ブタ太「飛べない豚はただの豚」 (162)

ハム蔵「たまには昔の話もしよう」
いぬ美「大きい私と小さな貴女」
オウ助「ヒーロー」
ねこ吉「吾輩はねこ吉である」
の続編です

だいぶ時間が空きましたがよろしければどうぞ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471100709

亜美「お腹すいたよぉ!」ジタバタ

真美「ペコペコだよぉ!」ジタバタ

響「こら!2人とも、お行儀が悪いぞ!」

亜美「だってぇ…」

真美「お腹すいたんだもん…」

貴音「2人とも、友人とはいえ招かれた家で騒ぐものではありませんよ?」

亜美「背に腹は変えられないんだよぉ!」

響「しょうがないだろ?急な台風で食べ物なんて買ってないんだから…」

貴音「ろけが中止になり、交通手段もない我々を受け入れてくれただけでも感謝すべきです」

真美「それはわかってるけどさ…」

貴音「2人とも、もう中学生なのですから。武士は食わねど高翌楊枝という諺も…」グ-

貴音響亜美真美「「「「…」」」」

貴音 グ-グ-

響「いや、まだ鳴るの!?」

亜美「お姫ちんこそ、一番お腹空いてんじゃん!?」

貴音「お恥ずかしい限りです…」グ-グ-

真美「その気持ちとは裏腹にお腹は鳴り続けてるよ…」

貴音 グオングオン

響「それ本当にお腹の音か!?」

亜美「お姫ちんマジ面妖!?」

貴音「お恥ずかしい限りです…」グバババババ

ブタ太「ブヒィ!」

亜美「あ、ブタ太だ…」

真美「ブタ太…」

亜美真美 ゴクリッ

ブタ太「ブヒィ!?」

響「ちょっと!?2人とも、何考えてるんだ!?」

亜美「な、何にも考えてないよ!」

真美「そ、そうだよぉ!ちゃんと我慢してるもん!」

響「我慢してる時点でアウトだぞ!?」

貴音「亜美!真美!とんこ…ぶた太は響の家族なのですよ!」

響「今『とんこつ』って言いかけただろ!?」

ブタ太「ブヒィィィ!?」ガクガクブルブル

亜美「じょ、冗談だよぉ、ブタ太ぁ…」

真美「そうだよ、だからほら、怯えないで出ておいで?」

ブタ太「…ブヒィ?」

響「めちゃくちゃ疑ってるぞ…」

貴音「ぶた太殿、響の友人である私達がそのようなことをするはずが…」グババババババ

ブタ太「ブヒィ!?」

貴音「…」

亜美「もう!お姫ちん!」

真美「ややこしくなるから黙っててよ!」

貴音「…面妖な…」グギュルグギュル

響「こっちのセリフだぞ…」

亜美「でも豚って臆病なんだね」

響「そりゃ目の前に自分のことを食べようとするやつがいたら誰だって怯えるぞ…本当はブタ太はとっても勇敢なんだぞ!」

真美「えっ?そうなの?」

ブタ太 ガクガクブルブル

真美「…とてもそうは見えないけど」

響「そ、そのうちわかるさー!」

prrrrr

亜美「あっ、ひびきん。電話みたいだよ?」

響「えぇ…こんな時に誰だろう?」

ピッ

響「もしもし?」

真『ああ、響かい?』

響「真じゃないか!今日はどうしたんだ?」

真『ほら、響の家にみんなが避難してるって聞いたからさ。もし必要なら食料を持って行こうかと…』

亜美真美貴音「「「是非お願いします!!!」」」

響「うわぁぁあ!?もー!電話中に大声出さないでよ!」

貴音「も、申し訳ありません…しかし、あまりにも空腹で…」

響「もう空腹って言えばなんでも許してもらえるみたいな言い草だぞ…」

真美「神様、仏様、まこちん様だね!」

亜美「まこちん!早くおいでよぉ!」

真『はっはっは、実は…』

ピンポ-ン

響「はいはーい」

ガチャッ

真「もう着いてるんだけどね」

真美亜美「「まこちーーーん!!」」

貴音「あぁ…菊地真…貴女こそ我がめしあ…」

真「そんな大げさな…」

貴音「して、食糧は…」

真「うん、食べ物はこっちの…」

ブタ太「ブヒィ!」ドンッ

真「うわぁ!?」

亜美「ちょっと!ブタ太、どうしたのさ!」

ブタ太「ブヒィ!ブヒィ!」

真「ちょ、ちょっと待っ…」

貴音「これは…」

ブタ太「ブヒィ!ブヒィ!」ペロペロ

真「くふふ…く、くすぐったいよぉ…」

貴音「まるでぶた太殿が真を好いているかのような…」

亜美「えっ…」

真美「ブタ太って…そっち系なの?」

真「誰がそっち系だ!」

響「そうだぞ!ブタ太はノーマルだ!」

真「いや、響、それはそれでおかし…くはないのかな?」

響「ん?」

