君の名は。のアフターSSです
ひたすらゲロ甘なんで、そういうのが苦手な人は注意
少しきつく締めていたネクタイを緩めながら、俺は逸る気持ちを抑えるように電車の窓から外の景色を眺めていた。
柔らかなオレンジ色に染まっていく街が見える。
ビルの群れの向こうに沈む夕陽のまぶしさ。
そして、まばたきの次の瞬間には夕陽が雲に隠れて、ただでさえ不確かで不条理な世界の境界が朧な形を作っていく。
光と影が混ざり合って、街の明かりと夜の闇と夕陽の光が不均等に混ざり合わさって、自分という存在さえ不確かになっていくような感覚。
こんな時間帯のことを何と呼んでいたっけ?
黄昏――誰そ彼――彼は誰……
瀧「いや、違う」
俺は無意識のうちに呟く。
カタワレ時だ。
『彼女』の住んでた地域に伝わる古い呼び名。
俺には聞き慣れない言葉のはずなのだが、この呼び名に不思議と違和感はなかった。
むしろ、ずっと昔から使っていたような、そんな――って、俺は何を言ってるんだ。
生まれてこのかた、旅行以外で東京を出たことがないってのに。
っていうか、何で俺、『彼女』の出身地のことなんて知ってんだっけ?
ふいに沸いた疑問が俺の頭の中をもたげる。
『彼女』と出会ったのは今朝がたのこと。
それもほんの少しだけ話して連絡先だけ交換してすぐに別れてしまったんだから、俺が彼女の出身地のことなんて知っているはずなんて――ないはずなのに。
瀧「これから会うんだよな」
スマフォを取り出し、画面に表示される『彼女』の連絡先を何度も何度も確認する。
もう、消えたり、忘れたりしないよな?
自分でもわけのわからない不安に駆られながら、俺は彼女に電話しようとして、結局やめる。
電車内での通話はマナー違反だ。
大体、夢じゃないんだから『彼女』の連絡先が消えたりするわけがないし、俺が『彼女』の名前を忘れたりするはずがない。
瀧「みつは……宮水三葉」
どこか懐かしい思いに浸りながら、『彼女』の名前を大事に大事に呟く。
うん、覚えてる。
忘れたりするわけがない。
もう絶対に忘れたりするもんか。
わけのわからない不安に駆られる自分が馬鹿らしくなり、俺は焦燥を打ち消すように首を振った。
これから俺は彼女と会うんだ。
そのための約束もした。
した……よな?
俺は不安になり、スマフォをいじる。
『突然、不躾ですが、今夜、大丈夫でしょうか?』
昼休み、『彼女』に送ったメールを確認。
『はい。待ち合わせは四ツ谷駅前に十九時でどうでしょう?』
『彼女』からの返信。
四ツ谷駅前。
そういえば五年前、それと何か月か前の先輩との待ち合わせの時も四ツ谷駅前だったな、なんてどうでも良いことを思い出しながら、俺は了承のメールを送った。
あと、もう少しで『彼女』とまた会える。
あの声を、空気を、温かさをまた感じられる。
『彼女』のことを思うだけで、いつの間にか胸の奥に空いていた空洞が満たされていくような感覚。
俺はずっと、『彼女』を、一人だけを探していた。
改札口を出て、駅前の広場へ小走りに向かう。
待ち合わせの時間は十九時。
今はまだ十八時四十分。
約束の時間まで二十分以上あるんだから、急ぐ必要なんてないのに俺は逸る気持ちを抑えられなかった。
いや、本当は会社にいるときもずっと心は『彼女』のもとへ向かおうとしていた。
なのにそうしなかったのは、ギリギリで俺を拾ってくれた会社への恩義からか、あるいは『彼女』がそんな無茶を望まないことを俺自身が知っていたからか。
そう。
俺の知っている『彼女』は――
いた。
まだ二十分前だってのに『彼女』はそこにいた。
どこか不安げな表情で俯きながら。
俺は『彼女』を見つけた瞬間、言葉にならない安堵で朝に続いてまた泣きそうになる。
これまでの人生で一日に二度も泣いたことがあっただろうか?
『彼女』とこうしてまた会えた奇蹟。
泣きたくなるほど、それが嬉しかった。
彼女がふいに顔を上げる。
その視線が俺を見つける。
次の瞬間、彼女の不安げな表情は安心したような、ほっとしたような表情へと変わる。
そうして、俺は気付く。
『彼女』も同じだったんだ。
ずっと探していた。
だれかひとりを、ひとりだけを。
瀧「えっと、遅れてすみません。待ちました?」
三葉「……い、いえ、今来たところです」
『彼女』は、三葉は顔を真っ赤にして手を振った。
すぐにわかる嘘だった。
この様子だと三十分以上、待っていたんじゃないだろうか?
もしかしたら約束の一時間前にはもうここにいたのかもしれない。
そのことに対して申し訳ない気分になったものの、同時に嬉しくもなる。
どうしてそんな気持ちになるのかわからないが、相変わらず変なところで律儀な性格なんだな、なんて思いながら俺は彼女に手を差し出す。
瀧「それでは行きましょうか」
三葉「えっと……」
彼女は俺の手に視線を向けたまま少し固まっていた。
その反応に俺は自分のやっていることの大胆さに気付く。
会ったばかりの女の人の手をさっそく握ろうなんて、どんだけ餓えてんだよ。
これじゃ完全なナンパ野郎じゃねえか。
瀧「す、すみません。そ、その、これはそういうつもりじゃなくて……」
しどろもどろになりながら俺が弁明していると、
三葉「はい、これでいいですか?」
彼女の柔らかな手が、引っ込めようとした俺の手を握っていた。
瞬間、心臓が早鐘を打つ。
彼女の存在を身近に感じられて、涙が出そうになる。
このまま精神がどこか別次元にトリップしそうな勢い。
三葉「あの、瀧く……立花さん、大丈夫ですか?」
彼女の怪訝そうな――俺のことを『立花』と呼ぶ声を聞いて正気に戻る。
瀧「え? あ、す、すみません」
さっきから謝ってばかりだな俺。
なんて思いながら、なんとなく寂しい気分になる。
彼女の口から『立花』なんて他人行儀な呼び方をされるなんて。
普通ならそれは当然のことで、そうしないことこそがおかしいはずなのに。
瀧「あの、俺から誘っといて何なんですけど、三葉……」
俺の言葉に彼女は一瞬、期待したような表情を浮かべ、
瀧「……宮水さんはイタリアンとか大丈夫ですか?」
とっさに言い直すと、落胆、そして何かを言いたそうな表情に変わった。
あれ?
俺、何か間違ったのか?
無意識のうちに彼女の名前を呼ぼうとして言い直しただけだ。
そりゃそうだろ。
出会ったばかりの相手の下の名前をいきなり呼ぶなんて、それが俺にとってどんなに自然なことに感じられても失礼すぎる。
だから、これは正しい判断のはず――本当に彼女と出会ったばかりなのか?
突如として、湧き上がる自問。
俺はずっと前から、ずっとずっと前から君を知っていたような――
三葉「立花さんにお任せします」
彼女の声に俺の思考は中断される。
俺が顔を上げると、彼女の顔に浮かんでいた落胆の表情は消えていた。
瀧「そ、それじゃあ、行きましょうか」
彼女の柔らかな手を握り、その暖かさに安堵しながら、けれど何かが違うと心のどこかで感じながら、俺たちはカタワレ時の終わった夜の街に向かった。
瀧「あの、今朝は……本当にすみませんでした」
三葉「い、いえ、私の方こそ」
歩きながら俺たちは互いに謝り合う。
自分でもどうしてあんなことをしたのかわからなかった。
けれど、それは彼女も同じだろうという確信がある。
ただ一つだけ確かなのは俺たちは出会うべくして出会ったということ。
瀧「宮水さんを見たとき、ずっと探していた人を見つけた気がして、気が付いたら――」
三葉「うん、私も。立花さんを見たとき、ずっとずっと探していたのは君だったんだって、もう気付いた時には走ってて」
互いに気恥ずかしくて、少しだけ相手から目を逸らして、けれど手を繋いだまま歩く。
ああ、これじゃ付き合いたての中学生みたいじゃないか。
いい大人が情けねえ。
こんなとき、自分の恋愛経験の少なさが嫌になる。
俺はちらりと彼女に目を向ける。
すると彼女もちらりとこちらに目を向けていた。
互いの視線が重なり合う。
俺たちは慌てて視線を逸らした。
駄目だ、心臓がバクバクする。
奥寺先輩とデートした時とはまるで違う感覚。
自分が自分でなくなって、どこかに飛んでいってしまいそうな、でも意外と嫌な気分はしないどこか満たされるような感覚だった。
瀧「その……髪飾り、組紐……綺麗ですね」
つっかえながら、俺は言う。
瀧「すごく、似合ってます」
もうちょっとスマートに言えたらいいのに、俺はどうしてこう上手く言えないんだろう。
三葉「お気に入りなんです。理由はわからないけど、すごく大切な物な気がして、ずっと使ってるんです」
瀧「俺も同じ組紐持ってたんですよ。いつの間にかなくしちゃってたんですけど」
遠い昔、もう思い出せないけど誰かにもらった組紐。
それを俺は左手に巻いていたが、気付いたらいつの間にかなくなっていた。
五年前、飛騨に行ったとき、誰かに渡したような気もするが、あの時の記憶は曖昧でよく覚えていない。
ただ組紐をなくした喪失感はなくて、むしろようやく持つべき人に返せたという気持ちだけが残っていた気がする。
三葉「私もこの組紐、誰かに渡したことがある気がするんですけど、気が付いたら私の手元に返って来てて、あれって何だったのかな?」
俺は、俺たちはその答えを知っているはずなのに、互いに疑問符を浮かべたまま何も言えなかった。
けれでそれはなんだか嫌な気がしなくて、そのことがなんだかおかしくて、
瀧「はは、何なんですかね」
三葉「ふふっ、何なんでしょうね」
俺たちはいつの間にか笑い合っていた。
瀧「この店なんですけど……」
俺が彼女と向かったのは高校のころバイトしていたイタリアンレストランだった。
選択肢なら他にもいろいろとあるはずなのだが、彼女なら絶対にこの店を気に入ってくれるはずだという、理由のない確信があった。
三葉「全然変わってない。なんだか懐かしい……」
しみじみと感慨深く彼女が呟く。
瀧「懐かしい?」
俺は勝手に彼女がこの店を知らないと決めつけていたが、東京に住んでいるんだから、来たことがあったとしてもおかしくなかった。
