じてくれるなら私の手、取ってくれないかな?」

昂った感情に揺るぐことはなかった
冷静でそれでポーカーフェイスなのか顔一つ変えず真剣な眼差しで

また

手を差し伸べてきた

一回目はこれを信じて手に取った

でも二回目はどうだろう、ただ惨めになってくるんだ
慰められては届かない夢みせられてこんな瞳がないないって嘆いてたり色がないから誰かに怒ってたりする自分が惨めだってずっと気付いてたはずなのに

ずっと我慢してた

凛「……いよ」

花陽「………」

凛「その優しさが凛を惨めにするの!!!」

凛「あっちいけ!!!」

花陽「…うん、分かった」

花陽「ごめんね、今まで傷付けて」

そうかよちんが言った頃には凛の視界は真っ暗だった

その場で抱え込んで泣いてた

雨が降ってどれが涙なのかどれが雨なのか分からない
体だけじゃなくて心にまで染みる冷たい水がただただ時間と一緒に流れた

かよちんの冷たい声でまだ体が震えてる

怖くてかよちんの顔さえ見れなかった
その時の顔を見たらもう壊れちゃう自信がある

雨が打ち付ける音だけが響く

この世界も凛自身も救いようが無さすぎて嗚咽以上の事が始まらない

凛「おえっ…ひっ……」

凛の閉じた世界は更に閉じる

震えが止まらなかった

でも確かに感じた

心も体も冷えた凛に温かみをくれる存在を

ダキッ

花陽「辛いでしょ?独りって」

凛「かよ…ちん…?」

後ろから温かいかよちんの優しさを感じた

花陽「凛ちゃんが私のこと嫌いでも私は凛ちゃんのこと、好きだよ?」

花陽「凛ちゃんがどんなに私を嫌っても私はそれでも凛ちゃんを救いたいな」

花陽「世界で悲しんでる人を私は救いたい、でもそういうことだけじゃなくて私は凛ちゃんを救いたい!」

花陽「ここまで言う私の事、それでも信じてくれないかな?」

花陽「それでも信じてくれなかったら私は諦めるよ、凛ちゃんのこと」

スッ

凛からそっと離れて優しい風が凛を背中に流れる

花陽「一緒に行こうよ」

手を差し伸べてきてるんだ

凛「うぅ…うぇええええええええええん!!!」

グイッ

ギューッ

花陽「ぴゃあ?!」

凛「ごめんねかよぢいいいいん…」

否定する考えなどなしにすぐ振り向いてかよちんが差し伸べてきた手を引っ張って抱き着いた

花陽「ううん、気にしないで」

凛「……凛ねどうすることもできないんだ」

花陽「…何が?」

凛「瞳」

凛「何かをしたって何も変わらない、でもその変わらない現状にイライラしてて」

凛「でも変わらないものは変わらない、だからさ何もしなくていいんだって」

凛「何もしないことが一番楽で一番辛いことなんだって」

花陽「………」

気付いてはいたけどまだ希望を捨てたくなかった
そんな思いをかよちんに打ち明けた

花陽「凛ちゃん、私凛ちゃんに一つ嘘をついてたことがあるの」

凛「嘘…?」

そう言うとメガネを外して指でそっと目を触れた

花陽「私は凛ちゃんと一緒って言ったでしょ?実は私にも色、あるんだ」

凛「………」

花陽「…瞳の色、違うでしょ?」

凛「眩しい…」

花陽「あはは…ごめんね、そういう瞳なんだ私は」

花陽「私の瞳の色はピンク色、桜の色と同じなんだ」

凛「うっ……」

直視できないほど眩しかった
白黒だから余計に輝いてかよちんが見れなかった

花陽「そして片方は黄色の瞳」

花陽「オッドアイって知ってる?」

花陽「片目片目で瞳の色が違うんだ」

ギュッ

凛「!」

前が見えないけどその時確実に手に何かが触れた

すごく覚えがある温かみ
かよちんが手を繋いでくれた時の温かみとそっくりだ

花陽「何もできない、どうにもできないって言ったでしょ?」

花陽「違うよ」

花陽「困ったことがあったら私に相談してって言ったじゃん」

花陽「凛ちゃんの思い、すごく分かった」

ピンク色の光でまったくかよちんが見えなかった
ただ手に触れてる感覚だけを頼りにかよちんの存在を確認する

花陽「恥ずかしながら私の瞳ってね輝きを放ちすぎて逆に汚いの」

花陽「この片目のピンクが厄介な存在でね…」

花陽「だからカラーコンタクトっていう代用品を使った方がまだ綺麗でね」

花陽「…あげるよ、瞳」

花陽「カラーコンタクトじゃない、本物の瞳」


花陽「あなたに私の片目をあげる」


凛「まっ…どこ?!」

かよちんの温かみが消えて声が聞こえなくなった

凛「!」

次の瞬間パッと視界が変わった

凛「温かい…」

生暖かい風が吹いた
雨だった天気が晴れてた

でもそれだけで後は白黒の世界でかよちんが消えただけだった

凛「…っ」

かよちんを探しに学校を駆け抜けた
まだ十何日しか一緒にいなかったのに何故かかよちんと一緒に入れないのが悲しくなった

凛「真姫ちゃん!」

真姫「あれどうしたの凛」

凛「かよちん知らない?」

真姫「かよちん?誰それ」

凛「かよちんは花陽ちゃんだよ!知ってるでしょ?」

真姫「知らないわよ」

凛「えっ…」

凛「!」

凛「ない…」

真姫「何がないのよ」

凛「かよちんの机が無い…」

まさかとは思ったけど存在が消えたのかなと悪寒がした
もしそうならなんて不思議な話だろう

…いや気にするところはそこじゃない

かよちんはどこにいったんだろう

凛「ごめん、また後で」

真姫「あ、ちょっと!」

真姫「…かよちんって誰の事かしら」

その後色々な場所を回った
下駄箱に靴がなかった
凛の出席番号が1下がってた
真姫ちゃんがかよちんのこと何も知らなかった

何一つ痕跡が無いんだ

凛「…どこ行ったんだろ、かよちん」

凛「一人にしないでよ…」ポロッ

なんだか寂しくなった
何も思わなかったけどいざ失って初めて分かったこと

かよちんと一緒にいることで凛って救われてたんだなって

そもそも学校にこうやって登校し続けてるのもかよちんが学校で待っててくれたから
それが無ければ今頃引きこもってた

凛「………」

ポロポロ

ただ無言でいるだけなのに何色でもない涙が零れる

もし本当に存在が消えたのならばかよちんは凛に何がしたかったんだろう
存在が消えた、なんてまだ今の時代じゃ非科学的って思われがちだけど案外あっても不思議じゃないかもしれない

ずっと独りで小説読んでたせいかな
ファンタジー小説の読みすぎで不思議に慣れちゃってた

凛「うぅ……」ポロポロ

真姫「凛…どうしたのよそんなに泣いて…」

凛「真姫ちゃん…」

ギューッ

真姫「うぇえ?!ど、どうしたのよ?!」

凛「かよちんがあああぁ…」

凛「かよちんが消えちゃったよぉ…」

ポロポロ

真姫ちゃんの制服を涙で濡らした
時に目をあけて閉じて真姫ちゃんの制服をスリスリしてた

そんな時見えたんだ

制服の色が…ってあれ?

凛「……あれ?」

真姫「今度はどうしたのよ…」

真姫「!!!」

真姫「ねぇ凛…」

凛「ねぇ真姫ちゃん」

真姫「………」

凛「………」

凛「先、いい?」

真姫「いいわよ」

凛「色…見えるようになってる…」

真姫「!ホントに?!」

凛「…うん、真姫ちゃん綺麗だね美人さん」

真姫「ほ、褒めても何も出ないからね!」

凛「ふふっ分かってるよ」

真姫「じゃあ次に私ね」

凛「うん…」

真姫「瞳、色ついてるわよ?」

凛「…えっ」

真姫「穂乃果って人や希って人によく似た瞳」

真姫「光によく反射する瞳ね」


真姫「色は黄色…かしら?」


凛「黄色…」

花陽『…あげるよ瞳』

花陽『カラーコンタクトじゃない、本物の瞳』

花陽『あなたに私の片目をあげる』

凛「!」

凛「そういうことか…」

真姫「え?どういうことよ?」

希「どうやら理解したようやね」

凛「あ、希さん…」

希「んー…さん付けはいつになっても慣れないな~ちゃんでいいのに…」

希「んまぁそれは置いといて花陽ちゃんに会ったんやろ?」

凛「!」

凛「希ちゃんはかよちんの事知ってるの?!」

真姫「花陽…凛がいってた…」

希「うん!ものすごいお世話になった人やからね~…」

凛「お世話…?」

希「花陽ちゃんっていうのはね瞳に色が無い人を助ける神様みたいなものなんよ」

希「実はウチも二年前は瞳に色が無かったんよ?」

真姫「えっ…」

希「そんなとき、花陽ちゃんと会って凛ちゃんと同じように色をもらってどこかへ消えちゃった」

希「それでもらったのがこの緑と黒の瞳」

希「みんなからとっても綺麗って言われた、ははは…瞳が違うだけでここまで扱いも違うのはなんだか納得いかなかったな…」

凛「…分かるかも」

希「この前、凛ちゃんがあの黒い瞳でウチを見てる時はすぐにわかったよ、花陽ちゃんが近くにいるんだなって」

凛「え…?見えなかったの?」

希「ううん、多分見えてたと思う」

希「でもウチらが見えてたのは花陽ちゃんじゃない別人物だったと思うよ」

凛「そっか…」

穂乃果「…今年はやっぱりあなたなんだ」

真姫「あ、あなたは…」

穂乃果「えへへ…お久しぶりです」

希「おひさ~」

凛「今年はって…」

穂乃果「去年花陽ちゃんとあったのは私なんだ」

穂乃果「そしてもらったのがこのダイヤモンドのような輝きを放つ青い瞳」

真姫「ってことはあなたももしかして…」

穂乃果「うん!真っ黒な瞳だったよ」

穂乃果「私ね、ホントは真っ黒の瞳の差別をなくしたいんだ、でも誰も聞いてくれなくてね…」

凛「そういえばあの時…」

穂乃果「そうそう、誰も返事してくれないんだもん!酷いよ~…」

希「まぁそういうことなんやろうね、世界って」

穂乃果「あはは…そうだね」

希「それで穂乃果ちゃんと出会ってずっと待ってたんよ」

凛「…?」

希「花陽ちゃんの全ても兼ねてどういう子に色が付くのかを待ってたんよ」

穂乃果「とっても綺麗な色だね、トパーズみたいな輝き」

希「そしてまたウチらと同じような宝石のような瞳」

希「今凛ちゃんの瞳を見て思ったんよ、やっぱりウチらの瞳は花陽ちゃんの命なんだって」

凛「命…?」

希「うん!だからウチらはこの瞳で大きく胸張っていける!」

希「全部花陽ちゃんのおかげ!」

凛「………」

窓に映る凛の瞳はさっき見たかよちんの瞳とまったく同じだった

両目に黄色

花陽『………』ニコッ

凛「!!」

自分に見惚れてたら凛の瞳にかよちんがいて笑ってた

凛「………」ニコッ

瞬きをしたら消えちゃったけど
ただかよちんの笑顔と同じくらいの笑顔で凛も答える

桜が綺麗だった

ピンク色

かよちんの瞳と同じ色で凛を魅了する

凛「…ありがと」

希「うん!感謝は大事やで~」

穂乃果「私も花陽ちゃんに会いたいな~」

真姫「私蚊帳の外なんだけど…」

希「ごめんな~花陽ちゃんが消えちゃうとみんな花陽ちゃんのこと忘れちゃうんよ~」

真姫「そ、そう…」

希「凛ちゃんと言えば~?」

凛「…え?」

希「ほらほら凛ちゃんと言えば~?」

凛「え、え…えっ…」

穂乃果「イエローだよおおおおお!!」

凛「…?」

希「もぉ~ノリ悪いな~凛ちゃんの瞳は黄色なんだからそこは黄色だよかイエローだよでしょ~」

真姫「いやそのノリは私でもついていけないわ…」

希「どうした新人~」

凛「う、うん……」

希「もう一回いくよ~?」

希「凛ちゃんと言えば~?」



黄色



それがその子がくれた色だった

今思えばとっても不思議な人だった
瞳に関してとっても詳しかった
なんでも見透かしてたのは神様だったからかな?

凛「…また会おうね」

花陽『うん!』

その時、返事が聞こえたような気がした

外の桜が光ってた

これは、やっと青春を迎えた凛の物語

短い時間だったけれどとても長い…


かよちんがくれた色の物語


END

~~~

理事長「イエローだよおおおおおおお!!!」

理事長「産まれた瞬間手札が弱いカードじゃ生きてはいけません」

理事長「それもそのカードだけで世界が決まるとしたらもう終わりでしょう」

理事長「そんな世界だったのです、瞳で世界が決まる」

理事長「ふーむむむ…ここだ!」ピラッ

【ハートのJ】

理事長「あら~…なんとも反応に困るカードひきましたね…」

理事長「類似革命カード、効果は一ターンだけ革命と同じ状況を作る、というものでしたね」

理事長「どのカードにも強みはあります、その強みをどう活かすのかが重要なのです」

理事長「私の強みは色気…でしょうか?」

理事長「どう…私と一緒に遊ばない?」チラチラッ

ことり「………」ジーッ

理事長「あ、ことり?!」

ことり「お母さん…」

理事長「いや違うの!違うのよ!」

ことり「そう……」

理事長「やめて!その無関心な反応!」

ことり「そーだね……」

理事長「興味すら持たないのやめて!」

理事長「誤解なのよおおおおお!!」

六つ目終わりです
途中ものすごい眠くて寝落ちしそうでしたがなんとか終えられました
ここだけの話かよちんの瞳は正直ピンクというより薄紫って感じだけどピンクに一番近いのがかよちんだったから許して

