島村卯月「え、凛ちゃんちの花屋さんなくなっちゃうんですか!?」 (64)

ある日のこと……、



島村卯月「え、凛ちゃんちの花屋さんなくなっちゃうんですか!?」

本田未央「それは大変なことになりましたなぁ……」

渋谷凛「ちょっと待ってよ二人とも、なくなるって言っても、うちが完全に消えるわけではないんだけど……」

卯月「え、そうなんですか?」

未央「んじゃ、どういうこと?」

凛「なくなるんじゃなくて、改業するんだよ」

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卯月「改業? それって、お花屋さんじゃなくて別のお店を開くってことですか」

未央「なんでまたいきなり?」

凛「うん。私もよくは知らないんだけど、親が言うには花屋よりも儲かる店にするんだって」

未央「しぶりんちの花屋ってそんなに売り上げ悪かったの?」

凛「いや、そこそこだったけど……」

卯月「そうですかぁ……。私、凛ちゃんのお家の花屋さん好きでしたよ。綺麗なお花がたくさんあって。だからちょっと複雑かも」シュン

凛「ふふっ、ありがとう卯月。でも、新しい店もきっと良い店になると思うよ」

未央「んで、そのリニューアル後のしぶりんの家は一体何屋さんになるの?」

凛「それが……事情があってオープン日まで言えないんだ」

未央「えぇぇ~~、なんだよそれ。つまんないな!」

卯月「一体何屋さんになるんでしょうか……おしゃれな喫茶店かな?」

凛「それはオープン日までのお楽しみ」

未央「じゃあさ、そのオープン日にしぶりんの家見に行こうよ!」

卯月「え、でも初日だと忙しいと思うしお邪魔してもいいんですか?」

凛「別に構わないよ。二人ならむしろ歓迎するよ」

卯月「本当ですか! わぁ~~い!」

未央「当日が楽しみだね」






凛「…………ふふっ」

そして当日、


卯月「凛ちゃんのお家は一体どんな風になってるんですかねぇ~」トコトコ

未央「楽しみですなぁ……って、あれ!?」




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卯月未央「ゴ、ゴム屋ーーーーッ!!!?」

卯月「ゴ、ゴムって……その……あれのことですよね///」モジモジ

未央「おや、しまむーはあれの意味が分かってるようですなぁ~」ニヤニヤ

卯月「もうっ、未央ちゃんからかわないでくださいよぉ~~///」

未央「あはは、いやぁ~、まさかしまむーの口からそんな言葉を聞くだなんて思わなくってさ」

卯月「むぅ~~//」プク

凛「あ、二人とももう来てたんだ」

卯月「あ、おはようございます凛ちゃん」

未央「しぶりん、これはどういうこと!?」

凛「どういうことって、見ての通りだけど」

未央「いやいや、その見ての通りがおかしいんですけど!!」

卯月「ど、どうして……その、コンドーム屋さんに?///」

凛「花屋なんかより需要あるじゃん」

卯月「ええ……そうですかね。綺麗なお花屋さんの方が私は良いと思いますけど」

凛「原宿にもコンドームの専門店あるでしょ?あれみたいなもんだよ」

未央「いや、既に原宿にあるっていうね……。てゆうか、しぶりんはそういう店に行ったことあんの!?」

凛「行ったというか、原宿に行った時に見たことはあるけど」

未央「ま、まあそういうのに興味を持つお年頃ではあるよね」

凛「店の前で立ち話もなんだし、せっかくだから入ったよ」

卯月「そ、それじゃ……」

未央「お邪魔します」

そして店の中へ、


卯月「う、うわあぁぁ~~~~///」

未央「うわぁ、お店の中コンドームだらけだね……」

凛「まあね、コンドーム屋だしね」

卯月「コンドームって、こんなにたくさん種類があるんですね」

凛「日本のだけじゃなくて世界各国のコンドームを取り揃えたからね。品揃えならどのコンドーム店にも負けない自信があるよ」

未央「まるでコンドーム博士だね」

卯月「コンドームって奥が深いんですね」

凛「奥が深いというか、深いところには入るよね」

未央「あのー渋谷さん? あなたそんな下ネタとか言っちゃうキャラでしたっけ!?」

凛「まだ営業開始まで時間があるから、よかったら店の中を見ていっていいよ」

未央「いや、コンドームしかないけどね」

卯月「あっ、このコンドーム、パッケージがおしゃれでかわいいです!」

未央「しまむーは本当に純粋だなぁ……」

凛「あっ、卯月!」

卯月「えっ」

凛「そのコンドームは触っちゃだめ! すぐに棚に戻してっ!!」ガサッ

卯月「ひゃうっ!!」ビク

未央「ちょ、しぶりん!? いきなり大声出してどうしたのさ!?」

凛「あ、ごめん卯月。突然大きな声出しちゃって」

卯月「う、うん。突然だったからびっくりしましたよ……」

