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市原仁奈(9)

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早坂美玲(14)

美玲「えっと、こっちが2x？ うーん……」ｶﾘｶﾘ

仁奈「何してやがるんですか？」ﾋｮｺｯ

美玲「学校の宿題だよ。あと三つやんなきゃいけないんだ」

仁奈「かけるがいっぱい……かけ算でごぜーますね！」

美玲「一応かけ算みたいなモンだけど……あとこれかけるじゃないぞ！」

仁奈「仁奈は九九とくいですよー！ 二の段が一番でごぜーます！」

美玲「九九かー、『にごがじゅう』とか言うんだっけ」

仁奈「『にご じゅう』です！ おねーさんは九九が苦手……」

美玲「あ、違っ……中学だと言わないから間違えただけだしッ！」

仁奈「になはじゅうし、でごぜーますか？」

美玲「これと、これも付けよっかな」ｶﾁｬｶﾁｬ

仁奈「むー……」ｼﾞｰ

美玲「な、何だよじっと見て。なんか変か？」

仁奈「おねーさんっていつもバッジ付けてますね」

美玲「確かにそうだけど……いいだろ、好きなんだし！」

仁奈「それって何の動物でごぜーますか？」

美玲「これ？ これはな……」

仁奈「…………」

美玲「…………」

仁奈「何でごぜーますか？」

美玲「なんなんだろ……」

美玲「むしむしするー……フード取っちゃおっかな？」

仁奈「どうしやがりましたおねーさん？ 元気ねーですね」ﾄｺﾄｺ

美玲「まあな……ていうかそっちは着ぐるみ着てるのに元気だな！ むし暑くないの？」

仁奈「それについては心配いらねーです！」

仁奈「ここにメッシュを使ってるからいつでも快適なのでごぜーます！」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

美玲「へー、意外とすごいんだな」

仁奈「全部作り変えるのはちょっと大変でごぜーました」

美玲「結構すごいな仁奈！」

仁奈「おねーさんの真似をしたですよ！」

美玲「あっ！ いつの間にウチのスペアを！」

仁奈「おねーさんのワイルドな感じを真似すれば、仁奈もワイルドになれるはずでごぜーます！」ﾄｺﾄｺ

仁奈「これでもっとオオカミの気持ちになる……あうっ」ｺﾞﾂﾝ

美玲「仁奈！ 大丈夫か！？」

仁奈「オ、オオカミの気持ちに〜……」ﾌﾗﾌﾗ

美玲「なんで両目に眼帯つけたんだよ……」

仁奈「違う……」ﾍﾟﾁﾍﾟﾁ

仁奈「これも……」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

仁奈「うーん……」ﾎﾟﾌﾎﾟﾌ

仁奈「はっ！」ﾓﾌｯ



美玲「クッション持って何してんの？」

仁奈「これが事務所一のもふもふです！！」ﾓｯﾌﾓﾌ

仁奈「おねーさんのバッグからぬいぐるみを見つけたですよ！」

美玲「なんでバッグにそんなモンが……てか勝手にウチのバッグ漁るなッ！」

仁奈「おねーさんもいいもふもふを持ってやがりますね」ﾓﾌﾓﾌ

美玲「テキトーに集めてるだけだからッ！家にはもっとあるけど……」

仁奈「なんと！ それは行ってみてーですね！」

美玲「え？ いや、えっと……」

仁奈「…………」ｷﾗｷﾗ

美玲「今度、家来る？」

仁奈「 ！ 」ｺｸｺｸ

仁奈「着ぐるみを着てるとなんだか『癒し』って感じがしてきやがりますね！」

美玲「いや、着たことないから分かんないし」

仁奈「だから一回着てみやがってくだせー！」

仁奈「着ぐるみに包まれてる気がして……だんだん……気持ちよく……」ｳﾄｳﾄ

美玲「それって実際包まれてるよな……仁奈？」

仁奈「すー……」

美玲「ったく、こんなとこで寝るなよ……」

美玲「…………」



美玲「どっかにタオルケットあるかな……」ﾀﾀﾀ

仁奈「もふもふで……いっぱいですぅ……」

仁奈「ん……寝ちゃったですか……」ﾑｸｯ

美玲「あ、起きた」

仁奈「もう夕方でごぜーますね。帰らねーといけねーです！」

美玲「まだ寝ぼけてないか？ 帰るならちゃんと起きてからじゃないと……」

仁奈「そうだ！ おねーさん！」

美玲「な、何だよ」

仁奈「もふもふの約束、忘れてねーですか？」

美玲「ああ、あれ？ まあ……一応」

仁奈「ならよかったです！」

仁奈「それじゃあ仁奈は帰ります！」ｶﾞﾁｬ

美玲「あ、仁奈！」

仁奈「？ なんですおねーさん？」

美玲「その、もし良かったら……ぬいぐるみ持ってきてやるよ」

仁奈「本当でごぜーますか！」

美玲「だから……いや、だからって訳じゃないんだけど……」

美玲「……また明日っ！ バイバイ仁奈！」

仁奈「はい！ また明日です！」ﾌﾘﾌﾘ


ﾀﾀﾀｯ　ﾊﾟﾀﾝ


美玲「…………」

美玲「どのぬいぐるみ持ってこよっかな……」



おしまい