三葉「え? あれ? 私このお店に来たことないはずなのに、何でだろ?」
わずかに戸惑うような声を上げたものの、彼女はすぐに顔を上げる。
三葉「行きましょう、立花さん」
瀧「あ、はい」
返事をしつつ、俺は、俺の体はなんともいえない感覚に囚われていた。
相変わらず、レストランは繁盛していた。
あの頃の俺と同年代くらいの男子たちがてんてこ舞いといった感じで、店内を右往左往している様は何というか、先輩として見ていて微笑ましかった。
瀧「宮水さん、どうですか?」
三葉「美味しい……このお店の料理、こんなに美味しかったんだ」
料理を口に運ぶ彼女の表情は新鮮な驚きに満ちていた。
かく言う俺も何か月か前、この店に来たとき初めてメニューを頼んだんだが、その時の反応は彼女と全く同じだった。
瀧「バイトのまかないは給食みたいでパッとしないくせに、客に出すメニューだけこんなに美味いなんて詐欺ですよね。もうちょっとまかないも美味かったら、俺だってバイト続けてたのに」
三葉「そうそう、そのくせシェフは早く食べて仕事しろってうるさくて――」
瀧「確かに。バイトの先輩たちは先輩たちで、奥寺先輩とちょっと仲良くしようものならすぐに文句言ってくるし」
三葉「あー、奥寺先輩、大人気だったもんね。でも、女の私の目から見ても綺麗やったし仕方ないかなーって」
瀧「あっ、そうそう、その奥寺先輩なんだけどさ、結婚するんだぜ」
三葉「えーっ、それ本当!?」
店内だってのに大声を上げて、他の客の注目を集める三葉。
はは、落ち着いたように見えて、そういうところは相変わらずなんだな。
三葉「ちょっと、それ初耳なんだけど、瀧く――あれ?」
疑問符を浮かべる彼女の表情に、俺もようやく疑問が頭をもたげる。
どうして彼女がこの店のことを、奥寺先輩のことを――
瀧「宮水さん、大丈夫?」
三葉「ご、ごめんなさい。私、ちょっとお手洗いに」
席を立ち、彼女は言った。
瀧「この店のトイレは少しわかりにくい場所にあって――」
三葉「うん、知ってる」
俺が声を掛けるよりも先に、彼女は店の隅にあるトイレにまっすぐ向かっていった。
トイレから戻ってきた彼女と俺は色んなことを話し合った。
彼女は俺よりも三つ年上で、あの隕石落下の被害を被った糸守町の出身だという。
確かにそれは驚くべきことだけど、出身のことよりも俺は彼女が自分より年上だということに驚きと同時に、納得のいかない感情を抱いていた。
無意識のうちに彼女が自分と同い年だと思っていた俺が悪いんだが。
確かに彼女の落ち着いた雰囲気は社会人一年目の俺と比べても数段上だった。
そうか、よくよく考えれば奥寺先輩とほとんど歳が変わらないんだし、当然だよな。
だから彼女に対して、たまに自分の口から出そうになるタメ口に俺は戸惑っていた。
話が盛り上がった時や相槌を打つとき、思わずタメ口になってしまう。
奥寺先輩の時はこんなことなかったのに、彼女の時だけ、どうしてこんな口が軽くなってしまうんだろう。
まったく不思議な感覚だった。
瀧「――そういえば、宮水さんの糸守の知り合いって、結構こっちに来てるんですか?」
三葉「少しずつ糸守の近くに戻ってる人もいるみたいですけど、東京に完全に根を下ろしている人もちらほらいますね。私の幼なじみもこちらで結婚するみたいですし」
瀧「へー、テッシーとサヤちんがようやくかー」
俺は坊主頭のひょろ長い青年のタキシード姿と、前髪ぱっつんお下げの小柄な少女のウエディングドレス姿を想像して、何ともいえない懐かしさとあまりの似合わなさに吹き出してしまう。
そっか。
あの二人、結婚するのか。
奥寺先輩の時とはまた違った感慨深さだった。
三葉「あの、立花さん」
どこか困惑したような表情を浮かべて、彼女は俺の名前を呼び、
三葉「私、二人の名前、言いましたっけ?」
瀧「え? あれ?」
言ってなかったけ?
でも、そうでなきゃ俺が彼女の幼なじみのことなんて知ってるわけがないし。
三葉「あ、そうだ。私のことばかりじゃなくて、立花さんのことも教えてくださいよ」
瀧「そ、そうですね」
堂々巡りに陥る前に、彼女の提案に俺は乗ることにした。
この奇妙な感覚を追及してはダメだ、と直感が言っている。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこに埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
三葉「……瀧くん? ボーっとしてどうしたん? ねえ、瀧くんってば」
瀧「そんなに名前を連呼しなくても聞こえてるよ」
少し物思いに耽っていたようだ。
三葉と話していると普段、考えもしないようなことをいつの間にか考えてしまう。
三葉「もうすぐ閉店やって」
瀧「ああ、もうそんな時間か」
奥寺先輩と来たときはこんなに遅くまで話し込まなかったから気付かなかったけど、俺がバイトしていた時よりも閉店時間が早くなっていたらしい。
勘定の時、社会人の先輩として俺の分まで金を出そうとする三葉を押し留め、誘った俺が全額払おうとしたんだが、三葉は頑としてそれを認めず、結局、割り勘ということになった。
瀧「この意地っ張り」
三葉「瀧くんの方こそ、年上の言うことは聞くもんやよ」
だったら、年上の威厳を見せてくれっての。
最初は落ち着いた雰囲気だったのに、今は方言丸出しで清楚さなんて十億光年の彼方に飛び去ってしまった三葉。
おまけにこんな路上で言い合いなんて高校生かよ。
まったくいい大人が何やってんだか。
溜息を吐きながら、俺はいつの間にかにやけている自分に気付く。
ああ、本当にもう、
瀧「何やってるんだろうな、俺たち」
三葉「本当はもっと言いたいことがいっぱいあるはずやのに、瀧くんとおると余計なことばっかり」
そう言って愚痴る三葉の顔は、しかし、笑っている。
それに釣られて俺も笑った。
ああ、ずっとずっとこんな風に取り留めのないことを話して一緒にいられたらどんなにいいだろう、と俺は思ってしまう
時間が巻き戻って、三葉と出会ったとき、いやそれよりももっと前、俺が彼女を、彼女が俺をまだ知らないときまで遡って、これまで一緒にいられなかった時間を埋められたら、それはどんなに――
三葉「……そろそろ帰ろっか」
それまで笑っていた三葉が地面に視線を落としながら言った。
瀧「そう、だな」
どんなに楽しい時間でも永遠に続くことはない。
蝶々結びで結びついた糸は簡単にほどけてしまう。
片方を引っ張るだけで簡単に。
駅までの道を手を繋いで歩く。
三葉との会話は相変わらず続いている。
互いの仕事のこと、これまでのこと。
けれど、どこか互いに上の空だった。
駅に近付くごとに歩みを進めるペースが落ちていく。
このまま駅が蜃気楼になって消えてしまえばいいのにと思ってしまうくらいに。
別れが、この手を離すのが、三葉の温もりを失うのが怖かった。
瀧「もう少しだけここにいようか」
三葉「うん、少しだけ」
駅前のベンチに俺たちは腰掛ける。
そうして取り留めのないことを話しながら、
三葉「ここはあんまり星が見えんね」
唐突に、ぽつり、と三葉が漏らした。
俺も空を見上げた。
東京の空は明るすぎて、星がよく見えなかった。
ああ、と思う。
こんな風に空を見上げたのはいつぶりだろうか?
五年前、飛騨の夜空。
あるいは八年前の隕石の時以来か。
瀧「糸守の夜空、綺麗だったな」
三葉「うん……」
いつも身近に、当たり前にあったものはいつも何の前触れもなく俺たちの前から無くなってしまう、
それは場所であったり、物であったり、人であったり。
そして残されるのはいつも言葉にできない喪失感だけ。
理不尽だ、と思う。
神様って奴がいるのだとしたら、そいつはとても性格が悪くて、理不尽で、きっと俺たちのことなんて歯牙にもかけてないんだろう。
瀧「また、行きたいな、糸守」
三葉「瀧くんは糸守、好き?」
その質問に俺はどう答えればいいのかわからなかった。
一時期、狂ったように糸守に惹かれ、色々と調べ回ったことがあった。
スケッチブックを自分で描いた糸守の風景で埋めたりもした。
どうしてあんなことをしたのか、自分でもよくわからない。
終いには自分の貯金を大きく切り崩して飛騨にまで向かっちまったんだから、あの頃の俺は本当にどうかしてたんだろう。
そして、思い出の場所が隕石でずたずたにされた光景にショックを受け――そのあとのことはよく覚えていない。
ただ自分の大切な半身を失ったような、そんな喪失感だけを抱いたことだけは確かだ。
大事な人、忘れちゃだめな人、忘れたくなかった人。
輪郭を失っていくその感情。
その感情さえも消えていく中、俺は寂しさだけを抱えて、確かこう言ったんだった。
瀧「君の、名前は?」
アイスコーヒーレギュラー買った
↓
容器を機械にセットするが
ビニールのラベル蓋を剥がすことを知らず全部外に溢れる
↓
まさかいちいち剥がすと思わずもしかしたらサイズを間違えたと思いデカいサイズのボタンを押すがやはり溢れる
↓
カップを確認するがやはり中に入ってなかったので故障かと思いもう一度ボタンを押す
↓
店員「ちょっとお客さん困ります、やり方わからないんですか?私やりますよ」
↓
俺「ハァ?それならなんでこの機械あるんだよ!全自動じゃないんか!!!そこまでやって100円じゃないんか!!!!!!!!!」
↓
頭にきたのでもうワンプッシュする
↓
店員が警察に相談すると言ったんで、ブチ切れて店を出た
三葉「――みつは」
っ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'\ っ
/ ノ^ヽノノノノ^ヽ、ヽ フェェァ―――――!?
| / へ へ ヽ | っ
(|─[ ‐ ]ー[ ‐ ]─|ノ マァァァ―――――??
| ,ノ(、_, )、 |
| ;‐=‐ヽ u | ア゛ー落としたァ!!
| `ニニ'´ |
ヽ、 ,,_,, / ●●●を落としちゃった!!!