亜美「まぁややこしいからね」

真美「ちかたないね」

貴音「しかし、何故ぶた太殿はこのような…」

響「うーん…ブタ太ぁ、どうしたんだ?」

ブタ太「ブヒィ!ブヒィ!」

響「ん?パパ?」

亜美真美貴音真「「「「パパ?」」」」

響「うーん…ああ!なるほど…」

亜美「いや、ひびきん、1人で納得してないでさ…」

真美「真美たちにも教えてよぉ!」

響「うーん、それはいいんだけど…別にそんな面白い話でもないしなぁ…」

貴音「面白い面白くないはこの際二の次です」

響「そんなに聞きたいの?」

貴音「えぇ、事情を説明してくださらなければ…」

真「ぱ…パパ…また…男…それも…子持ち…」ズ-ン

貴音「真の精神が壊れてしまいます…」

響「ま、真ぉぉぉお!?」

真美「うあうあー!?まこちんしっかりしてよぉ!」

真「ははは…大丈夫だよ…僕が…僕が男みたいだからいけないんだ…」ズ-ン

響「いや、そうじゃなくて…ブタ太は勘違いしてるんだよ」

亜美真美貴音真「「「「勘違い?」」」」

響「そう、勘違い」

亜美「まこちんを誰と勘違いしてるの?」

響「うん、それは…」

ブタ太(あっ、『パパ』の話が始まるな…)

ブタ太(『ママ』と『パパ』の話をするには…)

響「あれは…自分が小学校四年生ぐらいだったかなぁ…」

ブタ太(まず自分達の出会いから話さないといけない…)

7年前

ブタ太「ぶひぃ!」

ブタ太(7年前、僕は沖縄のとある養豚場で産まれた)

ブタ太「ぶひぃ!ぶひぃ!」

ブタ太(だけど…)

養豚場主「なんだ?この小さいやつは?」

ブタ太(どうやら僕は小さすぎたらしい)

養豚場主「こんな小さいやつ、売り物になんねーよ!廃棄だ廃棄!」

ブタ太(だから僕は捨てられた…)

ブタ太「ぶ…ひぃ…」バタッ

ブタ太(空腹と夜の寒さに限界を感じ、目を閉じた僕が次に見たのは…)

ブタ太「ぶ…ぶひ?」

???「お、おい…目が覚めたみたいだぞ!?」

響「ほ、本当だ!!」

ブタ太(『ママ』…我那覇響と…)

響「やったな!次郎!」

次郎「あぁ…一安心だよ…」

ブタ太(『パパ』…我那覇次郎の2人だった…)

ブタ太(あの日…生まれたその日に捨てられた僕はどうやらこの2人に拾われたらしい…)

響「はぁぁ…良かったぁ…安心したぞ…」

次郎「全く…お前がこいつ連れて家に来た時にはどうなることかと思ったぜ…」

響「だ、だって…うちより次郎の家の方が近かったし…」

次郎「いや、そこじゃねーよ!?何がどうなったら瀕死の豚を抱えるはめになるんだよ!」

響「野良で普通にいるだろ!」

次郎「いねーよ!犬とか猫ならわかるけど野良豚なんかいねーよ!」

響「野良ハムスターと野良オウムだっているぞ」

次郎「だからそれはお前んとこが特殊なんだって!」

ブタ太「…ぶひぃ」ニコッ

ブタ太(そんな2人の会話がなんだか楽しくて、僕は産まれて初めて笑うことができたんだ…)

響「あ、笑った!笑ったぞ、次郎!」

ブタ太(そんな笑顔をくれた2人だから…)

次郎「だから俺にはわかんねーんだってば…」

ブタ太(つい、こう呼んでみたくなったのが最初だ…)

ブタ太「パパぁ…ママぁ…」スリスリ

響 ズキュ-ン

次郎「ん?どうしたんだよ、響」

響「い、今…自分達のこと…ママとパパって…」

次郎「ふーん、それがどうかし…」

響「可愛いぃぃぃぃい!?」ギュウッ

ブタ太「ぶ、ぶひぃ…」

響「可愛い!可愛い!可愛い!可愛い!可愛い!」スリスリスリスリ

ブタ太「ぶ…」

次郎「お、おい、響。なんかそいつ苦しそうだけど…」

響「可愛い!かわ…ん?」

ブタ太 グッタリ

響「うわぁぁぁあ!?ごめんよぉ!」

次郎「お前…アホすぎるだろ…」

響「な、なんだとぉ!?次郎なんてブタ太の声がわかんない癖にい!」

次郎「それはそれ。これはこれだよ。つーかまたクソダサい名前付けたな…」

響「ふーんだ、いいもんねー。この子は自分だけで育てるぞ!」

次郎「すっかりママ気分だな…」

響「ほーらよちよち、頼りにならないパパでちゅね~」

ブタ太「ママぁ…」オロオロ

響「ほら、喜んでるぞ」

次郎「嘘つくなよ!完全に戸惑ってんじゃねーか!そんくらい俺にもわかるぞ!」

響「ふふーん、次郎は本当にダメダメだなぁ~」

次郎「なんだとぉ!」

響「うわぁ!?次郎が怒ったぁ!?」

次郎「この野郎!」

ブタ太(これが僕とママ、そしてパパとの出会いだった…)

