いろは「お久しぶりです!」 八幡「……はあ?」 (44)

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比企谷八幡 高校3年生 夏


八幡「なに、どうしたの?」

いろは「先輩に会いに来たんですよ」

八幡「唐突すぎるだろ……」

いろは「あれ? 聞いてませんか? おかしいなー。昨日の夜に小町ちゃんに言ったのに」

八幡「なんで小町なんだよ。俺に言えよ」

いろは「だって、先輩にメールしても無視されそうですし」

八幡「電話すればいいだろ」

いろは「嫌ですよ。電話代が高くなるじゃないですか」

八幡「何時間通話するつもりなんだよ……」

八幡「着替えてくるから待ってろ」

いろは「片付けるじゃなくて、着替えるですか?」

八幡「当たり前だろ。この格好でどこかに出掛けられるかよ」

いろは「出掛ける……?」

八幡「なんだよ。どこかに行くんじゃないの?」

いろは「違いますよ。今日は先輩の部屋で過ごそうと思って伺ったんです」

八幡「いや、それはさすがに……」

いろは「ダメなんですか?」

八幡「だってお前、女だし……」

いろは「大丈夫ですよ。付き合って半年も経つのに自分からキスはおろか手を繋ぐこともできないヘタレな先輩が、わたしになにかできるわけないじゃないですか」

八幡「……」

いろは「お邪魔しまーす」

八幡「おーい小町、一色が来たぞ」

いろは「……」

八幡「……」

いろは「小町ちゃん、出掛けてるんですか?」

八幡「いや、そんなことは言ってなかったが……」

いろは「あ、小町ちゃんからメールがきました」

八幡「なんだって?」

いろは「……」

八幡「どうした?」

いろは「え、えっと……」

八幡「……お前、顔赤いぞ?」

いろは「そ、そんなことないです!」

八幡「お、おう……?」

いろは「小町ちゃんは友達の家に泊まりに行ったみたいです」

八幡「マジで? 俺、なにも聞いてないんだけど……」

いろは「……なんか急に決めたみたいで」

八幡「……まさかあいつ」

いろは「そのまさかです……」

小町『……もしもし?』

八幡「お前、なに変な気をまわしてんだよ」

小町『別にー? 夏休みも終わりだし、友達と遊ぼうと思っただけだよ?』

八幡「だとしても泊まる必要はないだろ」

小町『うるさいなー。小町のことはいいから、いろはさんとの時間を楽しみなよ。会うの久しぶりでしょ?』

八幡「……そういえばそうだな」

小町『本当にごみいちゃんだなあ……。いろはさんはね、この夏休みの間我慢してたんだよ? お兄ちゃんが受験生だから、会うのを控えようって』

八幡「……」

小町『だから今日は、いろはさんと二人で過ごしてあげて』

八幡「……わかったよ」

小町『じゃあ、明日の夕方までには帰るから』

八幡「わかった。何かあったら、電話しろよ」

小町『ナニかあるのはお兄ちゃんだと思うけどね!』

八幡「余計なお世話だ!」

『比企谷さん……あ、すみません。電話中でしたか……』

八幡「……いま男の声がしたぞ。それも平間寺の別名みたいな名前のやつの声が」

小町『ちょっと、なに言ってるかわからないです』

八幡「おい」

小町『じゃあ、切るね。いろはさんのことよろしくねー!』

八幡「待て小町!」

『……』ツーツー

いろは「小町ちゃん、なんて言ってました?」

八幡「……」

いろは「うっわ、いつも以上に目が腐ってますよ。気持ち悪いんで、こっち見ないでくれませんか」

いろは「本当に先輩ってシスコンですね」

八幡「シスコンじゃねえし」

いろは「いやー、妹が男と一緒に居るってだけで取り乱すとか、重度のシスコンですよ」

八幡「その小町と一緒に居る相手が悪いんだよ。ったく、なんでよりによってあいつなんだ……」

いろは「先輩、そういうことを小町ちゃんに言わないほうがいいですよ」

八幡「なんで?」

いろは「もし、恋愛感情があった場合、たいした根拠もなく相手を悪く言われたらムカつくからですよ」