/``-ー――-"\
< どうか、しましたか?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'\
/ ノ^ヽノノノノ^ヽ、ヽ
| / へ へ ヽ |
(|─[ ‐ ]ー[ ‐ ]─|ノ
| ノ(、_, )、 | _人人人人人人人人人人人人人人_
| ´,r=ニ=イ` | > 女を落としてしまったのですが…<
| `ー' |  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
ヽ、 `ー-‐'' / ニヤァ
/``-ー――-"\
ハッと俺は三葉を見る。
彼女は、大丈夫だよ、私はここにいるよ、と俺の手を握りしめながら、こちらを見ていた。
三葉はここにいる。
幻じゃない。
それがとんでもない奇蹟のように思えた。
三葉「君の、名前は?」
同じように三葉が言う。
俺の名前、俺の名前は――
瀧「――たき」
答える。
三葉「うん、知ってた。ずっと知ってた。ずっとずっと前から知ってた」
瀧「俺も探してた。ずっと探してた。まだあったことのない君をずっと探してた」
この感覚の名前を俺は知らない。
デジャブとか既視感とも違う何か。
感情が溢れてくる。
彼女が、三葉が愛おしくて堪らない。
そっと彼女を引き寄せる。
ぎゅっと抱きしめる。
相変わらず三葉の体は細くて柔らかくて、俺が少し力を込めたら、そのまま折れてしまうんじゃないかってくらい華奢で、
とても温かかった。
とくん、とくん、と鼓動が聞こえる。
それは自分のものなのか、あるいは三葉のものなのか。
もう一つの鼓動がとくん、とくん、と鳴っているのが聞こえた。
それは俺のものなのか、あるいは彼女のものなのか。
かつて、奥寺先輩は俺に言った。
『君も、いつかちゃんと、しあわせになりなさい』と。
あのときは何も言えず、言葉を濁すしかなかった。
けれど、今なら言える。
先輩、俺はこんなにもしあわせです、って。
瀧「三葉、三葉」
何度も何度も噛みしめるように彼女の名前を呼ぶ。
もう忘れたりするもんか、絶対に絶対にもう手を離したりしない。
三葉「瀧くん、瀧くん」
あの頃に戻ったように三葉も俺の名前を呼ぶ。。
これまで引き離されていた分を取り戻すように、何度も何度も。
きっと周りから見たら、俺たちは頭のおかしいカップルにしか見えなかっただろう。
このときのことを後から思い出すと、きっと俺たちは恥ずかしさのあまり、床に転がって頭を抱えてしまうはずだ。
けれど、今はそんなことどうでもいい。
もっともっと彼女を感じていたい。
もっともっと彼女と繋がっていたい。
そう、思ったんだ。
三葉「……瀧くん? ボーっとしてどうしたん? ねえ、瀧くんってば」
瀧「そんなに名前を連呼しなくても聞こえてるよ」
少し物思いに耽っていたようだ。
三葉と話していると普段、考えもしないようなことをいつの間にか考えてしまう。
三葉「もうすぐ閉店やって」
瀧「ああ、もうそんな時間か」
奥寺先輩と来たときはこんなに遅くまで話し込まなかったから気付かなかったけど、俺がバイトしていた時よりも閉店時間が早くなっていたらしい。
勘定の時、社会人の先輩として俺の分まで金を出そうとする三葉を押し留め、誘った俺が全額払おうとしたんだが、三葉は頑としてそれを認めず、結局、割り勘ということになった。
瀧「この意地っ張り」
三葉「瀧くんの方こそ、年上の言うことは聞くもんやよ」
だったら、年上の威厳を見せてくれっての。
最初は落ち着いた雰囲気だったのに、今は方言丸出しで清楚さなんて十億光年の彼方に飛び去ってしまった三葉。
おまけにこんな路上で言い合いなんて高校生かよ。
まったくいい大人が何やってんだか。
溜息を吐きながら、俺はいつの間にかにやけている自分に気付く。
ああ、本当にもう、
瀧「何やってるんだろうな、俺たち」
三葉「本当はもっと言いたいことがいっぱいあるはずやのに、瀧くんとおると余計なことばっかり」
そう言って愚痴る三葉の顔は、しかし、笑っている。
それに釣られて俺も笑った。
ああ、ずっとずっとこんな風に取り留めのないことを話して一緒にいられたらどんなにいいだろう、と俺は思ってしまう
時間が巻き戻って、三葉と出会ったとき、いやそれよりももっと前、俺が彼女を、彼女が俺をまだ知らないときまで遡って、これまで一緒にいられなかった時間を埋められたら、それはどんなに――
三葉「……そろそろ帰ろっか」
それまで笑っていた三葉が地面に視線を落としながら言った。
瀧「そう、だな」
どんなに楽しい時間でも永遠に続くことはない。
蝶々結びで結びついた糸は簡単にほどけてしまう。
片方を引っ張るだけで簡単に。
どちらともなく、抱き締めていた腕を、そっと少しだけ話す。
ちょっと動けば触れてしまいそうなくらいの至近距離で互いを見つめ合い、そうして唇を重ね合わせた。
びくん、と三葉の体が驚いたように固まる。
けれど抵抗はない。
俺はそのまま彼女の体を抱きしめながら、キスを続けた。
唇を重ね合わせるだけのキス。
それ以上のことはできない。
というか、やれない。
ああ、こんなことなら、奥寺先輩にもっといろいろと教えてもらうんだった、とか考えてしまったけど、そんなことしたら絶対に三葉に怒られるよな。
だから、これで良かったんだ、と俺は自分を納得させた。
唇を離す。
もっとこうしていたかったけど、これ以上やったら自制が利かなくなっていただろうから仕方ない。
三葉「はぁ、はぁ」
少し目を向けると三葉は口で呼吸をしていた。
顔が赤い。
それは気恥ずかしいという気持ちだけの赤さではなく、
瀧「もしかして、息とめてた?」
三葉「瀧くん、なんか慣れとらん?」
俺の質問に対し、返ってきたのは追及だった。
ジト目の三葉に睨まれながら、俺は目を逸らす。
瀧「い、いや、そんなことないっすよ」
三葉「ふーん、まあ、いいけど」
俺だって、こういう時のために色々と練習してきたんだよ。
色々とな。
何だか疑いの目でこちらを見ていた三葉だったが、
三葉「あっ、もうこんな時間。本当にそろそろ帰らんと」
時計を見て立ち上がる。
お別れの時間だった。
これで三葉と会えるのはまた明日。
もう彼女が消えたりしないことはわかっていても、胸を覆っていく寂しさを誤魔化せはしなかった。
瀧「そうか、明日もお互い仕事だもんな」
社会人である以上、この別れは当然で必然で仕方のないこと。
そんなことはわかっている。
俺だっていい大人なんだ。
なのに、
三葉「手、離してくれんと困るよ」
俺の手は三葉の手を掴んだまま離そうとしない。
本当に俺はどうしちまったんだろう。
彼女を困らせたりしたくないのに。
心と体が切り離されたみたいにいうことを聞いてくれない。
もっと彼女と一緒にいたい、ずっとずっと彼女と一緒にいたい。
そう、体が、心がうるさいくらいに訴えかけてくる
だから、次に口から出てきた言葉は自分でもびっくりするようなものだった。
トイレから戻ってきた彼女と俺は色んなことを話し合った。
彼女は俺よりも三つ年上で、あの隕石落下の被害を被った糸守町の出身だという。
確かにそれは驚くべきことだけど、出身のことよりも俺は彼女が自分より年上だということに驚きと同時に、納得のいかない感情を抱いていた。
無意識のうちに彼女が自分と同い年だと思っていた俺が悪いんだが。
確かに彼女の落ち着いた雰囲気は社会人一年目の俺と比べても数段上だった。
そうか、よくよく考えれば奥寺先輩とほとんど歳が変わらないんだし、当然だよな。
だから彼女に対して、たまに自分の口から出そうになるタメ口に俺は戸惑っていた。
話が盛り上がった時や相槌を打つとき、思わずタメ口になってしまう。
奥寺先輩の時はこんなことなかったのに、彼女の時だけ、どうしてこんな口が軽くなってしまうんだろう。
まったく不思議な感覚だった。
瀧「――そういえば、宮水さんの糸守の知り合いって、結構こっちに来てるんですか?」
三葉「少しずつ糸守の近くに戻ってる人もいるみたいですけど、東京に完全に根を下ろしている人もちらほらいますね。私の幼なじみもこちらで結婚するみたいですし」
瀧「へー、テッシーとサヤちんがようやくかー」
俺は坊主頭のひょろ長い青年のタキシード姿と、前髪ぱっつんお下げの小柄な少女のウエディングドレス姿を想像して、何ともいえない懐かしさとあまりの似合わなさに吹き出してしまう。
そっか。
あの二人、結婚するのか。
奥寺先輩の時とはまた違った感慨深さだった。
三葉「あの、立花さん」
どこか困惑したような表情を浮かべて、彼女は俺の名前を呼び、
三葉「私、二人の名前、言いましたっけ?」
瀧「え? あれ?」
言ってなかったけ?
でも、そうでなきゃ俺が彼女の幼なじみのことなんて知ってるわけがないし。
三葉「あ、そうだ。私のことばかりじゃなくて、立花さんのことも教えてくださいよ」
瀧「そ、そうですね」
堂々巡りに陥る前に、彼女の提案に俺は乗ることにした。
この奇妙な感覚を追及してはダメだ、と直感が言っている。
改札口を出て、駅前の広場へ小走りに向かう。
待ち合わせの時間は十九時。
今はまだ十八時四十分。
約束の時間まで二十分以上あるんだから、急ぐ必要なんてないのに俺は逸る気持ちを抑えられなかった。
いや、本当は会社にいるときもずっと心は『彼女』のもとへ向かおうとしていた。
なのにそうしなかったのは、ギリギリで俺を拾ってくれた会社への恩義からか、あるいは『彼女』がそんな無茶を望まないことを俺自身が知っていたからか。
そう。
俺の知っている『彼女』は――
いた。
まだ二十分前だってのに『彼女』はそこにいた。
どこか不安げな表情で俯きながら。
俺は『彼女』を見つけた瞬間、言葉にならない安堵で朝に続いてまた泣きそうになる。
これまでの人生で一日に二度も泣いたことがあっただろうか?