~~~

理事長「絵は描く人の性格や心情などを表すとされています」

理事長「綺麗な色なら明るい性格、とても残酷の絵だから機嫌が悪い、と普段の色使い、今描いた絵の内容などで決まります」

理事長「でも性格や心情が反映されるのは絵だけではありません」

理事長「こういうモノも反映されるんですよ?」

~~~

ことり「……よしっ終わった!」

ことり「んー!長かったな~」

ことり「今日は荒らしの人もあんまりいなくて助かった…いたらやる気無くなっちゃうし…」

ことり「明日、コメントが楽しみだな~…」

ことり「頑張って書いたんだから色んな人に見てほしいな♪」



【ラブノベルス!!】

ことり「さて、今日は寝て明日にいこう!」

ことり「明日の練習も頑張らないと!」

ことり「おやすみ穂乃果ちゃあああん!」ギューッ

HJNN穂乃果「」

~一ヶ月後

ことり「おはよっ♪穂乃果ちゃん、海未ちゃん♪」

穂乃果「おはよー!」

海未「おはようございます」

海未「穂乃果、今日テストですけど勉強してきましたか?」

穂乃果「えっ…」ギクッ

海未「穂乃果…?」ギロッ

穂乃果「仕方ないじゃん!面白い小説読んでたんだから!」

海未「小説って…そんなの読んでる暇あるなら勉強してください!」

海未「…ん?小説ってまさか穂乃果小説読んでるんですか?!」

穂乃果「あ、小説とはいってもネットにあるやつだよ、誰かが書いた小説を読んでるの、小説本買うお金は今ありません…」

海未「なるほど…穂乃果も見てたのですね」

ことり「ん?海未ちゃんも読んでるの?」

海未「え?あぁはい、作詞で行き詰まった時に見てますよ、何かいい案が思い浮かぶかも知れませんので」

ことり「そ、そっか」

穂乃果「海未ちゃんも見たら絶対勉強なんて忘れちゃうから見てみてよ!」

海未「タイトルは?」

穂乃果「えーっと、海色少女に魅せられて…だっけかな?」

ことり「!!」

海未「あ、それなら私も見ましたよ、結構前のやつですよね?」

穂乃果「そうそう!ほのちゃんとうみみ君の届きそうで届かない恋!」

海未「いいですよね…実はあれ私たちは未来の花で参考にした作品なんですよ…」

穂乃果「へぇー!すごいすごい!」

穂乃果「…あ、ごめんねことりちゃん話ついていけてないよね?」

ことり「…え、あっううん大丈夫だよ、私ちょっと考え事してるから話続けてて?」

穂乃果「え、でも…」

ことり「大丈夫大丈夫!」

穂乃果「う、うん…」

穂乃果「……あ、そういえば丁度昨日その作者の人が新しい作品出してたよ!」

ことり「!」ピクッ

海未「え?!ホントですか?!」

穂乃果「タイトルは確かー…」

穂乃果「スピカテリブルだっけかな?」

海未「スピカテリブル…ですか」

穂乃果「うん、内容はまだ見てないや」

海未「そうですか…では帰ったら私も見ましょうかね…」

穂乃果「うん!私も見る!」

ことり「………」ダラダラ

穂乃果「ん?ことりちゃんどうしたの?顔真っ青だよ?」

ことり「え?なんでもないよ!ナンデモ…」

穂乃果「?」

海未「…それでテストはどうなりました?」

穂乃果「………」

海未「………」

穂乃果「…助けてことりちゃーん!」ギューッ

ことり「ぴいぃ?!」

海未「ぷっ…あ、すいません…どうしたんですかそんな声あげて」

ことり「あ、いやちょっとびっくりしちゃって…」

ことり(二人の会話の内容にビックリだよぉ…)

穂乃果「とにかくいこ!ぶっつけ本番で勝負だよ!」ダッ

海未「はぁ…ダメですねこりゃあ」

ことり「………」

海未「ことり?」

ことり「ん?どうしたの?」

海未「さっきから大丈夫ですか?ひきつった顔してますけど…」

ことり「あれ?そ、そんなかな…?大丈夫だよきっと」

海未「そ、そうですか…」

ことり「私たちもいこ!」

海未「は、はい!」

~部室

ことり「何見てるの?」

花陽「ネット小説です!」

ことり「ネット小説?」

花陽「この人の作品がとても感動出来て読んでると止まらなくて止まらなくて…」

ことり「どんな作品なの?」

花陽「題名は孤独なheavenっていいます」

ことり「こど…え?!」

花陽「え?どうかしました?」

ことり「あ、いや…なんでもないよ!なんでも…」

花陽「好きな人がいるのにその人は別の誰かを好きになってるようで近づけない、だから片思いでいいの…でもやっぱり片思いはいやだよっていう話です、すごくすごく感動しました…」

ことり「そ、そっか…」

真姫「へぇー花陽もそういうの見てたんだ」

花陽「真姫ちゃんも見てたの?」

真姫「まぁね、実はいうと私が見てたのもその人の作品だし」

花陽「題名は」

真姫「Anemone Heartよ」

花陽「あぁ!私も見ました!二人の人が同じ人を好きになってしまって何もかも相手の人に劣るおとりちゃんと相手のそらみちゃんで取り合うのがいいですよね!」

真姫「それ!見てて退屈しなかったわ」

ことり「………」

凛「!」ピクッ

希「ん?凛ちゃんどうしたん?」

凛「あ、いや…」

希「?」

凛「凛も…実は真姫ちゃんが見てたやつ見てたなって…」

希「あーなるほど、というか凛ちゃんもそういうの読んでたん?」

凛「う、うん…ちょっとだけ…」

希「どうだった?」

凛「…とっても恥ずかしいけど面白かった」

にこ「ふはっ…あ、ごめん」

希「にこっちぃ?笑っちゃダメやで今のは」

にこ「だからごめんって言ってるじゃない」

花陽「凛ちゃんは…どんなの見てたの?」

凛「くるりんMIRACLEってやつだよ」

絵里「あら、意外にガチ目なの見てるのね」

希「え?えりちも知ってるん?」

絵里「ええちょっとチラッとみて面白いなって思ってね」

希「どんな物語なん?」

絵里「恋も知らないような子が幼馴染の女の子に恋しちゃう、禁断の恋系物語よ」

真姫「へぇ面白そうね、帰ったら私も見ないと」

花陽「同じくです!」

にこ「まさか凛がそんなオトナの階段上ろうとしてるなんて…」

凛「えへへ…」テレテレ

穂乃果「おまたせー!」

海未「すいません、お待たせしました」

凛「あ、じゃあ練習いっくにゃー!!」

にこ「切り替えはやっ…」

穂乃果「さっ海未ちゃんいこ!」

海未「はいはい」

ことり「………」

希「どうしたんことりちゃん」

ことり「ううん、何でもない」

希「あ、もしかしてみんなの話についていけないとか?」

ことり「ううん、大丈夫だよ一応は見てるつもりだから」

希「そっか、ならいいけど」

ことり「…心配してくれたの?」

希「当たり前やん、ウチはいつでもみんなのこと見てるんやで?」

ことり「…ありがと希ちゃん」

希「どういたしまして」

ことり「いこっか、私たちも」

希「そうやね!」



ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ん?なーに?」

ことり「一緒に帰らない?」

穂乃果「あー…ごめんね、今日ちょっと用事があって…」

ことり「そっか…分かった、また今度!」

穂乃果「うん!また今度!」

タッタッタッタッ

ことり「はぁ…近いのに遠いなぁ…」

「お待たせ!」

ことり「ん…」

穂乃果「ごめん待たせちゃったね」

海未「いえ、大丈夫ですよ」

ことり「!」

ことり(用事があるんじゃなかったの…?)

ことり「………」ギリッ

~家

ことり「……はぁ」

ことり「穂乃果ちゃあああああん!!!!」モギューッ

HJNN穂乃果「」

ことり「あー!!どうしよどうしよ!!」

ことり「私の小説……」

ことり「みんなに見られてるー!!!!」

ことり「どうしよう穂乃果ちゃん!」

HJNN穂乃果「」

ことり「………」

ことり「ふぇええええん!まずいよぉ…」

ことり「私の物語は全部…みんなのことを具現化させてるなんて…」

ことり「みんなの前では口が滑っても言えないよおおお!」

ことり「希ちゃんなんとかしてえ!」

HJNN希「」

ことり「………」

ことり「よしっ!そんなこと忘れて新しい小説書こう!」

ことり「次書くやつはもう決めてるからさっさと始める!」タカタカタカーン

ことり「………」チラッ

HJNN穂乃果「」

ことり「穂乃果ちゃん…どうして…」

穂乃果『ごめん待たせちゃったね』

海未『いえ、大丈夫ですよ』

ことり「嘘までつく必要ないじゃん……」

ことり「………」

HJNN穂乃果「」

ことり「…嘘つき」

~数日後

穂乃果「海未ちゃん!海未ちゃん!」

海未「なんですか?」

穂乃果「あの人の新作来てたよ!」

海未「あ、やっと来たんですね」

穂乃果「タイトルはBeat in Angelだったかな」

穂乃果「読んできたけどすごい良かった!」

海未「どんな物語なんですか?」

穂乃果「くるりんMIRACLEってやつあったでしょ?あの主人公の燐ちゃんが恋したかよちゃんの友達、マッキーちゃんを一目惚れさせちゃって三角関係が出来上がっちゃうっていう物語」

海未「いいですね!帰ったら見ときます」

ことり(昨日出来上がった小説もう見てたんだ…)

穂乃果「でも今回はかなり刺激的だったんだよね」

海未「刺激的?」

穂乃果「ドロドロしてる内容でね、読んでて胸が痛かったよ」

海未「ほぉ……」

穂乃果「まぁそこは読んでみてよ!」

海未「ええわかりました」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「ん?なに?」

穂乃果「ことりちゃんも読んでみたら?」

ことり「小説?」

穂乃果「うん!」

ことり「うん、時間があったら読んでみるね♪」

穂乃果「読んだら感想きかせてね!」

ことり「うん!」

穂乃果「いやぁああいうの書ける人ってすごいよね!」

海未「確かにそうですね、余程恋を経験をしてるのでしょうか」

海未「穂乃果が見てるような漫画と違って内容にリアリティがあるのでどこか共感できる部分や初めて知ることみたいなのもありますね」

穂乃果「うーん…どうなんだろうね、でもどんな人が書いてるんだろうなぁ、会ってみたい!」

ことり「…案外身近にいたりしてね」

海未「身近に?」

ことり「うん!」

穂乃果「うーんどうだろ…」

ことり「ふふふっ…」



穂乃果「海未ちゃーん!ちょっと一緒に来てよー!」

海未「あ、はいはい」

穂乃果「じゃあ後でね!ことりちゃん!」

ことり「う、うん!」

ことり「はぁ……」

ことり(穂乃果ちゃん…ずっと海未ちゃんと一緒だなぁ…)

ことり(やっぱり穂乃果ちゃんは…)

ことり(…こんなにも穂乃果ちゃんに気付いてほしくて頑張ってるのに)

ことり(………)

ことり(次の小説の内容決ーめたっ)

ことり(今のうちにメモしておこう)カキカキ

ことり「……はぁ、惨めだなぁ」

~また更に数日後

花陽「見ましたか!あの人の新作!」

真姫「見たわよ、今回は至ってシンプルな内容だったわね」

花陽「そうですね、えっと純愛レンズでしたよね、好きな子の好きな子を知ってるからこそ伝えられない想いがあり実らない始まらない永遠の片思いを描いた作品でしたね」

絵里「でも最後は結ばれてよかったじゃない、勘違いだったっていうオチで終わったし」

にこ「つまらないわよねぇ…」

絵里「え?」

にこ「なんでそこに勘違いなんて要素いれるのかが謎ね、刺激が無いのよそういう路線は」

ことり「…っ」

にこ「ありふれ過ぎててそういう系は面白くないのよ」

真姫「まぁ面白くないかはさておき一理あるわ」

花陽「でも!のんちゃん報われてよかったじゃないですか!エリオット君ものんちゃんのこと好きって両想いでしたし!にこにーちゃんはよくわかりませんけど…」

穂乃果「うんうん!そこが悪いとしても片思いっていうのはとてもいいと思ったな、なんか切ない感じがよく表現できてるっていうか…最後はいい感じに終わってくれたし」

穂乃果「私も憧れちゃうなぁ…あんなストーリー…」

ことり「………」ガタッ

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「ごめん、今日はもう帰るね」

穂乃果「え?!急にどうしたの?!」

ことり「ううん、なんでもない、ちょっと家の用事があるだけだから気にしないで」

ことり「じゃ、じゃあね!」

ガチャン!

希「…ことりちゃん?」

~家

ガチャン!

ことり「はぁ…はぁ…はぁ…」

穂乃果『憧れちゃうなぁ、あんなストーリー』

ことり「片思いに憧れる…?」

ことり「片思いの辛さを知らないんだよ…穂乃果ちゃんは……」

にこ『ありふれ過ぎててそういう系は面白くないのよ』

ことり「うるさいうるさいうるさい!!!」

ことり「ありふれてて何が悪い!」

ことり「夢くらい自由にさせてよ!!!」

ことり「みんなみんな…何も知らないんだよ…」

ことり「何も知らないから良いとか、悪いとか言えるんだよ…」

ことり「………」グッ

HJNN穂乃果「」

ことり「穂乃果ちゃ……」

ことり「…やめよ、余計惨めになるだけだよね」

ピンポーン

ことり「…居留守しよ」

ピンポーンピンポーン

ことり「………」

ピンポンピンピンピンピンポーン

ことり「あああうるさい!」

ことり「誰ですか!」

ガチャ!

希「やっほーことりちゃん、なんか心配になってきちゃった」

ことり「…希ちゃん」

希「何かあったんでしょ?顔赤いよ?」

ことり「………」

希「言ってみ?ウチならなんとかできるかもしれない」

ことり「ううん、無理だよどうにもならない」

希「そんなん言ってみないと…」

ことり「大丈夫、私ホントに忙しいからもう行くね、それじゃあね」

ガチャ

希「あ、ちょっと!」

ことり「………」ギューッ

HJNN希「」

ことり「助けてよ……」

ことり「片思いなんて…イヤだよ…」

モッギュー

HJNN希「」

~一週間後

絵里「ねぇ見た?あの人の新作」

花陽「はい、見ました、今回はとてもショッキングな内容で…」

にこ「ショッキング?」

真姫「前にこちゃんがつまらないっていってた話あったでしょ」

真姫「あれの別編、片思いの子が好きな子の好きな子を殺しちゃうのよ」

にこ「そ、そうなの…」

穂乃果「で、でも可哀想だよね…片思いの子」

穂乃果「そうなっちゃうまで追い込まれて…」

花陽「確かに辛いです…」

にこ「殺すってその殺した子どうしたのよ?」

真姫「殺したことは誰にもばれないまま結ばれたわ」

にこ「ふーん…って感じね」

ことり「………」ピキピキ

海未「でも急にどうしたんでしょう、前まではそんな不穏なストーリー書いてなかったのに」

凛「むしろ甘々なやつが多かったよね」

穂乃果「ギャグマンガとか描いてる人って病みやすいんだって、つまりはそういうことじゃない?」

ことり「!」ピクッ

真姫「安直ねぇ…」

ことり(私が…病んでる…?)

にこ「よくあるパターンをやってるだけよ、私を驚かせてくれるような展開はいまんところないわね」

海未「実際のところどうなんでしょうね…」

凛「凛は昔みたいなのが見たいなー…今のはちょっと…」

真姫「分からなくもないって感じね」

絵里「ネタ切れなのかもね」


穂乃果「もっと見たかったなぁ…」


ことり「うるさい!」バンッ

希「!!」ピクッ

海未「こ、ことり…?!」

穂乃果「ことりちゃん…?!どうしたの…?」

ことり「あっ…ごめんなさい!」ダッ

ガチャン!

希「ことりちゃん!ウチいってくる!」

絵里「…え?どういう状況?」

真姫「まったく分からないわ……」

にこ「ことりに何かあるってことでしょうね」

穂乃果「私も行ってくる!」

海未「私もいきます!」

凛「あ、ちょっと!」

花陽「喧嘩…ではないですよね、穂乃果ちゃんも海未ちゃんも何も知らなそうでしたし…」

~屋上

ことり「うぅ…ひっぐ…んぅ…」

ことり「妄想くらい…好きにさせてよ……」

ことり「今の私はどうすることだってできないんだから…好きにさせてよ!」

ことり「何も知らないくせに文句ばっか言わないでよ!!!」

希「ことりちゃん!」

ことり「なに!」

希「ど、どうしたん…そんなに怒って…」

ことり「なんでもいいでしょ!!」

希「そんな怒らないで話してごらん?ウチ、何も言ってないやんさっきの話で」

希「そんな小説の物語なんか読んでないからウチとことりちゃんは同じ立場、辛いことがあるならいってごらん?」

希「他のみんなは敵でもウチは味方やで?」ニコッ

ことり「希ちゃん……」

ことり「ふぇえええええん!!」ギューッ

希「んーよくわからないけど辛かったね…」ナデナデ

ことり「私が書いた小説…みんなが見てて…」

希「!まさかそれを批判されたから…?」

ことり「ううん違うの…あれは私の妄想なの…」

希「ことりちゃんの妄想…?」

ことり「…私ね、穂乃果ちゃんが好きなの」

ことり「でも穂乃果ちゃんは海未ちゃんが好きだから…私には届きそうで届かない恋なの…」

ことり「だからまず海未ちゃんと穂乃果ちゃんが主要人物の海色少女に魅せられてっていう小説を作った」

希「あ、穂乃果ちゃんが言ってた…」

ことり「届きそうで届かない恋、まさに私と穂乃果ちゃんでしょ…?」

希「………」

ことり「次に作ったのが孤独のheavenという物語」

ことり「この思いはいつになっても伝えられないっていう片思いの物語なんだけどやっぱり片思いはイヤだよって強く思って最後は思いを伝えるんだけどさ…穂乃果ちゃんと海未ちゃんがいつも居て一度は諦めたはずだった、けどやっぱり諦めなかったの…片思いじゃイヤなの!」

ことり「そして次に作ったのはAnemone Heart」

ことり「二人の女の子が一人の男の子に恋する話、二人の女の子は海未ちゃんと私、男の子の方は穂乃果ちゃん」

ことり「ほら…私って海未ちゃんには何もかも負けちゃうから…現実でもそういう中で穂乃果ちゃんを取るしかなくて…もちろんは最後は私のつもりで書いてた主人公を選んでくれるんだけど本当に起こってくれれば最高だよね…」

ことり「更に作ったのがくるりんMIRACLE」

ことり「あれは私の始まりの物語のつもりで書いたんだ、私が穂乃果ちゃんに恋する物語としてね」

ことり「そしてそして更に作ったのがBeat in Angel」

ことり「あれは一年生の三人を使ったの、燐、かよ、マッキー」

希「あ、言われてみればほとんど同じ…」

ことり「でしょ…?主役の燐ちゃんは穂乃果ちゃん、燐ちゃんに好意を寄せられるのは海未ちゃん、そして燐ちゃんに一目惚れするのマッキーちゃんは私」

ことり「この物語って単純な三角関係を描くんだけど最後はマッキ―ちゃんが燐ちゃんを堕としちゃうんだよ?燐ちゃんはかよちゃんのことなんか考えられなくなるほどにマッキ―ちゃんに魅了されちゃう」

ことり「…もしそうなったら素敵でしょ?」

ことり「そして次に書いたのが純愛レンズってやつ、希ちゃんも知ってるでしょ?」

希「…うん」

ことり「主人公で希ちゃんをモチーフにしたのんちゃん、彼氏役で絵里ちゃんをモチーフにしたエリオット君、彼女役でにこちゃんをモチーフにしたにこにーちゃんで作られた勘違いから招く三角関係の物語」

ことり「最後は勘違いってことで結ばれるけど現実は違うじゃん…?」

ことり「穂乃果ちゃんは海未ちゃんにべったり、約束はいつ頼んでも断られるし一緒に帰ろうっていっても用事があるって言われて断られるけどホントは海未ちゃんと帰ってるし…」

ことり「だから次第に海未ちゃんがいなくなればな…って思ってね」

ことり「だからさっきみんないってたストーリーを作った」

ことり「ほら、海未ちゃんのつもりで書いたにこにーちゃん、殺されていなくなっちゃうでしょ?」

ことり「…もちろんそんなことしないけどね、妄想くらいは好きにさせてほしかったな、文句なんかいわないで」

希「…そういうこと」

ことり「うん…」

ダキッ

ことり「!」

希「うん、ことりちゃんの気持ちよーく分かった」

希「ならまずは小説をやめることから始めて…」

希「そうして……」

ことり「…?」

希「耳貸して?」

ことり「うん…」

希「――――」

ことり「!」

ことり「…分からないよ、返事はまだ分からない」

ことり「でも返事は必ず返すよ近いうちに」

ことり「やることやってからこの話をしよう?」

希「…うん、わかった」



穂乃果「…ことりちゃん、そんなこと考えてたんだね」

海未「ええ…」

穂乃果「…勘違いなんだよね」

海未「ええ…」

穂乃果「私もね、ことりちゃんのこと大好き、もちろん特別な意味で」

穂乃果「誕生日のプレゼント、海未ちゃんと決めててことりちゃんとの関係を疎かにしてたんだね…」

海未「伝えるべきだと思います、本当のこと」

穂乃果「うん、分かってるよ」

~二日後

「私たちずっと一緒だよ?」

「うん♪」

「はい!」

私の日常も当分、変わりそうにありません
毎日ぐーたらして喜怒哀楽な日々です

今日も世界は平和です!

「あ、これちょうだい!」

「ダメです!」

「えーじゃあこれ!」

「ダメですよ!」

「えー…」

「ちゃんと決まりは守らないと―――のおやつにしちゃうぞ?」

今日もおやつの取り合いでした
―――ちゃんの好きなマカロンや――ちゃんの好きなおまんじゅう!

「…ふふっじゃあこーれくーださい!」

「…うんっ♪」

私も食べたかったのに先に取られて食べられなかった…毎日こんな感じ…
でも明日は…とれるよね?

頑張れ私!

カチッ

ことり「…よし、出来た」

ことり「…おしまい、私の小説は終わり」

ことり「んーっ!疲れた~…」

ことり「はぁ寝よ、明日も練習頑張らないと!」

ことり「希ちゃああああああんん!!!」ギューッ

HJNN希「」

~次の日、昼

絵里「知ってる?あの人の作品、昨日でたやつで最後らしいわよ」

花陽「みたいですね、最後と聞いてどんなのかと思いましたが…」

真姫「まさかの日常系っていうね」

絵里「まぁいいんじゃない?私結構好きよあれ、笑えたし」

花陽「はい!変な終わり方をするより日常を描いて平和的に終わるのが良いと思います!」

真姫「いやまぁそうだけど…最後の最後で恋も愛も何もないほのぼのってなんか締まらないじゃない…」

真姫「今までが恋とかそういうラブストーリーであったようになんか納得いかないのよ」

にこ「ふっ分かってないわね」

真姫「え?」

にこ「真姫ちゃん…というか花陽や絵里もあの物語を軽く見すぎなのよ」

絵里「え?何があるっていうのよ」

にこ「最後のセリフ言ってる人が明らかに違うじゃない」

にこ「ちょうだいからください、ダメですという丁寧口調からタメ口でうんって別人じゃない」

にこ「だからここに第三者が介入してるのよ、そして―――のおやつにしちゃうぞっていうのは隠語なのよ」

にこ「そこからおやつって単語は全て好きな人って意味になるのよ、そして第三者が―――を略奪したからおやつの取り合いなのよ、毎日こんな感じ明日はとれるよねっていうのは―――を奪えないってこと」

にこ「つまり略奪愛ってことよ」

真姫「は、はぁ…」

絵里「無理やりすぎない?」

花陽「で、でもすごい良いと思います!」

凛「深読みなようなそんな感じがするような…」

にこ「いやこういうことでしょ!私は最初からこうだと思ってたわよ!」

真姫「まぁそういうことにしとけばいいんじゃない?私も後で確認しとくわ」

絵里「まぁ最後だしね、そういうのがあっても不思議ではないわね」

凛「最後かー…くるりんMIRACLEの続きが見たかった…」

にこ「それがBeat in Angelでしょ」

穂乃果「ことりちゃん、ちょっといいかな?」

ことり「あ、今は…というか今日はちょっと用事があって…」

ことり「ごめんね…」

穂乃果「う、うん!わかったまた明日ね!」

ことり「うん!じゃあね!」

タッタッタッタッ

「ことりちゃん!ちょっといい?」

「うん!」

穂乃果「ん…」

希「ことりちゃん今日ウチにこない?」

ことり「いくいく!」

希「よし!じゃあ部活終わったら帰らんでよ?」

ことり「はいはーい」

希「じゃあお昼食べに行こ!」

ことり「うん!」

穂乃果「ことりちゃん…?」

ことり「希ちゃん、明日はどこに連れてってくれるの?」

希「明日は休みだしどっか楽しめるところいこうか」

ことり「うん!」

穂乃果「ことりちゃん!!」

ことり「希ちゃん!」

希「ふふなーに?」

穂乃果「っ!!!」

叶わぬ恋は連鎖します

片思いに憧れた少女は本当の片思いになってしまい誰かが書いたストーリーのように届きそうで届かない恋となり好きな子には更に好きな子がいるという事実を目の当たりにするのでした

そしてとある少女は勘違いで片思いをしていた少女を略奪したのでした
もうその少女しか見れないくらいに魅了され片思いの少女は両想いへ

略奪者の手によって深く堕ちていく少女と本当の片思いになってしまった少女

二人の距離は近いけど遠い、錯覚を起こすような距離でした

二人の哀れな少女は一生報われない恋を続けるのでした

カチッ

希「ふふっ完成」

希「穂乃果ちゃん、いい役者になれるかもね」

希「ことりちゃんを必死に呼ぶ穂乃果ちゃんの顔、可愛かったなぁ…」

希「…まぁそれも空回りなんだけど」

希「さて明日のコメントが楽しみやな~…」

希「ウチの最高傑作、是非色んな人に見てほしいな~」

希「さて…」

ことり「希ちゃんお待たせ!」

希「おかえりー!」

ことり「なんか通い妻みたいだね…」

希「なっ…通い妻はことりちゃんなのに聞いてるこっちまで恥ずかしいやん!」

ことり「ごめんごめん、それではいおやつのチーズケーキ!」

希「うわぁおいしそう!一緒に食べよ!」

ことり「うん!」

後にその小説は話題になりました

その小説は実話、本物の恋を描いた


ラブノベルス


だったのです

報われない恋と間違った形で報われた恋の物語

どんな形でも愛は愛ですから。


カチッ


END