ブタ太(僕はママの家に引き取られることになった)

響「ほら、ここが今日から君の家だぞ!何にも遠慮することなんてないさー。自分が何でもしてあげるぞ!」

ブタ太(そう言ってくれたママだけど…)

ハム蔵「おいコラ」

響「…」セイザ-

ブタ太(家に入るなりなんか小さいけどえらそうな人…いや、ハムスターに怒られていた…)

ハム蔵「おい、昨日の夜帰ってこなかったと思ってたら急に従兄弟の家に泊まるとか言い出しやがって…」

響「う、うぅ…」

ハム蔵「相手の親御さんにご迷惑だろうがぁぁぁぁあ!?」

響「うぎゃぁぁぁあ!?ごめんなさいぃぃぃぃい!」

ハム蔵「俺はお前を男の家から朝帰りするようなはしたない娘に育てた覚えは…」

いぬ美「はい、そこまで」ドコォ

ハム蔵「うげっ!?な、何すんだ…」

いぬ美「下品すぎるのよ!従兄弟の家に泊まっただけでしょうが!」

ハム蔵「バカ!お前、従兄弟っつったらあれだぞ?結婚できるんだぞ?」

いぬ美「だからなんだってのよ!まだ小学生よ!」

ねこ吉「おほん!まぁそれはそれとして…」チラッ

ブタ太「?」

オウ助「響ちゃん…また動物拾ってきて…」

響「しょ、しょうがないだろ!道に倒れてたんだぞ!」

オウ助「いや、普通豚は道に倒れてないだろ…」

響「本当なんだってばぁ!」

いぬ美「響ちゃん、もう少し考えて嘘をつかないと…」

響「いぬ美まで自分を疑うのか!?」

ねこ吉「まあ響ちゃんの性格上盗んで来たわけではなさそうだが…」

響「そんな信頼だけあっても嬉しくないぞ!」

ハム蔵「…響ちゃん」

響「な、何?」

ハム蔵「元の場所に返してきなさい」

響ブタ太「「…」」

響「え?なんで?ブタ太はいいやつだぞ?」

ハム蔵「道に倒れてただけでなんでいいやつかどうかわかるんだよ…」

響「いや、だから今から暮らしていけばそれがわかって…」

いぬ美「響ちゃん…残念だけどそういう問題じゃないの…」

響「そういう問題じゃない?じゃあどういう問題なんだ?」

ねこ吉「そ、それは…」

オウ助「…なぁ?」

響「なんだよぉ、はっきり言ってよ!」

ガラガラガラガラ

響兄「ならはっきり言ってやろう」

響「にぃに?」

響兄「お前何匹飼う気なんだよ!?」

響ブタ太(た、確かにぃぃぃぃい!?)

響兄「ハム蔵達からはそりゃ言いにくいよ!でもなぁ、お金には限りってもんがあるんだよ!」

響「う、うぅぅ…」

ハム蔵「そりゃ俺たちもなるべく響ちゃんの意向には添いたいけどよぉ…」

ねこ吉「もうこれ以上は…」

響「そんなぁ…」

ブタ太「ぶひぃ…」

ブタ太(こればっかりはしょうがない。どうせあの時なくなっていたはずの命なんだ…僕はそう思っていたけれど…)

響「…嫌だ!」

ブタ太(ママは違ったみたいだった…)

響「自分、アルバイトする!ブタ太だけじゃなくてみんなの分のお金は自分がなんとかするからぁ!」

ブタ太(こう言ったママは、本当に次の日から新聞と牛乳配達のアルバイトを探してきた…)

響「いってきまーす!」

いぬ美「はーい、行ってらっしゃーい」

ねこ吉「すぐにねをあげるんじゃないかと思っていたが…」

ハム蔵「意外と続いてんなぁ…」

いぬ美「あら?私は続くと思ってたわよ?」

オウ助「しかし、そうまでしてこいつをねぇ…」チラッ

ブタ太 キョトンッ?