『彼女』とこうしてまた会えた奇蹟。
泣きたくなるほど、それが嬉しかった。
彼女がふいに顔を上げる。
その視線が俺を見つける。
次の瞬間、彼女の不安げな表情は安心したような、ほっとしたような表情へと変わる。
そうして、俺は気付く。
『彼女』も同じだったんだ。
ずっと探していた。
だれかひとりを、ひとりだけを。
瀧「えっと、遅れてすみません。待ちました?」
三葉「……い、いえ、今来たところです」
『彼女』は、三葉は顔を真っ赤にして手を振った。
すぐにわかる嘘だった。
この様子だと三十分以上、待っていたんじゃないだろうか?
もしかしたら約束の一時間前にはもうここにいたのかもしれない。
そのことに対して申し訳ない気分になったものの、同時に嬉しくもなる。
どうしてそんな気持ちになるのかわからないが、相変わらず変なところで律儀な性格なんだな、なんて思いながら俺は彼女に手を差し出す。
瀧「それでは行きましょうか」
三葉「えっと……」
彼女は俺の手に視線を向けたまま少し固まっていた。
その反応に俺は自分のやっていることの大胆さに気付く。
会ったばかりの女の人の手をさっそく握ろうなんて、どんだけ餓えてんだよ。
これじゃ完全なナンパ野郎じゃねえか。
トイレから戻ってきた彼女と俺は色んなことを話し合った。
彼女は俺よりも三つ年上で、あの隕石落下の被害を被った糸守町の出身だという。
確かにそれは驚くべきことだけど、出身のことよりも俺は彼女が自分より年上だということに驚きと同時に、納得のいかない感情を抱いていた。
無意識のうちに彼女が自分と同い年だと思っていた俺が悪いんだが。
確かに彼女の落ち着いた雰囲気は社会人一年目の俺と比べても数段上だった。
そうか、よくよく考えれば奥寺先輩とほとんど歳が変わらないんだし、当然だよな。
だから彼女に対して、たまに自分の口から出そうになるタメ口に俺は戸惑っていた。
話が盛り上がった時や相槌を打つとき、思わずタメ口になってしまう。
奥寺先輩の時はこんなことなかったのに、彼女の時だけ、どうしてこんな口が軽くなってしまうんだろう。
まったく不思議な感覚だった。
瀧「――そういえば、宮水さんの糸守の知り合いって、結構こっちに来てるんですか?」
三葉「少しずつ糸守の近くに戻ってる人もいるみたいですけど、東京に完全に根を下ろしている人もちらほらいますね。私の幼なじみもこちらで結婚するみたいですし」
瀧「へー、テッシーとサヤちんがようやくかー」
俺は坊主頭のひょろ長い青年のタキシード姿と、前髪ぱっつんお下げの小柄な少女のウエディングドレス姿を想像して、何ともいえない懐かしさとあまりの似合わなさに吹き出してしまう。
そっか。
あの二人、結婚するのか。
奥寺先輩の時とはまた違った感慨深さだった。
三葉「あの、立花さん」
どこか困惑したような表情を浮かべて、彼女は俺の名前を呼び、
三葉「私、二人の名前、言いましたっけ?」
瀧「え? あれ?」
言ってなかったけ?
でも、そうでなきゃ俺が彼女の幼なじみのことなんて知ってるわけがないし。
三葉「あ、そうだ。私のことばかりじゃなくて、立花さんのことも教えてくださいよ」
瀧「そ、そうですね」
堂々巡りに陥る前に、彼女の提案に俺は乗ることにした。
この奇妙な感覚を追及してはダメだ、と直感が言っている。
瀧「もっとずっと一緒にいたい。俺んちに泊まっていかないか?」
三葉「瀧くん……」
俺をじっと見て、三葉は名前を呼んだまま何も言わない。
瀧「嫌なら断ってくれていい」
別にこれで彼女との糸が切れるわけじゃない。
もう彼女との繋がりが断たれることがないことを俺はわかっている。
だから、これは俺のただの我儘だ。
そんな自分勝手に三葉が無理やり付き合う理由はない。
嫌なら嫌だとすっぱり断ってくれ。
三葉は口を開き何かを言おうとして、呆れたように溜め息を吐いた。
瀧「あの、三葉、本当に嫌なら――」
三葉「もうっ、瀧くん、ずるいっ。そんなの嫌なわけないやよ」
恥ずかしそうにむくれながら三葉は言った。
三葉「私だってずっとずっと一緒にいたいんやから」
こうして、俺の家に三葉が来ることになった。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこに埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
三葉「……瀧くん? ボーっとしてどうしたん? ねえ、瀧くんってば」
瀧「そんなに名前を連呼しなくても聞こえてるよ」
少し物思いに耽っていたようだ。
三葉と話していると普段、考えもしないようなことをいつの間にか考えてしまう。
三葉「もうすぐ閉店やって」
瀧「ああ、もうそんな時間か」
奥寺先輩と来たときはこんなに遅くまで話し込まなかったから気付かなかったけど、俺がバイトしていた時よりも閉店時間が早くなっていたらしい。
勘定の時、社会人の先輩として俺の分まで金を出そうとする三葉を押し留め、誘った俺が全額払おうとしたんだが、三葉は頑としてそれを認めず、結局、割り勘ということになった。
瀧「この意地っ張り」
三葉「瀧くんの方こそ、年上の言うことは聞くもんやよ」
だったら、年上の威厳を見せてくれっての。
最初は落ち着いた雰囲気だったのに、今は方言丸出しで清楚さなんて十億光年の彼方に飛び去ってしまった三葉。
おまけにこんな路上で言い合いなんて高校生かよ。
まったくいい大人が何やってんだか。
溜息を吐きながら、俺はいつの間にかにやけている自分に気付く。
ああ、本当にもう、
瀧「何やってるんだろうな、俺たち」
三葉「本当はもっと言いたいことがいっぱいあるはずやのに、瀧くんとおると余計なことばっかり」
そう言って愚痴る三葉の顔は、しかし、笑っている。
それに釣られて俺も笑った。
ああ、ずっとずっとこんな風に取り留めのないことを話して一緒にいられたらどんなにいいだろう、と俺は思ってしまう
時間が巻き戻って、三葉と出会ったとき、いやそれよりももっと前、俺が彼女を、彼女が俺をまだ知らないときまで遡って、これまで一緒にいられなかった時間を埋められたら、それはどんなに――
三葉「……そろそろ帰ろっか」
それまで笑っていた三葉が地面に視線を落としながら言った。
瀧「そう、だな」
どんなに楽しい時間でも永遠に続くことはない。
蝶々結びで結びついた糸は簡単にほどけてしまう。
片方を引っ張るだけで簡単に。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
駅までの道を手を繋いで歩く。
三葉との会話は相変わらず続いている。
互いの仕事のこと、これまでのこと。
けれど、どこか互いに上の空だった。
駅に近付くごとに歩みを進めるペースが落ちていく。
このまま駅が蜃気楼になって消えてしまえばいいのにと思ってしまうくらいに。
別れが、この手を離すのが、三葉の温もりを失うのが怖かった。
瀧「もう少しだけここにいようか」
三葉「うん、少しだけ」
駅前のベンチに俺たちは腰掛ける。
そうして取り留めのないことを話しながら、
三葉「ここはあんまり星が見えんね」
唐突に、ぽつり、と三葉が漏らした。
俺も空を見上げた。
東京の空は明るすぎて、星がよく見えなかった。
ああ、と思う。
こんな風に空を見上げたのはいつぶりだろうか?