凛「そのコンドームはね、危険だからむやみやたらに触らないで」

卯月「え、そんなに危険なものなんですか!?」

未央「なんでそんな危険なものが商品棚に置いてあるんですかねぇ……」

卯月「そういえば、このパッケージから少し甘い匂いがするような」

凛「そ、それは……花の蜜の香りだよ!」

卯月「蜜の香り?」

未央「いやいや、もうここ花屋じゃないんだよね!?」

凛「あれだよあれ! まだ改装して間もないから花の匂いが残ってるんだよ」

卯月「なるほど!そうだったんですね」

未央「しまむーもそんな簡単に納得しないの!」

凛「とにかくそのコンドームは卯月の手に負えるような代物じゃないから、勝手に触っちゃだめだよ」

卯月「う、うん。そうだよね、そもそもお店の商品を勝手に触るのが悪いよね。ごめんね凛ちゃん」

凛「いいよ、わかってくれらば……」

未央「うーーむ……」

凛「未央? そんな浮かない顔してどうかした?」

未央「いや、なんでもないよ」

未央(う~む……これは明らかに怪しいな。そもそも花屋だったのにいきなりコンドーム屋になること自体おかしいし。これは名探偵未央ちゃんの出番かな)ムムム

卯月「未央ちゃん、」

未央「ねえしぶりん? よかったら私、お店を手伝うよ」

凛「えっ」

未央「ほら、オープン初日って何かと大変そうじゃん。お客さんもたくさん来るだろうし、ただお邪魔になるだけじゃ悪いからさ」

卯月「なら、私も手伝います!」

凛「いいよ、そんな気を使わなくても。二人はお客さんなんだしさ」

未央「いやいや、遠慮しなさんな! しぶりんちの新しい門出を祝して私たちも何かしたいんだよ!」

凛「……じゃ、じゃあ裏の方で作業があるんだけど、手伝ってもらおうかな」

未央「あいあいさぁーー!!」
スタタタ……



卯月「あ、未央ちゃん行っちゃった……」

凛「……ふふっ」

その頃、店の裏の方で、

未央「きっと店の裏の方に何かあるに違いない……、名探偵未央ちゃんの捜査開始!」


卯月「ねえ凛ちゃん? 私は何を手伝えばいいですか?」

凛「卯月は何もしなくてもいいよ。特にやることないし」

卯月「え、でもそれだと悪いですよ。未央ちゃんだけ手伝って私だけ何もしないなんて」

凛「それじゃ、卯月には荷物を運ぶのを手伝ってもらおうかな」

卯月「わかりました!」
テクテク

凛「………ふふっ」

その頃、お店の近くでは、


武内P「はぁ……。これは大変なことになってしまった。たまたま渋谷さんの家が近くで助かりました」

武内P「確か今日はお店は開いているはず。アイドルの皆さんも今日はオフですし、渋谷さんもいるかもしれません」



そしてお店へ……、

凛「あ、いらっしゃいプロデューサー」

武内P「渋谷さん……っ!?」

凛「どうかした? そんなに驚いた顔して」

武内P「いえ、以前渋谷さんの家にお邪魔した時と随分内装が変わったような……」

凛「ああ、実は私の家の店、花屋からコンドーム屋に改業したんだ。プロデューサーにはまだ言ってなかったっけ」

武内P「そ、そうだったんですか……。しかし、何故コンドーム店に?」

凛「花屋より儲けがあると思ってね。それで、今日はオフなのにわざわざうちに何の用?」

武内P「はい、実は友人がお腹を壊して近くの病院に入院してしまいまして」

凛「そうなんだ、それは大変だね」

武内P「ええ、それでお見舞いに花をと思ったのですが……。しかし渋谷さんのお店はもう生花店ではなくコンドーム店になったようですね。お邪魔しました」

凛「あっ、待ってよプロデューサー! 花ならあるよ」

武内P「え?」

凛「実はまだ店の奥の方に花が残ってて、それでよかったら持って行きなよ。お代はいらないからさ」

武内P「いえ、そいうわには。代金も払わず頂くだなんて」

凛「気にすることないよ。プロデューサーにはいつも世話になってるんだし」



卯月「あっ、おはようございます、プロデューサーさん!」

武内P「島村さん? どうしてここに」

卯月「実は今、凛ちゃんのお手伝いをしているんです。ちなみに未央ちゃんもいますよ」

武内P「そういうことですか」

卯月「プロデューサーさんは凛ちゃんのお店でお買い物ですか?」

武内P「ええ、花を買おうとしたのですが……」

卯月「あはは、お花はもうありませんからね」

凛「……いや、実はお店の奥の方にまだ残ってるんだ」

卯月「え、そうなんですか?」

凛「それじゃ私、今からそれを用意するから」

卯月「あ、なら私が持って来ますよ」

凛「いや、いいよ。店の奥の方は私じゃないとわからないし、卯月はここで待ってて」
サササ

卯月「あっ、凛ちゃんも行っちゃった……」


武内P「それにしても、驚いてしまいましたね」