ハム蔵「お前、響ちゃんにだいぶ気に入られたみたいだな」

ブタ太「そうなの?ハム蔵兄ちゃん」

ハム蔵「…なるほどな」

ブタ太「ん?」

オウ助「おい、ブタ太。俺の名前わかるか?」

ブタ太「オウ助兄ちゃんでしょ?」

ねこ吉「我輩の名前は?」

ブタ太「ねこ吉兄ちゃんじゃん、そんでこっちがいぬ美姉ちゃんでしょ?」

ハム蔵「これか…」

いぬ美「これね…」

ブタ太「なになに?なにがこれなの?」

ハム蔵「俺たちはな、みんな響ちゃんに拾われてここにいるんだが…」

ねこ吉「君みたいなタイプは今までいなかったからなぁ…」

ブタ太「僕みたいなタイプ?」

オウ助「何というか年下系?」

いぬ美「響ちゃんも女の子ね、母性本能が出てきちゃうんでしょうねぇ…」

ねこ吉「しかし、そう考えると結果的に良かったのかもしれないな…」

いぬ美「えぇ、そうね。響ちゃんの情操教育にも繋がるわ」

ブタ太「じょーそーきょーいく?」

オウ助「…って」

ハム蔵「なんだそれ?」

ねこ吉「ブタ太はともかく…」

いぬ美「あんたたちは知っときなさいよ…」

ハム蔵「だから今教えろよ」

ねこ吉「情操とは高い精神活動に伴って起こる感情、情緒より知的で安定感があり、持続できる情緒的態度のことを指す」

ハム蔵「は?」

オウ助「何言ってるんだこいつ?バカなのか?」

ねこ吉「…お前たちにバカ扱いされたくはないんだが…」

いぬ美「簡単に言えば知識だけじゃなくて心を育てましょうって話よ。心を育てる手段としては自分より小さい子と関わらせたり、ペットの世話をさせることがよくあるのよ」

ブタ太「ふーん」

ねこ吉「ブタ太はそれにはうってつけということだ」

ハム蔵「おいおい、待てよ。ペットなら俺たちがいるじゃねーか」

オウ助「そうだそうだ!」

いぬ美「いや、私たちは…」

ハム蔵『こら!響ちゃん!冷蔵庫を開けっぱなしにするな!』

いぬ美『おねしょしたらちゃんと言いに来なきゃダメじゃない!』

オウ助『おやつは宿題の後!』

ねこ吉『髪はちゃんと乾かさないと風邪をひくぞ!』

響『うぎゃー!?ごめんなさいぃぃぃぃい!』

いぬ美「…こうじゃない?」

ハム蔵オウ助「「た、確かに…」」

ガチャッ

響「ただいまー!」

ブタ太「ママ!」

響「はーい、ブタ太ー、ママだぞー」

ブタ太「ママぁ!ママぁ!」

響「はーい、なでなでしてあげましょうねー♪」

ブタ太「えへへ~」

ハム蔵「…確かにあれはわかってても真似できねーな…」

オウ助「…だな」

ブタ太(こうして僕はママの家で暮らし始めた…)

ブタ太(僕はママだけじゃなくて、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちにもいっぱい可愛がってもらった)

野良マングース「オラオラ!この豚野郎がぁ!」

ブタ太「うわぁぁぁあん!?」

ハム蔵「テメェ、うちのもんに手ぇ出すんじゃねーよ!」バキッ

野良マングース「ぐはっ!?」

ブタ太(ハム蔵兄ちゃんは僕をいじめっ子から庇ってくれるし…)

いぬ美「ほらほら、成長期にそんなんじゃ足りないでしょ?私の分もお食べ」

ブタ太(いぬ美姉ちゃんはとても優しくしてくれる)

ブタ太「zzZ…」

オウ助「…ったく、こんなとこで寝て…風邪ひくぞ…」

ブタ太「zzZ…」

オウ助「…全く」ファサッ

ブタ太(オウ助兄ちゃんは僕が寝ちゃうと毛布をかけてくれるし…)

ねこ吉「いいか、ブタ太。飛べない豚はただの豚。という言葉がある」

ブタ太「豚は元々飛べないよ?」

ねこ吉「あぁ、そうだな。だからこれは例え話なのさ」

ブタ太「例え話?」

ねこ吉「あぁ、『大切なモノを守りたい時、仮に飛ぶ必要があるならば飛べなくても飛ばないといけない』そうでないやつはダメなのさ」

ブタ太「うーん…よくわかんないよぉ…」

ねこ吉「なぁに、いずれわかるさ…」ニコッ

ブタ太(ねこ吉兄ちゃんはいつも難しい話を教えてくれる)

ブタ太(兄ちゃんたちは僕とは違う)

ハム蔵「おい、リボン曲がってるぞ」

いぬ美「ほら、ハンカチ持った?」

オウ助「響ちゃん、知らない人についていったらダメだぞ?」

ねこ吉「サーターアンダギーあげるって言われても嘘だからな?」

響「うん!」

ブタ太(みんなはママの役にたって…ママの隣に立っていた…守られるだけの僕とは違った…)

ブタ太(僕もみんなみたいになりたい!そう思って努力もした…)

ブタ太「や、やい!」

野良マングース「あ?」

ブタ太「いいいいい、いつもいつもいじめやがって!」

ブタ太(ハム蔵兄ちゃんみたいに強くなろう…強くなって一緒にママを守ろう!)

ブタ太「今日は…」

野良マングース「ふん!」ブンッ

ブタ太「ぶひぃぃぃぃぃ!?」バキッ

野良マングース「なんだ、口ほどにもね…」

ハム蔵「オラァ!」バキッ

野良マングース「ぶへらっ!?」

ハム蔵「テメェ、また性懲りも無くうちのやつを…」

野良マングース「いや、無茶苦茶だろ!?」

ハム蔵「問答無用じゃぁぁぁぁあ!」ボコボコボコ

野良マングース「あべしっ!?」

ブタ太「あぅぅ…」

ブタ太(ダメだった…僕にケンカは無理みたいだ…)

響「うへへへへ…いぬ美ぃ~」

いぬ美「あらあら、響ちゃんは頭を撫でられるのが好きなのね~」ナデナデ

響「うん、大好きぃ。えへへ~」

ブタ太(いぬ美姉ちゃんみたいに大きくなろう…それでママを甘えさせてあげるんだ!)