五年前、飛騨の夜空。
あるいは八年前の隕石の時以来か。
瀧「糸守の夜空、綺麗だったな」
三葉「うん……」
いつも身近に、当たり前にあったものはいつも何の前触れもなく俺たちの前から無くなってしまう、
それは場所であったり、物であったり、人であったり。
そして残されるのはいつも言葉にできない喪失感だけ。
理不尽だ、と思う。
神様って奴がいるのだとしたら、そいつはとても性格が悪くて、理不尽で、きっと俺たちのことなんて歯牙にもかけてないんだろう。
瀧「また、行きたいな、糸守」
三葉「瀧くんは糸守、好き?」
その質問に俺はどう答えればいいのかわからなかった。
一時期、狂ったように糸守に惹かれ、色々と調べ回ったことがあった。
スケッチブックを自分で描いた糸守の風景で埋めたりもした。
どうしてあんなことをしたのか、自分でもよくわからない。
終いには自分の貯金を大きく切り崩して飛騨にまで向かっちまったんだから、あの頃の俺は本当にどうかしてたんだろう。
そして、思い出の場所が隕石でずたずたにされた光景にショックを受け――そのあとのことはよく覚えていない。
ただ自分の大切な半身を失ったような、そんな喪失感だけを抱いたことだけは確かだ。
大事な人、忘れちゃだめな人、忘れたくなかった人。
輪郭を失っていくその感情。
その感情さえも消えていく中、俺は寂しさだけを抱えて、確かこう言ったんだった。
瀧「君の、名前は?」
ハッと俺は三葉を見る。
彼女は、大丈夫だよ、私はここにいるよ、と俺の手を握りしめながら、こちらを見ていた。
三葉はここにいる。
幻じゃない。
それがとんでもない奇蹟のように思えた。
三葉「君の、名前は?」
同じように三葉が言う。
俺の名前、俺の名前は――
瀧「――たき」
答える。
三葉「うん、知ってた。ずっと知ってた。ずっとずっと前から知ってた」
瀧「俺も探してた。ずっと探してた。まだあったことのない君をずっと探してた」
この感覚の名前を俺は知らない。
デジャブとか既視感とも違う何か。
感情が溢れてくる。
彼女が、三葉が愛おしくて堪らない。
そっと彼女を引き寄せる。
ぎゅっと抱きしめる。
相変わらず三葉の体は細くて柔らかくて、俺が少し力を込めたら、そのまま折れてしまうんじゃないかってくらい華奢で、
とても温かかった。
とくん、とくん、と鼓動が聞こえる。
それは自分のものなのか、あるいは三葉のものなのか。
もう一つの鼓動がとくん、とくん、と鳴っているのが聞こえた。
それは俺のものなのか、あるいは彼女のものなのか。
かつて、奥寺先輩は俺に言った。
『君も、いつかちゃんと、しあわせになりなさい』と。
あのときは何も言えず、言葉を濁すしかなかった。
けれど、今なら言える。
先輩、俺はこんなにもしあわせです、って。
瀧「三葉、三葉」
何度も何度も噛みしめるように彼女の名前を呼ぶ。
もう忘れたりするもんか、絶対に絶対にもう手を離したりしない。
三葉「瀧くん、瀧くん」
あの頃に戻ったように三葉も俺の名前を呼ぶ。。
これまで引き離されていた分を取り戻すように、何度も何度も。
きっと周りから見たら、俺たちは頭のおかしいカップルにしか見えなかっただろう。
このときのことを後から思い出すと、きっと俺たちは恥ずかしさのあまり、床に転がって頭を抱えてしまうはずだ。
けれど、今はそんなことどうでもいい。
もっともっと彼女を感じていたい。
もっともっと彼女と繋がっていたい。
そう、思ったんだ。
>>1-10
三葉「……瀧くん? ボーっとしてどうしたん? ねえ、瀧くんってば」
瀧「そんなに名前を連呼しなくても聞こえてるよ」
少し物思いに耽っていたようだ。
三葉と話していると普段、考えもしないようなことをいつの間にか考えてしまう。
三葉「もうすぐ閉店やって」
瀧「ああ、もうそんな時間か」
奥寺先輩と来たときはこんなに遅くまで話し込まなかったから気付かなかったけど、俺がバイトしていた時よりも閉店時間が早くなっていたらしい。
勘定の時、社会人の先輩として俺の分まで金を出そうとする三葉を押し留め、誘った俺が全額払おうとしたんだが、三葉は頑としてそれを認めず、結局、割り勘ということになった。
瀧「この意地っ張り」
三葉「瀧くんの方こそ、年上の言うことは聞くもんやよ」
だったら、年上の威厳を見せてくれっての。
最初は落ち着いた雰囲気だったのに、今は方言丸出しで清楚さなんて十億光年の彼方に飛び去ってしまった三葉。
おまけにこんな路上で言い合いなんて高校生かよ。
まったくいい大人が何やってんだか。
溜息を吐きながら、俺はいつの間にかにやけている自分に気付く。
ああ、本当にもう、
瀧「何やってるんだろうな、俺たち」
三葉「本当はもっと言いたいことがいっぱいあるはずやのに、瀧くんとおると余計なことばっかり」
そう言って愚痴る三葉の顔は、しかし、笑っている。
それに釣られて俺も笑った。
ああ、ずっとずっとこんな風に取り留めのないことを話して一緒にいられたらどんなにいいだろう、と俺は思ってしまう
時間が巻き戻って、三葉と出会ったとき、いやそれよりももっと前、俺が彼女を、彼女が俺をまだ知らないときまで遡って、これまで一緒にいられなかった時間を埋められたら、それはどんなに――
三葉「……そろそろ帰ろっか」
それまで笑っていた三葉が地面に視線を落としながら言った。
瀧「そう、だな」
どんなに楽しい時間でも永遠に続くことはない。
蝶々結びで結びついた糸は簡単にほどけてしまう。
片方を引っ張るだけで簡単に。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
>>2-11
三葉「……瀧くん? ボーっとしてどうしたん? ねえ、瀧くんってば」
瀧「そんなに名前を連呼しなくても聞こえてるよ」
少し物思いに耽っていたようだ。
三葉と話していると普段、考えもしないようなことをいつの間にか考えてしまう。
三葉「もうすぐ閉店やって」
瀧「ああ、もうそんな時間か」
奥寺先輩と来たときはこんなに遅くまで話し込まなかったから気付かなかったけど、俺がバイトしていた時よりも閉店時間が早くなっていたらしい。
勘定の時、社会人の先輩として俺の分まで金を出そうとする三葉を押し留め、誘った俺が全額払おうとしたんだが、三葉は頑としてそれを認めず、結局、割り勘ということになった。
瀧「この意地っ張り」
三葉「瀧くんの方こそ、年上の言うことは聞くもんやよ」
だったら、年上の威厳を見せてくれっての。
最初は落ち着いた雰囲気だったのに、今は方言丸出しで清楚さなんて十億光年の彼方に飛び去ってしまった三葉。
おまけにこんな路上で言い合いなんて高校生かよ。
まったくいい大人が何やってんだか。
溜息を吐きながら、俺はいつの間にかにやけている自分に気付く。
ああ、本当にもう、
瀧「何やってるんだろうな、俺たち」
三葉「本当はもっと言いたいことがいっぱいあるはずやのに、瀧くんとおると余計なことばっかり」
そう言って愚痴る三葉の顔は、しかし、笑っている。
それに釣られて俺も笑った。
ああ、ずっとずっとこんな風に取り留めのないことを話して一緒にいられたらどんなにいいだろう、と俺は思ってしまう
時間が巻き戻って、三葉と出会ったとき、いやそれよりももっと前、俺が彼女を、彼女が俺をまだ知らないときまで遡って、これまで一緒にいられなかった時間を埋められたら、それはどんなに――
三葉「……そろそろ帰ろっか」
それまで笑っていた三葉が地面に視線を落としながら言った。
瀧「そう、だな」
どんなに楽しい時間でも永遠に続くことはない。
蝶々結びで結びついた糸は簡単にほどけてしまう。
片方を引っ張るだけで簡単に。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
言いかけて、俺は口を閉じる。
そうか、そういうことになるんだよな。
八年前の俺はまだ何もわかっちゃいない中学生のガキだった。
三葉があの彗星で大変な目に遭っているとき、中学生だった俺はのん気に空を見上げながらあの光景に感動すらしていたんだから。
あの時の自分のことを責めても仕方ないことだとわかっているけど、糸守のことをニュースで見ても『大変だな』程度で無関心だったあの頃の自分をブッ飛ばしたくなる。
何度も何度もニュースにも新聞にも載っていたのに、まるで遠い国の出来事のように俺は思っていた。
どうして俺はあんなにも他人に無関心で無神経で――
瀧「三葉、ごめんな。あの時の俺は――」
三葉「ううん、瀧くんは悪くないよ。みんな、自分の人生を生きるのでいっぱいいっぱいなんやから。きっと私も東京に住んどったら、瀧くんと同じやったと思う」
それに、と三葉は続ける。
三葉「私、瀧くんの描いた糸守、好きやよ」
おぼろげな記憶と熱に浮かされながら描いた俺の絵を愛おしげに眺めながら、三葉は優しい声で、泣きたくなるほど優しい声でそう言った。
三葉「もしかしたら、瀧くん、糸守に来たことがあるのかもしれんね」
瀧「いや、だから俺が糸守に行った時にはもう――」
三葉「ううん、そうじゃなくて、そのもっとずっと前。瀧くんが生まれる前」
瀧「俺の生まれる前?」
三葉「そう、生まれる前。瀧くんの前世か、あるいはさらにその前の前世。もしかしたら、もっと前の前世かも」
大真面目に三葉は言った。
普段の俺なら馬鹿なこと言ってるな、と笑い飛ばしていただろう。
けれど、懐かしむように俺のスケッチブックをめくる三葉の顔を見ていたら、そうだったらいいかもな、なんて思っていた。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「お待たせ。あんまりいい茶葉じゃないけど」
三葉「ううん、ありがとう、瀧くん」
俺から受け取った紅茶にふーふーと息を掛けて冷ましながら、三葉は少しずつ飲んでいく。
それを見ながら、俺は紅茶になりたいな、なんて少しだけ思った。
瀧「そのスケッチブック……」
ベッドに座っている三葉の隣りに腰掛けながら、俺は彼女の手元にスケッチブックが置いてあるのに気付いた。
三葉「なんだか気になって。勝手に見てごめんね」
瀧「いや、別に謝らなくていいよ。高校の時になんとなく描いたやつだし」
三葉「ううん、そんなことない。すごく良く描けとるよ。私の記憶の中の糸守と同じ。そういえば、瀧くん、糸守に行ったことあるんやよね?>>1-10」
スケッチブックをゆっくりとめくりながら、三葉は遠い昔を懐かしむような優しい声で言った。
瀧「うん、五年前にね。一時期、糸守にすごく関心を持ってた時期があってさ。今でも何でなのか理由はわかんないけど」
三葉「五年前かー。八年前なら私もまだいたんやけどなー。って、それやと瀧くんは中学生か。高校生と中学生じゃ犯罪かな?」
冗談めかして三葉は言う。
瀧「そんなこと――」
ないとは言えなかった。
瀧「俺の前世の前のもっと前か」
三葉「それでね、その時も私と瀧くんはこうして出会っとるの。同い年で一緒の高校に通いながら、一緒に授業を受けて、一緒に帰って、文化祭や修学旅行も行って、秋祭りも一緒に行って――」
彼女の語る前前前世の夢に頷きながら、俺はその光景を想像する。
いつも三葉が隣りにいて、一緒に笑い合って、たまに喧嘩して、周りにはテッシーやサヤちん、四葉ちゃん、婆ちゃんもいる。
そのちょっと遠くでは三葉の親父さんとお袋さんが困ったような笑顔でこっちを見守っている。
俺だけ糸守ライフをエンジョイするのは悪いから司と高木も呼んでやろう。
あと、奥寺先輩も。
あの人はああ見えてアウトドア派だから、きっと糸守が気に入るはずだ。
それに何故だか理由はわからないけど、三葉ともすぐに仲良くなって――
三葉の語るそれはあまりに優しく儚い夢だった。