~~~

理事長「その数々の小説は少女の欲望を中心に書かれた物語だったのです」

理事長「誰かがやめたら次に誰かが始めます、誰かの片思いが終わると誰かの片思いが始まります」

理事長「三角関係ってそういうものでしょう?」

理事長「あ、私もことりとイチャイチャする小説でも作ろうかしら…」

理事長「いやでも小説なんて作ったことないし…絵も描けないし…」

理事長「ここは態度で示すものよね!」

理事長「よし!さっそくアナウンス流すわ!」

理事長「待っててねー!ことりー!!!」

ピーンポーンパーンポーン

『ことりー!大好きよー!!』

七つ目終わりです
そして先に言っておきますが八つ目は真姫の物語なんですが今までの内容と比べて内容がぶっ飛んでるのと分かる人向けなネタが多いです
もちろん笑って見れないような内容ではないのですが…作ってて不安になったので一応忠告をと思い言っておきました
その八つ目もよろしくお願いします

~~~

理事長「あなたはゲームでチートをしたことがありますか?」

理事長「…と言っても何のことか分からない人がいますよね」

理事長「改造です」

理事長「ステータスカンスト、無敵、所持金MAXなど…」

理事長「チートは日本語でズルという意味です、ですが一種に楽しみ方でもあります」

理事長「しかし改造をしてるとアレが起こるんですよ…」

理事長「どの世代のゲーマーでも体験するアレが…」

~~~~~

真姫「…よし、勉強終わり」

真姫「さてさて…終わればやっぱりこれよね」

真姫「仮想世界に行けるゲーム機!」

真姫「これをつけて…っと」

真姫「起動よ!」

ピッ

プワプワ…

マキ「…よしきたわ」


マキ「仮想空間、オトノキへ!」



【チーター冒険記】

マキ「さて、チートの準備をっと…」

ここは仮想空間、オトノキ
最近発売した、仮想空間に入れるゲーム機で行ける世界
アイマスクのように目を隠し頭にはめるようなゲーム機ではめて起動ボタンを押せば仮想空間にひとっとび
仮想空間にいる間は眠ってる状態になってるわ
安全性はもちろん保障されてるから気楽にプレイ出来る

「ようこそオトノキへ」

マキ「メインストリートへお願い」

「かしこまりました」

マキ「よしチートの準備完了ね」

このゲーム機で出来ることはたくさんあるんだけど今私がやってるのはオンラインで色んなゲームが遊べるボリューミーなゲーム

まぁパーティーゲームみたいなものよ

それでこの世界では現実の世界の姿を持ってくるのじゃなくて仮想上で活動するアバターを作るんだけどめんどくさいから現実の世界の姿をリンクさせたわ

え?どうやってやったかって?

チートよ

発売日だろうと少しコードを見れば改造なんて簡単よ、私の腕なら。

あ、そうそう後アバターとか姿と同じで名前もオンラインネームを使うのだけどこれは別にこだわりとかないからマキにしてるわ

マキ「…あれ?」

マキ「何も起こらない…」

マキ「ボタンが効かない…メニューが開かない…」

マキ「不具合かしら…仕方ないから現実に戻って少し待ってからやりましょう」

ピッ

プワプワ…

マキ「…あれ?」

ピッ

プワプワ…

マキ「戻ってないんだけど…」

ピッ

プワプワ…

マキ「戻ってない…もしかして…」


マキ「バグった…?!」

改造をしたことがある人なら必ず経験したであろう

“バグ”

改造のし過ぎ、或いは改造をしたせいで正常に回ってるシステムに予期せぬ動作が割り込んでゲームがおかしくなることをいうのだけど
まさに今その状態ね
大体の場合はフリーズなんだけど酷い時は背景やグラフィックが黒くなったり敵や障害物の原形が分からないくらいに変形したりと様々

それで問題なのが

マキ「現実世界に戻れない…これじゃあ私死んだようなものじゃない…」

仮想世界にいたままだと現実の私は眠ってる状態になる
もちろん強制ログアウトとかそういう機能はあるけどまだまだ機能しない

現実世界に戻れないしバグったここじゃあ何もできないし何をすればいいのかわからなかった

ピコーン

マキ「!」

マキ「…何?」

突然鳴りだした何かの起動音

マキ「うっ…何…?!

次の瞬間回りが光りだす
前が見えないほど眩しく五秒間ほど目が眩んだ

キーンコーンカーンコーン

マキ「うぅ、何ここ…?」

マキ「ん?ここって…」

すごく見覚えのある場所だった

ガララ!

リン「はーい!こんにちはー!」

ハナヨ「こ、こんにちは…」

マキ「!」ピクッ

マキ「え、凛と花陽じゃない、何してるのよ」

リン「ノーノ―!リンは凛ではありませーん!」

リン「とまぁ要らぬ話はさておきー!」

マキ「…なにそのキャラ」

リン「マキちゃんは今からリン達とクイズ勝負をしてもらいまーす!」

ハナヨ「勝負です!!」

マキ「はぁ…?」

リン「この勝負に勝てたら次のステージにいけまーす!」

マキ「次のステージ?」

リン「最後のステージをクリアしたら現実世界に戻れまーす!」

マキ「なるほど…そういうことなら勝負よ!」

マキ「…そういえばここって」

リン「そうでーす!音ノ木坂でーす!」

マキ「やっぱり…」

そう、音ノ木坂の教室だ
空は雲一つない快晴

三つイスと机があってそれ以外特に何もない貧相な教室

リン「ではー!そこの三つのイスの好きなところに座ってくださーい!」

マキ「じゃあ一番近いこの真ん中のイスで」

リン「はーい!わかりましたー!」

リン「クイズは目の前にある黒板さんが出してくれまーす!」

黒板「よろしく」

マキ「なにこの黒板…」

チョークが動いてよろしくと字を書き始めた

リン「そこの机にあるボタンを押してから回答してくださーい!」

リン「間違えたら一回お手付きでーす!」

リン「先に三問正解した人が勝ちでーす!」

ハナヨ「勝負です!」

マキ「いいわ、ささっと終わらせるわ」

マキ(花陽はともかく凛はそこまで警戒すべき相手じゃないわね…とっとと終わらせて現実に戻りましょう)

ハナヨ「そういえばマキちゃんの衣装可愛いね♪」

マキ「あ?これ?一番可愛いの選んだのよ?」(覚醒アイドル衣装編)

マキ「花陽のも可愛いわね」フフッ

ハナヨ「ほ、ほんと?!ありがとう!」(覚醒おとぎ話編)

リン「リンのはリンのは?!」

マキ「ええ可愛いわよ」

リン「にゃ~…」(覚醒七福神編)

リン「…あ、第一問でーす!見てる人もよかったらやってね♪」

マキ「は?誰にいってるのよ」

リン「誰でもありませーん!」

デデン!

マキ「!」ピクッ

黒板「第一問」

黒板「穂乃果のソロ曲は」

バンッ!

マキ「五曲!」

ブッブー

マキ「え?なんでよ!五曲じゃない!」

花陽「まだ問題は書き終わってないです!」

黒板「五曲ですよね、さて問題のほうですが」

マキ「ヴェエエ?!ナニヨコレ!意味わかんない!」

黒板「希の持ちネタはどれでしょう」

A スピリチュアルやね
B ハラショー!
C ファイトだよ!
B ダレカタスケテー!

ピコン!

リン「Aのスピリチュアルやね!」

ピンポーンピンポーン

リン「やったー!」

マキ「はぁ…なによこれ…」

ハナヨ「問題は焦らずよく聞くのが基本です!」

ハナヨ「焦って答えられる問題も答えられないようでは元も子もないです!」

マキ「そ、そう…分かったわ」

デデン!

