アーニャ「最後の一振り」 (21)

前作:新田美波「美しい少女役?」新田美波「美しい少女役?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474507410/)

前作はありますが、読まなくても大丈夫だとは思います

キャラの口調に多少違和感があるかもしれませんが、脳内保管でお願いします

途中までしか書き溜めてないので、ゆるりと見守っていただければ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475335108

晴「舞台は無事成功してよかったな!美波さんもアーニャさんもいい演技だったし」

あやめ「そうですね、特にアーニャ殿は役に立候補する時から気合入ってましたし!」

晴「まぁ、さすがにあの時は気合入りすぎてちょっと引いたけど」

あやめ「相手が美波さんですから仕方ないですね……」

晴「でもよ、よくあのラストシーンできたよな。後で結末知ったときアーニャさんにやらせて大丈夫かとヒヤヒヤしたぜ」

あやめ「私も少し心配しましたけど、特にトラブルなどの話は聞いていませんね。むしろ稽古でも順調だったらしいですし」


晴「そうなんだ、アーニャさんてすげぇな!日本語話せるし!」

あやめ「いや、ハーフですし」

晴「そういやそっか!でもやっぱロシア語の方が得意なのかな?」

あやめ「どうなんでしょう?舞台での台詞はすごく凛々しく流暢でしたけど」

晴「でも普段はロシア語交じりだしけっこうゆっくりめに喋ってないか?」

あやめ「それもそうですが、歌の時はそんな様子ないですよね?」

晴「う~ん……なんだか不思議な人だな」

あやめ「わたしも少し気になってきました」

晴「よっしゃ!いっちょ調べてみるか!」

あやめ「おお!偵察みたいですね!」ニンッ

晴「となれば誰かに聞き込みだな。誰にしよっかな~?」

あやめ「おや?あそこにいるのは……?」

晴「奏さんだ」

あやめ「一緒に仕事したこともあるらしいですし何か知ってるかもしれませんね」

晴「おーい、奏さーん!」

奏「あら?晴ちゃんとあやめちゃんね、どうしたの?」

あやめ「実はアーニャ殿のいろいろな面を知りたいなと思いまして」

晴「ズバリ、アーニャさんて日本語上手い時とそうでもない時があるのは何でだと思う?」

あやめ「いやさすがにストレートすぎませんかそれ」

奏「うーん……言われてみればそうだけど、ちょっとわからないわね」

晴「えー奏さんなら知ってそうだと思ったのに」

奏「ごめんなさいね。でも、そういうのはほどほどにしておかないと、場合によっては嫌がる人もいるものよ?」

あやめ「わかってます!そこまで深入りはしませんし、もう少しオブラートに包みますよ!」

晴「うっ、確かにそうだな。まぁ次はちゃんと気を付けるさ!」

あやめ「というわけで、ありがとうございました!我々は次へ向かいます!」

晴「じゃーなー!」

奏「行っちゃった……本当に大丈夫かしら?なんだか嫌な予感がするわ……」





晴「事務所をうろうろしてたら杏さんが寝てた」

杏「ZZZ」

あやめ「確かアーニャ殿と同じく北海道出身ですよね、何か知ってるかもしれません!」

晴「でも寝てるぜ?」

あやめ「いっつも寝てますし大丈夫ですよ!忍者飯代わりに持っていた飴で起こしちゃいましょう!」スッ

晴「ずいぶんな言いぐさだな……て、あれ?なんだこれ?ノート?」

あやめ「なんでしょう……ロシア語?」

晴「アーニャさんのだよきっと!ちょっと中身を拝見して……」ペラッ

あやめ「あぁちょっと、って……え?」

晴「な……なんだよ、これ……?」




ロシア語と日本語が入り混じって夥しい量の会話文が矢印と共にノートの隅々まで埋め尽くしていた。

どのページをめくってもすべてのページが同じように埋め尽くされていた。

そしてその内容を見れば見るほど

あやめ「日常会話の……マニュアルか何かですか……?」

晴「台本とかには……見えないよな?でもなんでこんなもの」

あやめ「これじゃあまるで、機械かなにかみたいじゃないですか……?」
















アーニャ「なにをしているの……?」












晴・あやめ「」ビクゥ!

