ゴゥン…ゴウン…
シュゴォォ...
大きな機械が稼働している音が轟いている
だが何かを生産しているわけではない。何かを維持しているわけでも調節しているわけでも無い
無意味なのだ。無意味な機械が無意味に織り成し、どこまでも、どこまでも、無限に、永劫に続いている
「この階層は灯りがあるな。ありがたい」
見たことのないタイプの電灯が周りを照らしだし
無意味にバケットを上下させている、壁に埋め込まれた建築重機の虚しい姿を顕にしていた
「…五月蠅いな」
ガリリリ…と何かが削れる音が響く
俺はこの世界で
壱‥世界の"果て"を目指している
弐‥世界を正常化する鍵を探している
参‥"敵"の全滅
肆‥自由安価(主人公の目的)
>>3
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3
物心着いたときには既にこの鉄と機械の世界が広がっていた
自分以外の存在は旅の道中に出会い、別れた者共のみ
親は無く、教えを乞うものも無い
唯一つ、強く、強く、思考の中枢にずっと強く突き刺さっている"目的"がある
"奴ら"を全滅させよ
壱‥世界をこんな風にした新人類
弐‥人類と対立する異質的な怪生物
参‥自由安価(全滅させる敵の概要)
>>6
2
俺の中にあるのはただ化け物への殺意のみ
理由は分からない。無いかもしれない。ただただ殺す。見つけたら殺す
それが物心ついた時から思考の柱となっている
少なくともこの階層に"奴ら"の反応は無い
ガション・・・ガション…
後方で自動扉が際限なく開いたり閉じたりを繰り返している
その先には壁があるだけだ
歩き続けると巨大な換気扇がゴォ…ォォ、ゴォ…ォ、と濁った空気を吸い込んでいるのが見える
パイプが複雑に入り組んだ天井からパラパラと削れた鉄片が落ちてくる
壱‥狭い通路を
弐‥少し開けた場所に
参‥空気の流れが変わった
>>9
1
狭い通路を進む
明かりが届かなくなってきた
暗視用眼鏡をかける。稼働用電源残量は…まだあるな
「この素材…何でできているんだ?」
壁を伝う細いパイプはブヨブヨとしていて柔らかい…こんな鉄が存在するのか
空腹は感じなくなって久しい…もうずぅっと前の話だ
ズ…ズォォオオオ!!
パイプの中を何か流動体が流れる音が激しく聞こえる
これはどこかへつながっているのか。それとも無意味な物体なのか
道が分かれている。パイプは右に向かって伸びている
壱‥パイプに沿って右へ
弐‥左へ
>>12
1
「モシ、ソコ ノ 人」
「?」
機械的な声が聞こえる
ガガ…ゴォ…ォン、ゴォォ…ン…と鋼鉄の塊が打ち付ける音の中、"声"という形を取って話しかけられた
「お前か?」
鉄屑が積み上げられた壁から胸像のようなアンドロイドが突き出ていた
「初めて人間に出会いました。私に命令をください」
「悪いが命令する事は無い」
「…私/AIは自問します。私は何のために作られたのか。AI/私は答えを出せません。目的がインプットされていません。答えを出すためのデータが足りません」
「なら無いんだろう」
こいつも暴走した生産機械に作りだされたアンドロイドなのだろう。だからAIがあろうと目的が無い
「ありえません。機械/アンドロイドは人のために造られるはずです。そうデータにあります。例外はありません」
「それは遥か太古の話だ。今は無意味に、無駄に、無限に、無作為に、ただただ作られるだけだ」
「……理解不能。理解不能」
「それを踏まえて周りを見てみろ。あれらは人間のために作られたと思うか?」
「…あれはテレビ。画面だけで接続端子の付いていないテレビ。作られる意味は分かりません。あれは冷蔵庫。でも暖房がついてます。中には鉄塊が入れられています。あれはネットサーバー。ただしプログラミングがめちゃくちゃです。無意味な物ばかりが視界に入ってきています」
「理解したか?この"世界"に人のために作られた役立つ機械が何割あるか…数%すらないかもな」
「…私は望みます。人の役に立ちたい。立ちたい。立ちたかった」
「脚は?腕は?」
「ありません。胸から上、顔、AIのみです」
「じゃあ無理だな」
「…ならば、いっそ壊してください。役に立てない私/アンドロイドなど存在する価値がありません」
壱‥壊す
弐‥「もしかしたら何か役に立てるかもしれないぞ」バッテリーと電子脳幹だけを抜いて持っていく
参‥「自由安価」
>>41
2
「もしかしたら何か役に立てるかもしれないぞ」
「…それは、本当でしょうか」
「もしかしたらだ。期待するな」
「お願いします。少ない可能性でも…私は嬉しい」
「そうか。ではそのバッテリーと電子脳幹を貰っていくぞ」
「…ありがとうございます。ありがとう………」
「ふん…」
カチャ…クルクル…パキ、バチンッ…
「これなら大体の物と互換性があるな。一応…壊さないように補完しておこう」
壱‥重厚で頑丈そうな扉が
弐‥集落…?
参‥自由安価
>>43
2
あのアンドロイドの件から3000時間は歩いたと思う
プシュー…
「っ…」
顔に無臭のスチームを横から吹きかけられる
見ると排気管が突き出ていた
「ちっ」
バギン
苛立ちまぎれにそれを折る
「…」
人の気配がする。長年味わっていなかった人の気配
「誰かいるのか!」
シュコォ…コォォ…とスチームが行き来する音だけが響いている
ゴ、ガガガガ、シュゴォォオオ
「お前は何者だ!」
巨大なスピーカーから不快なノイズと共に"声"が聞こえた
機械を正しい使い方しているのを見たのは久しぶりだ
「人間だ」
そう答える
「何しに来た」
壱‥「ただの旅人だ」
弐‥「この殺気を解け」
参‥「怪生物どもを殺して回ってる」
肆‥「自由安価」
>>47
まだ
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