黒板「第二問」

~~~~♪

マキ「?!」

マキ「この音楽は…」

ハナヨ「SSH…」

マキ「sweet&sweet holidayね」

黒板「ちょっと~♪聞いてほしかった~悩みの種~♪」

黒板「言葉にしたら笑えてきたの♪」

黒板「ことりの〇〇にしちゃうかな~♪」

黒板「の〇〇とは何か」

A 彼女
B おやつ
C 彼氏
D マカロン

ピコン!

マキ「Bよ!Bのおやつ!」

ピンポーンピンポーン

マキ「よしっ!」

リン「むー…」

ハナヨ「は、早い…」

マキ「当然でっしょー!」

デデン!

黒板「第三問」

黒板「凛ちゃんと言えば~?」

マキ「………」

リン「………」

ハナヨ「………」

マキ「…え?終わり?」

ピコン!

ハナヨ「愚問ですね!りんぱなに決まってますね」キリッ

ブッブー

ハナヨ「えぇ?!ちがうのぉ?!」

マキ「凛といえば何…?」

マキ(ラーメンとか…?)

ピコン!

リン「イエローだよおおおおおおおおお!!!」

ピンポーンピンポーン

マキ「あぁ…そういうこと…」

リン「これはリンが分からなきゃダメだよね!」

マキ(まずい…あと一問で凛の勝ち…)

マキ(次は絶対…!)

黒板「第四問」

黒板「花陽!」

ハナヨ「は、はい?!」

黒板「〇〇です!」

マキ「…?」

リン「?」

ハナヨ「…え?」

黒板「海未のよく使う〇〇です!とは何か」

A 山頂アタックです!
B 破廉恥です!
C ダイエットです!
D ほのうみなんです!よねぇ…

リン「はっ!」

ピコン!

マキ「しまった!」

リン「Cのダイエットです!」

ブッブー

リン「えぇ?!なんで?!」

リン「わざわざかよちんに名指しで聞いてるんだからダイエットに決まってるにゃ!」

ハナヨ「リンちゃんそれどういうことぉ?!」

マキ「………」

マキ(焦るな私…どれだどれだ…)チラッ

ハナヨ「うーん…何かなぁ…」

マキ(まだハナヨは迷ってる…早く決めないと…)

ピコン!

マキ「Bの破廉恥です!」

ピンポーンピンポーン

マキ「よしっ!!!」グッ

リン「ありゃー…」

ハナヨ「うぅ…まだ一問も答えられてないよぉ…」

リン「かよちん!ファイトだよ!」

ハナヨ「うん!」

黒板「第五問」

黒板「かよち~ん」

リン「にゃ?!」

黒板「かよちんが一番好きなものってなんにゃ~?」

マキ「ふっ…」

リン「笑うなー!この黒板もおかしいにゃー!!」

黒板「この中から選べにゃー!」

A アルパカ
B ご飯
C 凛ちゃん
D アイドル

リン「もらったー!」

ピコン!

マキ「はやっ!」

リン「Cのリンにゃ!りんぱなというカップリングが存在してるけどこの中にカップリングなんてない!」

マキ(まぁそりゃアルぱなとかあったらやばいでしょうね…)

ブッブー

リン「えぇ?!またぁ?!」

ピコン!

ハナヨ「ご飯!!!」

ピンポーンピンポーン

マキ「迷うことなくご飯を選ぶ…流石花陽の白米愛…」

リン「かよちんはリンよりご飯が好きなの…?」ウルウル

ハナヨ「当たり前です!」

グサッ

リン「ぐはっ…!」

マキ「ちょっ凛!しっかりしなさい!」

リン「真姫大将…あとは任せた…」

マキ「いや!死なないで!リンが今ここで死んだら私と花陽と凛の勝負はどうなっちゃうの?勝ち目はまだ残ってる。ここを耐えれば、勝負に勝てるんだから!」

ハナヨ「次回、リ」

黒板「第六問」

マキ(割愛されてるし…)

黒板「どれが本物の穂乃果?」

A SIDの穂乃果
B 漫画の穂乃果
C アニメの穂乃果
D ドラマCDの穂乃果

リン「………」

ハナヨ「………」

マキ「………」

リン「………」チラッ

ハナヨ「…!」フルフル

マキ(二人はアイコンタクトを送ってるし今のうちに…)

マキ(私も分からないけどもし正解出来るなら…)

ピコン!

マキ「…漫画の穂乃果?」

ブッブー

マキ「うーん…分からないわ…」

ピコン!

リン「SIDの穂乃果ちゃんにゃ!」

ブッブー

リン「えぇ?!」

ピコン!

ハナヨ「ならアニメの穂乃果ちゃんですね!」

ブッブー!

ハナヨ「えぇ!?」

マキ「なら…!」

ピコン!

マキ「ドラマCDね!」

ブッブー

マキ「はぁ?!どれも違うじゃない!」

リン「もうとりあえず適当に言っていくしかないよー…」

ピコン!

ハナヨ「漫画の穂乃果ちゃん?」

ピンポーンピンポーン

ハナヨ「やったー!」

マキ「はぁ?!漫画は私が答えたじゃない!」

黒板「その人が初めて見た穂乃果が本物の穂乃果なんですよ」

マキ「はぁ…?!」

リン「なるほど感動にゃ…やっぱり最初って大事なんだね…」

マキ「そ、そう……」

黒板「最終問題」

マキ「…!そうだったわ、これで最後ね」

リン「絶対に負けないにゃー!」

ハナヨ「私もです!」

黒板「この後の展開は?」

A マキがこの問題を正解して次のステージへ
B リンとハナヨがキスをして終了
C 爆発オチ

ピコン!

マキ「簡単ね!Aよ!」

ブッブー

マキ「は?」

リン「………」

ハナヨ「………」

マキ「何やってんのあんたら…」

リン「だって残りの回答…」

ハナヨ「………」モジモジ

マキ「…何うじうじしてるのよ!早くしないと話が進まないじゃない!」

グイッ

リン「にゃ…?」

マキ「早くキスしてきなさーい!!」

リン「にゃー?!?!」

チュー

リン「あっ…」

ハナヨ「リンちゃ…」カアアア

マキ「よし!これで正解はび…」

ピーピーピー

マキ「何?!」

リン「あー!爆弾が起動したにゃー!」

マキ「はぁ!?なんで爆弾があるのよ!どうす」

ドカーン!!

マキ「けほっ…けほ…」

マキ「爆発オチなんてサイテー!」

ピンポーンピンポーン

マキ「あ?」

リン「おめでとう!マキちゃん!次のステージにいってらっしゃい!」

ハナヨ「絶対に最後のステージまでクリアしてね!」

マキ「は?私何もこたえ」

マキ「ってうわぁ?!」

怒涛の展開に戸惑ってたら視界が急に変わった
仮想空間だから爆発しても何も傷にならないし世界が変わるのも一瞬

マキ「…なにこのクソゲー」

マキ「バグりすぎでしょ…」

マキ「そしてここは…」

マキ「…部室ね」

ガチャッ!

ホノカ「はーい!こんにちはー!」

コトリ「こんにちは♪」

ウミ「こんにちは」

マキ「こ、こんにちは…」

ホノカ「さーて早速ですが私たちとやってもらうのはこれです!」

マキ「…なにこれ」

ホノカ「格闘ゲームだよ!やっぱりゲームといったらこれだよね!」

マキ「え、ええ…?」

ホノカ「はいコントローラーだよ!私たち三人のうち二人勝てたら次のステージにいけるよ!」

マキ「う、うん…」

マキ(格闘ゲーム未経験なんだけど大丈夫かしら…)

ホノカ「まずは私からだね!キャラお先にどうぞ!ミラーは私やだだから!」

コトリ「ホノカちゃん頑張って!」

マキ「ミラー?」

ホノカ「同じキャラで戦うことだよ!」

マキ「なるほど」

マキ「じゃあこのごっつい人で」

ホノカ「おお女キャラを選ばないなんて意外だ!」

マキ「なんだっていいでしょ…」

ホノカ「じゃあ私はこのキャラで!」

マキ「なにその金髪のキャラ…」

ホノカ「ふっふっふっ私はガチだからね!」

ホノカ「ステージとかはランダムでよしファイトだよ!」

マキ「ええ!」

ラウンドワン…ファイ!

「波動拳!」

マキ「わぁ!なんか出た!」

カチカチカチカチカチッ

コトリ「…マキちゃん音すごいよ…」

「波動拳!波動拳!波動拳!」

ホノカ「ふっ初心者によくある動きだね」キリッ

マキ「…なにそれ」

「ソニックブーム」

マキ「あー!もう!がん待ちじゃない!」

マキ「チッ……」ピキピキ

ウミ「マキ、ここのボタンでジャンプできますよ」

マキ「ありがと、海未」

マキ「私この金髪のキャラ嫌いだわ」

マキ「何がソニックブームよ!」

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

コトリ「…音がすごい」

マキ「あ、このボタンでつかめるわ!」

コトリ「お、画面端で掴んだ」

マキ「そんな攻撃効かないわ!!」

マキ「おらおらおら!」

ホノカ「うわー!ちょっとタンマタンマー!」

ウミ「ぶっぱを読んだのかマキもガードで画面端のアドバンテージ活かしてますね」

コトリ「ぶっぱを読んでまだ入るぅ!」

コトリ「そして…マキちゃんがぁ!」

ホノカ「ここは冷静にジャンプ!」

マキ「逃がさないわ!」

コトリ「またホノカちゃんに近づいてぇ!」

「真空…!波動拳!!」

マキ「あ、なんか出た」

ホノカ「えぇ?!そのタイミングで出すの?!」

ウミ「おぉ!いいですね!」

コトリ「…なんかすごい微笑ましいね」ウフフ

ホノカ「ああああ!やられた!」

コトリ「マキちゃんが決めたああぁ!!」

マキ「よしっ!」

ホノカ「ラウンド2があるけどここでおしまい!穂乃果の負けだ!」

コトリ「次は私だね♪」

マキ「ん?ゲームが違うの?」

コトリ「うん♪私はこのゲームが好きなんだ」

マキ「北斗の…あ、ロードが…」

コトリ「お先にキャラ選んでどうぞ♪」

マキ「えー…なんかいいのがないわね…んーじゃあこの白い服きたおじさんで」

コトリ「じゃあ私はこれで♪」

マキ「勝負よ!」

ザタイムオブリトリビューション…バトルワン…ディサイドザディスティニー…

グシャア!

コトリ「もらいました!」

マキ「…あれ?なにこれことりに一回攻撃されてから動けないんだけど」

ホノカ「そのゲーム…色々欠陥が多いゲームだから…主にキャラ性能が…」

マキ「…っはぁ!?!?なにこれハメじゃない!」

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

マキ「ぜんっぜん動かないんだけど!?」

マキ「なんなのこの青い髪のやつ!さっきからバスケしてるみたいじゃない!」

ホノカ「それがこういうゲームなんだよマキちゃん!」

マキ「こんなクソゲー誰が遊ぶのよ!!!」

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

コトリ「マキちゃん今どんな気持ち???NDK?NDK?」

マキ「うるさいわねぇ!!!!」

ホノカ「あー…マキちゃん負けちゃったね…」

マキ「こんなの格闘ゲームじゃないわよ!!!」

マキ「はぁ…はぁ…私はこんなゲーム格闘ゲームだなんて認めないから!」

ウミ「さて最後は私ですね、勝負です!」

マキ「あ、このゲームは私知ってるわよ!」

マキ「よくやってたもの!」

マキ「私は断然このキャラよ!」

コトリ「あっ……」

ウミ「じゃあ私はこの剣を持ってる王子のキャラで」

スリー!トゥー!ワン!ゴー!

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

マキ「私これで友達をずっと倒してたのよ!」

コトリ「やっぱり…ストーンとハンマー連打…」

ホノカ「クラスに必ず一人はいるよね…」

コトリ「この友情破壊ゲーではよくあることだけどね…」

ウミ「ちょっ…その技どうするんですか!」

ホノカ「ウミちゃん頑張れ!」

マキ「やっぱりこれが最強よね!」

ホノカ「うわー…」

ウミ「それどうやって対応すればいいんですか!」

コトリ「SJやガーキャンを活かしてウミちゃん!」

ウミ「なんですかSJとかガーキャンとか!」

コトリ「剣先で当てると強いよ!ウミちゃんのキャラは!」

ウミ「け、剣先?いや意図してあてるなんて無理ですよ!」

コトリ「めくりを意識して!回避やジャンプでフェイントをかけて!」

ウミ「めくりってなんですか!!!回避ってどうやるんですか?!」

コトリ「空前でとりあえず牽制しようウミちゃん!」

コトリ「NBでガード割れるよ!剣先ならバースト力も一番高いし!」

ウミ「なんですか空前とかNBとか私にもわかるようにいってください!」

ホノカ「あー!ウミちゃん負けちゃったー…」

マキ「このゲームなら楽勝ね」フフッ

ホノカ「ということで次のステージいってらっしゃい!」

コトリ「おめでとう♪」

ウミ「納得いきません!ここはしんけ」

シュン

マキ「わぁ…」

マキ「……なんだかんだ楽しかったわね」

また一瞬で視界が変わる
ゲームの中でテレビゲームをするってどういうことなんだか…
しかもなんか約一つ格闘ゲームじゃないの混じってたし…

マキ「そしてここは…屋上…?」

ガチャッ!

ノゾミ「どーもー!」

エリ「どーもー」

ニコ「みんなのアイドルにこにーだよぉ~」

マキ「あ、どうも…」

ノゾミ「やーやーマキちゃん!ここは最後のステージや!」

マキ「あ、そうなの…」

ノゾミ「…なんかテンション低くない?」

マキ「いやさっきのステージで燃え尽きたわ…」

ノゾミ「いやいやじゃあここで再熱するんや!」

ノゾミ「ウチらと対戦するゲームはこれ!FPSや!」

マキ「FPSか…」

ノゾミ「お?やったことあるって顔してるね!」

マキ「いや別に…」

ノゾミ「でもテレビゲームでやるんやないよ?ウチらでFPSをするんや!」

マキ「それってFPSというより実技方面に偏ってる気がするんだけど…」

ノゾミ「そこは気にしない!さてやるよ!」

エリ「よし!張り切っていきましょう!」

ノゾミ「ルールはライフが無くなったら即脱落のデスマッチ、マップはこの学校の校舎内、外は無しで」

ノゾミ「まぁそんだけなら待ちかガン有利だからエリアを分けて同じエリアに5分以上いたら脱落ってことにするよ」

マキ「いいルールね」

ノゾミ「開始時ランダムにみんなリスポーンするからそこがスタート地点」

ノゾミ「武器とかは自分で選んでね」

ノゾミ「それじゃあ後は戦場で会おう!」

ニコ「負けないわよ!」

エリ「ええ!」

マキ「こちらこそ!」

シュウン…

マキ「ここは…音楽室か」

マキ「走るのとか苦手なんだけど大丈夫かしらこれ…」

マキ「えーっと武器は…」

マキ「何がいいのかしら…」

空中に浮かぶメニューで武器を選ぶ
バグってるはずなのにこういうところしっかりしてるのは何故かしら…

マキ「サブマシンガン…アサルトライフル…ライトマシンガン…スナイパーライフル…」

マキ「そういえばことりが言ってたわ、メインにアサルトライフル、サブにハンドガンをもっていくのがバランス的に完璧だとかなんとか」

マキ「…というか死んだら終わりのこのルールでスナイパーライフルとか連射できなくて不利になる武器持ってくバカいるの…?」

マキ「アタッチメント…?どれがいいんだか全然分からないわ…」

ポチポチ

マキ「FMJ…リフレックス…」

マキ「あ、リフレックスといえば…」

ことり『アタッチメントにリフレックスはつけた方がいいよ!』

マキ「っていってたわね…」

マキ「わぁホントだ、照準が見やすくなってるわ」

マキ「後は…適当でいいわね」ポチポチ

ピッ

マキ「ん?」

「5」

「4」

マキ「あ、もうスタートなのね」

「3」

「2」

「1」

「0」

ピー!

マキ「…アサルトライフルってこんな軽いの?」

マキ「ゲームの世界だからかしら…」

タッタッタッ

マキ「走っても全然疲れないなんて素敵ね!」

ことり『足音はなるべくたてないようにした方がいいよ!場所がばれちゃうから!』

ピタッ

マキ「………」

マキ(抜き足差し足忍び足よね…)

マキ「………」

シーン…

マキ(ホントに私以外いるのか不安になるほど静かね…)

ドドドドドドドド!

マキ「!」

マキ(結構近いわね…行った方がいいのかしら…)

スタスタスタ

マキ(覗いて倒せそうならいきましょう)チラッ

マキ「?!」

ノゾミ「ウチのスナイパーは狙撃するもんやないでー!」

エリ「きゃあ?!」

ノゾミ「あぁ~ハンショか~…」

マキ(スナイパーもってフルオートの銃とやりあって何してんのあれ…?!)

マキ(というかハンショって何よ…)

ノゾミ「もう一発!」

ノゾミ「よし命中!えりちごめんね!」

マキ「………」

マキ(スナイパーで近距離行くって何よ…)

ニコ「凸砂よ」

マキ「きゃあ?!」

ニコ「静かに…」

マキ「………」

ニコ「別に倒さないから安心しなさい」

ニコ「今マキちゃんを倒したところでノゾミに勝ち目なんかないもの」

マキ「そ、そう…」

ニコ「距離を置くなら結構、壁一つ挟んでてもいいわよ」

マキ「いえ、いいわにこちゃんを信じるわ」

ニコ「そう…」

ニコ「あいつがしてるのはQS、通称クイックショットよ」

マキ「クイックショット…?」

ニコ「スコープを覗き込んだ瞬間に撃つスナイパーらしからぬ撃ち方よね」

ニコ「正直気持ち悪いのよね、それで強いのというのに腹が立つわ」

ニコ「サブマシンガンやアサルトライフルが相手を見つけて銃弾を放って殺すまでにスナイパーは一回撃つ時間があるの、その一発で仕留めれれば私たちは正面の撃ち合いで勝ち目がないのよ」

マキ「なにそれ…」

ニコ「でもスナイパーは一度外すと次コッキングし終わるまで何もできないのが弱点よ、二人で一緒に出てどっちかが希をやれば勝てるでしょ?」

マキ「なるほど」

ニコ「FPSの基本よ、一緒に出ればどっちかが死んでもどっちかが相手をやれれば一一交換で相手を減らせるわ、待ち相手にはとても有効な手段よ」

ニコ「それに相手がスナイパーのような一撃武器じゃなければこちらが早くライフを減らせて死者を出さずに勝てるわ」

マキ「案外知ってるのね…」

ニコ「ホントなら顔出しスポットで定点してたいけどルール上動かないと失格になるから仕方ないわ」

マキ「顔出しスポット?」

ニコ「相手から見て頭だけ出して撃つことよ、的が極端に狭くなるから撃ち合いで有利にできるのよ」

マキ「なるほど、確かに強いわ」

ニコ「…まぁ顔出しなんてしたら叩かれるけど」

マキ「?」

ニコ「アイドルは顔どころか見てくださいと言わんばかりの衣装まで来てるからいいけどネットで顔出しなんてしたら叩かれるわよ」

マキ「なんの話よ…」

マキ「ところで……」

ニコ「?」

マキ「そのめちゃくちゃ重そうな武器は何…?」

ニコ「サプファインダーストックLMG」

マキ「え?」

ニコ「かつての某FPSで最強だったカスタムよ」

マキ「いやそれだけじゃ全然伝わらないわよ…」

ニコ「使うと必ず荒れる武器よ、強すぎる故に嫌われ者」

ニコ「使うと必ずファンメ来るから気をつけなさいよ」

マキ「いや使う気なんてないわよ…」

ニコ「まぁ弱点もあったし格ゲーとかで騒がれたぶっ壊れキャラほどではないわ」

ニコ「マキちゃんのそれ…」

マキ「ん?あぁことりがリフレックスはつけた方がいいって」

ニコ「あぁそれは別の某FPSの話ね、戦場的なゲームでは必須じゃないかしら」

マキ(戦場的なゲーム…?)

グラグラ

マキ「わぁ!?地震…?!」

ニコ「しゃがみなさい、この辺に危険なものはないから大丈夫だけど」

グラグラ

マキ「揺れ強くない…?」

ニコ「さぁ…?」

ニコ「でもFPSやめられないんだけど!」ケラケラ

マキ「…?」

ニコ「んん!ごめんなさい、なんでもないわ」

コツン…コツン…コツン…

ニコ「あ、足音ね希がきてるわ」

マキ「分かったわ」

ニコ「いっせーので出るわよ?」

マキ「………」

ニコ「………」

コツン…コツン…

マキ(何…?この緊張感…)

マキ(FPSってこんななの…?)

ニコ「いっせーの!」

マキ「はっ!」

ノゾミ「おっ!やっぱりきたね!」

ノゾミ「奇襲をしたところで…」

ニコ「二人には勝てないでしょ?」

ノゾミ「えぇ!?手を組むってあり?!」

ドドドドドドドド!

バアン!

マキ「…!?希が消えた…?」

マキ「…あ、にこちゃん!」

マキ「…!いない…」

横を見ればにこちゃんもいなかった
にこちゃんが囮になり希がにこちゃんに撃ってる間に私が仕留めたという感じね
一人だったら即死だったでしょうね

マキ「…連携って大事なのね」

ピー!

マキ「ん?」

マキ「わぁ!?」

また急に視界が変わる
何の前触れもなく視界が変わるせいで何回やられても慣れることが出来ない

ノゾミ「おめでとうマキちゃん!」

ニコ「ナイスカバーだったわ」

エリ「私何もしてないんだけど…」

マキ「ありがとうにこちゃん、にこちゃんがいなければ希に勝てなかったわ」

ニコ「いいのよ」

ノゾミ「さて!これでマキちゃんは現実に戻れるけど…」

マキ「?」

ノゾミ「また…ウチらと一緒に遊んでほしいな!」

ニコ「また一緒に戦いましょう?」

エリ「今度は仲間として!」

マキ「…!」パアアア

ノゾミ「今度は戦場で会おうやマキちゃん!」

ニコ「待ってるわよ!」

エリ「今度はちゃんと活躍するからね!」

マキ「ええ!」

シュー…

真姫「んー…?」

真姫「はっ?!」

真姫「…戻れたのね」

真姫「……案外楽しかったわね」

マキ『………』

マキ(焦るな私…どれだどれだ…)チラッ

ハナヨ『うーん…何かなぁ…』

マキ(まだハナヨは迷ってる…早く決めないと…)

ピコン!

マキ『Bの破廉恥です!』

ピンポーンピンポーン

マキ『よしっ!!!』グッ

真姫「あの答えが分からない状況で正解した時の嬉しさ…」

マキ『こんなクソゲー誰が遊ぶのよ!!!』

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

コトリ『マキちゃん今どんな気持ち???NDK?NDK?』

マキ『うるさいわねぇ!!!!』

ホノカ『あー…マキちゃん負けちゃったね…』

マキ『こんなの格闘ゲームじゃないわよ!!!』

マキ『はぁ…はぁ…私はこんなゲーム格闘ゲームだなんて認めないから!』

ウミ『さて最後は私ですね、勝負です!』

マキ『あ、このゲームは私知ってるわよ!』

マキ『よくやってたもの!』

マキ『私は断然このキャラよ!』

真姫「ワイワイ怒ったり楽しんだりして盛り上がるあの感じ…」

ニコ『でもスナイパーは一度外すと次コッキングし終わるまで何もできないのが弱点よ、二人で一緒に出てどっちかが希をやれば勝てるでしょ?』

マキ『なるほど』

ニコ『FPSの基本よ、一緒に出ればどっちかが死んでもどっちかが相手をやれれば一一交換で相手を減らせるわ、待ち相手にはとても有効な手段よ』

ニコ『それに相手がスナイパーのような一撃武器じゃなければこちらが早くライフを減らせて死者を出さずに勝てるわ』

マキ『案外知ってるのね…』

コツン…コツン…コツン…

ニコ『足音よ、希がきてる』

マキ『分かったわ』

ニコ『いっせーので出るわよ?』

真姫「作戦を考えて一緒にガチでやって楽しむあの緊張感と真剣さ…そして達成感…」

真姫「…どれもチートじゃ得られないモノよね…」

真姫「答えが分かったらあんな喜べない…無敵だったらあんなに盛り上がらない…敵の位置が分かったら緊張感がない…」

真姫「………」

ノゾミ『さて!これでマキちゃんは現実に戻れるけど…』

マキ『?』

ノゾミ『また…ウチらと一緒に遊んでほしいな!』

ニコ『また一緒に戦いましょう?』

エリ『今度は仲間として!』

マキ『…!』パアアア

ノゾミ『今度は戦場で会おうやマキちゃん!』

真姫「…何よりああやって一緒にガチになれる仲間がいる」

真姫「…なんで私チートなんて使ってたのかしら」

真姫「こんなものなくたって…楽しめるものね…」

真姫「…よしっ!」

その日私は普通にやる楽しさを味わった

ステータスがカンストしてるとかみんなが出来ないことをして楽しむとかそういうことじゃないのよ

やってて楽しいって思えて喜びって意味で笑えてでも時には真剣な顔してゲームをプレイする、それが楽しいのよ

カチッ

[ゴミ箱]

真姫「こんなツール、私には必要ないわ」

[消去しますか?]

カチッ

[消去しました]

真姫「…今度μ’sのみんな誘ってスマブラしましょう!」

真姫「やっぱり私が最強ってこと見せてあげるわ!」

真姫ママ「真姫ちゃーん!ご飯よー!」

真姫「はーい!」

ガチャ!

チートというのもまた一つの楽しみ方ではあるけどほとんどの場合は普通にやった方が楽しいのよ

ズルなんてしないで普通にやった方が楽しい

私はそれを世界の人に伝えたい
この天才真姫ちゃんが言うのだもの、本当のことよ

後に出る謎のオンライン天才のプレイヤーの話するかしら?

でも言わなくてもきっとその謎のプレイヤーが誰か…なんてわかるわよね?

インターネットのどこかであなたに会えること

楽しみにしてるわ


今度はチート無しでね


END
~~~

~~~

理事長「いやーいいお話でしたね」ウルッ

理事長「みんなでワイワイやる楽しさ、ガチでやる楽しさ」

理事長「それを気付かせてくれるいいバグでしたね」

プルルルルルル!

理事長「ん?」

理事長「はい、もしもし」

理事長「えぇ!?音ノ木坂が廃校?!」

理事長「いや廃校はずっと前に阻止し…」

理事長「いやいやいや!」

理事長「なんなのこれ!」

理事長「この世界バグってるんじゃないの?!?!」

理事長「…いいバグなんて極稀です、とりあえずバグるようなことはやめましょう…」

理事長「いやまぁ現実という世界はもうバグってますけどね」キリッ

理事長「あぁ!このバグった世界で私はチートがしたいわああああああ!!!」

八つ目終わりです
次回の九つ目で最後ですが最後ということもあり文字数が目安を余裕で越して25000文字くらいあります、すいません最後だからっていうかただ単に文字数抑えられなかっただけです。
一応真姫のストーリーは二つ用意してあって今回のストーリーは分かる人にしか分からないネタが多かったので出すか悩んだのですがシリアスばっかもなんかなと思いこっちにしました
最後の九つ目もよろしくお願いします

