神谷奈緒「夏の常務も憎めない」 (49)



前作
神谷奈緒「梅雨でも常務は憎めない」




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―――――プロダクション・会議室―――――


美城常務「ふむ、全員……集まったようだな……。では……今月の……会議を……、くっ……」

神谷奈緒(あれ、どうかしたのか……?)

鷺沢文香「常務……お気持ちは……わかりますが……」

渋谷凛(?)

大槻唯「……」

速水奏「失ったものは返ってはこないわ、前を向くのがあの娘のため……でしょう?」

常務「……ああ、速水の言う通りだ。すまない、少し現実が受け入れられなくてな」

橘ありす「あ、あの……、何かあったんですか……?」

塩見周子「あれ? ありすちゃんは知らない感じ……?」

常務「私も信じたくはない……。耳を疑った。だが、起きてしまった事実は変えられない」

宮本フレデリカ「……」

常務「まさか……」

常務「北条が海で果てるとは……」

北条加蓮「えっ!? 私!?!?!?」



常務「……!? 北条……!?」

加蓮「その“なぜいるんだ”みたいな顔やめてくれない!?」

文香「常務、お盆ですから」

常務「……ああ!」ポンッ

加蓮「“ああ”じゃないでしょ!?」

常務「誰か、ナスときゅうりを用意してくれ」

加蓮「還すな!!!」

??「ナスじゃなくてカコですよー♪」トコトコ

ありす「侵入者ーーー!!!」



常務「こういう時はどうすれば……」

奈緒(何もしなくていいから)

フレデリカ「ふふふー! この霊媒師フレちゃんにお任せを!」

唯「ふ、フレちゃん、あの霊をどうにかできるの!?」

加蓮「とうとう三人称が“あの霊”になってるんだけど!?」

フレデリカ「まずは定番のお塩をお願い!(大さじ2)」

凛(料理番組っぽい)

文香「すみませんフレデリカさん、さとうしかありませんでした……」

フレデリカ「それでもいいや!」

文香「アナタのはぁとをシュガシュガスウィート☆」

ありす「文香さん!?」



常務「飽きたな。会議を始めよう」

みんな「はーい」

奈緒(切り替え能力エグいな)

加蓮「始まる前から疲れたんだけど……」

常務「すまないな、政子」

加蓮「疲れたって聞こえなかった!?」

凛(今日は加蓮が大変そう……)

常務「……」チラッ

凛「!?」ビクッ

常務「……」フッ……

凛「“お前はまた後で”みたいな顔しなかった!?」



常務「ではそろそろ始めるが、何か質問はあるか」

周子「アーニャちゃんのサボりの理由はー?」

凛(もうサボりは共通認識なんだ)

常務「“暑いから”らしい」

ありす「もう誤魔化す気すらありませんよね!?」

常務「まあロシア出身で暑さには弱いのだろう。ゆっくり休んでもらうとする」

奏「アーニャ、Twitterで『プールなう』って呟いてるわよ」

ありす(ええ……)

常務「……会議なう」ポチポチ

加蓮(なんで対抗してるの)

フレデリカ「会議をしたくてもできない人の気持ちは考えないんですか!」

奈緒「クソリプを送るな!」



常務「まずは大槻、イベント、ご苦労だった」

唯「楽しかったよー!」

常務「やはりマツケンサンバは良い曲だな」

凛(雰囲気似てるけども)

常務「そういえば、相葉は元気か?」

唯「果てたよ?」キョトン

ありす「当然のように!?」

奏「前回すでに危険信号が出ていたのに、イベントをリーダーとしてこなしながらSSRとしての撮影……。さながらオーバーロードね」フフフ

奈緒「全然うまくないからな!!!」



常務「大槻は海での撮影もあったようだが、そちらはどうだった?」

唯「もっちろん! 楽しかったよ!」

常務「なによりだ。次は人数を増やすのも良いかもしれないな」

唯「そうだねー! 夕美ちゃんとか」

奈緒「お前らは鬼か!?」

フレデリカ「ナナちゃんとか!」

ありす「それは普通にやめてあげてください」



常務「そういえば、前回の会議から今回までの間に塩見、宮本、大槻がSSR昇格を果たした。歓迎するべき事態だ」

周子「これでこの部屋の全員だね」

常務「私以外はな」

加蓮(狙ってるの!?)