糸守という町が消えてしまったのは三葉自身が一番分かっているはずなんだから。
三葉「――そうだったら、どんなに良かっただろうって、そう思うんやよ」
いつの間にか三葉は泣いていた。
頬を伝う雫が、ぽとり、とスケッチブックの上に落ちる。
三葉「人間って欲張りやね。ずっとずっと瀧くんに会えれば、それだけでいいって思っとったに、どんどん欲しいもの生まれてくる」
瀧「三葉……」
三葉「長かったよ。瀧くんにはたった五年かもしれんけど、私は八年も待ったんやよ。待たせ過ぎやよ」
瀧「ごめんな……」
泣きじゃくる三葉を優しく、強く、ぎゅっと抱きしめる。
胸の中の喪失感はもう彼女の存在で埋まっていた。
けれど、ずっと疼いていた寂しさはこのくらいじゃ消え去ってはくれない。
それほどまでに彼女が愛おしかった。
こんなにも自分は人のことを好きになれるんだって、自分でもびっくりするくらい三葉が愛おしくて堪らない。
その声が、温かさが、柔らかさが、すべてが愛おしい。
瀧「ずっと三葉のそばにいるから」
涙で濡れる彼女の目をまっすぐに見ながら、俺は言った。
もう離さない。
絶対に離したりするものか。
瀧「君を、君ひとりだけを、ずっとずっと探してたんだ」
三葉「瀧くん……」
彼女は俺の名を呼び、目を閉じる。
俺は吸い込まれるようにその唇にキスをした。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこ>>2-12に埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこ>>2-12に埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこ>>2-12に埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこ>>2-12に埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
瀧「本当にいいのか?」
俺の問いかけに三葉はこくん、と頷く。
ベッドの上に腰掛ける三葉が身に着けているものは下着だけ。
かく言う俺もトランクス一丁なんだが。
震えそうになる手を必死に抑えながら、俺は三葉の柔肌へと手を伸ばす。
三葉「んんっ」
左の二の腕を撫でるように触ると、三葉はどこかくすぐったげな甘い声を上げた。
俺は手を滑らせるように肩を、首を、触れるだけで折れてしまいそうな百合の花を愛でるように撫でる。
柔らかい、温かい、すごく安心する。
五年間、いや、彼女と初めて出会った八年前から、ずっと、ずっと触れ合いたいと、それだけを夢見ていた。
瀧「三葉だ、三葉が……ちゃんといる」
三葉「うん、私はここにおるよ。瀧くんの手、優しくて、温かくて、安心する……泣きたくなるくらい……嬉しい」
そっと俺の手を取り、三葉は自分の頬に軽く押し当てた。
柔らかくしっとりとした頬を伝う涙が、俺の手をほんの少しだけ濡らす。
三葉「瀧くん……瀧くん……」
瀧「うん……うん……」
三葉「好き……大好き……言葉にできないくらい好き……」
瀧「うん……うん……」
頷きながら俺は三葉の頬を伝う涙を拭う。
涙とそれを流す人の心の温度は同じだというけれど、こんなにも人の涙が温かいなんて俺は知らなかった。
あまりに温かくて、涙が出そうなくらい。
そうして、どれくらい話しただろうか。
俺の東京での生活、五年前の飛騨への旅行のこと。
彼女の糸守での暮らしの苦労――地元の有力者の後継ぎとしての重圧とか、周りの目が嫌だったこと、でもそんなでもやっぱり糸守が好きだったこと。
そんな彼女の話を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになる。
きっと彼女は否定するだろうけど、俺の東京での平凡な暮らしと比べれば、その生活はずっと輝いて聞こえた。
瀧「三葉はずっとこっちにいるつもり?」
三葉「まだ、決めてない」
いつの間にか自然に俺たちの間に敬語はなくなっていた。
どちらかがやめようと言ったわけでもない。
これが俺たちにとっての当たり前だったから、そうしただけだ。
三葉「お父さんがどうにかしようって、県の偉い人とか国の復興庁とかも回ってるみたいやけど、なかなか上手くいかんみたい」
瀧「そっか……」
五年前に見たあの光景を思い出し、俺は小さく頷く。
隕石という圧倒的な力で引き裂かれ、そのほとんどを湖に飲み込まれた町。
ただでさえ過疎化が進み、住民の平均年齢が吊り上がっていた地域だ。
住民のほとんどが無事だったとはいえ、避難先で亡くなった老人も少なくはないだろう。
三葉「ずっと帰りたがってた人もおったし、せめて骨だけでも糸守に帰してあげたいんやけどね」
瀧「それすらも叶わないのが現状か」
ずっと東京で暮らしていた俺には土地に根付くという感覚がよく理解できない。
どっか適当な場所に墓を買って、自分が死んだらそこ>>2-12に埋めてもらう。
それでいいんじゃないか。
なんて思うんだが、故郷を失った三葉を前にして、何より失われた光景の美しさを知っている身として、そんなことは口が裂けても言えなかった。
三葉「でも、いつかは戻れたらいいな、って思っとるんやよ。それがいつになるのかはわからんけど」
瀧「本当に糸守が好きなんだな」
三葉「うん。ずっとあんな町なんて大嫌いや。出て行ってやるーって思っとったのに、いざ無くなるとこんな気持ちになるんやね」
少し恥ずかしそうに三葉は言う。
俺はそれが少し羨ましかった。
人はその土地に生まれることで結び付き、その土地で生きていくことで根付いていく。
それは昔からあったことで、当たり前だったもののはずなのに、三葉のように思える人間の方が珍しくなっている。
俺を含めて、ここが自分のいるべき場所だと言い切れる人間が、この世界にどれだけいるだろうか?
三葉は絶対に恥ずかしがるだろうけど、そんな彼女が俺には輝いて見える。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
三葉「瀧くんは優しいね。私の我儘にも付き合ってくれる。でも、我慢せんでもいいよ。瀧くんの好きにして、ね?」
頬を赤くしながら三葉は俺を見つめている。
言われるままに、俺は三葉の胸へと両手を伸ばした。
ブラジャーの上からおそるおそる包み込むように触る。
ふにゅり、と柔らかな感触。
下着の上からでもわかる確かなふくらみと柔らかさ。
涙が、出そうだ。
三葉がいる。
生きて俺の前にいてくれる。
この柔らかさが、温かさが、それを俺に教えてくれる。
ふにゅふにゅ、もにゅもにゅ、ただひたすらに揉む。
あの頃と比べると張りはなくなったかもしれないが、その代わりに柔らかく膨らんだ乳房は三葉の女としての成熟を意味していた。
瀧「三葉、三葉……三葉がいる。三葉のおっぱいをまた揉んでるんだ、俺」
ずっとずっと探していた。
あの頃とほんの少しだけ違うけど、大きく柔らかく成長した君のおっぱいを俺は揉んでいる。
ただひたすらに揉んでいる。
三葉「んっ、んんっ、た、瀧くん、揉み過ぎやよ」
甘い声を上げながら、三葉が少し呆れたように俺の顔を覗き込む。
三葉「そんなに私のおっぱい好きなん?」
瀧「わからない……わからないけど、すごく安心する。すごく懐かしくて、三葉のおっぱいに触れてるだけで、俺、泣いちまいそうだ」
三葉「もう、泣いとるよ」
その言葉で俺は気付かされる。
頬を伝うこの熱いものは自分自身の涙なんだって。
三葉「おっぱい揉みながら泣く人なんて普通はおらんよ」
瀧「それは多分、三葉のだから」
三葉「ふふっ、ありがと――って礼を言うのは多分おかしいんやろうけど、瀧くんに言われるとなんか嬉しいや」
普通はこんなこと言ったりしたら、気持ち悪がられるんだろうけど、三葉は嬉しそうに笑っている。
俺も大概おかしいけど、三葉も結構アホだよな。
まあ、そういうところに俺は惹かれたわけだけど。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
三葉「瀧くん、ブラの上からだけで満足なん?」
どこか期待するような挑発するような声音で、一心不乱に胸を揉んでいた俺の耳元に囁きかける三葉。
言われて俺はハッとした。
遠慮なんてする必要はないのに、どうして俺はブラの上からなんて中途半端な揉み方をしているんだ。
瀧「い、いいのか?」
三葉「瀧くんの好きにしていいんやよ」
俺がブラを外しやすいように三葉は両手を上げて言う。
ごくり、と唾を飲み込みながら、俺はブラのホックを外した。
特に練習したわけでもないのに、初めてのブラ外しは思いのほか、すんなりと上手くいった。
三葉「瀧くん、なんか上手くない?」
じろり、と三葉に見られ、俺は目を逸らす。
自分で俺に外すように促したくせに、この反応はひどいんじゃないか。
瀧「ま、まあ、この日のために色々と練習してきたからな」
三葉「他の女の子で?」
瀧「違う!」
俺は三葉の言葉にたまらず即答した。
瀧「俺がこんなことできるのは……こんなことするのは……三葉にだけだよ」
三葉「うん……私、ちょっと意地悪やったね。ごめん、瀧くんがなんか手馴れてて、他の女の子ともこんなことしてるのかなって、想像したら――」
瀧「しないよ。俺には三葉がいるから」
三葉「うん、わかってる。瀧くん」
甘えたような声で俺の名を呼ぶ三葉の唇に軽くキスをする。
俺はホックを外して自由になったブラジャーを上へとずらす。
そうして、ぶるんと現れたのは白く柔らかな双丘。
桜色の穢れを知らない少し小さめの乳輪の上にぷっくりと大きくなった乳首が何とも艶めかしい。
俺に胸を揉まれながら、三葉も感じていたのだろうか。
瀧「ちょっと狭いと思うけど、あっ、コーヒーと紅茶、どっちがいい――って、コーヒー切らしてたか。紅茶しかないけど、いいかな?」
三葉「うん>>1-100、瀧くんに任せる」
瀧「そこら辺にある本、勝手に読んでていいから」
やかんを火にかけながら、我ながら随分と大胆な真似をしちまったな、と思う。
家の中に女を連れ込むなんて。
親父が出張中で本当に良かった。
こんなところを見られたら、どんな皮肉を言われるやら。
あの親父、俺が全然彼女作らないから、人のことホモか何かと勘違いしてる節があったからな。
あんたの息子はホモじゃねえっての。
こんな風に女を家に連れ込むし、キスだって――
瀧「キス、しちまったんだよな……」
無意識のうちに唇を触る。
カサカサの俺の唇と違って、三葉の唇はしっとりと濡れていて、とても柔らかかった。
それに何だか甘い匂いがして、少し興奮したし、どこか懐かしい気がした。。
ああ、こんなことなら舌を入れておけば良かったな……なんて俺は変態かっ。
不埒な考えを頭を振って外に追い出しながら、俺はコップに紅茶を淹れた。
v(`o´)vンゴwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwンゴンゴなんJ民♪L(`o´)┘
( `o´)∩ンゴンゴンゴwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(岩嵜;) ンゴーンゴーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(ノ`o´)ノンーゴンゴンゴなんJ民♪( `o´ )。ンゴンゴッ!(;´岩嵜)ンゴンゴンゴンゴ~ッ ヽ( 岩嵜)ノな~んJ~♪
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ゆくんだなんJ(いかんのか!?) (`o´)勝負だなんJ(いかんでしょ) o(`o´)o勝利を掴め!(お、Jか?)