~~~~~

理事長「あなたには夢がありますか?」

理事長「…ありますよね?」

理事長「パティシエ、サッカー選手、教師、イラストレーターなど色々な職業や未来を夢見てると思います」

理事長「ですが残念ながら夢というのは叶わないから夢なんです」

??「奇跡だよ!!」

理事長「そうです、人々は奇跡に巡り合ってそれを夢が叶ったと勘違いをしてるんです」

理事長「…でもそんな叶わないはずの夢を叶えてくれる不思議な道具を開発してしまった人がいるらしいんです」

理事長「それを見た時に、そして使うときにあなたはこう言います」

理事長「“もしも”――――になれたら…」

チリリリリリーン

~~~

真姫「ホントに使うの?」

にこ「ええ夢を叶えるためだもの!」

真姫「…まぁ私は何も言わないけど他の子に知られたらぶっ飛ばされるわよ?」

真姫「特に希と海未辺り、花陽、穂乃果辺りには幻滅されそうだけど」

にこ「そんなの覚悟の上よ…」

にこ「…それにしてもすごいもの作っちゃうのね」

にこ「もしもテレフォン…か、夢をなんでも実現できる」

にこ「今後技術が発達したとしても千年くらいそんなもの作れそうにないんだけど」

真姫「まぁ私の技術力は世界一だからね」キリッ

にこ「そう…」

真姫「知ってると思うけど一応説明ね」

真姫「やり方は簡単、その受話器を取って叶えたい夢を“もしも”の後に言って最後に“なったら”というだけよ」

真姫「言い終わって電話の音が鳴らなくなったらその世界はにこちゃんの叶えたい夢が叶った世界になるわ」

にこ「分かったわ」

にこ「じゃあいくわね」

真姫「ええ」

にこ「すぅ…もしも……」

にこ「私が超大人気アイドルに……」

にこ「なったら…!」

チリリリリリーン



【もしもからきっと】

にこ「…これで叶ったの?」

真姫「ええ」

にこ「私はこれからどうすればいいの?」

真姫「まだにこちゃんはアイドルを始めてないからアイドルを始めるところからね」

にこ「分かったわ!」

にこ「じゃあ行ってくるわね!」

ガチャッ

真姫「大丈夫かしら…」

真姫「…μ’sが解散してもう三年か」

真姫「早いわね、みんなどうしてるかしら…全然会ってないから分からないわ…」

真姫「あ、そういえばこのトマトジュースってにこちゃんが間違えて買ってきた超高級の…」

真姫「…まぁいいわ、テレビでもつけましょう」

ピッ

「今人気のアイドル矢澤にこさんの~」

真姫「ぶー!!!!あれ…?なんでにこちゃんが…」

ガチャッ

にこ「真姫ちゃんなんかもうアイドルしてることになってるんだけど…」

真姫「え?」

にこ「事務所に行こうとしたら今日は休みだよにこちゃんってたまたまスタッフっぽい人に言われて…」

真姫「そんなに効き目強かったかしら…まぁいいわそれで事務所の人はなんて言ってたの?」

にこ「新しいプロジェクトの話し合いが明日あるから来てほしいって言われたわ」

真姫「…新しいプロジェクト?」

にこ「私にとっちゃプロアイドルなんて真新しすぎて新しいも古いもないんだけどね」

真姫「ふーん…」

にこ「とりあえず私はアイドルになったってことでいいのかしら?」

真姫「ええ間違ってないと思うわ」

にこ「そっか、じゃあ明日からね私のアイドル人生は」

真姫「おめでとう、そして頑張ってね」

にこ「もちろん!世界を笑顔にするわよ!」

真姫「…大丈夫そうね」

~次の日

にこ「それで新しいプロジェクトっていうのは…」

「この人たちとユニットを結成してアイドルをしてもらいたい」

にこ「え……」

「出てきてくれ」

絵里「えっと……ってにこ?!」

にこ「絵里?!」

にこ「え…どうしてここに?!」

絵里「いや…モデルの仕事関係でって言われて来たんだけど話が急に変わってて…」

にこ「あ、そういえば絵里はモデルしてたものね」

絵里「ええそうよ」

絵里「それでアイドルって…」

「後一人来るから待っててくれ」

絵里「ええ…」

トントン

「入っていいぞ」

真姫「失礼します、今日はここで話し合いを…ってあれ?にこちゃんと絵里…?」

絵里「ハラショー…白衣にメガネ…美人女医ね!」

にこ「悔しいけど美人ね…」

真姫「それはどうも…ってなんで二人ともいるのよ!」

絵里「私はモデルの仕事の会場がここだからって…」

にこ「真姫ちゃんは知ってると思うけど新しいプロジェクトの話し合いをここでするって…」

真姫「え…?患者さんの難病の話し合いをここでするって聞いたんだけど…」

にこ「…ん?ユニット…?まさか…!」

「そう!この三人でアイドルをしてほしい!」

絵里「ハラショー!面白そうね!」

にこ「へぇ~やっぱりそういうこと、ユニットって聞いた時は驚いたけどこれなら構わないわ」

真姫「えぇ?!ちょっと待ってよ!絵里とにこちゃんは良いかもしれないけど私は医者よ?!ダメに決まってるじゃない!」

「もちろん医者は続けてもらうがアイドルもやっていい、時間が空くように予定を変えると親の方にも話をつけてる」

真姫「えぇ……」

絵里「それならいいじゃない、やりましょう?」

にこ「そうね、真姫ちゃんもぉ一緒にぃやって欲しいなぁ?」ラブニコッ

真姫「…気持ち悪い」

にこ「ぬぁんでよ!」

真姫「…まぁいいわ、仕方ない」

にこ「とかいいつつもホントは楽しみなんでしょ?」

真姫「違うわよ!」

絵里「ふふっ素直じゃないわね」

「それでなんだが既に東京ドームのライブを年末に控えてるからよろしく」

真姫「…は?」

にこ「と、東京ドーム?!」

絵里「ハラショー…」

「にこちゃんはいつも大きい会場でやってるのになんで驚く…」

にこ「あ…いや東京ドームは流石に…」

「まぁ詳しい話はまた今度やるとして…」

絵里「?」

「まず三人にしてほしいのはユニット名を決めるのとどういう歌を作るのかってところ」

にこ「ユニット名と…」

真姫「曲か…」

真姫「あ、曲の少しは私が作っていいですか?昔はスクールアイドルで作曲担当してました」

「うん、いいだろう」

真姫「…ということで決めちゃいましょう」

絵里「ここで決めるの?」

真姫「ここじゃ話しにくいし家で話す?」

真姫「とりあえず今日は話を決めるために帰らせてもらうという形でいいですか?」

「構わないよ」

真姫「いいらしいから行きましょう」

にこ「なんかすごいテキパキしてるわね…」

真姫「医者は常に忙しいのよ、だからテキパキ行動するのが普通なのよ」

絵里「真姫の家って確か…」

真姫「あそこじゃないわよ?」

絵里「え?」



絵里「おじゃましまーす…」

にこ「ただいまー」

真姫「おかえり、なんてね」

絵里「え?」

真姫「私とにこちゃんは同棲してるのよ」

絵里「あ、なるほど……」

真姫「比較的安くて広いマンション借りてごく普通な生活してるのよ」

絵里「部屋は綺麗ね」

にこ「当たり前じゃない、片付けは二日に一回してるし」

絵里「食べ物も綺麗にならんでるわね、おやつや飲み物も必要分は補充されてるし…」

にこ「そうよ、安い時に買わないと損でしょ」

にこ「というか勝手に冷蔵庫開けないでよ」

絵里「うわっ…なんかにこらしい服ね、こっちのセレブっぽい服はどう考えても真姫ね」

にこ「にこらしい服ってなによ!てかタンスも勝手にあけるな!」

真姫「それ高いんだから丁寧に扱ってよね!」

絵里「あ、ごめんごめん」

絵里「にしても案外整ってるのね、生活は」

にこ「当たり前じゃない」

真姫「というか私たちの家の話よりグループ名と歌よ、早く決めるわよ」

絵里「おっとそうだったわね、じゃあ決めましょう」

にこ「それ真姫ちゃんと旅行行った時のアルバム!勝手漁るな!勝手に見るな!」

真姫「はぁ……」



真姫「まずチーム名だけど意見ある人はどんどん言って」

絵里「………」

にこ「………」

真姫「………」

真姫「ないんかい!!」

絵里「ユニット名なんてそんなすぐには思いつかないわよ…」

絵里「なに?3ハラショーとか?」

真姫「10ハラショーは欲しいところね…って違うわよ!何の捻りもないじゃない!」

絵里「だから言ったじゃない!思いつかないって!」

にこ「うーん……」

真姫「にこちゃんは何かある?」

にこ「にこにー…にこにこ…にっこにこ…らぶにこ…」

真姫「ダメだこりゃ…」

絵里「そういう真姫は何かあるのよ?」

真姫「うぇ?!」

真姫「え、えーっと…」

絵里「………」ジトーッ

真姫「…ミラクルスリーとか?」

絵里「何それ…それならまだ3ハラショーのがマシね」フフッ

真姫「はぁ?!というか3ハラショーとかいみわかんない名前で威張らないで!」

絵里「そっちも意味わからないわよ!単純すぎるのよ!!」

ワイワイガヤガヤ

にこ「はぁ…これは決まらない流れね、先に曲の話しない?」

真姫「分かったけどこのバカらしい名前提案してるポンコツになんとか言ってよ!」

絵里「即興にしても1ミリもいいと思えない名前考えるやつに言われる言葉なんてないわよ!」

ビビビビビ!!!

にこ「うおっ…二人の間に電流が…」

にこ「なんてくだらないことで論争してるんだか…」

にこ「ほら!早く曲の方決めるわよ!」



絵里「歌ってて恥ずかしくない曲ならどんな曲でもいいわよ」

にこ「ラブソングなんてどう?一人ならニコニコ言ってる曲がいいんだけどユニットなら真面目に考えないとね」

真姫「じゃあラブソングを視野にいれる…っと」

真姫「ラブソングならどういう歌がいい?失恋とか純愛とか」

にこ「盛り上がれるラブソングがいいわね、曲の方向性はさておき盛り上がれるのがいいわ」

絵里「え?ラブソングなら切ない系がいいなって思ってたんだけど…」

真姫「じゃあ二曲作りましょう、盛り上がれるラブソングと切ないラブソング」

絵里「そんな簡単に言ってるけど作れるの?テーマしか決まってないわよ?」

真姫「そこから先も話し合いで決めるに決まってるじゃない」

絵里「じゃあ冬の歌にしましょう」

真姫「了解、冬の歌」

絵里「あ、でもそれで冬以外でライブするなら私たち完璧に狂い咲きよね?」

真姫「そうなったら新しい歌作るからいいわよ」

絵里「え、ええ…」

にこ「なんかユニット名の時と違ってやけにすらすらと進むわねこっちは」

真姫「誰かさんがいみわかんないネーミングセンスしてるせいよ」

絵里「ブーメランって人殺せるらしいわよ?」

にこ「なんの話よ…」

「にこ!!」

にこ「!!!」ピクッ

にこ「ん…?今誰か私呼んだ?」

真姫「なら安全なブーメランを使わないとね」

絵里「そういうこと言ってるんじゃないわよ!」

真姫「そんな分かりづらい言い回しして伝わるなんてごく一部だから」

にこ「…気のせいか」



真姫「とりあえず二人の提案した曲、頑張って作ってみるわ」

にこ「歌詞ってどうするの?」

真姫「……歌詞くらいは二人で考えなさい、私は曲作るんだから」

真姫「というか歌詞がないと作れないから歌詞担当の二人はとっとと歌詞済ませてよね」

にこ「仕方ないわねぇ…」

絵里「歌詞か…海未みたいにいくかしら…」

真姫「まぁこれから頑張っていきましょう!」

にこ「ええ!」

絵里「もちろん!」

~一ヶ月後

絵里「あああ…練習疲れたぁ……」

にこ「なんで絵里が私たちの家にいるのよ…」

絵里「いいじゃない帰りが同じなんだからぁ…」

真姫「まぁ順調ね、ユニット名は決まり曲二つも作って振り付けも覚えてようやくダンスレッスンってとこ、ここまでうまくいってるのは意外だったわ」

にこ「そりゃあ経験があるからでしょうね」

絵里「スクールアイドル…ね」

にこ「まぁね」

絵里「それにしても誰かしら、ユニット名書いた人って」

真姫「さぁね、でもそれを即採用する穂乃果みたいな思考してるにこちゃんの方が疑問だけど」

にこ「なんかびびっと来たのよ、BiBiなだけに」

絵里「BiBiねぇ…」

真姫「ポストにBiBiって書かれた紙が一つ入っててそれにするなんて…」

にこ「さて、そろそろ行くわよ」

真姫「ええ」

絵里「え?どこにいくの?」

真姫「りんぱなと久々に会うのよ、絵里も来る?」

絵里「面白そうね!いくわ!」

にこ「じゃあほら、さっさと立つ!」

絵里「はいはーい」

にこ「あー!それ海外にいったときにお土産で買った私専用のコップじゃない!何勝手に使ってんのよ!」

絵里「え?この花柄のコップにこのなの?真姫のかと思ってたわ」

にこ「話をきけー!!!」

真姫「というか私のなら使っていいなんて決まりはないわよ!」

絵里「仕方ないじゃない…ここの家にこと真姫のものしかないんだから…」

絵里「あらこのウサギさんのエプロンにこのでしょ?」

絵里「ふふっ可愛いわね~」

にこ「あ、それ真姫ちゃんのだよ」

真姫「ちょ、にこちゃん!」

絵里「え…これ真姫のなの?」

真姫「………」

絵里「ぷっ…」

真姫「えりぃいい!!!!」

絵里「わぁ!ごめんなさいって!にこ!早く凛と花陽のところいくわよ!!」ダッ

真姫「メスで裁いてやるわよ!!!」ダダッ

絵里「それでも医者?!」

真姫「医者!」

ガチャン!

にこ「あ!ちょっ!」

にこ「はぁ……ウサギのエプロンくらいいいじゃない…」

「にこっち~!」

にこ「え?希?!」

シーン…

にこ「…気のせい?」

にこ「…あ、早くいかないと」