常務「今年のエイプリルフールでは千川事務員がダンスを披露した。つまり来年は……」

凛(嘘でしょ?)

常務「今西部長が踊るらしい」

凛「嘘でしょ!?!?」



常務「では宮本」

フレデリカ「わっしょい!」

常務「橘氏とー?」

フレデリカ「立ち話!」

2人「ドヤァ……」チラッ

ありす「こっち見ないでください」



常務「『ブラデリカ』は非常に良い企画だったな。次回も検討しておこう」

フレデリカ「わーい!」

常務「次のメンバーはどうする? 誰か希望はあるか?」

フレデリカ「ありすちゃんは確定でー」

ありす「なぜ」

常務「この世はツッコミがいないと成り立たない。それくらいは君も理解しているだろう」

ありす「なんで偉そうなんですか!」

文香「大変な役割でしょう……。私も同じですからわかります……」

ありす「文香さんは自分の立ち位置がボケではないと!?」

奏「真面目なキャラも疲れてしまうわよね……」

ありす「少なくとも私の視界に真面目な人は映っていませんが」

唯「ええ!?」ガーン

加蓮(みんな自分を客観視するのヘタすぎるでしょ!?)

常務「私を見習ってほしいものだ」

奈緒(親玉がこれだからな)



常務「次は塩見だが、最近はそこまで大きな仕事は入っていないな」

周子「わりかし休ませてもらってるよー」

常務「何かやりたい仕事はあるか?」

周子「あたしにもわからない」

奈緒(それじゃダメだろ)

周子「強いて言うなら……、お菓子作りとか? ……あ、和菓子じゃなくってね」

常務「なるほど、洋菓子か。何ラミスが作りたい?」

ありす「ティラミス以外の選択肢を排除した意味」

周子「ラミレス」

ありす「か、会話をしてください!」

常務「(この時点で3位につけるとは)有能すぎるのも困りものだな……」

ありす「なんの話ですか!?」

常務「アメをやろう」

凛(また!?)



常務「しかし塩見は肌が白いな」

周子「んー? そうかな?」

常務「ああ、まるで、塩のような白さだ」

フレデリカ「……」

奏「……」

唯「……」

りんなおかれん「……」

常務「塩のようだ」

ありす「メンタル」



常務「速水も、塩見達とのユニット以降は仕事が立て込んではいないな」

奏「そうね」

常務「このスキマスイッチが!」

加蓮(急にどうしたの!?)

奏「誰が全力少年ですって?」

奈緒(違うだろ! カバーした“奏”の話だろ!)

文香「積み上げたものぶっ壊し……おっと、これ以上はJ〇SRACに睨まれてしまいますね……」

ありす「1人で勝手にケンカ売るのやめてくれません!?」



常務「速水も何かやりたい仕事があるなら、前向きに検討してやっても構わないと思わなくもないが」

凛(仲悪いの?)

奏「別に」

加蓮(仲悪いの?)

常務「まあ奏っちならどんな仕事も完璧にこなしてくれるだろうがな」

奏「任せてちょうだい。必ず期待に応えてみせるわ」

奈緒「この流れで仲良しかよ!? わけわかんないな!!!」



常務「次に鷺沢」

文香「文香っちです」

ありす「なんでちょっと嫉妬してるんですか」

常務「すまなかった、ふみふみ」

ありす「3段飛ばしくらいで距離を詰めますよね」

文香「じょむじょむ……」

ありす「センス0なんですか!?」

常務「私のことは“ょむょむ”と呼んでくれ」

奈緒(とうとう読めなくなったな!?)



常務「この前は茶荘での撮影をこなしてくれたようだ」

文香「どこで飲んでもお茶はお茶です……」

加蓮(もうただの暴言でしょ)

常務&フレ「「お茶はお茶」」クワッ

凛(そのフレ〇ドパークっぽさはなんなの!?)

フレデリカ「そんな文香ちゃんに利きお茶をやってもらうよー!」

常務「この4種類のお茶を飲み分けてほしい」カチャカチャ

奈緒(なんか始まった……)

文香「……」ゴクゴク

常務「飲ーんで飲んで飲んで」

奈緒「コールをするな!」



文香「……」ゴクゴク

みんな「……」

文香「右から、おーい〇茶、綾〇、十六〇……」

フレデリカ「すごーい♪」

奈緒(当たってるのかよ!?)