ブタ太「ママ!」スッ

響「ん?」

ブタ太(よし、こうやって…いぬ美姉ちゃんみたいに手を伸ばせば…)

響「ああ、抱っこしてほしいんだな!」ヒョイッ

ブタ太「…」

ブタ太(ダメだった…僕の小さい両手じゃママを甘えさせてあげられない…)

響「zzZ…」

ブタ太(オウ助兄ちゃんみたいに優しくなろう…それくらいなら僕にだって…)

ブタ太「えっと…たしかオウ助兄ちゃんは脚を使って…」

ブタ太「…脚を…」

ブタ太「蹄…」

ブタ太(ダメだった…蹄で毛布は掴めない…)

ブタ太「うんしょ…うんしょ…」

ブタ太(ねこ吉兄ちゃんみたいに賢くなろう…賢くなってママに色んなことを教えてあげるんだ)

ブタ太「まずは本を読んで…」ペラッ

ブタ太「読んで…」

ブタ太「読ん…で…」

ブタ太「zzZ…」

ブタ太(ダメだった…豚の脳みそは小さいみたいだ…)

ブタ太(何をやってもダメだった…そんなダメな僕が、僕は大嫌いだった…もうこんなダメダメな僕は穴掘って埋まりたいくらいだ…でも…)

響「そんなの気にしなくていいんだぞ」

ブタ太(ママだけはそう言ってくれた…)

響「今はまだ小さいからできないだけさー!ママだって小さい時は助けてもらうばっかりだったぞ」

ブタ太(僕以外には今でもそうなんじゃ…そんな言葉を飲み込む僕に構わずママは続ける)

響「ブタ太はブタ太のままでいいんだ。他の誰でもない、ブタ太はブタ太なんだから」

ブタ太(この言葉に、僕は何度も救われた)

ブタ太(…そして、救われる度に…少しずつ、少しずつ…なんだか悲しくなっていったんだ…)

次郎「お前はそれでいいのかよ?」

ブタ太(そんな時、思い出すのは決まってこの言葉だ)

響「もう!なんなの?次郎」

次郎「お前じゃなくてブタ太に言ってるんだよ。『お前は本当にそれでいいのか?』ってな…」

響「だからいいに決まってるじゃないか。ブタ太はブタ太だぞ?」

次郎「だからそれはお前じゃなくて…いや、やっぱりいいや」

響「うがー!なんだよー!?そこまで言ったら言えよー!」

次郎「いいよ、だってお前にこれ以上言っても伝わらないだろ?」

響「うぎゃー!?また自分のことバカにしたなぁ!」

ワイワイガヤガヤ

ブタ太(パパのその言葉はいつもこんな風にグダグダになっていたけれど…それでも何故か僕の心の奥に残っていた…)

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(ママたちの話ばっかりだったから、この辺でパパの話もしよう)

次郎「はっ!はっ!…とりゃぁぁぁあ!」ビッビッ....ブン!

ブタ太(パパ…我那覇次郎はママといとこ同士で、中々のイケメンだ)

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(おまけにこの通り空手をやっているから…)

女の子A「きゃー!?」

女の子B「我那覇くん素敵ー!」

ブタ太(女の子にモテモテなのだ)

次郎「ふぅ…騒がしくなってきたな…帰るぞ、ブタ太」

ブタ太「ぶひぃ!」

ブタ太(強くてかっこいい、そんなパパは僕の憧れだった…)

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(パパは来る日も来る日も空手の稽古をする)

ザ-ザ-ザ-

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(雨の日も…)

ビュ-ビュ-

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(風の日も…)

シンシン

次郎「はっ!はっ!はっ!」ビッビッビッ

ブタ太(雪の日だって、空手の稽古をしていた)

次郎「ふぅ…」

ブタ太(僕はずっとそれを眺めていたんだ…)

ブタ太「ぶひぃ…」

次郎「お!ブタ太、また来てたのか」

ブタ太「ぶひぃ」

次郎「しかし、お前も物好きだな。見てるだけで飽きないのか?」

ブタ太(パパの方こそ毎日毎日飽きないの?…って言ってもわかんないか)

次郎「…って聞いても俺にはお前の声わかんねーしな…」

ブタ太(…実は通じてるとかないよね?)

次郎「まぁいいや、お前もうそろそろ帰れ。響が心配するぞ?」

ブタ太「ぶひぃ?」

次郎「あいつ、元から優しいやつだったけどさ…親父さんが亡くなってから…なんていうか無理してる気がするんだ」

ブタ太「ママが?」

次郎「正直俺にはよくわかんねーよ。俺は親父もお袋も生きてるしな…でも響は…親父さんが亡くなって…亡くなったからこそ、命の大切さとか、大切な人がいなくなるとか…そういうことに敏感になっていったんじゃないかなって思うんだ…」

ブタ太(あのママが!?)