~~~

凛「あ、みんなー!」

花陽「皆さんこっちです!」

絵里「ハラショー…見ないうちにホントに変わったわね…」

凛「逆に絵里ちゃんが変わらなすぎにゃ!」

花陽「三人ともすごいですね!まだライブもしてないのに東京ドームでやるライブの倍率がスゴいらしいです!」

花陽「μ'sの一部で組んだユニットだからって注目も集まってます!」

にこ「へぇそうなのね、練習ばっかでそういうことまったく調べてなかったわ」

絵里「そう…人が来なかったらどうしようってちょっぴり不安だったのよね…」

凛「あはは!まぁ凛も気持ちは分かるよ」

花陽「にこちゃんはいつも通り大人気アイドルとして名声が広がり絵里ちゃんは人気急上昇中のモデルとしてアイドル方面に人気が広まり真姫ちゃんは…」

花陽「女医アイドルというアイドルとしてそして萌えポイントとして超個性的な感じでファン激増中です!」

真姫「女医アイドル…あ、そういえば最近病院でも女医アイドルの真姫さんですか?って言われるのよ、何かと思ったわ」

花陽「あ、それでですね来てもらった三人には重大な話があって…」

三人「重大な話?」

花陽「それは……」

にこ「…ん?」チラッ

「……っ」

タッタッタッ

にこ「…穂乃果?」

真姫「え?」

にこ「穂乃果がいたからちょっと待って呼んでくるわ」

にこ「待ってて!すぐ戻るから!」

タッタッタッ

にこ「穂乃果-!」

にこ「ってあれ?どこいった」

にこ「穂乃果…なんであんな深刻そうな顔してたのかしら…」

ピーポーピーポー

にこ「ん?そういえばこの先って病院だったわね…まさか知り合いが…」

にこ「そうだとしたら邪魔するのはダメね、帰りましょう」

スタスタスタ

グサッ

にこ「いたっ…」

にこ「何…腕に針が刺さったような感じがしたんだけど…」

にこ「………」

にこ(まぁいいや、後で真姫ちゃんに聞いてみましょう)

タッタッタッ

にこ「お待たせ!」

絵里「遅いわよ!」

にこ「ごめんなさいね」

ピーピーピーピー!

にこ「?!」ピクッ

真姫「どうしたの?」

にこ「あ、いや…なんでもない…」

にこ「………」キョロキョロ

にこ(何この奇妙な音…この辺には特にそんな音がなるようなものはないし…)

真姫「…?」

にこ「…気のせいか」

~家

真姫「………」カタカタカタカタ

にこ「………」

真姫「ホントに何もないわね」


真姫「批判が」


にこ「…嘘」

真姫「ホントよ、インターネットのどこを探しても私たち三人を批判するような掲示板や書き込みが何一つない」

『このアカウントは凍結されました』

真姫「はぁ…むしろ批判したら潰されるような感じになってるわ…」

真姫「私たちのファンが多すぎるのが問題なんだわ、こいつ潰せって誰かが言えば言葉無しでも通報やら何やらしてるみたいだし…」

にこ「なにそれ…もはやそれって…」

真姫「囲いね、それも全国…いやもしかしたら全世界規模の」

にこ「わお…」

真姫「…一応聞くけど原因はなんでか分かる?」

にこ「真姫ちゃんのあの道具?」

真姫「おそらく正解、でも正直私も確信はもてない」

真姫「効き目が想像以上に強かったからね、知らないうちにアイドルになってた、なんて展開は想像してなかったわ」

にこ「私たちを認知する人のほとんどは私たちの味方になってるわけね」

真姫「ええ、その通り」

にこ「それって色々大丈夫なの?」

真姫「さぁね、でもNO問題じゃないのは確かだわ」

真姫「どういう形で影響するかは分からないけど必ずこの問題は影響する」

真姫「…まぁまだ重要視する問題ではないわ」

にこ「ええ」

真姫「……それよりも」

にこ「ええ、言いたいことは分かるわ」

真姫「過去が改変されてるってことよね」

真姫「やっぱりただ今は変えるだけじゃ不自然なのよ、だから違和感のないように過去を変えられてるんだわ」

にこ「私たち三人はμ'sの時にもユニットを組んでいた、なんてさっきの凛と花陽が言った重大発表とかいうので初耳だったわ」

真姫「同じく」

にこ「リリーホワイト、プランタン、そしてビビ」

にこ「絵里はなぜ知らなかったの?」

真姫「分からないわ、でも凛と花陽の話に心当たりがあるようにも見えたわ」

にこ「順調なのは変わりないけど裏の見えないところで色々動いてるわね…」

真姫「まぁ少しずつ探っていきましょう」

にこ「ええ」

すいません、大して進んでませんがさっきからところどころ寝落ちしててこれ以上続けられそうにないので中断します

~数週間後

にこ「んーっ!久々の休日!毎日練習や話し合いとかあって疲れたわ~…」

真姫「お疲れ様、私たちで作った曲でシングル出すって聞いた時は驚いたけど順調そうでよかったわ」

真姫「それで今日発売なわけだけど…」

にこ「やっぱりアイドルっていいわね~…」

真姫「…ええ、それでさ」

にこ「何?」

真姫「なんで今私たちはアキバにいるの?」

にこ「いやぁなんか行きたくなって…」

真姫「休みくらい家で寝てればいいじゃない…」

にこ「私たちの人気っぷりを確認するにはいい場所でしょ?」

真姫「いやまぁ…そうだけど…」

「あの!」

真姫「あ、はいなんですか?」

「BiBiの真姫さんとにこさんですよね…?」

にこ「ええそうよ!」

ザワザワ ヤザワザワ

「握手と後…サインください!」

真姫「え、ええ分かったわ」

「こないだの歌番組見ました!とても良かったです!」

「サマーライブ絶対行くんで頑張ってください!」

にこ「もちろん!良いステージにするから絶対来なさいよね!」

真姫「はい、どうぞ今後とも私たちをよろしくね」

「はい!」

にこ「こんなものね!やっぱり人気ね私たち!」

真姫「そうだけど…歩いてるだけで分かるって相当街に行きにくいじゃない…私的には不便だわ」

にこ「まぁ確かにそうね…」

にこ「人が集まらないうちに別のとこ行きましょ?」

真姫「既に何人かいるけどね」

にこ「真姫ちゃん早く早く!」

真姫「はいはい分かったわ」

ダダッ!



にこ「ほら見て!私たちのCDがこんな大きく出てる!」

真姫「…売り切れなんだけど」

にこ「あ、ほんとだ…何もないわね」

にこ「せっかく買おうと思ったのに…」

真姫「完成品は貰う予定あったでしょ…」

にこ「それとこれとは別なのよ」

ピョンピョコピョンピョンカワイー

真姫「ん…絵里からメールだ」

真姫「…ホントだ、載ってる」

にこ「どうしたの?」

真姫「トレンドよ、私たちBiBiがランキング一位になってるわ」

真姫「日本だけじゃなくて海外の方でも上がってるみたいだし」

にこ「わあ!すごいじゃない!」

真姫「なんかうまく行き過ぎな気もするけどね…」

にこ「よーし…スクショして…今度みんなに自慢よ!」

真姫「ええ…」

にこ「あーやることやったし帰りましょう?」

真姫「ホント…穂乃果みたいな人になったわねにこちゃん」

にこ「…それはなんか穂乃果に失礼な気がするわ」

真姫「え?」

にこ「なんでもない!早くいこ!」ダッ

真姫「あ、ちょっ…速いわよ!」ダッ



にこ「ん?うわあ…!」

真姫「…すごいわね、こんなアキバの中心でこんなに大きく私たちが載ってるなんて」

にこ「少し見ないうちにここもホント変わったわね、私たちで染まったっていうか…」

真姫「良いことなんじゃない?それって」

にこ「いや良いことなんだけど…その…」


にこ「達成感を感じないっていうか…」


真姫「…あぁ、それね私も思ったわ」

真姫「まぁ、いいんじゃない?」

にこ「そうね!」

にこ「あ、そういえばスクールアイドルショップでまだあるの?」

真姫「さぁ?寄ってみる?」

にこ「ええ!行きましょう!」



にこ「へぇ~…なんかあんまり変わってないわね、そりゃあ品揃えは変わってるけど」

真姫「でもちゃんと私たちμ’sやA-RISEもあるじゃない」

真姫「BiBi復活、なんて挙げられてるし」

にこ「うわ~懐かしいわね、このバッチ」

にこ「五個くらい持ってるわ、記念用と鑑賞用とつける用と予備用と妹たち用とか色々な理由で買った覚えあるわ」

真姫「買いすぎでしょ…」

にこ「人気急上昇中…へぇ今を翔るスクールアイドルなのね」

真姫「九人なんてμ’sみたいね、よくよく考えればそんな大人数のスクールアイドルあんまりいないし」

にこ「そうね」

にこ「はーあ、思い出に浸ってたらなんか余計疲れたわ、帰りましょ」

真姫「もういいの?」

にこ「じゃあもうすぐ夏だし真姫ちゃんのうちわだけ買って帰るわ」

真姫「ちょっ…やめてよ…」

にこ「すいませ~んこれくださ~い!」

「あれ矢澤にこじゃない…?」

「あそこにいるの西木野真姫っぽいし…」

真姫「!」メソラシ

にこ「ほら買ったよ~、この頃の真姫ちゃんってかわいいよね~今はどうしてそんなツンツンしてるんだか~」

「ほら…やっぱりそうだよね」

真姫「い、いいから早くいくわよ!」グイッ

にこ「あ、ちょー!そんな引っ張らないでって」

真姫「……人気か」

「にこちゃん!」

にこ「ん?はーい?」

真姫「ん?どうしたの?」

にこ「え?今誰かにこちゃんって…」

シーン

にこ「…あれ?」

真姫「疲れてるんじゃないの?早く帰りましょう?」

にこ「え、ええ…」

にこ(何また…?あれは気のせいなの…?)

にこ(最近聞き間違えが多いわね…大丈夫かしら…)

~また更に数週間後

「キスミン」

ピッ

真姫「ふぅ…」

にこ「あー!なんで止めちゃうの!せっかく真姫ちゃんのCMだったのに」

真姫「あんな恥ずかしいの見せたくないわよ!」

にこ「恥ずかしいのにやるの?」

真姫「内容なんてやるまで知らないわよ!」

にこ「でも真姫ちゃんがキスミントのCMやってくれたおかげで売り上げ伸びてるらしいわよ、やったわね」

真姫「…正直CMなんてやりたくなかったわ、恥ずかしいし」

真姫「患者の人にはからかわれるし…」

にこ「ふっ…いいじゃない、個性があって」

真姫「…一番の理由は違うわよ」

にこ「じゃあ何?」

真姫「実感が無いのよ」

真姫「上手く行き過ぎてなんか違うのよね…」

にこ「ふーん…」

真姫「オリコンはダントツ一位、街中を歩くだけで気付かれちゃう知名度、CM出演、全世界のトレンドで一位獲得、私たちだけのラジオまで受け持っちゃって…」

真姫「私がμ’sとしてアイドルを経験してなかったからきっと今からいう言葉は違ったと思う」


真姫「μ’sと比べると生温くて面白みがないのよね…」


にこ「あー……」

真姫「不思議よね、アイドルって有名になりたいから頑張るってのに私たちは今有名になってもなんか違うなんて不満訴えてさ」

にこ「………」

真姫「ごめんなさいね、モチベーションが下がるようなこといって」

にこ「いやいいのよ、そう思うのは分からなくもないから」

ピッ

「キスミン」

ピッ

にこ「あー!!!また消した!」

真姫「なんでこうもつけたタイミングで私のCMがあるのかしら…」

にこ「…そういえばさ」

真姫「何?」

にこ「幻聴が起こる原因って何なの?」

真姫「…何?にこちゃん幻聴が聞こえるの?」

にこ「いや…聞こえるとかいう聞こえたような気がするって感じで…」

にこ「でも!確実に聞こえたって時もあるのよ!」

にこ「家で希の声でにこっちって聞こえたのよ!」

真姫「…まぁ幻聴が聞こえるなら統合失調症かしら」

にこ「なにそれ…」

真姫「難しい説明は省くわ、簡単に言えば幻覚幻聴が見える聞こえる病気みたいなもの」

にこ「…私そんなのにかかったの?」

真姫「それはなんとも…」

真姫「…今度病院いく?

にこ「……いやいいわ、これ以上酷くなったら行くわ」

真姫「了解よ」

~??

にこ「ん……?」

にこ「ここ…は…?」キョロキョロ

250室

にこ「病院…?」

ピーピーピーピー!

にこ「わぁ?!」

にこ「この250室からね…開けてもいいのかしら…」

ガララ…

にこ「…穂乃果?」

穂乃果「ん…?あ、にこちゃん」

にこ「どうしてここに…」

穂乃果「私の大切な友達、ずっと眠ってるから見守ってるんだ」

にこ「大切な友達…?」

にこ「……?」

にこ「穂乃果…あんた誰の手を握ってるの?」

穂乃果「え?」

にこ「誰もいないじゃない…」

穂乃果「え?何言ってるの?ここにいるじゃん!眠ってる――が!」

にこ「いやいないじゃない…」

穂乃果「酷いよ…――の存在は否定するの…?」

にこ「誰よそれ…なんて言ってるのか全然聞こえないのよ…」

ガララ!