晴(なんだこの寒気!?)

あやめ(いつもと雰囲気が違う……!)

アーニャ「見たん……ですね……?」

晴「いや、これは、そそそその」

あやめ「あああああああの、その、これははははは」

アーニャ「……!」ボロボロ

晴「え?」

あやめ「泣いて、る?」

アーニャ「ーー!」ダッ

晴「あ、ちょっと!」

あやめ「走って出て行ってしまいました……て、杏殿もいない?」



ーーーーー屋上ーーーーー


アーニャ「……」グスッグスッ

杏「どうしたの?」

アーニャ「アン・・・ズ?」

杏「Позволять」

アーニャ「ロシア……語?」

杏「大丈夫、こうすれば聞かれないし、言わないから」

アーニャ「……」





ーーーーー回想(スカウトされる前、日本語を覚えかけの頃)ーーーーー






アーニャ(みんなともっとお話したい。でも、みんなあんまり近づいてきてくれない)

クラスメイトA(以下A)「アーニャちゃんとお話してみたいけど、どうしても言葉が難しいなー」ヒソヒソ

クラスメイトB(以下B)「いい子なんだけど、ちょっと近づくのためらっちゃうな。お話に時間かかるし」ヒソヒソ

アーニャ(私がもっとスムーズに話せるようにならないと……)

アーニャ(でも話しかけられてからとっさに返事なんでできない。発音はできるけど、時間がかかってしまうとみんな離れて行ってしまう)

アーニャ(こうなったら、会話のパターンを一つでも多く覚えてすぐに返事ができるようにしないと)






ーーーーー(マニュアル製作後)ーーーーー






アーニャ(それなりにスムーズに返事はできるようになった。でもどうしてもロシア語交じりになるし、マニュアルを思い出しながらだから緊張してしまう。)

アーニャ(相変わらず話してくれる人は少ないな……)

A「アーニャちゃん綺麗だしなかよくなりたいけど、会話中なんだか堅いよね」ヒソヒソ

B「うん、悪い子じゃないなんだけど、良くも悪くも見た目も含めてクールっていうか……ちょっと遠慮しちゃうな」ヒソヒソ

アーニャ(やっぱり、仕方ないのかな?)

アーニャ(家に帰ってからはすごく落ち着く。ホームパーティーならロシア語でも大丈夫だし、天体観測は一人でもできるし面白いし……)

アーニャ(星……綺麗だな……)

アーニャ(暗い夜空の中でもしっかり強く輝いていて、見上げるたびに心が惹かれていく)

アーニャ(私もいつかあんな風になれるのかな……?)





ーーーーー(町でスカウト時)ーーーーー





P「すみません、ちょっとそこのあなた。お話を聞いてもらえませんか?」

アーニャ「シトー?」

P「ええっと、英語ではなさそうですね……どうしたら」

アーニャ(普段声をかけられるなんてほとんどないからびっくりしちゃった。珍しいな……こんな見た目でも躊躇しないんだ……)

アーニャ「貴方ロシア語分からないんですか? 私に声かけたのに?」

アーニャ(これが私とPとの出会いだった)






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アーニャ(それからの事務所での生活はすごく楽しい。)

アーニャ(最初はやっぱり緊張して、マニュアルを復習しながら事務所に向かっていたけれど)

アーニャ(無理に自分を作らなくても、ありのままの私でいいって言ってくれる人ができた)

アーニャ(それどころか、美波は私のためにロシア語を学ぼうとすらしてくれる)

アーニャ(今のこの時間がとても愛おしく思う)

アーニャ(それからはマニュアルに頼らず、ゆっくりとした話し方ではあるけど、ありのままで話すようにした)





ーーーーー(舞台の初稽古時)ーーーーー

アーニャ「まさかこんなストーリーだったなんて!ミナミがカワイソウです!」

美波「落ち着いてアーニャちゃん!あくまで演技!演技だから!ね?」

アーニャ(そうだ、あくまで演技なんだ。晴やあやめから譲ってもらった役なんだからしっかりしないと)