八幡「でも事実だし……」

いろは「そうだとしても、堪えてあげないとダメです」

いろは「自分にとって大切な人を悪く言われるほど、嫌なものはないですから」

八幡「……もしかしてお前、俺と付き合ってることに対して何か言われたのか?」

いろは「まあ、いろいろ言われましたね」

八幡「……すまんな」

いろは「謝らなくても……」

八幡「でも、俺が原因でお前に迷惑かけたわけだしな……」

いろは「先輩は本当にわかってないなあ。迷惑だなんて思ってませんよ」

八幡「一色……」

いろは「先輩と付き合う時点で覚悟できてましたから」

八幡「さいですか……」

いろは「さて、小町ちゃんのこと迎えに行きますか? 迎えに行くなら、わたしはお邪魔でしょうし帰りますよ」

八幡「……いや、あいつも高校生だし大丈夫だろ」

いろは「でも、相手の人が気にくわないんでしょう?」

八幡「まあな。でも、あいつの家に泊まるとしても、あの家にはブラコンの姉がいるから大丈夫だろ」

いろは「まあ、先輩がそれでいいなら、わたしは構いませんけど」

八幡「それに拗ねてるやつがいるからな。そいつの機嫌をこれ以上悪くしたくないし」

いろは「……誰のことですか?」

八幡「さあ、誰だろうな」

八幡「まあ、適当に座ってくれ」

いろは「へー。意外と片付いているんですね。まず掃除しないといけないかと思ってましたよ」

八幡「なんでお前が掃除するんだよ……」

いろは「そりゃあ、彼女ですし」

八幡「彼女に掃除してもらう彼氏とか情けなさすぎだろ」

いろは「でも結婚したら、奥さんに掃除してもらったりするじゃないですか」

八幡「いや、俺の場合は専業主夫だから、ちゃんと自分で掃除するぞ」

いろは「彼女に掃除してもらうより、奥さんに養ってもらうほうが情けないと思うんですけどね」

いろは「未だに専業主夫に憧れがあるなんて……」

八幡「昔からの目標だからな」

いろは「はあ……。わたしと付き合ってから、少しは変わったと思ったのに……」

八幡「そんな簡単に人間が変わってたまるか。お前だって、相変わらずあざといじゃねえか。むしろ、以前よりもあざとくなってるまである」

いろは「……だって、先輩にはそこまでしないと通じないんですもん」

いろは「それとも、あざといわたしは嫌いですか……?」

八幡「……嫌いではないな」

いろは「わたしも、先輩のそういう素直じゃないとこ嫌いじゃないですよ」ニコッ

八幡「変わってるな……」プイッ

いろは「先輩には負けますよ」クスッ

今日はここまで

八幡「……」

いろは「……」ペラペラ

八幡「……なあ」

いろは「なんですかー?」

八幡「やっぱり、何処かに出掛けるか?」

いろは「しつこいですね。わたしは先輩の家で過ごしたいんですよ。それとも、やっぱり小町ちゃんが心配ですか?」

八幡「まあ、小町は心配だけど、出掛けようと思う理由はそれじゃない」

いろは「じゃあなんですか?」

八幡「お前が本ばっか読んでるからだよ」

いろは「もしかして先輩、構って欲しいんですか?」

八幡「そうじゃねえよ!」

いろは「ダメですよー。先輩がちゃんと勉強したら構ってあげますからねー」

八幡「それだよ、それ。なんで俺は勉強しなきゃいけないわけ?」

いろは「受験生でしょう?」

八幡「その受験生の家に突然押しかけて来たのは誰だろうな」

いろは「……迷惑でした?」

八幡「そんなことはないが……」

いろは「わたし、帰ったほうがいいですか……?」ウルウル

八幡「……帰ってほしいなんて思ってねえよ。お前がいいなら、別に出掛けなくても構わん」

いろは「先輩って本当にちょろいですね」

八幡「おい」

八幡「お前って、相変わらずいい性格してるよな」

いろは「先輩も相変わらず鈍感ですね」

八幡「はあ?」

いろは「だって、なにもわかってないんですもん」

八幡「なにがだよ」

いろは「わたし、先輩と一緒ならほとんど会話をしなくても平気です」

いろは「だって、好きな人の傍に居られことは幸せなことですからね」ニコッ

八幡「……あざとい」

いろは「だから言ってるじゃないですか。先輩にはこれくらいしなきゃ通じないって」

いろは「先輩が我慢の限界のようなので構ってあげますよ」

八幡「あー、そうかい」

いろは「せっかく構ってあげようとしてるのに、なんですかその態度?」

八幡「悪い悪い。それで、なにすんの?」

いろは「わたし、喉渇いたんです」

八幡「……はい?」

いろは「麦茶飲みたいなー。誰か持ってきてくれないかなー」

八幡「お前なあ……」

八幡「おい。持ってきた、ぞ……」

いろは「ありがとうございますー」

八幡「……お前、なに見てんの?」

いろは「なにって、先輩の小学生時代の卒アルですけど?」

八幡「どこから引っ張りだしてきやがった」

いろは「小町ちゃんの部屋にありましたけど?」

八幡「あの野郎……」

いろは「いろいろ用意してくれてたみたいで、卒アル以外にも、こんな写真もありますよ」

八幡「うっわ……。これ、幼稚園児くらいの写真じゃねえか……」

いろは「これ、本当に先輩ですか?」

八幡「間違いなく、俺だな」

いろは「えー……」

八幡「なんだよ? どっからどう見ても俺だろうが」

いろは「いや、目が違いますよ。こんなに純粋な目をしている子が、今ではこんなに腐った目をしてるなんて信じられませんよ……」

いろは「先輩って目がまともなら、イケメンなんじゃないですか?」

八幡「それ、小町にもよく言われる」

いろは「まあ、わたしは今のままでいいですけどね」

八幡「そうだな。俺は今のままでもそれなりに整ってるしな」

いろは「というか、逆に先輩の目がキラキラしてたら気持ち悪いですもん」

八幡「……確かに」

いろは「自分で認めるのはどうかと思いますけど……」

八幡「彼氏を貶すのもどうかと思いますよ」

いろは「そういえば、中学の卒アルはないんですか?」

八幡「あるはずだけどな」

いろは「小町ちゃんの部屋には置いてありませんでしたけど」

八幡「まあ、小町の部屋にあることがおかしいけどな」

いろは「どこにあるのかわかりませんか?」

八幡「この家の何処かにはあるんじゃない」

いろは「わかってないのと同義ですよ、それ」


いろは「でも、どうして小町ちゃんは中学の卒アルだけを用意しなかったんでしょうね?」

八幡「見つからなかったとかじゃねえの」

いろは「うーん……。わたしに見せられない何かがある、とか?」

八幡「別にお前に見られて困るものはないけどな」

いろは「……わかった。わかりましたよ、先輩!」

八幡「なにが?」

いろは「小町ちゃんは、わたしに折本先輩を見せたくなかったんですよ!」

八幡「……なんで、お前に折本を見せられないと思うの?」

いろは「そりゃあ、先輩が中学時代に好きだったからじゃないですかね」

八幡「……誰から聞いた?」

いろは「あ、やっぱり好きだったんですね?」

八幡「……」

いろは「別に気にしなくていいのに」

八幡「普通、嫌なんじゃないの?」

いろは「わたしも前に好きだった人を知られてますしね」

八幡「まあ、そうだけど……」

いろは「いいじゃないですか。先輩もわたしも素敵な人に恋をしてたってことで。だからこそ、今があるわけですし」

いろは「でも、お互いに昔はタイプが違う人のことが好きだったんですね」

八幡「好みなんて、時期ごとに変わっていくもんだしな」

いろは「んー。でも、先輩が好みかって聞かれると、それは違いますけど」

八幡「なにそのカミングアウト……」

いろは「本当に好きになる人なんてそんなもんです。理屈じゃないんですよ」

今日はここまで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月17日 (水) 09:59:08   ID: dS89gMuw

続編嬉しいです!
また楽しく読ませてもらいます

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