にこ「!」

真姫「………」

にこ「真姫ちゃん…?」

真姫「」パクパク

にこ(何…?声が聞こえない…)

真姫「」パクパク

にこ「め、を、さ、ま、せ?」

「にこちゃん!!」

にこ「どわはぁ?!」

真姫「いつまで寝てるのよ!もう昼よ!」

にこ「あれ…?夢…?」

真姫「何?怖い夢でも見てた?」

にこ「いや…なんだかよく分からない夢…」

真姫「ふーん…まぁとりあえず昼ご飯出来てるわよ」

にこ「え?真姫ちゃんって何か料理作れたの?」

真姫「失礼ね!これでも家事はちゃんと出来る器用な女の子だって自負してるから」キリッ

にこ「女の子ねぇ…」

真姫「何よ…まだそういってもいい歳でしょ」

にこ「いやそうだけど…」

にこ(さっき夢…なんだか変だったわね…)

にこ(…まぁいっか)

~数ヶ月後

絵里「はーい!始まりましたー!」

にこ「にこ!」

真姫「真姫!」

二人「そして~…」

絵里「エリーチカの?」

三人「BiBiラジオ~!」

絵里「っはーい!今回も決まりましたね!」

にこ「っていう流れを今回もしてるわね」

真姫「という流れを指摘する流れもいつも通りね」

絵里「えぇ~早速ですが皆さんに言わなきゃならないことがあります!」

にこ「おっ?なにかななにかな?」

真姫「みんな知ってるアレよ」

絵里「とうとう明日!私たちのライブが東京ドームで行われます!」

真姫「やっとね」

にこ「や~んにこもう緊張してきたぁ~」

真姫「気持ち悪い…」

にこ「ぬぁんでよ!」

絵里「あはは…いやぁたくさん練習したからダンスはもう完璧!」

絵里「…よね?」

にこ「当たり前でしょ、一日何時間練習してると思ってるのよ」

真姫「μ’sの時より動けてるんじゃないんかしら」

絵里「とのことですので是非私たちのダンス、期待しててくださいね!」

真姫「さて予定ですとここからちょっとの間私たちは何もしていい自由時間らしいので思い出でも語りますか」

にこ「思い出つってもね~…」

絵里「あ、そういえばこないだ穂乃果に会ったのよ!」

にこ「へぇ~まさかこんなところでその名前を聞くとは思わなかったわ」

絵里「穂乃果髪伸びててビックリしたわ」

真姫「ちょっとそれ思い出というより身内トークじゃないの?分からない人いると思うんだけど…」

にこ「まぁそうね」

絵里「思い出ね~なんか昔を思い出すわね、この三人組」

にこ「昔?」

絵里「μ’sの時のユニットよ、あの時もユニット名BiBiだったじゃない」

真姫「にこちゃんと私の知らない過去の話だから適当に流しときなさい」ボソボソ

にこ「え、ええ…」ボソボソ

にこ「え、あ!そうだったわね!」

絵里「私毎回思ってたのよ、Printempsは片思いラブソング、Lliy whiteは純愛という王道ラブソング」

絵里「そしてBiBiは大人っぽいというか…クールな感じのラブソングなのかなって」

にこ「え、ええ…」

真姫(なにそれ…)

絵里「私たちが作った曲はそういうのとはちょっと違って新しいBiBiなのかなって思うのよ、今の私たち」

真姫「な、なるほどね」

にこ「そうね…」

絵里「あ、お便りの時間みたいだわ」

真姫「あ、はいこのコーナーは…」



絵里「ラジオお疲れ様!そして明日のライブ頑張るわよ!」

にこ「もちろん!」

真姫「それでさ…」

絵里「ん?」

真姫「なんで私たちの家にいるのよ!」

絵里「どうせ明日も会うんだしいいじゃない!今日くらい泊まらせて!」

真姫「いやまぁいいけど…」

にこ「………」

真姫「あ、ちょっとベランダにいるにこちゃん見てくるからここでなんかしてて」

絵里「じゃあテレビ見てるわね」

真姫「ええ」

真姫「にこちゃんどうしたの?」

にこ「緊張してんのよ」

真姫「ああさっきのラジオの…」

にこ「そう、ラジオっていうと絵里の話…」

真姫「あぁあれね、仕方ないことなのよ」

真姫「私たちは違う世界線に知らず知らず飛び込んでてただ知ってるのは…」

真姫「ここがどういう世界かってだけ」

真姫「そりゃあ世界も違うならば過去も違うわ」

真姫「型にハマった未来と過去じゃ望んだ世界は叶わないなんて皮肉にも夢ってすごいわよね」

にこ「……そうね」

真姫「こんな叶えたい夢をお願いするだけで叶えるなんて神様しか出来ないようなことしてるのにそれでもなんか不満感じてるって私たち贅沢よね」

にこ「別に不満なんか…」

真姫「…じゃあやめる?」

にこ「え?」

真姫「アイドル、やめてもいいわよ」

真姫「あの電話に向かって元に戻れって言えばこの世界は無くなるなるわよ」

にこ「…いや今は止めないでおくわ、明日ライブもあるしね」

真姫「ええそうよね」

絵里「ちょっとー飲み物切らしちゃったんだけどどれを飲めばいいの?」

にこ「はぁ?!もうあそこのやつ飲んだの?!もう仕方ないわね、ちょっとこっちきなさい!」

絵里「はーい」

真姫「……大丈夫よね」

~次の日

絵里「とうとうよ…」

にこ「ええ…」

真姫「やっとね…」

絵里「不安もあると思うけど心配することはないわ!μ’sの時のように!楽しんでいきましょう!」

にこ「え、ええ!もちろんよ!」

真姫「もう始まるわよ!」

絵里「よし、配置につきましょう!」

にこ「了解よ!」

真姫「行くわよ…!」

真姫「3、2、1」

真姫「せーっの!」

パァン!

にこ「みんなお待たせ―!!!」

絵里「今から盛り上がっていくわよー!!!」

真姫「それじゃあいってみよー!!!」

三人「PSYCHIC FIRE!!」

~~~

絵里「お疲れ様!」

にこ「お疲れ様」

真姫「おつかれ」

絵里「大成功だったわね!」

真姫「ええそうね、会場も盛り上がってたし特に気にするところは…」

にこ「………」

真姫「そんな気を落とさないで?いいじゃないちょっとくらいは」

にこ「…ダメなのよ、あんなに練習したのにダンスを失敗するなんて最悪じゃない」

にこ「もう今日は仕事も何もないし帰るわね…」

スタスタスタ

真姫「にこちゃん…」

絵里「真姫、にこを頼んだわよ?」

真姫「ええもちろんよ」

タッタッタッ

絵里「さて…私は希のところにでもいこうかしら」

絵里「もしもーし希~?」

~~~

真姫「今度から頑張りましょう?まだこれが最後じゃないし」

にこ「ええそうだけど…」

真姫「とりあえず近いうちやる打ち上げは元気にいきましょう?μ’sのみんな来てくれるみたいだし」

にこ「ええ…」

真姫「もう疲れたでしょ?寝ましょう?今日は一緒に寝てあげるわ」

にこ「とかいいながら毎日一緒でしょ…」

~打ち上げ

「かんぱ~い!!!」

穂乃果「いやぁ!すごかった!うん!ホントにすごかったよ!」

花陽「はい!にこちゃんたちがいい席取ってくれたおかげでよく見えました!」

凛「ずっと練習してみたいだからね~」

海未「ライブには行けませんでしたが映像の方で見ました、とても良かったです」

ことり「うんうん♪」

希「それにしてもまさかアイドルを始めるなんてなー…」

穂乃果「そうそう!ホントに!にこちゃんは分かるけど他の二人が始めるなんて思ってなかったよ!」

絵里「色々あったのよ」

真姫「そう、色々とね」

真姫(まず最初の原因はあの電話だけど…)

凛「アイドルかー懐かしいね!」

希「ウチらもよくやったなぁユニットで」

海未「あなたたち練習で遊んでた記憶しかないんですが…」

希「それは海未ちゃんの記憶が悪いんよ?なあ?凛ちゃん」

凛「うん!」

穂乃果「私たちのユニットはいつものほほんとしてたね」

花陽「はい!おやつ食べたり色々お話したり!」

ことり「精一杯曲のイメージ考えて真姫ちゃんに作曲頼みに行ったね♪」

穂乃果「うんうん!」

絵里「私たちもあったわね~…色々と」

にこ「そ、そうね!」

真姫「あ、あ~懐かしいわね」

絵里「そういえばことりは海外で働いてるのよね?大丈夫なの?」

ことり「うん!いつもは熱心に働いてる分休みもばっちり!」

絵里「おお…」

凛「海外なんてすごいよね~りん…私にはさっぱりだよ」

希「なるほど、凛ちゃんは一人称に苦戦してるんやね」

凛「なんかクセで…」

ことり「でもこっちでも結構話題になってたよ?μ’sのBiBiが復活だって」

希「あー海外でもライブしたもんね」

ことり「そうそう!μ’sを好きな人は今になっても覚えててくれててね!」

花陽「そう聞くと嬉しいですね…!」

穂乃果「やっぱりμ’sってすごいんだねぇ…」

絵里「まぁ私たちの奇跡だものね」

穂乃果「昔も色々あったけどやっぱり今が一番だよね!」

にこ「ええ、そうね今が一番よ」

絵里「ええ!」

凛「今のカラオケってμ’sの曲あるの?」

花陽「はい!もちろんありますよ!」

凛「じゃあ今度歌いにいこっか!」

穂乃果「みんなで?」

凛「うん!」

希「お、楽しそうでいいやん!」

真姫「まぁいいんじゃない?」

穂乃果「あ、そろそろ頼んでた料理とかくるっぽい!テーブル片付けよ!」

「はーい」

にこ「はぁ……」

真姫「どうしたの?」

にこ「ちょっとね、家に帰ったら話すわよ」

真姫「分かったわ」

穂乃果「ほぉら!にこちゃんはやくそこ開けてって!」

にこ「はいはいわかったからそんな急がない」

「あ、あのBiBiの皆さんですよね…?」

絵里「え?あ、はいそうですよ」

「あ、あのライブ行きました!とっても良かったです!」

真姫「それはどうも…」

「あ、あの…」

にこ「?」

「サインください!」

~帰り道

にこ「ねぇ真姫ちゃん」

真姫「なに?」

にこ「今更なんだけどさこんなこと、してよかったのかな」

真姫「もしもテレフォンのこと?」

にこ「そうよ」

真姫「…正直悪いことよね、誰も自力じゃ渡れないような崖を自力で渡ろうとしてる人がいる片隅で私たちは空を飛んでそこを越そうとしてるようなものだもの」

真姫「悪行…ではないけど限りになくそれに近いもの」

にこ「…そうよね」

真姫「急にどうしたの?」

にこ「なんかμ’sのみんなの話実際に聞いてて思ったのよ」

にこ「μ’sは私たちの奇跡とかここまで人気が出るとは思わなかったとか言うけどさ私たち奇跡を魔法みたいなもので起こしてるのよ」


にこ「努力も無しに、ね」


真姫「………」

にこ「練習はちゃんとやってるわ、真面目の真面目の大真面目」

にこ「でもそうなるまでの過程が空っぽなのよ」

にこ「…私ってアイドル続けていいのかな?」

真姫「……それは私からは何も言えない」

「いいわけないやんな?」

にこ「っ!」ピクッ

「そんなズルして続けていいわけないやん」

にこ「希…」

希「引退」

にこ「!」

希「引退するしかないやん」

にこ「はぁ!?いきなり現れて何言うのよ!」

希「えりちもこの事知ったら悲しむよ?BiBiの人気の原因の裏にはこういうことがあったなんて知ったら」

にこ「っ……」

希「もう正直ウチはにこっちのことを友人だなんて見てない、μ’sのメンバーとしても思いたくない」

にこ「…は?」

希「だってそうやん、夢を楽に叶えられるとしてそんなモノに頼るなんて幻滅なんて言葉じゃ全然足りないよ」

にこ「………」

希「にこっちが良くてもウチはよくない、とりあえずえりちにはやめさせるよ」

にこ「!」

希「今崩壊を恐れたやんね?BiBiが無くなっちゃう、アイドルが出来なくなっちゃう」

希「当たり前やん、こんなズルして終わり方なんて選べるはずないやん」

にこ「…っ!」

希「因果応報、罰の全ては元となるモノに回帰する」

希「にこっち、早く目を覚ました方がいいよ?」

にこ「っうるさいわね!さっきからなんなのよ!」

にこ「あんたに何が分かるのよ!」

にこ「平凡を憧れる何もないあんたに何が分かるのよ!」

希「だからといってそういうことをしていいってことにはならないやんな?」ニシシ

希「正直いって惨めやで?にこっちも落ちるところまで落ちぶれてしまったんやね…」

にこ「っ!!!」

にこ「うるさい!うるさい!!!」

にこ「消えてしまえ!!あんたなんか友達でもなんでもないわよ!!!」

希「あーそれさっきウチ言ったやん、むしろそれで友情崩れないなんてどんだけのことしてるんだか」

希「あ、真姫ちゃんとにこちゃんなら大丈夫かもやんね?」

希「……いずれにせよ早く目を覚ましてやにこっち」

にこ「こいつ……!」

グッ

にこ「ころし…」

「……こ……!」

にこ「…?」

「…こちゃ…!」

「にこちゃ…!」

「にこちゃん!」

にこ「!!」

真姫「さっきから誰と話してるの?!」ポロポロ

にこ「あ、え…わ、私…」

シーン

にこ「あえ…私何して…」

真姫「さっきから一人で怒鳴ったり何言ってるのよ!おかしくなったと思ったじゃない!」

にこ「ご、ごめん…」

ギューッ

にこ「!」

真姫「やめてよ…私までおかしくなりそうだったじゃない…」

にこ「うぅ…うわあああああああああああん!!!」ポロポロ

真姫「え、ちょっ泣かない!せめて泣くなら家で泣きなさい!」

にこ「さっき泣いてたくせにぃ…」ポロポロ

真姫「うぇ?!それは仕方ないでしょ!」

真姫「とにかく家まで行くわよ、おんぶしてあげるから」

真姫「よいしょ…」

真姫「よしっ行くわよ!」

~家

にこ「………」

真姫「………」

にこ「私ね、幻覚を見てたみたいだわ…」

真姫「そのようね…」

にこ「希からボロクソに言われたわ…ズルしてるのにアイドル続けていいわけがないってさ」

真姫「………」

にこ「私ね、悔しいのよ…」

真姫「悔しい?」

にこ「私が悪いのに…いや私にしか非が無いのに希のせいにして、しかも友達じゃないとまで言って…」

にこ「……それにとんでもないこと言おうとしてたわ、言ってはいけないこと」

にこ「これが私の本性だったんだって思ってさ…」

にこ「私ずっと前から思ってたのよ」

真姫「なに?」

にこ「この世界って私が望んだ世界なんだよね?」

真姫「そうだけど…」

にこ「これ……」

真姫「ん…にこちゃんダンスで失敗したけど頑張ってほしい…?」

真姫「これが何?」

にこ「その下よ」

真姫「失敗したときのにこちゃんの顔すごく可愛かった、ダンス失敗しないアイドルなんていないわな、緊張してたんだと思う仕方ない」

にこ「…以下見てもられば分かる通り私の擁護祭りよ」

にこ「他探したけど前の時みたいに批判が全くない」

にこ「それはただ単に批判してる人がホントにいないのか、それとも私たちのファンが批判してる連中を片っ端から潰してるのか」

にこ「どちらにせよ普通は批判されるものだと思わない?」

真姫「…まぁね」

にこ「誰もこんなことしてくれなんて頼んでないのよ…」

真姫「なるほどね」

にこ「正直ね…気が狂いそうなのよ」

にこ「さっきの打ち上げといい希の幻覚といいもう何もしたくないのよ…」

「ファイトだよっ!」

にこ「!!」ピクッ

穂乃果「にこちゃん!そんなこと続けちゃダメだよ!」

にこ「穂乃果…?」

穂乃果「やめよう?」

穂乃果「私たちがやったアイドルってそんなものじゃないでしょ?」ニコッ

にこ「っ…!」

穂乃果「私は待ってるよ、にこちゃんの帰りを」

にこ「帰り…?」

穂乃果「早く目を覚ましてよ、本当のにこちゃんとして目を覚ましてよ」

にこ「…私にどうさせたいの?」

穂乃果「………」

にこ「………」

にこ(なんなのこの穂乃果…)

にこ「!!」

にこ「…あれ?真姫ちゃん?」

シーン

にこ「…そうだ、こいつは幻覚なんだ」

にこ「真姫ちゃん、私幻覚見てるみたいなの」

にこ「ちょっとこいつとお話しさせて?」

にこ「穂乃果の姿をした何かと」

「穂乃果ちゃんはもういないよ」

にこ「!!」

花陽「こんばんは、にこちゃん」

にこ「次は花陽か…」

花陽「問題です、なんでにこちゃんは私が見えるのでしょう」

にこ「は?」

花陽「だって幻覚なんて普通に考えてみないでしょ?それともにこちゃんは幻覚を見るようなものでも使ったの?」

にこ「それは前真姫ちゃんがいってたあの病気だから……」

ガララ!!!

にこ「!!」

にこ「何?!」

シーン

にこ「…?」

パリーン!!

にこ「?!」

ドサッ

にこ「なんなのよ…この音…!」

にこ(幻聴幻覚の症状がひどくなってるの…?)

「にこ!」

にこ「!」

絵里「にこ、私は良いわよ、にこがしたいようにやればいいと思う」

にこ「絵里…何でここに…」

にこ「まさかあんたも幻覚…?!」

絵里「私は本物…っていっても状況は変わらないわよね」

絵里「私たちの後ろにはそんなものがあったのはとっても残念というか脱力感がすごかったわ」

絵里「でもね、私はにこの意思否定しないわよ」

絵里「正直私はにこをもっと応援したい」

にこ「否定の次は同情の幻覚なんて趣味が悪いわね…」

真姫「幻覚じゃないわよ!」

にこ「!!!」

にこ「え…?」

絵里「だから言ったじゃない、本物って」

にこ「どうしてここに…」

絵里「色々あってね、それでさ真姫から事情はもうかなり前から聞いてるから安心して」

にこ「かなり前…?!」

絵里「ええ、私正直驚いちゃった」

絵里「冗談かと思ってたでもホントのようね…」

にこ「…なんか展開が急すぎてついていけないんだけど」

真姫「ごめんなさいね、秘密で絵里にこのもしもテレフォンのことを伝えたの」

真姫「やっぱり仲間には伝えるべきかと思ってね」

にこ「…よく絵里はOKを出したわね」

絵里「だってそうじゃない、私もそんなものあったら使いたくなっちゃうもの」

にこ「あ、あはは……」

にこ(こりゃ絵里も希に幻滅以上って言われるな…)

絵里「…でもまぁそうよね、確かに考えたらこれはズル」

絵里「……やってていいことではないわよね」

真姫「ええ…」

絵里「私、アイドルやめていいわよ?」

絵里「ホントはまだ続けたいけど仕方ないもの」

真姫「………」

にこ「…ホントにそうよね」

にこ「絵里は昔のこと覚えてるんでしょ?ぷらんらんとかりりーほわいととかの」

絵里「え?覚えてないわよ?」

にこ「は?」

絵里「私も最初聞いた時は何言ってんだこいつ状態だったわ」

にこ「え?」

真姫「なんかこの三人だけ元の世界線から引っ張られてきたみたいで…」

真姫「多分不具合かもっと別に意図があったのか…」

真姫「まぁとりあえずよくわからないとだけ言っておくわ」

にこ「そう…」

にこ「それでさ、ずっと気に障ってたのよ」

にこ「昔の話」

絵里「どうして?」

にこ「だってそうじゃない、BiBiが復活とか前のBiBiがあったから今のBiBiがあるみたいな言い方してさ」

にこ「だって私たち何もしてないのよ?そんな空っぽな過去を手にしてその空っぽの過去を表向きに私たちは社会に出されてる」

にこ「みんなも昔は~昔は~って知らないわよそんなの…」

にこ「あの電話を使った私が言うことじゃないのは分かってる、でもさ無いものがあったから私たちはここまでこれたなんて言い方されてたら腹が立って…」

真姫「にこちゃん……」

真姫「…じゃあさ」


「にこちゃん!!」


にこ「!」

にこ「あれ…真姫ちゃんいつ後ろに…」

真姫「そろそろいいでしょ…?」

にこ「な、何が…?」

にこ「やめるってこと…?」

真姫「ううん、違う」

真姫「やり直さない?」

にこ「やり直す?」

真姫「アマチュアから…ううん1から…いやもっと前の0からスタートのアイドル人生」

真姫「ちょっと待ってて」

スタスタスタ

にこ「…?」

真姫「はい、これ」

にこ「あ、これは…」

真姫「もしもテレフォンよ、言うだけで夢が叶う秘密道具」

真姫「この受話器を取って元に戻れといえばこの世界は元の世界に戻るわ、私たちがアイドルでもなんでもない世界」

真姫「きっと私たちは無かったことになってるはずよ」

真姫「過去が改変されてアイドルになってるからね、過去が元に戻りアイドルをしてない環境下になるわ」

にこ「そこから三人で本物のアイドルになれるように頑張ると?」

真姫「ええその通り」

にこ「………」

希『目を覚ましたほうがいいよにこっち』

にこ「………」グッ

にこ「いいわよ、やってやろうじゃない」

真姫「決まり、ね」

真姫「じゃあにこちゃんがいって、元に戻れって」

にこ「分かったわ」

スタスタスタ

にこ「…言うわね」

「…こちゃん!」

にこ「!!」

「にこちゃん!!」

真姫「アイドル続けるんでしょ?」

にこ「え…やり直すって…」

真姫「やり直す?何言ってるのよちょっとアイドル休憩してから再開しましょう?」

にこ「………」

「にっこちゃーん!!!」

にこ「また…」

「にこっち~!」

「にこ!」

「にこちゃんにこちゃん!」

真姫「にこちゃん?どうしたの?」

にこ「ちょ、ちょっと待って…」

にこ(何が起こってる…?)