アーニャ(セリフを覚えて、それに合わせて演技して……以前だってやってきた。あの時を思い出しながらやってみよう)





ーーーーー(舞台終了時)ーーーーー





アーニャ(無事に今日の舞台はやりとげた。拍手もいっぱいもらった)

アーニャ(監督さんからは、寂れた町で盗みを働く少年の雰囲気や、ラストシーンでの虚ろな表情がグッときただのと褒められたけれど)

アーニャ(すごく複雑な気分だった)

アーニャ(やっぱりあんな機械のプログラムのようなやり方ではいけないな)

アーニャ(それに、あの時の自分ではいつかまたみんなから避けられてしまうかもしれない)

アーニャ(マニュアルからは卒業しないと)

アーニャ(……?そういえばあのマニュアルノートはどこへ置いたっけ?)

アーニャ(最後に事務所で開いて、Pさんに呼ばれて、慌てて部屋を出て……!)

アーニャ(早く見つけないと!)




ーーーーー(回想終了)ーーーーー





杏「そっか……辛かったよね」

アーニャ「……」グスグス

杏「でも、大丈夫だと思うよ?避けたりなんてしないよ。むしろ私たちのために頑張ってくれてるんだから偉いよ!杏には真似できないなー」

アーニャ「でも、杏はどうしてロシア語を?」

杏「ま、まぁ、そこは仲間が泣いていたら放っておけないというか……きっとみんなだってそうだと思うよ?」

ドタドタバタバタバタ・・・

杏「ほら、噂をすれば」

晴・あやめ「アーニャさん(殿)!」

杏「じゃ、杏はこの辺で帰りまーす!」




晴(あれから俺たちは全力でアーニャさんに謝った。)

晴(勝手に人のノートを見て、相手を傷つけて、二度としないからどうか許してほしいと伝えたら)

晴(一瞬キョトンとしたアーニャさんが次にはまた泣き出して、かなり俺らは焦ったけど、アーニャさんは泣きながら笑っていた)

あやめ(それからアーニャ殿は私たちにノートのことを話してくれた)

あやめ(ついさっきまでは勝手にノートを見た罪で消されるんじゃないかとビクビクしていた自分を恥じながら、私たちは聞き入っていた)

あやめ(アーニャ殿は本当に優しくてきれいな心の持ち主だと思って、泣き止んで間もないその瞳も、星のように輝いて見えた)




晴・あやめ(そしてこの後滅茶苦茶奏さんに怒られた)

ーーーーー(翌日)ーーーーー



晴「うーっす、お疲れさーん……て、アーニャさん?その右手の物騒な剣は!?」

あやめ「アーニャ殿、落ち着いてください!どうか命だけは~」

アーニャ「大丈夫ですよ、舞台の小道具です」

晴「でもどうしてわざわざ今?」

アーニャ「それは……蘭子が言うには……決別の儀式です!」

あやめ「あぁ!やっぱり!お慈悲を~」

アーニャ「フフ、違いますよあやめ、斬るのはこっちです」スパン!

あやめ「あ、この前のノート……」

晴「決別って……」

アーニャ「ダー、これから必ず、みんなとスラスラ話せるようになります!ね?」

アーニャ「だから、お別れです」

晴「そっか……きっと大丈夫だよ!」

あやめ「そうですよ!私たちも協力は惜しみません!」

アーニャ「ありがとう、ございます。じゃあ、お昼でも行きましょう!そう言えばお腹がすきましたね」

晴・あやめ「おう(はい)!」



アーニャ(決して過去を忘れるわけじゃない)

アーニャ(辛いことや痛みだって確かに覚えている)

アーニャ(ちゃんと向き合って、乗り越えて、進んでいこうと思う)

アーニャ(ある時代・ある場所の物語はここで終わり、なんてね)

以上です
読んでくださった方はありがとうございます

前作から設定を引っ張りましたが、本当はこっちを書きたかったのです
新田ちゃんPの方ごめんなさい……

依頼出してきます

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