┗┏┗┏┗┏(`o´)┓┛┓┛┓┛キンタマータマキーンー ワイらがなーんーJー♪
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なお、好きなスポーツはサッ川カー児ンゴwwwwwwwwwwwwマシソンですwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwぐう蓄すぎぃ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
嫌い選手はメンチと本田とノウミサンやでwwwwwwwwwwww好きなのはメッシとチックやさかいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
アンチはVIPP騒ぐな!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwンゴオオオオオオオオwwwwwwwwwwwwwwwwカッタデー(33-4)wwwwwwwwwwwwwwww
こんなあへあへVIPまんやけどよろしくニキータwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ヨロシクニキー、小並感wwwwwwwwwwwwンゴンゴニキー、ぐう震え声wwwwwwwwwwww
ンゴンゴwwwwwwwwゴンゴンwwwwwwww(ぐう畜ぐうかわ)アンド(ぐう聖)
日ハム内川「(川ンゴ児ゥ)いかんの茶~!?」wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
臭い!うんこやんけ! (その顔は優しかった)
う~んこのホッモなカッス(お、察し)(あ、察し)あっ…(迫真)
なおわいはイライラの模様・・・(ニッコリニキ
ポロチーン(大合唱) ←チーンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
大松「お!(お客様ニキンゴ)?よろしくニキファル川GG児WWWW?????W」
お茶茶茶茶茶ッ茶wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(オカン)
あのさぁぁ!あくホリデイ(憤怒)←(適当ニキ)
↑ああ~^^これは教育開始だろなあ^^(指圧)
ちょwwwWADAに草生える可能性がBIRESON!?www(迫真ニキ
三葉「あんまり大きくなくてごめんね」
瀧「……そんなことない。すごく綺麗だ」
熱病に侵されたように頭に血が昇っていく。
俺は衝動に突き動かされるように三葉の胸の上に手を置いた。
瀧「柔らかい……柔らかいよ、三葉。少し力を入れただけで、指が沈み込みそうだ」
三葉「は、恥ずかしんやから、声に出さんでよ」
瀧「あの頃より、ずっとずっと柔らかい。三葉、おっぱい、三葉のおっぱいだ。これが、本当の三葉のおっぱい」
あの頃の俺が揉んでいた三葉のおっぱいは今よりも硬くて、張っていた。
高校生だった俺はおっぱいってもっと柔らかい物だと思ってたから、その落差にほんの少し落胆したりもしていた。
それでも毎回、揉んではいたんだけど。
だが、今ならようやく理解できる。
あの頃の三葉のおっぱいが少し硬かったのは、こうして大きく成長し柔らかくなるためだったんだ。
高校生の頃の三葉のおっぱいが青い果実だとすれば、目の前にある三葉のおっぱいは熟れて食べ頃になった最高級の果実。
もちろん、異論がある奴もいるだろうけど、そんなもの俺は認めない。
誰が何と言おうと現在進行形の『三葉のおっぱい』が最高なんだから。
瀧「三葉、三葉、おっぱい、おっぱい」
俺は涙を流しながら、三葉のおっぱいを揉み続ける。
手の中でふにゅふにゅと形を変えながら、スライムのように三葉のおっぱいは俺の手に吸い付いてくる。
柔らかい。
温かい。
三葉の匂いがする。
三葉「んっ、あっ、た、瀧くん、揉み過ぎっ、揉み過ぎやよっ」
抗議の声もどこか甘ったるい艶の混ざったものだから、説得力がない。
なら、と俺は双丘の頂点、桜色に尖った乳首へと口を近付けた。
瀧「はむっ、ちゅっ」
三葉「あんっ、やっ、た、瀧くんっ、そんなっ、吸うなんでダメやよっ、やぁっ、ほっ、ほんとにダメっ、って、言っとるのにぃっ」
胸を揉みしだきながら俺は乳首を舐め、そして、吸う。
右の乳首を赤ん坊のように吸って、舐めて、吸って、舐めて、
三葉「た、瀧くん、ダメやってばっ、もうっ、言うこと聞かんとっ、ひゃうっ」
瀧「好きにしていいって言っただろ?」
三葉「言ったっ、言ったけどっ、ここまでしていいとはっ、んっ、あんっ」
瀧「三葉のおっぱい、俺の唾液でてらてら光ってるよ。それにさっきより乳首、硬くなってきた」
次は左の乳首を口の中に含む。
なんとなくコツが掴めてきたから、口の中で舌を動かして乳首を責める。
ちろちろと先端を責めると、三葉の体がびくん、と大きく跳ねた。
瀧「乳首、責められるの好きなんだな、三葉」
三葉「知らないっ、そんなの知らんもんっ。瀧くんのばかっ、へんたいっ、ひぁっ」
瀧「そんな甘い声を上げて言われても、説得力がないぜ」
三葉「うぅ……瀧くんのばかぁ」
真っ赤になって三葉は両手で顔を隠してしまう。
少しいじめすぎたか。
でも、俺にはこの反応が可愛くて仕方がない。
俺よりも年上のはずなのに、まるで高校生のように初々しい反応。
まるで互いに学生時代に戻ったかのような感覚だった。
本当はずっとこうしたかった。
三葉と繋がりたくて堪らなかった。
俺は五年、三葉は八年。
長い長い時間、俺たちはずっと互いを求め続けてきて、ようやく一つになれる。
瀧「ごめん、三葉、俺もう我慢できそうにない」
トランクスを下ろし、怒張した逸物を露わにする。
三葉「それ……私で大きくなったん?」
瀧「ああ、三葉が可愛すぎて、こんなになっちまった」
三葉は自分の顔を覆う両手の隙間から俺の逸物を見ている。
三葉「うそ、あの頃より大きくなっとる」
瀧「そりゃなるさ、五年もお預けを食らってたんだからな。脱がすぞ」
三葉の秘部を覆うショーツに手を掛ける。
ブラジャーとおそろいのピンク色のそれに手を掛けると、三葉は恥ずかしそうに身動ぎしたが、俺は構わず下へとずらしていく。
三葉「あんまりまじまじと見ちゃ嫌やよ」
恥ずかしさのあまり、三葉は顔を逸らしたまま俺の方を見ようともしない。
瀧「俺のをあんなに見といて、何言ってんだよ。それに三葉のココ、綺麗だよ」
少し薄めの恥毛に隠れるように三葉の女の部分がてらてらと光りながら存在を主張していた。
瀧「やっぱり胸を弄られながら感じてたんだな?」
三葉「わ、私、そんなエッチな子やないもんっ。瀧くんがえっちに触るから……大体、瀧くんは五年かも知らんけど、私は八年もずっと……もうっ、瀧くんのばかばかっ」
恥ずかしいのか、怒ってるのか、ぽかぽかと三葉は俺の胸を叩く。
全然痛くない、痛くないけど、心のどこかにある今はもう埋まっている部分が疼いた。
瀧「待たせてごめんな。そうだよな、三葉もずっと待ってたんだよな」
三葉「うん、だから、すっごく優しくして」
俺の耳元で蕩けるような声で三葉は言った。
瀧「わかった。すっごく優しくするよ」
正直、童貞の俺には難題すぎる難題なんだが、びくんびくんと自己主張する逸物と自分の理性に賭けるしかないか。
瀧「じゃあ、挿れるからな」
三葉「うん……」
濡れぼそった秘裂に逸物を宛がう。
瞬間、とろとろと流れる愛液に先端が触れただけで、射精しちまいそうな衝動に駆られた。
三葉「瀧くん、もうちょっと下……」
そう言った三葉の柔らかな手が俺の逸物に触れた。
三葉「瀧くんの……熱い……これが今から私の中に入るんやね?」
瀧「できるだけ優しくするからな」
三葉「うん、さっきはあんなこと言ったけど、瀧くんの好きにしていいよ。私なら大丈夫やから」
俺は言われるままに三葉の膣内へと逸物を挿入した。
瀧「くっ」
先端部分が少し入っただけだというのに、包み込むような熱さと締め付けに果てそうになる。
俺の侵入を拒むように三葉の膣内は固い。
それをこじ開けるように俺は逸物を少しずつ突き入れていく。
三葉「んっ、あっ、うぅっ」
苦しげな三葉の声が部屋の中に響く。
その目尻にうっすらと光っているのは涙。
俺の逸物が深く沈みこむごとに三葉の苦悶の表情は歪みを増す。
瀧「三葉、今日はもうやめた方が――」
三葉「だめっ、私は大丈夫やからっ」
瀧「でも……」
三葉「瀧くんに私を全部あげるから、私にも瀧くんを全部ちょうだい」
苦悶の表情と震える声で三葉は言った。
ああ、と俺は思う。
この子は本当に優しくて、強い。
瀧「わかった。最後までやるよ。でも痛かったら俺の肩を貸すから、思いっきり噛んでくれ」
三葉「そ、そんなことできんよっ」
瀧「いいんだ。三葉の痛みの十分の一でも百分の一でも俺は感じたい」
三葉「瀧くん……瀧くん……」
俺の名前を呼びながら三葉は抱き付いてくる。
肩に、彼女の小さな歯が当たる。
