ちひろ「アイドルとモバPさんがすごいベタベタしてる」 (23)

短めにさらっと
ベタベタなのにさらっと……クッ



千川さん「忙しいですねー」(PCに向かっている)カタカタ

P「そうですね……。でも、僕のほうはあと少しで終わりますよ」(同じくPC作業)カタカタ

千川さん「それはよかった。……今日は静かでしたし」カタカタ

P「今日は?」カタカタ

ガチャ

凛「あ、ここにいたんだ」

P「来たのか、凛。会えて嬉しいよ」

千川さん「……うわ……来た……」カタカタ

凛「ちょっとごめんね」(Pの膝の上に座る)

P「構わないよ。もうすぐ終わるから」カタカタ ターン

千川さん「…………」カタ…

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酉変えました


凛(首筋に顔をよせてこすりつける)「……やっぱりここが落ち着くな」

P「そうか、僕も凛と一緒にいる時が一番安心するよ」カタカタ

千川さん「…………」……

凛「今度の週末の約束、覚えてる?」

P「もちろん。映画のチケットは取ってある」

凛「フフ……。私はどちらかというと、その後のほうが楽しみなんだけれどもね」

P「もちろん、それも期待してもらっていい」

千川さん「…………」ガタガタ

凛「ねえ、今日もPの家に行っていいかな」(腕をPの首に回す)

P「またかい? そんなに面白いものがあるわけでも……」

凛「そんなことないよ、あなたがいれば……」

千川さん「…………!!!!」ガタタターン(デスクをひっくり返す)

凛「きゃっ! な、なに?」

P「うおっ!? どうしたんですか、千川さん!」

千川さん「どうしたもこうしたもないでしょう!!! いつもいつもベタベタベタベタ……! お二人とも、一体何をやっているんですか!?」

凛「わ、私は普通にPと話をしてただけ……」

P「……あ、ひょっとして声が大きかったですか……? ごめんなさい」

千川さん「違います!! 内容です!!!」

凛「……? 何か、おかしなこと話してたっけ?」

P「……そうだ、確かに仕事中にプライベートな会話をするのは……」

千川さん「じゃなくて!! お二人は、Pとアイドルですよね!?」

凛「もちろん、そうだけど」

P「当然、その通りです」

千川さん「なのに、どうしてさっきから恋人のような会話をしているんです!?」

凛「こ、恋人……改めて言われると照れるね」

P「やっぱり、そう見えますか……。恥ずかしいです」

千川さん「違うでしょ!!! Pとアイドルが恋人になってはいけないでしょう!!!」

P「なっ! いつの間にそんな法律が……!」

凛「私たちを引き裂くためにこの国が牙を剥くなんて……」

P「こうなったらアメリカに移住するしかない。一緒に来てくれるかい、凛」

凛「どこまでもついてくよ。私のPはアナタしかいないんだから……」

千川さん「ちっ、違います! 一般的な職業倫理としての話です!」

P「そういうことでしたか、よかった」

千川さん「よくないでしょ」

凛「千川さん。貴女は、特定の職業に就いている人間は恋愛をしてはいけないって言いたいの?」

千川さん「えっ、い、いえ、そういうつもりは……」

凛「よかった、安心したよ。千川さんは職業で人を差別するような人じゃなかった」

P「ああ、もちろん千川さんはそんな人じゃないさ」

千川さん「もうー! も、もしもお二人の仲が、マスコミとかにバレちゃったらどうするんです!? ファンはみんな怒りますよ!」

凛「心配はいらないよ。私のファンはみんな、そういう心が狭い人たちじゃないからさ」

千川さん「そ、そんなのわからないじゃないですか!」

P「安心してください、千川さん。ほら、これを見ていただければ」(PCのモニターを見せる)

千川さん「え? ……こ……、こ……、……れ、は……!!!!」

≪渋谷凛 With P 蒼の巣Blog≫

千川さん「……り、凛ちゃんとPさんの、ラブラブ生活が……ブログに……こんなにも赤裸々に……こっ、こんな写真まで……!!!」

コメント欄「いつも熱々でうらやましいです!」「早く二人とも結婚できるといいですね! 凛ちゃんが卒業する日が待ち遠しい!」「末永くお幸せに! って、まだ早いかな(笑)」