常務「ラストは」

文香「……」

文香「……茜さんが夏に向けて自宅で大量生産した麦茶です」

ありす「えらく具体的ですね!?」

常務「……素晴らしい」

加蓮(ご名答なの!?)



常務「では橘」

ありす「いや文香さん、結局お仕事の話してませんけど」

常務「橘は“魔導士”の衣装での撮影があったな、ご苦労」

ありす「あ、あれですか、まあ自分としても、なかなか良い撮影ができました」

常務「とても格好よかった。君の大人びた衣装を見て、その背伸びを『カワイイ』と一笑に付す者もいるかもしれないが、私はそうは思わない」

文香「ええ、ありすちゃんの秘めたる強さを引き出し、皆の意識を惹き止める。そんな素晴らしい衣装でした」

奏「もちろん、その中に年相応の表情が加わることによってその魅力は何倍にも」

ありす「す、ストップ! ストップ!!! 急になんなんですか!?」



フレデリカ「みんなありすちゃんを褒めてるんだよー? もちろんフレちゃんも!」

周子「うんうん」

唯「そーだそーだ!」

ありす「こ、ここぞとばかりに……!」

加蓮「いいじゃん♪ よかったよ」

凛「そうだね、見惚れちゃった」

ありす「あなた方が乗っかったらおしまいなんですから!!!」

奈緒「……」

ありす「……奈緒さん」

奈緒「あたしは……乗っからないぞ……! ありす……!」

ありす「奈緒さん!」パァァァァ

常務「なおあり……アリだな」

文香「アリで……だじぇ……」

加蓮(そっちに口調を合わせる必要あった?)

凛(ごめんねありす)



常務「ではお待ちかねの……」チラッ

凛「!」ビクッ

凛(冷静に……、山手線の両隣の駅の後、東横線がきて、前回は成田エクスプレス経由で飛行機で北海道……)

凛(普通に考えるなら西日本の遠いとこまで飛行機……。大阪、広島、福岡、もしかすると沖縄もあるかも……)

凛(いや、この常務のことだから、いきなり海外ってことも……)

凛(ううん、何が来ても、何処が来ても、いつものように対応するだけ……)

凛(……来い!!!)

常務「ロン」

凛「リンだよ!!!!!」



常務「今までで一番の声だったぞ、ポン」

凛「リンだから!!!」

文香「……王手」パチン

ありす「ゲームが違いますけど!?」

フレデリカ「トラップカード発動!」

加蓮(自由か!)

唯「城之内くん!!!」

奈緒「誰だよ!?」



常務「今回、神谷と北条は水着の仕事をこなしてくれた」

奈緒(あたしはプールで加蓮は海だったなー)

常務「2人とも、良いお尻だった」

加蓮「オブラートって知らないの?」

常務「しかし北条は……くっ……」

奈緒「そのくだり、またやるのか!?」

常務「思えば兆候はあった……。北条はここ最近、1日3食しか食べていなかったそうだ」

加蓮「それ以上を求めるの!?」

奏「むごいわね……」

加蓮「逆に聞くけど何食がアイドルの基本なの!?」

常務「しかも、8時間睡眠……!」

凛「非の打ち所がないと思うけど!?」

フレデリカ「たった……8時間……!?」

奈緒「たった!?」

文香「Zzz……」

奈緒「睡眠時間を稼ぐな!!!」



常務「では、そろそろグランドフィナーレといこうか」

ありす「前回までそんな壮大な終わり方してませんでしたよね」

常務「皆、花火は持ったか」

奈緒「そういう方向性!? 危ないだろ!?」

常務「ジョーム・ジョークだ」

加蓮「当然のように言うけど初耳だから!!!」

常務「では一本締めでいこう。私に合わせてくれ」

フレデリカ「はーい!」

凛(まあ、それなら)

常務「ではいくぞ。お手を拝借」


常務「ほっ」

常務「しっ」

常務「いっ」

みんな「のっ♪」パァン

奈緒「その掛け声やめろ!!!」


おわり





過去作


橘ありす「帰ってきた家電アイドルフレデリカ?」

渋谷凛「テストで赤点を」本田未央「回避したい?」

池袋晶葉「世のため人のため雪美のためライラのため」

双葉杏「分解病りたーんず」


などもよろしくお願いします


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月22日 (月) 19:38:06   ID: xivnSNCR

このシリーズほんと好き

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