瀧「じゃあ、続きだ」
三葉「うん……あっ、あぁっ、瀧くんっ、瀧くんっ」
俺の名前を呼びながら、三葉は肩に当てた歯を立てる。
瀧「くっ、三葉、三葉……」
容赦なく三葉は立てた歯に力を込める。
肩の痛みで先ほどまで感じていた逸物の快感はそれどころじゃなくなってしまう。
まったく、本当に容赦なく噛み付いてくれやがる。
でも、俺にはそれが心地よかった。
俺一人だけが気持ち良くなって、三葉だけが苦しむなんてアンフェアだ。
だったら、二人でこうして痛みを共有していた方がずっといい。
瀧「三葉、三葉……」
三葉「瀧くん、瀧くん……」
互いの名を呼びながら、逸物をさらに進める。
ぷつん
何かが破れるような感触とともに、俺は三葉の膣奥へと入っていった。
と同時、
三葉「――っ!!!」
声にならない声を上げて、三葉は思いっきり肩に噛み付いた。
瀧「くっ、あっ、三葉の中に全部入ったよ」
肩の痛みを堪えながら、三葉の耳元で囁くように俺は言う。
よく、頑張ったな。
三葉「本当や……私の中に瀧くんがおる。瀧くんがおるよぉ……」
俺の逸物の納まった下腹部を撫でながら、三葉は愛おしげに呟く。
瀧「うん、俺、三葉の中にいるんだよな」
三葉「やっと、ようやく、本当に一つになれたんやね」
瀧「もう少しだけ、あと少しだけ、このままでいいか?」
三葉「うん、もう少しだけ、あと少しだけ、私もこのままがいい」
達成感とも満足感とも、あるいは充足感とも違うもので満たされていく感覚に身を任せながら、俺は三葉を感じる。
まだ膣内は硬いままだが、俺を拒むような締め付けはなくなっていた。
むしろ、優しく包み込むような感覚が逸物を覆っていた。
これが、女の、三葉の中。
かつて味わった彼女の中にいる感覚とはまるで違う。
オスとして繋がる喜び。
深く、深く繋がったまま俺は三葉を抱きしめる。
三葉「瀧くん、瀧くん、あったかい。最初は痛いだけやったのに、今はすごく安心する。こんな感覚、瀧くんじゃなきゃ、きっと味わえんかった」
瀧「三葉、三葉、好きだ。愛してる、三葉じゃなきゃ、俺、ダメなんだ。三葉以外じゃ、もうこんな気持ちになれない」
三葉「うん……わかってる。私もやよ」
まだ涙に濡れた目ではにかむ彼女に俺はキスをする。
柔らかな唇を舌で掻き分け、彼女の口内へと侵入させていく。
それを迎え入れるように彼女の舌が俺の舌に絡む。
瀧「んむっ、ちゅむっ、れるっ、三葉……」
三葉「あむっ、れろっ、瀧くん、動いて……」
言われるまでもなく俺の腰は抽挿を始めていた。
最初はゆっくりと、勢い余って三葉の中から逸物が抜け出ないように慎重に。
膣奥に逸物を突き入れるように動く。
三葉「あっ、あぁっ、瀧くんのっ、熱いのっ、すごくっ、私の中、気持ち良い?」
瀧「気持ち良いよっ、三葉の中っ、最高だよっ」
互いに抱き締めながら、腰を動かす。
ぱちゅんっぱちゅんっと結合部がぶつかる音が部屋の中に響く。
ギシギシとベッドが軋みを上げる。
ああ、本当にセックスの時、ベッドってこんな音を上げるんだな、なんて思いながら、三葉の唇にもう一度キスをする。
何度も何度もこれまでできなかった分を取り戻すようにキスをしながら、逸物を動かす。
三葉「んちゅっ、んっ、あむっ、瀧くんっ、好きっ、好きぃっ、ずっとずっと好きだった。ずっと瀧くんとこうしたかったっ」
瀧「俺も好きだった、たとえ君の名前を忘れたって、君のことを思い出せなくたって、ずっとずっと好きだった」
愛おしい。
俺はこんなにもこの人が愛おしい。
繋がりながら、性欲を、オスとしての性を彼女にぶつける。
彼女の体に、彼女の心に、俺を刻みつけていく。
言葉だけじゃこの思いはきっと伝えきれない。
行為だけじゃこの想いはきっと届かない。
瀧「好きだ。好きなんだ。俺はこんなにも君のことが好きだったんだ」
三葉「うん、わかってる。私たちは繋がってる。これまでも、これからも、ずっと」
瀧「くっ、もう出そうだっ」
突然襲い掛かる射精感に俺は逸物を膣内から引き抜こうとしたのだが、
三葉「だめっ、瀧くんのちょうだい……」
腰に絡みついてきた三葉の足に阻まれ、それは果たせなかった。
瀧「三葉……?」
三葉「今日は、今日は大丈夫な日やから、瀧くんの赤ちゃんの素、私の中にちょうだい」
瀧「本当にいいのか?」
三葉「瀧くんは嫌なん?」
嫌なわけがないだろっ。
そんな潤んだ目で言われたら――
瀧「三葉が、三葉が可愛いから悪いんだからなっ」
三葉「きゃっ、瀧くんっ、やぁっ、あんっ、はっ、激しいよっ、んっ、んぁっ」
もう駄目だった。
こんなことを言われて、自分を抑えられるわけがなかった。
狂った獣のように腰を振る。
三葉が初めてなことなんて忘れたように、その体を貪る。
優しくなんかできない。
乱暴に三葉の胸を揉みしだきながら、オスの劣情に駆られるように三葉の口内に舌を侵入させ、メチャクチャに犯す。
三葉「んっ、んちゅっ、た、瀧くんっ、瀧くぅん……」
瀧「三葉っ、三葉っ、出すぞっ、中に出すからなっ」
三葉「出してっ、瀧くんの赤ちゃん、私の中にちょうだいっ」
瀧「くっ、あっ、三葉っ」
絶頂とともに俺は三葉の膣奥に逸物を打ち付け、精を放った。
びゅくっびゅくびゅくっと白濁が五年の歳月を埋めるように尿道を迸り、三葉の膣内を侵していく。
三葉「んっ、あっ、んん~~~~っ、瀧くんの、私の中に出てる……私の中に出とるよぉ……」
満足げな、とびきりに甘い声を上げながら、三葉は俺に抱き付く。
その間も俺は射精を続けていた。
一体、これほどの精液がどうやって自分の中に収まっていたんだろうってくらい、射精の勢いは止まらなかった。
どれくらいそうしていただろうか、ようやく治まった射精感に安堵しながら、俺は恍惚とした三葉の頭を撫でた。
汗で髪が額に張り付いて、それがまた艶めかしい。
三葉「もう……瀧くん、出し過ぎやよ。今日、危ない日やのに、こんなに出されたら絶対に赤ちゃん出来ちゃう」
瀧「え? でも、さっき大丈夫な日って」
三葉「そうでも言わんと瀧くん、絶対に気後れするやろ?」
瀧「いや、三葉との赤ちゃんなら、望むところだけど」
我ながら大胆なことを言ってるな、と思うけど、これが俺の包み隠すことのない本音なんだから仕方ない。
恥ずかしいことを言ってるって自覚はあるけどさ。
三葉「それ、本当なん?」
瀧「こんな嘘、吐いたりしないよ」
俺は気恥ずかしさで三葉から目を逸らしながら言った。
俺たちは同じ気持ちだと思ってたけど、やっぱり言葉にしないと伝わらないこともあるらしい。
それがなんだか新鮮で俺は嫌じゃなかった。
瀧「三葉、結婚しよう」
三葉「……え? いま何て言うたん?」
呆けたように三葉は口を開け、訊ねてくる。
瀧「三葉、俺と結婚してくれ」
三葉「え? えぇ? 待って、ちょっと待って、そ、それってプロポーズ……?」
じゃなければ、何だっていうんだ?
瀧「三葉以外に考えられない。三葉だけしか考えられない。今日の朝に会ったばかりでこんなこと言うのは非常識だってわかってるけど、俺と結婚してくれ」
三葉の体を抱きしめながら、俺は再度、プロポーズの言葉を口にした。
ああ、本当に俺はどうしちまったんだ。
会ったばかりの人間と体を重ねた上に、結婚のプロポーズまでするなんて。
心が俺の中にある常識を、良識を飛び越えて、暴走しちまってるみたいだ。
暴走して、迷走して、わけがわからないまま心が、体が、彼女を求めている。
でも、嫌な気はしない。
それは相手が三葉だからだろうか。
きっと彼女と出会った瞬間から、あるいはずっと前から、前前前世から俺は自分がこう言うことを知っていた。
瀧「三葉以外じゃダメなんだよ。俺、三葉じゃなきゃダメなんだ」
抱き締める。
好きだ。
好きなんだ。
俺はこんなにも君のことが好きなんだ。
愛してる。
愛してるんだ。
俺はこんなにも君のことが愛おしいんだ。
だから、
瀧「俺と結婚してくれ」
俺は何度目かのプロポーズの言葉を口にした。
恥も外聞もなく、縋るような気持ちで、彼女を抱きしめながら。
三葉「瀧くんはずるいやよ……」
少し拗ねたような三葉の声が響く。
三葉「自分の言いたいことばっかり言って、私の言いたいこと全然言わせてくれんし」
瀧「すまん……」
三葉「私も瀧くんやないとダメなんやよ。瀧くん以外は考えられんし、瀧くんだけしか考えられん。いつからか、わからんけど、ずっと瀧くんだけを探してたんやから」
俺の顔をじっと見て、三葉はこう続けた。
三葉「私をこんな体にした責任取ってくれんと」
瀧「それって――」
三葉「プロポーズ、喜んでお受けします」
その言葉を聞いた瞬間、俺は三葉を強く強く抱きしめていた。
離さないように、もう二度と離さないと誓うように抱き締め、
そして涙で濡れる彼女の頬を拭いながら、優しくキスをした。
SS速報に久しぶりに投下
途中よくわからんことになってるけど、とりあえず書いたもんは投下しときましたんで
気になる人はID抽出して読んでください
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