次郎「お前は知らないかもしれないけどさ。あいつ、元々はすっげー泣き虫だったんだ。もっとうじうじしてたしな。まぁ、それはハム蔵たちが来てからだいぶマシになったけど…」

ブタ太(そうなんだ…)

次郎「今のあいつは色々なことを乗り越えて成長した。だから俺も負けてられないだろ?」

ブタ太(そんなこと…僕は全く知らなかった…本当に僕はダメダメだな…)

次郎「…好きな女の子1人くらいは守れるようにならねーと…男としてかっこ悪いだろ?」

ブタ太(あぁ僕は…)

次郎「だから俺は強くなるんだ!俺は頭も悪いし、あいつほど優しいわけじゃない…だから…だから優しいあいつがこれ以上傷つかないように…今度は俺が守るんだ!」

ブタ太(この人には勝てないんだろうな…)

ブタ太(パパは強いしかっこいいから大好きだ…でも同時に『僕はこうなれないんだろうな』と思って悲しくなる…)

ブタ太(そんな話をした日の夜、事件は起こった)

ハム蔵「響ちゃんが帰ってこないだとぉぉぉおおお!?」

いぬ美「やかましいのよ!」バシッ

ハム蔵「『やかましいのよ!』じゃねーよ!あいつ何してんだよ!?もう9時回ってんだぞ!?良い子は寝る時間だぞ!?」

いぬ美「…だからって叫べば見つかるわけじゃないでしょうが」

ハム蔵「チッ…おい、みんな、探しに行くぞ!」

ねこ吉「しかし、警察に任せるべきでは…」

オウ助「あぁ、それならにぃにがやってくれてるぜ」

ガラガラガラ

響兄「…ただいま」

オウ助「ほら、噂をすれば何とやらだ」

ハム蔵「おい、にぃに!響ちゃんは!?」

響兄「それが…」スッ  

響の靴(片方)ボロッ

響兄「これだけ見つかったって…」

ハム蔵いぬ美オウ助ねこ吉ブタ太「「「「「…」」」」」

ハム蔵「おぃぃぃぃい!?これ見たことあるわ!トトロのやつじゃねーかぁぁぁあ!」

オウ助「何があったらこんなことになるんだよ!あいつは!」

いぬ美「みんな、落ちついて!まずはねこ吉がバスになって…」

ハム蔵「まずお前が落ちつけぇぇぇえ!!」

ブタ太(その後僕たちは…)

ハム蔵「探せぇぇえ!!あのバカを探すんだぁぁぁぁあ!!」

ブタ太(というハム蔵兄ちゃんの一声で一斉にママを探しに行った…)

ブタ太(大丈夫…兄ちゃん達なら誰が見つけても大丈夫…そう思っていたのに…)

響「くっ…はぁ…あぁ…」

ブタ太(…何で僕が見つけちゃうんだよ)

響「あぁ…あつ…熱いぃ…」

ブタ太 ピトッ

ブタ太「酷い熱だ…」

響「ぶ…ブタ…太?」

ブタ太「どうしてこんなことに…」

ブタ太「へへへ…今日、ママ調子悪くてな…だから近道しようとしたら…がふっ!?」

ブタ太「ママ!?」

ブタ太(当たり前だ…ママは学校に行きながら牛乳と新聞配達のアルバイトまでして…疲れないはずがないじゃないか…身体を壊すに決まってる)

響「はぁ…はぁ…うっ…あぁ…」

ブタ太「うぅぅ…ど、どうしたら…とりあえず兄ちゃん達の誰かを…」

響「ぶ…ブタ…太…」ムクリッ

ブタ太「ママ!ダメだよ!無理したら!」

響「だい…じょう…はぁ…だぞ…」

ブタ太「!?」

響「ママ…は…大丈夫だか…ら…心配しな…い…で…」

ブタ太(ママ…こんな時まで僕の心配を…)

ブタ太「僕は…僕は…」

ブタ太(一体…)

ブタ太「僕は…何をやってるんだっ!!」

響「ぶ…た…た?」

ブタ太「ごめんね、ママ…」

ブタ太(僕は、ダメダメだ…さっきまで…この状況になっても兄ちゃん達に頼ろうとしてた…)

ブタ太「でも…」

ブタ太(それじゃ…そんなんじゃダメだろ!)

ブタ太「安心して、ママを絶対に助けるから!」

響「はぁ…はぁ…ブタ…太ぁ…」

ブタ太(僕は豚だから飛べない…飛べけど…)

ブタ太「うぉぉぉおお!?」グググググ

ブタ太(ママを担いで…運ぶくらいはできるはずだろ!)