にこ「………」

真姫「にこちゃん…?」

「いつまで夢見てるの…?」

にこ「夢…?」


「早く目を覚ましてよ…!」


にこ「なに…どういうこと…?!」



「早く気付いてよにこちゃん!!!」



真姫「にこちゃん!!!」

真姫「また私の声届いてないの?ホントに大丈夫…?」

絵里「大丈夫?」

にこ「あ、ごめん…」

にこ(なんなの…もう…!)

にこ(何に気付く…?)

「もしも……」

にこ「!」

「なったら…!」

ピーポーピーポー

にこ「救急車の音…?」

グサッ

にこ「いったぁ!!」

にこ「ひっ…なにこれ…?!」

にこ「腕が…針が刺さってる…!」

にこ「取れない…なにこれ…真姫ちゃん取ってよ…!」

真姫「痛い?」

にこ「痛いよ…」

真姫「そろそろ気付いてよ」

にこ「だから何が…!」

真姫「みんな待ってる」

にこ「意味わからないわよ!」

穂乃果「答えは簡単だよ」

にこ「穂乃果…」

穂乃果「アイドルをやめればいい」

にこ「またそれ…」

希「ほらっにこっち、あ・そ・こ」

にこ「もしもテレフォン…?」

希「やめるんよ」

真姫「私の手を取って…?」

にこ「真姫ちゃん…?」

絵里「行きましょう!」

真姫「アイドル、やめましょう?」

スッ

「にこちゃん!!」

にこ「!」

絵里「一緒に行きましょう」

真姫「アイドル、続けましょう?」

スッ

にこ「………」

にこ(私は二人の真姫ちゃんと会話をしてる…)

にこ(アイドルを続けさせたい真姫ちゃんとアイドルをやめさせたい真姫ちゃん)

にこ(片方の真姫ちゃんと話してるともう片方の真姫ちゃんの声が聞こえなくなる)

にこ(…というか姿さえも見えなくなる)

にこ(正直どっちが本物なのか分からなくなってもおかしくない)

にこ(続けるなら真姫ちゃんの手を取ってやめるならもしもテレフォンで終わりの合図を送る)

にこ(どっちの真姫ちゃんを信じるべき…?)

にこ「…でも、やり直せるなら」

真姫「え?」

にこ(やり直せるなら私はやり直す方法を選びたい…)

にこ(だから……)

にこ「…ごめん、絵里、真姫ちゃん」


にこ「アイドル、やめるよ」


真姫「…そう、分かったわ」

にこ「…ごめんね」

絵里「仕方ないわね」

真姫「ねぇにこちゃん」

にこ「何?」

真姫「私、すっごく楽しかった!これまでにないくらい幸せだった!」

にこ「な、なによ…お別れみたいなこといって…」

真姫「…ううん、なんでもないわ」

真姫「さぁ、夢の終わりの合図を言って?」

絵里「元に戻れ、よ」

にこ「………」

スタスタスタ

にこ「すぅ……」


にこ「元に戻れ!!!」


チリリリリリーン

にこ「…うっ?!」クラッ

にこ「なにこれぇ…?!」

真姫「これは夢、にこちゃんの夢」

真姫「夢は夢でもあくまで眠ってる時に見る夢なの、叶えて見る夢じゃなくてね」

真姫「だからここで私とにこちゃんはお別れ、短い時間だったけど…」


真姫「とっても楽しかったわ!!」ポロポロ


にこ「は…ぁ?!!」

にこ「ま………て…」

真姫「…アイドル頑張ってね」

ユラユラ



にこ「んー…」

にこ「っは!真姫ちゃん!」

希「に、にこっち…?!」

穂乃果「に、にこちゃん!?」

にこ「希…?!穂乃果…?!」

希「ま……」

希「真姫ちゃあああん!!にこっち目を覚ましたでー!!!!」ダダッ

穂乃果「うわあああああん!!!にこちゃんやっと帰ってきたああああ…」ギューッ

にこ「目を覚ました…?帰ってきた…?」

にこ「…!まさか…」

『目を覚ましてやにこっち…』

『帰りを待ってるよ』

にこ(あの時の希の言いたいことも穂乃果の言いたいことも全然理解できなかった)

にこ「いたっ……点滴…?」

穂乃果「ここは真姫ちゃんが継いでる西木野総合病院、その250室」

にこ「!!!」

250室

にこ(夢の…)

穂乃果「にこちゃんずっと眠ってたんだよ、何ヶ月も」

にこ「そんなに?!」

穂乃果「うん…だから真姫ちゃんずっと私のせいでにこちゃんがって自分を責めててね…」

穂乃果「今はもちろん大丈夫だよ」

にこ「…そっか」

にこ「あれ…?なんでここにこの写真が…」

穂乃果「この前真姫ちゃんが持ってきたんだよ、夢の中のにこちゃんに思いが届きますようにって」

にこ「なんでこんなにボロボロなの?額縁にはヒビ入ってるし…」

穂乃果「希ちゃんがにこっちになんてことするんやー!ってものすごい怒ってここからそこの窓に投げてね…」

パリーン!!

にこ「!!」

穂乃果「あはは…おかげで色々大変だったよ」

にこ「なるほどね」

穂乃果「真姫ちゃんは唖然として荷物落としちゃってね」

ドサッ

にこ(あの音はそういうことだったのね…)

穂乃果「にこちゃんの容態もずっと不安定だったんだよ?」

穂乃果「何度そこの機械からブザーが鳴ったか…」

ピーピーピーピー

にこ「!!」

穂乃果「ずっと叫んだんだからね、届いてた?私たちの声」

『にこちゃん!』

にこ「…ええ、届いてたわよ」

穂乃果「ホント?!なんか届いてるって分かると嬉しいな~…」

ガララ!!!

真姫「にこちゃん!!」

にこ「ま、真姫ちゃ」

モギューッ

真姫「ごめんなさい…!あんな電話のせいで…!!!」

真姫「私の設計ミスで一生目覚めなかったかもしれないのに…」

真姫「それでにこちゃんをずっと寝かせて…!」

にこ「…ううん、真姫ちゃん」

にこ「私、真姫ちゃんに感謝しなきゃいけないくらいだわ」

真姫「え…?」

にこ「真姫ちゃんのあの電話がなきゃホントにアイドル、なれなかったかもしれない」

にこ「真姫ちゃん、これは目を瞑ったら見える夢の方で叶えるいわゆる夢を見せる機械だったんだよね?」

真姫「え、ええ…」

にこ「はー…スッキリした、私ね長い夢を見てたわ」

にこ「…ちょっと経ったら絵里を呼んでほしいの」

『やり直しましょう?』

真姫「にこちゃん…?」

にこ「重大な話があるから」

~??

「さぁ走って!」

「ええ!」

「ちょっ…!待ちなさいって!」

~~♪~~~♪

「にっこにっこにー!!」

「どうもー!!!」

「はいはいお待たせー!」

「とうとうここまで来たわよみんなー!!」

ワアー!!

にこ「にこ!」

真姫「真姫!」

絵里「エリーチカ!」

にこ「もう冬よー!」

絵里「いきなりしんみりだけど最初はこの歌を歌うわよー!」

真姫「あ、そうそう!もう少しで一周年ライブだからそのときもよろしく頼むわねー!」

にこ「さぁ!歌うわよ!」

「冬がくれた予感!」



絵里「ライブお疲れ様!」

にこ「さいっこうのライブだったわ!」

真姫「でもここで気は抜けないわよ?」

にこ「もちろん!」

トントン

にこ「あ、はい入ってどうぞ!」

希「やぁやぁ頑張ってるね君たち」

絵里「希?!」

ことり「わぁ…!衣装可愛い!」

穂乃果「おー!アイドルだ!」

海未「ライブ見ましたよ!すごかったです!」

凛「おおお!衣装がいっぱいだよ!」

花陽「はわぁ…!三人ともサインください!」

にこ「楽屋まできて何の用よ…」

穂乃果「私たちμ'sです!って言ったら通してくれてね!」

真姫「なにそれ…」

希「ライブお疲れ様、一周年ライブももちろんいくからね!」

絵里「希…!」

穂乃果「私たちも!」

ことり「うん!」

海未「はい!」

凛「かよちんも予定あけといてよ?」

花陽「もちろんだよ!」

にこ「みんな…!」

にこ「ありがとっ!」



真姫「すごい応援だったわね」

絵里「そうね」

にこ「あれから一年も経つのね…」

絵里「ホント、時間の流れって早いのね」

真姫「にこちゃんがあんな提案をするなんてね」

にこ『絵里、真姫、私でユニットを組んでアイドルをしましょう!グループ名はBiBi!』

にこ「長い夢を見てたのよ」

絵里「その話は聞いたわよ」

にこ「魔法なんか無くたって私たちはあの夢の時の同じくらいのステージに立ててるのだもの」

にこ「…私ずっと夢って叶わないモノだと思ってた」

にこ「もちろん今になっても叶わないモノなのかもだけど今こうして形になってるのは確かな夢なんだなって実感してるわ」


にこ「もちろん現実の方の夢ね」


真姫「ふふ、そうね」

にこ「この一年さ色々あったわ」

にこ「正直良いことより悪いことのほうが多かった」

にこ「批判の的だったわねセンス無いとか衣装キモいとか客に徹底的に媚びたアイドルとか散々言われたけど私ね、嬉しいの」

絵里「ええ…そうかしら…?」

にこ「夢の世界ね、何も無さすぎたのよ」

にこ「ただただ祝福だけを永遠とされて雲の上をずっと歩くような生活、悪くはないんだけどなんかつまらないのよね」

にこ「それなら私たちがいるべき地面を歩いて山や谷があるほうが面白いのよ」


にこ「上手くいきすぎはつまらないってね」


真姫「なるほどね」

「あ、あの!」

真姫「ん?」

「BiBiの皆さん…ですよね?!」

真姫「あぁはいそうですけど」

「μ'sから大ファンです!さ、サイン貰えませんか…?」

真姫「もちろん!」

「あ、あのにこちゃん推しで握手…もいいですか…?」

にこ「もちろんよ!」

ギュッ

真姫「はい、絵里とにこちゃんも書いてあげて」

絵里「了解よ」カキカキ

にこ「大切にしなさいよね?」カキカキ

「はいっ!」

「ありがとうございました!一生大切にします!」

タッタッタッ

にこ「…ほらっあんな電話で都合のいい世界に行かなくてもこうして応援してくれる人がいるんだもん」

絵里「ええそうね!」

真姫「そうね」

にこ「だからこそもしもという夢からきっと本当という現実になるんだと思う、経験って大事なのよ」

にこ「…あぁ!自分から言っといて難だけどこんな水くさい話はやめ!家帰ってぱあっとやるわよ!」

にこ「絵里も来なさい!」

絵里「言われなくても!」

真姫「近くでなんか買ってく?」

にこ「買いまくってあいつらも呼ぶわよ!」

にこ「絵里電話よ!」

絵里「ええ!」

にこ「真姫は買い出しよ!適当に買いたいやつ買いなさい!」

真姫「わかったわ」

にこ「私はパーティの準備を家でするわ!絵里はついてきなさい!真姫は買ってから帰ってきなさい!」

にこ「よーっし!行くわよ!」




にこ「やっぱり普通が一番なのよー!!!」



END

~~~

理事長「夢、それは叶わないモノです」

理事長「彼女が作った道具は眠ってる時に見る夢で叶えるモノでした」

理事長「意図してたものとはまったく違うものでしたね」

理事長「しかしそんな夢の世界で気付けたこと、彼女たちは存分に活かせてると思います」

理事長「人生憧れはあると思いますがそんな簡単に出来ても面白くないモノなのです」

理事長「達成感があってこその夢であり目標なのです」

「やり遂げたよ…最後まで!」

理事長「また、彼女たちも廃校を阻止するためにスクールアイドルを始め阻止した後はラブライブ優勝を目指しました」

理事長「そして見事優勝を果たし伝説となったのでした」

理事長「しかし良いことばかりではなかったでしょう、苦難は当たり前、辛いこと苦いこと全てを乗り越えてきました」

理事長「ですが昔はと言えるほどに時が経てばそれさえも笑い話になってくるでしょう、失敗も思い出なのです」

理事長「上手くいきすぎはつまらないのでした」

~~~~~

理事長「さて、今回の物語はここで終了です」

理事長「九つのストーリーはどうだったでしょうか?」

理事長「彼女たちはまだ、どこかで奇妙な物語を続けているのでしょう」

理事長「さて、私はそろそろミーティングあるので行きますね」

理事長「また、どこかで再び会えることを願ってさようなら」

理事長「なんてね」

ポンッ!

マキ「いつから理事長だと錯覚していた?」

マキ「チートならオブジェクトでも何にでも姿を変えられえるわ!」

マキ「…で、どうすればいいんだろう」

マキ(この後どうすればいいか何も聞いてないんだけど…)

にこ「なーに迷ってんのよ!」

マキ「!」

にこ「さっさと終わらせればいいのよ!」

にこ「えー!ここまで見ていただきあり」

ピーピピピピピ!

『このまま終わらせた場合 終わる』

終わらせなかった場合 終わる』

カチッ

『3』

花陽「え?!」

花陽「どっちも同じなんてきいてないよぉ!」

『2』

花陽「えっと…えっと…」

『1』

花陽「任せます!お願いします!」

ピー!

絵里「よしっ! この物語が終わらない代わりに叶えたい願いが一つ叶えられるチョコを作ってもらったわ!」

絵里「あー…」

希「わしわし!!」ワシワシ

絵里「ひゃあ?!」ポロッ

希「あー…やっぱりえりちのは柔らかい…」

絵里「チョコがああああ!!!希のバカー!!!」ペシッ

希「痛いってえりち…」

希「ウチは胸を揉まないと死んでしまうって何度も…」

海未「大丈夫ですよ!私が近くにいる限りは誰も死にません!」

希「え…そんなこと言われてもなぁ…」

穂乃果「凛ちゃあん…ずっと一緒だよ?」ギューッ

凛「う、うん」

凛「穂乃果ちゃんの瞳は青色なんだね」

穂乃果「うん!」

凛「青の瞳は心が広い、冷静、綺麗な人が持つ瞳なんだって」

凛「穂乃果ちゃんはそうなの?」

穂乃果「んー…?凛ちゃんには心の広いお姉ちゃんだよっ!」

穂乃果「大好き凛ちゃん!」モギューッ

凛「苦しい…」

彼女たちはまだ奇妙な物語を続けてるのでした

でも心無しが楽しそう?
だから私も混ざりにいくのです

私はなんかみんなと比べるとそこまで奇妙な存在では無かったけど仲良くなれるかな?

なれるよね!

パタンッ

ことり「完成っ♪」

ことり「ここまで見てくれた方本当にありがとうございました♪」ペコリッ

ことり「またの機会にまた会いましょうね!」

ことり「それでは!」

END

ということで終わりです
ここまで見てくれた方ホ本当にありがとうございました
これを書いてる時に今はμ'sよりAqoursだしAqours書けばよかったかなって思ったので今度Aqours版を書く予定です、その時もよろしくお願いします

最後にストーリーの元ネタです

花陽→+LIFE
絵里→何年か前にテレビつけてたまたまやってたアニメ(調べたけど何も出てこなかった)
海未→特に無し
穂乃果→特に無し
希→吸血鬼
凛→特に無し
ことり→ラブノベルス(題名だけ)
真姫→特に無し
にこ→もしもボックス※原作は全然違う内容、もしもしからきっと(題名だけ)

乙でした
絵里のやつはショコラの魔法かな?

>>677多分そうです、ずっともやもやしてたんでありがとうございました
それと>>676のにこのところもしもしからきっとになってますがミスです気にしないでください、電話だけにもしもしともしもかけたと思ってください

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom