モバマスとグラブルのコラボ、シンデレラファンタジーを元にした妄想R-18SSです。
アイドルが酷い目に遭っています。
グロも有ります。
胸糞展開&バッドエンドです。
以上の理由で閲覧注意でよろしくお願いします。
そこは、一切の救いの無い絶望が占める空間だった。
外からのみ閉められる鍵だけが付いた扉のみが存在する、窓一つない部屋に卯月は閉じ込められていた。
部屋の中には粗末な寝台が一つ、ただそれだけ。
卯月は此処で通されてきた客相手に身体を売る事を店の主人に強いられている。
そう、此処は売春宿。
そして卯月は此処で売春婦として強制的に働かされていた――
また一人、客が部屋に通されてきた。
寝台に素裸で腰掛けていた卯月は、暗い瞳を更に濁らせながら、緩慢に客と向き合った。
客は2mを超える大男である。しかし、特筆すべきはそこでは無い。
男の頭にはなんと、野牛の様な角が生えていたのだ。
卯月は店の主人に厳しく教えられた通り、床に這いつくばり、土下座の様な礼をして客を出迎えた。
角の大男はそんな卯月を下卑た視線を向けながら見下ろし、
獣の革らしき物で作られたベルトを解き、既にギンギンに膨れ上がった己の剛直を曝け出した。
そして卯月の髪を乱暴に掴み自分の股間まで引き摺り上げると、その口腔にいきなりペニスを突き入れてきた。
角の大男のペニスはその体格に相応しく、比喩ではなく優に卯月の腕ほどはあるだろう。
その巨大な暴力を喉の奥まで突き入れられ、両手で頭を抱え込まれて前後に揺さぶられながら、
卯月は奉仕を強制された。
既に何人もの客を取って来た卯月だが、これ程酷い扱いをされる事は極稀だ。
何しろ喉の奥までペニスを突きこまれ、息が全く出来ない。
卯月は、強烈な嫌悪感や込み上げる嘔吐感を堪えながら、一刻も早くこの凌辱が終わるように、
突き込まれている剛直に舌を絡め喉を鳴らし、その先端に刺激を加え続けた。
それが功を奏したのか、ほどなく大男は獣の様な雄叫びを挙げると、宣言も無しに卯月の喉奥に
驚くほど大量の精液を一切の遠慮無しに放出した。
余りの大量さ、喉に絡みつく粘度、そして生臭さに、我慢できずに卯月は激しく咳き込み、
床にソレを吐き出してしまう。
それを見て角の大男は不服そうに鼻を鳴らすと、掴んだ卯月の頭を無造作に突き離すと、
その場に倒れこんだ卯月に、床に落ちたソレを舐め取る様に命じた。
卯月は一瞬だけ絶望的な表情を浮かべたが、すぐに諦めた様な虚ろな瞳の表情を浮かべ、
言われるままに床に這いつくばり、ソレを舌を伸ばし舐め取り始める。
部屋の床も決して綺麗な訳ではない。土足で部屋に上がり込む客達のせいで泥や砂に塗れている。
その床に塗された砂交じりの精液を舌で舐め取っていく全裸の卯月に嗜虐心を唆られたのか、
角の大男は既に回復した己の怒張を二度三度扱き上げながらニヤリと嗤うと、卯月の後ろに回り込み、
宣言無しに卯月のヴァギナにソレを突き込んだ。
急に貫かれた痛みと刺激に背を逸らし天を見上げ、絶叫を挙げる卯月。
角の大男は一切お構いなしに自分勝手に腰を振り、卯月の膣壁の感触を涎を垂らしながらその身体を貪っている。
卯月はそのまま床に顔を伏せ、目の端に涙を浮かべながら、
どうしてこんな事になってしまったのか、
何度も繰り返してきたあの日の回想と後悔を、虚ろな心で始めていた――
事の起こりは、ファンタジー映画の撮影の仕事が346プロに舞い込んで来た事が始まりだった。
事務所のアイドル総出で受けたこの仕事に、もちろん卯月も参加する事になり、撮影当日を迎えた。
仲間のアイドル達と控室でそれぞれ煌びやかな衣装に身を包み、お互いにお披露目しながら、
撮影に向けての意気込みを和気藹々と語りあっていた。
そんな中、突如として控室に光が迸ったかと思うと、部屋の真ん中に一灯の光球が浮かんでいた。
何事かと近づいた卯月がソレに触れた瞬間、卯月の体は光に包まれ、視界を奪われた。
そしてしばらくして光が収まり、卯月が目を瞬かせて辺りを見渡すと、
そこは控室ではなく、辺り一面に広がる緑の草原だったのだ。
呆然とその場に立ち尽くす卯月。
最初はCGやドッキリかと思い、軽く考えて辺りをうろついていた卯月だが、
遠目に蠢くモンスターや頭上に輝く見覚えのない天体、
時々すれ違う人々の物々しい格好や手に携える物騒な装備、
そして明らかに異種族めいた彼等の様相見て、即座にその考えを捨てた。
これ程のドッキリをしようとするなら、何百億円あっても到底資金は足りないだろう。
と、言う事はアレは全部本物である、と言う事だ。。
つまり自分は、言わば異世界と言う所に来てしまったようだ、と、流石の卯月も認識を改めざるを得なかったのだ。
激しく混乱する卯月、しかし、日は徐々に傾いてきている。
ずっとそうして其処に佇んでいる訳にもいかなかった。
まさか誰も頼るものがないこの異世界の夜を、野宿で過ごす訳にはいかない。
今のところ遠目にしか見ていないが、この世界には化け物もいるのだ。
危険すぎて到底不可能だろう。
思えば先ほどすれ違った人達に、人里まで連れて行ってもらえば良かった…。
卯月は自分の引っ込み思案さにため息を付きながら、先ほどの一団が歩いて行った方向に急いで足を向けた。
幸い、卯月は日が暮れる前にかなり大きな町にたどり着くことができた。
町は程々に栄えていて、情報を集めるには充分そうだ。
どんな理屈かは知らないが、店に飾られている看板は読めないが、
言葉は街中から聞こえてくる喧噪が理解できる事から話が通じる事が判断出来た。
少しホッとした卯月は胸を撫で下ろすと、プレイした事のあるRPGゲームの中のうろ覚えの知識で、
酒場のような場所へ行き情報を集める事にした。
ほかのアイドル達も同じようにこの世界に飛ばされてこの辺りに辿り着いてないか、と思ったのだ。
思えばそれが全ての間違いのはじまりだった。
店の主人に訳を話していると、横から声を掛けてきた親切そうな獣の耳を生やした青年が、
卯月と同じ様な格好をした少女達を街はずれで見かけた、と声を掛けてきたのだ。
卯月は、大喜びで案内してくれると言う獣耳の青年の後に続き、街はずれまで歩いて行った。
その時、店の主人が目を伏せてついた溜息に、卯月は気づくべきだったのである。
そこで待ち構えていたのはアイドルの仲間たちではなく、薄汚い革鎧に身を包んだ凶悪な顔相の男達の集団だったのだ。
卯月は、男達の集団に囲まれると抵抗する間も無く後ろ手に手を捻り上げられ、口元を手で押さえられた。
そして地面に押し倒され、無理やり猿轡を噛まされると、そのまま麻袋を頭から足首まで被らされてしまった。
恐怖で全力で抵抗して、足をバタつかせて拒絶の意思を示すが、あっという間に荒縄でしばられて、
誰かの肩に担がれ、そのまま街はずれから拉致された。
彼らは山賊だったのだ。
乱暴に彼らのアジトである山奥の洞窟まで運び込まれた卯月は、
洞窟の一番奥に在る薄汚く饐えた臭いを放つ粗末な寝台に身を投げ出され、
獲物を前に舌嘗めずりする獣の様な薄笑いを浮かべた男達に取り囲まれた。
慌てて逃げようと身体を起こしかけたものの、その瞬間、目の前にいたスキンヘッドの山賊が
所々得体の知れない錆の浮いたショートソードを卯月の頭の横の枕もとに乱暴に突き立ててきた。
卯月は、その鈍い輝きを目にすると恐怖で足が竦み、もう一ミリも身体を動かす事が出来なかった。
そして、口元を黒い布で隠した一人の山賊に、映画の衣装を首元から強引に引き破かれた卯月は、
今まで誰の眼にも晒した事の無い白い肌と薄桃色の乳頭を野獣達の眼前に曝け出す事になった。
激しい羞恥に顔を真っ赤に赤らめ、下卑た歓声を張り上げる盗賊達の目から手で胸を隠し、身体を抱え込む卯月。
しかしその様子に却って情欲をそそられた様子の獣たちは、身体を起こしかけた卯月を乱暴に突き倒すと、
卯月の股を力づくで開き、下着を強引に引き摺り降ろしてきた。
そして、己のはち切れんばかりに膨れ上がったどす黒い陰茎をいそいそと取り出すと、汚らしい黄色い歯を見せて厭らしい笑みを浮かべながら
片手の親指で押し広げた卯月のサーモンピンクの膣穴に宛がった。
見も知らぬ野獣の様な男達に、下着を剥ぎ取られ、激しく屹立した股間を見せ付けられた卯月は
その時点で思考が全く纏まらなくなっていた。
混乱の中、言葉にならぬ切れ切れの、許しを乞う叫び声を挙げる。
しかしその言葉は無常にも、その瞬間に卯月の体内に突き込まれた処女膜を突き破る激しい剛直の一突きに拠る、
自らの絶叫で掻き消されたのだった――
薄暗い洞窟の中、革袋の酒を呷りながら情欲に塗れた視線の山賊達が見つめる中で、卯月の処女喪失は行われた。
純潔の証である破瓜の血に一切構うことなく自分勝手に腰を振り己の快楽を引き出す事のみに集中する
山賊の行為は、卯月にとってはただの苦痛でしかない。
卯月は泣き喚き、必死に止めてくれるように頼みながら、何とか逃れようと身体を捩じる。
だが、その腕は頭上で別の山賊に抑えつけられ、腰はしっかりと卯月の処女を奪った男に抑えつけられていた。
涙を流しながら泣き叫ぶ卯月の表情を見て、猶更嬉しそうに腰の動きを速めた男に激痛と絶望を感じながら、
卯月はひたすらこの行為が早く終わってくれる事をだけを祈り続けた。
そして、その願いは案外早く叶う事になったが――
卯月はそれがさらに自分を絶望させることに、まだ気がついては居なかった。
好き勝手に腰を振っていた男が早くも限界を迎えたようだ。
男は卯月の子宮口を亀頭の鈴口で探り当てると、
そこに押し付ける様に擦り付けながら間の抜けた上擦った声を挙げると、子宮内に撃ち付ける様に射精した。
一瞬、何が起こったのか理解できなかった卯月は、動きが止まった事に安堵を覚え、
そして次の瞬間、自分の体の中に熱を帯びた物が流し込まれた感触に気づき、その背筋を凍らせた。
膣内に射精された事に気が付いたのだ。
卯月も当然その意味に気づかぬほど子供ではない。
見も知らぬ男に犯されたショックと同時に、赤ちゃんが出来ちゃう、と考えた卯月は、
その絶望と衝撃にイヤイヤと首を振りながらワナワナと震え泣きしはじめた。
しかし、その卯月の様子に構いもせずに次の野獣が待ちきれないかの様に、即座に卯月の上に覆いかぶさる。
そして、次の山賊のペニスが精液に溢れる膣穴に差し込まれた時、
卯月は絶望に涙を流しながら暗闇の洞窟の天井を虚ろな瞳で見つめた。
其処に思い浮かんだ自らの憧れの男性、プロデューサーの顔を見つめながら、
『ゴメンナサイ』
と、プロデューサーに対して、ひたすら心の中で謝り続けながら、山賊たちに犯され続けたのだった――
翌日からも卯月は、寝る時以外はほぼ休む事無く洞窟の奥で山賊達に代わる代わる弄ばれ続けた。
昼夜の分からない洞窟の奥では、どれ程時間が経ったのか判断できない。
与えられた食事の回数からすると五日ほどだろうか。
その食事すらも不定期なので、定かではないのだが。
相手をした山賊の数も、両手の指の数を越えた辺りで卯月は数えるのを止めた。
その繰り返す絶望の日々に、永遠にこんな日が続くのかと絶望しかけた卯月だったが、
変化は彼女が思ったよりも早く起きた。
麓からやって来た奴隷の買い付けに来た奴隷商人に、卯月は僅か銀貨20枚で売り飛ばされたのだ。
奴隷商人に買われた卯月は裸のまま首輪で鎖に繋がれ、そのまま檻の付いた馬車に乗せられた。
檻の中には他にも、裸で鎖に繋がれた同じような年頃の娘達が大量に居た。
卯月は奴隷となって、この娘達と共に何処かへ売られて行くことになったのだ――
散々輸送中も護衛の傭兵に身体を弄ばれたりした挙句、
卯月が連れ込まれたのは、ある地方都市の裏通りにある売春宿だった。
でっぷりと太った売春宿の女将らしき人物に鎖に繋がれたまま、卯月は他の囚われの少女達と一緒に、
ねめつける様にじろじろと裸のまま観察され、身体中を隈なく触られた。
山賊たちの様な荒々しい愛撫ではなく、正に検品と言った有様のそれに卯月は心底震え上がった。
そして、見た目が派手な年上の女性や目鼻立ちの整った同じ年頃の女の子等と一緒に卯月は檻から降ろされた。
そして、養鶏場の鶏を叩き込むかの様に次々と、一筋の陽光さえ刺さない不衛生な、
粗末な寝台一つしかない狭い部屋に叩き込まれたのだ。
一緒に運ばれてきたスタイルの目立たない少女や、激しい山賊の凌辱に依って身体に傷を負っていた少女達は、
そのまま檻に乗せられて何処かへ運ばれて行ってしまった。
彼女達がどうなったのか、卯月を始め誰も知らない。
その末路が幸せな訳もなく、卯月は空恐ろしくなり彼女達の行く末を想像する事を早々に止めた。
その日から卯月や少女達は、個室で客を取らされる事を強制された。
当然、泣き喚いて拒否する娘たちも居た。
しかし、一際強く反抗する小柄な胸の大きい角の生えた娘が、筋骨隆々の用心棒の男達の振るった棍棒の一撃で
壁際まで弾き飛ばされ、襤褸雑巾の様になるまで痛めつけられた様を見せつけられた後は、
皆一様に女将の言う事に従順に従うようになっていた。
一日中裸で狭い個室に閉じ込められ、代わる代わるやってくる客を次々に相手をする毎日。
容姿の整った卯月はどうやら客達に人気のようであり、日に相手をする数は40~50人。
日の出から夜更けまで。客が途切れない時は明け方までも寝る時間がない。
そして日の光の見えない個室では時間の経過を図る術も無い。
朦朧とした意識の中、ただひたすらに男達の性を放出し続けるのだ。
週に一回は100人を数える日も有り、それがこの世界の週末に当たる日だと言う事を、
卯月は自らの身体で知ったのだった。
そして、客が完全に捌けた頃にボロボロの黒いローブに身を包んだ皺だらけの老人が部屋にやってくる。
彼は売春宿雇いの呪術師らしく、この老人の呪術に依って売春婦達は性病や妊娠等の最悪の事態から遠ざけられているらしい。
言わば売春宿に欠かせない人物ではあるが、
卯月はこの気味の悪い老人が呪術の合間に行う蛞蝓の様な愛撫が堪らなく嫌いだった。
しかし、この老人が妊娠や性病などから卯月を守ってくれている事には違いがない。
卯月は必死に我慢して目を瞑り、寝台に横になってひたすら時間の経過を待つ。
その卯月の様子を老呪術師は殊更に喜び、呪を唱えながら、卯月の滑らかな身体をささくれ立った手で淫蕩に撫で摩り、
そこだけ異様にてらてらと紅く滑る舌で卯月の全身を蛞蝓の様に舐めまわしていくのだった。
たっぷり小一時間ほど掛けて、老呪術師は満足そうに部屋から出ていく。
その後に残された卯月は、客の二、三人を同時に相手にした後の様に消耗しきっていた。
まるで精気まで吸われていったかの様に。
ひょんな事から、別の少女にこの老呪術師の事を尋ねた事がある。
その少女は五分ほどで呪術を掛け終え部屋から出ていく、と聞いて、卯月は深く絶望した事を覚えている。
その後は大食堂で粗末な食事が与えられる。
売春宿で僅かな自由時間が与えられるのは、日に二回、食事の時間だけだ。
この時は桶に組んだ湯で身体も拭けるし、粗末な貫頭衣ながら衣服も与えられる。
監視の眼こそ光ってはいるが、同じ境遇の少女達と話しすら出来るのだ。
唯一の気晴らしの時間と言ってもいい。
その中でも卯月が一番仲が良くなったのは、此処に来て直ぐに用心棒に殴り飛ばされていた
小柄な胸の大きい角の生えた娘だった。
聞いた話に依ると、彼女は卯月より20cmは身長が小さいのに卯月よりも大分年上だった。
驚いた事にあの2m以上ある角の生えた客とは同種族であるそうだ。
性差による身長差が著しく激しい部族であるらしい。
彼女はその頼りがいのある性格から、売春宿で働く娘たちの精神の拠り所になっていた。
何故なら彼女は、この境遇にあっても折れる事の無い強靭な精神で常に脱出のチャンスを伺っていた。
そして卯月は、この娘に監視の眼を盗んで常に励まされ続けてもいた。
娘曰く、こう見えても昔は傭兵団で働いていた、腕前には自信がある。
武器が有ればあんなゴロツキ共には負けない。
隙を見て武器を奪い此処から脱出してみせる、そしたら外の知り合いに助けを求めて、アンタたちを助けて見せる。
夢物語の様な話だが、彼女の強靭な精神力からくる瞳の光に卯月は希望を見た。
何時か本当にこの地獄から彼女が抜け出して助けに来てくれるのでは、
そう思うことによって少女達は日々の地獄から少しは救われた様な気持ちになっていたのだ。
その思いが粉々打ち砕かれたのはしばらく経ってからの事だった。
売春宿がやにわに騒がしくなった。
部屋の壁は店の娘が馴染みの客と脱走などの良からぬ算段を企てても発覚し易いように、薄い壁でできている。
普段はその所為で、行為中の声が外に漏れるのが恥ずかしくて堪らなかった卯月だが、この時はそれが幸いした。
薄い壁に耳を付けると外の様子が容易に聞き取れたのだ。
どうやら、用心棒と店の主人が苛立たし気に語る内容に依ると、あの小柄な胸の大きい角の生えた娘が、
客が懐に所持していた短剣を奪い、用心棒の一人に切りつけ、武器を奪い逃走したとの事だった。
彼女はついにやったのだ。
卯月は彼女の無事を祈ると共に、彼女とその仲間が自分をこの地獄から救い出してくれる事を必死に願った。
だが、その思いは僅か二時間で潰える事になった。
町の外れに身を隠していた娘は、女主人に抜かりなく賄賂を届けられていた衛兵達に見つかり、
保護されるどころか、早々に店の人間に引き渡された。
尚も抵抗する娘を用心棒たちとグルになって取り囲んですら居たらしい。
娘が再び売春宿に運び込まれた時には槍が脇腹に深々と刺さり、血まみれの肉団子の様に床に転がされていた。
白濁した眼を大きく見開き苦悶の表情を浮かべたまま、身動き一つしていない。
既に絶命しているのは明らかだった。
それだけではない、店の主人たちはその娘の躯を中庭の中央に建てた杭に磔にし、
陰部から新しい槍を刺し込み、口まで貫いて更に遺体を辱めた。
娘達が食事をする大食堂から中庭は常に見える状態にある。
つまり、女主人達は朝、晩二回の食事の度に、この惨たらしい磔を売春婦達に見せつける事にしたのだ。
お前たちも逆らうとこうなるぞ、と言う強烈な見せしめ。
それは躯が腐り落ち、耐え難い腐臭が発するまで続けられた。
精神的な拠り所だった娘を失った卯月を始めとした娘たちは、激しく泣きじゃくり、恐怖し、
その後、前にも増して店の主人たちに従順に従うようになっていった。
卯月もただ従順に、既に希望の無くなった毎日をただ摩耗しながら過ごしていった。
そんな地獄が二年ほど続いた頃、卯月に転機が訪れる事になる。
他の娘達と共に、用心棒達に乱暴に中庭に連れ出された卯月は何事かと訝しる間も無く、頭から水を掛けられた。
抵抗する間も無く、売春宿の女将の配下の女の手によって、乱暴に身体を洗われ、髪を梳かされた。
そして女将は、少しは見れるようになったね、と言うと、店の前に積まれた箱の中から、
原色の色遣いが目立つ露出の多い踊り子の様な衣装を卯月の身に纏わせた。
そして、同じ様な格好の売春宿の娘達と一緒に、馬車の様な物にすし詰めに詰められて何処かへ移動させられたのだった。
また何処か別の場所に売られて行くのだろうか。
運ばれて行く娘の中でも一際小柄な種族の、本当に幼児にしか見えない娘が顔を手で覆いながらシクシクと泣いて嘆いている。
同じ種族の少女が、どんな場所でもあそこよりマシな筈よ、と元気づけている。
それを見て馬車の隅角に丸まって座っていた、狐の様な獣の耳をを持った少女が二人をせせら笑う。
あそこより酷い所など幾らでもある、長い航海の慰みにする為に船の船蔵の隅に転がされて輪姦されたり、
鉱山の慰安所の片隅で休みなく工夫達のストレスの捌け口にされるのはどれ程辛いか、
そしてそんな不衛生な場所で今度は妊娠や病気等お構いなしで弄ばれ続ける、そんな所に運ばれるのかもしれないのさ。
獣耳の少女は、自分でそんな暗い未来予想を語りながらも、余りの絶望に既に目の焦点は合っては居なかった。
その言葉を聞いてますます絶望を深め、瞳の色を深く沈めた少女達は、ある城の裏口から城内へと運び込まれたのだった。
どのような地獄が待ち受けているのかと身構えていた少女達は、連れてこられた城内の広場の有様に思わず目を見張った。
植えられた木の様な物の幹はよく見ると焼いた肉である。
足元を流れる不思議な色の川は何と酒であり、そのまま広場の中央の池に大量に流れ込んでいる。
その池に船すら浮かべ、卯月達とは比べ物にならないほど豪華な衣装に身を包んだ女たちが、見るからに身分の高そうな男達と
戯れながら、淫猥な音楽に合わせ飲み、踊り、歌い、時には身体を重ねあい、互いに乱れあっていた。
垂れた犬耳の少女が恐る恐る肉の樹木に手を伸ばして、その樹になっている果実を手に取ってみた。
驚いた事にそれは砂糖菓子であり、それが数えきれない肉の樹木に無数に縛り付けられている。
御伽噺に聞いた事がある桃源郷、それを模した当に酒池肉林と言う訳で有ろうか。
一体この馬鹿げた宴にどれ程の費用が掛かっているのか、卯月には想像も出来なかった。
ただ一つ解るのは、銀貨二十枚で売られた卯月が、何万人居たとしても到底及びもつかない額、と言う事だけだ。
売春婦達は、こんな場違いな場所に連れてこられて、自分たちが何をすれば良いのか、皆目見当がつかない。
所在投げにただ佇んでいると、係りの者が慌てて卯月達の元にやってきて、
広場の片隅で音楽に合わせて踊る様に苛立たし気に指示をしてきた。
小柄な少女が踊りなんてやったことがない、どうすればいいですか、と涙交じりに尋ねると、
係りの者はバカにしたように鼻を鳴らし、音楽に合わせて淫らに腰でも振ってればよろしい、
お前たちに何も期待などしていない、と、言い捨てて歩み去っていった。
少女達はその様子に戸惑いながらも、言われた通りにぎこちなく腰を振り、踊り始めた。
すると宴のあちらこちらから蔑む様な笑い声が挙がり始めた。
特に、豪華な衣装を着た女達の笑い声が酷い。
男達からも揶揄う様な罵声が挙がり、それでも少女達は踊り続けた。
そして、卯月はそこで初めて気が付いたのだ。
コレは、おそらく場末の売春婦を笑い者にするために呼んだ余興なのだ、と。
多分、あの豪華な衣装を着た女達は高級娼婦なのだろう。
娼婦といえど、卯月達場末の売春婦とは違い、教育も受ければ教養もある、上流階級相手の娼婦である。
当然、一晩の相場も目が飛び出るほど高い。
そんな高級娼婦たちのご機嫌を取るためか、彼女たちと天と地ほど立場が違う場末の売春婦を集め、
踊りも碌に踊れぬ彼女たちを笑い者にしようという魂胆だろう。
そして、それは思った通りの展開になっていた。
それはそうだろう、ここにいる少女達は踊りの経験など全くないのである。
そんな彼女達を揶揄う様な罵声が四方八方から卯月達の元に届いていた。
少女達はそんな周りの反応に涙目になりながらも、ひたすら踊り続けるしかない。
こんな宴で権力者の不興を買えば、何をされるか全く解らないからだ。
少女達は自らの弱い立場を呪いながら、笑われながらも必死に踊り続けた。
その有様がさらに滑稽さを誘う。
宴は罵声交じりの嘲笑と共に、暗い盛り上がりを見せていた。
だが、そんな罵声を浴びながら、一人だけ。 卯月はこの世界に来て初めての怒りに震えていた。
色々と理不尽な目には何度も遭って来た。
しかしそれはほとんどが恐怖が上回り、怒りの感情は沸いて来ず、卯月はただ怯えるだけだったのだ。
しかし、この世界に来て初めて昔の様に踊る様に言われた。
そして理不尽な罵声を浴びる事によって、卯月は初めてこの世界に抑え難い激しい怒りを覚えていた。
卯月のプライド、それは元の世界で努力して掴み取った彼女だけの宝物である。
身体を汚されるだけでなく、今、まさにその卯月のプライドまで汚されようとしている。
その事実だけは耐え難かった。
口惜しさの余りに握りしめた拳は、既に内側に爪が食い込み血すら滲んでいる。
光り輝くような元の世界の思い出、努力の派手につかみ取ったステージ、眩しく輝く仲間達、
そして、共に歩んだあの人の笑顔――
その全てが汚されようとしている――
そう思った瞬間、卯月は歯を食いしばり、集団の先頭に立ち、息を大きく吸い込んでいた。
何事かと周りの人間たちが視線を投げかける中、卯月は自分の全力を込めて、声を張り上げて自分の持ち歌を歌いはじめた。
歌の開始と共に習い覚えたステップを刻み始める。
周りが唖然とする中、卯月はひたすらに自分の歌を歌い、踊り続けた。
元の世界ではアイドルとして数万の観衆を魅了したトップアイドルである。
聞き覚えない歌詞で無伴奏のアカペラとは言え、たちまちに卯月の歌声は場を支配した。
既に淫猥な音曲を奏でていた楽士達は手を止め、高級娼婦たちも揶揄いの笑みを凍り付かせ、卯月の歌に黙って聞き入っていた。
数曲を歌い、踊り切った卯月がふとその事に気づき、息を弾ませながら辺りを見渡すと、周りには静寂が訪れ、皆、卯月を無言で見つめていた。
――やってしまった。
卯月はその周りの反応を見て、己の行為をただ後悔した。
怒りに身を任せたとはいえ、こんな豪華な宴をぶち壊しにしてしまった。
一体、どんな罰が待っているのか想像もつかない。
広場に入る前に獣耳の少女が語ったような目にあわされてしまうのではないか――
後悔だけが卯月の心中を駆け抜けた。
果たして、宴の席の中心に座る、一番身分の高そうな人物が護衛の兵士に何事か耳打ちし、
その兵士達が卯月の元に歩み寄り、卯月の両脇を抱えて宴の席から連行していく。
卯月は兵士に運ばれながら、これからの自分の行く末を思い、余りの絶望に目を瞑るしかなかった。
どんな罰が与えられるのかと恐怖に身を震わせていた卯月だったが、
連れられて来られたのは意外にも豪華な調度品が飾られた部屋だった。
そこでやってきたメイド達にけばけばしい踊り子の衣装から、一見して上等な生地の仕立ても完璧な
ドレスに着替えさせられ、化粧まで丁寧に直されたのだ。
すると、先ほど宴で兵士に何事かを耳打ちしていた人物が部屋に入って来た。
男は身が整えられた卯月を見ると好色そうに笑い、そのままメイド達を下がらせると、
隣の部屋にあるベッドに卯月を連れ込み、その身体を抱いた。
男はこの国の伯爵と名乗り、卯月はその妾になったのだ。
最初は異国の歌を歌う物珍しい少女を珍獣を飼うつもりで戯れに売春宿から引き取った伯爵だったが、
それなりの格好をさせてみると、中々に見目も麗しい。
異国から連れてこられたせいか、言葉はともかく字も書けないが、なんと驚いた事に計算まで出来るらしい。
この国では学者でもないと覚えられない事を、この異国の売春婦は身に着けていると言うのだ。
元の職業が職業だけに閨の作法もこなれているし、正婦人たちに求めたら顔を真っ赤にして実家に帰ってしまいかねない
倒錯的な性技も、嫌な顔ひとつせずにこなしてくれる。
これは思わぬ拾い物をしたわい、と伯爵は満足げである。
そして寝物語に聞く卯月の故郷の話も夢の様な楽園の様子であり、毎晩聞いて飽きる事がなかった。
結果、伯爵は加速度的に卯月の身体に溺れる様になっていったのだ。
当然、周りの正婦人や第二婦人達の卯月に向けられた嫉妬は、凄まじいものがあった。
陰に日向に卯月を苛め抜き、その陰湿さにはメイド達が目が叛けるものがあったと言う。
しかし、卯月は一切の抵抗をせず、ひたすらその責めを耐え抜いていた。
幾ら貴族の令嬢たちに虐め抜かれた所で、売春宿の生活に比べれば天国のようであり、
どれ程の事もなかったからだ。
しかし、卯月もただ手を拱いて耐えていただけではない、有らぬ噂を立てられて、主人の寵を失い、
この屋敷から追い出されてしまっては、また売春宿に連れて行かれ元の生活に戻るかもしれない。
また、このまま時を無駄に過ごして、主人が卯月の身体に飽きてしまっては、
それもまた同じ運命を辿る事になるだろう。
それだけはどうしても嫌だった。
後ろ盾を、背景になる力を得なくてはならない。
そう考えた卯月は、屋敷の下男に主人から与えられた少なくない金品の大半を渡し、
ある人物に密かに言付けを頼んだ。
下男は目の飛び出る様な報酬に目が眩み、喜んで即座に使いに出て行った。
そして翌日の深夜、散々主人に身体を弄ばれた後自室で乱れた髪を櫛で梳いていた卯月は、
背後の暗闇に音もなく一人の人物が佇んで居るのを見て、思わず息を飲んだ。
しかし、人を呼ぶことはしなかった。
何故ならその人物こそ卯月が呼んだ人物、あの売春宿で卯月の身体を散々弄んでいた老呪術師である。
老呪術師は卯月に慇懃に再開の言葉を述べては居たが、視線は既に卯月の身体を頭の先から爪先まで粘りつくような視線で
視姦する様に、ねめつけていた。
卯月は背筋が凍り付くような気味の悪さを感じたが、現状と問題点を老呪術師に話し、力を貸してくれる様に頼んだ。
老呪術師は愉快そうに快諾したが、その代償を卯月の身体を求めた。
その言葉は卯月の想定内だったのか、卯月は無言で立ち上がると、
顔を赤らめながら身を覆っていたローブの前を開け、今なお白く輝く瑞々しい肌を老呪術師の前に晒すと、
そのまま、身体を自らベッドに横たえた。
老呪術師は満足そうに頷くと、その皺だらけの手をボロボロのローブから伸ばし、舌嘗めずりしながら、
卯月の白い肌に枯れた手を伸ばすのだった――
その後、卯月が自らの身体を使って繋げた闇の人脈と異世界知識による恩恵を武器に、
伯爵家は見る見る力を付け、その後侯爵位を受ける程にまで国内での地位を拡大して行く事になる。
見る見る増える財を使い遊び呆ける主人に代わり、計算にも長けた卯月が政務を仕切る様になった。
彼女が持つ知識は貴重な物であり、聞いた事の無い植物が食用に耐える事や、
塩の精製などの効率が遥かに上がった。
卯月本人はそんな知識が無かったのだが、事務所のマニアックなメンバーに勧められて読んだラノベの
描写程度の知識でも、この世界では充分に有用だったのだ。
政務を一手に担い、闇の組織の後押しまである。
卯月は新侯爵家での地位を急速に拡大していった――
そして遂に新侯爵家は位人臣を極める。
二桁ではあったが王位継承権まで得たのだ。
新たに強力な侯爵家が誕生し、王国は益々の繁栄を誇る、と誰もがその時は思っていた。
しかしその後、王家には不気味な闇の帳が舞い降り、その繁栄に影が掛かる事になる。
王家に連なる者が次々と不審な死を遂げ始めたのだ。
度重なる不審死に闇の組織の暗躍を叫ぶ者が出る頃には時、既に遅く、新侯爵家の主が王位に就く事になった。
当然、侯爵家を不審に思い調べ始める心ある者達も王国には少なからず居た。
しかし、その様な者は例外なく惨たらしく殺され、道端に躯を晒される事になった。
その時にはもう、侯爵家が闇の組織と繋がっている事を疑う者は国内には一人も居なかった。
だが、最早糾弾の声を挙げる者は一人として居ない。
恐怖が国を覆い、民は皆、沈黙の服従を新しい王家に捧げる事にしたのだ。
新王は民に重税を課し、自らは国費を蚕食し、享楽に耽る愚王と化した。
しかし、彼が民に掛けた苦しみは左程の物ではなかったのかもしれない。
何故なら、王は最初の税を取り立てる前、王位について僅か23日で病死したのだった。
好色で知られた新王だが、子は居らず、その後は寵妃で在る妻が女王となった。
女王の名はウヅキ。
誰もが見惚れる美貌を誇る、国一番と称えられる美女である。
しかし、民だけは知っていた。
その美しさの下には、冷酷な仮面が隠れている。
裏で闇の組織の力を使い、王を陰で操り、遂には毒殺したる毒婦であると――
それでも彼女の即位に反対したものは一人も居なかった。
既に異を唱える忠臣達は悉く墓碑の下であり――
残された彼らは沈黙の服従を誰に捧げるべきか、正しく理解していたのである。
そして十数年が経過した。
美しく、冷酷に成長した卯月は、先王が宣言した以上の税を掛け、厳しく取り立て、
民は塗炭の苦しみに喘いだ。
当然の様に巻き起こるべき反抗、不満の声は盛り上がる前に悉くが潰される事になった。
卯月の肝煎りで更に力を増した闇の組織が、公然と活動し始め、その末端にまで目を光らせる様に指示を出し、
国の隅々まで恐怖の監視網を広げたのだ。
民衆は既に反抗する気力もなくなり、顔に絶望の色を浮かべながら、
その殆どを税で持っていかれる作物を育て、一日を終える。
既にこの国には希望はなく、絶望がすべてを覆い始めていた。
その様な行く末に光が見えない民衆の間で、一つの他愛のない噂話が好んで語られる様になっていた。
それは有り触れた、光り輝く英雄伝説。
勇者が魔王や暴龍、悪王を打倒し苦しむ民衆達を救う、と言う英雄譚だ。
その報告を受けた時、卯月は最初、小さく鼻で笑うだけだった。
その様なおとぎ話、どこにでもある、放置しておけば良い、そう思ったのである。
だが、その後の報告を聞き、卯月は王位に就いて以来、初めてその氷の様な美貌を驚きに歪めさせたのだった。
曰く、勇者は本当に存在した。
異世界より現れ、神の加護を受けた仲間達を集め、既に3柱の邪神と二体の悪龍、
そして南の蛮族の狂王が統べる大国の侵攻を食い止めたらしい。
光り輝くようなその力は正に勇者と呼ぶに相応しい。
その名はリン―― 蒼の勇者リンとその仲間達の活躍らしい。
その名を聞いた瞬間、卯月は狼狽も隠さず、
すぐさま配下の者に勇者とその仲間達の事を調べる様に指示を飛ばした。
そして配下の呪術師に命じて、調べた情報を元に遠見の水晶球で勇者の顔を映し出させたのだ。
そこにいたのは正に勇者リン――紛れも無く卯月の同僚だったアイドル、渋谷凛だった。
その脇には他にも346プロで同僚だったアイドル達が思い思いの装備で共に歩んでいる。
卯月の中に思わず、懐かしい温かい気持ちが流れ込んできた。
しかし、その思いは彼女達が笑顔を浮かべながら歩いているのを見て、一瞬で消え去った。
そして彼女が凍り付いた頭で考えついた事は、なぜ彼女達が此処にいるのか、何故勇者などしているのか、
直に問い質さなければなければならない、と言う事であった。
卯月はすぐさま配下の者に命じ、勇者たちと連絡を取る様に厳命した。
島村卯月が待っていると伝えよ、と――
彼女達なら、その言葉を聞けば必ず此処に来る筈だと確信して――
謁見の間に連れてこられた凛は、玉座に腰掛ける卯月を見て一瞬だけ動きを止めると、
次の瞬間、涙を浮かべて卯月に駆け寄ろうとした。
護衛の兵士に行く手を槍で交差されて阻まれるが、卯月がスッと手を挙げると槍は即座に引かれ、
卯月の胸に凛が飛び込んで来た。
凛は卯月の記憶に無いほどその整った顔を涙に濡らし、卯月を抱きしめ再開を喜んだ。
思わず、卯月の胸にも熱いものが込み上げてくる、しかし卯月は自らの胸の中で泣く勇者の異変に気が付いた。気が付いてしまった。
あまりにも若すぎる――
卯月も自らの武器である美貌を保つ為に努力を欠かしたことはない。良いと思うことは全て実践しているし、
時には配下の呪術師の怪しげな呪法を試してもいる。
伝説に聞く吸血鬼の様に、処女の生き血を浴室に満たし、浸かってみた事すらある。
その成果か、卯月の美貌は陰る事すらなく、三十路を迎えた今でも凄絶な美貌を誇り、それがまた民衆の畏怖の対象になっている。
あの妖華はどれ程の男の血を吸い、咲き誇るのか、と。
そんな卯月も驚嘆するような、凛の髪の艶、肌の色、弾ける様な若さの賜物であり、十数年前に見た凛と寸分の違いも無かった。
よく見ればいつの間にか周りを囲むように集まり、再開を喜ぶ歓声を挙げるほかのアイドル達も、あの時のままである。
美しく成長したとはいえ、歳を重ねているのは卯月だけのようだった――
その疑問は、その後の晩餐会の中の会話で解けた。
聞けば、凛達がこの世界に飛ばされて来たのは、精々一年前らしい。
卯月とは十数年の違いがある。
しかも、転送されてすぐに神の啓示があり、元の世界に戻りたければ同じ様に飛ばされて来た仲間を集め、
6つの宝玉を手に入れなければならない、と言う教えまで有ったそうだ。
神の啓示?? ふざけるな、そんなもの私にはなかった。卯月の心に思わず暗いものが込み上げてくるが、
その後に聞こえてきた聞き逃せない言葉に卯月の思考は中断した。
元の世界に戻れる――??
聞けば、凛達は仲間を集め、実力を磨き、神の啓示に従い、民衆を苦しめる魔族や龍、を次々に打倒し、
その元にある宝玉を手にしていた。
既に5つの宝玉を手にし、南の大国をも救った凛は、既に最後の宝玉の在処すら探し当てていたのだ。
凛は自分たちの冒険を語りながら、一つづつ卯月に宝玉を差し出した。
宴のテーブルの上に飾られた五つの宝玉は、その事実を肯定する様に魔法的な輝きを放っている。
待っててね、卯月。すぐに最後の一つを取ってくるから、そしたらみんなで一緒に元の世界に帰ろう、
笑顔でそう言う凛の言葉に笑顔で頷きながら、卯月は心の奥底深くで、全く別の事を考えていた。
宴もたけなわになり、贅を凝らした食事に空腹をみたした勇者一行を満足そうに見つめると、卯月は配下の者に言いつけて
一本の高級そうな絹に包まれた瓶を運ばせてきた。
曰く、国でも最高級のワインであり、明日、最後の宝玉を取りに行く一行に送らせてほしい、と卯月は語った。
未成年が居ることもあり、一旦は断った一行だが、異世界と言うこともあり、何よりも気分が高揚していたこともあり、
その盃を受ける事にした。
これが見も知らぬ人物からの贈り物ならば、警戒する仲間の一人や二人は居たのだろう。
しかし、差し出しているのが仲間である卯月である事に、警戒する者は一人も居なかった。
それほど、昔の卯月の人柄が皆に愛されていたことの証拠であり――
これほどまでに変わってしまった卯月の人柄を見抜けなかったことが、彼女達の誤りだった――
飲み干すとほぼ同時に、糸が切れる様にテーブルに倒れ伏す仲間達、それに気が付いた時には、
凛も既にその液体を喉の奥に流し込んだ後だった。
目も眩むような眠気に凛が驚愕に目を見開き卯月の方を見ると、
卯月は薄い笑みを浮かべたまま愉快そうに凛達を眺めていた。
凛達はもっと早く気付くべきだったのだ――
昔の彼女なら浮かべる筈も無い、その冷たく、凍り付くような笑顔に――
程なくしてアイドル達を地下牢に運んだ旨を報告に来た兵士を下がらせ、
卯月は満足そうに一人、一つだけ薬の入っていなかったワイングラスを傾けながら妖艶に微笑んだ。
元の世界になど帰すものか。
あの娘たちにも私が受けた苦しみを味合わせてやらなければ気が済まない。
あの美しく輝く瞳を曇らせるには何が一番効果的か、あの一点の穢れも無い美しい肢体を汚すには、
何が一番効率的か、じっくりと考えねばなるまい。
まず、三年程は顔も知らない兵士達に、休む暇を与えず代わる代わる輪姦させるのがいいだろうか。
処女膜は一人一人私自らが道具か、呪術師の薬で造成したペニスで破ってやるのも一興だ。
しかし、やはり一番良いのは性欲しか頭の無い男共に集団で道具の様に扱われながら処女喪失、
と言うのが一番絶望的だろう。
動物も良い。特性に調合された香を焚いた飼育小屋に叩き込めば、
発情した動物達が文字通り獣の様に彼女達の身体に群がるだろう。
その際は犬が良いか豚が良いか。どちらも見物だろうが、最初から馬、等の無茶は避けねばならない。
下手したら股から裂けて死んでしまう。末永く楽しむ為にも命までは奪わないように気をつけねば。
そう言えば、私がこの家の側妾にされた頃、売春婦扱いして散々嫌がらせしてきた婦人達を、
後にオークやゴブリン等の獣人の巣に裸で叩き込んだ事を思い出した。
彼女達の様に散々子を孕む苗床にされた挙句、その子にも孕まされる地獄を味合わせるのも良いかもしれない。
いや、しかしあの婦人たちは結局、獲物の獲れなかった冬に切り刻まれて食糧として食べられてしまったのだったか。
獣人の巣にはそういうコントロール出来ない難点がある。末永く甚振って愉しむには向いていないかもしれない。
まあ、長く凌辱が続いて感覚が鈍くなってきたらカンフル剤として一人か二人そう言う目に遭わせるのも手だろう。
その様子を遠見の水晶玉ででも見せ付けてやれば、残されたアイドル達はどんな貌を見せてくれるだろうか…。
その瞬間、卯月の視界が白くフラッシュした様に点滅した。
そこで初めて、陶然とした面持ちでアイドル達の悲惨な末路を妄想していた卯月は、
知らず自分の片手がドレスの上から自分の股間を弄っている事に気づいた。
その秘所は既に洪水の様に愛液が溢れ、太股を伝い足首にまで垂れていた。
軽くイッてしまった卯月は上気した頬を薄く歪めて氷の様な微笑を作り、
テーブルの真ん中の杯に恭しく置かれた宝玉の一つに手を伸ばし、手に取った。
そして宝玉に舌を伸ばし、うっとりとした眼つきでそれを眺めると、長く伸ばした舌でそれを舐めた。
そうしながら、卯月は思う。
それでも、それでもだ。
きっと彼女達の幾人かは凌辱に耐え、希望を持ち続けるだろう。
元の世界で厳しいレッスンに耐え、数万の観客を魅了した選び抜かれた歌姫なのだから、
体力も精神力も常人では無い。
それに――向こうの世界には彼女達を待つだろう、愛しいあの人がいるのだから――
きっと、幾人かはその希望を胸に、耐え抜くだろう――
そんな凌辱に耐え抜いたアイドル達の前で、
数年、辱めた末に、
この宝玉を目の前で叩き割ったら、あの娘達はどうなってしまうのか――
そして卯月は、空いた片方の手で今度は音が出るほどに激しく秘所を擦り、陰核を摘み上げ、
薬指を膣穴に捻じ込む。
激しい自慰の最中、思うのはやはり、アイドル達のこれから訪れるであろう悲惨な末路。
屈強な男達に無理やり貫かれながらも強気な瞳で相手を睨みつける、凛。
豊満な身体を荒縄で縛り上げられ、逆さ吊りにされながらも男のモノを加えさせられ、虚ろな瞳でそれに応える未央。
性魔術師が操る調教部屋一杯に溢れる淫蟲に集られ、穴と言う穴を塞がれながら、
同じ部屋で凌辱に耐えるお互いを呼び合う美嘉、莉嘉姉妹。
一際小さい身体を押し広げられ、ゴブリン部族を従える巨大な体躯の部族長の長大なペニスをその身体に収められ、
ペニスケースの様に長の体に縛り付けられる杏、大きな身体全体を使われ子供の様な、しかし醜悪なゴブリン達に犯されながら、
妊娠した腹を抱え、遥か向こうに見える杏に向けて涙を流しながら必死に手を伸ばすきらり。
邪なネクロマンサーに実験体として改造され、フレッシュ・ゾンビと化し、
切り刻まれては再生する肉人形として、延々と猟奇趣味の変態達の玩具に供される小梅。
幻術で雄豚を愛しい男性に見せられ、花嫁衣装で家畜小屋の雄豚相手に嬉しそうに腰を振るかな子。
色々な吐き気を催す想像を経て、尚、卯月の指の動きは激しい。
そして、最後に自分をきつく睨みつける凛の顔を想像した時、卯月は深い深い絶頂を迎えた。
思わずテーブルに突っ伏して、荒げた息を整える。
ドレスから出した手は既に愛液に塗れていた。
その指の一つを擦り挙げる様に舌で舐め取りながら――
卯月はこの世界に来て、初めて心の底から愉快に嗤ったのだった。
【完】
終了しました。
こんなSS書いてますけど、大好物のSSは甘々の武うづか凛うづSSです。
それではHTML化依頼出してきます。
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