卯月「あははっ……、まさかお花屋さんからコンドーム屋さんになるとは思いませんよね」

武内P「ええ…………、っ!? 」
クンクン

卯月「? プロデューサーさん、どうかしましたか?」

武内P「いえ、ここの棚から何か甘い匂いがする気がして……」

卯月「あっ、そこには危険なコンドームがあるんです!」

武内P「危険!?」

卯月「私もパッケージが可愛くてつい触ってしまったんですけど、凛ちゃんに危ないから触っちゃだめって怒られちゃって」

武内P「そうなんですか。しかし、何故そのような危険なものが商品棚に………っ!?」

ムラムラムラーーン

武内P(こ、これは…………!?)


卯月「プロデューサーさん? どうかしましたか?」

武内P「……はぁ……はぁ……」

卯月「プロデューサーさん、なんだか息が荒くなってますけど具合でも悪いんですか?」

武内P「……し、島村さん!!」


カベドーーーーン!!

卯月「きゃあっ!?」


武内P「し、島村さん……///」

卯月「か、顔が違い……/// プロデューサーさん!?///」

武内P「……あなたが、好きです///」

卯月「…………えっ///」

その頃、店の奥では……、


凛「……ふふっ、まさかここまで上手くいくなんて」

凛(そう、わざわざ家をコンドーム屋にしたのは全てこの日のため……プロデューサーを私だけのものにするため!!)

凛(卯月と未央には今日がオープン日だと伝えたけど、実はオープン日は明日。つまり客は今日は来ない。そして、そのことを知らないプロデューサーは近くの病院に入院している友人のお見舞いのために私の家で花を買うために訪れることも安易に予想できる)

凛(プロデューサーの友人には悪いけど、たまたま私の家の近くに住んでいたことを調べ上げて利用させてもらった。その友人が留守の間に忍び込んで冷蔵庫に毒入りのペットボトルを入れて置いた。それを飲むと毒の効果でお腹を壊してしまう、そして近くの病院に入院することになる)

凛(そして私たちもプロデューサーも仕事が落ち着いたこの時期に、プロデューサーは友人の見舞いに行く……完璧ね!)ガッツ

凛(そして卯月と未央をわざわざ招いたのも、敢えてコンドーム屋になったことを知らせて当日近くに置いておくのが目的。せっかくの休日にプロデューサーと二人でいても余計な邪魔をされたくないしね)

凛(そして二人の性格上、店の手伝いをすると言い出すのは明白だね。まあ未央の方は少し怪しんでたけど、今頃コンドームしかない裏の方で探偵ごっこでもしてるんだろうねww)

凛(ただ、純粋で騙しやすい卯月がまさかプロデューサーのために用意して置いたあの棚に置いてた特性コンドームを手に取るのは正直予想外だったよ……)ギリッ

凛(あのコンドームには嗅ぐとどんな消極的な男でも積極的になる花の蜜から作った超強力な興奮作用のあるジェルが塗られてある。だからそれを嗅いだプロデューサーが私を見ただけで本能のままに雌を喰らう獣と化す……///)
ニヤリ

凛「ふふっ……それに、花はちゃんと用意してるよ。待っててねプロデューサー、この日のために"私の花ビラ"は綺麗に手入れしておいたんだから……///」

その頃、店の方では、


卯月「ハァ……ハァ……プロデューサーさん……は、激し過ぎですよぉ~~///」

武内P「ハァ……ハァ……すみません島村さん。島村さんが魅力的過ぎてつい///」

卯月「魅力的だなんて、えへへ///」

武内P「その……少々乱暴だったというか、痛くはありませんでしたか?」

卯月「大丈夫ですよ。その……は、初めてだったからちょっぴり怖かったけど……でも、プロデューサーさんと一つになれて、とても気持ち良かったして……それに嬉しいです///」

武内P「それなら良かったですが……しかし」

卯月「うふふっ、お腹の中のことなら気にしなくてもいいですよ。プロデューサーさんの愛の種で、私の中に小さなお花が咲きそうです」

武内P「本当に申し訳ありません。勢いでつて……責任を持って、島村さんとお腹の中の子は私が守り続けます」

卯月「プロデューサーさん……。はい、私たちの子供ですもんね」

武内P「こんな形になってしまいましたが……島村さん、愛しています///」

卯月「私もです、プロデューサーさん///」









凛「…………」


アナウンサー『____続いたのニュースです。人気アイドルの渋谷凛さんが自宅で自殺しているのが発見されました。調べによりますと……』





その後、島村卯月とプロデューサーは正式に結婚を発表しました。

ちなみにゴム屋しぶりんは経営が上手く行かず潰れてしまいましたとさ………、






未央「どうしてこうなった」





END

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