ブタ太「うぉぉぉおお!!」グググググ

響「はぁ…ブタ…はぁ…太…んっ…無理する…な…」

ブタ太「む、無理なんかじゃない!!ここで…ここで動けないと…」グググググ

響「?」

ブタ太「好きな女の子1人くらいは…守れないと…」グググググ

次郎『…好きな女の子1人くらいは守れるようにならねーと…男としてかっこ悪いだろ?』

ブタ太「…男に生まれた…」グググググ

フワッ

響「!?」

ブタ太「意味が…ないんだぁぁぁぁあ!!」

響「す、凄い…」

ブタ太「うぉぉぉお!」ズドドドドド

響「す、凄いぞ、ブタ太!ブタ太にこんな力があったなんて…」

ブタ太(ううん…僕にこんな力なんてないよ…でもね?ママ…)

ブタ太「うぉぉぉお!」ズドドドドド

ブタ太(ママのためなら…大好きなママのためなら…)

ブタ太「らぁぁぁあ!」ズドドドドド

ブタ太(いくらでも…力が湧いてくるんだ!)

響「はぁ…くっ…うぅん…」

ブタ太(マズい!?ママの体力が…もっとスピードを…)

???「ちょっと待ちなぁぁあ!」

ブタ太「なっ!?お、お前は…」

野良マングース「へへへ、そうだよ、俺だよ」

ブタ太「くっ…な、なんか用!?」

野良マングース「おう、用事も用事よ。こないだのお礼をさせてもらおうと思って…なぁ!!」ドスッ

ブタ太「ぐはっ!?」

野良マングース「けっけっけっ、今日はあの殺戮ハムスターもいねーみたいだしなぁ?」ドスッドスッ

ブタ太「ぐっ!?ぐぁぁあ!?」

響「はぁ…ぶ…ブタ太…逃げ…」

野良マングース「あ?また逃げるのか?弱虫ブタ野郎」ドスッドスッドスッ

ブタ太「ぐっ!?はっ!?に、逃げな…い…ぐぁっ!?…僕が…逃げたら…」

野良マングース「あ?」

ブタ太「僕が…逃げ…たら…この人を守れない!!」

野良マングース「チッ…うっとおしいやつだぜ…よし、ならわかった」

ブタ太「?」

野良マングース「そんなにあの人間が大事なら…あいつから壊してやるよ!」

ブタ太「なっ!?」

響「や…やめ…」

野良マングース「おらぁぁぁぁあ!!」ブンッ

ブタ太「くっそぉぉぉお!!」ダッ

ブタ太(これ以上喰らったら…もうママを運べない…でも、あんな攻撃受けたらママは…)

響「来ちゃ…ダメ…だ…」ガクッ

ブタ太(あぁぁ…僕は結局ダメなやつだ…せっかく頑張ったのに…全部無駄だった…ダメだった…)

ブタ太「ママ!」ガバッ

ブタ太(僕はあいつの攻撃で倒れて…それから結局ママは攻撃され…あれ?そういえばまだ攻撃されてないよな?)

野良マングース「な、なんだぁ!?テメーは!?」

次郎「…通りすがりの空手家だよ」

ブタ太「パパ!?」

次郎「ブタ太…根性見せたな…」

ブタ太「うん…」

次郎「無駄なんかじゃねーよ。お前が踏ん張ってくれなきゃ、俺は間に合わなかったんだからな…」

ブタ太(パパ…)

響「はぁ…はぁ…」

次郎「とはいえ、余裕もないみたいだな…ブタ太、もう一踏ん張りできるか?」

ブタ太「もちろん!」

次郎「…言葉がわからなくても伝わったよ。響のこと、頼んだぜ?」

ブタ太「うん!」ダッ

野良マングース「待ちやがれ!」ダッ

次郎「おい、お前の相手は俺だぜ?」ザッ

野良マングース「うぉ!?」

次郎「今だ!行け!」

ブタ太「うぉぉぉお!」ズドドドドド

野良マングース「チッ…まぁいい、獲物が男に変わっただけだ…」

次郎「お前…俺相手なら勝てるって思ってるだろ?」

野良マングース「は?当たり前じゃねーか」

次郎「俺は響と違ってよぉ、お前の言葉もぎゃあぎゃあとしか聞こえないから…一方的に言わせてもらうぜ?」

野良マングース「?」

次郎「響はよぉ…本当にバカだけど、お人好しで優しいやつなんだよ。それこそ、道端で死にかけてたら犬だろうが猫だろうがハムスターだろうがオウムだろうが…豚だろうが助けちゃうんだよ…」

野良マングース「話が見えねえなあ」

次郎「ブタ太がお前を反撃しなかったのはできなかったからじゃない。お前みたいなやつでも傷ついたら響は悲しむんだ。だから反撃しなかったんだ」

野良マングース「はぁ?空手かなんだか知らねーが、野生動物をナメるんじゃねーよ」

次郎「そんなあいつを守るために修行をしてんだよ俺ぁ…」

野良マングース「そうかい…じゃあおとなしく殺されてなぁ!」ブンッ

次郎 スパァァァァアン!