千川さん「う、うそお……」

凛「私たちを祝福してくれる人々がこんなにたくさん……幸せだよ」

P「僕もさ……」

凛「…………」

P「…………」

千川さん「え、……うわ、すごい……って、このブログ、凛ちゃんがデビューして3日目に開設されてる……。全然知らなかったぁ……」

千川さん「……ん? あ、ああっ……(ふ、二人とも、こんなところでなにやって……)」

千川さん「……………………(もういいや帰ろう)」

居酒屋 藻場真

千川さん「はあ……すいませーん、焼酎もう一杯」カラン

千川さん「あーもうダメ。やってらんない」

P2「すいません、隣に座っても……、あれ、千川さん。奇遇ですね」

千川さん「あ、P2さん……」

P2「ずいぶんと飲んでいるみたいですけど、何かありましたか?」

千川さん「うぅっ、それがですね……。Pさんと凛ちゃんなんですけど……」

P2「ふんふん…………ええっ、あの二人、そんなことまで!?」

千川さん「そうなんです。私もう、どうすればいいのか……」

P2「うーん。さすがに、職場でその調子では千川さんも大変ですね。わかりました、私からも二人に言っておきます」

千川さん「ほ、本当ですか。そうしていただけると助かり……」

楓「P2さん、お待たせしました」

P2「楓さん! いえ、私も今来たところですよ」

楓「そうでしたか、よかった。あら? 千川さんもいらしたんですね」

千川さん「あ、こ、こんばんは、楓さん。今日はお二人で約束されていたんですか」

楓「ええ、いつもP2さんが私に付きあってくれるんです」

P2「何を言っているんです、私は楓さんと二人でいる時が一番幸せなんですよ」

楓「ふふ、私もです……」

千川さん「ん……? あれ……?」

楓(ぎゅっ)「あら? 酔っちゃったみたい」

P2「まだ一杯も飲んでいないうちからですか? 仕方ない人だ」

楓「P2さんに名前を呼ばれたら、飲まなくても酔っちゃいます……」

P2「それは?」

楓「アルコールがなくても有るコール……なんちゃって」

P2「では、貴女の健康のために、いくらでも名前を呼ばせてもらいますよ……楓」

楓「P2さん……」

千川さん(あ、ググったら二人の居酒屋のラブラブ風景がTwitterでむっちゃRTされて、いくつもトゥギャられてる……みんな祝福してる)

千川さん「………………(………………帰ろう………………)」

帰り道

千川さん「あーあーほんとやってられねえー」

千川さん「どうなってんの、この世の中。間違ってる。絶対間違ってる」

千川さん「死ね! カップル死ね! プロデューサーとアイドルみんな死ね!」フラフラ

千川さん(つまずく)「あっ、やば……」

「おっと」(抱きかかえる)

千川さん「す、すいませ、……!!! P3さん……! 帰ってたんですか!?」

P3「今日の午後にな。連絡もせず、急な帰国で悪かった」

ちひろ「……ふん。どうせそれは、いつものことですから」ツーン

P3「すまないな。それで来てみたんだが……酔ってるな、ちひろ」

ちひろ「べ、別に酔ってませんよ、酔ってないったら酔ってない」

P3「そうか? 俺もちひろと久しぶりに飲みたかったんだが」

ちひろ「構いませんよ! もう一軒ぐらい……!」フラフラ

P3「……今日はやめておくよ。やっと海外の仕事が終わったんだ、機会はいくらでもあるさ」

ちひろ「えっ……! じゃ、じゃあ、これからはずっと……」

P3「しばらくは日本にいる予定だ」

ちひろ「(しばらく……)そうですか……、よかった」

P3「今日はちひろの家に行っていいかな」

ちひろ「ええ、もちろんです……」

P3「何だ? 久しぶりに会ったのに、元気がないじゃないか」

ちひろ「別に……」

P3「……次に日本を出るのは、2ヶ月くらい先だ」

ちひろ「……短いですね」

P3「そうかな」

ちひろ「そうです」

P3「だから……もう少し長くしてみようと思う」

ちひろ「え? どういう意味ですか」

P3「こういうことだ」(懐から箱を取り出して、渡す)

ちひろ「なんですこれ。しかくーい」

P3「……鈍いな。酔ってるからか?」

ちひろ「だから、酔ってな……あ、えっ。まさか……」(箱を開ける)

P3「一緒に来てくれるか、ちひろ」

ちひろ「……はい……!」(指輪を握り締める)

P3「ちひろ……」

ちひろ「あなた……」


(そして二人の影は重なっていくのであった……)




車の中の担当アイドルたち「カップル死ねって感じじゃない?」「早くおうちに帰りたい……」「日本に帰ってきて早々に何見せられてんの私達」「恋人ほしーいー」


おわり


 

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