野良マングース「なん…だ…と…」バタッ

次郎「安心しな、急所は外してある…人間と同じならだけどな…」

野良マングース「つ、強い…な、なんなん…だ…おま…え…」ガクッ

次郎「…そうだなぁ、願わくば優しいあいつがその優しさゆえに傷つくことがないように願っている…」

次郎「ただのしがない男だよ」

ブタ太(それから…)

響「う、うぅぅん…」

次郎「お?目覚めたか?」

響「うん…自分何して…はっ!?ブタ太!ブタ太がマングースにいじめられて…」

ブタ太「ぶひ?」

響「ブタ太!無事だったか!?」

ブタ太「何のこと?」

響「は?いや、だってブタ太、マングースに…」

ブタ太「ママ…疲れすぎて夢見てたんじゃないの?」

響「夢?」

ブタ太(パパと話し合ってママにはそういうことにした。男と男の約束だ)

次郎「そうそう、夢だよ夢。お前仕事し過ぎなんだって。ハム蔵達怒ってたぞ?」

響「うぎゃぁぁあ!?ハム蔵達が怒ると怖いんだよぉ…あれ?ハム蔵達は?」

いぬ美「夕刊を配りに行ったわよ」

響「いぬ美!?夕刊って…あぁぁぁあ!?じ、自分、夕刊配りに行かなきゃ…」

次郎「だから落ちつけよ、夕刊はハム蔵達が配りに行ったんだって」

響「ハム蔵達が?どういうこと?」

いぬ美「夕刊を郵便受けに入れるだけなら私達だけでもできるからね。お手伝いすることにしたのよ」

響「な!?」

いぬ美「これからは交代制にしましょ。そうしたら今回みたいなことはなくなるわ」

響「だ、ダメだぞ!みんなの面倒は自分が見なきゃ…」

いぬ美「それならまずはおねしょ治してからにしましょうね」

響「な!?そそそ、それは関係ないだろー!!」

ハム蔵「なら夜中に1人でトイレに行けるようになるのが先だな」

響「ハム蔵!?帰ってきたのか!?」

オウ助「宿題も俺たちがチェックしないと忘れること多いしなぁ…」

ねこ吉「そもそも忘れっぽいのをどうにかしないと…」

響「オウ助!?ねこ吉まで!?」

いぬ美「響ちゃん、私たちは家族でしょ?響ちゃんだけが頑張らないといけない理由なんてないんだから、みんなで助けてあいましょ?」

響「いぬ美…」

ブタ太(そう、だから僕だって…)

ハム蔵「お化けが怖いのもどうにかしないとな」

ねこ吉「野菜をしれっとにぃにの皿にやるのもやめようね」

響「うぎゃぁぁあ!?せっかくいい雰囲気だったのにぃぃい!」

いぬ美ハム蔵オウ助ねこ吉ブタ太次郎「「「「「「あはははははは!」」」」」」

ブタ太(僕だって…ママの隣に立つんだ!あの時のようにね)

ブタ太(こうして、僕がママに引き取られたことで起きた一連の事件は一応幕を閉じた)

ブタ太(え?ママとパパの恋の話が終わってないって?)

ブタ太(それは…ほら?ママってこんな感じでしょ?)

響「…ってわけなんだ」

亜美「ふーん、ひびきんにそんなイケメンな従兄弟がいたんだー!」

真美「まこちんに似てるならめちゃくちゃイケメンじゃん!」

真「イケメン…」ズ-ン

真美「うあうあー!?まこちーん!?落ち込まないでよぉ!」

真「ははは…いいんだよ、真美…僕が男みたいだから悪いんだ…」ズ-ン

真美「うあうあー!?」

ブタ太(だから正直、パパは報われないと思…)

貴音「なるほど、そして響はその次郎殿のことが好きなのですね?」

響「は?」

真美「ひ?」

亜美「ふ?」

真「へ?」

ブタ太(ってたけど…)

響「な、なんでそうなるの!?」

貴音「はて?次郎殿の話をされている時…今までに見たことがないほど優しい表情をされていたので…てっきりそうなのかと…」

響「ち、ちがっ!?そんなこと…いや、確かに優しいし、カッコイイし、自分のこと助けてくれるし、空手してる時は正直キュンってなるけど…ってうぎゃぁぁあ!?自分は何を言ってるんだぁぁぁぁあ!?」

亜美「んっふっふ~!ひびき~ん、それはもう好きっしょー!」

真美「むしろ愛ちてるっしょー!」

響「愛し…って、適当なこと言うなぁぁぁぁあ!?だいたい真美は落ち込んだ真を…」

真「なになに!?恋バナとかガールズトークとか!?」

響「うぎゃぁぁあ!?だから違うんだってばぁぁぁあ!?」

ブタ太(なぁんだ、そうだったんだ…)

prrrr

響「ほ、ほら、電話だから!だからこの話はお終い!」

真「え~!」

亜美「ぶーぶー!」

真美「逃げるなぁ!」

響(ふぅ、何とか助かったぞ…)

ピッ

響「もしもし?」

次郎『おう、響か?そっち台風酷いみたいだけど…』

響「うぎゃぁぁあ!?」ボンッ

次郎『大丈夫か?…ん?響?』

ブタ太(パパ、飛ぶなら今みたいだよ?)

終わり

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